特許第6150535号(P6150535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150535レンズユニットおよびレンズユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150535
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】レンズユニットおよびレンズユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20170612BHJP
   G02B 13/04 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   G02B7/02 A
   G02B13/04
   G02B7/02 Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-12026(P2013-12026)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-142542(P2014-142542A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 忠史
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 克重
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−296538(JP,A)
【文献】 特開2010−197886(JP,A)
【文献】 特開2006−222473(JP,A)
【文献】 特開2007−199107(JP,A)
【文献】 特開平09−281372(JP,A)
【文献】 特開2006−003112(JP,A)
【文献】 特開2009−093071(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0151362(US,A1)
【文献】 特開2008−158200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って配置された複数のレンズと、該複数のレンズを保持する筒状のホルダと、を有するレンズユニットであって、
前記複数のレンズには、物体側レンズ面と、該物体側レンズ面を成形する金型部材に対して相対移動する金型部材により成形された像側レンズ面と、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面と同一の金型部材により成形され、前記ホルダの内側で当該ホルダの内面を基準に配置されてレンズ光軸の位置を規定する外周基準面とを有する成形レンズが含まれていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記複数のレンズには、前記成形レンズとして、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、レンズの間に配置された絞り側に位置するレンズ面と同一の金型部材により前記外周基準面が成形された成形レンズが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記複数のレンズには、前記成形レンズとして、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、他方側のレンズ面より曲率半径が(1/4)倍以下の一方側のレンズ面と同一の金型部材により前記外周基準面が成形された成形レンズが含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記複数のレンズには、前記成形レンズからなる単レンズが含まれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記複数のレンズには、前記成形レンズに対して当該成形レンズより外形寸法が小のレンズが接合された接合レンズが含まれていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記成形レンズは、プラスチックレンズであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記成形レンズの外周面のうち、前記外周基準面以外の部分は、当該外周基準面より径方向内側に位置することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記外周基準面と前記ホルダの内周面との間には、15μmから20μmの隙間があいていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のレンズユニット。
【請求項9】
光軸に沿って配置された複数のレンズと、該複数のレンズを保持する筒状のホルダと、を有するレンズユニットの製造方法であって、
前記複数のレンズのうち、前記ホルダの内側で当該ホルダの内面を基準に配置されてレンズ光軸の位置を規定する外周基準面を備えた成形レンズを製造する工程では、前記成形レンズの物体側レンズ面および像側レンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面を成形するレンズ面成形部、および前記外周基準面を成形する外周基準面成形部を備えた第1金型部材と、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、偏芯感度が低い方のレンズ面を成形するレンズ面成形部を備え、前記第1金型部材に対して相対的に移動する第2金型部材と、を用いることを特徴とするレンズユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズが筒状のホルダに保持されたレンズユニット、およびレンズユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のレンズが筒状のホルダに保持されたレンズユニットでは、レンズの光軸のずれが解像度を低下させる原因となる。そこで、レンズの光軸を調節して他のレンズに起因する透過偏芯量を相殺する構成が提案されている(特許文献1参照)。また、レンズに芯出し装置を設け、偏芯を防止する技術も提案されている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−268876号公報
【特許文献2】特開2010−243961号公報
【特許文献3】特開2003−161868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2、3に記載の構成のように芯出し装置を設けた構成では、レンズを保持するホルダの構成が複雑になって好ましくない。また、特許文献1に記載の構成のように、レンズの光軸を調節する構成では、他のレンズの透過偏芯量を求める必要があるため、レンズユニットの組み立てに多大な手間がかかる。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ホルダの構成やレンズユニットの組み立て作業を簡素化したままで、解像度の高いレンズユニット、およびレンズユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、光軸に沿って配置された複数のレンズと、該複数のレンズを保持する筒状のホルダと、を有するレンズユニットであって、前記複数のレンズには、物体側レンズ面と、該物体側レンズ面を成形する金型部材に対して相対移動する金型部材より成形された像側レンズ面と、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面と同一の金型部材により成形され、前記ホルダの内側で当該ホルダの内面を基準に配置されてレンズ光軸の位置を規定する外周基準面とを有する成形レンズが含まれていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、「偏芯感度」とは、複数のレンズにより構成させる光学系で、個々のレンズ面の単一偏芯x(光軸と直交する方向にレンズ面の中心軸が平行シフトすること)と、それによるレンズ性能の劣化量yとの比率y/xのことをいい、偏芯感度が大きいレンズは、小さな偏芯量でもレンズ性能の劣化量が大きくなる。
【0008】
また、本発明のレンズユニットの製造方法では、光軸に沿って配置された複数のレンズと、該複数のレンズを保持する筒状のホルダと、を有するレンズユニットの製造方法であって、前記複数のレンズのうち、前記ホルダの内側で当該ホルダの内面を基準に配置されてレンズ光軸の位置を規定する外周基準面を備えた成形レンズを製造する工程では、前記成形レンズの物体側レンズ面および像側レンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面を成形するレンズ面成形部、および前記外周基準面を成形する外周基準面成形部を備えた第1金型部材と、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、偏芯感度が低い方のレンズ面を成形するレンズ面成形部を備え、前記第1金型部材と相対的に移動する第2金型部材と、を用いることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、成形レンズとして、物体側レンズ面および像側レンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面と同一の金型部材により成形された外周基準面を有する成形レンズが用いられており、かかる成形レンズでは、レンズを製作する際の金型部材の間に位置ずれが発生した場合でも、偏芯感度が高い方のレンズ面と外周基準面との位置精度が高い。このため、外周基準面を基準に成形レンズをホルダ内に配置すると、レンズを製作する際の金型部材の間に位置ずれが発生した場合でも、偏芯感度が高い方のレンズ面の光軸を高い精度で所定位置に配置することができる。このため、レンズ面の偏芯に起因する解像度の低下を抑制することができる。また、本発明に係る構成であれば、特別な芯出し装置が不要である。また、本発明に係る構成であれば、成形レンズをホルダに配置する際の調整が最小限で済む。それ故、本発明によれば、ホルダの構成やレンズユニットの組み立て作業を簡素化したままで、解像度の高いレンズユニットを実現することができる。
【0010】
本発明において、前記複数のレンズには、前記成形レンズとして、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、レンズの間に配置された絞り側に位置するレンズ面と同一の金型部材により前記外周基準面が成形された成形レンズが含まれている構成を採用することができる。
【0011】
本発明において、前記複数のレンズには、前記成形レンズとして、前記物体側レンズ面および前記像側レンズ面のうち、他方側のレンズ面より曲率半径が(1/4)倍以下の一方側のレンズ面と同一の金型部材により前記外周基準面が成形された成形レンズが含まれている構成を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記複数のレンズには、前記成形レンズからなる単レンズが含まれている構成を採用することができる。
【0013】
本発明において、前記複数のレンズには、前記成形レンズに対して当該成形レンズより外形寸法が小のレンズが接合された接合レンズが含まれている構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記成形レンズは、例えば、プラスチックレンズである。本発明において、成形レンズとしては、ガラスレンズやプラスチックレンズを用いることができるが、プラスチックレンズであれば、レンズユニットを軽量化することができ、また、安価に製造することができる。
【0015】
本発明において、前記成形レンズの外周面のうち、前記外周基準面以外の部分は、当該外周基準面より径方向内側に位置することが好ましい。かかる構成によれば、外周基準面を基準に成形レンズをホルダ内に配置する際、外周基準面以外の部分がホルダの内周面に当たらず、邪魔にならない。また、成形レンズの外周面のうち、外周基準面以外の部分がホルダ内に配置する際の基準面となることがない。
【0016】
本発明において、前記外周基準面と前記ホルダの内周面との間には、15μmから20μmの隙間があいていることが好ましい。かかる構成によれば、ホルダが成形レンズと異なる熱膨張係数を有している場合でも、環境温度等の変化によって、成形レンズがホルダから応力を受けにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、成形レンズとして、物体側レンズ面および像側レンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面と同一の金型部材により成形された外周基準面を有する成形レンズが用いられており、かかる成形レンズでは、偏芯感度が高い方のレンズ面と外周基準面との位置精度が高い。このため、外周基準面を基準に成形レンズをホルダ内に配置すると、偏芯感度が高い方のレンズ面の光軸を高い精度で所定位置に配置することができる。このため、レンズ面の偏芯に起因する解像度の低下を抑制することができる。また、本発明に係る構成であれば、特別な芯出し装置が不要である。また、本発明に係る構成であれば、成形レンズをホルダに配置する際の調整が最小限で済む。それ故、本発明によれば、ホルダの構成やレンズユニットの組み立て作業を簡素化したままで、解像度の高いレンズユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係るレンズユニットの説明図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るレンズユニットに用いた成形レンズの偏芯感度を示す説明図である。
図3】本発明を適用した金型部材を用いてレンズを製作した際の偏芯等を示す説明図である。
図4】本発明を適用した金型部材を用いて製作したレンズの偏芯量を示すグラフである。
図5】本発明の実施の形態2に係るレンズユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットを説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(レンズユニットの構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るレンズユニットの説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は、レンズユニットの断面図、成形レンズを抜き出して示す説明図、および複数のレンズのうち、成形レンズの曲率半径を示す説明図である。なお、図1(b)では、各成形レンズにおいて第1金型部材で成形された部分は太線で表してある。また、図1(c)では、非球面の曲率半径については非球面係数を省略して示してある。
【0021】
図1に示すように、本形態のレンズユニット100は、装置光軸Lに沿って配置された複数のレンズ1、2、3、4と、赤外線フィルタ6とを有しており、レンズ1、2、3、4および赤外線フィルタ6は、筒状のホルダ7に保持されている。また、ホルダ7の内側において、レンズ3とレンズ4との間には絞り5が配置されている。本形態では、レンズ1、2、3、4および赤外線フィルタ6のうち、最も物体側L1に位置するレンズ1は、ホルダ7の物体側開口部7aを塞ぐように配置され、最も像側L2に位置する赤外線フィルタ6は、ホルダ7の像側開口部7bを塞ぐように配置されている。かかるレンズユニット100において、複数のレンズ1、2、3、4は、画角が150〜190°の広角レンズ11を構成している。
【0022】
本形態において、レンズ1(第1群)は、負のパワーをもつガラスレンズからなる。具体的には、レンズ1は、物体側L1のレンズ面1aが凸状の球面であり、像側L2のレンズ面1bが凹状の球面である。
【0023】
レンズ2は、負のパワーをもつプラスチック製の成形レンズからなる。具体的には、レンズ2は、物体側L1のレンズ面2aが凸状の球面あるいは非球面であり、像側L2のレンズ面2bが凹状の球面あるいは非球面である。レンズ面2a、2bの曲率半径を比較すると、像側L2のレンズ面2b(絞り5側のレンズ面2b)の曲率半径は、物体側L1のレンズ面2aの曲率半径の約(1/7.6)倍である。
【0024】
レンズ2は、レンズ面2a、2bの外周側にフランジ部21を有しており、かかるフランジ部21の外周面は、ホルダ7の内側でホルダ7の内面720のうち、物体側L1に位置する部分722を基準に配置されてレンズ2の光軸の位置を規定する外周基準面210になっている。なお、レンズ2のフランジ部21において、物体側L1の面には段部22が形成されている。このため、レンズ2の外周面(フランジ部21の外周面)には、外周基準面210より小径の面211が形成されているが、かかる小径の面211は、レンズ2の光軸の位置を規定する基準面としては利用されていない。
【0025】
レンズ3は、正のパワーをもつプラスチック製の成形レンズからなる。具体的には、レンズ3は、物体側L1のレンズ面3aが凹状の球面あるいは非球面であり、像側L2のレンズ面3bが凸状の球面あるいは非球面である。本形態において、レンズ面3a、3bの曲率半径を比較すると、像側L2のレンズ面3b(絞り5側のレンズ面3b)の曲率半径は、物体側L1のレンズ面3aの曲率半径の約(1/3.8)倍である。レンズ3は、レンズ面3a、3bの外周側にフランジ部31を有しており、かかるフランジ部31の外周面は、ホルダ7の内側でホルダ7の内面720のうち、装置光軸L方向の中間に位置する部分723を基準に配置されてレンズ3の光軸の位置を規定する外周基準面310になっている。
【0026】
レンズ4は、正のパワーをもつ接合レンズからなる。かかるレンズ4において、物体側L1のレンズ面4aが凸状の球面あるいは非球面であり、像側L2のレンズ面4bが凸状の球面あるいは非球面である。ここで、レンズ4は、物体側L1のプラスチック製のレンズ46(成形レンズ)と、像側L2のプラスチック製のレンズ47(成形レンズ)とを接着剤で接合した接合レンズからなり、レンズ46の像側L2のレンズ面46bとレンズ47の物体側L1のレンズ面47aとが接着剤で接合されている。このため、物体側L1のレンズ46の物体側L1のレンズ面46aによって、レンズ4の物体側L1のレンズ面4aが構成され、像側L2のレンズ47の像側L2のレンズ面47bによって、レンズ4の像側L2のレンズ面4bが構成されている。本形態において、レンズ面46a、46bの曲率半径を比較すると、像側L2のレンズ面46bの曲率半径は、物体側L1のレンズ面46aの曲率半径の約(1/17.9)倍である。また、レンズ面47a、47bの曲率半径を比較すると、物体側L1のレンズ面47aの曲率半径は、像側L2のレンズ面47bの曲率半径の約(1/5.0)倍である。また、レンズ面46a、46b、47a、47bの曲率半径を比較すると、レンズ面46b、47aの曲率半径は、他のレンズ面46a、47bより小となっている。
【0027】
かかるレンズ4も、レンズ2、3と同様、レンズ面4a、4bの外周側にフランジ部41を有しており、フランジ部41の外周面は、ホルダ7の内側でホルダ7の内面720のうち、像側L2に位置する部分724を基準に配置されてレンズ4の光軸の位置を規定する外周基準面410になっている。本形態において、レンズ46はレンズ47より大径であることから、外周基準面410は、レンズ46のフランジ部460の外周面によって形成されている。なお、レンズ4のフランジ部41において、像側L2の面にはレンズ47のフランジ部470に起因する段部45が形成されている。このため、レンズ4の外周面(フランジ部41の外周面)には、外周基準面410より小径の面411が形成されているが、かかる小径の面411は、レンズ2の光軸の位置を規定する基準面としては利用されていない。
【0028】
(ホルダ7等の構成)
ホルダ7は、樹脂製の筒体であり、装置光軸L方向において、最も後側に位置する穴空きの底板部71と、底板部71の外周縁から前側(物体側)に延在する筒状胴部72と、筒状胴部72の前端に形成された環状の段部73と、筒状胴部72より大の内径をもって段部73の外周縁から前側(物体側)に延在する筒部74とを有している。なお、ホルダ7は、樹脂製に限らず、アルミニウム等の金属製であってもよい。
【0029】
かかるホルダ7において、底板部71の像側L2の面には、赤外線フィルタ6の物体側L1の面6aが当接し、赤外線フィルタ6の像側L2の面6bに対向するように、撮像素子(図示せず)が配置されている。
【0030】
ホルダ7の筒状胴部72の内面720のうち、像側L2の部分にはレンズ4のフランジ部41が当接して位置決めされる段部721が形成されており、段部721によって装置光軸L方向に位置決めされたレンズ4の物体側L1に対して絞り5、レンズ3、およびレンズ2がこの順に重ねられている。本形態において、レンズ2、3は、ホルダ7に圧入により、あるいはホルダ7との間に最小の隙間を隔てて挿入されることにより、固定されている。
【0031】
ここで、レンズ4の外周基準面410は、ホルダ7の筒状胴部72の内面720と平行である。このため、レンズ4をホルダ7の筒状胴部72の内側に配置すると、外周基準面410は、ホルダ7の内面720を基準に配置される。その結果、レンズ4の光軸の位置が規定される。
【0032】
また、レンズ3の外周基準面310は、ホルダ7の筒状胴部72の内面720と平行である。このため、レンズ3をホルダ7の筒状胴部72の内側に配置すると、外周基準面310は、ホルダ7の内面720を基準に配置される。その結果、レンズ3の光軸の位置が規定される。
【0033】
さらに、レンズ2の外周基準面210は、ホルダ7の筒状胴部72の内面720と平行である。このため、レンズ2をホルダ7の筒状胴部72の内側に配置すると、外周基準面210は、ホルダ7の内面720を基準に配置される。その結果、レンズ2の光軸の位置が規定される。
【0034】
ホルダ7の大径の筒部74の内側には、段部73を利用してレンズ1が装置光軸L方向に位置決めされている。また、レンズ1は、筒部74の端部をカシメすることにより、固定されている。その際、レンズ1は、レンズ2、3、4を像側L2に押圧することにより、レンズ2、3、4を固定した状態とすることもある。また、レンズ3、4をホルダ7の内側に配置した後、レンズ2を圧入し、レンズ3、4を固定することもある。さらには、レンズ2、3、4をホルダ7の内側に配置した後、レンズ2のフランジ部21の外周面でホルダ7の物体側L1の端部を、ホルダ7の筒状胴部72に向けて加圧カシメすることにより固定することもある。
【0035】
(レンズユニット1の解像度)
図2は、本発明の実施の形態1に係るレンズユニット100に用いた成形レンズの偏芯感度を示す説明図である。図2には、偏芯感度として画角75°における像面倒れ係数、BestMTF減衰係数、および画角ズレ係数が示されている。像面倒れ係数は、画角75°の結像点が、偏芯により光軸方向にシフトする量を偏芯量で割った値である。この係数が大きいと、いわゆるピンボケ画像になってしまう。BestMTF減衰係数は、画角75°の結像点でのMTFが、偏芯により減衰する量を、偏芯量で割った値である。この係数が大きいと、解像力の低いぼやけた画像となってしまう。画角ズレ係数は、基準像面における画角75°の像点が、偏芯により変化する量を角度換算し、それを偏芯量で割った値である。この係数が大きいと、画角のズレが大きくなり、像の歪みなども併発してしまう。これらは、いずれも、絶対値が大きいほど、変化量が大きくなり、光学系の性能としての変化・劣化が大きくなることを示す。
【0036】
図2に示すように、レンズ2(成形レンズ)のレンズ面2a、2bを比較すると、像側L2のレンズ面2b(絞り5側のレンズ面2b)の方が物体側L1のレンズ面2aより像面倒れ係数、BestMTF減衰係数、および画角ズレ係数のいずれにおいても絶対値が大であり、偏芯感度が大である。それ故、レンズ2のレンズ面2a、2bを比較すると、像側L2のレンズ面2bの光軸を優先して最適化すべきといえる。
【0037】
レンズ3(成形レンズ)のレンズ面3a、3bを比較すると、像側L2のレンズ面3b(絞り5側のレンズ面3b)の方が物体側L1のレンズ面3aより像面倒れ係数、BestMTF減衰係数、および画角ズレ係数のいずれにおいても絶対値が大であり、偏芯感度が大である。それ故、レンズ3のレンズ面3a、3bを比較すると、像側L2のレンズ面3bの光軸を優先して最適化すべきといえる。
【0038】
レンズ46(成形レンズ)のレンズ面46a、46bを比較すると、BestMTF減衰係数では、像側L2のレンズ面46bの方が物体側L1のレンズ面46aより絶対値が小であるが、像側L2のレンズ面46bの方が物体側L1のレンズ面46aより像面倒れ係数や画角ズレ係数において絶対値が大である。このため、レンズ面46a、46bを比較すると、像側L2のレンズ面46bの方が物体側L1のレンズ面46aより、偏芯感度が大であるといえる。それ故、レンズ46のレンズ面46a、46bを比較すると、像側L2のレンズ面46b(曲率半径がレンズ面46aの(1/4)倍以下のレンズ面46b)の光軸を優先して最適化すべきといえる。
【0039】
レンズ47(成形レンズ)のレンズ面47a、47bを比較すると、物体側L1のレンズ面47aの方が像側L2のレンズ面47bより像面倒れ係数、BestMTF減衰係数、および画角ズレ係数のいずれにおいても絶対値が大であり、偏芯感度が大である。それ故、レンズ47のレンズ面47a、47bを比較すると、物体側L1のレンズ面47aの光軸を優先して最適化すべきといえる。
【0040】
但し、レンズ46の像側L2のレンズ面46bと、レンズ47の物体側L1のレンズ面47aとを比較すると、レンズ46の像側L2のレンズ面46bの方が、レンズ47の物体側L1のレンズ面47aより、像面倒れ係数、BestMTF減衰係数、および画角ズレ係数のいずれにおいても絶対値が大であり、偏芯感度が大である。それ故、レンズ4(接合レンズ)では、レンズ面46b、47aのうち、レンズ46の像側L2のレンズ面46bの光軸を優先して最適化すべきといえる。
【0041】
そこで、本形態では、図3等を参照して以下に説明するように、各レンズ2、3、46を成形する際、偏芯感度の観点から優先すべきレンズ面と外周側基準面との位置精度を高めてある。
【0042】
(レンズ3の成形方法)
図3は、本発明を適用した金型部材を用いてレンズ3を製作した際の偏芯等を示す説明図であり、図3(a)、(b)、(c)は、本発明を適用した金型の説明図、成形する際に金型を構成する第1金型部材と第2金型部材との間に位置ずれが発生した場合の説明図、および位置ずれが発生した状態で製作したレンズ3をホルダ7に配置した様子を示す説明図である。図4は、本発明を適用した金型部材を用いて製作したレンズ3の偏芯量を示すグラフであり、図4(a1)、(a2)は、偏芯感度が高い像側L2のレンズ面3bの偏芯量のばらつきを示すグラフであり、偏芯感度が低い物体側L1のレンズ面3aの偏芯量のばらつきを示すグラフである。なお、図4に示す各データは、1つの金型によって同時形成された8つのレンズ3の偏芯データを示しており、図4に示す円形は、規格値である。
【0043】
本形態では、図1および図2を参照して説明したレンズ3を製作する際、図3(a)に示すように、互いに相対移動して開閉する第1金型部材8と第2金型部材9と用いる。ここで、第1金型部材8は、レンズ3の物体側L1のレンズ面3aおよび像側L2のレンズ面3bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面3bを成形するレンズ面成形部81と、外周基準面310を成形する外周基準面成形部82とを備えている。第2金型部材9は、レンズ3の物体側L1のレンズ面3aおよび像側L2のレンズ面3bのうち、偏芯感度が低い方のレンズ面3aを成形するレンズ面成形部91を備えている。このため、レンズ3は、物体側L1のレンズ面3aと、物体側L1のレンズ面3aと異なる金型部材により成形された像側L2のレンズ面3bと、物体側L1のレンズ面3aおよび像側L2のレンズ面3bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面3bと同一の金型部材により成形された外周基準面310とを有することになる。
【0044】
かかる構成の金型では、第1金型部材8および第2金型部材9のうちの一方が固定型であり、他方が可動型である。かかる金型を用いてレンズ2を製作する際、図3(b)に示すように、第1金型部材8と第2金型部材9とを重ねたときに第1金型部材8と第2金型部材9との間に矢印Fで示すように光軸方向と直交する方向の位置ずれが発生した場合、外周基準面成形部82とレンズ面成形部91とは異なる金型部材に形成されているので、外周基準面成形部82とレンズ面成形部91との間の位置精度は低くなってしまう。但し、外周基準面成形部82とレンズ面成形部81とは同一の金型部材(第1金型部材8)に形成されているため、外周基準面成形部82とレンズ面成形部81との間の位置精度は高いレベルを維持することができる。それ故、レンズ3では、外周基準面310と偏芯感度が低い方のレンズ面3aとの間の位置精度は、図4(b1)に示す結果と、図4(b2)に示す結果との間でばらついてしまうが、外周基準面310と偏芯感度が高い方のレンズ面3aとの間の位置精度は、図4(a1)に示す結果と、図4(a2)に示す結果との間に納まる。よって、図3(c)に示すように、外周基準面310を基準にレンズ3をホルダ7の内側に配置した際、偏芯感度が低い方のレンズ面3aの光軸と装置光軸Lとの間には比較的大きな偏芯が発生するのに対して、偏芯感度が高い方のレンズ面3bの光軸と装置光軸Lとの間には大きな偏芯が発生しない。
【0045】
これに対して、図3(a)、(b)に示す外周基準面成形部82を第2金型部材9に設けると、第1金型部材8と第2金型部材9との間に位置ずれが発生した場合、外周基準面310と偏芯感度が高い方のレンズ面3bとの間の位置精度が大きく低下してしまう。
【0046】
(他のレンズ2、46の構成)
本形態では、図1(b)に示すように、他の成形レンズ(レンズ2、46)も、レンズ3と同様な方法で製作してある。より具体的には、レンズ2を製作する際、レンズ2の物体側L1のレンズ面2aおよび像側L2のレンズ面2bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面2b(絞り5側のレンズ面2b)を成形するレンズ面成形部、および外周基準面210を成形する外周基準面成形部を備えた第1金型部材と、レンズ2の物体側L1のレンズ面2aおよび像側L2のレンズ面2bのうち、偏芯感度が低い方のレンズ面2aを成形するレンズ面成形部を備えた第2金型部材とを用いる。このため、レンズ2は、物体側L1のレンズ面2aと、物体側L1のレンズ面2aと異なる金型部材により成形された像側L2のレンズ面2bと、物体側L1のレンズ面2aおよび像側L2のレンズ面2bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面2bと同一の金型部材により成形された外周基準面210とを有することになる。
【0047】
また、レンズ46を製作する際、レンズ46の物体側L1のレンズ面46aおよび像側L2のレンズ面46bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面46b(曲率半径が小さいレンズ面46b)を成形するレンズ面成形部、および外周基準面410を成形する外周基準面成形部を備えた第1金型部材と、レンズ46の物体側L1のレンズ面46aおよび像側L2のレンズ面46bのうち、偏芯感度が低い方のレンズ面46aを成形するレンズ面成形部を備えた第2金型部材と用いる。このため、レンズ46は、物体側L1のレンズ面46aと、物体側L1のレンズ面46aと異なる金型部材により成形された像側L2のレンズ面46bと、物体側L1のレンズ面46aおよび像側L2のレンズ面46bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面46bと同一の金型部材により成形された外周基準面410とを有することになる。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のレンズユニット100で用いた成形レンズ(レンズ2、3、46)として、物体側のレンズ面および像側のレンズ面のうち、偏芯感度が高い方のレンズ面2b、3b、46bと同一の金型部材により成形された外周基準面210、310、410を有する成形レンズが用いられており、かかる成形レンズでは、偏芯感度が高い方のレンズ面2b、3b、46bと外周基準面210、310、410との位置精度が高い。
【0049】
より具体的には、絞り5より物体側L1に位置するレンズ2、3は、絞り5側に向くレンズ面2b、3bと同一の金型部材により成形された外周基準面210、310を有している。かかるレンズ2、3では、物体側L1の面2a、3aに比して、像側L2の面2b、3bの方が絞り5に近いため、偏芯感度が高い。また、絞り5より像側L2で接合レンズ4に用いたレンズ46は、他方側の面(絞り5側のレンズ面46a)より曲率半径が(1/4)倍以下の一方側のレンズ面(絞り5とは反対側のレンズ面46b)と同一の金型部材により成形された外周基準面410を有している。絞り5より像側L2に位置するレンズ46は、光径が絞られた光が通過するため、絞り5側に向くか否かより、曲率半径が小さい方のレンズ面46bの方の偏芯感度が高い。
【0050】
このため、レンズを製作する際の第1金型部材と第2金型部材との間に位置ずれが発生した場合でも、偏芯感度が高い方のレンズ面2b、3b、46bと外周基準面210、310、410との位置精度が高い。従って、外周基準面210、310、410を基準に成形レンズ(レンズ2、3、46)をホルダ7内に配置すると、レンズを製作する際の第1金型部材と第2金型部材との間に位置ずれが発生した場合でも、偏芯感度が高い方のレンズ面2b、3b、46bの光軸を高い精度で所定位置に配置することができるので、レンズ面の偏芯に起因する解像度の低下を抑制することができる。また、本形態に係る構成であれば、特別な芯出し装置が不要である。また、本形態に係る構成であれば、成形レンズ(レンズ2、3、46)をホルダ7に配置する際の調整が最小限で済む。それ故、本形態によれば、ホルダの構成やレンズユニットの組み立て作業を簡素化したままで、解像度の高いレンズユニットを実現することができる。
【0051】
また、レンズ2の外周面のうち、外周基準面210以外の部分は、外周基準面210より径方向内側に位置する。このため、レンズ2の外周面のうち、外周基準面210以外の部分は、外周基準面210を基準にレンズ2をホルダ7内に配置する際、ホルダ7の内面720に当たらないため、邪魔にならない。また、レンズ2の外周面のうち、外周基準面210以外の部分がホルダ7との基準面になることもない。同様に、レンズ4(接合レンズ)の外周面のうち、外周基準面410以外の部分(レンズ47の外周面)は、外周基準面410より径方向内側に位置する。このため、レンズ4の外周面のうち、外周基準面410以外の部分は、ホルダ7の内面720に当たらないため、邪魔にならない。また、レンズ4の外周面のうち、外周基準面410以外の部分がホルダ7との基準面になることもない。
【0052】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係るレンズユニット100の説明図であり、図5(a)、(b)、(c)は、レンズユニットの断面図、成形レンズを抜き出して示す説明図、および複数のレンズのうち、成形レンズ(プラスチックレンズ)の曲率半径を示す説明図である。なお、図5(b)では、各成形レンズにおいて第1金型部材で成形された部分は太線で表してある。また、図5(c)では、非球面の曲率半径については非球面係数を省略して示してある。また、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0053】
図5に示すように、本形態のレンズユニット100も、実施の形態1と同様、装置光軸Lに沿って配置された複数のレンズ1、2、3、4と、赤外線フィルタ6とを有しており、レンズ1、2、3、4および赤外線フィルタ6は、筒状のホルダ7に保持されている。また、レンズ3とレンズ4との間には絞り5が配置されている。
【0054】
本形態において、レンズ1はガラスレンズからなり、レンズ2、3、4はプラスチック製の成形レンズからなる。本形態において、レンズ面2a、2bの曲率半径を比較すると、像側L2のレンズ面2bの曲率半径は、物体側L1のレンズ面2aの曲率半径の約(1/6.7)倍である。また、レンズ面2a、2bの偏芯感度を比較すると、像側L2のレンズ面2b(絞り5側のレンズ面2b)の偏芯感度は、実施の形態1と同様、物体側L1のレンズ面2aの偏芯感度より大である。このため、レンズ2を製作する際、図3を参照して説明したように、レンズ2の物体側L1のレンズ面2aおよび像側L2のレンズ面2bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面2bを成形するレンズ面成形部81、および外周基準面210を成形する外周基準面成形部82を備えた第1金型部材8と、レンズ2の物体側L1のレンズ面2aおよび像側L2のレンズ面2bのうち、偏芯感度が低い方のレンズ面2aを成形するレンズ面成形部91を備えた第2金型部材9とを用いる。このため、レンズ2は、物体側L1のレンズ面2aと、物体側L1のレンズ面2aと異なる金型部材により成形された像側L2のレンズ面2bと、物体側L1のレンズ面2aおよび像側L2のレンズ面2bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面2bと同一の金型部材により成形された外周基準面210とを有することになる。
【0055】
レンズ3は、レンズ面3a、3bの曲率半径を比較すると、像側L2のレンズ面3bの曲率半径は、物体側L1のレンズ面3aの曲率半径の約(1/51.2)倍である。また、レンズ面3a、3bの偏芯感度を比較すると、像側L2のレンズ面3b(絞り5側のレンズ面3b)の偏芯感度は、実施の形態1と同様、物体側L1のレンズ面3aの偏芯感度より大である。このため、レンズ3を製作する際、レンズ3の物体側L1のレンズ面3aおよび像側L2のレンズ面3bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面3bを成形するレンズ面成形部、および外周基準面310を成形する外周基準面成形部を備えた第1金型部材と、レンズ3の物体側L1のレンズ面3aおよび像側L2のレンズ面3bのうち、偏芯感度が低い方のレンズ面3aを成形するレンズ面成形部を備えた第2金型部材とを用いる。従って、レンズ3は、物体側L1のレンズ面3aと、物体側L1のレンズ面3aと異なる金型部材により成形された像側L2のレンズ面3bと、物体側L1のレンズ面3aおよび像側L2のレンズ面3bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面3bと同一の金型部材により成形された外周基準面310とを有することになる。
【0056】
レンズ46は、レンズ面46a、46bの曲率半径を比較すると、像側L2のレンズ面46bの曲率半径は、物体側L1のレンズ面46aの曲率半径の約(1/2.3)倍である。一方、レンズ面46a、46bの偏芯感度を比較すると、物体側L1のレンズ面46a(絞り5側のレンズ面46a)の偏芯感度は、像側L2のレンズ面46bの偏芯感度より大である。このため、レンズ46を製作する際、レンズ46の物体側L1のレンズ面46aおよび像側L2のレンズ面46bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面46aを成形するレンズ面成形部、および外周基準面410を成形する外周基準面成形部を備えた第1金型部材と、レンズ46の物体側L1のレンズ面46aおよび像側L2のレンズ面46bのうち、偏芯感度が低い方のレンズ面46bを成形するレンズ面成形部を備えた第2金型部材とを用いる。従って、レンズ46は、物体側L1のレンズ面46aと、物体側L1のレンズ面46aと異なる金型部材により成形された像側L2のレンズ面46bと、物体側L1のレンズ面46aおよび像側L2のレンズ面46bのうち、偏芯感度が高い方のレンズ面46aと同一の金型部材により成形された外周基準面410とを有することになる。
【0057】
かかる構成でも、成形レンズ(レンズ2、3、46)では、偏芯感度が高い方のレンズ面2b、3b、46aと外周基準面210、310、410との位置精度が高い。このため、実施の形態1と同様、レンズを製作する際の第1金型部材と第2金型部材との間に位置ずれが発生した場合でも、レンズ面の偏芯に起因する解像度の低下を抑制することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0058】
[他の実施の形態]
上記実施の形態において、成形レンズ(レンズ2、3、46)の外周基準面210、310、410と、ホルダ7の内面720との間には、少なくとも、15μmから20μmの隙間があいていることが好ましい。かかる構成によれば、ホルダ7が成形レンズ(レンズ2、3、46)と異なる熱膨張係数を有している場合でも、環境温度等の変化によって、成形レンズ(レンズ2、3、46)がホルダ7から応力を受けにくい。
【0059】
なお、上記実施の形態においては、4群5枚のレンズ構成を示したが、5群6枚等、いずれのレンズ構成のレンズユニットに本発明を適用してもよい。例えば、レンズは、2枚あるいは3枚でもよい。
【符号の説明】
【0060】
2、3、46、47・・レンズ(成形レンズ)
2a、3a、46a・・レンズ面(レンズの物体側の面)
2b、3b、46b・・レンズ面(レンズの像側の面)
5・・絞り
7・・ホルダ
8・・第1金型部材
9・・第2金型部材
81、91・・レンズ面成形部
82・・外周基準面成形部
720・・ホルダの内面
100・・レンズユニット
210、310、410・・外周基準面
L・・光軸
L1・・物体側
L2・・像側
図1
図2
図3
図4
図5