特許第6150481号(P6150481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150481
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】クッション材
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   A47C27/15 A
   A47C27/15 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-207932(P2012-207932)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61126(P2014-61126A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 晃二朗
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−095082(JP,A)
【文献】 特開平11−164757(JP,A)
【文献】 特開2002−315654(JP,A)
【文献】 特開2002−306283(JP,A)
【文献】 特開2012−080958(JP,A)
【文献】 特開2000−166707(JP,A)
【文献】 特開2010−148819(JP,A)
【文献】 特開2007−111423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/18
A47C 27/00−27/22
A47C 31/00
B68G 5/00−9/00
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ポリウレタンフォームからなる5層以上の積層体にプロファイル加工することで、同時に2つ形成される、表面に凹凸形状を有するクッション材において、
前記積層体の中心層のみをプロファイル加工することで、前記クッション材の表面凹凸
形状が、前記中心層のみで形成されており、
前記中心層が、密度20〜70kg/mであって、25%圧縮硬さが100〜400
Nの軟質ポリウレタンフォーム、又は少なくとも反発弾性50%以上の高弾性軟質ポリウ
レタンフォームであり、
前記中心層と隣接する中間層が、高通気性の軟質ウレタンフォームであり、
前記積層体の表裏面を構成する基層が、中間層に通じる通気手段を施された25%圧縮硬さが100〜400Nの軟質ポリウレタンフォーム、又は中間層に通じる通気手段を施された少なくとも反発弾性50%以上の高弾性軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とするクッション材。
【請求項2】
基層に施された通気性手段が、貫通孔であることを特徴とする請求項1記載のクッショ
ン材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスなどの寝具に好適なクッション材に関する。
【背景技術】
【0002】
マットレスなどの寝具に使用されるクッション材として、従来から軟質ポリウレタンフォームが用いられており、例えば、軟質ポリウレタンフォーム表面に凹凸形状を有するクッション材が知られている。表面に凹凸形状を有するクッション材は、凸部で部分的に身体などを支持することにより、体圧分散性に優れるとともに、凹部により、蒸れた空気の逃げ道ができるため、通気性も確保できるものとなる。
【0003】
表面に凹凸形状を有する軟質ポリウレタンフォームの製造方法として、プロファイル加工や、二次元カッターで加工する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、高密度の軟質ポリウレタンフォームの上下面に、高通気性の軟質ポリウレタンフォームを積層して3層の積層体とした後、当該積層体をプロファイル加工することで、表面に凹凸形状を有する3層構造のクッション材を2つ同時に成形する方法が記載されている。この方法によれば、同じ層構造のクッション材を2つ同時に形成できるため、生産効率の向上が図れる。また、特許文献1に記載のクッション材は、表面に形成された凹凸形状において、凹部の一部に、高通気性の軟質ポリウレタンフォームが露出したものとなり、凹凸形状の形成と同時に通気性を向上させている。
【0004】
特許文献1に記載の方法と同様にして形成されるクッション材であって、特許文献2には、比較的硬さの高い軟質ポリウレタンフォームの上下面に、比較的硬さの低い軟質ポリウレタンフォームを積層させた3層の積層体をプロファイル加工して得られる3層構造のクッション材が開示されている。特許文献2記載のクッション材は、表面に形成された凹凸形状の凸部中間部分が、比較的硬さの高い軟質ポリウレタンフォームで形成されているため、体重を受けても凸部が座屈し倒伏するようなことがなく就寝者を突き上げるような状態となり良好にマッサージ効果を与えることが可能となる。
【0005】
ところで、特許文献1、2に記載のクッション材は、図4に示すように、表面には凹凸形状が形成されているが、当該凸部が3層構造となっている。このように、凸部が多層構造であると、特に磨耗しやすい部分に使用される場合においては、長期使用によって層間で剥離する虞があり、また、層間剥離を防止しようとして、層間の接着剤の塗布量を多くしたりすると、接着剤と軟質ポリウレタンフォームとの硬さの違いによって、身体に接触する際の違和感の原因になってしまう虞があった。
【0006】
さらに、特許文献1,2に記載のクッション材は、底部を形成する層が、無膜フォームや比較的硬さの低い軟質ポリウレタンフォームから形成されているため、長期使用した際に、フォームがへたりやすく、底付き感が生じてしまうことから、改善の余地を残すものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−166707号公報
【特許文献2】特開2010−148819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、クッション材の表面に設けられた凹凸形状の凸部が長期使用に耐えることができるとともに、身体に接触する際に違和感がなく、快適な寝心地を与えるクッション材を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく検討したところ、5層以上の軟質ポリウレタンフォームの積層体において、中間層のいずれか一層のみにプロファイル加工して二分して得られるクッション材の表面凹凸形状の凸部は、プロファイル加工を施した中間層の1層のみで形成されたものとなり、長期使用に耐え、身体に接触する際に違和感のないクッション材が得られたことから、本願発明に至ったものである。
【0010】
すなわち、本願発明は、軟質ポリウレタンフォームからなる5層以上の積層体にプロファイル加工することで、同時に2つ形成される、表面に凹凸形状を有するクッション材において、当該積層体の中心層のみをプロファイル加工することで、当該クッション材の表面凹凸形状が、当該中心層のみで形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本願発明によれば、クッション材の表面に形成された凹凸形状の凸部は、プロファイル加工される中心層のみで形成されているため、2層以上で形成された凸部よりも耐久性に優れるとともに、違和感がなく、寝心地に優れるクッション材が得られる。
【0012】
また、本願発明は、前記中心層が、密度20〜70kg/mであって、25%圧縮硬さが100〜400Nの軟質ポリウレタンフォーム、又は少なくとも反発弾性50%以上の高弾性軟質ポリウレタンフォームであることが好ましい。
【0013】
プロファイル加工される中心層は、クッション材としたときに身体を支持する表面凹凸形状を形成することとなる。そのため、当該中心層が、密度20〜70kg/mであって、25%圧縮硬さが100〜400Nの軟質ポリウレタンフォーム、又は少なくとも反発弾性が50%以上の高弾性軟質ポリウレタンフォームから構成されていれば、凸部が変形しすぎることなく、適度に反発することで、体圧分散性がより優れるものとなり、快適な寝心地を有するクッション材が得られる。
なお、本願発明における密度は、JIS K 7222に準拠して測定したものであり、25%圧縮硬さ及び反発弾性は、JIS K 6400に準拠して測定したものである。
【0014】
さらに、プロファイル加工される中心層と隣接する中間層が、高通気性の軟質ウレタンフォームであることが好ましい。
【0015】
本願発明において、高通気性の軟質ポリウレタンフォームとは、JIS K 6400に準拠した通気量が3.0dm/s以上のものである。このような高通気性の軟質ポリウレタンフォームとプロファイル加工される中心層とを隣接させれば、クッション材としたときに、蒸れた空気が、当該プロファイル加工で形成された凹凸形状の凹部から、当該高通気性の軟質ポリウレタンフォームからなる中間層へと移動して、フォーム外部に排出されやすくなり、通気性を向上することができ、蒸れ感の少ないクッション材が得られる。
【0016】
また、本発明は、積層体の表裏面を構成する基層が、通気手段を施された軟質ポリウレタンフォームであり、当該通気手段を施された軟質ポリウレタンフォームと隣接する中間層が、高通気性の軟質ポリウレタンフォームであることを特徴とする。
【0017】
本願発明において、通気手段とは、例えば、上下方向に貫通する通気孔、又は表面に溝や凹凸形状を形成することなどであり、そのような通気手段を施した軟質ポリウレタンフォームを、高通気性の軟質ポリウレタンフォームと隣接させることにより、より通気性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明のクッション材は、軟質ポリウレタンフォームからなる5層以上の積層体の中心層のみをプロファイル加工して二分することで得られるものであり、当該クッション材の表面凹凸形状が、プロファイル加工された中心層のみで形成されているため、2層以上で形成された凸部よりも耐久性に優れるとともに、違和感がなく、寝心地に優れるクッション材が得られた。
【0019】
また、プロファイル加工される中心層と隣接する中間層が、高通気性の軟質ポリウレタンフォームであれば、通気性を向上することができ、蒸れ感の少ないクッション材が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願発明の実施形態を説明する断面図であって、(a)はプロファイル加工前の積層体、(b)はクッション材を示す。
図2図1の別の実施形態を説明するクッション材の断面図である。
図3】本願発明の他の実施形態を説明する断面図であって、(a)はプロファイル加工前の積層体、(b)はクッション材を示す。
図4】従来のクッション材を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本願発明は、当該実施態様に限定されるものではない。
【0022】
本願発明は、軟質ポリウレタンフォームを5層以上積層した積層体の中心層のみをプロファイル加工することで得られるクッション材である。
【0023】
プロファイル加工とは、軟質ポリウレタンフォームの表面に凹凸形状を形成する方法であり、凹凸のある一対のロール間に積層体を送り込んで、厚み方向に圧縮することで、ロールの凹凸形状に倣わせて圧縮変形させ、出口側の切断刃で厚みの中央部を切断すれば、切断面を凹凸形状に加工することが出来る。
【0024】
本願発明において、中心層のみをプロファイル加工するとは、他層にまでカットが及ばないことを意味する。すなわち、ロールの圧縮力を調整すれば、切断面の凹凸の高さを調整することが出来るため、凹凸の高さが中心層の厚みを超えないような圧縮力に調整すればよい。
このようにして形成されたクッション材の表面凹凸形状の凸部は、単層で構成されたものとなり、2層以上で構成された凸部に比べて、耐久性に優れるとともに、違和感がなく、寝心地に優れるクッション材が得られる。
【0025】
本願発明において、このようにプロファイル加工する積層体として、例えば、図1(a)に示すように、物性の異なる軟質ポリウレタンフォームを基層13、中間層12、プロファイル加工される中心層11、中間層12、基層13の順に接着剤などで貼り合わせて積層させた、5層構造の積層体1が使用できる。なお、同じ符号を付記した層は、同じ物性で同じ厚みの軟質ポリウレタンフォームであることを示す。
当該積層体1の中心に位置する中心層11のみをプロファイル加工することで、図1(b)に示すように、表面に形成される凹凸形状が、中心層11のみから構成される3層構造のクッション材10が同時に2つ形成できる。
【0026】
本願発明において、プロファイル加工される中心層11は、クッション材の表面に形成された凹凸形状を形成するものとなり、当該凸部Aは身体を支持する部分である。そのため、プロファイル加工される中心層11として使用できる軟質ポリウレタンフォームは、使用者の好みや、使用環境などによって適宜選択すればよい。
【0027】
例えば、プロファイル加工される中心層11が、密度20〜70kg/m、25%圧縮硬さ100〜400Nの硬さが比較的高い軟質ポリウレタンフォーム、又は少なくとも反発弾性が50%以上の高弾性軟質ポリウレタンフォームであれば、凸部が変形しすぎることなく、適度に反発することで、体圧分散性がより優れるものとなり、快適な寝心地を有するクッション材が得られるため、好ましい。
【0028】
また、プロファイル加工される中心層11が、反発弾性15%以下の低反発軟質ポリウレタンフォームを使用することもできる。低反発軟質ポリウレタンフォームであれば、床擦れしにくいクッション材が得られる。
その他、反発弾性が25%以下であって、ヒステリシスロス率が35%以下の軟質ポリウレタンフォームが使用できる。このフォームであれば、人体の沈み込みに追従できるフォームであり、適度に人体を支持できるため、好ましい。そのような軟質ポリタンフォームとしては、例えば、特開2010−189481号公報に記載のものが挙げられる。
【0029】
なお、本願発明において、プロファイル加工される中心層11として、高通気性の軟質ポリウレタンフォームも使用できるが、セル膜を除去した軟質ポリウレタンフォーム(無膜フォーム)を使用する場合は、考慮する必要がある。一般的に、無膜フォームは、長期使用において、フォームがへたりやすく、クッション性が損なわれる傾向にある。そのため、無膜フォームを使用する場合は、例えば、マットレスで言えば、頭部や足部などの荷重のかかりにくい箇所のみに使用してもよい。
【0030】
本願発明において、積層体1のプロファイル加工されない中間層12,12については、寝具として使用できる軟質ポリウレタンフォームであればよく、使用環境や用途によって、適宜選択すればよい。
例えば密度20kg/m以上、25%圧縮硬さ100N以上の軟質ポリウレタンフォームが使用できる。
【0031】
また、中間層12,12として、高通気性の軟質ポリウレタンフォームを使用することが好ましい。
クッション材10の表面凹部B付近に溜まった蒸れた空気は、隣接する凹部Bを通ってある程度は外部に排出されるが、中間層12が高通気性の軟質ポリウレタンフォームであれば、蒸れた空気が、凹部から高通気性フォームの中間層12を通って、フォーム外部に排出されやすくなるため、通気性が向上し、蒸れ感の少ないクッション材が得られる。
なお、本願発明でいう高通気性の軟質ポリウレタンフォームとしては、JIS K 6400に準拠した通気量が3.0dm/s以上のものであって、例えば、セル膜を除去した無膜フォームなどが挙げられる。
【0032】
本願発明において、積層体1の基層13,13は、クッション材10とした場合に、設置面と接触する層となり、反発弾性が50%以上の高弾性軟質ポリウレタンフォームや、25%圧縮硬さ100〜400Nの硬さが比較的高い軟質ポリウレタンフォームが使用できる。このように、基層に高弾性軟質ポリウレタンフォームや硬さが比較的高い軟質ポリウレタンフォームを使用すれば、底好き感の少ないクッション材が得られる。
また、基層13,13と、前述したプロファイル加工される中心層11とは、同じ物性の軟質ポリウレタンフォームを使用することもできる。
【0033】
また、基層13,13には、通気手段を施した軟質ポリウレタンフォームを使用してもよい。本願発明において、通気手段とは、例えば、上下方向に貫通する通気孔、又は表面に溝や凹凸形状を形成することなどが挙げられる。
例えば、図2に示すように、基層13,13に、上下に貫通する通気孔Cを有する軟質ポリウレタンフォームを使用した場合、得られたクッション材10´は、フォーム内部に溜まった蒸れた空気が、通気孔Cを通って、フォーム外部に排出されやすくなるため、蒸れ感を低減できる。
このように、基層13,13に、通気手段を施した軟質ポリウレタンフォームを使用する場合、当該基層13,13に隣接する中間層12,12に、前述した高通気性の軟質ポリウレタンフォームを使用すれば、クッション材内部に溜まった蒸れた空気を外部に排出しやすくなるため、より好ましいものとなる。
なお、基層に限らず、必要に応じて他の層にも通気手段を施した軟質ポリウレタンフォームを使用してもよい。
【0034】
プロファイル加工できる軟質ポリウレタンフォームの厚みは、プロファイル加工機や軟質ポリウレタンフォームの種類にもよるが、30〜300mm程度であって、形成できる凹凸形状の凸部の高さは5mm以上である。すなわち、積層体1の厚みは、30〜300mm程度であればよく、好ましくは、50〜250mmである。積層体1の厚みが250mmを超えてしまうと、表面に明瞭な凹凸形状を形成しにくくなり、50mm未満であると、得られるクッション材の厚みが薄いものとなり、寝心地を損なう傾向にある。
【0035】
また、積層体1の厚みが、30〜300mmの範囲内となるように、各層の厚みを適宜設定すればよい。
例えば、プロファイル加工される中心層11の厚みは、クッション材10としたときの表面凹凸形状の凸部Aの高さhの取り得る範囲を決めるものであり、15〜100mmが好ましい。中心層11の厚みが15mm未満だと、クッション材としたときの凸部の高さhが低いものとなり、通気性が得られにくくなる。また、中心層11の厚みが100mmを超えると、凹部の高さdの割合が増加する。凹部の高さの割合が大きすぎると、プロファイル加工される中心層11を構成する軟質ポリウレタンフォームによっては、蒸れやすくなる虞がある。
そのため、凹部の高さdが5〜20mmとなるように、プロファイル加工される中心層11の厚みを上記範囲で設定し、プロファイル加工時のロールの圧縮力を調整することが好ましい。
【0036】
また、積層体1の基層13,13の各々の厚みは、5mm以上であることが好ましい。5mm未満であると、前述した高弾性軟質ポリウレタンフォームや硬さが比較的高い軟質ポリウレタンフォームを使用しても、底好き感を解消することが難しい。また、あまり厚過ぎると、プロファイル加工がし難くなるほか、重量が増し、クッション材としての取り扱いも困難になる虞があるため、5〜60mmがより好ましいものとなる。
【0037】
本願発明の他の実施形態として、図3(a)に示すように、物性の異なる軟質ポリウレタンフォームを7層積層した積層体2が使用できる。当該積層体2の中心に位置する中心層21のみをプロファイル加工することで、図3(b)に示す4層構造のクッション材20が同時に2つ形成される。
【0038】
積層体2のプロファイル加工される中心層21は、前述した中心層11と同様の軟質ポリウレタンフォームが使用できる。
【0039】
また、積層体2のプロファイル加工されていない中間層22,22、23,23については、寝具として使用できる軟質ポリウレタンフォームであればよく、使用環境や用途によって、適宜選択すればよい。例えば、密度20kg/m以上、25%圧縮硬さ100N以上の軟質ポリウレタンフォームが使用できる。
【0040】
また、中間層22,22、23,23として、前述した中間層12と同様に、高通気性の軟質ポリウレタンフォームを使用すれば、蒸れ感の少ないクッション材が得られるため、好ましい。
特に、プロファイル加工される中心層21に隣接する中間層22,22が、高通気性の軟質ポリウレタンフォームであればより好ましい。クッション材とした場合、プロファイル加工で形成された凹凸形状の凹部に溜った蒸れた空気は、隣接する高通気性の軟質ポリウレタンフォームである中間層22を通って、フォーム外部に排出されやすくなるため、より効果的に蒸れ感を低減できるためである。
【0041】
積層体2の基層24,24は、クッション材20とした場合に、設置面と接触する層となり、前述した基層13,13と同様に、反発弾性が50%以上の高弾性軟質ポリウレタンフォームや、25%圧縮硬さ100〜400Nの硬さが比較的高い軟質ポリウレタンフォームが使用できる。
また、図示しないが、通気孔や、溝、又は凹凸形状などの通気手段を施した軟質ポリウレタンフォームを使用することもできる。
【0042】
積層体2の厚みについては、前述した積層体1と同様、30〜300mm程度であればよく、好ましくは、50〜250mmであり、この範囲内で、各層の厚みを適宜設定すればよい。
その際、プロファイル加工される中心層21、及び基層24,24については、前述した中心層11及び基層13,13と同様である。
それ以外の中間層22,22、23,23は、それぞれ任意の厚みに設定できる。
【0043】
本願発明について、5層の積層体1及び7層の積層体2を使用した場合について説明したが、プロファイル加工可能な厚み範囲のものであれば、さらに多層化したものでもよい。その場合、プロファイル加工される中心層の厚みや、基層の厚み範囲は、前述した通りである。
【0044】
本発明のクッション材は、使用する軟質ポリウレタンフォームの密度や硬さなどの物性によって、任意の硬さに調整される。
例えば、積層体1として、中心層11及び基層13,13が、密度32kg/mで25%圧縮硬さが185Nの軟質ポリウレタンフォーム、中間層12が密度30kg/mで25%圧縮硬さ210Nであって、通気量3.0dm/s以上の無膜フォームから構成され、中心層11を55mm、基層13,13を各40mm、中間層12,12を各10mmとし、凸部高さhが25mmとなるように積層体1の中心層11のみをプロファイル加工してクッション材10を得た。得られたクッション材10は、25%圧縮硬さが94Nであった。
他の具体例として、中心層11及び基層13,13が、密度32kg/m、25%圧縮硬さが215Nの軟質ポリウレタンフォームとしたこと以外は、前述と同様にして得られたクッション材10は、25%圧縮硬さが124Nであった。
【0045】
また、本発明のクッション材をマットレスとして使用する場合、プロファイル加工の切断面を同じ凹凸形状としてもよいが、体圧分散性を考慮して、例えば、頭部領域、胸・腰部領域、脚部領域に区分し、それぞれの領域での凹凸形状を変化させて硬さを異ならせるようにしても良い。体圧の高い胸・腰部領域の硬さを比較的硬くし、体圧の低い脚部領域の硬さを比較的柔らかくする等によって、一層快適な寝具にすることが出来る。
【0046】
また、本発明のクッション材を三つ折りタイプのマットレスに使用してもよい。例えば、ヒトの頭部、胸・腰部および脚部に対応する3つの部位に対応するクッション材を、三つ折りマットレス用袋体の中に各々収納すればよく、収納性にも優れるという利点を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本願発明のクッション材は、マットレスなどの寝具に好適である。
【符号の説明】
【0048】
1 積層体
11 中心層(プロファイル加工)
12 中間層
13 基層
10 クッション材
10´ クッション材
A 凸部
h 凸部高さ
B 凹部
d 凹部高さ
2 積層体
21 中心層(プロファイル加工)
22 中間層
23 中間層
24 基層
20 クッション材
100 クッション材
図1
図2
図3
図4