(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
火災感知手段と、加圧送水装置と、予作動弁と、該予作動弁の一次側に設けられて基端側に加圧送水装置が接続される一次側配管と、前記予作動弁の二次側に設けられてスプリンクラヘッドが接続される二次側配管と、平常時に前記二次側配管内を負圧にする真空ポンプと、前記二次側配管と前記真空ポンプとを接続する真空配管と、を具備するスプリンクラ消火設備に用いられるスプリンクラ消火設備の制御装置であって、
前記火災感知手段の作動に基づいて火災判断を行う火災判断手段と、
前記火災判断手段の火災判断結果のみに基づいて前記予作動弁を開放するシングルロック方式、あるいは、前記火災判断手段の火災判断結果及び前記スプリンクラヘッドの開栓を検出するヘッド作動検出手段による前記スプリンクラヘッドの開栓の検出の両方を以て前記予作動弁を開放するダブルロック方式、のいずれかを設定する条件設定手段と、
前記ヘッド作動検出手段による前記スプリンクラヘッドの開栓の検出のみに基づいて前記予作動弁を開放する単独モード、あるいは、少なくとも前記火災判断手段の火災判断結果に基づいて前記予作動弁を開放する通常モード、のいずれかを設定する運転モード設定手段と、
を備え、
前記条件設定手段が前記シングルロック方式に設定され、前記運転モード設定手段が前記通常モードに設定された状態で、前記火災判断手段が火災と判断した場合、
あるいは、前記条件設定手段が前記ダブルロック方式に設定され、前記運転モード設定手段が前記通常モードに設定された状態で、前記火災判断手段が火災と判断し、前記ヘッド作動検出手段が前記スプリンクラヘッドの開栓を検出した場合、
あるいは、前記運転モード設定手段が前記単独モードに設定された状態で、前記ヘッド作動検出手段が前記スプリンクラヘッドの開栓を検出した場合、
のいずれかの場合に前記予作動弁を開放するように制御し、
前記運転モード設定手段は、前記火災判断手段から点検中の信号を受信したとき、あるいは、単独モードとする手動操作が行われたときのいずれかの場合に前記単独モードに設定することを特徴とするスプリンクラ消火設備の制御装置。
前記予作動弁が開放していない状態で、前記ヘッド作動検出手段が前記スプリンクラヘッドの開栓を検出した際、前記二次側配管の圧力が異常上昇したことを警報する警報部を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスプリンクラ消火設備の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態1.
以下、本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備を示す構成図である。
本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、スプリンクラヘッド2、予作動弁22、一次側配管11、二次側配管12、真空配管(真空本管14、真空枝管17)、真空ポンプ24、真空配管遮断手段である開閉弁260、ヘッド作動検出手段(圧力スイッチ31、圧力上昇スイッチ32(圧力上昇率検出手段))、及び、加圧送水装置21等から構成される。
【0029】
防護区画1には、複数のスプリンクラヘッド2が設けられる。また、防護区画1には、防護区画1内で発生した火災を感知する火災感知器3(火災感知手段)が設けられる。この火災感知器3は火災受信機4(火災判断手段)と電気的に接続され、火災感知器3が火災を感知した旨の信号を受信した火災受信機4は、火災判断を行う。火災受信機4は、火災と判断すると、消火システム制御盤5へ火災信号を送出する。火災感知器3と火災受信機4とで自動火災報知設備を構成しており、これらと消火システム制御盤5とその端末装置群とでスプリンクラ消火設備の制御装置を構成している。
【0030】
なお、本実施の形態1に係る火災感知器3は、温度、煙濃度、4.3μm帯の中赤外線放射量、紫外線放射量、一酸化炭素濃度及び二酸化炭素濃度のうちの少なくとも1つ以上を火災に基づく物理量として検出する構成となっている。また、本実施の形態1に係る火災受信機4は、前記物理量が所定値以上となること、前記物理量が前記所定値以上となったときに一旦火災感知器3をイニシャライズ(初期化、リセット)して所定時間の範囲内で再び火災感知器3の検出する前記物理量が前記所定値以上となること、前記物理量の上昇率が所定値以上となること、異なる複数の前記物理量がそれぞれ所定値以上となること、異なる複数の前記物理量の上昇率がそれぞれ所定値以上となること、異なる複数の前記物理量の相対比が予め定めた所定範囲を満たすこと、の少なくとも2つ以上の条件成立を以て火災と判断する構成となっている。このように火災感知器3及び火災受信機4を構成することにより、火災判断の精度を向上でき、火災以外の要因で誤って予作動弁22が開放することを防止できる。
【0031】
ここで、本実施の形態1に係る火災受信機4は自己診断機能を備え、例えば断線等によって火災感知器3と火災受信機4との間の通信が途絶えるような場合や、火災受信機4自身が故障した場合、消火システム制御盤5へ故障の信号を送出する構成となっている。また、火災受信機4が、擬似的に火災感知器3を火災感知した状態とし、火災感知器3が正常に作動するか否かの点検を行うものであった場合、火災受信機4は、消火システム制御盤5へ点検中の信号を送出する。また、火災受信機4で点検や修理等を行って火災信号が送出される虞があるような場合は、火災受信機4に備わる連動遮断スイッチを操作して消火システム制御盤5へ火災信号を送出しないようにし、代わりに連動遮断中の信号を送出する。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態1に係るスプリング消火設備における消火システム制御盤のブロック図である。
消火システム制御盤5は、制御部5a、記憶部5b、警報部・表示部5c、
条件設定手段である充水条件設定部5d、運転モード設定手段である運転モード設定部5e、伝送部5f、及び、入力部5gを備えている。
【0033】
詳しくは、入力部5gは、上述の火災受信機4から送出された信号(火災信号、点検中の信号、故障中の信号、連動遮断中の信号等)を受信し、制御部5aに当該信号を送出するものである。
伝送部5fは、中継器51を介して、予作動弁22を駆動する電動のパイロット弁である遠隔起動弁22b、予作動弁22の開放による消火用水の通水を検知する流水検知スイッチ22a(流水検出手段)、真空配管遮断手段である開閉弁260、急速吸引用開閉手段である開閉弁261、圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32と電気的に接続されるものである。
【0034】
運転モード設定部5eは、少なくとも火災受信機4の火災判断結果に基づいて予作動弁22を開放する通常モード、あるいは、ヘッド作動検出手段によるスプリンクラヘッド2の開栓の検出のみに基づいて予作動弁22を開放する単独モードのいずれかを設定するものである。なお、本実施の形態1では、所定の圧力で作動する圧力スイッチ31、又は、単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となったときに作動する圧力上昇スイッチ32のいずれかが作動したことを制御部5aが受信すると、制御部5aはスプリンクラヘッドが開栓したと判断する。
【0035】
なお、本実施の形態1に係る運転モード設定部5eは、火災受信機4から上記点検中の信号、上記故障の信号、上記連動遮断中の信号のいずれかを受信した際、単独モードに設定するように構成されている。このように火災受信機4から点検中、故障中、連動遮断中のいずれかの信号を受信したときに自動的に運転モードを単独モードに移行することにより、火災感知器3または火災受信機4が作動しない場合であっても確実に火災を消火することができるとともに、火災受信機4から誤って火災信号が送出されてしまっても予作動弁22を誤って開放しないようにできる。
【0036】
また、上述した火災受信機4による火災感知器3の点検の他、作業者が点検器具を用いて火災感知器3の周囲環境を擬似的に火災状態にし、火災感知器3及び火災受信機4が正常に作動するか否かを定期点検する場合もある。このような場合、火災受信機4から消火システム制御盤5へ火災信号が送出されるため、運転モード設定部5eが通常モードの場合、予作動弁22が開放されてしまい、防護区画1に誤放水してしまう虞がある。このため、本実施の形態1に係る運転モード設定部5eは、手動操作によって単独モードに設定することも可能になっている。このように火災感知器3及び火災受信機4を定期点検する際、予め運転モードを単独モードに手動で設定しておくことによって、スプリンクラ消火設備が機能しない事態を防止することができるとともに、火災受信機4から誤って火災信号が送出されてしまっても予作動弁22を誤って開放しないようにできる。
【0037】
充水条件設定部5dは、予作動弁22を開放する方式を、シングルロック方式又はダブルロック方式のいずれかに設定するものである。なお、火災感知器3が作動して火災判断されると予作動弁22を開放する制御方式をシングルロック方式、火災感知器3が作動して火災判断されるとともにスプリンクラヘッド2の開栓を検出すると予作動弁22を開放する制御方式をダブルロック方式と称するものとする。本実施の形態1では、充水条件設定部5dを、記憶手段である記憶部5bに予め記憶され、設定権限を有さない第三者に操作されないように管理されたプログラム、あるいは、例えば消火システム制御盤5に設けられ、施錠されて第三者に操作されないように管理された図示しないスイッチ、のいずれかで構成している。これにより、設定権限を有さない第三者に充水条件が変更されることを防止することができる。
【0038】
警報部・表示部5cは、予作動弁22が開放していない状態で、前記ヘッド作動検出手段がスプリンクラヘッド2の開栓を検出した際、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報するものである。また、警報部・表示部5cは、流水検知スイッチ22aが予作動弁22の二次側への流水を検知した際、放水中であることを表示するものである。なお、警報とは、例えば、スピーカー等で警報音を発したり、表示部に二次側配管12の圧力の異常上昇を表示したりすることをいう。
【0039】
記憶部5bは、遠隔起動弁22b、真空配管遮断手段である開閉弁260及び開閉弁261等を制御する際に必要な制御プログラム、パラメータ(スプリンクラヘッドの開栓を判断するための所定値等)を記憶するものである。
制御部5aは、伝送部5fから受信した信号、運転モード設定部5e及び充水条件設定部5dの設定条件及び記憶部5b内の記憶データに基づいて、伝送部5f及び中継器51を介して、遠隔起動弁22b、真空配管遮断手段である開閉弁260及び急速吸引用開閉手段である開閉弁261等を制御するものである。また、制御部5aは、警報部・表示部5cに、二次側配管12の圧力の異常上昇を警報させ、放水中であることを表示させる等するものである。
【0040】
再び
図1に着目し、スプリンクラ消火設備の全体構成の説明を続ける。
【0041】
加圧送水装置21は、消火ポンプ制御盤7と電気的に接続され、予作動弁22の開放に伴う圧力低下によって始動し、消火水槽10内の水を吸い上げる。
複数のスプリンクラヘッド2は各々立ち下がり配管13に接続される。立ち下がり配管13のそれぞれは、二次側配管12に接続される。この二次側配管12の一方の端部は、平常時は閉止しており火災時に電気的に開放される予作動弁22の一方の端部に接続される。予作動弁22の他方の端部は、一次側配管11の一方の端部に接続される。また、一次側配管11の他方の端部(基端側)は、加圧送水装置21の吐出口に接続される。一次側配管11には、定流量弁やオリフィスなどによって吐出する消火水の流量を所定の値に制限する流量制御手段23が設けられる。これは、予作動弁22の開放時に、負圧である二次側配管12に向かって消火水が過流量で供給され、ウォーターハンマが発生することを防止するためである。加圧送水装置21と、一次側配管11と、流量制御手段23と、予作動弁22とで、二次側配管12へ消火水を圧送する給水装置を構成している。
【0042】
一方、二次側配管12の他方の端部は、末端試験弁25の一方の端部に接続される。末端試験弁25の他方の端部には、排水配管15が接続されている。スプリンクラ消火設備の水漏れ試験、点検等によって二次側配管12を充水したとき、二次側配管12に充填された水は、末端試験弁25及び予作動弁22に備えた図示しない排水弁を開くことにより、外部に排出される。平常時、末端試験弁25は閉じられた状態である。
【0043】
また、二次側配管12には、真空配管導入部16を介して、平常時は開状態であり予作動弁22の開放と連動して閉止する開閉弁260(真空配管遮断手段)の一方の端部が接続される。また、開閉弁260の他方の端部には、真空枝管17の一方の端部が接続される。また、真空枝管17の他方の端部は、真空ポンプ24が接続された真空本管14に接続されている。つまり、真空ポンプ24は、真空本管14、真空枝管17、開閉弁260及び真空配管導入部16を介して二次側配管12内の空気を吸引し、二次側配管12を負圧にしている。なお、真空本管14には、圧力スイッチ81(真空スイッチ)が接続され、真空本管14の内圧が所定の値以下となるように、真空ポンプ制御盤8を介して真空ポンプ24を制御する。
【0044】
また、真空本管14には、防護区画1以外の防護区画に設けられた、
図1に示すスプリンクラ消火設備とは異なる他系統のスプリンクラ消火設備の真空枝管17も接続されている(図示せず)。つまり、真空本管14及び真空ポンプ24は、複数系統のスプリンクラ消火設備に共用のものとなっている。
【0045】
上述の真空枝管17には、二次側配管12側から真空ポンプ24側に向けて、圧力スイッチ31、圧力上昇が所定の値以上で作動してスプリンクラヘッド2の開栓を検出する圧力上昇スイッチ32、及び、オリフィス33(差圧発生手段)が順に設けられる。オリフィス33を設けることにより、真空ポンプ24を運転しても、オリフィス33よりも二次側配管12側の真空枝管17内の圧力は、二次側配管12内の真空圧に近い値となる。このため、オリフィス33を設けることにより、圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32がスプリンクラヘッド2の開栓を検出することが可能となる。
【0046】
また、真空枝管17には、オリフィス33をバイパスするバイパス配管180が設けられている。そして、このバイパス配管180には、平常時はバイパス配管180を遮断し、ヘッド作動検出手段がスプリンクラヘッド2の開栓を検出した際、バイパス配管180を連通させる開閉弁261(急速吸引用開閉手段)が設けられている。後述のように、破損等によってスプリンクラヘッド2が開栓した際に、二次側配管12(特に立ち下がり配管13)に溜まった水が漏水することを防止するため、本実施の形態1に係るスプリンクラヘッドは、急速吸引動作を行っている。これらバイパス配管180及び開閉弁261を設けることにより、急速吸引動作の際、二次側配管12内の空気は、バイパス配管180及び開閉弁261を通って真空ポンプ24に吸引されることとなる。このため、急速吸引動作の際、圧損を生じるオリフィス33を通る空気の量を抑制し、バイパス配管180より、最小限の圧損で二次側配管12内を真空ポンプ24で強力に吸引することができる。
【0047】
なお、本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、上述のように、複数系統のスプリンクラ消火設備の真空枝管17が真空本管14に接続される構成となっている。このため、防護区画1以外の防護区画で火災が発生した際、当該防護区画に設けられたスプリンクラ消火設備から真空本管14に水(消火水)が流入し、当該水が
図1に示すスプリンクラ消火設備内の真空枝管17に流入する虞がある。このため、
図1に示すように、オリフィス33よりも真空本管14側の真空枝管17には、真空本管14側(真空ポンプ24側)からオリフィス33へ向かう流れを規制する逆止弁27が設けられている。この逆止弁27は、真空枝管17よりも流路断面積が小さいため、当該逆止弁27を水や空気が流れる際に圧損が生じる。このため、本実施の形態1に係るバイパス配管180は、オリフィス33に加えて逆止弁27もバイパスするように、真空枝管17に接続されている。これにより、上記の急速吸引動作の際、逆止弁27で発生する圧損により、吸引力が低下することを抑制できる。
【0048】
続いて、上記のように構成されたスプリンクラ消火設備の動作について説明する。
まず、真空ポンプ24の運転方法について説明する。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備における真空ポンプの制御フロー図である。
スプリンクラ消火設備の運転を開始すると、真空ポンプ制御盤8は、圧力スイッチ81の検出値が所定の上限値以上になっているか否かを判定する(ステップS001)。圧力スイッチ81の検出値が所定の上限値以上になっていれば、真空ポンプ制御盤8は、真空ポンプ24の運転を開始し、圧力スイッチ81の検出値が前記所定の上限値よりも小さく設定された所定の下限値以下になっているか否かを判定する(ステップS002)。一方、圧力スイッチ81の検出値が所定の上限値よりも低くなっていれば、真空ポンプ制御盤8は、ステップS003へ進む。
【0050】
ステップS002において圧力スイッチ81の検出値が所定の下限値以下になっていない場合、真空ポンプ制御盤8は、真空ポンプ24の運転を継続する。一方、ステップS002において圧力スイッチ81の検出値が所定の下限値以下になっている場合、真空ポンプ制御盤8は、圧力スイッチ81の検出値が所定の下限値以下になってから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS003)。圧力スイッチ81の検出値が所定の下限値以下になってから所定時間が経過していれば、真空ポンプ制御盤8は、二次側配管12及び真空枝管17内の圧力も所定の下限値以下になったと判断し、真空ポンプ24を停止して、ステップS001に戻る。一方、圧力スイッチ81の検出値が所定の下限値以下になってから所定時間が経過していなければ、真空ポンプ制御盤8は、圧力スイッチ81の検出値が所定の下限値以下になってから所定時間が経過するまで、ステップS003を繰り返す。
このように真空ポンプ24を制御することにより、平常時、二次側配管12及び真空枝管17内の圧力を所定の値以下に保持することができる。
なお、上記のような制御フローに代えて、二次側配管12及び真空枝管17内の圧力が所定の値以下となるのに十分な時間を所定時間と定め、圧力スイッチ81の検出値が所定の上限値以上となったときに、真空ポンプ制御盤8が真空ポンプ24をその所定時間運転するようにタイマー制御するようにしても良い。
【0051】
次に、予作動弁22及び開閉弁260(真空配管遮断手段)の動作について説明する。ここで、上述のように、開閉弁260は、予作動弁22の開放と連動して閉止する。このため、予作動弁22及び開閉弁260の連動動作としては、予作動弁22を開放した後に開閉弁260を閉止する連動動作と、開閉弁260を閉止した後に予作動弁22を開放する連動動作とがある。以下では、まず、
図4及び
図5を用いて、予作動弁22を開放した後に開閉弁260を閉止する連動動作を行う場合の予作動弁22及び開閉弁260(真空配管遮断手段)の動作について説明する。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備における予作動弁の制御の一例を示す制御フロー図である。また、
図5は、このスプリンクラ消火設備における真空配管遮断手段及び急速吸引用開閉手段の制御の一例を示す制御フロー図である。
【0053】
図4に示すように、設定されている運転モードが通常モードの場合(ステップS100のNO)、ステップS101に進み、火災感知手段である火災感知器3が火災感知しているか否かが判断される。そして、火災感知器3が火災を感知すると(ステップS101のYES)、火災判断手段である火災受信機4は、火災感知器3の作動に基づき、火災が発生しているか否かを判断する火災判断を行う(ステップS102)。火災が発生していると判断した場合、火災受信機4は消火システム制御盤5に火災信号を送出する。なお、火災が発生していないと判断した場合(ステップS101,S102のNO)は、ステップS100に戻る。
【0054】
火災信号を受信した消火システム制御盤5は、
条件設定手段である充水条件設定部5dがシングルロック方式に設定されているのか、あるいは、ダブルロック方式に設定いるのかを判断する(ステップS103)。なお、充水条件設定部5dは、設置したスプリンクラ消火設備に応じて、予め、シングルロック方式かダブルロック方式かのいずれかに設定される。充水条件設定部5dがシングルロック方式に設定されている場合、消火システム制御盤5は、予作動弁22を開放する(ステップS106)。
【0055】
また、充水条件設定部5dがダブルロック方式に設定されている場合、ステップS104,S105において、ヘッド作動検出手段(圧力スイッチ31、圧力上昇スイッチ32)からの信号に基づいてスプリンクラヘッド2が開栓したか否かの判断がさらに行われる。詳しくは、圧力スイッチ31が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となった場合(ステップS104)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は予作動弁22を開放する(ステップS106)。また、圧力スイッチ31が作動していない場合でも、圧力上昇スイッチ32が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となった場合(ステップS105)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は予作動弁22を開放する(ステップS106)。圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32が作動していない場合、ステップS100に戻る。
【0056】
なお、ヘッド作動検出手段で火災を検出する場合、少なくともステップS105を備えていればよい。すなわち、ヘッド作動検出手段として、少なくとも圧力上昇スイッチ32(圧力上昇率検出手段)を備えていればよい。なぜならば、真空ポンプ24を運転した直後で二次側配管12内の圧力が極端に下がっている場合、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となったときに作動する圧力スイッチ31では、スプリンクラヘッド2の開栓を検出するまでに時間がかかってしまい、予作動弁22の開放が遅れてしまう。しかしながら、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となったときに作動する圧力上昇スイッチ32であれば、二次側配管12及び真空枝管17の圧力の絶対値にかかわらずスプリンクラヘッド2の開栓を検出できるので、早期にスプリンクラヘッド2の開栓を検出することができる。
【0057】
一方、設定されている運転モードが単独モードの場合(ステップS100のYES)、ステップS104,S105において、ヘッド作動検出手段(圧力スイッチ31、圧力上昇スイッチ32)を用いてスプリンクラヘッド2が開栓したか否かの判断が行われる。詳しくは、圧力スイッチ31が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となった場合(ステップS104)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は予作動弁22を開放する(ステップS106)。また、圧力スイッチ31が作動していない場合でも、圧力上昇スイッチ32が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となった場合(ステップS105)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は予作動弁22を開放する(ステップS106)。圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32が作動していない場合、ステップS100に戻る。
【0058】
図5に示すように、スプリンクラ消火設備の運転を開始した後(防護区画1の監視動作を開始した後)、流水検知スイッチ22aが作動すると、つまり、予作動弁22が開放されて該予作動弁22の二次側へ水が流れると(ステップS201)、消火システム制御盤5は、真空配管遮断手段である開閉弁260を閉止する(ステップS202)。これにより、二次側配管12に流れ込んだ水が真空枝管17及び真空本管14を介して真空ポンプに流れ込むことを防止でき、真空ポンプ24が過負荷となって停止したり故障したりすることを防止できる。また、流水検知スイッチ22aが作動すると、消火システム制御盤5は警報部・表示部5cで放水中であることを表示する。
【0059】
一方、流水検知スイッチ22aが作動していない状態で、圧力スイッチ31が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となった場合(ステップS203)、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報すると共に、急速吸引用開閉手段である開閉弁261を開いてバイパス配管180を連通させて急速吸引動作を行い(ステップS206)、ステップS201に戻る。
【0060】
また、圧力スイッチ31が作動していない場合でも、圧力上昇スイッチ32が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となった場合(ステップS204)、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報すると共に、急速吸引用開閉手段である開閉弁261を開いてバイパス配管180を連通させて急速吸引動作を行い(ステップS206)、ステップS201に戻る。
【0061】
なお、圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32の双方が作動していない場合、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報せず、また、開閉弁261でバイパス配管180を遮断したまま、監視動作を継続する(ステップS205)。
【0062】
ここで、流水検知スイッチ22aが作動していない状態(すなわち、予作動弁22が開放していない状態)で、圧力スイッチ31又は圧力上昇スイッチ32が作動するということは、スプリンクラヘッド2が破損して開栓してしまったり、二次側配管12が破損した場合が考えられる。このため、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報することにより、スプリンクラヘッド2の破損や二次側配管12の破損等を速やかに覚知することができ、早期に破損箇所の修理などに対処することができる。また、スプリンクラヘッド2が破損して開栓した場合には、二次側配管12内、特に立ち下がり配管13内に溜まった水が防護区画1に漏水してしまう。しかしながら、急速吸引動作を行うことにより、真空ポンプ24により、最小限の圧損で二次側配管12内を強力に吸引することができる。このため、二次側配管12内、特に立ち下がり配管13内に溜まった水が防護区画1に漏水してしまうことを防止できる。
【0063】
また、
図4及び
図5に示すように予作動弁22を開放した後に開閉弁260を閉止する連動動作を行った場合、予作動弁22を早期に開放できるので、スプリンクラヘッド2から早期に放水することができるという効果を得ることもできる。
以上の動作は、運転モード設定部5eが通常モードに設定されている場合の動作フローである。運転モード設定部5eが単独モードに設定されている場合は、圧力スイッチ31または圧力上昇スイッチ32が作動すると、
図4の制御フローにしたがって、予作動弁22を開放して放水を開始し、これに伴って流水検知スイッチ22aが作動するので、流水検知スイッチ22aが作動していない場合(ステップS201のNO)のステップ203へは向かわない。流水検知スイッチ22aが作動すると(ステップS201)、消火システム制御盤5が真空配管遮断手段である開閉弁260を閉止する(ステップS202)点は同じである。
【0064】
次に、
図6を用いて、開閉弁260を閉止した後に予作動弁22を開放する連動動作を行う場合の予作動弁22及び開閉弁260(真空配管遮断手段)の動作について説明する。
【0065】
図6は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備における予作動弁、真空配管遮断手段及び急速吸引用開閉手段の制御の一例を示す制御フロー図である。
図6に示すように、設定されている運転モードが通常モードの場合(ステップS300のNO)、ステップS301に進み、火災感知手段である火災感知器3が火災感知しているか否かが判断される。そして、火災感知器3が火災を感知すると(ステップS301のYES)、火災判断手段である火災受信機4は、火災感知器3の作動に基づき、火災が発生しているか否かを判断する火災判断を行う(ステップS302)。火災が発生していると判断した場合、火災受信機4は消火システム制御盤5に火災信号を送出する。なお、火災が発生していないと判断した場合(ステップS301,S302のNO)は、ステップS311に進む。
【0066】
火災信号を受信した消火システム制御盤5は、
条件設定手段である充水条件設定部5dがシングルロック方式に設定されているのか、あるいは、ダブルロック方式に設定いるのかを判断する(ステップS303)。なお、充水条件設定部5dは、設置したスプリンクラ消火設備に応じて予め、シングルロック方式かダブルロック方式かのいずれかに設定される。充水条件設定部5dがシングルロック方式に設定されている場合、消火システム制御盤5は、真空配管遮断手段である開閉弁260を閉止する制御を行う(ステップS306)。そして、消火システム制御盤5は、開閉弁260の閉止を確認した場合(リミットスイッチ信号を確認した場合等、ステップS307)、あるいは開閉弁260の閉止を確認できなくとも、開閉弁260を閉止する制御を行ってから所定時間が経過した場合(ステップS308)、予作動弁22を開放する(ステップS309)。
また、充水条件設定部5dがダブルロック方式に設定されている場合、ステップS304,S305において、ヘッド作動検出手段(圧力スイッチ31、圧力上昇スイッチ32)からの信号に基づいてスプリンクラヘッド2が開栓したか否かの判断がさらに行われる。詳しくは、圧力スイッチ31が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となった場合(ステップS304)、または、圧力上昇スイッチ32が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となった場合(ステップS305)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は、真空配管遮断手段である開閉弁260を閉止する制御を行う(ステップS306)。そして、消火システム制御盤5は、開閉弁260の閉止を確認した場合(リミットスイッチ信号を確認した場合等、ステップS307)、あるいは開閉弁260の閉止を確認できなくとも、開閉弁260を閉止する制御を行ってから所定時間が経過した場合(ステップS308)、予作動弁22を開放する(ステップS309)。圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32が作動していない場合は監視動作を継続し、ステップS300に戻る。
なお、
図6に示した制御フローの場合、開閉弁260の閉止に時間がかかるとステップ307でのロスタイムが大きくなって放水開始が遅れてしまい、火災が拡大する前の初期消火に失敗する虞があるので、開閉弁260は速動型であることが望ましい。
【0067】
また、火災が発生していない場合(ステップS301,S302のNO)にステップS311へ進み、当該ステップS311において、圧力スイッチ31が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となった場合、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報すると共に、急速吸引用開閉手段である開閉弁261を開いてバイパス配管180を連通させて急速吸引動作を行い(ステップS314)、ステップS300に戻る。
【0068】
また、圧力スイッチ31が作動していない場合でも、圧力上昇スイッチ32が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となった場合(ステップS312)、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報すると共に、急速吸引用開閉手段である開閉弁261を開いてバイパス配管180を連通させて急速吸引動作を行い(ステップS314)、ステップS300に戻る。
【0069】
なお、圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32の双方が作動していない場合、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報せず、また、開閉弁261でバイパス配管180を遮断したまま、監視動作を継続する(ステップS313)。
【0070】
一方、設定されている運転モードが単独モードの場合(ステップS300のYES)、ステップS304,S305において、ヘッド作動検出手段(圧力スイッチ31、圧力上昇スイッチ32)からの信号に基づいてスプリンクラヘッド2が開栓したか否かの判断が行われる。詳しくは、圧力スイッチ31が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17が所定の圧力以上となった場合(ステップS304)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は開閉弁260を閉止する制御を行う(ステップS306)。そして、消火システム制御盤5は、開閉弁260の閉止を確認した場合(リミットスイッチ信号を確認した場合等、ステップS307)、あるいは開閉弁260の閉止を確認できなくとも、開閉弁260を閉止する制御を行ってから所定時間が経過した場合(ステップS308)、予作動弁22を開放する(ステップS309)。
【0071】
また、圧力スイッチ31が作動していない場合でも、圧力上昇スイッチ32が作動した場合、つまり、二次側配管12及び真空枝管17の単位時間当たりの圧力上昇(圧力の上昇率)が所定値以上となった場合(ステップS305)、火災によりスプリンクラヘッド2が開栓したとして、消火システム制御盤5は開閉弁260を閉止する制御を行う(ステップS306)。そして、消火システム制御盤5は、開閉弁260の閉止を確認した場合(リミットスイッチ信号を確認した場合等、ステップS307)、あるいは開閉弁260の閉止を確認できなくとも、開閉弁260を閉止する制御を行ってから所定時間が経過した場合(ステップS308)、予作動弁22を開放する(ステップS309)。
【0072】
なお、圧力スイッチ31及び圧力上昇スイッチ32が作動していない場合、消火システム制御盤5は、二次側配管12の圧力が異常上昇したことを警報・表示部5cで警報せず、また、開閉弁261でバイパス配管180を遮断したまま、監視動作を継続する(ステップS313)。
【0073】
図6のように開閉弁260を閉止した後に予作動弁22を開放する連動動作を行うことにより、二次側配管12に流れ込んだ水が真空枝管17及び真空本管14を介して真空ポンプに流れ込むことを確実に防止でき、真空ポンプ24が過負荷となって停止したり故障したりすることを確実に防止できる。
また、開閉弁260を制御し、予め定めた所定の時間が経過した後に、予作動弁22を開放することにより、何らかの原因(例えば、固着や故障による不作動)で開閉弁260が閉止しない場合であっても、確実に火災を消火することができる。
【0074】
以上、本実施の形態1のように構成されたスプリンクラ消火設備においては、運転モード設定手段が通常モードに設定されている場合、予作動弁22を開放する条件がシングルロック方式であってもダブルロック方式であっても、更に、それぞれの運転モードが単独モードであっても通常モードであっても、同じ消火システム制御盤5で共通のプログラムを用いて制御することができる。このため、制御ソフトもハードウェアも統一することができるので、消火システム制御盤5の量産効果により、真空式の予作動式スプリンクラ消火設備を従来よりも安価に製造することができる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態1では、真空配管遮断手段を開閉弁260で構成し、急速吸引用開閉手段を開閉弁261で構成した。これに限らず、真空配管遮断手段及び急速吸引用開閉手段を1つの三方弁で構成してもよい。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0076】
図7は、本発明の実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備を示す構成図である。また、
図8は、このスプリンクラ消火設備に設けられた三方弁(真空配管遮断手段及び急速吸引用開閉手段)の一例を示す説明図である。
図7に示すように、本実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備は、真空配管遮断手段及び急速吸引用開閉手段として機能する三方弁26を備えている。この三方弁26は、一次側が真空配管導入部16を介して二次側配管12に接続され、二次側の一端が真空枝管17に接続され、二次側の他端がバイパス配管18の二次側配管12側の端部に接続されている。
【0077】
この三方弁26は、例えば
図8に示すように、固定部26aと可動部26bとで構成されている。固定部26aは、円筒状の穴部、及び、当該穴部に連通する接続口26a1,26a2,26a3が形成されている。そして、接続口26a1には真空配管導入部16が接続され、接続口26a2には真空枝管17が接続され、接続口26a3にはバイパス配管18が接続されている。また、可動部26bは、円柱状に形成され、固定部26aの円筒状の穴部内に回転自在に設けられている。この可動部26bには、断面略L字状の接続流路26b1が形成されている。
【0078】
このため、
図8(a)に示すように、接続流路26b1が接続口26a1及び接続口26a2と連通するように可動部26bを回転させることにより、真空配管導入部16と真空枝管17とが連通する状態となる。つまり、真空配管遮断手段が開き、急速吸引用開閉手段がバイパス配管18を遮断した状態となる。
また、
図8(b)に示すように、接続流路26b1が接続口26a1及び接続口26a3と連通するように可動部26bを回転させることにより、真空配管導入部16とバイパス配管18とが連通する状態となる。つまり、真空配管遮断手段が開き、急速吸引用開閉手段がバイパス配管18を連通した状態となる。
また、
図8(c),(d)に示すように、接続流路26b1が接続口26a1と連通しないように可動部26bを回転させることにより、真空配管遮断手段が閉止された状態となる。
【0079】
なお、
図8に示す三方弁26は一例であり、例えば
図9に示すように三方弁26を構成してもよい。
【0080】
詳しくは、
図9に示すように、三方弁26は、固定部26aと可動部26cとで構成されている。固定部26aは、円筒状の穴部、及び、当該穴部に連通する接続口26a1,26a2,26a3が形成されている。そして、接続口26a1には真空配管導入部16が接続され、接続口26a2には真空枝管17が接続され、接続口26a3にはバイパス配管18が接続されている。また、可動部26cは、円柱状に形成され、固定部26aの円筒状の穴部内に回転自在に設けられている。この可動部26cには、断面T字状の接続流路26c1が形成されている。
【0081】
このため、
図9(a)に示すように、接続流路26c1が接続口26a1及び接続口26a2と連通するように可動部26cを回転させることにより、真空配管導入部16と真空枝管17とが連通する状態となる。つまり、真空配管遮断手段が開き、急速吸引用開閉手段がバイパス配管18を遮断した状態となる。
また、
図9(b)に示すように、接続流路26c1が接続口26a1及び接続口26a3と連通するように可動部26cを回転させることにより、真空配管導入部16とバイパス配管18とが連通する状態となる。つまり、真空配管遮断手段が開き、急速吸引用開閉手段がバイパス配管18を連通した状態となる。
また、
図8(c)に示すように、接続流路26c1が接続口26a1と連通しないように可動部26cを回転させることにより、真空配管遮断手段が閉止された状態となる。
【0082】
以上、本実施の形態2に係るスプリンクラ消火設備のように真空配管遮断手段及び急速吸引用開閉手段を1つの三方弁で構成することにより、実施の形態1で示した効果に加え、急速吸引用開閉手段及び真空配管遮断手段を構成する機器点数を削減できるという効果も得られる。また、真空枝管17へ接続する機器点数を削減できることに付随して、真空枝管17への機器接続点を削減し、真空枝管17自体の長さを短縮することができる。このため、真空配管遮断手段を構成する機器の設置スペースを削減することができるので、当該機器や真空枝管17に設けられるヘッド作動検出手段等の機器類を、狭いパイプシャフト等のような箇所に設置する工事が容易となる。