(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150601
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】バックル折り機でシートを折る方法及びバックル折り機
(51)【国際特許分類】
B65H 45/16 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
B65H45/16
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-95016(P2013-95016)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2013-230937(P2013-230937A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】10 2012 008 665.2
(32)【優先日】2012年4月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ハウプト−テアラウ
(72)【発明者】
【氏名】マークス ベールマン
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−160526(JP,A)
【文献】
特開昭63−258366(JP,A)
【文献】
特開2003−165672(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01475333(EP,A1)
【文献】
特開平10−181997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00 − 37/06、41/00
B65H 45/00 − 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向(T)に見て前記第1のローラ対の下流側の第1の折りポケット(6)と、シート走行方向(T)に見て前記第1の折りポケット(6)の下流側の折りローラ対(2,3;2,2.Z)とを備えたバックル折り機(100)でシート(30)を折る方法であって、
前記折りローラ対(2,3;2,2.Z)のローラのうちの少なくとも1つのローラの表面が、前記第1のローラ対(1.1,2;1,1.1)のローラのうちの少なくとも1つのローラの表面の周速(v1)よりも常時高い周速(v2)を有していることを特徴とする、バックル折り機でシートを折る方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1のローラ対(1.1,2)の一部でもあり且つ前記折りローラ対(2,3)の一部でもある、二重機能を備えた特殊ローラ(2)が設けられており、該特殊ローラの周速は、最大でも前記折りローラ対の他方のローラ(3)の周速(v2)に相当し、最小でも前記第1のローラ対の他方のローラ(1.1)の周速(v1)に相当する、請求項1記載のシートを折る方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1のローラ対(1,1.1)と、前記折りローラ対(2,3)とは機械的に分離されていて、その回転速度は互いに独立して別個に調整可能である、請求項1記載のシートを折る方法。
【請求項4】
前記折りローラ対の少なくとも1つのローラ(3)の回転速度と、前記第1のローラ対の少なくとも1つのローラ(1.1)の回転速度とは、互いに一定の比にある、請求項1又は2記載のシートを折る方法。
【請求項5】
折り中に、折りたいシート(30)のシートテンションを検出し、特にこのシートテンションの検出結果に関連して前記回転速度(v1,v2,v3)を適合させる、請求項1から3までのいずれか1項記載のシートを折る方法。
【請求項6】
全てのローラ(1,1.1,2,3,4,5)が同一の直径(d1,d2,d3)を有しており、前記折りローラ対の少なくとも1つのローラ(3)を、より高い回転速度(v2)で駆動する、請求項1から5までのいずれか1項記載のシートを折る方法。
【請求項7】
前記第1のローラ対のローラのうちの少なくとも1つのローラ(1.1)が、前記折りローラ対(2,3)のローラよりも小さな直径(d1)を有していて、前記第1のローラ対(1.1,2)のローラと、前記折りローラ対の少なくとも1つのローラ(3)とを同じ回転速度で駆動する、請求項1又は2記載のシートを折る方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第1のローラ対(1,1.1;1.1,2)と、シート走行方向(T)に見て前記第1のローラ対の下流側の第1の折りポケット(6)と、シート走行方向(T)に見て前記第1の折りポケット(6)の下流側の折りローラ対(1.1,2;2,3)とを備えた、請求項2記載の方法を実施するためのバックル折り機(100)であって、
該バックル折り機(100)は1つの駆動装置(8,28.1)を有しており、該駆動装置(28.1)は、前記第1のローラ対(1,1.1;1.1,2)と前記折りローラ対(1.1,2;2,3)とに対応配置されており、
前記少なくとも1つの第1のローラ対の一部でもあり且つ前記折りローラ対の一部でもある、二重機能を備えた特殊ローラ(1.1;2)が設けられており、該特殊ローラは摩擦クラッチ(12)を介して前記駆動装置(8,28.1)に結合されていることを特徴とする、請求項2記載の方法を実施するためのバックル折り機。
【請求項9】
少なくとも1つの第1のローラ対(1,1.1;1.1,2)と、シート走行方向(T)に見て前記第1のローラ対の下流側の第1の折りポケット(6)と、シート走行方向(T)に見て前記第1の折りポケット(6)の下流側の折りローラ対(1.1,2;2,3)とを備えた、請求項2記載の方法を実施するためのバックル折り機(100)であって、
該バックル折り機(100)が、1つの駆動装置(27.2,28.1)を有しており、該駆動装置は、前記第1のローラ対(1,1.1;1.1,2)と前記折りローラ対(1.1,2;2,3)の各ローラの駆動用に使用され、
前記少なくとも1つの第1のローラ対の一部でもあり且つ前記折りローラ対の一部でもある、二重機能を備えた特殊ローラ(1.1;2)が設けられており、
各ローラ(1,1.1,2,3,4,5)に1つのベルトローラ(26)が対応配置されており、各ベルトローラ(26)に前記各ローラ(1,1.1,2,3,4,5)がワンウェイクラッチ(9)を介して結合されており、
前記駆動装置は、前記ベルトローラを駆動する可動のベルト(8)を有しており、
前記各ベルトローラ(26)の直径(d3)は、シート走行方向(T)に見て上流側のベルトローラ(26)の直径(d3)よりも小さくなっていることを特徴とする、請求項2記載の方法を実施するためのバックル折り機。
【請求項10】
少なくとも1つの第1のローラ対(1,1.1)と、シート走行方向(T)に見て前記第1のローラ対の下流側の第1の折りポケット(6)と、シート走行方向(T)に見て前記第1の折りポケット(6)の下流側の折りローラ対(2,3)とを備えた、請求項3記載の方法を実施するためのバックル折り機(100)であって、
シート走行方向(T)に見て、前記第1のローラ対(1,1.1)と前記第1の折りポケット(6)との間に少なくとも1つのシートガイド部材(2.L,2.Z)、特にガイド金属薄板又はガイドローラが取り付けられていることを特徴とする、請求項3記載の方法を実施するためのバックル折り機。
【請求項11】
前記バックル折り機(100)は少なくとも1つの第1の駆動装置(28.1)と第2の駆動装置(28.2)とを有しており、前記第1の駆動装置(28.1)は前記第1のローラ対(1,1.1;1.1,2)に対応配置されていて、前記第2の駆動装置(28.2)は前記折りローラ対(1.1,2;2,3)に対応配置されており、前記第1のローラ対と折りローラ対とは互いに機械的に分離されており、前記第1の駆動装置及び前記第2の駆動装置は特にサーボモータである、請求項10記載のバックル折り機。
【請求項12】
前記全てのローラ(1,1.1,2,3,4,5)が同一の直径(d1,d2,d3)を有している、請求項8から11までのいずれか1項記載のバックル折り機。
【請求項13】
前記第1のローラ対(1,1.1;1.1,2)のローラのうちの少なくとも1つのローラが、前記折りローラ対のローラ(1.1,2;2,3)の直径(d2)よりも小さな直径(d1)を有している、請求項8又は10又は11記載のバックル折り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向に見て前記第1のローラ対の下流側の第1の折りポケットと、シート走行方向に見て前記第1の折りポケットの下流側の折りローラ対とを備えたバックル折り機でシートを折る方法に関する。
【0002】
更に本発明は、少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向に見て前記第1のローラ対の下流側の第1の折りポケットと、シート走行方向に見て前記第1の折りポケットの下流側の折りローラ対とを備えたバックル折り機に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術から、バックル折り機及びナイフ折り機は公知である。バックル折り機とナイフ折り機との組み合わせは、コンビ折り機として汎用されている。コンビ折り機では、バックル折りユニットで平行折りが行われ、その下流側に配置されたナイフ折りユニットで直角折りが行われる。シートは、コンビ折り機の通過方向に、少なくとも以下のステーション、即ち、フィーダ、引き渡しテーブル、バックル折りユニット、ナイフ折りユニット、デリバリを通過する。
【0004】
多数のバックル折りユニットを備えたバックル折り機の構造は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102004041471号明細書において明らかである。この場合、各折りユニットにおいて1つの折り目が形成される。各バックル折りユニットは、1つの折りポケットと3つの折りローラとから成っており、これらの折りローラは、2つの折りローラ対を成すように配置されている。折りローラ自体は、それぞれ歯車、平ベルト又は歯付きベルトによって互いに接続されていて、調整可能な1つの主駆動装置を介して同じ速度で駆動される。ナイフ軸又は供給ユニットもやはり、前記主駆動装置により駆動される。
【0005】
バックル折り原理(圧縮折り原理とも呼ばれる)を用いた折り過程では、シートは送りローラ対を介して、位置調節可能なポケットストッパへとガイドされる。このストッパに到達すると、シートはその前縁が止められる一方で、送りローラ対はシートを引き続き送る。その結果、シートはシートストッパと送りローラ対との間で圧縮応力を受け、これにより、送りローラ対の直後でシートが変向されて、バックルが形成される。
【0006】
上側を支持するために、送りローラ対の直後に上側のガイド条片(上側のポケットリップ)が配置されている。送りローラ対の背後には引張りローラ対が配置されている。シートが下方へ向かって変向されることにより、シートは引張りローラにより捕捉されて、本来の折り過程が実施される。
【0007】
折り機の生産量、つまり生産性を向上させるためには、一般に折り機を通過するシートの通過速度が増大される。しかし、この速度増大により、各折り丁に歪みや損傷が生じ、このことは明らかな品質損失につながる。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008048287号明細書には、印刷されたシートを折り機でずれ重ね状に折る方法が開示されている。このためにこの公知の折り機は、少なくとも1つの折りユニットを備えた少なくとも1つの折りステーションを有している。シート状の要素は、所定の搬送方向で、前縁を先頭にしてずれ重ね部を伴って折りステーションに供給される。この場合、ずれ重ね部は、当該発明に基づき最大で第1の折り長さに相応している。
【0009】
このような方法によれば、折りステーションの性能を顕著に向上させることが可能である。
【0010】
上述のバックル折り機の欠点は、バックルの形成時に問題が生じる恐れがあるという点にある。バックルが引張りローラによって十分迅速に確実に捕捉されないと、後続のシートとの衝突、延いては材料の滞留が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004041471号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008048287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の課題は、折りユニットを通るシートの通過を改良し、且つ公知先行技術の欠点を少なくとも部分的に取り除く、シートを折る方法及びバックル折り機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために本発明のバックル折り機でシートを折る方法では、折りローラ対のローラのうちの少なくとも1つのローラの表面が、第1のローラ対の少なくとも1つのローラの表面の周速よりも常時高い周速を有している。
【0014】
更に本発明によるバックル折り機では、該バックル折り機が1つの駆動装置を有しており、該駆動装置は、第1のローラ対と折りローラ対とに対応配置されており、前記少なくとも1つの第1のローラ対の一部でもあり且つ前記折りローラ対の一部でもある、二重機能を備えた特殊ローラが設けられており、該特殊ローラは摩擦クラッチを介して前記駆動装置に結合されていてもよい。
【0015】
更に本発明によるバックル折り機では、該バックル折り機が、1つの駆動装置を有しており、該駆動装置は、第1のローラ対と折りローラ対の各ローラの駆動に使用され、前記少なくとも1つの第1のローラ対の一部でもあり且つ前記折りローラ対の一部でもある、二重機能を備えた特殊ローラが設けられており、各ローラに1つのベルトローラが対応配置されており、各ベルトローラに前記各ローラがワンウェイクラッチを介して結合されており、前記駆動装置は、前記ベルトローラを駆動する可動のベルトを有しており、前記各ベルトローラの直径は、シート走行方向に見て上流側のベルトローラの直径よりも小さくなっていてもよい。
【0016】
更に本発明によるバックル折り機では、シート走行方向に見て、第1のローラ対と前記第1の折りポケットとの間に少なくとも1つのシートガイド部材、特にガイド金属薄板又はガイドローラが取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による方法は、少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向において第1のローラ対の下流側に配置された第1の折りポケットと、シート走行方向において第1の折りポケットの下流側に配置された折りローラ対とを備えたバックル折り機でのシートの折畳みに用いられる。本発明に基づき、折りローラ対の少なくとも1つのローラの表面における周速は、第1のローラ対の一方のローラの表面における周速よりも常時高速である。換言すると、折りローラ対の少なくとも1つのローラの周速は、第1のローラ対の少なくとも1つのローラの周速よりも大きい。従来技術によるバックル折り機には存在しないこの速度差に基づいて、本来の折り目形成後に、シートは引っ張りローラ対とも呼ばれる折りローラ対により、送りローラ対とも呼ばれる折りローラ対によって搬送されるよりも迅速に搬送される。これにより、折り丁は緊張させられて、より迅速に折りローラ対に引き込まれる。つまり、折り丁は一般に慣例のようにバックル折り機の折りユニットにより送られるのではなく、むしろ引っ張られる。折り丁には、折り目が形成された瞬間から引っ張り応力がかけられている。その結果、折りプロセスが全体的に改良されて、折り製品の品質が向上する。
【0018】
本発明による方法の特に有利で好適な改良では、二重機能を備えた特殊ローラが設けられており、この特殊ローラは、少なくとも1つのローラ対の一部でもあり且つ折りローラ対の一部でもある。つまり、全部で3つのローラが設けられており、この場合、各2つのローラが1つのローラ対を一緒に形成しており、特殊ローラは、折りポケットにシートを進入させるローラ対と、本来の折りを生ぜしめる折りローラ対の両方に対応配置されている。本発明に基づき、特殊ローラの周速は、最大では折りローラ対の他方のローラの周速に相当し、最小では第1のローラ対の他方のローラの周速に相当する。換言すると、特殊ローラの速度は、第1のローラ対の他方のローラのより低い速度と、折りローラ対の他方のローラのより高い周速との間で変動する。
【0019】
第1の変化態様では、少なくとも1つの第1のローラ対と、折りローラ対とは機械的に分離されていて、第1のローラ対の回転速度と折りローラ対の回転速度とは、互いに独立して調節可能である。この方法を実施するためには、少なくとも第1のローラ対の駆動装置と折りローラ対の駆動装置とが互いに分離されている特殊ローラフレームを備えたバックル折り機が必要である。
【0020】
本発明による方法の別の改良では、折りローラ対の少なくとも1つのローラの回転速度と、第1のローラ対の少なくとも1つのローラの回転速度とは、互いに一定の比にある。換言すると、各ローラの回転速度はそれぞれ任意に調節可能ではなく、むしろ互いに関連している。本発明による方法の別の改良では、折り畳み中に、折り畳まれるべきシートのシートテンションが検出、即ち測定されて、シートテンションの検出結果に関連して、少なくとも第1のローラ対の回転速度と、折りローラ対の回転速度とが適合される。これにより、折りプロセス中はシートが常に引っ張り応力をかけられた状態に保たれ、延いては高い折り精度が得られる、ということが保証され得る。
【0021】
本発明による方法の第1の変化態様では、バックル折り機の全てのローラが同一の直径を有しており、折りローラ対の少なくとも1つのローラが、より高い回転速度で駆動される。特に、後続の全ての折りローラも、前記のより高い回転速度で駆動されるか、又は該回転速度より一層高い回転速度で駆動される。この方法を実施するために、折りローラ自体を変更する必要はない。それというのも、折りローラは一般に同一直径を有しているからである。しかし、ローラ駆動装置の適合が必要であり、これにより折りローラ対の少なくとも1つのローラを、より高い回転速度で駆動することができ、このより高い回転速度によって、折り畳まれるべきシートが折りプロセス中に緊張させられる。
【0022】
本発明による方法の更に別の択一的な変化態様では、第1のローラ対の少なくとも1つのローラが、折りローラ対のローラよりも小さな直径を有している。この場合、第1のローラ対のローラと、折りローラ対の少なくとも1つのローラとは、同じ回転速度で駆動される。しかし、第1のローラ対の少なくとも1つのローラの直径と、折りローラ対のローラの直径との相違に基づいて、これらのローラの周速に差が生じる。この周速の速度差によってもやはり、折り畳まれるべきシートが折りプロセス中に緊張させられて、常時引っ張り応力をかけられた状態に保たれる。
【0023】
本発明は、少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向において第1のローラ対の下流側に配置された第1の折りポケットと、シート走行方向において第1の折りポケットの下流側に配置された折りローラ対とを備えたバックル折り機の択一的な変化態様にも関する。本発明に基づき、バックル折り機の各折りユニットは二重機能を備えた特殊ローラを有しており、この特殊ローラは、少なくとも1つの第1のローラ対の一部でもあり且つ折りローラ対の一部でもある。更に、当該バックル折り機はローラを駆動する1つの駆動装置を有しており、この駆動装置は少なくとも第1のローラ対と折りローラ対とに対応配置されている。有利な態様では、特殊ローラは摩擦クラッチ(スライドクラッチ、滑りクラッチ又は滑り伝動装置とも云う)を介して、少なくとも間接的に駆動装置に結合されている。これにより、特殊ローラの周速が、第1のローラ対の他方のローラの周速と、折りローラ対の他方のローラの周速との間で適合可能であるように、特殊ローラが駆動され得る、ということが達成される。折りポケット内へのシートの供給中、特殊ローラは第1のローラ対の他方のローラと協働し、これによりシートを折りポケット内に送る。この場合、前記両ローラは同一の周速を有している。シートにバックルが形成され、このバックルが折りローラ間に引き込まれると直ちに、特殊ローラは折りローラ対の他方のローラと協働して、折り丁に折り目を生ぜしめる。この場合、特殊ローラは折りローラ対の他方のローラのより高い周速で駆動される。
【0024】
本発明は、少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向において第1のローラ対の下流側に配置された第1の折りポケットと、シート走行方向において第1の折りポケットの下流側に配置された折りローラ対とを備えたバックル折り機にも関する。本発明に基づき、当該バックル折り機は1つの駆動装置を有しており、この駆動装置は第1のローラ対と折りローラ対の各ローラに対応配置されている。バックル折り機の各折りユニットには、二重機能を備えた各1つの特殊ローラが設けられており、この特殊ローラは、少なくとも1つの第1のローラ対の一部でもあり且つ折りローラ対の一部でもある。駆動装置は複数のベルトローラを有しており、この場合、各ローラに各1つのベルトローラが対応配置されており、各ローラは各ベルトローラと、ワンウェイクラッチを介して結合されている。ベルトローラを駆動するために、駆動装置は更に、バンド若しくは帯として構成されていてもよい可動のベルトを有している。有利には、各ベルトローラの直径は、(シート走行方向に見て)上流側のベルトローラの直径よりも小さくなっている。換言すると、シート走行方向に見て、ベルトローラの直径は減少していく。このことは逆に、ベルトローラの回転速度を(シート走行方向に見て)増大させる。即ち、少なくとも第1のローラ対は、後続の折りローラ対よりも低い回転速度で駆動される。つまり、本発明によるこのローラ駆動装置の構成によってローラの速度差が生ぜしめられ、このことは、折り丁が常に引っ張り応力をかけられた状態に保たれ、その結果、品質的に高価値の折り目が形成され得る、ということを保証する。
【0025】
バックル折り機の別の択一的な変化態様において、当該バックル折り機は少なくとも1つの第1のローラ対と、シート走行方向において第1のローラ対の下流側に配置された第1の折りポケットと、シート走行方向において第1の折りポケットの下流側に配置された折りローラ対とを有している。本発明に基づき、(シート走行方向に見て)第1のローラ対と第1の折りポケットとの間には、少なくとも1つのシートガイド部材、特にガイド金属薄板又はガイドローラが配置されており、これにより特殊ローラフレームが形成されるので、ローラ対の回転速度と折りローラ対の回転速度とは、互いに独立して調整可能である。
【0026】
バックル折り機のこの変化態様の有利な改良では、バックル折り機が少なくとも1つの第1の駆動装置と、第2の駆動装置とを有しており、この場合、第1の駆動装置は第1のローラ対に対応配置されており、第2の駆動装置は折りローラ対に対応配置されており、第1のローラ対と折りローラ対とは、互いに機械的に分離されている。前記駆動装置は、特に個別に制御可能なサーボモータであってよい。
【0027】
第1の変化態様において上述のバックル折り機は全て、同一の直径を備えたローラを有している。これらのバックル折り機では、第1のローラ対の周速と、後続の折りローラ対の周速との速度差が、ローラ駆動装置の適当な構成によって達成される。
【0028】
上述のバックル折り機の第2の変化態様では、第1のローラ対の少なくとも1つのローラが、折りローラ対のローラの直径よりも小さな直径を有している。この場合、第1のローラ対の周速と、折りローラ対の周速との速度差は、ローラの直径の差によって生ぜしめられる。
【0029】
更に、「第1のローラ対」という呼称について述べておくと、この第1のローラ対は、特定の折りユニットの第1のローラ対である。1つのバックル折りステーションに複数の折りユニットが設けられている場合は、前記第1のローラ対は、例えば第2の折りユニットに配置されていてもよく、したがって(シート走行方向Tに見て)上流側の折りユニットのローラ対は、前記第1のローラ対の上流側に配置されている。
【0030】
上述した発明と、該発明の上述した有利な改良とは、互いに任意に組み合わせても本発明の有利な改良を成すものである。
【0031】
別の利点及び本発明の有利な構成の構造的及び機能的観点については、従属請求項並びに任意の図面に関する実施形態の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】バックル折りユニットの基本的な構成を示した図である。
【
図2】保護部材を取り外した状態の折りステーションを示した図である。
【
図4a】本発明に基づく構成の標準的なローラフレームを示した図である。
【
図4b】
図4aに示した標準的なローラフレームを、シートと共に示した図である。
【
図5a】第1実施形態の特殊ローラフレームを示した図である。
【
図5b】第2実施形態の特殊ローラフレームを示した図である。
【
図5c】第3実施形態の特殊ローラフレームを示した図である。
【
図6】2つの駆動装置を備えた構成の標準的なローラフレームを示した図である。
【
図8a】摩擦クラッチを備えた特殊ローラの駆動装置を示した図である。
【
図8b】摩擦クラッチを備えた特殊ローラの駆動装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0034】
図面において互いに対応する要素及び構成部材には、同一の符号が付されている。
【0035】
図1には、基本的に従来技術から公知のものと同様の、バックル折り機100の1つの折りユニットが示されている。この折りユニットは、第1の折りローラ1と、第2の折りローラ1.1と、第3の折りローラ2とを有している。折りローラ1と折りローラ1.1とは一緒に第1のローラ対を形成しており、この第1のローラ対は送りローラ対とも呼ばれる。このローラ対1,1.1は、シート30を折りユニットの折りポケット6に送り込む。この折りポケット6はシートストッパ6.1を有していて、このシートストッパ6.1までシート30が搬送される。この場合、シートは上側のポケットリップ6.2と下側のポケットリップ6.3によりガイドされる。シート30の前縁がポケットストッパ6.1に当接すると直ちに、シート30にバックル(曲がり部)30.1が形成され始め、このバックル30.1がローラ1.1とローラ2とにより引き込まれて、シート30に1つの折り目が形成され、この折り目は、生産された折り製品において折り縁を成す。つまり、ローラ1.1とローラ2とは、引張りローラ対とも呼ばれる折りローラ対を形成している。即ち、ローラ1.1は、二重機能を備えた特殊ローラを形成している。それというのも、ローラ1.1は第1のローラ対の一部でもあり且つ折りローラ対の一部でもあるからである。従来技術による折りユニットの場合は、全てのローラ1,1.1,2が同一の回転速度で駆動される。また、全てのローラ1,1.1,2が同一の直径を有している。つまり、全てのローラ1,1.1,2が同一の値の周速、即ちv1=v2を有している。本発明ではこの原則が破られて、折りユニットは所定の速度差を伴って運転される。つまり、ローラ1は周速v1を有しており、この周速v1は、折りローラ2の周速v2よりも低い。即ち、v1<v2である。これに対して特殊ローラ1.1は、低い方の周速v1と高い方の周速v2の両方を有することができるように構成されている。つまり、特殊ローラ1.1は、折りポケット6内にシート30を供給している間は、ローラ1と同様に周速v1を有している。シート30のバックル30.1が折りローラ1.1,2間に引き込まれると、特殊ローラ1.1の周速は、折りローラ2の周速v2と等しくなる。周速v2は、周速v1よりも高いので、シート30は慣例のように折りユニットを通って送られるのではなく、むしろ緊張させられた状態で折りユニットを通って引っ張られる。これにより、質的に高価値の折り目を備えた折り製品を形成することができるうえに、シート30が圧縮空間範囲、即ち、ローラ1,1.1,2間の範囲から円滑に搬出されることが保証されるので、折りユニットに供給される後続のシート30との衝突が生じる恐れはない。
【0036】
図2に示した折りステーション103の図は、この折りステーション103の保護部材が取り外されて、折りローラ1,1.1,2,3,4,5の駆動系が露出された状態を示すものである。折りローラ1,1.1,2,3,4,5は、1つの平ベルト8により駆動される。このために折りステーション103は伝動装置板25を有しており、この伝動装置板25には複数のベルトローラ26と、1つの変向ローラ27.1と、1つの駆動ローラ27.2とが取り付けられている。駆動ローラ27.2は、第1の駆動装置28.1(ここには図示せず)に結合されていてよく、平ベルト8を駆動する。ベルトローラ26に平ベルト8が巻き掛けられることにより、ベルトローラ26が回転駆動される。
【0037】
図3に示した断面図から判るように、折りローラ1,1.1,2,3,4,5は折りローラレバー23と、例えばオルダム継手として構成されていてよい十字型継手24(十字方向溝付き継手とも云う)とを介して、各ベルトローラ26に結合されている。この場合、このユニットは伝動装置板25に支持される。本実施形態において、平ベルト8が巻き掛けられたベルトローラ26は、ワンウェイクラッチ9を介してジャーナルに保持され、このジャーナルは、十字型カップリング24とフランジ締結されている。ワンウェイクラッチ9により、折りローラ1は所定の回転方向に、ベルトローラ26より高速で回転することもできる。後続の折りローラを、より高速で駆動できるようにするために、ベルトローラ26の直径d3は下流側に向かって僅かに減径していく。全てのベルトローラ26は同一の平ベルト8によって駆動されるので、小さくなるベルトローラ直径d3に基づいて、ベルトローラ26の回転速度の増大が達成される。本実施形態では、全てのローラ1,1.1,2,3,4,5が同一のローラ直径d1,d2を有しているので、折りローラ1,1.1,2,3,4,5の周速v1,v2は(シート走行方向Tで見て)増大する。これにより有利な態様では、シート30が折りステーション103の折りユニットを通って引っ張られるようになる。
【0038】
図4aには、折りステーション103の択一的な構成が示されている。フィードテーブル102を介してシート30がシート搬送方向Tで折りステーション103に供給される。折りステーション103は、上流側に配置されたナイフ軸対7.1と、下流側に配置されたナイフ軸対7.2とを有しており、これらのナイフ軸対7.1,7.2は、折りプロセス用にシート30を準備するため、若しくは折り畳まれた折り丁を後加工するために使用される。折りステーション103は更に、複数のローラ1,1.1,2,3,4,5と、3つの折りポケット6とを有している。第1の上側の位置には折りポケット6は位置していない。その代わり、ここではシート転向板6.4が使用され、その結果、シート30の第1の折り目は、下側に位置する第1の折りポケットにより形成される。ローラ1,1.1は、第1のローラフレームW1の一部であるのに対して、ローラ3,4,5は、第2のローラフレームW2の一部である。第1のローラフレームW1のローラ1,1.1は、第1の速度範囲V1に割り当てられていて、第1の周速v1を有している。ローラ3,4,5は、速度範囲V2に割り当てられていて、第2の周速v2を有している。この場合、第2の周速v2は、第1の周速v1よりも大きい。これにより、シート30が折りステーション103を通って引っ張られることが保障される。ローラ2は特殊ローラとして構成されており、両ローラフレームW1,W2のいずれにも対応配置されていない。但し、ローラ2は中間速度範囲V1-V2に割り当てられている。このことは、ローラ2の周速は第1の周速v1の値と、第2の周速v2の値の両方を取ることができる、ということを意味している。第1の実施形態では、全てのローラ1,1.1,2,3,4,5が同一のローラ直径d1,d2を有している。この場合、第1の速度範囲V1と第2の速度範囲V2との間の速度差は、例えば各ローラ系W1,W2にそれぞれ1つの駆動装置28.1,28.2が対応配置されている(
図6参照)ことに基づいて、ローラが異なる回転速度で駆動されることにより得られる。
【0039】
別の変化態様では、ローラはそれぞれ異なる直径d1,d2を有している。つまり、第1のローラ系W1のローラ1,1.1は、比較的小さい直径d1を有しているのに対して、ローラ系W2のローラ3,4,5と、特殊ローラ2とは、比較的大きなローラ直径d2を有している。例えば、ローラ直径d1は、ローラ直径d2よりも約1%だけ小さくてよい。これにより、全ての折りローラ1,1.1,2,3,4,5を1つの共通の駆動装置によって駆動した場合、ローラ1,1.1は、ローラ2,3,4,5の周速v2よりも低い周速v1を有することになる。これにより、シート30は折りステーション103内で常に引っ張り応力をかけられた状態に保たれる。
【0040】
図4bには、シート30が第1の2つの折りポケット6を既に通過して、2つの折り目を付けられ、今、第3の折りポケット6内に位置している状態が示されている。更に
図4bでは、特殊ローラ2が摩擦クラッチ12を介して駆動系に結合されており、これによりローラ2の周速は、第1の周速v1の値をとることもできるし、第2の周速v2の値をとることもできるということが示唆されている。摩擦クラッチ12の可能な実施形態は、
図8a及び
図8bに示されている。
【0041】
図5aには、折りステーション103の別の構成が示されており、この場合、標準的なローラフレームが使用される
図4a及び
図4bに示した構成とは異なり、特殊ローラフレームが使用される。折りステーション103は第1のローラ系W1と、第2のローラ系W2とを有している。第1のローラ系W1には、第1の周速v1で回転する、第1の速度範囲V1に割り当てられたローラ1,1.1が対応配置されている。第2のローラ系W2には、第1の周速v1よりも高い周速v2を有していて第2の速度範囲V2を形成する、ローラ2,3,4,5が対応配置されている。第1のローラ系W1と第2のローラ系W2との間には、中間ローラ2.Zとガイド部材2.Lとが配置されている。中間ローラ2.Zは、v2とv1との間の周速をとることができるので、中間速度範囲V1-V2に割り当てられている。これによりやはり、折り丁30が次の折りポケット6に迅速に引き込まれることが保証される。
【0042】
図5bには、
図5aに示した特殊ローラフレームの改良が示されている。折りステーション103は2つの折りポケット6しか有していないが、ローラの周速の速度差に関して大幅に最適化されている。つまり、ローラ1,1.1は第1のローラ系W1を形成していて、第1の速度範囲V1に割り当てられている。それというのも、ローラ1,1.1はそれぞれ周速v1を有しているからである。この第1のローラ系W1から分離された第2のローラ系W2は、折りローラ2と中間ローラ2.Zとから形成される。ローラ2,2.Zは第2の周速v2を有しているので、第2の速度範囲V2に割り当てられている。第2のローラ系W2から機械的に分離された第3のローラ系W3は、折りローラ3と、別の中間ローラ3.Zとから形成される。中間ローラ3.Zと向かい合うように、ガイド部材3.Lが配置されている。ローラ3,3.Zは両方とも第3の周速v3を有しているので、第3の速度範囲V3に割り当てられる。3つのローラ系W1,W2,W3に分割することにより、ローラの周速v1,v2,v3が(シート走行方向Tで見て)増大し、これによりシート30が緊張させられた状態でローラ系W1,W2,W3を通って引っ張られることが可能になる。
【0043】
図5cには、
図5bに示した特殊ローラフレームの改良が示されている。この場合、ガイド部材2.L,3.Lはガイドローラ2.F,3.Fで代替された。
【0044】
共通の駆動装置28.1と、異なるローラ直径d1,d2とを備えた折りローラ1,1.1,2,3,4,5で作業する場合、
図5bに示した特殊ローラフレームにおいて、ローラ3.Z,3は、ローラ直径d2に比べて大きなローラ直径d3を有していてよい。
図5cに示した特殊ローラフレームでは、ローラ3,3.Z,3.Fは、前記の比較的大きなローラ直径d3を有していてよい。これらの実施形態において、本発明に基づく速度差は、異なるローラ直径d1,d2,d3により実現される。
【0045】
良好なシートテンションに必要とされる所要速度差を決定するために、シート30のシートテンションが折りステーション103において光学的に検出され得る。これに対して択一的に、折りローラギャップを調節する調節装置29.1の変化を監視して、この変化からシートテンションを推測することもできる。フェスタ調節装置という概念でも知られる調節装置29.1は、支持レバー29.2を介して各折りローラ1,1.1,2,3,4,5に接続されている。搬送力が極端に大きいと、−少なくとも直接的な歯車駆動において−折りローラは「跳ねる」傾向にある。この場合、生じる力により折りローラの歯車が互いに押し離されて、調節装置29.1と支持レバー29.2との間にギャップが生じ、このギャップは測定技術的に検出され得る。測定結果は、折りローラが最早跳ねなくなるまで速度差を減少させるために利用され得る。
【0046】
別の実施形態では、(
図8a及び
図8bに示したように)滑り伝動装置によって速度差を生ぜしめることが可能である。バックルを逃がした後で、滑り伝動装置12における摩擦力調節に応じて、速度差は自動的に適合し得る。この場合、
図4a及び
図4bに示したような一方のローラフレームW1は、一定の速度v1で駆動される。他方のローラフレームW2は、より高い速度v2で駆動される。特殊ローラ2は、今、シート30がローラ1.1とローラ2との間に位置しているのか、又はローラ2とローラ3との間に位置しているのかに関連して、摩擦クラッチ12を介して中間の速度で駆動される。一般に、速度v1,v2,v3は、(シート走行方向Tに見て)下流側に向かって高くなる。折りプロセスの間中、速度v1-v2は自動的に調節される。
【0047】
図7には、従来技術から公知のものと同様の折り機100が示されている。この折り機100は、フィーダ101と、方向規正台102と、加工ステーション103とを有している。フィーダ101は、シートスタック300からのシート30の分離を生ぜしめ、このためにスタック300の後縁に設けられた分離用サッカ11(トリマット)が、エアブロー及びめくり上げ用サッカを用いてシート30をスタックから分離させて持ち上げ、次いでシート30は、例えばサクションホイール10によって方向規正台102に引き渡されてよい。方向規正台102は多数のガイドレールを有していて、これらのガイドレールには各シート30が、シート搬送方向Tでの搬送中に載置されている。方向規正台102上での搬送中、各シート30は、シート搬送方向Tに対してやや傾斜して延在するベルトコンベヤ20により、方向規正定規21に寄せられて搬送され、このようにして向きが正されるようになっている。各シート30の持上がりを防止して、各シート30がベルトコンベヤ20と接触し続けることを保証するために、多数の押さえ玉22が設けられている。このようにして向きを正されたシート30は次いで、加工ステーション103(ここでは第1の折りステーションとして図示)に引き渡される。折りステーション103は、上流側に配置されたナイフ軸7.1と、第1の折りローラ1,1.1と、第1の上側の折りポケット6と、第2の折りローラ2,3と、第2の下側の折りポケット6とを有している。この折りステーション103は上述したように構成されているので、シート30は本発明に基づいて、折りステーションを通って引っ張られる。
【0048】
図8a及び
図8bに示した摩擦クラッチ12の可能な実施形態では、特殊ローラ2は歯車50によって駆動されるようになっており、摩擦クラッチ12に基づいて、中間速度範囲V1-V2の速度をとることができる。
【0049】
図8aには組み立てられた状態の摩擦クラッチ12が示されており、
図8bには摩擦クラッチ12の構造が示されている。
【0050】
摩擦クラッチ12は、折りローラ2に結合された軸43を有している。歯車50の回転運動は、滑りリング45を介して連行リング46に伝達され、この連行リング46の突起部によって軸43に伝達され、これにより折りローラ2も回転運動を行うようになっている。この駆動は、−摩擦クラッチ12に滑りが生じていない場合に−歯車50により規定された速度v1での回転を生ぜしめる。摩擦クラッチ12は更に圧縮ばね48を有しており、この圧縮ばね48は、ブシュ47と、ワッシャ49と、ナット41とにより保持され且つ力伝達要素としてのワッシャ45,46を、歯車50の端面に押し付ける。この場合、圧縮ばね48の弾性力は、折りローラ2と、より高い速度v2で回転する後続の折りローラ3との間を搬送される折り丁30の加圧に基づいて、折りローラ2もやはりより高い速度v2で回転される場合には、摩擦クラッチ12が滑って駆動力が伝達されないように調節される。つまり、スライドクラッチとも呼ばれる摩擦クラッチ12により、折りローラ2はv1とv2の間の速度をとることができる、ということが保証される。
【符号の説明】
【0051】
1,1.1,2,3,4,5 折りローラ、 2.Z,3.Z 中間ローラ、 2.F,3.F ガイドローラ、 2.L,3.L ガイド部材、 6 折りポケット、 6.1 シートストッパ、 6.2 上側のポケットリップ、 6.3 下側のポケットリップ、 6.4 シート転向板、 7.1,7.2 ナイフ軸対、 8 平ベルト、 9 ワンウェイクラッチ、 10 サクションホイール、 11 分離用サッカ、 12 摩擦クラッチ/滑りクラッチ、 20 ベルトコンベヤ、 21 方向規正定規、 22 押さえ玉、 23 折りローラレバー、 24 十字型継手、 25 伝動装置板、 26 ベルトローラ、 27.1 変向ローラ、 27.2 駆動ローラ、 28.1 第1の駆動装置、 28.2 第2の駆動装置、 29.1 調節装置、 29.2 支持レバー、 30 シート、 30.1 バックル、 41 ナット、 43 軸、 45 滑りリング、 46 連行リング、 47 ブシュ、 48 圧縮ばね、 49 ワッシャ、 50 歯車、 100 折り機、 101 フィーダ、 102 方向規正台、 103 折りステーション、 300 シートスタック、 d1,d2,d3 ローラ直径、 v1 第1の周速、 v2 第2の周速、 v3 第3の周速、 V1 第1の速度範囲、 V2 第2の速度範囲、 V1-V2 中間速度範囲、 V3 第3の速度範囲、 W1 第1のローラ系、 W2 第2のローラ系、 W3 第3のローラ系、 T シート走行方向