特許第6150444号(P6150444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150444ゲートの下のドーパントの拡散を低減することによるメモリセルの形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150444
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ゲートの下のドーパントの拡散を低減することによるメモリセルの形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/788 20060101AFI20170612BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170612BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20170612BHJP
   H01L 27/11521 20170101ALI20170612BHJP
【FI】
   H01L29/78 371
   H01L27/11521
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-528492(P2015-528492)
(86)(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公表番号】特表2015-526907(P2015-526907A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013052457
(87)【国際公開番号】WO2014031286
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年2月23日
(31)【優先権主張番号】13/593,448
(32)【優先日】2012年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リウ シアン
(72)【発明者】
【氏名】タダヨニ マンダナ
(72)【発明者】
【氏名】ス チェン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ドー ニャン
【審査官】 加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−044164(JP,A)
【文献】 特開2009−081202(JP,A)
【文献】 特開2010−161301(JP,A)
【文献】 特開2009−124106(JP,A)
【文献】 特開平03−062574(JP,A)
【文献】 特開2005−277430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/11521
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルを形成する方法であって、
第1の導電型の半導体材料の基板を提供する工程と、
間にチャネル領域を有する、第2の導電型の前記基板内に第1及び第2の離間した領域を形成する工程と、
前記基板の上にあって前記基板から絶縁された導電性の浮遊ゲートを形成する工程と、 前記浮遊ゲートの上にあって前記浮遊ゲートから絶縁された導電性の制御ゲートを形成する工程と、
前記浮遊ゲートの片側に横方向に寄り、前記浮遊ゲートから絶縁された導電性の消去ゲートを形成する工程と、
前記浮遊ゲートの前記片側の反対側に横方向に寄り、前記浮遊ゲートから絶縁された導電性の選択ゲートを形成する工程と、
前記浮遊ゲート及び前記選択ゲートの前記形成後に、前記基板の表面に対して90度未満かつ0度超の所定の角度でドーパントを注ぎ込む注入プロセスを用いて前記選択ゲートの下の前記チャネル領域の一部に前記ドーパントを注入する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記ドーパントが前記浮遊ゲートの下の前記チャネル領域の一部に注入されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドーパントが前記第1の導電型である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ドーパントがホウ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板の前記表面の法線Nに対する前記角度が概ね30°である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドーパントが2.4×10-15J(15KeV)の注入エネルギーで注ぎ込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ドーパントが4E13/cm2の全量を注ぎ込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板を90度水平回転させる工程と、
2回目の前記注入を繰り返す工程と、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
2回目の前記注入後に、前記基板を更に90度水平回転させる工程と、
3回目の前記注入を繰り返す工程と、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
3回目の前記注入後に、前記基板を更に90度水平回転させる工程と、
4回目の前記注入を繰り返す工程と、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択ゲート、浮遊ゲート、制御ゲート、及び選択ゲートの下の基板内に特定のドーピングを有する消去ゲートを有する不揮発性フラッシュメモリセルに関連する。本発明はまた、そのようなフラッシュメモリセルのアレイ、並びにそのようなセル及びアレイの製造方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
選択ゲート、浮遊ゲート、制御ゲート、及び消去ゲートを有する分割ゲート不揮発性フラッシュメモリセルは、当該技術分野において周知である。例えば米国特許第6,747,310号、同第7,868,375号、及び同第7,927,994号、並びに米国特許出願公開第第2011/0127599号を参照されたい(これらは全て本明細書に、全体にわたりあらゆる目的で参照によって組み込まれる)。そのような分割ゲートメモリセルは、基板内にソースとドレインとの間に延在するチャネル領域を含む。チャネル領域は、浮遊ゲートの下に第1の部分(以下FGチャネルと呼び、その導電性は浮遊ゲートによって制御される)、及び選択ゲートの下に第2の部分(以下WLチャネル、その導電性は選択ゲートによって制御される)を有する。
【0003】
読み出し性能を改善するために、選択ゲートの下の酸化物層の厚さは最小化される。しかしながら、この酸化物層の厚さの低減には、所望のターゲットのワード線閾値電圧を維持するために選択ゲートチャネル領域におけるP型ドーピングの増加を伴う必要がある。一解決法は、チャネル領域のWLチャネル部分(選択ゲートの下)の中にP型ドーパントを注入することであり得る。これは、チャネル領域のWLチャネル部分だけが注入工程によって増加したドーピングを受容するように、浮遊ゲート及び制御ゲートを形成した後であるが選択ゲートを形成する前に、P型注入工程を実施することによって可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、その後の熱サイクル中に、WLチャネルの中に注入されたドーパントは、必然的にFGチャネルの中へ横方向に拡散し、最も選択ゲートに近い側でのFGトランジスタ閾値の局所的増大を引き起こす。図1は、分割ゲートセル内でのP型ドーパント分布の一実施例を図示する。図1に見られるように、FGチャネル(浮遊ゲートの下)におけるドーパント分布は均一ではない。これは、FGチャネルの重度にドープされた部分をターンオンし、FGチャネルの軽度にドープされた部分をターンオフすることをより困難にすることがあるため、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題に対応するメモリセルを形成する方法は、第1の導電型の半導体材料の基板を提供する工程と、それらの間にチャネル領域を有する、第2の導電型の基板内の第1及び第2の離間した領域を形成する工程と、基板上にあって基板から絶縁された導電性の浮遊ゲートを形成する工程と、浮遊ゲート上にあって浮遊ゲートから絶縁された導電性の制御ゲートを形成する工程と、浮遊ゲートの片側に横方向に寄り、浮遊ゲートから絶縁された導電性の消去ゲートを形成する工程と、浮遊ゲートの片側の反対側に横方向に寄り、浮遊ゲートから絶縁された導電性の選択ゲートを形成する工程と、浮遊ゲート及び選択ゲートの形成後に、基板の表面に対して90度未満かつ0度超の所定の角度でドーパントを注ぎ込む注入プロセスを用いて選択ゲートの下のチャネル領域の部分の中にドーパントを注入する工程と、を含む。
【0006】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、特許請求の範囲、及び添付の図面を見直すことによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】セルの下方の基板におけるP型ドーパント分布を図示するメモリセルの側断面図である。
図2】本発明の手法から利益を得ることができるタイプのメモリセルの側断面図である。
図3A】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3B】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3C】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3D】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3E】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3F】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3G】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3H】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3I】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3J】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3K】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3L】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
図3M】本発明による不揮発性メモリセルを製造するプロセスにおける工程を図示する側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、角度の付いた注入プロセスを用いて選択ゲートの形成後にWLチャネル領域の中にドーパントを注入することによって前述の問題を解決し、それによってFGチャネル領域の中への拡散を最小限にしてWLチャネル領域のドーパントレベル増大をより効率的に提供する。
【0009】
図2は、本発明の手法によって形成される不揮発性メモリセル10の断面図を図示する。図2のメモリセルは、本発明の手法から利益を得ることができるタイプの例示であるが、ほんの一実施例であり、限定するものと見なされるべきではない。メモリセル10は、実質的に単結晶シリコンなどの単結晶基板12で製造され、P導電型の特徴を有する。基板12内には、第2の導電型の領域14がある。第1の導電型がPである場合は、第2の導電型はNである。領域14から離間しているのは、第2の導電型の別の領域16である。領域14と16との間はチャネル領域18であり、領域14と領域16との間で電荷の伝導を提供する。
【0010】
基板12の上方に位置付けられ、基板12から離間して絶縁されているのは、ワード線20としても知られる選択ゲート20である。選択ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分(即ち、WLチャネル部分18a)の上に位置付けられる。チャネル領域18のWLチャネル部分18aは、領域14に直ぐに当接する。したがって、選択ゲート20は、領域14とほとんど重ならないか、全く重ならない。浮遊ゲート22もまた、基板12の上方に位置付けられ、基板12から離間して絶縁される。浮遊ゲート22は、チャネル領域18の第2の部分(即ち、FGチャネル部分18b)及び領域16の一部の上に位置付けられる。チャネル領域18のFGチャネル部分18bは、チャネル領域18のWLチャネル部分18aとは異なる。したがって、浮遊ゲート22は、選択ゲート20から横方向に離間して絶縁され、選択ゲート20に隣接する。消去ゲート24は、領域16の上に位置付けられ、領域16から離間して、基板12から絶縁される。消去ゲート24は、浮遊ゲート22から横方向に絶縁され離間する。選択ゲート20は、浮遊ゲート22の片側に寄り、消去ゲート24は、浮遊ゲート22の別の側に寄る。最後に、浮遊ゲート22の上方に位置付けられ、そこから絶縁され離間しているのは、制御ゲート26である。制御ゲート26は、消去ゲート24と選択ゲート20との間に位置付けられ、これらから絶縁される。
【0011】
図3A〜3Mは、不揮発性メモリセル10を製造するプロセスにおける工程の断面図を図示する。図3Aを始めとして、P型単結晶シリコンの基板12上での二酸化シリコンの層40の形成が示されている。二酸化シリコンの層40は、約80〜110オングストロームであり得る。その後、ポリシリコン(又はアモルファスシリコン)の第1の層42が、二酸化シリコンの層40の上に堆積又は形成される。ポリシリコンの第1の層42は、約300〜800オングストロームであり得る。ポリシリコンの第1の層42は、その後選択ゲート20に垂直の方向にパターン化される。
【0012】
図3Bを参照すると、二酸化シリコン(又は更には、ONOなどの複合層)などの別の絶縁層44は、ポリシリコンの第1の層42上に堆積されるか、形成される。材料が二酸化シリコンであるかONOであるかに応じて、層44は、約100〜200オングストロームであり得る。ポリシリコンの第2の層46は、次に層44上に堆積されるか、形成される。ポリシリコンの第2の層46は、約500〜4000オングストロームの厚さであり得る。絶縁体の別の層48は、ポリシリコンの第2の層46上に堆積されるか、形成され、その後のドライエッチング中のハードマスクとして使用される。好ましい実施形態では、層48は、窒化ケイ素48a、二酸化シリコン48b、及び窒化ケイ素48cを含む複合層であり、その寸法は、層48aについては200〜600オングストローム、層48bについては200〜600オングストローム、及び層48cについては500〜3000オングストロームであり得る。
【0013】
図3Cを参照すると、フォトレジスト材料(図示せず)は、図3Bに示される構造の上に堆積され、またマスキング工程が形成されて、フォトレジスト材料の選択された部分を露出する。フォトレジストは発達し、そのフォトレジストをマスクとして使用して、構造がエッチングされる。複合層48、ポリシリコンの第2の層46、絶縁層44は、次にポリシリコンの第1の層42が露出されるまで異方性エッチングされる。これに伴う構造を図3Cに示す。2つの「積層体」S1及びS2だけが示されるが、互いに分離した、多数のそのような「積層体」が存在することは明らかである。
【0014】
図3Dを参照すると、二酸化シリコン49は、その構造上に堆積されるか、形成される。この後に窒化ケイ素層50の堆積が続く。二酸化シリコン49及び窒化ケイ素50は、異方性エッチングされ、積層体S1及びS2のそれぞれの周囲に(二酸化シリコン49及び窒化ケイ素50の混合である)スペーサ51を残す。これに伴う構造を図3Dに示す。
【0015】
図3Eを参照すると、フォトレジストマスクは、積層体S1とS2との間、及び他の代替の対の積層体の間の領域上に形成される。この議論のために、積層体S1とS2との間のこの領域を「内側領域」と呼び、フォトレジストによって覆われない領域を「外側領域」と呼ぶ。外側領域内の露出した第1のポリシリコン42は、異方性エッチングされる。酸化物層40を、無傷のまま残してもよいか、又は部分的に若しくは完全に異方性エッチングしてもよい。これに伴う構造を図3Eに示す。
【0016】
図3Fを参照すると、フォトレジスト材料は、図3Eに示される構造から除去される。酸化物の層52が、次に堆積されるか、形成される。酸化物層52は次に、積層体S1及びS2に隣接したスペーサ52を残す異方性エッチングの対象となる。これに伴う構造を図3Fに示す。
【0017】
図3Gを参照すると、フォトレジスト材料は、次に堆積され、またマスクされて積層体S1とS2との間の内側領域内の開口部を残す。再度、図3Eに示される図面と同様に、フォトレジストは他の代替の対の積層体間にある。積層体S1とS2との(及び他の代替の対の積層体)間の内側領域内のポリシリコン42は、異方性エッチングされる。ポリシリコン42の下の二酸化シリコン層40を無傷のまま残してもよいか、又は部分的に若しくは完全に異方性エッチングしてもよい。これに伴う構造は、領域16を形成する高電圧イオン注入の対象となる。これに伴う構造を図3Gに示す。
【0018】
図3Hを参照すると、内側領域内の積層体S1及びS2に隣接する酸化物スペーサ52は、例えばウェットエッチング又はドライ等方性エッチングによって除去される。図3Iを参照すると、積層体S1及びS2の外側領域内のフォトレジスト材料は除去される。二酸化シリコン層54は、約100〜200オングストロームで至る所に堆積されるか又は形成される。これに伴う構造を図3Iに示す。
【0019】
図3Jを参照すると、この構造は、再度フォトレジスト材料によって覆われ、またマスキング工程が実施されて積層体S1及びS2の外側領域を露出し、かつ積層体S1とS2との間の内側領域を覆うフォトレジスト材料を残す。酸化物異方性エッチングは、積層体S1及びS2の外側領域内のスペーサ54の厚さを低減するため、また二酸化シリコンを外側領域内の露出したシリコン基板12から完全に除去するために実施される。これに伴う構造を図3Jに示す。
【0020】
図3Kを参照すると、二酸化シリコンの薄層56は、10〜100オングストロームのオーダーで構造上に形成される。この酸化物層56は、選択ゲートと基板12との間のゲート酸化物であり、読み出し性能を向上させるその厚さの低減が、本発明の発見につながった。これに伴う構造を図3Kに示す。
【0021】
図3Lを参照すると、ポリシリコン60は至る所に堆積される。ポリシリコンの層60は、コモン領域16を共有しながら互いに隣接する2つのメモリセル10の選択ゲート20を形成する積層体S1及びS2の外側領域内のスペーサを形成する異方性エッチングの対象となる。加えて、積層体S1及びS2の内側領域内のスペーサは結合されて、2つの隣接するメモリセル10によって共有される単一の消去ゲート24を形成する。角度の付いたP型注入が、次に実施され(即ち、基板に対して90度未満の所定の角度で実施される注入)、これによりドーパントは基板内に注ぎ込まれ、結果として、浮遊ゲート22の下の基板に届かずに選択ゲート20の下に注ぎ込まれる。この注入の角度及びエネルギーは、FG Vt(浮遊ゲートの下のチャネルのFGチャネル領域をターンオンするのに必要な電圧)に悪影響を与えることなく、ドーパント原子がチャネルのWLチャネル領域(18b)の中に注ぎ込まれるように選択される。注入パラメータの例として、基板表面の法線N(即ち、法線Nは基板の表面に対して垂直の線である)に対して概ね30度の所定の角度αにおいて、4E13の全量が2.4×10-15J(15KeV)で注入される、B11が挙げられる。全てのWLチャネル部分が十分に注入されるように、角度の付いた注入をいくつかのウェハ回転角の間に分割することができる。例えば、メモリセルに対向して左右両方をカバーするため、角度の付いた注入を、基板に対して90度の回転の注入により4回実施することができる。この結果得られた構造が図3Lに示される。
【0022】
図3Mを参照すると、絶縁体の層62が構造上に堆積され、選択ゲート20の隣にスペーサ62を形成するように異方性エッチングされる。絶縁体62は、二酸化シリコン及び窒化ケイ素を含む複合層であり得る。その後、イオン注入工程が実施され、領域14を形成する。別の面でこれらのメモリセルのそれぞれがコモン領域14を共有する。絶縁体層及び金属化層は、その後堆積され、ビット線70及びビット線コンタクト72を形成するようにパターン化される。プログラム、読み出し、及び消去の操作並びに特に適用される電圧は、米国特許第6,747,310号に記載のものと同じであってよく、その開示は全体にわたり本明細書に参照として組み込まれる。結果として得られるメモリセル10は、図3Mに図示される。
【0023】
全てのゲートの形成後(及び特に選択ゲートの形成後)に角度の付いた注入の手順を用いてWLチャネル部分の中にドーパントを堆積させることは多くの利点をもたらす。第1に、注入されたドーパントは、最初にFGチャネルから離れて配置され、FGチャネル部分内へとドーパントが横方向に拡散する可能性を最小化する。第2に、注入後に実施される熱サイクルを最小化し、FGチャネル部分に向かうドーパントの横方向の拡散を更に低減する。FGチャネル部分のドーピングを低く保つことによって、より低くかつより均一のFG Vt(チャネルターンオン電圧)が生じ、より良好なオン/オフ読み出し電流ウィンドウ、より良好な耐久性、簡略化された保持スクリーンテスト、及びより低い製造コストをもたらす。
【0024】
本発明は、本明細書で上述及び例示される実施形態(複数可)に限定されるものではないが、添付の特許請求の範囲内にあるありとあらゆる変更例を包含することは理解されるべきである。例えば、本明細書における本発明に対する言及は、いかなる特許請求の範囲又は特許請求の範囲の用語も限定することを意図するものではなく、代わりに特許請求の範囲の1つ以上によって包含され得る1つ以上の特徴に言及するにすぎない。上述される材料、プロセス、及び数値例は単に例示であり、特許請求の範囲を限定すると見なされるべきではない。更に、特許請求及び明細書を見てわかるように、全ての方法の工程が例示又は請求した正確な順序で実施される必要はなく、むしろ任意の順序で本発明のメモリセルの適切な形成が可能である。最後に、単一層の材料をそのような又は同様の材料の複数層として形成することができ、逆もまた同様である。
【0025】
本明細書で使用される場合、「の上に(over)」及び「の上に(on)」という用語は両方とも、「の上に直接(directly on)」(中間物質、要素、又は空間がそれらの間に何ら配置されない)、及び「の上に間接的に(indirectly on)」(中間物質、要素、又は空間がそれらの間に配置される)を包括的に含むことに留意するべきである。同様に、「隣接した」という用語は「直接隣接した」(中間物質、要素、又は空間がそれらの間に何ら配置されない)、及び「間接的に隣接した」(中間物質、要素、又は空間がそれらの間に配置される)を含み、「取付けられた」は、「直接取り付けられた」(中間物質、要素、又は空間がそれらの間に何ら配置されない)、及び「間接的に取付けられた」(中間物質、要素、又は空間がそれらの間に配置される)を含み、「電気的に結合された」は、「直接電気的に結合された」(中間物質、又は要素がそれらの間で要素を電気的に連結しない)、及び「間接的に電気的に結合された」(中間物質、又は要素がそれらの間で要素を電気的に連結する)を含む。例えば、要素を「基板の上に」形成することは、その要素を基板の上に直接、中間材料/要素をそれらの間に何ら伴わずに、形成すること、並びにその要素を基板の上に間接的に、1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って、形成することを含み得る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M