特許第6150412号(P6150412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6150412
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】自動サービス提供装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20170612BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20170612BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20170612BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q30/02 320
   G06Q20/06 300
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-237408(P2016-237408)
(22)【出願日】2016年12月7日
【審査請求日】2017年1月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516368184
【氏名又は名称】株式会社シェーン
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 義明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 耕
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎太郎
【審査官】 山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−37987(JP,A)
【文献】 特開2009−301244(JP,A)
【文献】 特開2007−140990(JP,A)
【文献】 特開2006−318001(JP,A)
【文献】 特開2005−346241(JP,A)
【文献】 特開平8−115371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G07F 7/00,17/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想通貨記憶媒体に対して仮想通貨の決済処理を行う決済装置と、決済処理によってサービスの購入金額の課金処理が成功した場合にサービスを提供するサービス提供装置と、を備えた自動サービス提供装置であって、
前記サービス提供装置は、当該サービス提供装置によるサービス提供状況を検出する検出装置を備え、
前記決済装置は、検出した前記サービス提供状況によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対してサービスの購入金額の返金とは別の価値を有する仮想通貨である付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動サービス提供装置であって、
前記検出装置は、前記サービス提供装置を構成する構成要素の異常を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した前記サービス提供装置を構成する構成要素の異常によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動サービス提供装置であって、
前記検出装置は、前記サービス提供装置の過去の稼働状況を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した前記サービス提供装置の過去の稼働状況によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動サービス提供装置であって、
前記検出装置は、前記サービス提供装置を構成する構成要素の過去の稼働時間を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した前記サービス提供装置の過去の稼働時間によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の自動サービス提供装置であって、
前記サービス提供装置は、予め設定された吐出領域に配置された容器に対して所定量の飲料を吐出して提供する飲料提供装置であり、
前記検出装置は、前記飲料提供装置による飲料の過去の提供状況を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の提供状況により飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動サービス提供装置であって、
前記検出装置は、前記飲料提供装置による飲料の過去の吐出量を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の吐出量により飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動サービス提供装置であって、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の吐水量の累積が予め設定された閾値を超えることにより飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の自動サービス提供装置であって、
前記サービス提供装置は、液体を電解することによって生成した飲料を提供する前記飲料提供装置であって、
前記検出装置は、前記飲料提供装置による飲料の過去の電解時間を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の電解時間により飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動サービス提供装置であって、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の電解時間の累積が予め設定された閾値を超えることにより飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
自動サービス提供装置。
【請求項10】
請求項5乃至9のいずれかに記載の自動サービス提供装置であって、
前記付加仮想通貨は、前記飲料を少なくとも一単位購入可能な価値を有する、
自動サービス提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動サービス提供装置にかかり、特に、仮想通貨の決済装置を装備した自動サービス提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を販売する自動販売機や印刷サービスを提供する印刷装置など、自動で商品を販売したりサービスを提供する自動サービス提供装置が普及している。このような自動サービス提供装置では、特許文献1に記載の印刷装置のように、電子マネーがチャージされたICカードで支払いを行うことができる決済装置を装備しているものも普及している。
【0003】
特許文献1には、印刷装置に装備された決済装置による決済処理の一例が記載されている。決済処理の一例としては、印刷サービスを提供する前にICカードに対して前課金を行い、印刷後に実際に印刷した金額と前課金の金額とに差額が生じた場合に、ICカードに差額を返金する、ことが記載されている。また、決済処理の他の例としては、差額の精算の発生を低減すべく、予想金額が変化する要因が発生した場合に、印刷処理を停止し、予想金額を再計算して前課金する、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−37987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、決済処理において上述した前課金を行ったとき、仮に印刷などのサービスを提供できないような事態が発生した場合には、前課金で徴収した費用を返金することとなる。ところが、利用者はサービスを受けることを期待しているため、単に返金だけではサービス提供者に対する不満が生じる場合がある。そのため、自動サービス提供装置を提供している事業者にとっては、利用者に対する不満を解消し、サービスのさらなる向上が望まれる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、自動サービス提供装置を利用する利用者の不満を解消し、サービスのさらなる向上を図ることができる自動サービス提供装置を提供すること、にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である自動サービス提供装置は、
仮想通貨記憶媒体に対して仮想通貨の決済処理を行う決済装置と、決済処理によってサービスの購入金額の課金処理が成功した場合にサービスを提供するサービス提供装置と、を備えた自動サービス提供装置であって、
前記サービス提供装置は、当該サービス提供装置によるサービス提供状況を検出する検出装置を備え、
前記決済装置は、検出した前記サービス提供状況によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対してサービスの購入金額の返金とは別の価値を有する仮想通貨である付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0008】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記検出装置は、前記サービス提供装置を構成する構成要素の異常を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した前記サービス提供装置を構成する構成要素の異常によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0009】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記検出装置は、前記サービス提供装置の過去の稼働状況を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した前記サービス提供装置の過去の稼働状況によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0010】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記検出装置は、前記サービス提供装置を構成する構成要素の過去の稼働時間を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した前記サービス提供装置の過去の稼働時間によりサービスを提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0011】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記サービス提供装置は、予め設定された吐出領域に配置された容器に対して所定量の飲料を吐出して提供する飲料提供装置であり、
前記検出装置は、前記飲料提供装置による飲料の過去の提供状況を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の提供状況により飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0012】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記検出装置は、前記飲料提供装置による飲料の過去の吐出量を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の吐出量により飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0013】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の吐水量の累積が予め設定された閾値を超えることにより飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0014】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記サービス提供装置は、液体を電解することによって生成した飲料を提供する前記飲料提供装置であって、
前記検出装置は、前記飲料提供装置による飲料の過去の電解時間を前記サービス提供状況として検出し、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の電解時間により飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0015】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記決済装置は、前記サービス提供状況として検出した飲料の過去の電解時間の累積が予め設定された閾値を超えることにより飲料を提供できないと判断した場合に、前記仮想通貨記憶媒体に対して前記付加仮想通貨を付与するよう記憶する、
という構成をとる。
【0016】
また、上記自動サービス提供装置では、
前記付加仮想通貨は、前記飲料を少なくとも一単位購入可能な価値を有する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の自動サービス提供装置によると、サービスを提供できなかった場合に利用者に対して返金以上の価値を有する付加仮想通貨を付与することができるため、利用者に対する不満を解消し、サービスのさらなる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態におけるウォーターサーバーの外観を示す図である。
図2図1に開示したウォーターサーバーの構成を示すブロック図である。
図3図1に開示したウォーターサーバーの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、ウォーターサーバーの外観を示す図であり、図2は、その構成を示すブロック図である。図3は、ウォーターサーバーの動作を示すフローチャートである。
【0020】
[構成]
図1に、本実施形態におけるウォーターサーバーの外観の正面図を示す。本実施形態におけるウォーターサーバー1(自動サービス提供装置)は、「水素水」を飲料として提供する装置(飲料提供装置(サービス提供装置))である。なお、本実施形態では、飲料を提供するウォーターサーバーを自動サービス提供装置の一例として説明するが、本発明は、他の商品やサービスを提供する装置にも適用可能である。例えば、本発明は、印刷サービスを提供する印刷装置にも適用可能である。
【0021】
図1の外観図に示すように、本実施形態におけるウォーターサーバー1は、本体自体に、予め設定された吐水領域15(吐出領域)に配置された容器30に対して所定量の水素水を吐出して提供する水素水提供装置10(飲料提供装置、サービス提供装置)を備えている。なお、吐出領域11は、上部に水素水を吐水(吐出)する吐水口16が形成された空間であり、下部にコップやボトルなどの容器30を載置可能なよう形成されている。なお、吐水領域15の表面は、例えば開閉可能な扉で覆われている。
【0022】
また、図1の外観図に示すように、ウォーターサーバー1は、利用者が水素水の提供を受けるための対価を決済するための決済装置20を備えている。決済装置20は、利用者から提示されたICカード40(仮想通貨記憶媒体)を保持可能なカードホルダを有すると共に、ICカードに対して電子マネーの決済処理を行う機能を有する。
【0023】
上述したウォーターサーバー1の具体的な構成について、図2のブロック図を参照して説明する。まず水素水提供装置10は、内部に水素水を生成する水素水生成装置11を備えている。水素水生成装置11は、水素水を生成するために必要な各種の構成要素を備えており、例えば、水を流通させるための入水配管や入水バブル、排水配管、排水バブル、水を濾過するフィルタ、水を電解して水素水を生成する電極、などを備えている。なお、水素水生成装置11は、上述した構成要素の他にも様々な構成要素を備えている。
【0024】
ここで、本実施形態でウォーターサーバー1として説明する装置は、水素水を生成することに限定されない。例えば、所定の液体を電解することにより他の飲料を生成してもよく、あるいは、他の構成要素を備えることで他の飲料を生成してもよい。
【0025】
また、水素水提供装置10は、ウォーターサーバー1による水素水の提供状況(サービス提供状況)を検出する各種の検出装置12を備えている。例えば、検出装置12は、上述した水素水生成装置11を構成する構成要素のみならず、決済装置20内の構成要素などウォーターサーバー1内のあらゆる構成要素の異常や過去の稼働状況を検出するよう構成されている。
【0026】
具体的に、検出装置12は、漏水を検出するセンサであったり、入水量を検出するセンサ、排水が正常に行われているかを検出するセンサ、電解電源の出力が正常であるかを検出するセンサ、記憶用メモリとの通信状況を検出するセンサ、といったものであってもよい。また、検出装置12は、水素水の吐出量を検出する流量センサであってもよい。また、検出装置12は、上述した電極による電解時間を検出する電解センサであってもよい。このように、検出装置12は、様々な種類の検出値を検出するが、これらの検出値を、サービス提供状況として検出して判定装置13に渡す。なお、上述した検出装置12及び検出値は一例であって、検出装置12は他の様々な検出値を検出してもよい。
【0027】
なお、検出装置12は、常に一定の間隔で各検出値の検出を行ってもよいが、後述するように決済装置20にて決済処理が行われ、水素水を提供するための対価が前課金されたときに作動して、各検出値の検出を行ってもよい。本実施形態では、検出装置12は、前課金が行われた後に各検出値の検出が行われる。
【0028】
また、水素水提供装置10は、上述した検出装置12で検出した検出値に基づいて、サービスを提供できるか否か、つまり、水素水を提供できるか否かを判断する判定装置13を備えている。なお、判定装置13は、水素水提供装置10に装備された図示しない演算装置にプログラムが組み込まれることで構築されている。
【0029】
上記判定装置13は、例えば、「漏水を検出した」という検出値を受けた場合には、かかる値から漏水異常が発生したと判断し、水素水を提供できないと判断する。また、判定装置13は、例えば、「入水量が不足している」、「排水できていない」などの検出値を受けた場合にも水素水を提供できないと判断する。さらに、判定装置13は、「電解出力が低い」といった検出値を受けた場合にも水素水を提供できないと判断する。
【0030】
また、判定装置13は、例えば、流量センサから検出した水素水の過去の吐出量に基づいて、水素水を提供できるか否かを判断する。このとき、前回フィルタを交換してから現在までの吐出量の累積を算出し、累積量が予め記憶された閾値を超えた場合に、現在のフィルタの機能低下によって水素水を提供できないと判断する。さらに、判定装置13は、例えば、電解センサから検出した電極による水素水の過去の電解時間に基づいて、水素水を提供できるか否かを判断する。このとき、前回電極を交換してから現在までの電解時間の累積を算出し、累積量が予め記憶された閾値を超えた場合に、現在の電極による電解機能低下によって水素水を提供できないと判断する。なお、上述した判定処理は一例であり、他の様々な検出値から水素水を提供できるか否かを判断してもよい。
【0031】
このように、ウォーターサーバー1は、検出装置12にて構成要素に異常が発生していないかということや、吐出量や電解時間などの過去の稼働状況といった水素水の提供状況を検出し、これら検出値に基づいて、水素水を提供できるか否かを判断している。そして、判定装置13は、その判断結果、つまり、水素水を提供できる旨、あるいは、水素水を提供できない旨を、水素水生成装置11に通知する。水素水生成装置11は、判定装置13にて水素水を提供できると判断された場合には、水素水を提供するよう作動し、吐出口16から水素水を予め設定された量だけ吐出させる。一方、水素水生成装置11は、判定装置13にて水素水を提供できないと判断された場合には、水素水を吐出しない。これに伴い、判定装置13は、水素水を提供できない旨を決済装置20に通知する。
【0032】
次に、決済装置20の構成について説明する。決済装置20は、演算装置を備えており、当該演算装置にプログラムが組み込まれることで構築された決済処理部21を備えている。また、決済装置20は、ICカード40に装備されたメモリ41(仮想通貨記憶媒体)に対して、RFIDなどの非接触近距離無線通信を用いて、電子マネーに関する情報の読み書きを行うリーダライタ22を備えている。これに伴い、リーダライタ22にてICカード40に情報の読み書きが行いやすくなるよう、当該リーダライタ22にICカード40を近接させて保持する保持装置も備えている。なお、本実施形態では、決済装置20が非接触近距離無線通信にてICカード40に情報を読み書きする場合を例示しているが、他の方法でICカード40に対する情報の読み書きを行ってもよい。
【0033】
決済装置20の決済処理部21は、まず、リーダライタ22の動作を制御して、保持装置にて保持されているICカード40に対して、当該ICカード40のメモリ41に記憶された電子マネーから、水素水を提供するための対価を徴収するよう前課金する処理を行う。つまり、水素水を購入するユーザからICカード40の提供を受けると、当該ICカード40から、水素水の購入金額相当の電子マネーを前課金して差し引く決済処理を行う。これに伴い、決済処理部21は、購入金額相当の電子マネーの前課金処理が成功した場合には、前課金処理が成功した旨と共に、水素水を提供するようを水素水提供装置10の検出装置12に対して通知する。これにより、水素水提供装置10は、検出装置12による検出値に基づいて、水素水の生成及び提供を行う。
【0034】
また、決済処理部21は、上述したように前課金処理が成功した旨を通知した後に、水素水提供装置10の判定装置13が水素水を提供できないと判断した場合には、当該判定装置13から水素水を提供できない旨の通知を受ける。水素水を提供できない旨の通知を受けた決済処理部21は、リーダライタ22を介して、保持装置にて保持されているICカード40に対して、前課金した水素水の購入金額相当の電子マネーの返金処理を行う。つまり、ICカード40のメモリ41に対して、前課金した電子マネーを加算して記憶する処理を行う。
【0035】
これに加えて、水素水を提供できない旨の通知を受けた決済処理部21は、リーダライタ22を介して、上記返金とは異なる価値を有する付加電子マネー(付加仮想通貨)を、保持装置にて保持されているICカード40のメモリ41に対して記憶する処理を行う。このとき、付加電子マネーは、例えば、単に予め設定された金額相当の電子マネーであってもよく、水素水を1杯あるいは複数杯購入することができるチケットデータであってもよい。この場合、決済処理部21は、後にICカード40からチケットデータを読み取ることで、前課金処理が成功したと判断しうる。
【0036】
なお、決済処理部21は、必ずしも前課金を行うことに限定されない。例えば、決済処理部21は、利用者から提示されたICカード40を認識して、その時点で水素水提供装置10に水素水を提供するよう通知してもよい。この場合、水素水提供装置10は、上述したように検出装置12及び判定装置13にて水素水を提供できるか否かを判断し、判定装置13は水素水を提供できるか否かの判断結果を決済処理部21に通知する。決済処理部21は、水素水を提供できる通知を受けた場合には、ICカード40から水素水の購入金額相当の電子マネーを課金して差し引く決済処理を行う。一方、決済処理部21は、水素水を提供できない通知を受けた場合には、ICカード40に対して上述したチケットデータなどの付加電子マネーを記憶する処理を行う。
【0037】
ここで、上記では、決済装置20がICカード40に対して電子マネーの決済を行う構成を例示したが、別の決済方法として、磁気カードに記憶された磁気データによる仮想通貨に対して決済を行ってもよい。一例としては、上述したICカード40の代わりに利用者から提供された磁気カードに装備された記憶領域に対して、磁気用リーダライタにて磁気データによる仮想通貨の前課金を行ったり、磁気データによる返金処理やチケットデータの付与処理を行ってもよい。
【0038】
また、決済装置20による別の決済方法として、ネットワークに接続された情報処理装置に記憶された利用者が所有する仮想通貨に対する決済を行ってもよい。一例としては、決済装置20は、利用者の指紋や静脈などの生体認証機能を装備し、まず、ウォーターサーバー1を利用する利用者を識別してもよい。あるいは、決済装置20は、利用者から提供されたカードに記憶された識別情報や印刷されたバーコードを読み取り、利用者を識別してもよい。そして、決済装置20は、ネットワーク上の情報処理装置にアクセスし、かかる情報処理装置に設定された、識別した利用者の仮想通貨記憶媒体にアクセスする。仮想通貨記憶媒体には、利用者が所有する電子マネーが記憶されているため、決済装置20は、ネットワークを介して情報処理装置と協働して、上述同様に電子マネーの前課金処理を行ったり、電子マネーによる返金やチケットデータの付与処理を行ってもよい。
【0039】
さらに、決済装置20は、上述した方法による決済処理に限らず、さらに別の決済方法にて決済処理を行う構成を備えていてもよい。つまり、決済装置20は、さまざまな方法で、サービス提供の対価に相当する仮想通貨の決済処理を行ったり、仮想通貨による返金やチケットデータの付与処理を行ってもよい。
【0040】
[動作]
次に、上述したウォーターサーバー1の動作を、主に図3のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
まず、利用者は、ウォーターサーバー1で水素水を購入すべく、吐水領域15に容器30を置き、決済装置20の保持装置にICカード40を配置し、購入操作を行う。すると、決済装置20の決済処理部21は、ICカード40のメモリ41から、水素水1杯分の金額の電子マネーを前課金して差し引く決済処理を行う(ステップS1)。なお、決済処理部21は、ICカード40のメモリ41にチケットデータが記憶されている場合には、金銭に相当する電子マネーの代わりに、チケットデータをメモリ41内から差し引くことで前課金処理を行う。
【0042】
決済処理部21は、前課金処理が成功した場合には、水素水を提供するようを水素水提供装置10の検出装置12に対して通知する。一方、ICカード40に記憶されている電子マネーが不足しているなどにより前課金処理が失敗した場合には、その旨及び水素水を提供できない旨を、表示装置(図示せず)などから利用者に報知する。
【0043】
続いて、前課金処理が成功した旨の通知を受けた水素水提供装置10の検出装置12は、ウォーターサーバー1内の構成要素の異常や過去の稼働状況といったサービス提供状況を検出する(ステップS2)。具体的に、検出装置12は、各種センサを用いて、漏水や入水、排水、電解出力などの異常を検出したり、水素水の吐出量や電解時間を検出する。そして、検出装置12は、検出した検出値を判定装置13に渡す。
【0044】
判定装置13は、検出装置12から受け取った検出値に基づいて、水素水を提供できるか否かを判定する処理を行う(ステップS3)。例えば、判定装置13は、「漏水を検出した」、「入水量が不足している」、「排水できていない」、「電解出力が低い」などの構成要素の異常を表す検出値を受けた場合には、水素水を提供できないと判断する。また、判定装置13は、例えば、流量センサから検出した水素水の過去の吐出量の累積が閾値を超えている場合には、フィルタの機能低下によって水素水を提供できないと判断する。さらに、判定装置13は、例えば、電解センサから検出した電極による水素水の過去の電解時間の累積が閾値を超えている場合には、電極による電解機能低下によって水素水を提供できないと判断する。
【0045】
判定装置13は、上述した判定処理により、水素水を提供できると判断した場合には(ステップS4でNo)、その旨を水素水生成装置11に通知する。すると、水素水生成装置11は、水素水を生成して、吐水領域15に配置された容器30に対して容器1杯文の水素水を吐出口16から吐出する(ステップS5)。
【0046】
一方、判定装置13は、上述した判定処理により、水素水を提供できないと判断した場合には(ステップS4でYes)、その旨を水素水生成装置11に通知すると共に、決済装置20の決済処理部21にも通知する。すると、水素水生成装置11は、水素水を生成せず、容器30に対して吐出しない。
【0047】
そして、判定装置13から水素水を提供できない旨の通知を受けた決済処理部21は、保持装置にて保持されているICカード40のメモリ41に対して、前課金した水素水の購入金額相当の電子マネーを加算して記憶する返金処理を行う(ステップS6)。これに加えて、決済処理部21は、上記返金とは異なる価値を有する付加電子マネーを、保持装置にて保持されているICカード40のメモリ41に対して記憶する処理を行う(ステップS7)。例えば、決済処理部21は、水素水を3杯購入することができるチケットデータを、ICカード40のメモリ41に対して付加して記憶する。
【0048】
このように、本実施形態におけるウォーターサーバー1は、サーバー1側の状況により水素水を提供できない場合に、前課金した金額を返金するだけでなく、さらに別の価値を有する電子マネーをユーザに対して付与する。このため、利用者に対する不満を解消し、サービスのさらなる向上を図ることができる。
【0049】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ウォーターサーバー
10 水素水提供装置
11 水素水生成装置
12 検出装置
13 判定装置
15 吐水領域
16 吐水口
20 決済装置
21 決済処理部
22 リーダライタ
30 容器
40 ICカード
41 メモリ
【要約】
【課題】自動サービス提供装置によるサービスの向上を図ること。
【解決手段】本発明の自動サービス提供装置は、仮想通貨記憶媒体40に対して仮想通貨の決済処理を行う決済装置20と、決済処理によってサービスの購入金額の課金処理が成功した場合にサービスを提供するサービス提供装置10と、を備えている。そして、サービス提供装置10は、当該サービス提供装置によるサービス提供状況を検出する検出装置12を備え、当該決済装置12は、検出したサービス提供状況によりサービスを提供できないと判断した場合に、仮想通貨記憶媒体40に対してサービスの購入金額の返金とは別の価値を有する仮想通貨である付加仮想通貨を付与するよう記憶する。
【選択図】図1
図1
図2
図3