特許第6150392号(P6150392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150392
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ウエハ側面検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20170612BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   G01N21/95 Z
   H01L21/66 J
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-190217(P2013-190217)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55588(P2015-55588A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083770
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 國男
(74)【代理人】
【識別番号】100148943
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 貴志
(72)【発明者】
【氏名】村岡 進
(72)【発明者】
【氏名】柳田 洋司
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 昭範
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−230622(JP,A)
【文献】 特開2013−092404(JP,A)
【文献】 特開2009−063366(JP,A)
【文献】 特開2004−093222(JP,A)
【文献】 特開2013−137292(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0026311(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面で4つの平坦なサイド面(2)および4つの円柱面状のコーナ面(3)を有するほぼ正方形のウエハ(1)を検査対象とし、ウエハ(1)を搬送するコーナ面検査工程用のコンベア(7)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の位置でウエハ(1)を旋回テーブル(18)上で受け取り、旋回テーブル(18)の昇降動作によってウエハ(1)を撮像位置まで上昇させ、ウエハ(1)の撮像位置でウエハ(1)を90度旋回させる昇降・旋回ユニット(17)と、ウエハ(1)の撮像位置でのウエハ(1)の対角線(4)の延長線上でウエハ(1)の旋回中に各コーナ面(3)の半分の面を撮像する4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)と、隣り合うコーナ面撮像用のカメラ(12)の半分の面の撮像画像から1つのコーナ面(3)の全面の画像を合成し、4つのコーナ面(3)の全面画像からウエハ(1)のすべてのコーナ面(3)の欠陥の有無を検査する画像処理装置(15)とを有する、ことを特徴とするウエハ側面検査装置(10)。
【請求項2】
側面で4つの平坦なサイド面(2)および4つの円柱面状のコーナ面(3)を有するほぼ正方形のウエハ(1)を検査対象とし、ウエハ(1)を連続的に搬送する複数のコンベア(5、6、7、8、9)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の上流で一方のサイド面検査工程用のコンベア(5)の位置においてウエハ(1)の一方の向き合うサイド面(2)を撮像する2台の一方のサイド面撮像用のカメラ(11)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の位置でウエハ(1)を旋回テーブル(18)上で受け取り、旋回テーブル(18)の昇降動作によってウエハ(1)を撮像位置まで上昇させ、ウエハ(1)の撮像位置でウエハ(1)を90度旋回させる昇降・旋回ユニット(17)と、ウエハ(1)の撮像位置でウエハ(1)の旋回中にウエハ(1)の対角線(4)の延長線上で各コーナ面(3)の半分の面を撮像する4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の下流で他方のサイド面検査工程用のコンベア(9)の位置においてウエハ(1)の他方の向き合うサイド面(2)を撮像する2台の他方のサイド面撮像用のカメラ(13)と、隣り合うコーナ面撮像用のカメラ(12)の半分の面の撮像画像から1つのコーナ面(3)の全面の画像を合成し、4つのコーナ面(3)の全面画像からウエハ(1)のすべてのコーナ面(3)の欠陥の有無を検査するすると共に、2台の一方のサイド面撮像用のカメラ(11)の撮像画像および2台の他方のサイド面撮像用のカメラ(13)の撮像画像からすべてのサイド面(2)の欠陥の有無を検査する画像処理装置(15)とを有する、ことを特徴とするウエハ側面検査装置(10)。
【請求項3】
ウエハ(1)の上昇位置で各コーナ面(3)毎にウエハ(1)を非接触で撮像位置に保持するベルヌーイ式非接触吸着パット(19)を設置し、ベルヌーイ式非接触吸着パット(19)の中心をコーナ面撮像用のカメラ(12)の光軸上に一致させる、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のウエハ側面検査装置(10)。
【請求項4】
各コーナ面撮像用のカメラ(12)と対応位置のベルヌーイ式非接触吸着パット(19)とを共通のユニットホルダ(20)により一体的に取り付け、ウエハ(1)の対角線(4)の延長線上で各コーナ面撮像用のカメラ(12)を合焦方向に位置調整自在とする、ことを特徴とする請求項3記載のウエハ側面検査装置(10)。
【請求項5】
コーナ面検査工程用のコンベア(7)の上流において加速用のコンベア(6)をウエハ(1)の受け取り後に定速から高速に切り換え、加速用のコンベア(6)上のウエハ(1)を後続のコーナ面検査工程用のコンベア(7)に高速で受け渡す、ことを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4記載のウエハ側面検査装置(10)。
【請求項6】
加速用のコンベア(6)のウエハ(1)をコーナ面検査工程用のコンベア(7)で高速で受け取って停止し、コーナ面検査工程用のコンベア(7)上のウエハ(1)を昇降・旋回ユニット(17)に受け渡し、昇降・旋回ユニット(17)からウエハ(1)をコーナ面検査工程用のコンベア(7)で受け取った後に加速し、後続の減速用のコンベア(8)に高速で受け渡す、ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載のウエハ側面検査装置(10)。
【請求項7】
コーナ面検査工程用のコンベア(7)の下流において減速用のコンベア(8)をウエハ(1)の受け取り後に高速から定速に切り換え、減速用のコンベア(8)上のウエハ(1)を他方のサイド面検査工程用のコンベア(9)に定速で受け渡す、ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載のウエハ側面検査装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池など半導体のウエハの側面を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、複数枚のセルを平板状に連接し、モジュールパネルとして製品となる。セルの製作過程では、寸法や特性、形状などの不良により、後工程で不良を混在させない目的で、事前に製品の良否を分類し、良品のみが次の工程へ送られる。不良のウエハを省くことによって、セル工程での手直し時間や、工程の途中で割れるウエハの排除時間など生産稼働率を低下させないようにできる。検査の過程でウエハの面にチッピング欠陥があると、その部分の強度不足によりウエハに割れが生じ易い。また、外観上の品質の問題もある。このようなウエハの検査の結果は、ウエハ製造工程の出荷検査や、次工程であるセル生産工程の受入れ検査に使用される。
【0003】
太陽電池用多結晶シリコンウエハは、大きな外径のインゴットを容易に製造でき、材料も安価なことから、インゴットの側面を大幅にカットし、完全な正方形のウエハとして利用される。これに対し、太陽電池用単結晶シリコンウエハは、太陽電池としての面積をできるだけ大きく、かつ材料の無駄を少なくするために、円板状の側縁を正方形の4辺に沿ってカットする過程で、四隅に円柱面の一部をコーナ部として残し、側面を4つの弦でカットした形状、いわばアール付きの正方形のウエハとしている。
【0004】
したがって、アール付きの正方形のウエハの側面は、正方形の4辺に対応する4つの平坦なサイド面と、2つのサイド面の間に形成される円柱面の一部のコーナ面とで構成されている。このような形状の単結晶シリコンウエハを太陽電池として組み立てたときに、単結晶シリコンウエハは、完全な正方形のウエハに比べ面積から見て、いくらか不利であるが、多結晶シリコンウエハよりも発電効率の点で良い。
【0005】
従来、この種の側面検査装置は、撮像、画像処理技術を応用し、一般的に、コンベア上のウエハの進行方向に平行な対向状態の側面を検査したのちに、ウエハを90度旋回し、残りの対向状態の側面を検査している。また、この検査の過程で、コーナ面は、通常、目視または別装置により検査している。目視検査は、蛍光灯の照明下で検査員により行われる。目の良い検査員は、50×50μmサイズの欠陥でも、欠陥部分からの反射光が目に入射すれば、欠陥を検出できるが、反射光が目に入射しなければ、殆ど検出できず、検出もれとなる。また、ウエハの板厚の中にしか存在しないチッピング欠陥もあり、その欠陥は、側面方向からしか検出できない。
【0006】
例えば特許文献1は、円板状のウエハの外周面を検査するために、複数の2次元カメラをウエハの外周面に向けて配置し、検査の時に、複数の2次元カメラと円板状のウエハとを相対的に旋回させる、ことを開示している。その技術によると、例えば2次元カメラを固定し、円板状のウエハを旋回させるときに、円板状のウエハの外周面と2次元カメラとの間は、一定の合焦距離に保てる。しかし、特許文献1に技術において、アール付き正方形のウエハの側面すなわち4辺のサイド面およびサイド面の間のコーナ面をウエハの旋回過程で検査しようとすると、4つのサイド面とカメラとの距離が変化するため、4つのサイド面に対応するカメラについて合焦操作や位置調整の制御が不可欠となり、その結果、検査速度に限界があり、検査の高速は達成できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−52966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の解決課題は、アール付き正方形のウエハの1ラインの搬送過程において、アール付き正方形のウエハの側面、特にコーナ面の検査を高速で行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題のもとに、本発明は、ウエハの搬送過程において、ウエハのサイド面の撮像のために、ウエハを90度旋回させることに着目し、ウエハの旋回時に、ウエハの対角線の延長線上からウエハのコーナ面の半分を4台のカメラで撮像し、4台のカメラの撮像画像を合成することにより、コーナ面の全面の画像を合成し、全面の合成画像を画像処理することによって、すべてのコーナ面の欠陥の有無を検査するようにしている。
【0010】
さらに詳細に記載すると、本発明に係るウエハ側面検査装置(10)は、側面で4つの平坦なサイド面(2)および4つの円柱面状のコーナ面(3)を有するほぼ正方形のウエハ(1)を検査対象とし、ウエハ(1)を搬送するコーナ面検査工程用のコンベア(7)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の位置でウエハ(1)を旋回テーブル(18)上で受け取り、旋回テーブル(18)の昇降動作によってウエハ(1)を撮像位置まで上昇させ、ウエハ(1)の撮像位置でウエハ(1)を90度旋回させる昇降・旋回ユニット(17)と、ウエハ(1)の撮像位置でのウエハ(1)の対角線(4)の延長線上でウエハ(1)の旋回中に各コーナ面(3)の半分の面を撮像する4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)と、隣り合うコーナ面撮像用のカメラ(12)の半分の面の撮像画像から1つのコーナ面(3)の全面の画像を合成し、4つのコーナ面(3)の全面画像からウエハ(1)のすべてのコーナ面(3)の欠陥の有無を検査する画像処理装置(15)とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0011】
また、本発明に係るウエハ側面検査装置(10)は、側面で4つの平坦なサイド面(2)および4つの円柱面状のコーナ面(3)を有するほぼ正方形のウエハ(1)を検査対象とし、ウエハ(1)を連続的に搬送する複数のコンベア(5、6、7、8、9)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の上流で一方のサイド面検査工程用のコンベア(5)の位置においてウエハ(1)の一方の向き合うサイド面(2)を撮像する2台の一方のサイド面撮像用のカメラ(11)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の位置でウエハ(1)を旋回テーブル(18)上で受け取り、旋回テーブル(18)の昇降動作によってウエハ(1)を撮像位置まで上昇させ、ウエハ(1)の撮像位置でウエハ(1)を90度旋回させる昇降・旋回ユニット(17)と、ウエハ(1)の撮像位置でウエハ(1)の旋回中にウエハ(1)の対角線(4)の延長線上で各コーナ面(3)の半分の面を撮像する4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)と、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の下流で他方のサイド面検査工程用のコンベア(9)の位置においてウエハ(1)の他方の向き合うサイド面(2)を撮像する2台の他方のサイド面撮像用のカメラ(13)と、隣り合うコーナ面撮像用のカメラ(12)の半分の面の撮像画像から1つのコーナ面(3)の全面の画像を合成し、4つのコーナ面(3)の全面画像からウエハ(1)のすべてのコーナ面(3)の欠陥の有無を検査するすると共に、2台の一方のサイド面撮像用のカメラ(11)の撮像画像および2台の他方のサイド面撮像用のカメラ(13)の撮像画像からすべてのサイド面(2)の欠陥の有無を検査する画像処理装置(15)とを有する、ことを特徴としている(請求項2)。
【0012】
そして、本発明は、ウエハ側面検査装置(10)において、ウエハ(1)の上昇位置で各コーナ面(3)毎にウエハ(1)を非接触で撮像位置に保持するベルヌーイ式非接触吸着パット(19)を設置し、ベルヌーイ式非接触吸着パット(19)の中心をコーナ面撮像用のカメラ(12)の光軸上に一致させている(請求項3)。
【0013】
また、本発明は、ウエハ側面検査装置(10)において、各コーナ面撮像用のカメラ(12)と対応位置のベルヌーイ式非接触吸着パット(19)とを共通のユニットホルダ(20)により一体的に取り付け、ウエハ(1)の対角線(4)の延長線上で各コーナ面撮像用のカメラ(12)を合焦方向に位置調整自在としている(請求項4)。
検査装置(10)。
【0014】
本発明は、ウエハ側面検査装置(10)において、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の上流で加速用のコンベア(6)をウエハ(1)の受け取り後に定速から高速に切り換え、加速用のコンベア(6)上のウエハ(1)を後続のコーナ面検査工程用のコンベア(7)に高速で受け渡すようにしている(請求項5)。
【0015】
本発明は、ウエハ側面検査装置(10)において、加速用のコンベア(6)のウエハ(1)をコーナ面検査工程用のコンベア(7)で高速で受け取って停止し、コーナ面検査工程用のコンベア(7)上のウエハ(1)を昇降・旋回ユニット(17)に受け渡し、昇降・旋回ユニット(17)からウエハ(1)をコーナ面検査工程用のコンベア(7)で受け取った後に加速し、後続の減速用のコンベア(8)に高速で受け渡すようにしている(請求項6)。
【0016】
さらに、本発明は、ウエハ側面検査装置(10)において、コーナ面検査工程用のコンベア(7)の下流で減速用のコンベア(8)をウエハ(1)の受け取り後に高速から定速に切り換え、減速用のコンベア(8)上のウエハ(1)を他方のサイド面検査工程用のコンベア(9)に定速で受け渡すようにしている(請求項7)。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、ウエハ(1)の対角線(4)の延長線上に4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)が設置されているから、コーナ面撮像用のカメラ(12)がウエハ(1)の搬送時にウエハ(1)に干渉せず、またウエハ(1)の撮像位置が低くでき、これによってウエハ(1)の昇降距離が可能な限り小さくでき、昇降時間の短縮化も図られるほか、4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)がウエハ(1)の旋回中に各コーナ面(3)の半分の面を撮像し、画像処理装置(15)がコーナ面撮像用のカメラ(12)の半分の面の撮像画像からすべてのコーナ面(3)の全面の画像を合成するから、コーナ面撮像用のカメラ(12)がコーナ面(3)の全域を連続的に撮像しなくても、検査に必要なすべてのコーナ面(3)の画像が確保できる(請求項1)。
【0018】
本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、上記の効果、すなわち、ウエハ(1)の対角線(4)上に4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)が設置されているから、コーナ面撮像用のカメラ(12)がウエハ(1)の搬送時にウエハ(1)に干渉せず、またウエハ(1)の撮像位置が低くでき、これによってウエハ(1)の昇降距離が可能な限り小さくでき、昇降時間の短縮化も図られるほか、4台のコーナ面撮像用のカメラ(12)がウエハ(1)の旋回中に各コーナ面(3)の半分の面を撮像し、画像処理装置(15)がコーナ面撮像用のカメラ(12)の半分の面の撮像画像からすべてのコーナ面(3)の全面の画像を合成するから、コーナ面撮像用のカメラ(12)がコーナ面(3)の全域を連続的に撮像しなくても、検査に必要なすべてのコーナ面(3)の画像が確保できる、という効果に加え、ウエハ(1)の搬送過程において、コーナ面撮像の時に、ウエハ(1)が90度旋回するから、一方のサイド面撮像用のカメラ(11)および他方のサイド面撮像用のカメラ(13)がともにサイド面(2)の搬送方向に対して直交する方向で搬送の障害とならない位置からウエハ(1)の一方の向き合うサイド面(2)および他方の向き合うサイド面(2)を撮像でき、これによって一方の向き合うサイド面(2)および他方の向き合うサイド面(2)の検査もできるから、すべての側面すなわち4つのサイド面(2)および4つのコーナ面(3)の検査がウエハ(1)の搬送ライン上で連続的に可能となる(請求項2)。特に、ウエハ(1)の90度の旋回は、各コーナ面(3)の半分の面の撮像を可能とし、同時に、搬送ライン上で搬送方向に対して直角の方向から、一方および他方の向き合うサイド面(2)の撮像を可能としており、このことによって、コンパクトで高速な検査システムが構成できるばかりでなく、1 枚のウエハ(1)のデータが1ラインで記録できることから、複数装置からのデータ収集と編集を行うプログラムも必要なく、シンプルなシステムが構築できる(請求項2)。
【0019】
本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、ウエハ(1)の上昇位置で各コーナ面(3)毎にベルヌーイ式非接触吸着パット(19)が設置されているから、ウエハ(1)の昇降動作や旋回動作にともなう振動が確実に抑止でき、コーナ面(3)の撮像が安定するほか、非接触であることから、ウエハ(1)の面に悪影響がでず、ウエハ(1)の旋回推力の負荷にもならず、さらに、ベルヌーイ式非接触吸着パット(19)の中心がコーナ面撮像用のカメラ(12)の光軸上に一致しているから、ウエハ(1)のコーナ面(3)がコーナ面撮像用のカメラ(12)の視野から外れず、検査用の安定した撮像が可能となる(請求項3)。
【0020】
本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、各コーナ面撮像用のカメラ(12)および対応位置のベルヌーイ式非接触吸着パット(19)が共通のユニットホルダ(20)によりに取り付けられ、ウエハ(1)の対角線(4)の延長線上で位置調整自在となっているから、大きさの異なるウエハ(1)に対しても対角線(4)の延長線上でのコーナ面撮像用のカメラ(12)の簡単な位置調整によって迅速に対応でき、ベルヌーイ式非接触吸着パット(19)についての単独の位置調整も不要となる(請求項4)。
【0021】
本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、加速用のコンベア(6)がウエハ(1)の受け取り後に定速から高速に切り換わり、後続のコーナ面検査工程用のコンベア(7)に高速で受け渡すから、コーナ面検査工程での必要な時間が搬送ラインの速度を低下させることなく確保できる(請求項5)。
【0022】
本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、コーナ面検査工程用のコンベア(7)が加速用のコンベア(6)のウエハ(1)を高速で受け取って停止し、ウエハ(1)を昇降・旋回ユニット(17)に受け渡し、撮像後に、昇降・旋回ユニット(17)からウエハ(1)を受け取って、後続の減速用のコンベア(8)に高速で受け渡すから、ウエハ(1)の搬送過程で、コーナ面検査工程において必要な時間が可及的に短くできる(請求項6)。
【0023】
さらに、本発明に係るウエハ側面検査装置(10)によると、減速用のコンベア(8)がウエハ(1)を高速で受け取り、その後に高速から定速に切り換わって、ウエハ(1)を他方のサイド面検査工程用のコンベア(9)に定速で受け渡すから、ここでもコーナ面検査工程での必要な時間が搬送ラインの速度を低下させることなく確実に保持できる(請求項7)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】検査対象のウエハの平面図である。
図2】本発明に係るウエハ側面検査装置における検査工程の側面図である。
図3】本発明に係るウエハ側面検査装置における検査工程の平面図である。
図4】ウエハとカメラとの対応関係の拡大平面図である。
図5】一部のカメラ、一部のベルヌーイ式非接触吸着パット、昇降・旋回ユニットおよびウエハの拡大平面図である。
図6】一部のカメラ、一部のベルヌーイ式非接触吸着パット、昇降・旋回ユニットおよびウエハの拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、検査対象のウエハ1を示している。ウエハ1は、アール付きほぼ正方形の例えば太陽電池用単結晶シリコンウエハであり、一例として厚み0.2mmで、1辺の長さ125mmまたは156mmであって、側面、すなわち4辺に対応して4つの平坦なサイド面2を形成し、隣り合うサイド面2の間の四隅で円柱面の一部で4つのコーナ面3を形成している。
【0026】
既に記載したように、太陽電池用単結晶シリコンウエハは、太陽電池としての面積をできるだけ大きく、かつ材料の無駄を少なくするために、円板状の側面を正方形の4辺に沿ってカットする過程で、対角線4上の四隅を残して、側面を4つの弦でカットした形状となっている。このため、ウエハ1は、側面で4つの平坦なサイド面2および四隅でコーナ面3を形成しており、向き合うサイド面2は、ウエハ1の中心から等距離にあって平行であり、また、各コーナ面3は、ウエハ1の中心から等しい半径の円柱面の一部となっている。
【0027】
つぎに図2および図3は、ウエハ1の搬送過程において、4つのサイド面2および4つのコーナ面3の検査工程と共に本発明に係るウエハ側面検査装置10を示している。ウエハ側面検査装置10は、前記の形状のウエハ1を検査対象とし、ウエハ1を例えば一直線上の搬送ラインに沿って搬送するために、複数のコンベア5、6、7、8、9を有している。
【0028】
一方のサイド面検査工程用のコンベア5は、例えば平行ベルト式コンベアであり、搬送方向に一定の速度、一例として定速の200mm/sの下にウエハ1を受け入れ、一方のサイド面検査工程を経て下流の加速用のコンベア6に送り出す。
【0029】
コンベア5によるウエハ1の搬送中に、2台の一方のサイド面撮像用のカメラ11は、搬送方向に直角な方向に配置されており、搬送方向に平行な一方の向き合うサイド面2をそれぞれ撮像し、それらの撮像画像の画像データを画像処理装置15に送る。画像処理装置15は、検査用の画像処理プログラムを内蔵しており、搬送方向に平行な一方のサイド面2の撮像画像からサイド面2の欠け、割れ、凹凸、板厚、チッピングなどの欠陥を画像処理によって検査する。
【0030】
加速用のコンベア6は、コンベア5とコーナ面検査工程用のコンベア7との間に位置する例えば平行ベルト式コンベアであり、コンベア5と同じ定速で移動しているが、コンベア5からウエハ1を受け取った時に、定速から高速に切り換わり、ウエハ1を次のコーナ面検査工程用のコンベア7に高速で受け渡す。コンベア6の定速から高速への加速は、次のコンベア7でのコーナ面検査工程において、ウエハ1の搬送を一時的に停止させ、コーナ面3の撮像、検査のための時間を稼ぐために行われる。
【0031】
コーナ面検査工程用のコンベア7は、コーナ面検査工程に位置する例えば平行ベルト式減速・加速コンベアであり、加速用のコンベア6からウエハ1を高速で受け取ると、直ちに減速し、ウエハ1の前の部分をストッパ14に当てた状態で一時停止する。ストッパ14は、コンベア7の定位置に昇降自在に設けられており、コンベア7の減速後に、低い待機位置から上昇し、ウエハ1の前の部分に当たってウエハ1をコンベア7上で搬送方向に位置決めし、停止させる。
【0032】
また、コンベア7の両側の位置に一対の幅寄せ用のプッシャ16が設置されており、ウエハ1が停止すると、一対の幅寄せ用のプッシャ16は、ウエハ1を幅寄せし、搬送方向に対して直角の方向にも位置決めする。このようにして、ウエハ1は、コーナ面検査工程において停止し、搬送方向および搬送方向に正確に位置決めされる。
【0033】
ここで、位置決め状態のウエハ1は、昇降・旋回ユニット17の昇降動作によってコンベア7の上から撮像位置まで上昇する。すなわち、先ず、昇降・旋回ユニット17は、ウエハ1の下に待機していた吸引機能付きの旋回テーブル18の吸引作動を開始させ、旋回テーブル18を位置決め・停止状態のウエハ1の位置まで上昇させ、ウエハ1を旋回テーブル18の上面で吸引機能により固定しながら受け取って撮像位置まで例えば3mm程度上昇させ、上昇を停止させてから、次に、旋回テーブル18を例えば時計方向に90度だけ旋回させる。
【0034】
ウエハ1が撮像位置で上昇し停止すると、ウエハ1は、上昇、停止にともなう加速度の急変によって外周縁で振動を誘発する。この振動防止のために、ウエハ1の四隅位置ごとにベルヌーイ式非接触吸着パット19が設けられている。各ベルヌーイ式非接触吸着パット19は、図5および図6に例示するように、四隅位置ごとに配置されている4台のコーナ面撮像用のカメラ12と共にユニットホルダ20により一体的に取り付けられ、ウエハ1の大きさの変化に対応させてカメラ12を合焦状態とするために、ウエハ1の対角線4の延長線上でリニアガイド21によってウエハ1のコーナ面3に向けて位置調整自在となっている。
【0035】
このようにして、ベルヌーイ式非接触吸着パット19の中心は、コーナ面撮像用のカメラ12の光軸上に一致するように配置されている。また、各コーナ面撮像用のカメラ12は、それぞれウエハ1の対角線4の延長線上で、対応のコーナ面3に向けられ、合焦位置に固定されている。なお、各カメラ12の近くで、ユニットホルダ20に複数例えば2つの照明22がウエハ1の撮像範囲に向けて付設されている。また、昇降・旋回ユニット17およびリニアガイド21は、機台23の上に取り付けられている。
【0036】
旋回テーブル18が一定の速度で旋回すると、ウエハ1の各コーナ面3は、対応の4台のカメラ12の視野内を一定の速度で移動する。このとき、各カメラ12は、照明22の照明の下で、対応の視野内のコーナ面3、正確には後述するように、それぞれのコーナ面3の半分の面の撮像を行う。
【0037】
ウエハ1の旋回中に、ベルヌーイ式非接触吸着パット19は、割れやすいウエハ1にダメージを与えることなく、ウエハ1の垂直な方向の振動を抑え、垂直な方向に静止状態に保っているため、被写体としてのコーナ面3は、殆どに振れず、撮像位置に安定に保持される。このため、カメラ12は、コーナ面3を振れのない状態で安定に撮像できる。またベルヌーイ式非接触吸着パット19は、ウエハ1の旋回方向の推力に対し影響を与えず、旋回方向に拘束力を作用させないため、ウエハ1および旋回テーブル18の旋回は、ベルヌーイ式非接触吸着パット19の振動抑制動作に影響されず行え、撮影位置を正確に維持している。
【0038】
図4のように、四隅の各コーナ面3は、それぞれのコーナ面3の半分の面の撮像範囲を特定するために、便宜上、対角線4を境として、撮像位置Aで円弧の半分の面a、h、撮像位置Bで円弧の半分の面b、c、撮像位置Cで円弧の半分の面d、e、撮像位置Dで円弧の半分の面f、gに分けられている。
【0039】
ウエハ1の旋回中の前半において、撮像位置Aのカメラ12は、コーナ面3の半分の面aを撮像し、撮像位置Bのカメラ12は、コーナ面3の半分の面cを撮像し、撮像位置Cのカメラ12は、コーナ面3の半分の面eを撮像し、さらに撮像位置Dのカメラ12は、コーナ面3の半分の面gを撮像している。
【0040】
また、ウエハ1の旋回中の後半において、撮像位置Aのカメラ12は、コーナ面3の半分の面bを撮像し、撮像位置Bのカメラ12は、コーナ面3の半分の面dを撮像し、撮像位置Cのカメラ12は、コーナ面3の半分の面fを撮像し、さらに、撮像位置Dのカメラ12は、コーナ面3の半分の面hを撮像している。
【0041】
そして、4台のカメラ12の撮像画像の画像データは、画像処理装置15に送られるため、画像処理装置15は、それらの画像データから、旋回前における撮像位置Aのコーナ面3を(半分の面a+半分の面h)から画像合成し、旋回前における撮像位置Bのコーナ面3を(半分の面b+半分の面c)から画像合成し、旋回前における撮像位置Cのコーナ面3を(半分の面d+半分の面e)から画像合成し、さらに、旋回前における撮像位置Dのコーナ面3を(半分の面f+半分の面g)から画像合成し、合成した各コーナ面3の全面の画像から、すべてのコーナ面3について欠け、割れ、凹凸、板厚、チッピングなどの欠陥を画像処理によって検査する。
【0042】
撮像の後に、ベルヌーイ式非接触吸着パット19が吸引動作を中止すると、昇降・旋回ユニット17は、旋回後における位相のままで旋回テーブル18を下降させ、旋回テーブル18上のウエハ1の吸引を止め、旋回テーブル18上のウエハ1を停止状態のコンベア7の上に戻す。ここでコンベア7は、短時間のうちに高速まで加速し、ウエハ1を高速のまま後続の減速用のコンベア8に送り出す。
【0043】
このように、ウエハ1は、コーナ面検査工程用のコンベア7の位置において、搬入、上昇、旋回、下降、搬出される。コンベア7の前後のコンベア6、8において、ウエハ1は一時的に高速で搬入、搬出される。このため、ウエハ1の上昇、旋回、下降に時間がかかったとしても、コンベア6、7、8の区間におけるウエハ1の平均的な搬送速度は、定速の200mm/sに保たれている。しかも、コーナ面検査工程において、コーナ面撮像用のカメラ12は、対角線4の延長線上にあるため、ウエハ1の搬送領域に干渉することはない。
【0044】
仮に、カメラ12を対角線4の延長線上ではなく、コーナ面3の旋回方向の上流側の一端に向けて設置し、ウエハ1の旋回中に、対応のカメラ12によってコーナ面3の旋回方向の上流側の一端から旋回方向の下流側の他端までの画像、すなわちコーナ面3の全面の画像を一度に撮像すれば、撮像後において、画像の合成は不要となり、画像処理の前処理も少なくなる。
【0045】
しかし、カメラ12を対角線4の延長線上ではなく、コーナ面3の一端に向けて設置すると、4台のうちの一部のカメラ12は、ウエハ1の搬送領域に入り込み、ウエハ1に干渉する。この干渉をさけるためには、ウエハ1の上昇位置、つまり撮像位置を現在よりも高く設定しなければならず、その結果、ウエハ1の昇降距離が大きくなり、旋回テーブル18の昇降動作の時間が長くなって、コーナ面検査工程において目標の検査速度を確保できなくなる。このような理由から、コーナ面検査工程において、対角線4の延長線上でのカメラ12の設置は、ウエハ1の搬送領域への干渉回避や、コーナ面3の撮像、検査の速度を短縮化し、搬送ラインの速度を低下させることなく一定の速度に保持するという観点から不可欠である。
【0046】
減速用のコンベア8は、コンベア7と他方のサイド面検査工程用のコンベア9との間に位置する例えば平行ベルト式コンベアであり、初期にコンベア7と同じ高速で移動しており、コンベア7からウエハ1の先端を受け取った時に、高速から定速の200mm/sに切り換わり、ウエハ1を次の他方のサイド面検査工程用のコンベア9に受け渡す。
【0047】
他方のサイド面検査工程用のコンベア9は、例えば平行ベルト式コンベアであり、定速の200mm/sでウエハ1を受け入れ、搬送方向に速度を変えず、定速のままウエハ1を移動させる。コンベア9によるウエハ1の移動中に2台の他方のサイド面撮像用のカメラ13は、搬送方向に直角な方向に配置されており、搬送方向に平行な向き合う他方のサイド面2をそれぞれ撮像し、それらの撮像画像の画像データを画像処理装置15に送る。画像処理装置15は、搬送方向に平行な他方のサイド面2の画像からサイド面2の欠け、割れ、凹凸、板厚、チッピングなどの欠陥を画像処理によって検査する。
【0048】
このように、ウエハ1は、コーナ面3の検査の過程で、最上流位置のコンベア5による搬送姿勢に対してコーナ面検査工程において90度旋回しているため、コンベア9の位置での2台のカメラ13は、残りの向き合うサイド面2を撮像することになる。この結果、合計4台のカメラ11、13によって、すべてのサイド面2が撮像され、それらについて画像処理により欠陥の検査が行われる。したがって、ウエハ1の90度旋回は、対角線4の延長線上からのコーナ面3の半分の撮像と、搬送方向に直角な方向からの向き合うサイド面2の撮像とを可能としていることになる。
【0049】
ウエハ1のサイド面2およびコーナ面3の検査では、カメラ11、12、13によって面を拡大し、強調することによって、4つのサイド面2およびコーナ面3について、検査速度1秒/枚のもとで、検出分解能5μmで、□20μm以上の微少な欠陥の検出が可能となる。
【0050】
なお、ウエハ1の上面および下面の検査は、最上流位置のコンベア5の前工程においてまたは最下流位置のコンベア9の後工程において行われる。したがって、画像処理装置15は、ウエハ1の上面および下面の画像からそれらの面の欠陥を画像処理によって検査を行う。上面および下面の検査では、通常、検出分解能35μmで、□0.1mm以上として、それらの面の汚れや欠落、チッピングなどの欠陥を検出する。
【0051】
これらの検査結果としての欠陥サイズおよび欠陥座標データは、画像処理装置15の記憶域または外部の記憶装置に保存される。それらの欠陥データは、トレーサビリティや統計分析として活用できるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、太陽電池用単結晶シリコンウエハの検査のために開発されたが、その他の半導体ウエハの検査にも利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 ウエハ
2 サイド面
3 コーナ面
4 対角線
5 一方のサイド面検査工程用のコンベア
6 加速用のコンベア
7 コーナ面検査工程用のコンベア
8 減速用のコンベア
9 他方のサイド面検査工程用のコンベア
10 ウエハ側面検査装置
11 一方のサイド面撮像用のカメラ
12 コーナ面撮像用のカメラ
13 他方のサイド面撮像用のカメラ
14 ストッパ
15 画像処理装置
16 プッシャ
17 昇降・旋回ユニット
18 旋回テーブル
19 ベルヌーイ式非接触吸着パット
20 ユニットホルダ
21 リニアガイド
22 照明
23 機台
図1
図2
図3
図4
図5
図6