(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜6のいずれかに記載の扉において、前記ヒンジは、前記開口部を形成している不動部材と扉本体のうちの一方に配置されていて、上下方向を長さ方向とするピン部を有する第1ヒンジ部材と、前記不動部材と前記扉本体のうちの他方に配置されていて、前記第1ヒンジ部材の前記ピン部が挿入される穴が設けられている第2ヒンジ部材と、を含んで構成されていることを特徴とする扉。
請求項7に記載の扉において、前記第1ヒンジ部材は、本体部と、前記不動部材に取り付けるための取付部とを有し、前記第2ヒンジ部材は、前記第1ヒンジ部材よりも上側に配置され、本体部と、前記扉本体に取り付けるための取付部とを有し、前記第1ヒンジ部材の前記ピン部は、この第1ヒンジ部材の前記本体部の上部に設けられており、前記第2ヒンジ部材の前記穴は、この第2ヒンジ部材の前記本体部の底部に設けられていることを特徴とする扉。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トイレブースは各種の建物施設に設けられ、その一つが幼稚園や保育園である。これらの幼稚園や保育園のトイレブースを使用する者は園児であり、このトイレブースの出入口に配置される扉は、園児により数多く開閉されたり接触されたりするものである。
【0005】
このため、園児が扉に接触したときに受ける影響を軽減できるように、扉の表面の少なくとも一部を軟質材料により形成することが考えられる。
【0006】
しかし、扉が園児により本人の意図しない強い力で使用されることにより、扉に対して厚さ方向への過大な荷重が作用する場合があり、この場合には、軟質材料で形成されたこの扉が厚さ方向へ湾曲変形して扉やヒンジが損傷したり、扉がヒンジから離脱するおそれがある。このため、扉に対して厚さ方向への過大な荷重が作用することによる扉やヒンジの損傷や、扉がヒンジから離脱することを防止するための工夫が求められている。
【0007】
本発明の目的は、厚さ方向への過大な荷重が作用しても、損傷やヒンジからの離脱が防止できるようになる扉を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る扉は、開口部を開閉するためにこの開口部に配置され、上下方向に離間して配置された複数のヒンジを中心に開閉自在となっている扉において、表面の少なくとも一部が軟質材料で形成され、少なくとも複数の前記ヒンジが配置される部分同士の間は、厚さ方向に湾曲変形しにくい構造となっていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、開口部を開閉するためにこの開口部に配置され、上下方向に離間して配置された複数のヒンジを中心に開閉自在となっている扉の表面の少なくとも一部は、軟質材料で形成されている。これにより、扉が使用する者により数多く開閉されたり接触されたりしても、使用する者が扉に接触した際に受ける影響を軽減できる。
【0010】
そして、本発明では、表面の少なくとも一部が軟質材料で形成されている扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間は、厚さ方向に湾曲変形しにくい構造となっている。
【0011】
これにより、意図しない外力が加わることによって扉に対して厚さ方向への過大な荷重が作用しても、扉における複数の前記ヒンジが配置される部分同士の間は、厚さ方向に湾曲変形しにくいため、ヒンジや扉が損傷することや、扉がヒンジから離脱することが防止される。
【0012】
このように、本発明によると、開口部を開閉するためにこの開口部に配置され、上下方向に離間して配置された複数のヒンジを中心に開閉自在となっている扉は、厚さ方向への過大な荷重が作用しても、ヒンジを含む扉の損傷や離脱が防止できるようになる。
【0013】
ここで、「湾曲変形しにくい」とは、扉の表面の少なくとも一部を形成する軟質材料と比較して湾曲変形しにくいという意味である。
【0014】
本発明において、軟質材料とは、通常の扉の材料として用いられている鋼板等の金属や合板等の木材よりも柔軟性を有する材料のことであり、この軟質材料には、高発泡倍率の軟質性発泡樹脂や軟質ゴム等が含まれる。したがって、鋼板等の金属や合板等の木材などは、軟質材料よりも剛性を有する、すなわち、軟質材料と比較して湾曲変形しにくい硬質材料となる。
【0015】
また、本発明において、扉の表面の少なくとも一部を軟質材料により形成することは、同じ材料を用いて行ってもよく、上述した発泡樹脂やゴムのように異種の材料を用いて行ってもよい。
【0016】
本発明において、表面の少なくとも一部が軟質材料で形成されている扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間を、厚さ方向に湾曲変形しにくいものとするための構造は、任意なものでよく、その一例は、扉における複数のヒンジが配置される部分同士の間に、この間に渡る長さを有する硬質材料で形成された硬質部材を配置した構造である。なお、この硬質材料とは、上述したように、例えば、鋼板等の金属や合板等の木材などの材料、すなわち、軟質材料よりも剛性を有する材料のことであり、軟質材料よりも厚さ方向に湾曲変形しにくい材料でもある。この硬質材料には、低発泡倍率の硬質性発泡樹脂や硬質ゴム等が含まれる。
【0017】
なお、扉における複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置する硬質部材の全部又は一部は、表面が軟質材料で覆われるのが好ましい。ここで、「全部」とは、略全部等、使用上において実質的に全部と同じ目的を達成できる場合を含む。
【0018】
このように、硬質部材の全部又は一部の表面が軟質材料で覆われることにより、扉を使用する者がこの扉における複数のヒンジが配置される部分同士の間に接触した際に受ける影響を軽減することができる。
【0019】
本発明において、扉における複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置する硬質部材は、複数のヒンジのうち、少なくとも1個のヒンジが配置される部分まで達する長さを有するものとしてもよい。すなわち、本発明において、扉における複数のヒンジが配置される部分同士の間に加えて、ヒンジが配置される部分も厚さ方向湾曲変形しにくい構造としてもよい。
【0020】
これによると、ヒンジの扉への取付状態をより強固なものとすることができる。
【0021】
本発明において、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間を厚さ方向に湾曲変形しにくい構造とするために、扉に硬質部材を配置する場合において、この扉は、1枚の板状部材により形成するものであってもよく、複数の板状部材により形成するものであってもよい。
【0022】
扉を複数の板状部材により形成する場合の一例として、扉を略同じ形状、寸法を有する3枚の板状部材を厚さ方向に重ね合わせることにより形成し、これらの板状部材は軟質材料で形成された軟質板状部材とし、厚さ方向中間に配置される板状部材における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間と対応する部分を切欠部とし、この切欠部に硬質部材を配置したものを挙げることができる。
【0023】
これによると、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間は、厚さ方向に湾曲変形しにくい構造となるとともに、扉のうち、少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間を除いた部分は、厚さ方向に湾曲変形しやすい構造となる。
【0024】
また、これによると、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置される硬質部材の表面の少なくとも一部は、扉の表裏面を形成する厚さ方向両側に配置された軟質板状部材で覆われる。このため、扉を使用する者が、少なくとも扉における複数のヒンジが配置される部分同士の間に接触しても、この扉を使用する者が接触する際に受ける影響を軽減できるようになる。
【0025】
ここで、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置される硬質部材の構造は任意なものでよく、例えば、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間に渡る長さを有する1本の棒状部材により形成されるものであってもよく、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間の長さ方向である上下方向に並設された複数本の棒状部材により形成されるものであってもよい。なお、硬質部材を形成するこれらの棒状部材は、中空であってもよく、なくてもよい(言い換えると、中実でもよい)。前者の場合には、棒状部材の軽量化が図れるようになる。
【0026】
また、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置される硬質部材の形状、寸法も任意なものでよく、例えば、硬質部材を、厚さ方向中間に配置される板状部材の厚さ寸法と同じ略同じ厚さ寸法を有するものとし、切欠部の上下の長さ方向と直交する方向である幅方向の寸法よりも小さい幅寸法を有するものとしてもよい。
【0027】
この場合において、硬質部材は、切欠部の幅方向の内側に寄って配置するようにしてもよく、しなくてもよい。
【0028】
前者の場合には、硬質部材における切欠部の幅方向の内側とは反対側の面である外側面に、軟質材料で形成された軟質部材を配置してもよく、しなくてもよい。
【0029】
また、前者の場合には、軟質部材の外部に露出する外側面と、3枚の板状部材のうちの厚さ方向両側に配置される板状部材の外側面とは面一状態又は略面一状態としてもよく、しなくてもよい。
【0030】
なお、前述したように、硬質部材は、複数のヒンジのうち、少なくとも1個のヒンジが配置される部分まで達する長さを有するものしてもよい。
【0031】
本発明において、扉における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間を厚さ方向に湾曲変形しにくい構造とするために、扉に硬質部材を配置する場合であって、扉を複数の板状部材により形成する場合の他の一例として、扉を同じ形状、寸法を有する3枚の板状部材を厚さ方向に重ね合わせることにより形成し、厚さ方向両側に配置される2枚の板状部材を、軟質材料で形成された軟質板状部材とし、厚さ方向中間に配置される板状部材を、軟質材料よりも硬質の材料で形成された硬質板状部材としたものを挙げる。
【0032】
この例では、硬質板状部材における少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間と対応する部分が、複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置されている硬質部材となる。
【0033】
すなわち、この例では、厚さ方向中間に配置される硬質板状部材が、少なくとも複数のヒンジが配置される部分同士の間に配置される硬質部材を兼ねるものとなっており、このため、扉の構造の簡単化を図ることができるようになる。
【0034】
なお、この例において、「軟質材料よりも硬質の材料」には、鋼板等の金属や合板等の木材などの材料のほか、軟質部材よりも硬度の高い軟質材料も含む。すなわち、例えば、「軟質材料」を高発泡倍率の軟質性発泡樹脂や軟質ゴムとした場合には、「軟質材料よりも硬質の材料」は低発泡倍率の硬質性発泡樹脂や硬質ゴムとしてもよい。
【0035】
また、この例において、厚さ方向中間に配置される硬質板状部材(少なくとも複数のヒンジが配置される部分やこれらの部分同士の間、施錠装置が配置される部分等を除く)には、複数個の貫通孔を形成するようにしてもよい。これによると、厚さ方向中間に配置される硬質板状部材の軽量化を図ることができる。
【0036】
以上の本発明において、扉を開閉自在とするためのヒンジの形式、構造等は、任意なものでよく、ヒンジの第1の例として、開口部を形成している不動部材と扉本体のうちの一方に配置されていて、上下方向を長さ方向とするピン部を有する第1ヒンジ部材と、開口部を形成している不動部材と扉本体のうちの他方に配置されていて、第1ヒンジ部材のピン部が挿入される穴が設けられている第2ヒンジ部材と、を含んで構成されているものを挙げることができる。
【0037】
また、ヒンジの第2の例として、ヒンジ本体と、このヒンジ本体に対してそれぞれ回動自在となっている一対の羽根部(取付部)を有し、一方の羽根部が開口部を形成している不動部材に取り付けられ、他方の羽根部が扉本体の表面に取り付けられるものを挙げることができる。
【0038】
上述したヒンジの第1の例におけるより具体的な一例として、第1ヒンジ部材は、本体部と、不動部材に取り付けるための取付部とを有し、第2ヒンジ部材は、第1ヒンジ部材よりも上側に配置され、本体部と、扉本体に取り付けるための取付部とを有し、第1ヒンジ部材のピン部は、この第1ヒンジ部材の本体部の上部に設けられており、第2ヒンジ部材の穴は、この第2ヒンジ部材の本体部の底部に設けられているものを挙げることができる。
【0039】
また、上述したヒンジの第1の例におけるより具体的な他の一例として、第1ヒンジ部材は、本体部と、扉本体に取り付けるための取付部とを有し、第2ヒンジ部材は、第1ヒンジ部材よりも下側に配置され、本体部と、不動部材に取り付けるための取付部とを有し、第1ヒンジ部材のピン部は、この第1ヒンジ部材の本体部の底部に設けられており、第2ヒンジ部材の穴は、この第2ヒンジ部材の本体部の上部に設けられているものを挙げることができる。
【0040】
なお、本発明において、扉を開閉自在とするためのヒンジの表面の少なくとも一部も、軟質材料で覆うことが好ましい。
【0041】
本発明において、扉を開口部の内側と外側の少なくとも一方から施錠するための施錠装置を備えるようにしてもよく、しなくもよい。前者の場合には、施錠装置の表面の少なくとも一部を軟質材料で覆うようにしてもよい。
【0042】
また、本発明において、扉を開閉操作する把持部材を備えるようにしてもよく、しなくもよい。前者の場合には、把持部材の表面の少なくとも一部を軟質材料で覆うようにしてもよい。
【0043】
なお、本発明において、軟質材料で形成した扉の表面は、網目形状に加工処理するようにしてもよい。
【0044】
これによると、扉の表面の外力(人間や物との摩擦接触や、人間や動物による引っ掻き等)に対する強度を大きいものとすることができるようになる。
【0045】
なお、上述の網目形状に加工する処理は、加熱処理と共にするようにしてもよい。これによると、扉の表面が熱硬化するため、扉の表面の強度をより大きくすることができるようになる。
【0046】
なお、本発明において、扉のうち、扉関連部材である前述した複数のヒンジ、施錠装置及び把持部材等の配置位置と対応する部分は、硬質材料で形成することが好ましい。
【0047】
これによると、扉関連部材を硬質材料で形成された部分に固定することができ、この扉関連部材の扉への取付状態をより強固なものとすることができる。また、これによると、扉関連部材を扉に取り付ける際に、この扉関連部材が扉にめり込んでしまうことを硬質材料で食い止めることができる。
【0048】
本発明は、任意な開口部を開閉するための扉に適用することができ、この開口部は、トイレブースの出入口でもよく、教室や居室等の部屋の出入口でもよい。
【0049】
また、トイレブースは幼稚園や保育園に設置されるものでもよく、公園等の公共施設に設置されるものでもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明によると、扉に対して厚さ方向への過大な荷重が作用しても、ヒンジを含む扉の損傷や、扉のヒンジからの離脱が防止できるようになるという効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態に係る扉1が適用されたトイレブース2が示されており、このトイレブース2は幼稚園又は保育園に設置されているものである。本実施形態では、複数個のトイレブース、
図1では2個のトイレブース2A,2Bが横方向連設されているため、連設式のトイレブースとなっており、それぞれのトイレブース2A,2Bごとに扉1が設けられている。具体的な構造を後述するこれらの扉1は、金属や木材よりも柔軟な材料であって、軟質材料となっている発泡樹脂製の3枚の板状部材を厚さ方向に重ね合わせることにより形成されたものとなっている。
【0053】
それぞれのトイレブース2A,2Bは、左右方向の間隔を開けて設置されている正面パネル3と、正面パネル3から後方に延びている側面パネル4と、これらの側面パネル4の後端において、正面パネル3と平行に立設されている図示外の室内壁とにより、平面視で四角形に形成され、正面パネル3同士の間が、それぞれのトイレブース2A,2Bの出入口となっている開口部5となっている。そして、互いに連結されている正面パネル3と側面パネル4は、脚部材6により床に立設されている。このように、正面パネル3は、開口部5を形成する不動部材となっている。
【0054】
図1で3個示されている不動部材である正面パネル3A,3B,3Cのうち、中央の正面パネル3Bは、言い換えると、2個のトイレブース2Aと2Bの間に設けられた正面パネル3Bは、これらのトイレブース2Aと2Bに共通の正面パネルになっており、また、
図1で3個示されている不動部材である側面パネル4A,4B,4Cのうち、正面パネル3Bの左右方向中央部から後方に延びている側面パネル4Bは、トイレブース2Aと2Bを仕切るための間仕切りパネルとなっている。
【0055】
図2は、
図1のトイレブース2を示す正面図である。それぞれのトイレブース2の扉1は、正面パネル3に上下方向に離間して配置された具体的な構造を後述する2個のヒンジ7で開閉自在に取り付けられており、これにより、正面パネル3Aと3Bとの間に形成されているトイレブース2Aの出入口となっている開口部5Aは、扉1Aにより開閉され、正面パネル3Bと3Cとの間に形成されているトイレブース2Bの出入口となっている開口部5Bは、扉1Bにより開閉される。このため、開口部5A,5Bに配置されている扉1A,1Bは、左右の側辺10,12のうちの左の側辺10側に配置された上下2個のヒンジ7を中心に開閉自在となっているとともに、左側開きの扉となっている。
【0056】
このように、開口部5Aは、左右方向の間隔を開けて配置されている不動部材となっている2枚の正面パネル3A,3Bにより形成されており、開口部5Bは、左右方向の間隔を開けて配置されている不動部材となっている2枚の正面パネル3B,3Cにより形成されている。また、扉1は、開口部5を開閉するためにこの開口部5に開閉自在に配置されている。
【0057】
また、
図2に示されているように、それぞれの扉1は、正面視で略長方形の形状となっているとともに、四つの角部がラウンド形状に面取りされたものとなっている。また、扉1の下辺11は、正面パネル3の下辺と面一状態又は略面一状態となっており、扉1の上辺13は、正面パネル3の上辺と面一状態又は略面一状態となっている。
【0058】
このため、扉1は、
図1〜
図3に示されているように、左側開きの扉として使用できるだけでなく、左右の側辺10,12のうちの右の側辺12側に配置された上下2個のヒンジ7を中心に開閉自在となっている右側開きの扉としても使用できるようになっている。
【0059】
なお、それぞれの扉1の表面(トイレブース2の外側の面)14や裏面(トイレブース2の内側の面)15(
図1を参照)には、幼稚園や保育園の園児が興味を抱く色付きの絵柄を表示するようにしてもよい。
【0060】
なお、扉1の形状は、
図2に示されているような正面視で略長方形の形状に限定されるものでなく、任意な形状なものでよい。例えば、扉1の形状は、正面視で非四角形の形状となっていてもよく、この場合の形状は、例えば、1個又は複数個の果物(例えば、スイカ、オレンジ、キウイフルーツ等)の断面形状の輪郭を表す形状でもよい。そして、この形状を有する扉1の表面には、果物の中身(断面の様子)を表す絵柄を表示するようにしてもよい。
【0061】
また、それぞれの扉1には、これらの扉1が前述の開口部5を閉じているときに、これらの扉1を正面パネル3に施錠するために扉関連部材となっている施錠装置20が設けられている。この施錠装置20は、
図4及び
図5に示されているように、扉1におけるトイレブース2の内側に向いている面に、水平軸を中心に回動自在に取り付けられているサムターン部材21と、このサムターン部材21に結合されている棒状のラッチ22と、正面パネル3におけるトイレブース2の外側に向いている面に取り付けられているラッチ受け部材23とを有するものとなっている。
図4は、サムターン部材21を回動させる前であって、ラッチ22の先端部がラッチ受け部材23の溝部23Aに嵌合してしないときを示しており、このときの施錠装置20は開錠されており、扉1を開閉操作することができる。また、
図5は、サムターン部材21を90度回動させた後であって、ラッチ22の先端部がラッチ受け部材23の溝部23Aに嵌合しているときを示しており、このときの施錠装置20は施錠されており、扉1を開閉操作することができない。このように、施錠装置20は、室内側であるトイレブース2の内側(内部)から施錠するための扉関連部材となっている。
【0062】
なお、サムターン部材21には、扉1の内部にこの扉1の厚さ方向に挿入して配置された挿入部22Aが設けられており、この挿入部22Aは、扉1の内部にこの扉1の厚さ方向に貫通配置されている筒状のケース24の内部において、ケース24から抜け出し不能となってサムターン部材21と一体に回動自在となっている。また、この筒状のケース24におけるトイレブース2の外側の面は、
図2に示されているように、窓孔25Aが形成された閉鎖面25となっている。施錠装置20を
図5に示されているように施錠するために、サムターン部材21を90度回動させると、ケース24の内部で90度回動する挿入部22Aの先端面に表示されている図示外の着色マークが窓孔25Aに露出するため、トイレブース2の外部から施錠装置20が施錠されていることを確認できる。このため、窓孔25Aは、施錠装置20の施錠状態を示すマーク部となっている。このように、施錠装置20のうちの室外側であるトイレブース2の外側の部分には、施錠状態を示すマーク部が設けられている。
【0063】
なお、本実施形態では、扉1が開口部5を閉じる全閉位置に達したときには、
図4及び
図5に示されているように、扉1におけるトイレブース2の内側に向いている面は、ラッチ受け部材23に当接している。このため、ラッチ受け部材23は、扉1の全閉位置を規定するための戸当たり部材を兼ねている。ラッチ受け部材23におけるトイレブース2の外側に向いている面には、扉1が当たったときの衝撃を緩和し、かつ園児に対する安全性を考慮して、発泡樹脂やゴム、モヘヤ等による軟質部材26が取り付けられている。このような軟質部材は、溝部23Aの開口部分と正面パネル3との接触面を除くラッチ受け部材23の全面に設けてもよい。
【0064】
また、
図4及び
図5に示されているように、扉1の右の側辺12を形成する右側の端部9は、ラッチ受け部材23から開口部5とは反対側の左右方向へ突出している。このため、正面パネル3との間に指や手を差し込むことができる間隔があいているこの端部9により、扉1をヒンジ7を中心に開閉操作できるようになっており、端部9を扉1の把持部材であるノブや取っ手の代わりとして使用できるようになっている。
【0065】
次に、
図1〜
図3に示されている扉1A,1Bの具体的な構造について説明する。扉1A,1Bは、ともに同じ形状、構造を有するものとなっているため、
図1〜
図3において右側に配置されている扉1Bの構造について以下説明する。
【0066】
図6には、扉1Bの分解斜視図が示されている。この
図6から分かるように、扉1Bは、金属や木材よりも柔軟な材料であって、軟質材料となっている発泡樹脂製の3枚の板状部材16,17,18を扉1の厚さ方向(
図6に示す矢印A方向)に重ね合わせることにより形成されるものとなっている。このため、3枚の板状部材は、軟質材料で形成された軟質板状部材となっている。
【0067】
なお、
図6に示されている扉1の厚さ方向両側に配置される2枚の板状部材16,18のうちの手前側の板状部材16には、施錠装置20のサムターン部材21が2点鎖線で示されている。また、3枚の板状部材16,17,18の右側の端部の上部には、
図1に示す上のヒンジ7を構成する
図7に示されている第2ヒンジ部材33を取り付けるための貫通孔16A,17A,18Aが設けられており、3枚の板状部材16,17,18の右側の端部の下部には、
図1に示す下のヒンジ7を構成する
図7に示されている第2ヒンジ部材33を取り付けるための貫通孔16B,17B,18Bが設けられている。このため、
図6は、
図1に示すトイレブース2Bの内側から見たとき扉1Bの分解斜視図となっている。
【0068】
また、
図6に示されているように、扉1の厚さ方向中間に配置される板状部材17における上の貫通孔17Aと下の貫通孔17Bとの間には、扉1の長さ方向(
図6に示す矢印C方向)への長さを有する切欠部17Cが形成されている。すなわち、扉1の厚さ方向中間に配置される板状部材17における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間(後述する
図8に示されている部分1C)と対応する部分は切欠部17Cとなっている。
【0069】
そして、この板状部材17の切欠部17Cには、上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間に渡る長さ(扉1の長さ方向への長さ)を有するフラットバー状の棒状部材27が配置される。SUS(ステンレス鋼)等の金属や木材等の硬質材料で形成された硬質部材となっているこの棒状部材27は、
図6に示すように、板状部材17の厚さ寸法D1と同じ又は略同じ厚さ寸法D2を有しているとともに、切欠部17Cの上下の長さ方向(
図6に示す矢印C方向)と直交する方向である幅方向(
図6に示す矢印B方向)の寸法W1よりも小さい幅寸法W2を有している。
【0070】
図7は、板状部材17の切欠部17Cに棒状部材27が配置された状態を示す図である。この
図7に示されているように、棒状部材27は、切欠部17Cの幅方向(
図6に示す矢印B方向)の内側に寄って配置されている。そして、棒状部材27における切欠部17Cの幅方向の内側とは反対側の面である外側面27A(
図6参照)には、軟質材料で形成された軟質部材となっている棒状部材28が配置されている。
図6に示されているように、棒状部材28の厚さ寸法D3は、板状部材17の厚さ寸法D1や棒状部材27の厚さ寸法D2と同じ又は略同じとなっている。また、棒状部材28の幅寸法W3は、切欠部17Cの幅寸法W1から棒状部材27の幅寸法W2を引いた幅寸法となっている。
【0071】
このため、
図7に示されている3枚の板状部材16,17,18が接着等により重ね合わされた状態が示されている
図8から分かるように、棒状部材28の外部に露出する外側面28Aと、3枚の板状部材16,17,18のうちの扉1の厚さ方向両側に配置される板状部材16,18の外側面16C,18Cとは面一状態又は略面一状態となっている。
【0072】
なお、棒状部材27,28の上下方向の寸法である長さ寸法は、切欠部17Cの上下方向の寸法である長さ寸法と同じ又はこれよりも小さいものとなっている。
【0073】
このように、本実施形態では、上述した3枚の板状部材16,17,18及び棒状部材27,28により、扉1の扉本体1D(
図8参照)が形成されている。
【0074】
なお、本実施形態では、3枚の板状部材16,17,18は、共に同じ厚さ寸法(
図6に示す矢印A方向である扉1の厚さ方向の寸法)を有するものとなっているが、互いに異なる厚さ寸法を有するものとなっていてもよい。
【0075】
本実施形態では、
図1に示されている上下2個のヒンジ7は、
図8やこの
図8に示されている扉1B及び正面パネル3Bの上部の拡大図である
図9に示されているように、正面パネル3に配置される第1ヒンジ部材30と、扉1の扉本体1Dに配置される第2ヒンジ部材33とを含んで構成されている。
【0076】
図10には、第1ヒンジ部材30の分解斜視図が示されており、
図11には、第2ヒンジ部材33の分解斜視図が示されている。
【0077】
図10に示されているように、第1ヒンジ部材30は、上部31Aに上下方向を長さ方向とするピン部31Bが設けられ、側面部31Cに水平方向に延びる上下2個の円柱状の突出部31Dが設けられている円柱状の本体部31と、水平方向に延びる上下2個の円筒状の突出部32Aが設けられている板状のベース部材32とからなっている。そして、本体部31の上下2個の突出部31Dは、ベース部材32の上下2個の突出部32Aの内部32Bに挿入可能となっている。なお、ベース部材32の上下2個の突出部32Aの長さ寸法(突出量)は、正面パネル3の厚さ寸法と同じ又はこれよりも小さいものとなっている。
【0078】
第1ヒンジ部材30の正面パネル3Bへの取り付けは、ベース部材32の上下2個の突出部32Aを、正面パネル3Bの上部に形成された図示されない上下2個の貫通孔や、正面パネル3Bの下部に形成された図示されない上下2個の貫通孔に挿通した後、本体部31の上下2個の突出部31Dをベース部材32の上下2個の突出部32Aの内部32Bに挿入するとともに、これらの突出部31D,32A同士を接着やビス等による止着で固定することにより行われる。このため、本体部31の上下2個の突出部31Dと、ベース部材32の上下2個の突出部32Aは、第1ヒンジ部材30を正面パネル3Bに取り付けるための取付部となっている。
【0079】
図11に示されているように、第2ヒンジ部材33は、水平方向に延びる上下2個の円柱状の突出部34Eを有する羽根部34Dが側面部34Cに設けられている円柱状の本体部34と、水平方向に延びる上下2個の円筒状の突出部35Aが設けられている板状のベース部材35とからなっている。そして、本体部34の上下2個の突出部34Eは、ベース部材35の上下2個の突出部35Aの内部35Bに挿入可能となっている。なお、ベース部材35の上下2個の突出部35Aの長さ寸法(突出量)は、扉本体1Dの厚さ寸法と同じ又はこれよりも小さいものとなっている。
【0080】
第2ヒンジ部材33の扉1の扉本体1Dへの取り付けは、ベース部材35の上下2個の突出部35Aを、扉本体1Dを形成する3枚の板状部材16,17,18の上部にそれぞれ形成された上下2個の貫通孔16A,17A,18A(
図6参照)や、3枚の板状部材16,17,18の下部にそれぞれ形成された上下2個の貫通孔16B,17B,18B(
図6参照)に挿通した後、本体部34の上下2個の突出部34Eをベース部材35の上下2個の突出部35Aの内部35Bに挿入するとともに、これらの突出部34E,35A同士を接着やビス等による止着で固定することにより行われる。このため、本体部34の上下2個の突出部34Eと、ベース部材35の上下2個の突出部35Aは、第2ヒンジ部材33を扉本体1Dに取り付けるための取付部となっている。
【0081】
図11に示されているように、第2ヒンジ部材33の本体部34の底部34Aには、
図10に示されている第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aに設けられているピン部31Bが挿入可能な穴34Bが設けられている。
【0082】
このため、
図1に示されているヒンジ7の組み立て作業、すなわち、第1ヒンジ部材30と第2ヒンジ部材33との連結作業は、まず、
図8や
図9に示されているように、扉本体1Dに取り付けられた上下2個の第2ヒンジ部材33の本体部34の底部34Aの高さ位置が、正面パネル3に取り付けられた第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bの先端の高さ位置よりも高くなるまで扉本体1Dを持ち上げる。
【0083】
この後、扉本体1Dを下ろしながら、正面パネル3に取り付けられた第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bを、扉本体1Dに取り付けられた上下2個の第2ヒンジ部材33の本体部34の底部34Aの穴34Bに挿入する作業を行う。この作業は、第2ヒンジ部材33の本体部34の底部34が、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aに載置するまで行う。
【0084】
これにより、第2ヒンジ部材33は、
図1に示されているように、第1ヒンジ部材30よりも上側に配置されるとともに、第2ヒンジ部材33の本体部34は、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bを中心に回動自在となる。このため、扉本体1Dは、第1ヒンジ部材30と第2ヒンジ部材33とを含んで構成されるヒンジ7で開口部5に開閉自在に配置される。
【0085】
なお、本実施形態において、第2ヒンジ部材33の本体部34の底部34Aに上下方向を長さ方向とするピン部を設け、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aに前記ピン部が挿入される穴を設けるようにしてもよい。
【0086】
なお、本実施形態では、ヒンジ7は、扉1を開き移動させるとこの扉1が自重により自動的に閉じ移動するいわゆるグレビティヒンジとなっていてもよく、なっていなくてもよい。
【0087】
また、扉1を開閉自在とするためのヒンジは、上述した形式、構造等を有するものに限定されるものではなく、任意な形式、構造等のものでよい。
【0088】
以上説明した本実施形態では、扉1は、
図6に示されているように、軟質材料となっている発泡樹脂製の3枚の板状部材16,17,18を厚さ方向に重ね合わせることにより形成されたものとなっている。すなわち、本実施形態では、扉1の表面の大部分は、軟質材料で形成されることになる。
【0089】
このため、本実施形態によると、扉1が使用する者により数多く開閉されたり接触されたりしても、使用する者にとっての安全性を確保することができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、
図6に示されているように、扉1の厚さ方向中間に配置される板状部材17における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間(
図1に示されている部分1C)と対応する部分は切欠部17Cとなっており、この切欠部17Cには、硬質材料で形成されたフラットバー状の棒状部材27が配置されている。
【0091】
このため、本実施形態によると、意図しない外力が加わることにより扉1に対して厚さ方向への過大な荷重が作用しても、扉1における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間は、扉1のうちの上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間の部分を除いた部分と比較して、厚さ方向に湾曲変形しにくいため、これらのヒンジ7が損傷することが防止される。
【0092】
また、本実施形態では、上下2個のヒンジ7は、第1ヒンジ部材30と第2ヒンジ部材33とを含んで構成されており、第2ヒンジ部材33は、
図1に示されているように、第1ヒンジ部材30よりも上側に配置されるとともに、
図9に示されているように、第2ヒンジ部材33の本体部34の底部34Aの穴34Bに、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bが挿入され、第2ヒンジ部材33の本体部34は、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bを中心に回動自在となっている。
【0093】
このため、扉1における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間が、厚さ方向に湾曲変形しやすいものとなっている場合には、扉1に対して厚さ方向への過大な荷重が作用することにより、扉1における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間が厚さ方向に湾曲変形し、これにより、ヒンジ7が損傷するおそれがあるだけでなく、第2ヒンジ部材33の本体部34が、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bから抜けてしまうおそれがある。すなわち、扉1が正面パネル3から外れてしまうおそれがある。
【0094】
しかし、本実施形態では、扉1における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間は、硬質材料で形成されたフラットバー状の棒状部材27の存在により、厚さ方向に湾曲変形しにくいものとなっているため、扉1に対して厚さ方向への過大な荷重が作用することにより、第2ヒンジ部材33の本体部34が、第1ヒンジ部材30の本体部31の上部31Aのピン部31Bから抜けてしまうことが防止できるようになっている。すなわち、扉1が正面パネル3から外れて(離脱して)しまうことが防止できるようになっている。
【0095】
なお、扉1のうち、上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間を除いた部分は、軟質材料となっている発泡樹脂製の3枚の板状部材16,17,18で形成されているため、厚さ方向に湾曲変形しやすいものとなっている。このため、扉1のうち、上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間を除いた部分に、園児による本人の意図しない強い力が加わっても、この扉1が厚さ方向に湾曲変形するため、園児の安全性がより向上するものとなっている。
【0096】
このように、本実施形態によると、開口部5を開閉するためにこの開口部5に配置され、上下方向に離間して配置された上下2個のヒンジ7を中心に開閉自在となっている扉1は、園児にとっての安全性の向上を図ることができるとともに、厚さ方向への過大な荷重が作用しても、ヒンジ7や扉1の損傷や、扉1のヒンジ7からの離脱が防止できるようになる。
【0097】
また、本実施形態では、
図7に示されているように、棒状部材27は、切欠部17Cの幅方向(
図6に示す矢印B方向)の内側に寄って配置されており、棒状部材27における切欠部17Cの幅方向の内側とは反対側の面である外側面27A(
図6参照)には、軟質材料で形成された軟質部材となっている棒状部材28が配置されている。そして、
図8から分かるように、棒状部材28の外部に露出する外側面28Aと、3枚の板状部材16,17,18のうちの扉1の厚さ方向両側に配置される板状部材16,18の外側面16C,18Cとは面一状態又は略面一状態となっている。
【0098】
このため、本実施形態によると、棒状部材27における切欠部17Cの幅方向の内側とは反対側の面である外側面27Aに配置されている棒状部材28の存在により、扉1におけるヒンジ7が配置されている側の外側面に園児が接触しても、この園児が接触した際に受ける影響を軽減することができる。
【0099】
なお、本実施形態において、
図6及び
図7に示されている棒状部材28は、棒状部材27における切欠部17Cの幅方向の内側とは反対側の面である外側面27A(
図6参照)に配置しなくてもよい。
【0100】
なお、
図4及び
図5に示されている施錠装置20の筒状のケース24は、3枚の板状部材16,17,18を貫通して扉1に形成された孔29に接着剤等で結合されており、このケース24におけるトイレブース2の内側の端部に設けられていて、サムターン部材21が回動自在に接触しているケースベース部24Aも、扉1におけるトイレブース2の内側の面に接着剤等で結合されている。このように、施錠装置20の少なくとも一部は軟質材料で覆われている。すなわち、前述したように、施錠装置20のうちの室外側であるトイレブース2の外側の部分には、施錠状態を示すマーク部である窓孔25Aが設けられているが、このトイレブース2の外側の部分のうちの窓孔25Aを除いた部分が、軟質材料で覆われている。
【0101】
なお、
図1〜
図11の実施形態において、3枚の板状部材16,17,18のそれぞれにおける施錠装置20や上下2個のヒンジ7が配置される部分と対応する部分は、硬質材料で形成するようにしてもよい。これによると、施錠装置20や上下2個のヒンジ7が扉1にめり込むことを防止することができ、施錠装置20や上下2個のヒンジ7を扉1に強固に結合することができる。
【0102】
図12は、
図1〜
図11に示されている扉1の別実施形態(変形例)を示す図であり、
図6と同様の分解斜視図である。なお、以下で説明する各実施形態が示されている各図において、
図1〜
図11に示されている実施形態と同じ部材、装置、部位、寸法等には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0103】
図12に示されているように、この実施形態においても、
図1〜
図11に示されている実施形態と同様に、扉1の厚さ方向中間に配置される板状部材17には、切欠部17Dが形成されているが、この切欠部17Dの長さ方向である上下方向の寸法(矢印C方向の寸法)は、上のヒンジ7が配置される位置から下のヒンジ7が配置される位置に渡る長さを有している。すなわち、本実施形態では、
図1〜
図11に示されている実施形態と異なり、扉1の厚さ方向中間に配置される板状部材17における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間と対応する部分に加えて、上下2個のヒンジ7が配置される部分も切欠部17Dとなっている。
【0104】
このため、この切欠部17Cに配置される棒状部材57の長さ寸法や、この棒状部材57における切欠部17Dの幅方向の内側とは反対側の面である外側面57Cに配置される棒状部材58の長さ寸法も、上のヒンジ7が配置される位置から下のヒンジ7が配置される位置に渡る長さを有している。すなわち、本実施形態では、棒状部材57及び棒状部材28は、上のヒンジ7が配置される部分及び下のヒンジ7が配置される部分まで達する上下方向の長さを有するものとなっている。
【0105】
また、
図12に示されているように、本実施形態では、
図6に示す板状部材17における切欠部17Cの上方と下方に形成される貫通孔17A,17Bにそれぞれ対応する貫通孔57A,57Bが、棒状部材57の上部(上端部近傍)と下部(下端部近傍)にそれぞれ形成されている。
【0106】
このため、本実施形態では、上下2個のヒンジ7は、扉1の厚さ方向両側に配置される軟質材料で形成された板状部材16,18と、扉1の厚さ方向中間に配置される硬質材料で形成された硬質部材となっている棒状部材57とに取り付けられることになり、
図1〜
図11に示す実施形態と比較して、上下2個のヒンジ7の扉1への取付状態はより強固なものとなる。
【0107】
なお、この
図12の実施形態に係る扉1も、上下2個のヒンジ7で開口部5に開閉自在に配置されるものとなっており、この扉1にも、
図4及び
図5に示されている施錠装置20が配置されるものとなっている。
【0109】
この
図13に示されている扉1も、
図1〜
図11や
図12に示されている扉1と同様に、3枚の板状部材46,47,48を厚さ方向に重ね合わせることにより形成されるものであるが、これら3枚の板状部材46,47,48は、同じ形状、寸法を有するものとなっており、厚さ方向両側に配置される2枚の板状部材46,48は、軟質材料である高発泡倍率の軟質性発泡樹脂で形成された軟質板状部材となっており、厚さ方向中間に配置される板状部材47は、軟質性発泡樹脂よりも硬質の材料である低発泡倍率の硬質性発泡樹脂で形成された硬質板状部材となっている。
【0110】
このため、本実施形態では、硬質板状部材となっている板状部材47における少なくとも上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間と対応する部分が、上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間に配置されている硬質部材となっている。
【0111】
これにより、
図1〜
図11や
図12の実施形態と同様に、扉1に対して厚さ方向への過大な荷重が作用しても、扉1における上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間は、厚さ方向に湾曲変形しにくいものとなる。
【0112】
このように、本実施形態では、厚さ方向中間に配置される板状部材47が、少なくとも上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間の部分1Cに配置される硬質部材を兼ねるものとなっている。
【0113】
このため、本実施形態によると、扉1の構造の簡単化を図ることができるようになる。
【0114】
また、本実施形態では、
図1〜
図11や
図12の実施形態と同様に、扉1の表面の大部分は、軟質材料で形成されることになるため、扉1が使用する者により数多く開閉されたり接触されたりしても、使用する者が接触した際に受ける影響を軽減することができるようになる。すなわち、使用する者にとっての安全性の向上を図ることができる。
【0115】
なお、この
図13の実施形態に係る扉1も、上下2個のヒンジ7で開口部5に開閉自在に配置されるものとなっており、この扉1にも、
図4及び
図5に示されている施錠装置20が配置されるものとなっている。
【0116】
図14及び
図15は、ヒンジ7の別実施形態を示す図であり、
図10及び
図11と同様の図である。
図14には、別実施形態に係る第1ヒンジ部材60の分解斜視図が示されており、
図15には、別実施形態に係る第2ヒンジ部材64の分解斜視図が示されている。
【0117】
図14に示されているように、第1ヒンジ部材60は、上部61Aに上下方向を長さ方向とするピン部61Bが設けられ、側面部61Cに水平方向に延びる上下2個の円筒状の突出部61Dが設けられている円柱状の本体部61と、上下2個の貫通孔62Aが形成されている板状のベース部材62と、2個のビス63からなっている。そして、本体部61の上下2個の突出部61Dの内周面61Eには、ビス63の軸部63Aに形成された雄ねじ部が螺入可能な雌ねじ部が形成されており、ベース部材62に設けられている上下2個の貫通孔62Aはビス63の軸部63Aが挿入可能となっている。なお、本体部61の上下2個の突出部61Dの長さ寸法(突出量)は、正面パネル3の厚さ寸法と同じ又はこれよりも小さいものとなっている。
【0118】
第1ヒンジ部材60の正面パネル3Bへの取り付けは、まず、本体部61の上下2個の突出部61Dを、正面パネル3Bの上部に形成された図示されない上下2個の貫通孔や、正面パネル3Bの下部に形成された図示されない上下2個の貫通孔に挿通する。この後、正面パネル3Bの表裏面のうち、本体部61の上下2個の突出部61Dを挿入配置した側の面とは反対側の面に、上下2個の貫通孔62Aが本体部61の上下2個の突出部61Dの位置と対向するようにベース部材62を当接させる。この後、2個のビス63の軸部63Aをベース部材62の上下2個の貫通孔62Aのそれぞれに挿通するとともに、本体部61の上下2個の突出部61Dの内周面61Eの雌ねじ部に、2個のビス63の軸部63Aの雄ねじ部を螺入する。この螺入作業は、2個のビス63の頭部63Bがベース部材62に圧接するまで行い、これにより、第1ヒンジ部材60の正面パネル3Bへの取り付けは完了する。このため、本体部61の上下2個の突出部61Dと、ベース部材62は、第1ヒンジ部材60を正面パネル3Bに取り付けるための取付部となっている。
【0119】
図15に示されているように、第2ヒンジ部材64は、上下2個の貫通孔65Eが形成されている羽根部65Dが側面部65Cに設けられている円柱状の本体部65と、ベース部66Aに水平方向に延びる上下2個の円筒状の突出部66Bが設けられている板状のベース部材66と、2個のビス63からなっている。そして、ベース部材66の上下2個の突出部66Bの内周面66Cには、ビス63の軸部63Aに形成された雄ねじ部が螺入可能な雌ねじ部が形成されており、本体部65の羽根部65Dに設けられている上下2個の貫通孔65Eはビス63の軸部63Aが挿入可能となっている。なお、ベース部材66の上下2個の突出部66Bの長さ寸法(突出量)は、扉本体1Dの厚さ寸法と同じ又はこれよりも小さいものとなっている。
【0120】
第2ヒンジ部材64の扉1の扉本体1Dへの取り付けは、
図1〜
図11の実施形態においては、ベース部材66の上下2個の突出部66Bを、扉本体1Dを形成する3枚の板状部材16,17,18の上部にそれぞれ形成された上下2個の貫通孔16A,17A,18A(
図6参照)や、3枚の板状部材16,17,18の下部にそれぞれ形成された上下2個の貫通孔16B,17B,18B(
図6参照)に挿通する。一方、
図12の実施形態においては、ベース部材66の上下2個の突出部66Bを、扉本体1Dを形成する厚さ方向両側に配置される板状部材16,18の上部にそれぞれ形成された上下2個の貫通孔16A,18Aと棒状部材57の上部に形成された上下2個の貫通孔57Aや、板状部材16,18の下部にそれぞれ形成された上下2個の貫通孔16B,18Bと棒状部材57の下部に形成された上下2個の貫通孔57Bに挿通する。
【0121】
この後、扉本体1Dの表裏面のうち、ベース部材66の上下2個の突出部66Bを挿入配置した側の面とは反対側の面に、上下2個の貫通孔65Eがベース部材66の突出部66Bの位置と対向するように本体部65の羽根部65Dを当接させる。この後、2個のビス63の軸部63Aを本体部65の羽根部65Dの上下2個の貫通孔65Eのそれぞれに挿通するとともに、ベース部材66の上下2個の突出部66Bの内周面66Cの雌ねじ部に、2個のビス63の軸部63Aの雄ねじ部を螺入する。この螺入作業は、2個のビス63の頭部63Bが本体部65の羽根部65Dに圧接するまで行い、これにより、第2ヒンジ部材64の扉本体1Dへの取り付けは完了する。このため、ベース部材66の上下2個の突出部66Bと、本体部65の羽根部65Dは、第2ヒンジ部材64を扉本体1Dに取り付けるための取付部となっている。
【0122】
なお、
図15に示されているように、第2ヒンジ部材64の本体部65の底部65Aには、
図14に示されている第1ヒンジ部材60の本体部61の上部61Aに設けられているピン部61Bが挿入可能な穴65Bが設けられている。
【0123】
このため、第2ヒンジ部材64の第1ヒンジ部材60への連結作業は、
図10及び
図11に示す第2ヒンジ部材33の第1ヒンジ部材30への連結作業と同様のものとなる。
【0124】
図16は、
図15で示されているヒンジ7を構成する第2ヒンジ部材64の別実施形態の分解斜視図である。
【0125】
本実施形態では、ベース部材66の上下2個の突出部66Dの長さ寸法(突出量)は、
図15の実施形態とは異なり、扉本体1Dの厚さ寸法よりも小さいものとなっているが、それぞれの突出部66Dは、扉本体1Dの厚さ寸法と同じ又は略同じ長さ寸法を有する硬質材料で形成された筒状部材67の内部に収納されるものとなっている。このため、扉本体1Dには、筒状部材67が挿通可能な図示しない貫通孔が形成されている。
【0126】
第2ヒンジ部材64の扉1の扉本体1Dへの取り付けは、まず、筒状部材67を扉本体1Dに形成された上記貫通孔に挿入し、筒状部材67の両側の開口端と、扉本体1Dの表裏面とが面一状態又は略面一状態となるようにする。
【0127】
この後、ベース部材66の上下2個の突出部66Dを、ベース部材66のベース部66Aが筒状部材67の一方の側の開口端に当接するまで、筒状部材67の内部に挿入する。
【0128】
この後、扉本体1Dの表裏面のうち、ベース部材66の上下2個の突出部66Dを挿入配置した側の面とは反対側の面に、上下2個の貫通孔65Eがベース部材66の突出部66D(言い換えると、筒状部材67の開口端)の位置と対向するように本体部65の羽根部65Dを当接させる。この後、2個のビス63の軸部63Cを本体部65の羽根部65Dの上下2個の貫通孔65Eのそれぞれに挿通するとともに、ベース部材66の上下2個の突出部66Dの内周面66Eに形成された雌ねじ部に、2個のビス63の軸部63Cに形成された雄ねじ部を螺入する。この螺入作業は、2個のビス63の頭部63Bが本体部65の羽根部65Dに圧接するまで行い、これにより、第2ヒンジ部材64の扉本体1Dへの取り付けは完了する。
【0129】
なお、本実施形態では、前述したように、ベース部材66の上下2個の突出部66Dの長さ寸法(突出量)が、扉本体1Dの厚さ寸法よりも小さいものとなっているため、2個のビス63の軸部63Cは、
図15の実施形態に係るビス63の軸部63Aよりも大きな長さ寸法を有するものとなっている。
【0130】
以上説明した本実施形態では、扉本体1Dの厚さ寸法と同じ又は略同じ長さ寸法を有する硬質材料で形成された筒状部材67の存在により、本体部65の羽根部65Dやベース部材66のベース部66Aが、扉本体1Dにめり込むことが防止される。
【0131】
すなわち、本実施形態では、扉本体1Dの厚さ寸法と同じ又は略同じ長さ寸法を有する硬質材料で形成された筒状部材67の一方の開口端に本体部65の羽根部65Dが当接するとともに、筒状部材67の一方の開口端にベース部材66のベース部66Aが当接することになるので、本体部65の羽根部65Dやベース部材66のベース部66Aが、扉本体1Dにめり込むことが防止される。
【0132】
なお、
図14に示されているヒンジ7を構成する第1ヒンジ部材60の上下2個の突出部61Dも、
図16の実施形態に係る第2ヒンジ部材64と同様に、本体部61の上下2個の突出部61Dの長さ寸法(突出量)を、正面パネル3Bの厚さ寸法よりも小さいものとし、それぞれの突出部61Dは、正面パネル3Bの厚さ寸法と同じ又は略同じ長さ寸法を有する硬質材料で形成された筒状部材の内部に収納されるものとしてもよい。
【0133】
これによると、第1ヒンジ部材60が取り付けられる正面パネル3Bが軟質材料で形成されている場合において、本体部61の側面部61Cやベース部材62が正面パネル3Bにめり込むことが防止される。
【0134】
なお、以上説明した各実施形態では、扉1は、3枚の板状部材を厚さ方向に重ね合わせることにより形成されるものであったが、扉1を、軟質材料で形成された1枚の軟質板状部材で形成し、この扉1における少なくとも上下2個のヒンジ7が配置される部分同士の間の内部に、この間に渡る長さを有する硬質材料で形成された硬質部材を配置するようにしてもよい。
【0135】
なお、以上説明した各実施形態に係る扉1は、扉の個数が1個のトイレブースについても、また扉の個数が3個以上のトイレブースについても適用することができる。
【0136】
また、以上説明した各実施形態における施錠装置20の形式、構造等は、
図4及び
図5に示されているものに限定されるものではなく、任意なものでよい。
【符号の説明】
【0138】
1 扉
1C 上下2個のヒンジが配置される部分同士の間
1D 扉本体
2 トイレブース
3 トイレブースの出入口を形成する不動部材となっている正面パネル
5 トイレブースの出入口である開口部
7 ヒンジ
14,15 扉の表面
16,17,18,46,48 扉を形成する軟質材料である高発泡倍率の軟質性発泡樹脂で形成された軟質板状部材
16C,18C 厚さ方向両側に配置される軟質板状部材の外側面
17C,17D 厚さ方向中間に配置される軟質板状部材に形成された切欠部
27,57 切欠部に配置される硬質材料で形成された硬質部材である棒状部材
27A,57A 切欠部に配置される硬質部材である棒状部材の外側面
28,58 切欠部に配置される軟質材料で形成された軟質部材である棒状部材
28A 切欠部に配置される軟質部材である棒状部材の外側面
30,60 第1ヒンジ部材
31,61 第1ヒンジ部材の本体部
31A,61A 第1ヒンジ部材の本体部の上部
31B,61B ピン部
31D 第1ヒンジ部材の取付部である本体部の突出部
32A 第1ヒンジ部材の取付部であるベース部材の突出部
33,64 第2ヒンジ部材
34,65 第2ヒンジ部材の本体部
34A,65A 第2ヒンジ部材の本体部の底部
34B,65B 第2ヒンジ部材の本体部の底部の穴
34E 第2ヒンジ部材の取付部である本体部の突出部
35A 第2ヒンジ部材の取付部であるベース部材の突出部
47 扉を形成する軟質材料よりも硬質の材料である低発泡倍率の硬質性発泡樹脂で形成された硬質板状部材
61D 第1ヒンジ部材の取付部である本体部の突出部
62 第1ヒンジ部材の取付部であるベース部材
65D 第2ヒンジ部材の取付部である本体部の羽根部
66B,66D 第2ヒンジ部材の取付部であるベース部材の突出部
D1 厚さ方向中間に配置される軟質板状部材の厚さ寸法
D2 厚さ方向中間に配置される軟質板状部材の切欠部に配置される硬質部材である棒状部材の厚さ寸法
W1 厚さ方向中間に配置される軟質板状部材の切欠部の幅寸法
W2 厚さ方向中間に配置される軟質板状部材の切欠部に配置される硬質部材である棒状部材の幅寸法