【文献】
前田久夫 外3名,"合成吸着剤による温州ミカン果汁中のヘスペリジンの吸着除去について",日本食品工業学会誌,日本,1985年,Vol.32, No.5,P.344-348
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度が(A)難水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度よりも大きいものである、請求項1記載のポリフェノール組成物の製造方法。
(A)難水溶性ポリフェノール類が、ヘスペリジン、エラグ酸、セサミン及びフェルラ酸から選択される1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリフェノール組成物の製造方法。
(B)水溶性ポリフェノール類が、25℃における水への溶解度が10g/L以上のポリフェノール類である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリフェノール組成物の製造方法。
(B)水溶性ポリフェノール類が、難水溶性ポリフェノール類の糖付加物、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類及びクロロゲン酸類から選択される1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のポリフェノール組成物の製造方法。
(B)水溶性ポリフェノール類が、グルコシルヘスペリジン、メチルヘスペリジン、カテキン類及びクロロゲン酸類から選択される1種又は2種以上である請求項1〜6のいずれか1項記載のポリフェノール組成物の製造方法。
加熱処理する工程において、(B)水溶性ポリフェノール類に対する(A)難水溶性ポリフェノール類の混合質量比[(A)/(B)]が0.05〜2である、請求項1〜7のいずれか1項記載のポリフェノール組成物の製造方法。
加熱処理液を冷却する工程において、加熱処理温度から25℃までの冷却速度が0.2℃/s以上である請求項1〜8のいずれか1項記載のポリフェノール組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の工程(1)は、(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物を、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点以上の温度に加熱し、加熱処理液を得る工程である。
【0013】
本発明で用いられる「難水溶性ポリフェノール類」としては、難水溶性のもの、例えば、25℃における水への溶解度が2g/L以下、更に1g/L以下、更に0.5g/L以下、更に0.2g/L以下、更に0.05g/L以下であるポリフェノール類が好ましく適用できる。ここで溶解度は、溶液1L中に溶解している溶質のグラム数を表し、単位は[g/L]である。
【0014】
(A)難水溶性ポリフェノール類としては、ベンゼン環にヒドロキシル基が1個以上、好ましくは2個以上結合したフェノール性化合物が好ましく適用できる。例えば、植物由来のフラボノイド、タンニン、フェノール酸等が挙げられる。より好ましく適用できる難水溶性ポリフェノール類としては、フラボノール類、フラバノン類、フラボン類、イソフラボン類、フェノールカルボン酸類、アントシアニジン類、ヒドロキシケイ皮酸誘導体、エラグ酸、リグナン等が挙げられる。
具体的には、ルチン、ケルシトリン、イソケルシトリン、ケルセチン、ミリシトリン、ミリセチン、ケンフェロール等のフラボノール類;ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ヘスペレチン、ナリンギン等のフラバノン類;リンゲニン、プルニン、アストラガリン、アピイン、アピゲニン等のフラボン類;ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、グリシチン、ゲニステイン、ゲニスチン等のイソフラボン類;クルクミン等のクルクミン類;デルフィニジン、デルフィン、ナスニン、ペオニジン、ペオニン、ペツニン、マルビジン、マルビン、エニン、シアニジン、ロイコシアニジン、シアニン、クリサンテミン、ケラシアニン、イデイン、メコシアニン、ペラルゴニジン、カリステフィン等のアントシアニジン類;レスベラトロール、カフェ酸、フェルラ酸、p−クマル酸等のヒドロキシケイ皮酸誘導体;エラグ酸;セサミン、セサミノール、セサモリン、セサモール等のリグナンが挙げられる。なかでも、フラバノン類、ヒドロキシケイ皮酸誘導体、エラグ酸、リグナンが好ましく、ヘスペリジン、フェルラ酸、エラグ酸、セサミンがより好ましい。難水溶性ポリフェノール類は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0015】
なお、本発明の(A)難水溶性ポリフェノール類の中には、前述の定義を満たす限り、アグリコンのみならずアグリコンに糖が結合した配糖体が含まれる。
例えば、ヘスペレチン(5,7,3'−トリヒドロキシ−4'−メトキシフラバノン)の7位の水酸基にルチノース(L−ラムノシル−(α1→6)−D−グルコース)がβ結合した配糖体であるヘスペリジン、アピゲニンにアピオース及びグルコースが結合したアピイン、ケルセチンにルチノースが結合したルチン、ケルセチンにラムノースが結合したケルシトリン等が挙げられる。
【0016】
本発明で用いられる(B)水溶性ポリフェノール類は、共に用いる(A)難水溶性ポリフェノール類より水溶性が高いポリフェノール類である。具体的には、(B)水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度が、(A)難水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度より2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることが更に好ましい。より具体的には、25℃における水への溶解度が10g/L以上、更に15g/L以上、更に20g/L以上であるものが好ましい。
このような(B)水溶性ポリフェノール類としては、難水溶性ポリフェノール類の糖付加物、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類、クロロゲン酸類等が挙げられ、グルコシルヘスペリジン、メチルヘスペリジン、カテキン類、クロロゲン酸類が好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
本発明で用いられる難水溶性ポリフェノール類の糖付加物は、前述の難水溶性ポリフェノール類に少なくとも1個の糖が結合した化合物である。難水溶性ポリフェノール類に結合する糖の種類は、特に制限されないが、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース、エリトロース等の4〜6炭糖から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。また、糖の結合数は、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜6個である。難水溶性ポリフェノール類への糖の結合部位は、フェノール性水酸基又は配糖体の糖残基である。難水溶性ポリフェノール類とこれら糖との結合様式はα−結合又はβ−結合のいずれであってもよい。
【0018】
難水溶性ポリフェノール類の糖付加物としては、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルケルセチン、グルコシルイソクエルシトリンが好ましく、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチンがより好ましい。
難水溶性ポリフェノール類の糖付加物は、化学合成や酵素反応を利用して公知の方法により工業的に製造することができる。
難水溶性ポリフェノール類の糖付加物として市販の製剤を使用してもよく、例えば、「林原ヘスペリジンS」((株)林原生物科学研究所)、「グルコシルルチンP」(東洋精糖(株))等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いられる難水溶性ポリフェノール類のメチル化物は、前述の難水溶性ポリフェノール類をメチル化し、水に可溶化したものである。メチル化の位置、個数は特に限定されない。具体的にはメチルヘスペリジン、メチルケルセチン、メチルレスベラトロール、メチルルチン等が挙げられ、メチルヘスペリジンが好ましい。メチルヘスペリジンには、主に、カルコン型化合物(1)及びフラバノン型化合物(2)が含まれることが知られており、その構成成分として、例えば以下に示す構造のものが挙げられる。
【0021】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
ここで、医薬品添加物および食品添加物としてのメチルヘスペリジンは、主に、化合物(3)及び(4)の混合物として取り扱われている。
【0023】
(式中、Glは、グルコース残基、Rhは、ラムノース残基を表す。また、Gl−2は、グルコース残基の2位((3−1)の場合、3位も含む)、Rh−2は、ラムノース残基の2位を表す。)
また、化粧品原料としてのヘスペリジンメチルカルコンは、(5)で示される化合物として取り扱われている。なお、カルコン型化合物を多く含む組成の場合、ヘスペリジンメチルカルコンとも呼ばれる。
【0025】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
本発明において用いられるメチルヘスペリジンは、上記で示したカルコン型化合物(1)とフラバノン型化合物(2)の両方を含むものでもよいし、また、それぞれの片方のみを含むものでもよい。
本発明において、より好適なメチルヘスペリジンとしては、化合物(3)と化合物(4)の混合物が挙げられる。
メチルヘスペリジンは、公知の方法、例えば、ヘスペリジンを水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、そのアルカリ溶液に対応量のジメチル硫酸を作用させ、反応液を硫酸で中和し、n−ブチルアルコールで抽出し、溶媒を留去したのち、イソプロピルアルコールで再結晶することにより製造できるが(崎浴、日本化學雑誌、79、733−6(1958))、その製造法はこれに限るものではない。
メチルヘスペリジンとして市販のメチルヘスペリジン含有製剤を使用してもよく、例えば、「メチルヘスペリジン」(東京化成工業(株))、「ヘスペリジンメチルカルコン」(Sigma社)、「メチルヘスペリジン」(浜理薬品工業(株))が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられるカテキン類は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。カテキン類の含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
【0027】
カテキン類は茶抽出物を用いてもよい。茶抽出物としては、茶抽出液、その濃縮物及びそれらの精製物から選択される少なくとも1種を使用することができる。
ここで、「茶抽出液」とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒を用いて抽出された抽出液であって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。なお、水溶性有機溶媒として、例えば、エタノール等の低級アルコールを使用することができる。また、抽出方法としては、ニーダー抽出、攪拌抽出(バッチ抽出)、向流抽出(ドリップ抽出)、カラム抽出等の公知の方法を採用できる。
【0028】
抽出に使用する茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。不発酵茶としては、例えば、煎茶、番茶、玉露、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が例示される。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が例示される。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、カテキン類の含有量の点から、緑茶が好ましい。
【0029】
また、「茶抽出液の濃縮物」とは、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶から選択される茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出された溶液の水分の一部を除去してカテキン類濃度を高めたものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。その形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが挙げられる。茶抽出液の濃縮物として市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等の緑茶抽出液の濃縮物がある。
茶抽出液等の精製は、溶剤やカラムを用いて精製することにより行うことができる。
【0030】
本発明で用いられるクロロゲン酸類は、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸及び5−フェルロイルキナ酸のモノフェルロイルキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。クロロゲン酸類の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
また、クロロゲン酸類は、塩の形態でもよく、塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
クロロゲン酸類は、これを含む植物の抽出物、その濃縮物又はそれらの精製物等を使用することができる。このような植物抽出物としては、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、生コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等から抽出されたものが挙げられる。なかでも、クロロゲン酸類含量等の点から、生コーヒー豆抽出物が好ましい。コーヒーの木の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種のいずれでもよい。なお、抽出、濃縮、精製の方法・条件は特に限定されず、公知の方法及び条件を採用することができる。
また、クロロゲン酸類として市販のクロロゲン酸類含有製剤を使用してもよく、例えば、フレーバーホルダーRC(長谷川香料(株))が挙げられる。
【0031】
本発明において、(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類を混合する際、(B)水溶性ポリフェノール類に対する(A)難水溶性ポリフェノール類の質量比[(A)/(B)]は、得られるポリフェノール組成物中の(A)難水溶性ポリフェノールの含有量を高める点、また、得られるポリフェノール組成物のコストの点から、0.05以上が好ましく、0.09以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、0.11以上が更に好ましく、0.13以上が更に好ましく、0.15以上が更に好ましい。また、得られるポリフェノール組成物の水への溶解性の点から、2以下が好ましく、更に1以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましく、0.4以下が更に好ましく、0.25以下が更に好ましい。また、0.05〜2が好ましく、0.09〜1がより好ましく、0.1〜0.5が更に好ましく、0.11〜0.4が更に好ましく、0.13〜0.25が更に好ましい。なお、本発明において、(A)難水溶性ポリフェノール類の質量は、難水溶性ポリフェノール類が水和物である場合は無水物換算量とする。
【0032】
(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物には、可塑剤として糖や糖アルコールを含有させることができる。
例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、マンノース、ラムノース、リボース、キシロース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールが好ましい。
【0033】
加熱処理において、(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物中の水性媒体の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が更に好ましく、実質的に水性溶媒を含有しないのが更に好ましい。
ここで、水性媒体の量には、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類に含まれる水和水は含めない。
【0034】
本発明における水性媒体とは、水、及び有機溶媒の水溶液をいう。水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、精製水が例示される。有機溶媒としては、水と均一に混合するものであれば特に限定されない。有機溶媒としては炭素数4以下のアルコールが例示され、炭素数4以下のアルコールとしては、プロパノール及びエタノールが例示される。
【0035】
(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物を加熱処理する方法は、特に制限されず、公知の方法を適用できるが、混合物を攪拌しながら加熱することが好ましい。例えば、エクストルーダー、ニーダー等の混練機を用いることができる。また、リボンミキサー等の攪拌機を用いることができる。
【0036】
加熱処理は、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点以上の温度において行う。かかる温度において加熱することで、(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物が溶融する。ポリフェノール類は構造中に類似の官能基を多く含んでいるため相溶性がある。したがって(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類のいずれか一つを加熱して融解又は柔軟化すれば、そこに他のポリフェノール類が溶解する。
さらに、(B)水溶性ポリフェノール類が(A)難水溶性ポリフェノール類の可溶化に重要な関与を示すため、(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点以上の温度に加熱することがより好ましい。
【0037】
加熱処理の温度は、混合物の粘度を下げて均一に混合するため、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より2℃以上、更に5℃以上、更に10℃以上高い温度が好ましく、(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より2℃以上、更に5℃以上、更に10℃以上高い温度がより好ましい。
例えば、融点135℃のメチルヘスペリジンの場合は、135℃以上が好ましく、137℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましく、150℃以上が更に好ましく、160℃以上が更に好ましい。
また、例えば、ガラス転移点150℃のグルコシルヘスペリジンの場合は、150℃以上が好ましく、152℃以上がより好ましく、155℃以上が更に好ましく、160℃以上が更に好ましい。
また、例えば、ガラス転移点140℃のクロロゲン酸の場合は、140℃以上が好ましく、142℃以上がより好ましく、145℃以上が更に好ましく、150℃以上が更に好ましく、160℃以上が更に好ましい。
また、例えば、カテキンの1種であるエピガロカテキンガレート(融点147℃)の場合は、147℃以上が好ましく、149℃以上がより好ましく、152℃以上が更に好ましく、157℃以上が更に好ましく、160℃以上が更に好ましい。
【0038】
(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の融点又はガラス転移点は、示差走査熱分析により測定することができる。
【0039】
また、加熱処理の温度は、ポリフェノール類の熱安定性の点より、200℃以下、更に180℃以下が好ましい。
【0040】
また、加熱処理の温度は、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より2℃高い温度以上180℃以下が好ましく、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より5℃高い温度以上180℃以下がより好ましく、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より10℃高い温度以上180℃以下が更に好ましい。加熱の手段は、例えば、水蒸気、電気が挙げられる。
【0041】
加熱処理の時間は、難水溶性ポリフェノール類の溶解性向上と熱安定性の点から、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点以上の温度に達してから0.1〜30分が好ましく、更に0.2〜15分、更に0.5〜10分が好ましい。
【0042】
工程(2)は、工程(1)で得られた加熱処理液を冷却し、固化させる工程である。
加熱処理液の冷却温度は、(A)難水溶性ポリフェノール類及び(B)水溶性ポリフェノール類の中で最も低い融点又はガラス転移点を持つポリフェノール類の融点又はガラス転移点未満が好ましく、(A)難水溶性ポリフェノール類の結晶化抑制の点から、100℃以下、更に60℃以下が好ましい。
【0043】
冷却方法は、例えば、加熱処理液を40℃以下、更に室温(25℃)の雰囲気下におくことが好ましい。また、加熱処理後の混合物に冷風を吹き付けて急冷することが好ましい。
【0044】
加熱処理温度から25℃まで低下するのに要した時間から算出される加熱処理液の冷却速度は0.2℃/s以上、更に0.5℃/s以上、1.0℃/s以上、3.0℃/s以上が好ましく、製造設備の制約等の観点から、例えば100℃/s以下、更には50℃/s以下が好ましい。
【0045】
本発明においては、様々な形態の製品に成型する観点から、更に冷却により固化したポリフェノール組成物を粉砕する工程を行うことが好ましい。粉砕する方法は、例えば、粉砕機として、グラインダー・ロールカッター等のカッター式粉砕機、ハンマーミル等の衝撃式粉砕機、コロイドミル等の摩砕式粉砕機等を用いることができる。粉砕時間、粉砕機の回転数等の粉砕条件は、適宜設定すればよい。
【0046】
かくして得られるポリフェノール組成物は、固体物の状態であり、水への溶解性に極めて優れる。即ち、得られたポリフェノール組成物における(A)難水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度が増加し、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上、更に好ましくは9倍以上、更に好ましくは10倍以上増加する。
また、本発明にかかるポリフェノール組成物における(A)難水溶性ポリフェノール類の25℃における水への初期溶解度は、好ましくは0.1〜1000(g/L)、より好ましくは0.2〜100(g/L)である。なお、「初期」とは、水への溶解時から20分までの期間を云う。
【0047】
本発明の製造方法で得られたポリフェノール組成物は、様々な飲食品や医薬品等に使用することができる。とりわけ、ポリフェノール組成物を溶解させた水溶液は低粘度で、且つ喉越しが良好なため、飲料に使用するのが有用である。飲料としては、例えば、茶、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、ニアウォーター等が挙げられる。
【0048】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の製造方法及び組成物を開示する。
【0049】
<1>次の工程(1)及び(2):
(1)(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物を、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点以上の温度に加熱し、加熱処理液を得る工程、
(2)得られた加熱処理液を冷却し、固化させる工程、
を含む、ポリフェノール組成物の製造方法。
【0050】
<2>加熱処理における(A)難水溶性ポリフェノール類と(B)水溶性ポリフェノール類の混合物中の水性媒体の含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは水性媒体を含まない、<1>に記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<3>(B)水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度が(A)難水溶性ポリフェノール類の25℃における水への溶解度よりも大きいものである、<1>又は<2>に記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<4>(A)難水溶性ポリフェノール類が、25℃における水への溶解度が好ましくは2g/L以下、より好ましくは1g/L以下、更に好ましくは0.5g/L以下、更に好ましくは0.2g/L以下、更に好ましくは0.05g/L以下のポリフェノール類である<1>〜<3>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<5>(A)難水溶性ポリフェノール類が、好ましくはフラボノール類、フラバノン類、フラボン類、イソフラボン類、フェノールカルボン酸類、アントシアニジン類、ヒドロキシケイ皮酸誘導体、エラグ酸及びリグナンから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはルチン、ケルシトリン、イソケルシトリン、ケルセチン、ミリシトリン、ミリセチン、ケンフェロール、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ヘスペレチン、ナリンギン、リンゲニン、プルニン、アストラガリン、アピイン、アピゲニ、ダイゼイン、ダイジン、グリシテイン、グリシチン、ゲニステイン、ゲニスチン、クルクミン、デルフィニジン、デルフィン、ナスニン、ペオニジン、ペオニン、ペツニン、マルビジン、マルビン、エニン、シアニジン、ロイコシアニジン、シアニン、クリサンテミン、ケラシアニン、イデイン、メコシアニン、ペラルゴニジン、カリステフィン、レスベラトロール、カフェ酸、フェルラ酸、p−クマル酸、エラグ酸、セサミン、セサミノール、セサモリン及びセサモールから選択される1種又は2種以上であり、更に好ましくはヘスペリジン、エラグ酸、セサミン及びフェルラ酸から選択される1種又は2種以上である<1>〜<4>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<6>(B)水溶性ポリフェノール類が、25℃における水への溶解度が好ましくは10g/L以上、より好ましくは15g/L以上、更に好ましくは20g/L以上のポリフェノール類である<1>〜<5>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<7>(B)水溶性ポリフェノール類が、好ましくは難水溶性ポリフェノール類の糖付加物、難水溶性ポリフェノール類のメチル化物、カテキン類及びクロロゲン酸類から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはグルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、グルコシルケルセチン、グルコシルイソクエルシトリン、メチルヘスペリジン、メチルケルセチン、メチルレスベラトロール、メチルルチン、カテキン類及びクロロゲン酸類から選択される1種又は2種以上であり、更に好ましくはグルコシルヘスペリジン、メチルヘスペリジン、カテキン類及びクロロゲン酸類から選択される1種又は2種以上である<1>〜<6>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<8>加熱処理する工程において、(B)水溶性ポリフェノール類に対する(A)難水溶性ポリフェノール類の混合質量比[(A)/(B)]が好ましくは0.05以上、より好ましくは0.09以上、更に好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.13以上、更に好ましくは0.15以上であり、また、好ましくは2以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.25以下であり、また、好ましくは0.05〜2、より好ましくは0.09〜1、更に好ましくは0.1〜0.5、更に好ましくは0.11〜0.4、更に好ましくは0.13〜0.25、更に好ましくは0.05〜2である、<1>〜<7>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<9>加熱処理の温度が、好ましくは(B)水溶性ポリフェノール類の中で最も低い融点又はガラス転移点を持つポリフェノール類の融点又はガラス転移点以上の温度である<1>〜<8>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<10>加熱処理の温度が、(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より好ましくは2℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上高い温度であり、更に(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より好ましくは2℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上高い温度であり、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下であり、また、好ましくは(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より2℃高い温度〜180℃の範囲、より好ましくは(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より5℃高い温度〜180℃の範囲、更に好ましくは(A)難水溶性ポリフェノール類又は(B)水溶性ポリフェノール類の最も低い融点又はガラス転移点より10℃高い温度〜180℃の範囲である、<1>〜<9>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<11>加熱処理液の冷却温度が、(A)難水溶性ポリフェノール類及び(B)水溶性ポリフェノール類の中で最も低い融点又はガラス転移点を持つポリフェノール類の融点又はガラス転移点未満が好ましく、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下である<1>〜<10>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<12>加熱処理液を冷却する工程において、加熱処理温度から25℃までの冷却速度が好ましくは0.2℃/s以上、より好ましくは0.5℃/s以上、更に好ましくは1.0℃/s以上、更に好ましくは3.0℃/s以上であり、また、好ましくは100℃/s以下、より好ましくは50℃/s以下である<1>〜<11>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<13>更に、固化したポリフェノール組成物を粉砕する工程を含む、<1>〜<12>のいずれかに記載のポリフェノール組成物の製造方法。
<14><1>〜<13>のいずれかに記載の製造方法により得られる、ポリフェノール組成物。
<15>(A)難水溶性ポリフェノール類の25℃における水への初期溶解度が、好ましくは0.1〜1000(g/L)、より好ましくは0.2〜100(g/L)である<13>に記載のポリフェノール組成物。
【実施例】
【0051】
[難水溶性ポリフェノール類の定量]
難水溶性ポリフェノール類の定量は、日立製作所製高速液体クロマトグラフを用い、インタクト社製カラムCadenza CD−C18 (4.6mmφ×150mm、3μm)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。移動相A液は0.05mol/L酢酸水溶液、B液はアセトニトリルとし、1.0mL/分で送液した。グラジエント条件は以下のとおりである。
時間(分) A液(%) B液(%)
0 85 15
20 80 20
35 10 90
50 10 90
50.1 85 15
60 85 15
試料注入量は10μL、フェルラ酸は波長320nm、ヘスペリジンとセサミンは波長283nmの吸光度によりそれぞれ定量した。
【0052】
また、エラグ酸の定量は、同じ装置を用いてグラジエント条件のみを以下のように設定して行った。
時間(分) A液(%) B液(%)
0 99 1
10 90 10
20 85 15
40 10 90
50 10 90
50.1 85 15
60 85 15
試料注入量は10μL、波長254nmの吸光度により定量した。
【0053】
[溶解性の評価]
エラグ酸組成物とセサミン組成物の場合は、エラグ酸とセサミンがそれぞれ1g/Lになるように蒸留水に加え、フェルラ酸組成物とヘスペリジン組成物の場合は、フェルラ酸とヘスペリジンがそれぞれ6g/Lとなるように蒸留水に加え、25℃で5分間振盪した。その後、孔径0.2μmのセルロースアセテートメンブレンフィルターでろ過し、前述の定量方法によって各成分の溶解濃度を測定した。
【0054】
[粘度の測定]
粘度は、サンプルの温度を20℃にした後、東機産業(株)製RE−85型粘度計を使用して測定した。ローターNo.1を用い、回転数は60r/minで行い、1分回転後の数値を読みとった。
【0055】
実施例1
エラグ酸二水和物(和光純薬工業(株)製、エラグ酸含有量89質量%、融点300℃以上、以下同じ)0.5gとメチルヘスペリジン製剤(浜理薬品工業(株)製、メチルヘスペリジン含有量100質量%、融点135℃、以下同じ)4.5gをスパチュラで混合し、2軸エクストルーダー(HAAKE製MiniCTW)に投入した。加熱温度は140℃、スクリュー回転数は50r/minとした。循環しながら15分間加熱処理した後、処理液を排出した。室温雰囲気で加熱処理液を25℃でまで冷却して、固化させた。次いで、ミル(岩谷産業製LM-PLUS)で1分間粉砕して、粉末の形態にてエラグ酸組成物を得た。140℃から25℃までの冷却時間から求めた冷却速度は3.8℃/sであった。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0056】
実施例2
加熱温度を160℃とした以外は実施例1と同様に処理してエラグ酸組成物を得た。160℃から25℃までの冷却時間から求めた冷却速度は4.5℃/sであった。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0057】
実施例3
加熱温度を180℃とした以外は実施例1と同様に処理してエラグ酸組成物を得た。180℃から25℃までの冷却時間から求めた冷却速度は5.2℃/sであった。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0058】
比較例1
エラグ酸ニ水和物0.5gとメチルヘスペリジン製剤4.5gを25℃にてスパチュラで混合してエラグ酸組成物を得た。組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0059】
比較例2
加熱温度を80℃とした以外は実施例1と同様に処理してエラグ酸組成物を得た。加熱処理時にエラグ酸ニ水和物とメチルヘスペリジンの混合物は溶解しなかった。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0060】
実施例4
エラグ酸二水和物0.5gとグルコシルヘスペリジン製剤((株)林原生物化学研究所製、グルコシルヘスペリジン含有量76質量%、ガラス転移点150℃)4.5gをスパチュラで混合して試験管に入れ、オイルバスに浸漬して5分間スパチュラ攪拌した。オイルバスの温度は160℃とした。室温雰囲気で加熱処理液を25℃でまで冷却して、固化させた後、実施例1と同様に粉砕してエラグ酸組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0061】
実施例5
グルコシルヘスペリジン製剤にかえてクロロゲン酸製剤(高砂香料工業(株)製、クロロゲン酸含有量40質量%、ガラス転移点140℃)4.5gを用いた以外は実施例4と同様に処理してエラグ酸組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0062】
実施例6
グルコシルヘスペリジン製剤にかえてカテキン製剤(DMS Nutritional Products社製、エピガロカテキンガレート含有量100質量%、融点147℃)4.5g用いた以外は実施例4と同様に処理してエラグ酸組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0063】
比較例3
メチルヘスペリジン製剤にかえてヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製メトローズSE−06、ガラス転移点180℃)4.5gを用い、加熱処理温度を200℃とした以外は実施例1と同様に処理してエラグ酸組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1より、本発明方法により水に対する溶解性が向上したポリフェノール組成物を得ることができた。
一方、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた場合は、難水溶性ポリフェノールの類の溶解度の向上は低く、水への溶解度は不十分であった。
【0066】
実施例7
フェルラ酸製剤(東京化成工業(株)製、フェルラ酸含有量100質量%、融点174℃)0.5gとクロロゲン酸製剤4.5gを混合した以外は実施例2と同様に処理してフェルラ酸組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表2に示した。
【0067】
比較例4
フェルラ酸製剤0.5gとクロロゲン酸製剤4.5gを25℃にてスパチュラで混合してフェルラ酸組成物を得た。組成物の溶解性の評価の結果を表2に示した。
【0068】
実施例8
セサミン(かどや製油(株)製、セサミン含有量100質量%、融点121℃)0.5gとメチルヘスペリジン製剤4.5gを混合した以外は実施例2と同様に処理してセサミン組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表2に示した。
【0069】
比較例5
セサミン0.5gとメチルヘスペリジン製剤4.5gを25℃にてスパチュラで混合してセサミン組成物を得た。組成物の溶解性の評価の結果を表2に示した。
【0070】
実施例9
ヘスペリジン製剤(浜理薬品工業(株)製、ヘスペリジン含有量90質量%、融点260℃)0.5gとメチルヘスペリジン製剤4.5gを混合した以外は実施例2と同様に処理してヘスペリジン組成物を得た。加熱処理条件と組成物の溶解性の評価の結果を表2に示した。
【0071】
比較例6
ヘスペリジン製剤0.5gとメチルヘスペリジン製剤4.5gを25℃にてスパチュラで混合してヘスペリジン組成物を得た。組成物の溶解性の評価の結果を表2に示した。
【0072】
【表2】
【0073】
表2より、本発明方法により水に対する溶解性が向上したポリフェノール組成物を得ることができた。
【0074】
試験例1
上記実施例2又は比較例3で得られたエラグ酸組成物1gとグレープフルーツ粉末果汁2.5gを混合して粉末飲料とした。これに蒸留水100gを加え、ロータリーシェーカーで150r/min、25℃で20分間振盪し、飲料を得た。振盪1分後、その後は振盪5分毎にサンプリングし、孔径0.2μmのセルロースアセテートメンブレンフィルターでろ過してエラグ酸濃度を測定した結果を表3及び
図1に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
表3及び
図1から明らかなように、実施例2のエラグ酸組成物は、25℃における水への初期溶解度が極めて高かった。
また、実施例2のエラグ酸組成物で調製した飲料の20分後の粘度は1.22mPa・sであり、喉越しが良好で飲料として適していた。一方、比較例3のエラグ酸組成物で調製した飲料の20分後の粘度は3.98mPa・sであった。