(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0027】
1.ブロー成形部及び取出し部
ブロー成形機1は、ブロー成形部10と、引渡ユニット100と、ブロー成形部10から引渡ユニット100に向けてボトル(容器)を取り出す取出し部20と、を有する。
【0028】
ブロー成形機1の機台2上に設けられるブロー成形部10は、
図2に示すように、一対のブローキャビティ割型11A,11Bを有するブローキャビティ型11内にて、プリフォームPをボトルBにブロー成形する。ブローキャビティ割型11A,11Bは型締め板12A,12Bに固定される。型締め板12A,12Bは例えばトグル機構13A,13Bに連結されている。トグル機構13A,13Bが型締め機構(図示せず)により駆動されることで、ブローキャビティ割型11A,11Bが
図2の矢印D1方向にて型開き、型閉じ、型締めされる。
【0029】
取出し部20は、ブロー成形ピッチを維持してボトルBを保持し、型開きされたブローキャビティ型11からブローキャビティ型11外の引渡ユニット100内の取出し位置にボトルBを取り出す。そのために、取出し部20は、ボトルBのネック部を把持する一対のアーム21と、一対のアーム21を開閉移動させるエアーシリンダー22と、一対のアーム21及びエアーシリンダー22を直線移動案内するガイドレール23と、一対のアーム21及びエアーシリンダー22をガイドレール23に沿って駆動する直線駆動部(図示せず)とを有する。一対のアーム21は、ブロー成形部10での同時成形個数の最大数例えば8組設けられている。一対のアーム21は、ブロー成形後であってブローキャビティ型11の型開き前に、エアーシリンダー22の閉鎖駆動により、ブロー成形されたボトルBのネック部を把持する。その後、一対のアーム21はガイドレール23に沿って
図1の矢印D2方向に移動されて、ボトルBを引渡ユニット100内の取り出し位置に搬送する。
図1の矢印D2方向は、
図2の矢印D1方向と水平面内にて直交する方向である。取り出し位置にて、一対のアーム21はエアーシリンダー22に開放駆動され、ボトルBは引渡ユニット100に受け渡される。その後、一対のアーム21はガイドレール23に沿ってブロー成形部10に復帰移動される。
【0030】
2.引渡ユニット
2.1.引渡ユニットの構造
図1には、ブロー成形機1とその後工程の例えば充填装置200とが示されている。引渡ユニット100の少なくとも一部は、ブロー成形機1の機台2より
図1の矢印D2方向に突出して設けることができ、機台2よりも突出した引渡ユニット100の一部は、充填装置200の機台202の上方まで延出することができる。それにより、ブロー成形機1と充填装置200とを連結する容器搬送装置を追加したり、あるいは充填装置200のうち容器の供給を受ける部分の構造をブロー成形機1側に向けて突出させることを要しない。充填装置200の機台202上には、引渡ユニット100から引き渡されたボトルBを搬送する搬送装置210を設けることができる。
【0031】
引渡ユニット100について、
図2に加え、
図3〜
図9を参照して説明する。なお、
図3〜
図6には、ブロー成形機1のブローキャビティ型11を交換することでブロー成形可能な多種類のボトルBのうち、長さや外径が異なる3種類のボトルB1〜B3が示されている。小型ボトルB1は第1ブロー成形ピッチP1でブロー成形される。比較的大型のボトルB2,B3は第2ブロー成形ピッチP2で成形される。P2=n×P1であり、nは2以上の整数である。本実施形態では、小型ボトルB1の同時ブロー成形個数は8個とし、大型ボトルB2,B3の同時ブロー成形個数は4個とし、P2=2× P1である。また、引渡ユニット100には、ブロー成形機1が予備運転中である時などではプリフォームPが供給されることがある。引渡ユニット100でのプリフォームPの取り扱いについては後述する。
【0032】
引渡ユニット100は、
図2〜
図6に示すように、容器B(B1〜B3のいずれか)を保持して引渡案内するレール102と、レール102に対して昇降される昇降ブロック110と、を含む。レール102は、
図4及び
図6に示すように相対向する一対のレール部材102A,102Bを有し、ボトルBのネック部Nに設けられたフランジ部(例えばサポートリング)Fを下方から支える。
【0033】
ここで、引渡ユニット100のレール102がボトルBのフランジ部Fを支えるのに対して、
図2に示すように取出し部20のアーム21はフランジ部Fを除くネック部Nを把持する。よって、レール102はアーム21と干渉しないので、取出し部20のアーム21により引渡ユニット100内の取り出し位置に搬送された複数のボトルBに対して、レール102を開閉する必要はない。取り出し位置にてアーム21がエアーシリンダー22により開放駆動されると、ボトルBはアーム21からレール102に受け渡される。その後、アーム21はブロー成形部10に向けて復帰移動させることができる。
【0034】
昇降ブロック110は、複数の羽根112と、複数の羽根112が第1ブロー成形ピッチP1で固定されるベルト(広義には無端状部材)114と、ベルト114が掛け渡された複数のプーリー116A,116B,116Cのうちの一つ駆動プーリー116Aを回転駆動する駆動部例えばモーター(図示せず)と、を含む。モーターは駆動プーリー116Aを介してベルト114を走行駆動させるものである。他の2つのプーリーは、従動プーリー116Bとテンションプーリー116Cである。
【0035】
昇降ブロック110は、レール102に対して、
図3及び
図4に示す退避位置と、
図5及び
図6に示す引渡動作位置とに昇降可能である。このために、
図2に示すように、ブロー成形機1には上部固定盤120が設けられ、この上部固定盤120の下方に高さ基準板122が固定されている。高さ基準板122の下方には、調整ツマミ124の回転により高さ基準板122に対して高さ位置を調整できる高さ調整板126が配置されている。
【0036】
図3〜
図6には、高さ調整板126に対して昇降される昇降ブロック100が示されている。高さ調整板126には、昇降駆動部例えばエアーシリンダー130と、昇降カイド部132と、ストッパーロッド134等が配置されている。
【0037】
昇降ブロック110は、羽根112、ベルト114、プーリー116A〜116C及び図示しないモーター等を搭載する昇降フレーム118を有する。昇降フレーム118には、エアーシリンダー130のロッド131が固定される。また、昇降フレーム118には、昇降ガイド部132に昇降案内されるガイド軸119が固定される。
図3に示すように昇降ブロック110が退避位置にあるとき、エアーシリンダー130により上昇される昇降ブロック110は昇降フレーム118がストッパーロッド134と接触することで、退避位置に維持される。
【0038】
2.2.昇降ユニットの動作
図3及び
図4に示すように引渡ユニットが上方の退避位置にある時、取り出し位置まで移動されたアーム21がエアーシリンダー22により開放駆動され、ボトルBはアーム21からレール102に受け渡される。その後、アーム21はブロー成形部10に向けて復帰移動される。
【0039】
その後、エアーシリンダー130のロッド131が押し下げられる。そうすると、昇降ガイド部132によりガイド軸119が昇降案内される昇降ブロック110が、
図5及び
図6の引渡駆動位置まで降下される。それにより、複数の羽根112が、レール102に支持されたボトルBのネック部Nに対してボトル引渡方向D2(
図5)の上流位置にそれぞれ配置される。
【0040】
羽根112がボトルBのネック部Nの高さ位置に挿入するために、
図2に示す調整ツマミ124の回転により高さ基準板122に対して高さ位置を調整できる高さ調整板126(
図2〜
図6)を有する。高さ調整板126の高さ調整は、ブロー成形されるボトルBのネック部Nの長さ等が異なる場合にも行うことができる。
【0041】
昇降ブロック110の下降後に、駆動プーリー116Aが図示しないモーターで駆動される。そうすると、
図5において上下で対向するベルト114のうち下側のベルト114は、
図5の矢印D2方向に移動される。このベルト114に固定された複数の羽根112も、ベルト114と一体で矢印D2方向に移動する。そうすると、複数の羽根112の各々はしばらく空走した後にボトルBのネック部Nと接触する。複数の羽根112は、引き続きベルト114と一体で矢印D2方向に移動する。それにより、複数のボトルBは、複数の羽根112により押動されてレール102に沿ってブロー成形ピッチを維持して搬送される。ブロー成形ピッチとは、小型ボトルBであれば第1ブロー成形ピッチP1であり、大型ボトルB2,B3であれば第2ブロー成形ピッチP2である。よって、羽根112により押動されるボトルB同士が衝突することはなく、ボトルBが傷つき変形することはない。
【0042】
ここで、本実施形態では羽根112がボトルBから離れるリリース位置S0(
図5)よりも、
図1に示す充填装置200での搬送装置210のボトル受け入れ位置S1(
図1)は、引渡方向D2の下流にある。この場合、リリース位置S0にて羽根112から離れたボトルBは、慣性力により走行し続けてボトル受け入れ位置S1に到達する。搬送装置210に引き渡されたボトルBは、その後は搬送装置210の搬送力によって搬送されることになる。複数の羽根112で押動される複数のボトルBは時間差をもってリリース位置S0及びボトル受け入れ位置S1に到達する。よって、リリース位置S0より下流側でも、ボトルB同士が衝突することはなく、ボトルBが傷つき変形することはない。
【0043】
また、本実施形態では羽根112及びベルト114を走行駆動させる駆動部例えばモーターは、電流、電圧、パルス数などによって回転速度を容易に調整できる。それにより、羽根112にて押動中のボトルBが傾かずに直立状態を維持して安定して走行させることができる。また、ボトル受け入れ位置S1に到達する速度が一定範囲である必要があるが、この到達速度はボトルBの慣性速度であるので、リリース位置S0でのボトルBの速度の他に、ボトルBの大きさや重量にも依存する。本実施形態では、ボトルBの大きさや重量に合わせてモーター速度を調整できるので、ボトル受け入れ位置S1にて所定範囲の到達速度を確保することが容易である。
【0044】
引き渡し動作後に、エアーシリンダー130のロッド131が後退移動することで、昇降ブロック110は
図3及び
図4に示す退避位置に復帰される。よって、次にブロー成形されたボトルBが取り出し位置に搬出された際に、ボトルBが羽根112と干渉することはない。
【0045】
2.3.羽根とレールとの関係
図7(A)(B)は、レール102と羽根112との関係を示している。いずれの場合も、羽根112はレール102と干渉しないことが要求される。
図7(A)では、羽根112の下端はレール102の上方にあるので、羽根112はレール102と干渉しない。この場合、羽根112はボトルBのフランジ部Fよりも上方のネック部Nを押動する。
図7(B)では、羽根112は一対のレール部材102A,102B間に挿入される突出片112Aを含む。この場合、羽根112は突出片112AにてボトルBのフランジ部Fを押動する。こうすると、レール102上を走行されるフランジ部F自体を押動するので、
図7(A)よりもボトルBに作用するモーメントが少なく、ボトルBの走行姿勢はさらに安定する。
【0046】
2.4.レールの支持機構
図8は、レール102を支持する機構の一例を示している。
図8において、2つのアーム支持板140はブロー成形機1に固定されている。この2つのアーム支持板140にそれぞれ設けられた揺動支点142を中心として揺動可能な略L字状のアーム144の自由端部に、一対のレール部材102A,102Bの一つが固定されている。
【0047】
図8に実線で示す2つのアーム144に固定された一対のレール部材102A,102Bが、ボトルBを走行案内可能な位置に設定された状態を示している。この位置から矢印D3方向に2つのアーム144を揺動させた破線で示す位置は、2つのアーム144の退避位置である。
【0048】
2つのアーム144を退避位置に設定することで、
図2に示すブローキャビティ型11を
図1の矢印D2方向に搬出して交換する時、もしくは矢印D2方向とは逆方向にブローキャビティ型11を搬入する時、一対のレール部材102A,102Bがブローキャビティ型11と干渉することがない。よって、ブローキャビティ型11の交換やメインテナンス作業の負担が軽減される。
【0049】
また、この退避位置は、揺動支点142を中心に180度回転させた
図8の位置に限定されない。一対のアーム支持板140の各々には、孔145が設けられている。アーム144を矢印D3方向に孔145を超える位置まで回転させた後、棒状ストッパー部材(図示せず)を孔145に差し入れる。アーム144は棒状ストッパー部材を介し、アーム支持板140上に位置固定される。アーム144の末端位置(レール102側)が高くならないため、アーム144が作業者の手に届きやすく、より作業しやすくなる。
【0050】
2.5.引渡ユニットでの排出動作
図8に示すように、一対のレール部材102A,102Bの各々は、アーム144に固定された開閉駆動部例えばエアーシリンダー150により進退駆動されるロッド151に固定することができる。こうすると、一対のレール部材102A,102Bを矢印D4方向に開閉移動させることができる。
【0051】
ここで、取出し部20からレール102上にボトルBを受け取る動作の際には、一対のレール部材102A,102Bを開閉する必要がないことは上述した。この際に、一対のレール部材102A,102Bを
図9に示すように開放していると、ボトルBはレール102に受け取られずに下方に落下する。つまり、後の工程の充填装置200にボトルBを引き渡すことが禁止される。そのような必要性は、ブロー成形機1の予備運転中や、成形不良が検出された異常時に生ずる。よって、エアーシリンダー150を予備運転中に発せられる信号や、異常信号等により開放駆動することで、充填装置200にボトルBを引き渡すことを禁止できる。ブロー成形機1の予備運転中ではブロー成形動作を実施しないことがあり、その場合にはボトルBに代えてプリフォームPが引渡ユニット100に搬送される。その場合も同様にして、一対のレール部材102A,102Bを開放駆動して、プリフォームPを充填装置200に引き渡すことなく排出できる。
【0052】
2.6.引渡ユニットの変形例
ところで、引渡ユニット100が上方の退避位置にある状態においては(
図3参照)、レール102に支持されたボトルBが、静電気によって引っ張られて位置ずれが生じてしまう虞がある。例えば、ブローキャビティ型11等で生じる静電気によって、ボトル引渡方向D2とは逆方向(ブローキャビティ型11側)に引っ張られて位置ずれが生じる虞がある。ボトルBの位置ずれが生じると、複数の羽根112によってボトルBを適切に搬送できない虞がある。
【0053】
このような問題を解消するために、引渡ユニット100にエアーブロー装置を設けるようにしてもよい。具体的には、例えば、
図10に示すように、ブローキャビティ型11に最も近いボトルB(Bn)と、ブローキャビティ型11との間に、エアーブロー装置160のノズル161を配置するようにしてもよい。そして、図中矢印で示すように、このノズル161からボトル引渡方向D2に沿ってボトルBnに向かって送風することで、静電気に起因する各ボトルBの移動を規制することができる。また例えば、
図11に示すように、複数の各ボトルBのブローキャビティ型11側に、エアーブロー装置160のノズル162をそれぞれ配置するようにしてもよい。より具体的には、一対のレール部材102A,102Bの下端に複数のノズル162を固定し、送風させる、つまり、各ボトルBが載置されたレールの両側(D2斜め方向)より送風させる。これにより、静電気に起因する各ボトルBの移動をより確実に抑制することができる。
【0054】
3.ブロー成形機
上述した引渡ユニット100を有するブロー成形機1の一例を
図12に示す。ただし、
図12では引渡ユニット100は省略されている。プリフォームPの射出成形工程、冷却工程、加熱工程、ブロー成形工程及び取り出し工程の概略の搬送動作を、
図12を参照して説明する。なお、
図12に示す装置の詳細はWО2012−057016に開示されているものと同一である。また、
図12中の矢印に付した符号のうち、矢印I1〜I8はそれぞれ間欠搬送を意味し、矢印C1〜C3は連続搬送を意味する。すなわちブロー成形機1は、各プリフォームPを搬送路に沿って連続搬送する連続搬送部と、所定個数のプリフォームPを搬送路に沿って間欠搬送する間欠搬送部とを含む搬送部を備えている。
【0055】
射出成形部300では、複数列例えば3列の各列でN個(Nは2以上の整数)のプリフォームPが正立状態で射出成形される。
図3に示す小型ボトルB1の場合には各列でN=8個、
図3に示す大型ボトルB1,B2の場合には各列でN=4個のプリフォームPが射出成形される。3列N個のプリフォームPは、プリフォームPをポットに保持した取出し装置(図示なし)がI1方向に間欠搬送される。その後、プリフォームPはプリフォーム搬送部によりポットから取り出され冷却装置400に移される。そして、冷却装置400によって一定時間プリフォームPが冷却保持されたのち、冷却装置400が反転・下降して、3列の搬送治具510にN個ずつプリフォームPを受け渡す。その後、搬送治具510が一列ずつ、加熱部500側に搬出される。
【0056】
ここで、射出成形部300が備える射出成形装置の構成について説明する。なお射出成形装置の構成は、特開2009−34923号公報に記載のものと同様であるため、ここでは簡単に説明する。
【0057】
図13に示すように、射出成形部300が備える射出成形装置301は、4ピース式のプリフォーム射出成形装置である。なお4ピースとは、下部基盤310、上部型締め盤320、下部型締め盤330及び可動盤340を意味する。下部基盤310は、床上に設置される機台(図示せず)の上部に固定されている。下部基盤310は、軸受け(図示せず)を介して複数本例えば4本のクランプシャフト350を昇降自在に支持している。
【0058】
上部型締め盤320は、4本のクランプシャフト350の上端側に固定され、4本のクランプシャフト350と一体で昇降する。下部型締め盤330は、4本のクランプシャフト350の下端側に固定され、4本のクランプシャフト350と一体で昇降する。可動盤340は、下部基盤310と上部型締め盤320との間に配置され、軸受け(図示せず)により、4本のクランプシャフト350に沿って昇降可能に支持されている。
【0059】
また下部基盤310を基準位置として、可動盤340を型開位置と型閉位置とに昇降させる型開閉駆動手段360が設けられている。すなわち可動盤340は、この型開閉駆動手段(第1の油圧シリンダ)360によって昇降可能となっている。さらに下部基盤310を基準位置として下部型締め盤330を昇降させることで、下部型締め盤330と一体で4本のクランプシャフト350及び上部型締め盤320を昇降させ、上部型締め盤320の下降位置を型締め位置として設定する型締め手段(第2の油圧シリンダ)370が設けられている。
【0060】
なお射出成形装置301に設置される金型は、下部基盤310に設置されるホットランナー及び射出キャビティ型と、可動盤340に支持された金型ユニットであるが、図示は省略する。
【0061】
また、上端が上部型締め盤320に固定されたセンサレール380にはリニアセンサ381が固定されている。このリニアセンサ381によって、型開位置、型閉位置を検出すると共に、可動盤340のスローダウン位置を検出する。このリニアセンサ381の検出結果に基づいて、第1及び第2の油圧シリンダ360,370の油圧状態を適宜調整することで、可動盤340の移動が制御される。
【0062】
本実施形態では、第1及び第2のシリンダ360,370の各油室に対しては、油を給排する油圧回路700が接続されている。なお油圧回路700は、既存の構成を採用すればよいため(例えば、特開平07−251419号公報等参照)、ここではその一例について簡単に説明する。本実施形態では、油圧回路700は、オイルポンプ710及びタンク720と、各油室の間の油路中に設けられる切り換え弁(高応答比例弁)730と、で構成されている。なお切り換え弁730は、オイルポンプ710に接続された入力ポートと、タンク750に繋がるドレインポートとを備えた電磁駆動式の切り換え弁である。
【0063】
また油圧回路を構成するオイルポンプ710や切り換え弁730の動作は、制御部によって制御されている。
図14に示すように、制御部750は、入力装置760から入力された設定情報に基づいて切り換え弁730等の動作を制御する動作制御手段751を有する。設定情報とは、例えば、型開閉スピード等を決定するために設定が必要な情報であり、例えば、タッチパネル等で構成される入力装置760を作業者が操作することで入力される。また制御部750は、リニアセンサ381による検出結果に基づいて可動盤340等の位置を検出する位置検出手段752を有する。動作制御手段751は、上記設定情報と共に、この位置検出手段752の検出結果に基づいて切り換え弁730等の動作を適宜制御する。そして、制御部750は、このように切り換え弁730等の動作を制御することで、射出成形機301における型開閉スピードを適宜調整している。
【0064】
従来機では、射出成形機での型開閉スピードの細やかな調整を行うことができなかった。型開閉スピードを上げると金型に大きなモーメントが生じるため、機械側に負担がかかってしまうからである。一方で、型開閉スピードを遅くすると生産性が低下するという問題があった。
【0065】
これに対し、上述のように本実施形態に係る射出成形機301では、比較的安価な切り換え弁(高応答比例弁)730とリニアセンサ381とを利用することで、従来機では難しかった型開閉スピードの細やかな調整を行うことができる。
【0066】
例えば、
図15(a)の入力装置760の設定画面の一例に示すように、作業者は、型開動作については、最大流量での型開きを終了し減速が開始する金型位置Po1と、任意の型開き減速が終了する位置(例えばPo4)におけるオイル流量F1と、を少なくとも設定情報として入力する。型閉開動作についても同様に、最大流量での型閉じを終了し減速が開始する金型位置Po2と、任意の型閉じ減速が終了する位置におけるオイル流量F2と、を入力する。これにより、動作制御手段751によって所定の関数により最適な速度(流量)曲線が算出されて、入力装置760の画面上に描かれる。
【0067】
開閉動作を遅くしたときは、例えば、
図15(b)中に点線で速度曲線を示すように、スピードダウン位置を開始位置寄りとし、流量速度を小さくすればよい。
図15(b)は、型開動作における速度曲線を示しているが、型閉動作においても同様である。一方、開閉動作を早めたいときは、例えば、
図15(c)中に点線で示すように、スピードダウン位置を停止位置寄りとし、流量速度を大きくすればよい。このような場合でも、従来機と比べて機械側に負荷が少なく、また騒音も小さく抑えることができる。
【0068】
なお本実施形態では、例えば、型開動作においては、射出型開きを始める初期流量F3、型開きが開始した後、最大流量での型開きを開始する位置Po3、射出型開き中の最大流量F4、型開き減速が終了する位置Po4、型開き減速終了から型が完全に開くまでの流量F5、成形品に応じた型開きの位置Po5等の設定情報が、動作制御手段761によって自動設定されているが、これらの設定情報は、勿論、作業者によって手動で設定するようにしてもよい。
【0069】
このような射出成形部300で射出成形されたプリフォームPは、搬送装置(図示せず)を介して、
図16に示す冷却部400に受け渡される。プリフォームPは冷却部400にてI2方向に反転されて倒立状態とされ、それぞれが
図17に示す搬送部材511を有する3つの搬送治具510にN個ずつ分けて搭載される。
【0070】
搬送治具510は、矢印I3方向に間欠的に搬送されて、連続搬送路に搬出される。連続搬送路では、連続駆動スプロケット501,502,503の駆動力により、複数の搬送治具がC1,C2,C3方向に沿って連続搬送される(連続搬送部)。その過程で、プリフォームPは加熱部500が備えるヒータにより自転されながら加熱される。
【0071】
連続駆動スプロケット503に係合している搬送治具510は、間欠駆動スプロケット504,505の間欠駆動により、連続搬送よりも速い速度で、I4,I5方向に間欠的に戻し搬送される(間欠搬送部)。
【0072】
間欠搬送部によって間欠搬送された所定個数のプリフォームPは、転送部によってブロー成形部10に転送される。転送部では、加熱部500よりブロー成形部10にN個のプリフォームPを搬送するために、図示しないN個の搬送アームが使用される。この搬送アームの動作として、搬送治具510からN個のプリフォームPを倒立状態で取出し、
図12の矢印I6方向に反転させて正立状態とする。その後、搬送アームから
図1に示す一対のアーム21にプリフォームPが受け渡されて、ブロー成形部10に搬入される(
図12の矢印I7参照)。つまりブロー成形部10では、射出成形部300で射出成形されたN個のプリフォームPをn(nは2以上の整数)回に分け、一度にM(M=N/n:Mは自然数)個のプリフォームPをM個のプリフォームに延伸ブロー成形している。
【0073】
なお、8対のアーム21を2組用意し、プリフォームPをブロー成形部10に搬入する
図12の矢印I7の動作と、ブロー成形後のボトルBを取り出し位置P0に搬出する
図12の矢印I8の動作とを、同時に実施しても良い。取り出し位置P0に搬送されたボトルBは、上述した引渡ユニット100により後工程の充填装置200に引き渡される。
【0074】
ここで、ブロー成形されないプリフォームPの排出は、引渡ユニット100以外の場所でも実施することができる。
図12に示す2か所の位置P1,P2は、プリフォームPの排出動作が実施できる位置を示している。
図12に示す位置P1とは
図16に示す冷却部400であり、
図12に示す位置P2とは
図17に示す搬送部材511を有する搬送治具510の間欠搬送位置である。
【0075】
冷却部400は、例えば
図17に示すように、1列断面あたり16個、計48の冷却ポット410と、冷却ポット410を支持する反転部420と、を有することができる。冷却ポット410は、冷媒通路412を循環する冷媒により冷却されている。また、冷却ポット410は、プリフォームPを吸引してポット内面に吸着させる吸引孔414を有する。反転部420は、軸422の廻りに反転可能である。射出成形部300より取り出されたプリフォームPは、例えば、
図16に示すプリフォーム搬送装置430の吸引保持部431により吸引保持されて冷却部400に搬送され、冷却ポット410に受け渡される。冷却ポット410は、反転部420が駆動される前の正立状態と反転部420が駆動された後の反転状態にて、プリフォームPを冷却する。
【0076】
ここで、反転部420は、プリフォームPが倒立状態の時に、吸引孔414での吸引を停止し、あるいは吸引孔414からエアーを噴出させることで、プリフォームPを落下させることができる。このようなプリフォームPの落下制御は、例えば、射出成形不良に基づく動作停止時(異常時)に利用される。不必要なプリフォームを以降の搬送路に送る必要がなくなるため、成形の作業性が向上する。
【0077】
一方、
図12の間欠搬送位置P2には、プリフォーム搬出装置(搬出部)600を設けることができる。通常動作時には、プリフォームPは
図12に矢印I6で示すように反転部にて搬送治具510から取り出された後に反転されて、一対のアーム21に受け渡されてブロー成形部10に搬送される。よって、間欠搬送位置P2にプリフォームPは搬送されない。ただし、後述する予備運転では、プリフォームPは転送部でブロー成形部10に転送されずに、間欠搬送位置P2まで搬送されてくる。
【0078】
間欠搬送位置P2にて間欠搬送される搬送治具510に設けられた搬送部材511は、
図17に示すように、加熱部500にて自転駆動される自転軸512の上端部にネック部Nに挿入される保持部513が固定されている。自転軸512の下端部側はレール520に案内されると共に、従駆スプロケット506により回転案内される。
【0079】
プリフォーム搬出装置(搬出部)600は、従動スプロケット506と共に回転する回転軸602を有する。回転軸602の周方向にて複数個所に、昇降ガイドレール604が固定されている。この昇降ガイドレール604に昇降案内される昇降部材610が設けられ、昇降部材610には水平に延びる2本のアーム612,614が固定されている。アーム612は、間欠搬送されるプリフォームPのフランジ部Fの下方に配置され、アーム614はプリフォームPの胴部Boを側方から支える。
【0080】
レール520上には、昇降部材610を昇降駆動する駆動部として例えば端面カム530が固定されている、昇降部材610には、端面カム530に当接するカムフォロワー616が設けられている。プリフォームP及び昇降部材610が従動スプロケット506に沿って半周移動する間に、昇降部材610が端面カム530により押し上げられる。それにより、アーム612がプリフォームPのフランジ部Fを押し上げることで、プリフォームPのネック部Nは搬送部材511の保持部513から離脱される。
【0081】
間欠停止位置P2にはさらに、搬送部材511から離脱されたプリフォームPの上方領域に突出した押し倒し部材540が配置されている。押し倒し部材540の先端部540AはプリフォームPの胴部Boと干渉して、プリフォームPを押し倒す外力をプリフォームPに付与する。その際、プリフォームPに作用する遠心力も利用して、プリフォームPをブロー成形機1外に落下させて排出することができる。なお、押し倒し部材540を進退駆動させても良い。
【0082】
間欠搬送位置P2でのプリフォームPの排出は、成形条件を設定する際などの予備運転中に実施することができる。こうすると、加熱されたプリフォームPをブロー成形部10に搬送する前に排出できる。それにより、プリフォームPはブロー成形部10を経由せずに排出することで、作業効率が向上する。
【0083】
また正常動作時に射出成形サイクルタイムやブロー成形サイクルタイムが変更された場合は、間欠搬送位置P2のプリフォーム搬出装置(搬出部)600にてプリフォームPを排出する。
【0084】
本実施形態の構造では、3列×N個のプリフォームPを射出成形する一サイクルタイム内に、N個のボトルBのブロー成形工程が3回実施される。つまり射出成形サイクルタイムがブロー成形サイクルタイムの3倍以上に設定される。射出成形サイクルタイムがブロー成形サイクルタイムの3倍未満であると、全てのプリフォームPをブロー成形することができなくなる。そのため、搬送路上の余剰のプリフォームPは、プリフォーム搬出装置(搬出部)600にて排出する。なお、射出成形サイクルタイムは、適宜決定されればよいが、例えば、成形されたプリフォームPを射出成形部300より搬出するために出し入れされる、取り出し装置(ポット)の挿入間隔時間と同一の時間に設定される。1時間あたり8000本のプリフォームを3列×8個のキャビティ数を備える射出型にて成形する場合、射出成形サイクルタイムは約10.8秒(3600秒/(8000/(3×8)))となり、この間隔で取り出し装置が射出成形部300に出し入れされる。また、この時間内に冷却部400から搬送治具510へのプリフォーム転送が完了していなければない。つまり、前の射出成形サイクル分に係る複数(本実施形態では3列)の搬送治具510を加熱側へ搬出し、同数の空の搬送治具510を冷却部400の下方へ待機しておく必要がある。搬送治具510の速度としては、例えばブローバッチ数(N、ここでは8個)のプリフォームPが載置された搬送治具510の全長が500mmである場合、3列分(500×3)の距離を10.8秒内に進ませることになり、具体的には、約138.9mm/秒(500 mm×3/10.8秒)という値となる。連続搬送される搬送治具510の速度変更は、連続回転駆動スプロケット501,502,503により行われる。射出サイクルタイムは生産量と密接に関係する。すなわち、射出成形サイクルタイムの短縮はプリフォームP、ひいてはボトルBの生産量増大につながり、延長は逆に生産量減少につながる。
【0085】
さらに、この射出成形サイクルタイムを維持した状態でのブロー成形サイクルタイムは、これらプリフォームPを3回に分けブロー成形することから、約3.6秒が上限値ということになる。
【0086】
成形運転中、射出成形サイクルタイムの入力装置で、短縮または延長した変更後の射出成形サイクルタイムを新たにインプットする。すると、ブロー成形機1を制御する制御部(変更手段)によって、プリフォームPの搬送速度が変更される。また、それに伴い、取り出し装置やプリフォーム搬送装置といった成形機内の各作動機器も、自動的に動作条件・時間が変更される。
【0087】
上述のように転送部には、所定個数のプリフォームPが間欠搬送される。例えば、生産数量を上げるため、射出成形サイクルタイムが短縮更新(10. 8秒から10.5秒)されると、それに伴って搬送速度が約138.9mm/秒から約142.9mm/秒に変更される。この場合、転送部がプリフォームPをブロー成形部10に転送するタイミングで、所定個数のプリフォームPのうちの一部が転送部を越えて搬送されてしまうことがある。すなわち、上述のように本実施形態では、射出成形サイクルタイムがブロー成形サイクルタイムの3倍未満となると、プリフォームPの搬送が転送部における転送のタイミングに合わず、全てのプリフォームPをブロー成形することができなくなる。
【0088】
なお上述のように所定のタイミングでプリフォームPが転送部を越えて搬送されてしまうか否かは、転送部よりも上流側、具体的には駆動スプロケット504の所定位置に設けられる転送タイミング検出部によって検出する。
【0089】
このような場合、駆動スプロケット504の回転速度を通常の転送速度の時よりも上げ、駆動スプロケットと同期して動く従動スプロケット505を介し、これら所定個数のプリフォームPを間欠搬送位置P2のプリフォーム搬送装置(搬出部)600まで間欠搬送して、搬出部で搬送路から排出されるようにしている(自動排出機能)。また、射出成形サイクルが10.8秒のときに、成形条件調整などの目的で、入力装置側でブロー成形サイクルタイムを3.7秒に変更した場合、同様に転送部における転送のタイミングが間に合わなくなる。この場合も、前述の自動排出機能が実施されるため、機械が停止されることがない。これにより、ブロー成形機1を連続運転させたまま、射出成形サイクルタイム又はブロー成形サイクルタイムを変更することができる。
【0090】
また、射出成形サイクルタイム又はブロー成形サイクルタイムを変更する場合、それに応じて加熱部500のヒータの出力をさらに変更することが好ましい。例えば、射出サイクルタイムを短くする場合は、プリフォームPの搬送スピードも早くなる。これは、プリフォームPの加熱時間が変更前よりも短くなることを意味する。この成形条件の差異は、均質な成形品を得るにあたって大きな問題となる。よって、搬送スピードの変更後は、加熱部500を通過したプリフォームPの温度低下を検出し、この値をフィードバックしてヒータ出力を上げ、同じ成形条件で連続運転可能な状態とする。これにより、加熱部500でプリフォームをより適切な温度に加熱することができ、ブロー成形により形成される容器の品質を向上することができる。
【0091】
ところで、上述の実施形態では、吸引保持部(バキュームプラグ)431によって搬送したが、プリフォーム搬送部430の構成は特に限定されるものではない。例えば、
図18に示すように、プリフォーム搬送部430は、吸引保持部431と共に、把持機構部432を備え、これら吸引保持部431及び把持機構部432によって、各プリフォームPを射出成形部300(取出し装置302)から冷却部400に搬送するようにしてもよい。なおプリフォームPを吸引保持する吸引保持部431自体は、既存の構成であるため、ここでの説明は省略する(必要であれば、WO2012/057016号公報参照)。
【0092】
図18〜
図21に示すように、吸引保持部(バキュームプラグ)431は、プラグ固定板433に固定されている。プラグ固定板433は、プラグ固定板433の上方にチャック開閉板434を介して設けられた固定板435に固定されている。実際のプリフォーム搬送部430は、固定板435が2つ連なった構造になっているが、説明の便宜上、ここでは片側の1組のみ掲載している。
【0093】
把持機構部432は、並設された複数(本実施形態では2つ)の吸引保持部431に対応して設けられる一対のチャック部材436と、チャック部材436は、プリフォームPとは反対側の端部でチャック連結部材437の一端(下端)に固定されている。チャック連結部材437の他端(上端)は、軸部材438によってプラグ固定板433に回動可能に連結されている。またチャック連結部材437の他端は、さらにチャック開閉板434にも連結されている。本実施形態では、チャック連結部材437は、プラグ固定板433の二辺に沿って略L字状に形成されている(
図18参照)。チャック連結部材437は、プラグ固定板433との連結部とは異なる一辺に対向する部分で、チャック開閉板434に連結されている。すなわちチャック連結部材437は、チャック開閉板434の動作に連動するように構成されている。なお、チャック部材436は、
図18に示すように、複数(例えば、2つ)のプリフォームPを把持できるようにプリフォームPの列方向に延設され、プリフォームPの把持部位にプリフォームPの外形に沿った凹溝463aが形成された構造となっている。このようにすることで、部品点数が減少して構造が簡略化される上、チャック部材436の開閉角度が小さくても十分な把持機能を持たせることができる。勿論、チャック部材463は、プリフォームP毎に独立して設けられていてもよい。
【0094】
具体的には、チャック連結部材437にはローラ440が回転可能に設けられており、チャック連結部材437は、このローラ440を介してチャック開閉板434に当接している。チャック開閉板434は、プラグ固定板433と固定板435との間に上下方向に所定距離だけスライド可能に設けられている。チャック開閉板434とプラグ固定板433との間にはバネ部材441が設けられており、チャック開閉板434は、通常は、このバネ部材441によって上方に付勢されて、固定板435に当接した状態で保持される。またチャック開閉板434には、エアーシリンダー442が接続されており(
図19参照)、このエアーシリンダー442を作動させることでチャック開閉板434はプラグ固定板434に当接するまで下方にスライド可能となっている。
【0095】
そして、このような構成では、チャック連結部材437がチャック開閉板434の動作に連動することで、一対のチャック部材436が開閉するようになっている。
【0096】
具体的には、
図20に示すように、チャック開閉板434がバネ部材441の付勢力によって上方の待機位置にある状態、つまり、チャック開閉板434にプラグ固定板433がローラ440を介し当接した状態では、一対のチャック部材436が図示していないバネ部材により閉じられてプリフォームPのネック部を外側から把持する。一方、
図21に示すように、チャック開閉板434がエアーシリンダー442によって押圧されてプラグ固定板433に当接した状態では、ローラ440が回転し、それと連接した一対のチャック部材436が軸部材438の位置を支点とし、図示しないバネ部材に抗して開かれ、プリフォームPを解放する。そして、エアーシリンダー442の押圧力を解除すると、バネ部材440の付勢力によりチャック開閉板434が上方の待機位置に戻り、図示しないバネ部材によりチャック部材436が閉じた状態となる。つまり、外部からの駆動力が何ら働いていない状態では、プリフォーム搬送部430のチャック部材436は閉じた状態を維持する。よって、機械が非常停止し、各アクチュエーター用のエアや電気といった動力源の供給がストップしても、いったん把持したプリフォームを落下させることがない。これは、機械の破損防止や作業の安全性に資するといえる。
【0097】
なお、チャック部材436の開閉動作は、次のような事例により実施して良い。具体的には、
図20に示すように、チャック開閉板434がエアーシリンダー442によって下方にスライドしてプラグ固定板433に当接した状態では、一対のチャック部材436が閉じられてプリフォームPのネック部を外側から把持する。一方、
図21に示すように、チャック開閉板434がバネ部材441によって上方に付勢されて固定板435に当接した状態では、一対のチャック部材436が開かれてプリフォームPを解放する。
【0098】
このようにプリフォーム搬送部430が、吸引保持部431と共に、把持機構部432を備えていることで、射出成形部300で射出成形されたプリフォームPをより確実に保持して、冷却部400に搬送することができる。把持機構部432でプリフォームPを把持することで、吸引保持部431によるプリフォームPの吸引力を弱めることができる。したがって、プリフォームPの吸引に伴って胴部に凹み変形が生じるのを抑制することができる。
【0099】
さらに、取り出し装置302に保持されているプリフォームPを把持機構部432で把持した後は、吸引保持部431によるプリフォームP内の吸引を停止するのが好ましい。これにより、プリフォームPを冷却部400に搬送する際、プリフォームPの胴部に凹み変形が生じるのをより確実に抑制することができる。また、取り出し装置302からのプリフォームPの受渡時に吸引することで、プリフォームPのネック内部に吸引保持部431が嵌合し、プリフォームPの天面を吸引保持部431の機密部位と確実に接触させることができる。これにより、プリフォームPの位置不正(位置ずれ)に伴う搬送時のトラブルを格段に減少させることができる。
【0100】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。