特許第6150430号(P6150430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中野冷機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6150430-リーチインショーケース 図000002
  • 特許6150430-リーチインショーケース 図000003
  • 特許6150430-リーチインショーケース 図000004
  • 特許6150430-リーチインショーケース 図000005
  • 特許6150430-リーチインショーケース 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150430
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】リーチインショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20170612BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   A47F3/04 E
   F25D23/06 P
   F25D23/06 301
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-237642(P2013-237642)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-97560(P2015-97560A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】萩原 崇志
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 修太郎
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−279133(JP,A)
【文献】 特開2010−210214(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/118217(WO,A1)
【文献】 特開平10−274465(JP,A)
【文献】 特開平06−185583(JP,A)
【文献】 実開昭59−193985(JP,U)
【文献】 実開昭56−141990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成されるとともに内部に陳列室が形成されたショーケース本体と、前記ショーケース本体に横方向に並んで設けられ、前記開口を開閉する開閉可能な複数の扉と、前記陳列室内に前記扉の横幅と略同じ横幅を有して前記扉の奥側に配置された複数の商品陳列棚とを有し、前記扉の内側面と前記商品陳列棚の扉側先端部との間に空間を有するリーチインショーケースにおいて、
横方向で隣り合って位置する前記商品陳列棚の間に配置されて前記陳列室を前記扉ごとの複数の区画に仕切る仕切体を有し、
前記仕切体は、可撓性を有する部材により形成され、
前記仕切体の前記扉側の端部は、前記空間を前記扉ごとの複数の区画に仕切る位置まで延出し、
前記仕切体には、前記商品陳列棚の扉側先端部の位置に沿って上下方向にスリットが形成されていることを特徴とするリーチインショーケース。
【請求項2】
前記仕切体は、透明な部材により形成されていることを特徴とする請求項1記載のリーチインショーケース。
【請求項3】
前記仕切体は、帯電防止処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2記載のリーチインショーケース。
【請求項4】
前記仕切体は、上端側が固定され、下端側が揺動可能とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のリーチインショーケース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等に設置されて商品を陳列販売するために用いられ、前面に開閉可能な扉を備えた冷気循環式のリーチインショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、冷凍食品や生鮮食品を陳列するための冷気循環式のショーケースが使用されている。このようなショーケースとしては、陳列室の前面が開放されたオープンショーケース(下記特許文献1参照)と、陳列室の前面に開閉可能な扉が設けられたリーチインショーケース(下記特許文献2参照)とが知られている。
【0003】
リーチインショーケースにおいては、扉を開いた場合に陳列室内への外気の流入を極力抑えることが望ましい。例えば、リーチインショーケースに横方向に並んで複数の扉が設けられている場合、リーチインショーケース内の陳列室を各扉ごとの複数の区画に仕切っておき、一つの扉を開放した場合にはその扉により開閉される区画内にのみ外気が流入するようにし、他の区画には外気が流入しないようにすることが望ましい。
【0004】
リーチインショーケース内の陳列室を各扉ごとの複数の区画に仕切る方法としては、例えば、下記特許文献1に記載されているようなアクリル等の硬質材料で形成した透明な仕切板を陳列室内に取付けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−185853号公報
【特許文献2】特開2009−279133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した硬質材料の仕切板を陳列室内に取付けた場合、各区画内に設けられている商品陳列棚に商品を陳列するときに、商品のサイズや数量の関係で仕切板に商品が当たる状態になると商品を陳列できなくなるので、商品陳列棚に陳列する商品の数を減らしたり、商品を別の商品陳列棚に移動したりしなければならない。
【0007】
なお、各商品陳列棚から商品がはみ出しても陳列できるようにするため、陳列室を各扉ごとの複数の区画に仕切る仕切板に代えて、商品陳列棚の側方に小型の仕切板を横方向に移動可能に取付けたものもある。
【0008】
しかしその場合には、一つの扉を開いたときに陳列室内全体に多量の外気が流入するようになる。外気には陳列室内の冷気に比べて多量の水分が含まれているため、多量の外気が陳列室内に流入することにより、冷却器への着霜や、商品への着霜が発生する。
【0009】
扉の開閉が原因となる冷却器への着霜が発生すると、除霜のために冷却器を停止させる頻度が高くなり、陳列室内を適温に維持することが難しくなる。また、商品への着霜が発生すると、買い物客はその商品は古い商品であるとの印象を受けるので、商品の売れ行きが低下することになる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、横方向で隣り合って位置する商品陳列棚の間に仕切体を設けた場合において、商品陳列棚に陳列する商品がその商品陳列棚からはみ出した場合であっても陳列することができ、一つの扉を開放した場合における陳列室内への外気の流入を抑えることができるリーチインショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るリーチインショーケースは、前面に開口が形成されるとともに内部に陳列室が形成されたショーケース本体と、前記ショーケース本体に横方向に並んで設けられ、前記開口を開閉する開閉可能な複数の扉と、前記陳列室内に前記扉の横幅と略同じ横幅を有して前記扉の奥側に配置された複数の商品陳列棚とを有し、前記扉の内側面と前記商品陳列棚の扉側先端部との間に空間を有するリーチインショーケースにおいて、横方向で隣り合って位置する前記商品陳列棚の間に配置されて前記陳列室を前記扉ごとの複数の区画に仕切る仕切体を有し、前記仕切体は、可撓性を有する部材により形成され、前記仕切体の前記扉側の端部は、前記空間を前記扉ごとの区画に仕切る位置まで延出し、前記仕切体には、前記商品陳列棚の扉側先端部の位置に沿って上下方向にスリットが形成されている。
【0012】
また、前述の本発明に係るリーチインショーケースにおいて、前記仕切体は、透明な部材により形成されていることが望ましい。
【0013】
また、前述の本発明に係るリーチインショーケースにおいて、前記仕切体は、帯電防止処理が施されていることが望ましい。
【0014】
また、前述の本発明に係るリーチインショーケースにおいて、前記仕切体は、上端側が固定され、下端側が揺動可能とされていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るリーチインショーケースによれば、横方向で隣り合って位置する商品陳列棚の間に配置されて陳列室を扉ごとの複数の区画に仕切る仕切体を有し、この仕切体は可撓性を有する部材により形成されているので、各区画内の商品陳列棚に載置された商品が仕切体に当たると仕切体が撓み、陳列する商品が商品陳列棚からはみ出した場合でもその商品を商品陳列棚に陳列することができる。また、仕切体の扉側先端部は、扉の内側面と商品陳列棚の扉側先端部との間の空間を扉ごとの区画に仕切る位置まで延出し、しかも、仕切体には商品陳列棚の扉側先端部の位置に沿って上下方向にスリットが形成されているので、陳列した商品が商品陳列棚からはみ出して仕切体に当たることにより仕切体が撓んでも、仕切体におけるスリットより扉側の部分であって空間を仕切る部分は撓むことなく垂直に保たれ、空間は仕切体により仕切られた状態に維持される。そのため、陳列棚の商品が仕切体に当たって仕切体が撓んだ状態となっているときに扉を開放しても、陳列室におけるその扉に対応する区画内に流入した外気が空間を通って他の区画に流入することを防止することができる。これにより、一つの扉を開放した場合に陳列室全体に流入する外気の量を抑制することができ、外気中に含まれている水分が原因となる冷却器への着霜や陳列されている商品への着霜を防止することができる。
【0016】
また、仕切体が透明な部材により形成されているので、商品陳列棚に陳列されている商品の仕切体を通しての視認性を向上させることができる。
【0017】
また、仕切体が帯電防止処理を施されているので、仕切体への埃の付着や付着した埃が原因となる仕切体への着霜を防止することができる。
【0018】
また、仕切体は上端側が固定されて下端側が揺動可能とされているので、仕切体の取付構造を簡単なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態のリーチインショーケースを示す斜視図である。
図2図1のリーチインショーケースを示す断面側面図である。
図3図1のリーチインショーケースを示す断面平面図である。
図4】仕切体を示す側面図である。
図5】陳列する商品が商品陳列棚からはみ出し、仕切体の一部が撓んだ状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、リーチインショーケース1の外観構成を示す斜視図である。リーチインショーケース1は、前面に開口2が形成された箱形状のショーケース本体3を有し、ショーケース本体3には開口2を開閉する一対のガラス扉4が横方向に並んで開閉可能に取付けられている。ショーケース本体3は、断熱材により形成されている。ガラス扉4には、このガラス扉4を開閉する場合に把持する取手5が設けられている。
【0021】
図2は、リーチインショーケース1の内部構造を示す断面側面図である。ショーケース本体3の内側には、底面板6と背面板7と天井板8とが設けられ、これらの各板6、7、8とショーケース本体3との間に送風用のダクト9が形成されている。ダクト9内における天井板8の上部には、送風ファン10と冷却器11とが収容されている。ダクト9上部の開口2側の先端部には、冷却器11により冷却された冷気が吹き出す吹出口12が形成され、ダクト9下部の開口2側の先端部には吹出口12から吹出した冷気がダクト9内に吸い込まれる吸込口13が形成されている。
【0022】
ショーケース本体3内には、各板6、7、8に囲まれたて商品が陳列される領域として陳列室14が形成されている。この陳列室14には、商品が陳列される複数の商品陳列棚15が上下方向及び左右方向に配列されている。商品陳列棚15の左右方向の配列状態は、後述する図3に示す。
【0023】
陳列室14内におけるガラス扉4の内側面と商品陳列棚15の扉側先端部との間には、上下方向に連続して吹出口12から吹出して吸込口13に吸い込まれる冷気が流れる空間16が設けられている。
【0024】
陳列室14内には、横方向で隣り合って位置する商品陳列棚15の間に位置して仕切体17が取付けられている。仕切体17は、可撓性を有する軟質の透明材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)で形成されている。
【0025】
仕切体17の上端部には硬質の樹脂からなる支持体18が固定されており、この支持体18が天井板8にネジ止め等されている。仕切体17の下端部は底面板6の近傍まで延出され、揺動可能とされている。仕切体17のガラス扉4の端部は、ガラス扉4の内側面に接近し、空間16をガラス扉4ごとの2つの区画に仕切る位置まで延出している。また、この仕切体17には、商品陳列棚15の扉側先端部の位置に沿って上下方向にスリット19が形成されている。仕切体17は、このスリット19を挟んで空間16内に位置する前側部17aと、商品陳列棚15の側方に位置する後側部17bとに分けられている。
【0026】
仕切体17には、帯電防止処理が施されている。帯電防止処理の一例としては、仕切体17の材料に、オレフィン系樹脂やスチレン系樹脂などの帯電防止剤を混合することが挙げられる。また、帯電防止処理の他の一例としては、仕切体17の表面に帯電防止剤をコーティングすることが挙げられる。
【0027】
図3は、リーチインショーケース1の内部構造を示す断面平面図である。陳列室14内には上下複数段に配列された商品陳列棚15が横方向に隣り合って左右2列に配列されている。これらの商品陳列棚15は、ガラス扉4の横幅と略同じ横幅を有してガラス扉4の奥側に配置されている。そして、左右2列の商品陳列棚15の間に仕切体17が配置され、この仕切体17により陳列室14はガラス扉4ごとの2つの区画に仕切られている。
【0028】
図4は、仕切体17を示す側面図である。仕切体17は、スリット19によって前側部17aと後側部17bとに分けられている。
【0029】
図5は、或る商品陳列棚15に陳列された商品が、隣の商品陳列棚15の方向にはみ出した状態を示している。商品陳列棚15からはみ出した商品が仕切体17の後側部17bの側面に当たることにより、後側部17bは隣の商品陳列棚15側に膨らむように撓みを生じる。仕切体17の前側部17aは、撓みを生ずることなく下向きに真っ直ぐ伸びた状態に維持されている。
【0030】
このような構成において、リーチインショーケース1では、送風ファン10が駆動されるとともに冷却器11が駆動されることにより、冷却器11で冷却された冷気が吹出口12から吹出し、吹出口12から吹出した冷気が空間16内を通って吸込口13から吸込まれ、吸込口13から吸込まれた冷気がダクト9内を通って冷却器11に至り、冷却器11で再び冷却される。このように、冷却器11で冷却された冷気が空間16内とダクト9内とを通ってショーケース本体3内を循環することにより、商品陳列棚15に陳列されている商品が冷却される。
【0031】
商品陳列棚15に商品が陳列された場合、商品の一部が商品陳列棚15から隣の商品陳列棚15の方向にはみ出し、仕切体17における後側部17bの側面に当たる場合がある。商品陳列棚15からはみ出した商品が後側部17bの側面に当たると、仕切体17は可撓性を有する軟質材料で形成されているので、商品が当たった後側部17bは図5に示すように隣の商品陳列棚15側に撓みを生じる。このように、隣り合って位置する商品陳列棚15の間に仕切体17が設けられ、商品陳列棚15に陳列された商品が隣の商品陳列棚15側に張り出した場合でも、張り出した商品を取り除いたり他の商品陳列棚15に移動させたりすることなくそのまま陳列することができる。
【0032】
一方、仕切体17には上下方向にスリット19が形成されているので、仕切体17の後側部17bが撓みを生じても、仕切体17の前側部17aには撓みが発生ぜず、空間16は前側部17aによってガラス扉4ごとの区画に仕切られた状態に維持される。
【0033】
このため、陳列した商品が商品陳列棚15からはみ出していない場合はもちろん、陳列した商品が商品陳列棚15からはみ出して仕切体17の後側部が撓みを生じている場合であっても、一つのガラス扉4が開放された場合に、陳列室14におけるそのガラス扉4に対応する区画内に流入した外気が空間16を通って他の区画内に流入することを防止することができる。したがって、一つのガラス扉4を開放した場合に陳列室14全体に流入する外気の量を抑制することができ、陳列室14に流入した外気中に含まれている水分が原因となる冷却器11への着霜や、その水分が原因となる陳列されている商品への着霜を防止することができる。
【0034】
ガラス扉4の開閉が原因となる冷却器11への着霜が防止されることにより、冷却器11の除霜のために冷却器11を停止させる頻度が少なくなり、陳列室14内を適温に維持して商品の品質維持を向上させることができる。また、商品への着霜が防止されることにより、商品への着霜によって商品の売れ行きが低下するということを防止することができる。
【0035】
また、仕切体17は透明な部材により形成されているため、商品陳列棚15に陳列されている商品の仕切体17を通しての視認性を向上させることができる。
【0036】
また、仕切体17には帯電防止処理が施されているので、静電気による仕切体17への埃の付着を防止することができる。さらに、仕切体17に付着した埃に水分が吸着され、その水分が凍ることにより発生する仕切体17への着霜を防止することができる。
【0037】
また、仕切体17は上端側が固定されて下端側が揺動可能とされているので、仕切体17の上端側のみを固定することにより仕切体17を陳列室14内に取付けることができ、陳列室14内への仕切体17の取付構造を簡単なものとすることができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、左右一対のガラス扉4を有し、1枚の仕切体17を有する場合を例に挙げて説明したが、左右方向に3枚又はそれ以上のガラス扉を有し、陳列室をそれらのガラス扉ごとの3つ又はそれ以上の区画に仕切るために2枚又はそれ以上の仕切体を有する場合も本発明を適用することができる。
【0039】
本発明は、前述の実施形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施形態に係る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 リーチインショーケース
2 開口
3 ショーケース本体
4 ガラス扉
5 取手
6 底面板
7 背面板
8 天井板
9 ダクト
10 送風ファン
11 冷却器
12 吹出口
13 吸込口
14 陳列室
15 商品陳列棚
16 空間
17 仕切体
17a 前側部
17b 後側部
18 支持体
19 スリット
図1
図2
図3
図4
図5