特許第6150603号(P6150603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150603
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】車両充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170612BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20170612BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H02J7/00 P
   H02J7/02 F
   B60L11/18 C
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-98323(P2013-98323)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-220905(P2014-220905A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年3月23日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泰城
(72)【発明者】
【氏名】林 悟
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−254642(JP,A)
【文献】 特開平07−123599(JP,A)
【文献】 特開2011−072104(JP,A)
【文献】 特開2009−225493(JP,A)
【文献】 特開2007−232491(JP,A)
【文献】 特開2012−162176(JP,A)
【文献】 特開2004−166364(JP,A)
【文献】 特開平05−276676(JP,A)
【文献】 特開平09−294339(JP,A)
【文献】 特開2013−132117(JP,A)
【文献】 特開2013−236465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電ケーブルの先端に備えた充電コネクタを車両の給電口に接続して車両の充電を行う車両充電装置であって、充電ケーブルに流れる充電電流を計測する電流計測手段と、充電制御信号を生成する充電制御部を有し、この充電制御部は、認証開始動作により充電制御信号の状態に基づいて、車両判定を行う車両判定手段と、前記車両判定の後に、充電電路を閉路する充電電路閉路手段と、充電電路の閉路後に、
前記電流計測手段で計測した電流値と、該電流計測時における充電制御信号の状態に基づいて、充電コネクタと車両の給電口の接続状態を判定する接続判定手段とを備え、前記接続判定手段は、前記電流値が設定値を超えた場合に正常な接続状態にあると判定し、
充電電路閉路後の設定時間経過後であっても前記電流値が前記設定値未満であるが暗電流の設定範囲内にあるとき、充電コネクタと車両の給電口の接続が不完全な状態で接続された半嵌合状態にあると判定し、
前記電流値が前記暗電流の設定範囲未満であるとき、充電コネクタと車両の給電口が接続されていない非接続状態にあると判定することを特徴とする車両充電装置。
【請求項2】
前記接続判定手段は、充電制御信号が第1の設定の電位であって、前記電流値が前記設定値以上であるとき、制御対応車両が正常な接続状態にあると判定することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項3】
前記車両判定手段が、車両判定開始後、設定時間内に制御対応車両の接続を判定できない場合に、充電電路を閉路することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【請求項4】
前記接続判定手段は、充電制御信号が前記第1の設定電位とは異なる第2の設定の電位であって、前記電流値が前記設定値以上であるとき、制御非対応車両が正常な接続状態にあると判定することを特徴とする請求項2記載の車両充電装置。
【請求項5】
前記充電コネクタの接続状態を表示する接続状態表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の車両充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電池を備えた充電車両の充電に用いる車両充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載電池を備えた充電車両への充電は、充電装置と接続した充電ケーブルの先端にある充電コネクタを、充電車両の給電口に嵌め込んで行われる。
【0003】
車両への充電開始制御は、車両の充電制御の規格(モード1とモード2)により異なる。
具体的には、モード2型車両(制御対応車両)では、充電開始前に、車両側の充電制御回路と車両充電装置側のとの間で充電制御信号(CPLT信号)の送受信を行いながら、充電ケーブルの接続状況や車載電池の充電状態などをチェックした後に充電が開始される。
一方、車両側に充電制御回路を持たないモード1型車両(制御非対応車両)では、CPLT信号の送受信は行われず、車両充電装置のスタートボタンを押すだけで充電が開始される。
【0004】
何れかのモード専用とした車両充電装置では、装置構成が簡易化できる利点もあるが、不特定の使用者が想定される公共スペースへの設置には適さない。これに対し、特許文献1には、何れのモードにも対応した車両充電装置が開示されている。
【0005】
上記何れの充電制御の規格の車両であっても、充電コネクタと車両の給電口が半嵌合の状態(充電コネクタが、車両の給電口の奥まで嵌め込まれていない状態)にある場合には、外観からは見過ごされやすく、充電が開始されないまま放置されてしまい不都合であるという問題があった。特に、充電制御回路を持たないモード1型車両では車両充電装置との接続自体を検出できないため、半嵌合の状態の検出はさらに困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−254642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は前記を解決し、モード2型車両およびモード1型車両の双方に対応した車両充電装置であって、接続車両のモードおよび充電コネクタと車両との給電口の接続状態を的確に判定できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の車両充電装置は、充電ケーブルの先端に備えた充電コネクタを車両の給電口に接続して車両の充電を行う車両充電装置であって、充電ケーブルに流れる充電電流を計測する電流計測手段と、充電制御信号を生成する充電制御部を有し、この充電制御部は、認証開始動作により充電制御信号の状態に基づいて、車両判定を行う車両判定手段と、前記車両判定の後に、充電電路を閉路する充電電路閉路手段と、充電電路の閉路後に、前記電流計測手段で計測した電流値と、該電流計測時における充電制御信号の状態に基づいて、充電コネクタと車両の給電口の接続状態を判定する接続判定手段とを備え、前記接続判定手段は、前記電流値が設定値を超えた場合に正常な接続状態にあると判定し、充電電路閉路後の設定時間経過後であっても前記電流値が前記設定値未満であるが暗電流の設定範囲内にあるとき、充電コネクタと車両の給電口の接続が不完全な状態で接続された半嵌合状態にあると判定し、前記電流値が前記暗電流の設定範囲未満であるとき、充電コネクタと車両の給電口が接続されていない非接続状態にあると判定することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両充電装置において、前記接続判定手段は、充電制御信号が第1の設定の電位であって、前記電流値が前記設定値以上であるとき、制御対応車両が正常な接続状態にあると判定することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の車両充電装置において、前記車両判定手段が、車両判定開始後、設定時間内に制御対応車両の接続を判定できない場合に、充電電路を閉路することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2の車両充電装置において、前記接続判定手段は、充電制御信号が前記第1の設定電位とは異なる第2の設定の電位であって、前記電流値が前記設定値以上であるとき、制御非対応車両が正常な接続状態にあると判定することを特徴とするものである。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の車両充電装置において、前記充電コネクタの接続状態を表示する接続状態表示手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、充電制御信号を生成する充電制御部に、ボタン操作等による任意の認証開始動作後の充電制御信号の状態に基づいて、車両判定を行う車両判定手段と、前記車両判定の後に、充電電路を閉路する充電電路閉路手段と、充電電路の閉路後に、前記電流計測手段で計測した電流値と、該電流計測時における充電制御信号の状態に基づいて、充電コネクタと車両の給電口の接続状態を判定する接続判定手段を備え、前記接続判定手段は、前記電流値が設定値を超えた場合に正常な接続状態にあると判定することにより、接続車両のモードおよび充電コネクタと車両の給電口の接続状態を的確に判定可能とした。
【0016】
請求項5記載の発明のように、前記充電コネクタの接続状態を表示する接続状態表示手段を有し、該接続状態表示手段に、前記接続判定手段の判定結果を表示する構成とすることにより、認証開始動作後、速やかに、接続車両のモードにかかわらず、充電コネクタと車両の給電口の接続の異常を作業者に知らせることができ、例えば、半嵌合の見過ごし等の不都合を確実に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の車両充電装置にモード2型車両を接続した状態のブロック図である。
図2】本実施形態の車両充電装置内に備えた充電制御部のブロック図である。
図3】充電制御部が、接続車両のモードおよび充電コネクタと車両の給電口の接続状態を判定する流れ流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本実施形態の車両充電装置5は、図1に示すように、充電ケーブル1の先端に備えた充電コネクタ2を車両4の給電口3に接続して車両4の充電を行うものであり、車両充電装置5の内部には、充電ケーブル1に繋がる充電電路6流れる充電電流を計測する電流計測手段7と、充電制御信号(CPLT信号)を生成するCPLT回路18を内蔵した充電制御部8と、認証開始動作と連動して動く判定開始ボタン9を備えている。
【0019】
車両接続の状態はCPLT信号の電位で表されるが、その他の要素(デューティ比・発振の有無等)であってもよい。ここで、認証開始動作としては、例えば、使用者による充電開始ボタン押圧操作や、近接センサーによる検出の他、課金認証やIDカード照合等、充電前に行われる充電準備作業から適宜最適なものを採用することができる。その他、モード2型車両(制御対応車両)の場合は、充電ケーブル1をモード2型車両4に接続した際に生じるCPLT信号の電位変化を、認証開始動作とみなすこともできる。
【0020】
図1のブロック図において、充電ケーブル1を車両4に接続していない状態では、車両充電装置5のCPLT信号の電位(図1のA点の電位、以下、CPLT電位という)が12V(第2の設定電位)となるよう設計されている。
【0021】
充電ケーブル1をモード2型車両4に接続すると、車両側の充電制御回路10の抵抗R2が抵抗R1と直列に接続されCPLT電位は9V(第3の設定電位)となる。充電制御部18は、CPLT電位が9Vになったことを検出すると、モード2型車両4が接続されたことを検知し、その後、充電制御部8がCPLT信号を発振させるのでCPLT電位は9V発振の状態となる。これによってパルス状の9VのCPLT信号が車両4側に入り、車両4側の充電制御回路10が受電許可スイッチ11をオンとする。ここで、車載電池12としてリチウムイオン電池が搭載されている場合には、抵抗R3によってCPLT電位は6V(第1の設定電位)で発振に変化し、車両4の受電準備が完了したことを車両用充電装置3が認識する。充電制御部8はこの状態においてリレー13にオン信号を出力し、充電電路6を閉路制御して、車載電池12に対する電源供給として200Vの充電電圧を印加して充電が開始される(以下、モード2型充電制御という)。
なお第1、第2、第3の設定電位はそれぞれ異なった値に規定されている。
【0022】
充電制御部8には、CPLT回路18の他、図1、2に示すように、CPLT電位に基づいて、車両判定(接続された車両のモードを判定)を行う車両判定手段14と、前記車両判定の後に、リレー13にオン信号を出力して充電電路6を閉路する充電電路閉路手段15と、充電電路6の閉路後に、電流計測手段7で計測した電流値と、該電流計測時におけるCPLT電位に基づいて、充電コネクタ2と車両の給電口3の接続状態を判定する接続判定手段16を備えている。
なお、前記車両判定は認証開始動作によって判定開始ボタン9が押圧された後に行なうが、充電コネクタ2がモード2型車両に接続され、CPLT電位が9Vになったことを検出したときには、認証開始動作がされたとみなし、判定開始ボタン9の押圧を省略することができる。
【0023】
以下、充電制御部8が、接続車両のモードおよび充電コネクタと車両の給電口の接続状態を判定する流れを、図3のフローに従って説明する。
【0024】
(ST1)
認証開始動作によって判定開始ボタン9が押圧されると、車両判定手段14が車両判定を開始する。
(ST2)
車両判定手段14は、車両判定開始後設定時間(例えば、10秒間)CPLT電位を計測し、その計測値が9Vの場合、モード2型の車両4が接続されているとの判定を行う。
CPLT電位を設定時間計測するのは、判定開始ボタン9を押圧後に、モード2型の車両4が接続された場合でも判定可能とするためである。
【0025】
一方、CPLT電位が、車両判定開始後、前記設定時間を越えて12Vを維持していた場合、モード2型の車両4は接続されていない、との判定をおこなう。なお、設定時間12Vを維持する具体的ケースとしては、モード1型の車両4の接続、あるいは、車両4との非接続の何れかの状態が想定されるが、車両判定手段14では、その何れかであるかは特定されない。
【0026】
(ST3〜ST5)
前記車両判定手段が、モード2型車両と判定した場合には、前記のモード2型充電制御を経て、充電電路閉路手段15からリレー13にオン信号が出力され、充電電路6が閉路して、車載電池12への充電が開始される。
【0027】
(ST6〜ST7)
前記車両判定手段14が、モード2型車両の接続以外を判定した場合には、モード1型車両の接続を確認するため充電電路閉路手段15からリレー13にオン信号が出力され、充電電路6が閉路して、2の電源線に電圧が印加される。
【0028】
(ST8)
充電電路6が閉路した後、電流計測手段7によって充電電路6に流れる充電電流が計測され、その計測電流値データが接続判定手段16に送信される。
また、CPLT電位データが接続判定手段16に送信される。
【0029】
接続判定手段16では、これらの計測電流値データとCPLT電位データに基づいて、充電コネクタ2と車両の給電口3の接続状態が判定される(ST9〜12)。
【0030】
(ST9)
具体的には、充電電路閉路後の設定時間(例えば30秒)経過後であっても、CPLTの電位にかかわらず、計測電流値が後述する車両が正常な接続状態と判定される設定値(1A)未満の設定範囲内である(例えば、0.2〜0.4A)場合には、充電コネクタ2と車両4の給電口3の接続が不完全であり、充電が開始されない半嵌合状態にあるとの判定が行われる。
ここで、計測されている設定範囲の電流は、車両4側のコンデンサ17に流れ、車載電池12への充電には寄与しない暗電流である。
(ST10)
また、CPLT電位が12Vであって、計測電流値が前記暗電流の設定範囲の下限値未満(例えば、0.2A未満)の場合には、充電コネクタと車両の給電口が接続されていない非接続状態にあるとの判定が行われる。
(ST11)
計測電流値が前記設定値以上(例えば、1A以上)であって、CPLT電位が12Vの場合には、モード1型車両が正常な接続状態にあるとの判定が行われる。
(ST12)
計測電流値が前記設定値以上であって、CPLT電位が6Vの場合には、モード2型車両が正常な接続状態にあるとの判定が行われる。
【0031】
その他、車両充電装置5に、接続判定手段16の判定結果を表示する表示手段20を備えることにより、認証開始動作後、接続車両のモードに関わらず、速やかに充電コネクタと車両の給電口の接続状態を作業者に知らせることができ、例えば、半嵌合の見過ごし等により充電ができていない事態を解消することも可能となる。
【0032】
また、現在、複数台の車両を同時に充電する充電システムにおいて、限られた電力内で全ての車両を効率よく充電するために採用される分割充電等のエネルギーマネージメントへの需要が高まっており、各種の方法が検討されている。しかし、従来技術は、何れもモード2型車両のみを対象としたものであり、モード1型車両のユーザに不都合であるという問題があった。
これに対し、本発明の車両充電装置によれば、車両の接続時に、充電コネクタと車両の給電口の接続状態と同時に、接続車両のモード判定が可能となるため、この技術を複数台の車両を同時に充電する充電システムに用いることで、モード1型車両とモード2型車両の混在を想定した、より利便性の高いエネルギーマネージメントが実現できる。
【符号の説明】
【0033】
1 充電ケーブル
2 充電コネクタ
3 給電口
4 車両
5 車両充電装置
6 充電電路
7 電流計測手段
8 充電制御部
9 判定開始ボタン
10 充電制御回路(車両側)
11 受電許可スイッチ
12 車載電池
13 リレー
14 車両判定手段
15 充電電路閉路手段
16 接続判定手段
17 コンデンサ
18 CPLT回路
20 表示手段
図1
図2
図3