特許第6150440号(P6150440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150440ヌクレオシド類縁体の製造中間体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150440
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ヌクレオシド類縁体の製造中間体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 23/00 20060101AFI20170612BHJP
   C07H 19/167 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   C07H23/00CSP
   C07H19/167
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-521453(P2014-521453)
(86)(22)【出願日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】JP2013066578
(87)【国際公開番号】WO2013191129
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】特願2012-137049(P2012-137049)
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146581
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 公樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113583
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 範子
(74)【代理人】
【識別番号】100161160
【弁理士】
【氏名又は名称】竹元 利泰
(74)【代理人】
【識別番号】100164460
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100119622
【弁理士】
【氏名又は名称】金原 玲子
(72)【発明者】
【氏名】小泉 誠
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美帆
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−297097(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052436(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/150729(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 1/00− 99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。]で表される化合物をトリメチルシリル化剤と反応させて得られたトリメチルシリル化化合物と、一般式
【化2】

[式中、X、Y及びZは、同一又は異なって、水酸基の保護基を示し、Aは、炭素数1乃至4個のアルキレン基を示し、Rは、シリル系保護基を示す。]で表される化合物又はその塩とを反応させて、一般式
【化3】

[式中、X、Y、Z、A及びRは前記と同意義を示し、Bはプリン−9−イル基又は下記α群から選択される置換基を有する置換プリン−9−イル基を示す。]で表される化合物又はその塩を製造する方法。
α群は、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基、及び、ハロゲン原子からなる群である。
【請求項2】
Xが、1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基、又は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
Xが、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、ジメトキシトリチル基又はモノメトキシトリチル基である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
Yが、1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基、又は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
Yが、ベンジル基、β−ナフチルメチル基又はp−メトキシベンジル基である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
Zが、炭素数2乃至4個の脂肪族アシル基である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
Zが、アセチル基である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
Aが、メチレン基又はエチレン基である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
Aが、メチレン基である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
Bが、6−アミノプリン−9−イル、アミノ基が保護された6−アミノプリン−9−イル、2,6−ジアミノプリン−9−イル、2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、アミノ基及び水酸基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−メトキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−クロロプリン−9−イル、6−アミノ−2−フルオロプリン−9−イル、2,6−ジメトキシプリン−9−イル、2,6−ジクロロプリン−9−イル又は6−メルカプトプリン−9−イル基である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
Bが、6−ベンゾイルアミノプリン−9−イル、アデニニル、2−イソブチリルアミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル又はグアニニル基である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
Rが、トリ低級アルキルシリル基又はモノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
Rが、モノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
Rが、t−ブチルジフェニルシリル基である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
一般式
【化4】

[式中、X、Y及びZは、同一又は異なって、水酸基の保護基を示し、Aは、炭素数1乃至4個のアルキレン基を示し、Rは、シリル系保護基を示し、Bは、プリン−9−イル基又は下記α群から選択される置換基を有する置換プリン−9−イル基を示す。]で表される化合物又はその塩。
α群は、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基、及び、ハロゲン原子からなる群である。
【請求項16】
一般式
【化5】

[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。]で表される化合物をトリメチルシリル化剤と反応させて得られたトリメチルシリル化化合物と、一般式
【化6】

[式中、X、Y及びZは、同一又は異なって、水酸基の保護基を示し、Aは、炭素数1乃至4個のアルキレン基を示し、Rは、シリル系保護基を示す。]で表される化合物又はその塩とを反応させて、一般式
【化7】

[式中、X、Y、Z、A及びRは前記と同意義を示し、Bは、プリン−9−イル基又は下記α群から選択される置換基を有する置換プリン−9−イル基を示す。]で表される化合物又はその塩を製造する工程を含む、一般式
【化8】

[式中、X、Y、A及びBは前記と同意義を示す。]で表される化合物又はその塩を製造する方法。
α群は、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基、及び、ハロゲン原子からなる群である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定で優れたアンチセンス若しくはアンチジーン活性、又は、特定遺伝子の検出薬(プローブ)若しくは増幅開始のためのプライマーとして優れた活性を有するオリゴヌクレオチド類縁体の製造中間体であるヌクレオシド類縁体の新規製造中間体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、安定で優れたアンチセンス若しくはアンチジーン活性、又は、特定遺伝子の検出薬(プローブ)若しくは増幅開始のためのプライマーとして優れた活性を有するオリゴヌクレオチド類縁体及びその製造中間体であるヌクレオシド類縁体
【0003】
【化1】
【0004】
が記載されており、そのヌクレオシド類縁体の製造方法として、A−3工程及びA−4工程が記載されている。
【0005】
【化2】
【0006】
しかし、特許文献1に具体的に記載されているのはRがp−トルエンスルホニルオキシ基である例のみであり、シリル系保護基に関する記載はない。特許文献1に記載の製造方法は、特に、核酸塩基が2−イソブチリルアミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル基である場合は反応収率が著しく低下するという欠点を有している(参考例15及び実施例24の2工程で収率6%)。また、他の核酸塩基であっても、例えば6−ベンゾイルアミノプリン−9−イル基である場合に、A−3工程の収率が52%と低く、工業的に満足できるものとはいえない。
【0007】
特許文献2には、2’位及び4’位をNHCOCH基で架橋したヌクレオシド類縁体が記載されており、実施例5(6)には、化合物39から化合物40を合成する工程が開示されている。
【0008】
【化3】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−297097号公報
【特許文献2】国際公開番号WO2011/052436A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで発明者等は、上記の問題点を解決するため種々検討を行った結果、特定の保護基を有する製造中間体を用いることにより、核酸塩基の種類を問わず反応収率を向上できることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の製造方法は、下記一般式
【0012】
【化4】
【0013】
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基又はハロゲン原子を示す。]で表される化合物をトリメチルシリル化剤と反応させて得られたトリメチルシリル化化合物と、下記一般式
【0014】
【化5】
【0015】
[式中、X、Y及びZは、同一又は異なって、水酸基の保護基を示し、Aは、炭素数1乃至4個のアルキレン基を示し、Rは、シリル系保護基を示す。]で表される化合物又はその塩とを反応させて、下記一般式
【0016】
【化6】
【0017】
[式中、X、Y、Z、A、及びRは前記と同意義を示し、Bはプリン−9−イル基又は下記α群から選択される置換基を有する置換プリン−9−イル基を示す。]で表される化合物又はその塩を製造する方法である。
【0018】
α群は、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基、及び、ハロゲン原子からなる群である。
【0019】
本発明の化合物は、上記一般式(III)で表される化合物及びその塩である。
【0020】
また、本発明の製造方法は、下記一般式
【0021】
【化7】
【0022】
[式中、R、R及びRは、前記と同意義を示す。]で表される化合物をトリメチルシリル化剤と反応させて得られたトリメチルシリル化化合物と、下記一般式
【0023】
【化8】
【0024】
[式中、X、Y、Z、A及びRは、前記と同意義を示す。]で表される化合物又はその塩とを反応させて、下記一般式
【0025】
【化9】
【0026】
[式中、X、Y、Z、A、R及びBは前記と同意義を示す。]で表される化合物又はその塩を製造する工程を含む、下記一般式
【0027】
【化10】
【0028】
[式中、X、Y、A及びBは前記と同意義を示す。]で表される化合物又はその塩を製造する方法である。
【0029】
本発明において、Aの「炭素数1乃至4個のアルキレン基」は、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン又はテトラメチレン基であり得、好適には、メチレン又はエチレン基であり、より好適には、メチレン基である。
【0030】
本発明において、X、Y及びZの「水酸基の保護基」、並びにα群の「保護された水酸基」の保護基は、加水素分解、加水分解、電気分解及び光分解のような化学的方法又は人体内で加水分解等の生物学的方法により開裂し得る保護基のことをいい、そのような保護基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、3−メチルノナノイル、8−メチルノナノイル、3−エチルオクタノイル、3,7−ジメチルオクタノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、1−メチルペンタデカノイル、14−メチルペンタデカノイル、13,13−ジメチルテトラデカノイル、ヘプタデカノイル、15−メチルヘキサデカノイル、オクタデカノイル、1−メチルヘプタデカノイル、ノナデカノイル、アイコサノイル及びヘナイコサノイルのようなアルキルカルボニル基、スクシノイル、グルタロイル、アジポイルのようなカルボキシ化アルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲノ低級アルキルカルボニル基、メトキシアセチルのような低級アルコキシ低級アルキルカルボニル基、(E)−2−メチル−2−ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基のような「脂肪族アシル基」;ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナフトイルのようなアリールカルボニル基、2−ブロモベンゾイル、4−クロロベンゾイルのようなハロゲノアリールカルボニル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル、4−トルオイルのような低級アルキル化アリールカルボニル基、4−アニソイルのような低級アルコキシ化アリールカルボニル基、2−カルボキシベンゾイル、3−カルボキシベンゾイル、4−カルボキシベンゾイルのようなカルボキシ化アリールカルボニル基、4−ニトロベンゾイル、2−ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリールカルボニル基;2−(メトキシカルボニル)ベンゾイルのような低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基、4−フェニルベンゾイルのようなアリール化アリールカルボニル基のような「芳香族アシル基」;テトラヒドロピラン−2−イル、3−ブロモテトラヒドロピラン−2−イル、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル、テトラヒドロチオピラン−2−イル、4−メトキシテトラヒドロチオピラン−4−イルのような「テトラヒドロピラニル又はテトラヒドロチオピラニル基」;テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロチオフラン−2−イルのような「テトラヒドロフラニル又はテトラヒドロチオフラニル基」;メトキシメチル、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、t−ブトキシメチルのような「低級アルコキシメチル基」;2−メトキシエトキシメチルのような「低級アルコキシ化低級アルコキシメチル基」;2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチルのような「ハロゲノ低級アルコキシメチル」;1−エトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチルのような「低級アルコキシ化エチル基」;2,2,2−トリクロロエチルのような「ハロゲン化エチル基」;ベンジル、α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、9−アンスリルメチルのような「1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基」;4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,4,5−トリメチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルジフェニルメチル、4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、4−シアノベンジルのような「低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基」;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニルのような「低級アルコキシカルボニル基」;2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、のような「ハロゲンで置換された低級アルコキシカルボニル基」;ビニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルのような「アルケニルオキシカルボニル基」又は、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニルのような1又は2個の「低級アルコキシ又はニトロ基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基」であり得、X及びYの「水酸基の保護基」においては、好適には、「1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基」又は「低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基」であり、より好適には、ベンジル、β−ナフチルメチル、p−メトキシベンジル、ジメトキシトリチル又はモノメトキシトリチル基であり、Zの「水酸基の保護基」においては、好適には、炭素数2乃至4個の脂肪族アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル又はブチリル基)であり、より好適には、アセチル基であり、α群の「保護された水酸基」においては、好適には、「ニトロ化アリール基で置換されたエチル基」又は「アリール化アミノカルボニル基」であり、より好適には、1−(4−ニトロフェニル)エチル基又はジフェニルアミノカルボニル基である。
【0031】
本発明において、Rの「シリル系保護基」は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ−t−ブチルシリル、トリイソプロピルシリルのようなトリ低級アルキルシリル基;又は、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、フェニルジイソプロピルシリルのようなモノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基のような「シリル系保護基」であり得、好適には、モノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基であり、より好適には、t−ブチルジフェニルシリル基である。
【0032】
本発明において、α群の「炭素数1乃至4個のアルコキシ基」は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ又はt−ブトキシ基であり得、好適には、メトキシ又はエトキシ基である。
【0033】
本発明において、α群の「保護されたメルカプト基」の保護基は、例えば、上記水酸基の保護基としてあげたものの他、メチルチオ、エチルチオ、t−ブチルチオのようなアルキルチオ基、ベンジルチオのようなアリールチオ基等の「ジスルフィドを形成する基」であり得、好適には、「脂肪族アシル基」又は「芳香族アシル基」であり、さらに、好適には、ベンゾイル基である。
【0034】
本発明において、α群の「炭素数1乃至4個のアルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチルチオ又はt−ブチルチオ基であり得、好適には、メチルチオ又はエチルチオ基である。
【0035】
本発明において、α群の「保護されたアミノ基」の保護基は、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、3−メチルノナノイル、8−メチルノナノイル、3−エチルオクタノイル、3,7−ジメチルオクタノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、1−メチルペンタデカノイル、14−メチルペンタデカノイル、13,13−ジメチルテトラデカノイル、ヘプタデカノイル、15−メチルヘキサデカノイル、オクタデカノイル、1−メチルヘプタデカノイル、ノナデカノイル、アイコサノイル及びヘナイコサノイルのようなアルキルカルボニル基、スクシノイル、グルタロイル、アジポイルのようなカルボキシ化アルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲノ低級アルキルカルボニル基、メトキシアセチルのような低級アルコキシ低級アルキルカルボニル基、フェノキシアセチル基のようなアリールオキシ低級アルキルカルボニル基、4−(t−ブチル)フェノキシアセチル基のようなアリールオキシ低級アルキルカルボニル基、(E)−2−メチル−2−ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基等の「脂肪族アシル基」;ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナフトイルのようなアリールカルボニル基、2−ブロモベンゾイル、4−クロロベンゾイルのようなハロゲノアリールカルボニル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル、4−トルオイルのような低級アルキル化アリールカルボニル基、4−アニソイルのような低級アルコキシ化アリールカルボニル基、2−カルボキシベンゾイル、3−カルボキシベンゾイル、4−カルボキシベンゾイルのようなカルボキシ化アリールカルボニル基、4−ニトロベンゾイル、2−ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリールカルボニル基、2−(メトキシカルボニル)ベンゾイルのような低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基、4−フェニルベンゾイルのようなアリール化アリールカルボニル基、等の「芳香族アシル基」;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニルのような「低級アルコキシカルボニル基」;2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエトキシカルボニルのような「ハロゲン又はトリ低級アルキルシリル基で置換された低級アルコキシカルボニル基」;ビニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルのような「アルケニルオキシカルボニル基」;ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニルのような1又は2個の「低級アルコキシ又はニトロ基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基」であり得、好適には、「脂肪族アシル基」又は、「芳香族アシル基」であり、より好適には、イソブチリル又はベンゾイル基であり、最も好適には、イソブチリル基である。
【0036】
本発明において、α群の「炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基」は、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ(s−ブチル)アミノ又はジ(t−ブチル)アミノ基であり得、好適には、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノまたはジイソプロピルアミノ基である。
【0037】
本発明において、α群の「炭素数1乃至4個のアルキル基」は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルであり得、好適には、メチル又はエチル基である。
【0038】
本発明において、α群の「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好適には、フッ素原子又は塩素原子である。
【0039】
本発明において、Bの「プリン−9−イル基」及び「置換プリン−9−イル基」全体で、好適な基は、6−アミノプリン−9−イル(すなわち、アデニニル)、アミノ基が保護された6−アミノプリン−9−イル、2,6−ジアミノプリン−9−イル、2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル(すなわち、グアニニル)、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、アミノ基及び水酸基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−メトキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−クロロプリン−9−イル、6−アミノ−2−フルオロプリン−9−イル、2,6−ジメトキシプリン−9−イル、2,6−ジクロロプリン−9−イル又は6−メルカプトプリン−9−イル基であり、より好適には、6−ベンゾイルアミノプリン−9−イル、アデニニル、2−イソブチリルアミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル又はグアニニル基である。
【0040】
本発明において、「その塩」は、化合物(II)及び(III)は塩にすることができるのでその塩をいい、そのような塩は、好適にはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン原子化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、りんご酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;又は、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり得る。
【0041】
本発明の製造方法において、好適には次の通りである。
【0042】
(1)Xが、1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基、又は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基である製造方法。
【0043】
(2)Xが、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、ジメトキシトリチル基又はモノメトキシトリチル基である製造方法。
【0044】
(3)Yが、1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基、又は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基である製造方法。
【0045】
(4)Yが、ベンジル基、β−ナフチルメチル基又はp−メトキシベンジル基である製造方法。
【0046】
(5)Zが、炭素数2乃至4個の脂肪族アシル基である製造方法。
【0047】
(6)Zが、アセチル基である製造方法。
【0048】
(7)Aが、メチレン基又はエチレン基である製造方法。
【0049】
(8)Aが、メチレン基である製造方法。
【0050】
(9)Bが、6−アミノプリン−9−イル(すなわち、アデニニル)、アミノ基が保護された6−アミノプリン−9−イル、2,6−ジアミノプリン−9−イル、2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル(すなわち、グアニニル)、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、アミノ基及び水酸基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−メトキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−クロロプリン−9−イル、6−アミノ−2−フルオロプリン−9−イル、2,6−ジメトキシプリン−9−イル、2,6−ジクロロプリン−9−イル又は6−メルカプトプリン−9−イル基である製造方法。
【0051】
(10)Bが、6−ベンゾイルアミノプリン−9−イル、アデニニル、2−イソブチリルアミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル又はグアニニル基である製造方法。
【0052】
(11)Rが、トリ低級アルキルシリル基又はモノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基である製造方法。
【0053】
(12)Rが、モノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基である製造方法。
【0054】
(13)Rが、t−ブチルジフェニルシリル基である製造方法。
【0055】
上記(1)及び(2)、(3)及び(4)、(5)及び(6)、(7)及び(8)、(9)及び(10)、又は、(11)乃至(13)は、番号が大きくなるに従って、より好適な製造方法を示し、本発明の製造方法において、Xを(1)及び(2)から任意に選択し、Yを(3)及び(4)から任意に選択し、Zを(5)及び(6)から任意に選択し、Aを(7)及び(8)から任意に選択し、Bを(9)及び(10)から任意に選択し、Rを(11)乃至(13)から任意に選択し、又、これらを任意に組み合わせて得られた製造方法も好適である。
【0056】
本発明化合物(III)において、好適には次の通りである。
【0057】
(1)Xが、1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基、又は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基である化合物及びその塩。
【0058】
(2)Xが、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、ジメトキシトリチル基又はモノメトキシトリチル基である化合物及びその塩。
【0059】
(3)Yが、1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基、又は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン若しくはシアノ基でアリール環が置換された1乃至3個のアリール基で置換されたメチル基である化合物及びその塩。
【0060】
(4)Yが、ベンジル基、β−ナフチルメチル基又はp−メトキシベンジル基である化合物及びその塩。
【0061】
(5)Zが、炭素数2乃至4個の脂肪族アシル基である化合物及びその塩。
【0062】
(6)Zが、アセチル基である化合物及びその塩。
【0063】
(7)Aが、メチレン基又はエチレン基である化合物及びその塩。
【0064】
(8)Aが、メチレン基である化合物及びその塩。
【0065】
(9)Bが、6−アミノプリン−9−イル(すなわち、アデニニル)、アミノ基が保護された6−アミノプリン−9−イル、2,6−ジアミノプリン−9−イル、2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル、2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−フルオロプリン−9−イル、2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ブロモプリン−9−イル、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル(すなわち、グアニニル)、アミノ基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、アミノ基及び水酸基が保護された2−アミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−メトキシプリン−9−イル、6−アミノ−2−クロロプリン−9−イル、6−アミノ−2−フルオロプリン−9−イル、2,6−ジメトキシプリン−9−イル、2,6−ジクロロプリン−9−イル又は6−メルカプトプリン−9−イル基である化合物及びその塩。
【0066】
(10)Bが、6−ベンゾイルアミノプリン−9−イル、アデニニル、2−イソブチリルアミノ−6−ヒドロキシプリン−9−イル又はグアニニル基である化合物及びその塩。
【0067】
(11)Rが、トリ低級アルキルシリル基又はモノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基である化合物及びその塩。
【0068】
(12)Rが、モノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリル基である化合物及びその塩。
【0069】
(13)Rが、t−ブチルジフェニルシリル基である化合物及びその塩。
【0070】
上記(1)及び(2)、(3)及び(4)、(5)及び(6)、(7)及び(8)、(9)及び(10)、又は、(11)乃至(13)は、番号が大きくなるに従って、より好適な化合物を示し、本発明の製造中間体において、Xを(1)及び(2)から任意に選択し、Yを(3)及び(4)から任意に選択し、Zを(5)及び(6)から任意に選択し、Aを(7)及び(8)から任意に選択し、Bを(9)及び(10)から任意に選択し、Rを(11)乃至(13)から任意に選択し、又、これらを任意に組み合わせて得られた化合物及びその塩も好適であり、特に好適には、2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−6−N−ベンゾイルアデノシン、2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−2−N−イソブチリルグアノシン及びその塩である。最も好適には、2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−2−N−イソブチリルグアノシン及びその塩である。
【0071】
化合物(IVb)は、プリン、又は、水酸基、保護された水酸基、炭素数1乃至4個のアルコキシ基、メルカプト基、保護されたメルカプト基、炭素数1乃至4個のアルキルチオ基、アミノ基、保護されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基で置換されたアミノ基、炭素数1乃至4個のアルキル基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される置換基を有してもよい、置換プリンであり、好適には下記群から選択される化合物及びその塩である。
【0072】
(化合物群)
アミノ基が保護されたアデニン、アミノ基が保護されたグアニン及びその塩であり、好適には、アミノ基が「脂肪族アシル基」又は「芳香族アシル基」で保護されたアデニン、アミノ基が「脂肪族アシル基」又は「芳香族アシル基」で保護されたグアニン及びその塩であり、より好適には、N6−ベンゾイルアデニン、N6−アセチルアデニン、N6−フェノキシアセチルアデニン、N6−(t−ブチル)フェノキシアセチルアデニン、N2−イソブチリルグアニン、N2−アセチルグアニン、N2−フェノキシアセチルグアニン、N2−(t−ブチル)フェノキシアセチルグアニン、及びその塩であり、さらにより好適には、N6−ベンゾイルアデニン、N2−イソブチリルグアニン、及びその塩である。
【0073】
本発明におけるトリメチルシリル化化合物は、化合物(IVb)をトリメチルシリル化剤と反応させて製造される化合物であり、化合物(IVb)の中にある、アミノ基またはヘテロ環上の窒素原子に結合している水素原子、及び/又は水酸基上の酸素原子に結合している水素原子に代わってトリメチルシリル基が結合したものである。トリメチルシリル化化合物は、比較的不安定なため、単離することはせずに次の反応に用いる。好適にはアミノ基が「脂肪族アシル基」又は「芳香族アシル基」で保護されたアデニン、又は、アミノ基が「脂肪族アシル基」又は「芳香族アシル基」で保護されたグアニン中のアミノ基またはヘテロ環上の窒素原子に結合している水素原子、及び/又は水酸基上の酸素原子に結合している水素原子に代わってトリメチルシリル基が結合した化合物及びその塩であり、さらに好適には、N6−ベンゾイルアデニン、N6−アセチルアデニン、N6−フェノキシアセチルアデニン、N6−(t−ブチル)フェノキシアセチルアデニン、N2−イソブチリルグアニン、N2−アセチルグアニン、N2−フェノキシアセチルグアニン、又は、N2−(t−ブチル)フェノキシアセチルグアニン中のアミノ基またはヘテロ環上の窒素原子に結合している水素原子、及び/又は水酸基上の酸素原子に結合している水素原子に代わってトリメチルシリル基が結合した化合物及びその塩であり、さらに特に好適には、N6−ベンゾイルアデニン、又は、N2−イソブチリルグアニン中のアミノ基またはヘテロ環上の窒素原子に結合している水素原子、及び/又は水酸基上の酸素原子に結合している水素原子に代わってトリメチルシリル基が結合した化合物及びその塩である。
【0074】
例えば、N6−ベンゾイル−N6,N9−ビス(トリメチルシリル)アデニン又はO6,N2,N9−トリス(トリメチルシリル)−N2−イソブチリルグアニンである。
【0075】
本発明における化合物(III)、化合物(IVb)、又は、化合物(IVb)のトリメチルシリル化化合物は、互変異性を有している場合があり得る。これらの化合物の中の下記の部分構造は、いずれの互変異性の構造も本発明に含まれる。
【0076】
【化11】
【0077】
[式中、R7は、水素、水酸基の保護基、アミノ基の保護基、又は、トリメチルシリル基を表す。]
【発明の効果】
【0078】
本発明により、安定で優れたアンチセンス若しくはアンチジーン活性、又は、特定遺伝子の検出薬(プローブ)若しくは増幅開始のためのプライマーとして優れた活性を有するオリゴヌクレオチド類縁体及びその製造中間体であるヌクレオシド類縁体化合物(I)の製造中間体である化合物(III)が、核酸塩基の種類を問わず収率よく製造できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明の製造方法は、化合物(IVb)をトリメチルシリル化剤と反応させた後、得られたトリメチルシリル化化合物と化合物(II)とを反応させて、化合物(III)を製造する方法である。
【0080】
【化12】
【0081】
[式中、R、R、R、X、Y、Z、A、R及びBは、前記と同意義を示す。]
(1)化合物(II)の製造工程
本工程の出発物質である化合物(II)は、特開2000−297097号公報に記載のA法の(3)の化合物に、不活性溶剤中、塩基触媒存在下、シリル系保護化剤を反応させて製造することができる。
【0082】
使用されるシリル系保護化剤は、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、イソプロピルジメチルシリルクロリド、t−ブチルジメチルシリルクロリド、メチルジイソプロピルシリルクロリド、メチルジ−t−ブチルシリルクロリド、トリイソプロピルシリルクロリドのようなトリ低級アルキルシリルクロリド類;ジフェニルメチルシリルクロリド、ジフェニルブチルシリルクロリド、ジフェニルイソプロピルシリルクロリド、t−ブチルジフェニルシリルクロリド、フェニルジイソプロピルシリルクロリドのようなモノアリールジ低級アルキルシリル若しくはジアリールモノ低級アルキルシリルクロリド類である。
【0083】
使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;又は、硫化炭素であり得、好適には、N,N−ジメチルホルムアミドである。
【0084】
使用される塩基触媒は、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、DBU及びイミダゾールのような有機塩基類であり、好適には、イミダゾールである。
【0085】
反応温度は、使用される原料化合物、溶剤、塩基触媒により異なるが、通常、0℃乃至100℃であり、好適には、0℃乃至50℃である。
【0086】
反応時間は、使用される原料化合物、溶剤、塩基触媒、反応温度により異なるが、通常、0.5時間乃至24時間であり、好適には、1時間乃至8時間である。
【0087】
反応終了後、本反応の目的化合物(II)は、例えば、反応混合物を濃縮し、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水洗後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することで得られる。
【0088】
得られた化合物は、必要ならば、常法、例えば、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等によって更に精製できる。
(2)トリメチルシリル化化合物の製造工程
本工程に用いられるトリメチルシリル化化合物は、化合物(IVb)とトリメチルシリル化剤を反応させて製造することができる。
【0089】
使用されるトリメチルシリル化剤は、トリメチルシリルクロリド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、又は、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルであり得、好適には、トリメチルシリルクロリド、又は、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)である。
【0090】
使用されるトリメチルシリル化剤は、化合物(IVb)の中のN−H基上の窒素原子又は水酸基上の酸素原子に結合している1乃至4つの水素原子の1つの反応点に対して、通常、1乃至100当量を用い、さらに好適には、2乃至50当量を用い、さらに特に好適には、5乃至30当量を用いる。
【0091】
使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS);又は、硫化炭素であり得、好適には、トルエン、又は、アセトニトリル、又は、HMDSである。
【0092】
本工程には、必要に応じて、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、DBU及びイミダゾールのような有機塩基類を塩基触媒として使用してもよく、好適には、トリエチルアミンである。
【0093】
反応温度は、使用される原料化合物、溶剤、塩基触媒により異なるが、通常、0℃乃至180℃であり、好適には、20℃乃至120℃である。
【0094】
反応終了後、本反応の目的化合物は、例えば、反応混合物を濃縮し、減圧下乾燥後、そのまま次の工程に用いる。
【0095】
(3)化合物(III)の製造工程
本工程は、不活性溶剤中、酸触媒の存在下、前記トリメチルシリル化化合物を前記化合物(II)と反応させて、化合物(III)を製造する工程である。
【0096】
使用される溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;又は、硫化炭素であり得、好適には、芳香族炭化水素類又はニトリル類であり、より好適には、トルエン又はアセトニトリルである。
【0097】
使用される酸触媒は、例えば、塩化アルミニウム、四塩化すず、四塩化チタン、トリフルオロホウ素、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルのようなルイス酸触媒であり、好適には、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルである。
【0098】
反応温度は、使用される原料化合物、溶剤、酸触媒により異なるが、通常、0℃乃至150℃であり、好適には、70℃乃至120℃である。
【0099】
反応時間は、使用される原料化合物、溶剤、酸触媒、反応温度により異なるが、通常、0.5時間乃至24時間であり、好適には、1時間乃至8時間である。
【0100】
反応終了後、本反応の目的化合物(III)は、例えば、反応混合物を濃縮し、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、水洗後、目的化合物を含む有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去することで得られる。
【0101】
得られた化合物は、必要ならば、常法、例えば、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等によって更に精製できる。
【0102】
化合物(III)を製造する本工程において、化合物(IVb)とトリメチルシリル化剤を反応系中に存在させ、トリメチルシリル化された化合物を生成させ、トリメチルシリル化化合物を単離することなく、ワンポットで化合物(II)と反応させることもできる。
【0103】
ワンポット反応で使用されるトリメチルシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)、又は、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などがあり、好適には、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミドである。
【実施例】
【0104】
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
【0105】
(実施例1)
2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−6−N−ベンゾイルアデノシン
【0106】
【化13】
【0107】
(1) 3,5−ジ−O−ベンジル−4−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロペントフラノース
3,5−ジ−O−ベンジル−4−(2−ヒドロキシエチル)−1,2−O−イソプロピリデン−α−D−エリスロペントフラノース(18.3g,44.2mmol)を乾燥ジメチルホルムアミド(DMF,55mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液にイミダゾール(15.7g,218mmol)を加え、0℃に冷却し、t−ブチルジフェニルクロロシラン(23.0mL,88.4mmol)を加え、15分間攪拌した。反応終了後、反応液をエーテル(ca.3mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(ca.50mL)を加え、減圧濃縮し、エーテル及びDMFを留去した。残査に水(ca.10mL)を加えた後、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製することにより、標記化合物(28.8g)を得た。
【0108】
(2) 3,5−ジ−O−ベンジル−4−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−1,2−ジ−O−アセチル−α−D−エリスロペントフラノース
(1)で得られた化合物(28.8g,44.2mmolに相当量を含む)を酢酸(150mL)に溶かし、この溶液を0℃に冷却し、無水酢酸(82.2mL,871mmol)及び濃硫酸(cat.10μL)を加えた後、30分間攪拌した。反応終了後、反応液を氷水(50mL)に入れ、1時間攪拌し、そこに、飽和食塩水(ca.50mL)を加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水でこの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、標記化合物(α体とβ体の混合物、26.0g,収率:84%(2工程))を得た。以下に、得られた化合物の一部を更に精製することにより得られたα体のNMRデータを示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ(ppm) : 1.02 (9H, s), 1.84 (3H, s), 1.93 (3H, s), 1.95-2.18 (2H, m), 3.40 (1H, d), 3.50 (1H, d), 3.80-3.93 (2H, m), 4.35-4.60 (5H, m), 5.29 (1H, d), 6.03 (1H, s), 7,20-7.40 (16H, m), 7.60-7.70 (4H, m)。
【0109】
(3) 2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−6−N−ベンゾイルアデノシン
N6−ベンゾイルアデニン(268mg,1.12mmol)にHMDS(20mL)及びトリメチルシリルクロリド(4mL)を加え、一晩還流し、減圧濃縮し、乾燥し、トリメチルシリル化したN6−ベンゾイルアデニンを得た。
【0110】
(2)で得られた化合物(521mg,0.748mmol)を乾燥トルエン(10mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液に前述のトリメチルシリル化したN6−ベンゾイルアデニン及びトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf,166μL,0.901mmol)を加え撹拌し、5分後TLC(薄層クロマトグラフィー)で原料がなくなったのを確認し、その後2時間加熱還流した。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(ca.2mL)を加え、セライトでろ過した。ろ液をジクロロメタン(ca.10mL)で抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び飽和食塩水でこの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1)で精製し、標記化合物(482mg,収率:74%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ(ppm) : 1.02 (9H, s), 1.88-1.97 (1H, m), 2.02 (3H, s), 2.15-2.25 (1H, s), 3.44 (1H, d), 3.75-3.90 (3H, m), 4.37-4.61 (5H, m), 5.86 (1H, t), 6.26 (1H, d), 7.20-7.65 (23H, m), 8.03 (2H, d), 8.31 (1H, s), 8.77 (1H, s), 9.04 (1H, s)。
【0111】
(実施例2)
3’,5’−ジ−O−ベンジル−2’−O−4’−C−エチレン−6−N−ベンゾイルアデノシン
(1) 2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−ヒドロキシエチル)−6−N−ベンゾイルアデノシン
実施例1(3)で得られた化合物(475mg,0.542mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(THF,5mL)に溶かし、この溶液にテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(1mol/L,705μL,0.705mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=50/1)で精製し、標記化合物(269mg,収率:78%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ(ppm) : 1.88-1.95 (1H, m), 2.08(3H, s), 2.20-2.30 (2H, m), 3.47 (1H, d), 3.74 (1H, d), 3.76-3.85 (2H, m), 4.42-4.68 (5H, m), 5.97 (1H, t), 6.35 (1H, d), 7.24-7.65 (13H, m), 8.03 (2H, d), 8.26 (1H, s), 8.76 (1H, s), 9.06 (1H, s)。
【0112】
(2) 3’,5’−ジ−O−ベンジル−2’−O−4’−C−エチレン−6−N−ベンゾイルアデノシン
窒素気流下、(1)で得られた化合物(102mg,0.106mmol)を乾燥ジクロロメタン(2mL)に溶かし、この溶液にピリジン(100μL)及びメタンスルホニルクロライド(36μL,0.465mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。その後、水(ca.1mL)を加え、ジクロロメタン(5mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をピリジン(3mL)及びメタノール(2mL)の混合溶媒に溶解した。この溶液を0℃に冷却し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を加え、10分間撹拌した。反応終了後、反応液をジクロロメタン(5mL×3)で抽出し、有機層をリン酸バッファー(pH6.86,0.025M)及び飽和食塩水で、この順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=50:1)で精製し、標記化合物(84.3mg,収率:91%)を得た。この化合物は、特開2000−297097号公報に実施例10として記載されている化合物とH−NMRによる分析において完全に一致した。
【0113】
(実施例3)
2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−2−N−イソブチリルグアノシン
【0114】
【化14】
【0115】
N2−イソブチリルグアニン(7.14g,32.3mmol)にHMDS(500mL)及びトリメチルシリルクロリド(125mL)を加え、一晩還流し、減圧濃縮し、乾燥し、トリメチルシリル化したN2−イソブチリルグアニンを得た。
【0116】
実施例1(2)で得られた化合物(15.0g,21.5mmol)を乾燥トルエン(200mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液に前述のトリメチルシリル化したN2−イソブチリルグアニン及びTMSOTf(4.80mL,26.1mmol)を加え撹拌し、5分後にTLCで原料がなくなったのを確認し、その後2時間加熱還流した。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(ca.50mL)を加え、セライトでろ過した。ろ液をジクロロメタン(ca.300mL)で抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び飽和食塩水でこの順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1.5)で精製し、標記化合物(16.0g,収率:86%,グアニン7位でグリコシレーションした異性体を含む混合物である)を得た。
【0117】
(実施例4)
2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−2−N−イソブチリルグアノシン
実施例1(2)で得られた化合物(6.18g,8.87mmol)を乾燥トルエン(120mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液にN2−イソブチリルグアニン(2.83g,13.3mmol)及びN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA,9.60mL,38.8mmol)を加え、1時間加熱還流した。続いて反応液にTMSOTf(3.40mL,18.5mmol)を加え、更に45分間加熱還流した。反応終了後、実施例3と同様にして、標記化合物(6.44g,収率:85%,グアニン7位でグリコシレーションした異性体を含む混合物である)を得た。
【0118】
(実施例5)
3’,5’−ジ−O−ベンジル−2’−O−4’−C−エチレン−2−N−イソブチリルグアノシン
(1) 2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−ヒドロキシエチル)−2−N−イソブチリルグアノシン
実施例3で得られた化合物(16.0g,18.6mmol)をTHF(160mL)に溶かし、この溶液にテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(1mol/L,25mL,25.0mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=20/1)で精製し、標記化合物(9.97g,収率:75%,グアニン7位でグリコシレーションした異性体を含む混合物である)を得た。
【0119】
(2) 3’,5’−ジ−O−ベンジル−2’−O−4’−C−エチレン−2−N−イソブチリルグアノシン
(1)で得られた化合物(3.00g,4.84mmol)を乾燥ジクロロメタン(25mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液にピリジン(4mL)及びメタンスルホニルクロライド(750μL,9.69mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応終了後、水(ca.5mL)を加え、ジクロロメタン(ca.30mL)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をピリジン(25mL)及びメタノール(10mL)の混合溶媒に溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(5mol/L,25mL)を加え、30分間攪拌した後、反応液をジクロロメタン(ca.50mL×3)溶液で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1.5)によりグアニン7位でグリコシレーションした異性体と完全に分離精製し、標記化合物(1.81g,収率:43%(4工程))を得た。この化合物は、特開2000−297097号公報に実施例24として記載されている化合物とH−NMRによる分析において完全に一致した。
【0120】
(参考例1)
2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−t−ブチルジフェニルシリルオキシエチル)−5−メチルウリジン
【0121】
【化15】
【0122】
実施例1(2)で得られた化合物(206mg,0.336mmol)を乾燥アセトニトリル(4mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液にチミン(62.8mg,0.498mmol)及びN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA,0.37mL,1.5mmol)を加え、1時間加熱還流した。続いて反応液にTMSOTf(0.125mL,0.678mmol)を加え、更に40分間加熱還流した。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、標記化合物(190mg,収率:74%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ(ppm) : 1.04 (9H, s), 1.47 (3H, s), 1.74-1.85 (1H, m), 2.02 (3H, s), 2.03-2.08 (1H, m), 3.39 (1H, d, J=10.3Hz), 3.69-3.83 (2H, m), 3.86 (1H, d, J=11Hz), 4.32-4.56 (5H, m), 5.33 (1H, t), 6.06 (1H, d, J=5.1Hz), 7.19-7.61 (20H, m), 7.93 (1H, s)。
【0123】
(参考例2)
3’,5’−ジ−O−ベンジル−2’−O−4’−C−エチレン−5−メチルウリジン
(1) 2’−O−アセチル−3’,5’−ジ−O−ベンジル−4’−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルウリジン
参考例1で得られた化合物(185mg,0.242mmol)をTHF(2mL)に溶かし、この溶液にテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(1mol/L,0.34mL,0.34mmol)を加え、室温で一夜攪拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/4)で精製し、標記化合物(121mg,収率:95%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ(ppm) : 1.49 (3H, s), 1.73-1.80 (1H, m), 2.06 (3H, s), 2.11-2.17 (1H, m), 3.24-3.28 (1H, m), 3.41 (1H, d, J=10.3Hz), 3.72-3.75 (2H, m), 3.77 (1H, d, J=10.3Hz), 4.34-4.62 (5H, m), 5.39 (1H, t), 6.16 (1H, d, J=5.1Hz), 7.20-7.41 (11H, m)。
【0124】
(2) 3’,5’−ジ−O−ベンジル−2’−O−4’−C−エチレン−5−メチルウリジン
(1)で得られた化合物(55.4mg,0.106mmol)を乾燥ジクロロメタン(1mL)に溶かし、窒素気流下、この溶液にピリジン(0.1mL)及びメタンスルホニルクロライド(16.5μL,0.213mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応終了後、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残査をピリジン(0.5mL)及びメタノール(0.5mL)の混合溶媒に溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(5mol/L,1mL)を加え、5分間攪拌した後、反応液をジクロロメタン溶液で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=100/1.5→100/2)により精製し、標記化合物(40.1mg,収率:82%)を得た。この化合物は、特開2000−297097号公報に実施例6として記載されている化合物とH−NMRによる分析において完全に一致した。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明により、安定で優れたアンチセンス若しくはアンチジーン活性、又は、特定遺伝子の検出薬(プローブ)若しくは増幅開始のためのプライマーとして優れた活性を有するオリゴヌクレオチド類縁体及びその製造中間体であるヌクレオシド類縁体化合物(Ia)又は(I)の製造中間体である化合物(III)が、核酸塩基の種類を問わず収率よく製造できるようになった。