特許第6150609号(P6150609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150609
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】エアバッグカバーの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/215 20110101AFI20170612BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20170612BHJP
【FI】
   B60R21/215
   B60R21/205
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-101434(P2013-101434)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-221582(P2014-221582A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】渥美 亮
(72)【発明者】
【氏名】関野 忠昭
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−331655(JP,A)
【文献】 特開2010−264803(JP,A)
【文献】 実開昭55−174892(JP,U)
【文献】 特開2005−351068(JP,A)
【文献】 特開2007−296922(JP,A)
【文献】 特開2002−362275(JP,A)
【文献】 特開2000−142294(JP,A)
【文献】 米国特許第05303951(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれたエアバッグを覆うエアバッグカバーを、エアバッグ展開用の開口部を有するパネルに取り付けるエアバッグカバーの取付構造であって、
パネルが、開口部の周縁に形成されてパネルの裏側に突出する周縁部と、エアバッグカバーを保持する保持部を有し、
エアバッグカバーが、パネルの裏側から開口部に嵌め込まれるエアバッグリッドと、エアバッグリッドの裏側に形成されてエアバッグを囲む周壁と、エアバッグリッドの周縁に形成されてパネルの周縁部に接触する鍔部と、エアバッグリッドを開口部に嵌め込んだ状態でパネルの保持部に連結される連結部を有し、
パネルの保持部が、係止孔を有するとともに、パネルの周縁部からパネルの裏側に突出し、
エアバッグカバーの鍔部が、パネルの保持部が挿入される挿入孔を有し、
エアバッグカバーの連結部が、挿入孔に挿入された保持部の係止孔に挿入されて保持部に係止される係止爪を有するエアバッグカバーの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
エアバッグカバーの連結部が、エアバッグリッドを開口部に嵌め込むときに、パネルの保持部に連結されるエアバッグカバーの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
複数組みの保持部と連結部が、エアバッグリッドの周縁に沿って分散して配置されたエアバッグカバーの取付構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
パネルの保持部が、パネルの周縁部に形成され、
エアバッグカバーの連結部が、エアバッグカバーの鍔部に、又は、エアバッグカバーの周壁に形成されたエアバッグカバーの取付構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
エアバッグカバーの連結部が、エアバッグカバーの挿入孔よりも外側の鍔部に形成されて、挿入孔に挿入された保持部の外側に配置され、
連結部の係止爪が、外側から保持部の係止孔に挿入されるエアバッグカバーの取付構造。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれかに記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
エアバッグカバーが、鍔部からパネルに向かって突出してパネルに接触する接触部を有するエアバッグカバーの取付構造。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
エアバッグカバーが、周壁と鍔部を補強する補強部を有するエアバッグカバーの取付構造。
【請求項8】
請求項7に記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
エアバッグリッドが、エアバッグの展開時に裂けて周壁の内側に扉部を形成するティアラインと、扉部を保持しつつ周壁に沿って変形して扉部を開放させる変形部を有し、
エアバッグカバーの補強部が、変形部に沿う周壁を補強するエアバッグカバーの取付構造。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれかに記載されたエアバッグカバーの取付構造であって
エアバッグカバーが、ボルトによりパネルに締結される締結部を有するエアバッグカバーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグを覆うエアバッグカバーを車両のパネルに取り付けるエアバッグカバーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパネルに配置されるエアバッグ装置では、一般に、エアバッグカバーが、パネルの開口部に配置されて、パネルに取り付けられる。車両の緊急時等には、エアバッグが、エアバッグカバーのエアバッグリッドを開いて、パネルの開口部から展開する。このエアバッグの展開時に、エアバッグからエアバッグカバーに大きな力が加えられるため、エアバッグカバーには高い強度が要求される。これに対し、従来、エアバッグカバー(エアバッグリッド)を、補強枠により補強するエアバッグ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、特許文献1に記載されたエアバッグ装置では、エアバッグカバーを、補強枠と複数のボルトを用いてインストルメントパネルに取り付ける。そのため、部品数が増加して、エアバッグカバーの取付作業に手間がかかる。また、複数のボルトをインストルメントパネルに予め固定するのに伴い、インストルメントパネルの構造が複雑になるとともに、インストルメントパネルの製造が困難になる。従って、この従来のエアバッグ装置では、エアバッグカバーの取付構造が複雑になり、かつ、エアバッグカバーの容易な取り付けを実現するのが難しい。加えて、従来のエアバッグ装置では、複数の部品によりエアバッグカバーをインストルメントパネルに保持しており、簡単な取付構造によりエアバッグカバーを安定して保持する観点から改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−1856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、簡単な取付構造により、エアバッグカバーをパネルに容易に取り付けるとともに、エアバッグの展開時に、エアバッグカバーからパネルに加えられる力を分散して、エアバッグカバーをパネルに安定して保持することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、折り畳まれたエアバッグを覆うエアバッグカバーを、エアバッグ展開用の開口部を有するパネルに取り付けるエアバッグカバーの取付構造であって、パネルが、開口部の周縁に形成されてパネルの裏側に突出する周縁部と、エアバッグカバーを保持する保持部を有し、エアバッグカバーが、パネルの裏側から開口部に嵌め込まれるエアバッグリッドと、エアバッグリッドの裏側に形成されてエアバッグを囲む周壁と、エアバッグリッドの周縁に形成されてパネルの周縁部に接触する鍔部と、エアバッグリッドを開口部に嵌め込んだ状態でパネルの保持部に連結される連結部を有し、パネルの保持部が、係止孔を有するとともに、パネルの周縁部からパネルの裏側に突出し、エアバッグカバーの鍔部が、パネルの保持部が挿入される挿入孔を有し、エアバッグカバーの連結部が、挿入孔に挿入された保持部の係止孔に挿入されて保持部に係止される係止爪を有するエアバッグカバーの取付構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な取付構造により、エアバッグカバーをパネルに容易に取り付けることができる。また、エアバッグの展開時に、エアバッグカバーからパネルに加えられる力を分散して、エアバッグカバーをパネルに安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態のエアバッグカバーを示す斜視図である。
図3図1Bの矢印X−X線でみたエアバッグカバーの取付構造を示す断面図である。
図4図1Bの矢印Y−Y線でみたエアバッグカバーの取付構造を示す断面図である。
図5】第2実施形態のエアバッグカバーの取付構造を示す断面図である。
図6】第3実施形態のエアバッグカバーの取付構造を示す断面図である。
図7】第4実施形態のエアバッグカバーの取付構造を示す断面図である。
図8】第5実施形態のエアバッグカバーの取付構造を示す図である。
図9】第6実施形態のエアバッグカバーの取付構造を示す図である。
図10】第6実施形態のエアバッグカバーを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のエアバッグカバーの取付構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のエアバッグカバーの取付構造では、エアバッグ装置のエアバッグカバーを車両のパネルに取り付けて、パネルにエアバッグカバーを保持する。パネルは、エアバッグ装置が配置されるパネル状の部材(パネル部材)である。また、エアバッグカバーは、折り畳まれたエアバッグを覆うカバー部材である。
【0010】
以下説明する各実施形態では、エアバッグカバーの取付構造について、パネルがインストルメントパネルである場合を例に採り説明する。インストルメントパネルは、車両の内装部材であり、前席(ここでは、助手席)の前方に配置される。また、エアバッグ装置は、エアバッグカバーと、エアバッグカバー内に収容されるエアバッグと、ガスを発生するインフレータを備えている。エアバッグカバーは、パネルに取り付けられた状態で、展開前のエアバッグを覆う。車両の緊急時等には、インフレータが作動して、インフレータにより、ガスがエアバッグ内に供給される。エアバッグは、ガスにより膨張しつつ展開して、車室内の所定領域に膨張展開する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造1を示す斜視図であり、パネル(インストルメントパネル)10の一部とエアバッグカバー30を裏側からみて示している。また、図1Aは、パネル10に取り付ける前のエアバッグカバー30を示し、図1Bは、パネル10に取り付けた後のエアバッグカバー30を示している。
図2は、第1実施形態のエアバッグカバー30を示す斜視図である。図2Aは表側からみたエアバッグカバー30を示し、図2Bは裏側からみたエアバッグカバー30を示している。
図3は、図1Bの矢印X−X線でみたエアバッグカバーの取付構造1を示す断面図であり、図4は、図1Bの矢印Y−Y線でみたエアバッグカバーの取付構造1を示す断面図である。図3図4は、パネル10の一部とエアバッグカバー30の一部を示している。
【0012】
なお、表側とは、エアバッグ(図示せず)が展開する空間側(乗員側)であり、裏側とは、折り畳まれたエアバッグが配置される側(エアバッグ側)である。従って、エアバッグは、パネル10とエアバッグカバー30の裏側に配置される。車両内で、乗員は、パネル10とエアバッグカバー30の表側に位置し、エアバッグは、パネル10とエアバッグカバー30の表側に向かって展開する。また、パネル10とエアバッグカバー30の裏面は乗員からみえない裏側の面であり、パネル10とエアバッグカバー30の表面は乗員からみえる表側の面である。
【0013】
図示のように、パネル10は、エアバッグ展開用の開口部11と、開口部11の周縁に形成された周縁部12と、エアバッグカバー30を保持する複数(ここでは、4つ)の保持部20と、ボルト(雄ネジ)13がねじ込まれる複数(ここでは、4つ)の雌ネジ部14を有する。開口部11は、エアバッグが展開可能な形状(ここでは、矩形状)に形成され、パネル10を貫通する。エアバッグカバー30内のエアバッグは、開口部11を通って、開口部11から車室に展開する。周縁部12は、パネル10の裏側に突出する環状の周縁突部であり、開口部11の周縁の全体に形成されている。保持部20は、パネル10の裏側に突出する矩形状の突片からなり、エアバッグカバー30を係止する係止孔21を有する。
【0014】
第1実施形態では、周縁部12は、開口部11の周縁に沿って矩形状に形成され、開口部11を囲む。また、パネル10の保持部20は、パネル10の周縁部12に形成され、周縁部12の先端からパネル10の裏側に突出する。4つの保持部20が、開口部11の4つの辺に配置されて、4つの辺の中央部に位置する。係止孔21は、矩形状をなし、保持部20の周縁部12から突出した部分に形成されている。雌ネジ部14は、雌ネジが形成された柱状部からなり、開口部11の4つの角に隣接する位置で、パネル10の裏側に突出する。
【0015】
エアバッグカバー30は、板状のエアバッグリッド31と、折り畳まれたエアバッグを囲む周壁32と、エアバッグリッド31の周縁に形成された鍔部33と、パネル10の保持部20に連結される複数の連結部40と、鍔部33に形成された複数の挿入孔34と、パネル10の裏面に接触する接触部35と、ボルト13によりパネル10に締結される複数の締結部36を有する。エアバッグカバー30は、保持部20によりパネル10に取り付けられて、雌ネジ部14とボルト13によりパネル10に締結される。
【0016】
エアバッグリッド31は、パネル10の開口部11を塞ぐ蓋であり、開口部11に対応する形状に形成されている。エアバッグカバー30のパネル10への取付時に、エアバッグリッド31は、パネル10の裏側から開口部11に嵌め込まれて、開口部11内に配置される(図3図4参照)。その状態で、パネル10の表面とエアバッグリッド31の表面は、段差なく配置される。車両内で、折り畳まれたエアバッグは、周壁32内に配置されて、エアバッグリッド31により覆われる。また、エアバッグリッド31は、展開するエアバッグにより押し開けられる。
【0017】
周壁32は、エアバッグリッド31の裏側(裏面)に形成された筒状部からなり、エアバッグリッド31からエアバッグカバー30の裏側に突出する。鍔部33は、エアバッグリッド31の側方に突出する環状の板部であり、エアバッグリッド31の周縁の全体に形成されている。エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込んだ状態で、鍔部33は、パネル10の周縁部12に接触する(図3参照)。その際、鍔部33は、周縁部12の先端に接触するとともに、周縁部12の全体に隙間なく接触する。また、周縁部12は、エアバッグリッド31に近接して配置されて、エアバッグリッド31を囲む。
【0018】
エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込んだ状態で、連結部40は、パネル10の保持部20に連結されて、保持部20により保持される。複数の連結部40を複数の保持部20に連結することで、エアバッグカバー30が、パネル10に取り付けられて、パネル10に保持される。このように、パネル10とエアバッグカバー30は、保持部20と連結部40からなる取付機構15を有し、エアバッグカバー30は、複数の取付機構15によりパネル10に取り付けられる。
【0019】
複数の取付機構15(複数組みの保持部20と連結部40)は、エアバッグリッド31の周縁に沿って分散して配置され、エアバッグカバー30を分散した位置で保持する。また、複数組みの保持部20と連結部40は、開口部11を挟んで相対する位置に配置された2組みの保持部20と連結部40を有する。ここでは、4組みの保持部20と連結部40が、開口部11の4つの辺に配置され、4つの辺の中央部に位置する。4組みの保持部20と連結部40は、エアバッグリッド31の周縁に沿って等間隔を隔てて、エアバッグリッド31の周縁に均等に配置されている。
【0020】
連結部40は、エアバッグカバー30の鍔部33に形成され、鍔部33からエアバッグカバー30の裏側に突出する。また、連結部40は、エアバッグカバー30の裏側に突出する突部41(図4参照)と、突部41の先端に形成された係止爪42を有する。係止爪42は、パネル10の保持部20に引っ掛かるフックであり、引っ掛けられるようにして保持部20に係止される。保持部20は、係止爪42を係止するための係止孔21を有し、エアバッグカバー30の表側から鍔部33の挿入孔34に挿入される。挿入孔34は連結部40に隣接する位置に形成されたスリットからなり、連結部40は挿入孔34に沿って形成されている。
【0021】
エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込むときに、パネル10の複数の保持部20が、それぞれ挿入孔34に挿入される。保持部20の挿入孔34への挿入に伴い、保持部20は、鍔部33からエアバッグカバー30の裏側に突出して、連結部40の係止爪42に接近する。保持部20と係止爪42が接触すると、連結部40が弾性変形して、係止爪42が保持部20に沿って係止孔21まで移動する。続いて、係止爪42は、挿入孔34に挿入された保持部20の係止孔21に挿入される。これに伴い、連結部40が、元の形状に復元して、保持部20に沿って配置される。
【0022】
エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込んだ状態で、係止爪42が係止孔21内に配置されて、係止孔21から係止爪42が抜けるのが防止される。係止爪42は、係止孔21内で保持部20に引っ掛かり、保持部20に係止される。なお、連結部40の係止爪42を保持部20に係止する際には、保持部20が弾性変形してもよく、連結部40と保持部20が弾性変形してもよい。
【0023】
このように、エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込むときに、エアバッグカバー30の連結部40が、パネル10の保持部20に連結される。ここでは、エアバッグリッド31を開口部11に嵌め込んで鍔部33が周縁部12に接触するときに、連結部40が保持部20に連結される。また、連結部40は、エアバッグカバー30の挿入孔34よりも内側(周壁32側)の鍔部33に形成されて、挿入孔34に挿入された保持部20の内側に配置される。連結部40の係止爪42は、内側から保持部20の係止孔21に挿入されて、保持部20に係止される。係止爪42と係止孔21により、連結部40が保持部20に連結されて、連結部40とエアバッグカバー30が保持部20に保持される。
【0024】
エアバッグカバー30の接触部35は、鍔部33の全周に形成された環状の接触突部、又は、鍔部33の一部に形成された接触突部であり、鍔部33からパネル10に向かって突出する。ここでは、接触部35が鍔部33の先端の全体に形成され、挿入孔34が接触部35とエアバッグリッド31の間に形成される。パネル10の周縁部12と保持部20は、接触部35とエアバッグリッド31の間に配置され、周縁部12は、接触部35とエアバッグリッド31の間の鍔部33に接触する。エアバッグカバー30がパネル10に取り付けられたときに、又は、エアバッグが展開するときに、接触部35がパネル10に接触する。
【0025】
エアバッグカバー30の締結部36は、鍔部33の4つの角に形成された突片からなり、鍔部33からエアバッグカバー30の側方に突出する。エアバッグリッド31を開口部11に嵌め込んだ状態で、4つの締結部36が、それぞれパネル10の雌ネジ部14に接触する。ボルト13は、締結部36の孔37に挿入され、雌ネジ部14にねじ込まれる。ボルト13により、締結部36とエアバッグカバー30が、パネル10の雌ネジ部14に締結されてパネル10に固定される。
【0026】
エアバッグの展開時には、インフレータから供給されるガスにより、エアバッグが、周壁32内で膨張して、エアバッグリッド31を表側に向かって押す。このエアバッグから加えられる力により、エアバッグリッド31が表側に変形して湾曲する。続いて、エアバッグリッド31に形成されたティアライン(図示せず)が裂けて、エアバッグリッド31に扉部(図示せず)が形成される。エアバッグは、扉部を押し開いて車室に展開し、車室内の所定領域に膨張展開する。扉部の開放に伴い、エアバッグリッド31が表側に押されて、エアバッグリッド31に力が加えられる。
【0027】
エアバッグの展開時にエアバッグリッド31に加えられる力により、エアバッグカバー30の鍔部33は、パネル10の周縁部12に押し付けられる。その際、鍔部33から周縁部12に加えられる力は、鍔部33と周縁部12により広く分散されて、パネル10とエアバッグカバー30の広い部分で受けられる。これに伴い、力が取付機構15(保持部20、連結部40)に集中するのが防止されて、エアバッグカバー30がパネル10に確実かつ安定して保持される。また、エアバッグカバー30は、パネル10により安定して支持されて、パネル10に取り付けられ状態に確実に維持される。
【0028】
以上説明した第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造1では、エアバッグリッド31を開口部11に嵌め込んだ状態で、連結部40を保持部20に連結する。これにより、エアバッグカバー30を、保持部20に保持してパネル10に取り付ける。このように、簡単な取付構造1により、エアバッグカバー30をパネル10に容易に取り付けることができる。また、エアバッグカバー30の取付作業に要する手間と時間を削減して、作業効率を向上することができる。
【0029】
エアバッグの展開時には、簡単な取付構造1により、エアバッグカバー30からパネル10に加えられる力を分散して、エアバッグカバー30をパネル10に安定して保持することができる。また、保持部20と連結部40により、エアバッグカバー30をパネル10に確実に保持できるため、取付構造1の部品数及び重量の増加を防止することができる。
【0030】
エアバッグカバー30の連結部40は、エアバッグリッド31を開口部11に嵌め込むときに、パネル10の保持部20に連結される。そのため、エアバッグリッド31の嵌め込みと同時に、連結部40を保持部20に簡単に連結することができる。エアバッグリッド31の周縁に沿って分散して配置された複数組みの保持部20と連結部40により、エアバッグカバー30を分散した位置で安定して保持することができる。これに伴い、保持部20と連結部40に大きな力が集中するのを確実に防止できるとともに、エアバッグカバー30のガタツキを抑制できる。また、ガタツキによる異音の発生を抑制することもできる。
【0031】
連結部40の係止爪42と保持部20の係止孔21により、工具等を使用することなく、係止爪42を保持部20に係止することができる。また、連結部40を保持部20に円滑に連結して、エアバッグカバー30をパネル10に容易に取り付けることができる。エアバッグカバー30の取付時における作業効率を、より向上することもできる。
【0032】
鍔部33の挿入孔34に挿入された保持部20により、エアバッグカバー30をパネル10の開口部11に向かって案内することができる。これにより、エアバッグリッド31を開口部11に円滑に嵌め込むことができ、かつ、連結部40を保持部20に円滑に連結することができる。その結果、エアバッグカバー30をパネル10に容易に取り付けることができる。また、係止爪42に加えて、挿入孔34内の保持部20により、エアバッグカバー30の動きが規制されるため、エアバッグカバー30のガタツキと異音の発生を確実に抑制することができる。
【0033】
エアバッグカバー30の接触部35がパネル10に接触することで、エアバッグカバー30からパネル10に加えられる力を、より分散することができる。エアバッグリッド31の湾曲や変形により接触部35がパネル10の周縁部12に接触した場合には、接触部35と周縁部12により、エアバッグリッド31に加えられる力を受けることができる。また、接触部35が周縁部12に引っ掛かることで、エアバッグカバー30の移動が止められて、エアバッグカバー30がパネル10に確実に保持される。
【0034】
エアバッグカバー30をパネル10に取り付けた状態で、締結部36をボルト13によりパネル10に締結することで、エアバッグカバー30をパネル10に強固に取り付けることができる。また、エアバッグカバー30のガタツキと異音の発生を確実に抑制することができる。
【0035】
なお、エアバッグカバーの取付構造1は、4組みの保持部20と連結部40を備えている。これに対し、3組み以下、又は、5組み以上の保持部20と連結部40により、エアバッグカバー30をパネル10に取り付けるようにしてもよい。また、保持部20と連結部40の位置は、上記した位置から変更してもよい。保持部20は、パネル10の周縁部12以外の箇所に形成してもよく、連結部40は、エアバッグカバー30の鍔部33以外の箇所に形成してもよい。締結部36をエアバッグカバー30に設けずに、エアバッグカバー30をパネル10に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
次に、第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造1と一部が異なる他の実施形態(第2〜第6実施形態)のエアバッグカバーの取付構造について説明する。第2〜第6実施形態のエアバッグカバーの取付構造は、基本的には、第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造1と同様に構成され、第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造1と同様の効果を発揮する。従って、以下では、既に説明した事項と相違する事項を説明し、既に説明した事項と同じ事項の説明は省略する。
【0037】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態のエアバッグカバーの取付構造2を示す断面図であり、パネル10の一部とエアバッグカバー30の一部を図4と同様に示している。即ち、図5は、1つの取付機構15を示している。
図示のように、第2実施形態のエアバッグカバーの取付構造2では、エアバッグカバー30の連結部43のみが、第1実施形態の連結部40と相違する。連結部43は、エアバッグカバー30の裏側に突出する突部44と、突部44の先端に形成された係止爪45を有し、鍔部33の先端に形成されている。
【0038】
パネル10の保持部20は、係止爪45を係止するための係止孔21を有し、エアバッグカバー30の表側から鍔部33の挿入孔34に挿入される。連結部43は、エアバッグカバー30の挿入孔34よりも外側(周壁32の反対側)の鍔部33に形成されて、挿入孔34に挿入された保持部20の外側に配置される。その結果、連結部43の係止爪45は、外側から保持部20の係止孔21に挿入されて、保持部20に係止される。エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込むときに、係止爪45が保持部20に係止されて、連結部43がパネル10の保持部20に連結される。
【0039】
エアバッグの展開時には、エアバッグリッド31の表側への湾曲により、鍔部33が内側(エアバッグリッド31側)に変形して、連結部43の係止爪45が保持部20の係止孔21に向かって変位する。これに伴い、係止爪45が係止孔21から抜けるのが防止されて、係止爪45が保持部20に確実に係止される。また、連結部43が保持部20に連結された状態に確実に維持されるため、エアバッグカバー30をパネル10に安定して保持することができる。
【0040】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態のエアバッグカバーの取付構造3を示す断面図であり、パネル10の一部とエアバッグカバー30の一部を図4と同様に示している。
図示のように、第3実施形態のエアバッグカバーの取付構造3では、パネル10の保持部22が第1実施形態の保持部20と相違し、エアバッグカバー30の連結部46が第1実施形態の連結部40と相違する。保持部22は、パネル10の裏側に突出する突部23と、突部23の先端に形成された係止爪24を有する。保持部22の突部23は、パネル10の周縁部12に形成され、周縁部12からパネル10の裏側に突出する。連結部46は、鍔部33の一部からなり、係止爪24を係止する係止孔47を有する。係止孔47は、エアバッグカバー30の鍔部33に形成されている。
【0041】
エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込むときに、保持部22の係止爪24と突部23が、エアバッグカバー30の表側から連結部46の係止孔47に挿入される。係止孔47は、係止爪24よりも狭く形成されており、係止爪24は、係止孔47を押し広げながら係止孔47に挿入される。続いて、係止爪24が係止孔47を通過して、突部23が係止孔47内に配置される。係止爪24の通過後、係止孔47は、元の形状に復元する。係止爪24は、鍔部33の裏側に配置されて、突部23から鍔部33に沿って突出する。
【0042】
エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込んだ状態で、保持部22の係止爪24は、エアバッグカバー30の連結部46(鍔部33)に引っ掛かる。これにより、係止爪24が係止孔47から抜けるのが防止されて、係止爪24が連結部46に係止される。連結部46は、係止孔47に挿入された係止爪24により係止されて、保持部22に連結される。保持部22は、連結部46及びエアバッグカバー30を保持する。
【0043】
第3実施形態のエアバッグカバーの取付構造3では、エアバッグリッド31を開口部11に嵌め込むときに、連結部46を保持部22に簡単に連結することができる。そのため、エアバッグカバー30をパネル10に容易に取り付けることができ、エアバッグカバー30の取付時における作業効率を向上することができる。また、係止爪24により、エアバッグカバー30の動きが規制されるため、エアバッグカバー30のガタツキと異音の発生を抑制することができる。
【0044】
なお、係止爪24を係止孔47に挿入するときには、エアバッグカバー30の鍔部33が弾性変形してもよく、係止爪24が弾性変形してもよい。また、鍔部33と係止爪24が弾性変形してもよい。
【0045】
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態のエアバッグカバーの取付構造4を示す断面図であり、パネル10の一部とエアバッグカバー30の一部を図4と同様に示している。
図示のように、第4実施形態のエアバッグカバーの取付構造4では、第3実施形態の保持部22と同様に、パネル10の保持部25が、突部26と、突部26の先端に形成された係止爪27を有する。ただし、保持部25は、第3実施形態の保持部22と相違して、パネル10の裏面の周縁部12から離れた位置に形成されている。保持部25の突部26は、パネル10の裏面に形成されて、パネル10の裏側に突出する。
【0046】
エアバッグリッド31を開口部11に嵌め込むときに、係止爪27が連結部48の係止孔49に挿入されて、エアバッグカバー30の連結部48に係止される。係止孔49は、エアバッグカバー30の鍔部33に形成され、連結部48は、鍔部33の一部からなる。なお、鍔部33の一部をエアバッグカバー30の側方に突出させて、鍔部33の突出した部分を連結部48にしてもよい。この場合には、係止孔49は、鍔部33の突出した部分に形成される。
【0047】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態のエアバッグカバーの取付構造5を示す図であり、エアバッグカバー30のみを示している。図8Aは表側からみたエアバッグカバー30の斜視図であり、図8Bは裏側からみたエアバッグカバー30の斜視図である。
図示のように、第5実施形態のエアバッグカバーの取付構造5では、エアバッグカバー30の連結部50のみが、第1実施形態の連結部40と相違する。連結部50は、エアバッグカバー30の周壁32に形成されている。
【0048】
周壁32に貫通部51を形成することで、係止爪52を有する連結部50が周壁32の一部に形成される。連結部50は、弾性変形可能な矩形部からなり、係止爪52は、周壁32の外側に突出する。エアバッグリッド31をパネル10の開口部11に嵌め込むときに、パネル10の保持部20がエアバッグカバー30の挿入孔34に挿入される。続いて、係止爪52が、保持部20の係止孔21に挿入されて、保持部20に係止される。これにより、連結部50が保持部20に連結されて、エアバッグカバー30がパネル10に取り付けられる。連結部50を周壁32に形成することで、エアバッグカバー30の構造が単純になる。エアバッグが周壁32内で膨張したときには、エアバッグから周壁32と連結部50に力が加えられて、変形し易い連結部50が外側に変形する。その結果、連結部50の係止爪52が保持部20の係止孔21に向かって変位し、係止爪52が係止孔21から抜けるのが防止される。
【0049】
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態のエアバッグカバーの取付構造6を示す図であり、エアバッグカバー30のみを示している。図9Aは表側からみたエアバッグカバー30の斜視図であり、図9Bは裏側からみたエアバッグカバー30の斜視図である。
図10は、第6実施形態のエアバッグカバー30を示す底面図であり、図9Aの矢印Z方向からみたエアバッグカバー30を示している。
【0050】
図示のように、第6実施形態のエアバッグカバーの取付構造6では、エアバッグカバー30が、周壁32と鍔部33を補強する複数の補強部60を有する。第6実施形態のエアバッグカバーの取付構造6は、補強部60を除いて、第1実施形態のエアバッグカバーの取付構造1と同様に構成されている。補強部60は、板状をなし、所定位置の周壁32の外面に直交するように、周壁32と鍔部33に一体に形成されている。
【0051】
エアバッグリッド31(図10参照)は、エアバッグの展開時に裂けるティアライン61と、ティアライン61により形成される扉部62と、周壁32の一部に沿う変形部63を有する。ティアライン61は、エアバッグリッド31に形成された溝部(薄肉部)からなり、エアバッグリッド31の裏面に形成されている。展開するエアバッグによりエアバッグリッド31が押されたときに、ティアライン61が裂けて周壁32の内側に開放可能な扉部62を形成する。
【0052】
エアバッグは、扉部62を表側に向かって押し開いて、車室に展開する。その際、扉部62は、周壁32の内周に沿う変形部63を中心に回転して、開放される。変形部63は、扉部62を開放可能に保持するヒンジ部であり、扉部62の一部をエアバッグリッド31に接続する。扉部62の開放時に、変形部63は、扉部62を保持しつつ周壁32に沿って変形して、扉部62を開放させる。
【0053】
ここでは、ティアライン61は、周壁32の3つの辺と、1つの辺の両端部側に形成されている。変形部63は、ティアライン61の2つの端部の間に位置し、周壁32の1つの辺の一部に沿って形成されている。扉部62は、周壁32内のエアバッグリッド31からなり、ティアライン61と変形部63に囲まれる。変形部63は、周壁32の一部に沿って変形して、扉部62の回転方向に折れ曲がる。これにより、扉部62が回転して開放される。エアバッグカバー30の補強部60は、変形部63に沿う周壁32(変形部63に隣接する周壁32)に形成されて、変形部63に沿う周壁32を補強する。
【0054】
第6実施形態のエアバッグカバーの取付構造6では、補強部60により周壁32と鍔部33を補強するため、周壁32と鍔部33の強度が高くなる。また、周壁32と鍔部33の剛性が高くなり、周壁32と鍔部33の変形が抑制される。加えて、エアバッグリッド31の一部の剛性が高くなり、エアバッグリッド31の変形も抑制される。これに伴い、エアバッグカバー30を薄くできため、エアバッグカバー30の重量を削減することができる。エアバッグカバー30の成形時間を短縮することもできる。
【0055】
エアバッグの展開時には、扉部62が開くことで、変形部63に沿う周壁32が、変形部63を中心に回転するように、周壁32の内側に変形する。また、エアバッグカバー30の鍔部33は、周壁32とともに変形して、パネル10の周縁部12から離れる。これに対し、補強部60により変形部63に沿う周壁32を補強することで、周壁32の変形が抑制されて、鍔部33が周縁部12から離れるのが防止される。その結果、鍔部33と周縁部12による上記した効果を確実に確保できる。
【0056】
以上、パネル10がインストルメントパネルである実施形態について説明したが、パネル10は、インストルメントパネル以外の車両のパネルであってもよい。即ち、本発明は、パネル10にエアバッグカバー30を取り付ける種々のエアバッグカバーの取付構造に適用できる。また、エアバッグカバー30は、パネル10を車両へ取り付ける前にパネル10に取り付けてもよく、パネル10を車両へ取り付けた後にパネル10に取り付けてもよい。エアバッグカバー30のみをパネル10に取り付けてもよく、エアバッグ装置の他の部材と組み合わせたエアバッグカバー30をパネル10に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1〜6・・・エアバッグカバーの取付構造、10・・・パネル、11・・・開口部、12・・・周縁部、13・・・ボルト、14・・・雌ネジ部、15・・・取付機構、20・・・保持部、21・・・係止孔、22・・・保持部、23・・・突部、24・・・係止爪、25・・・保持部、26・・・突部、27・・・係止爪、30・・・エアバッグカバー、31・・・エアバッグリッド、32・・・周壁、33・・・鍔部、34・・・挿入孔、35・・・接触部、36・・・締結部、37・・・孔、40・・・連結部、41・・・突部、42・・・係止爪、43・・・連結部、44・・・突部、45・・・係止爪、46・・・連結部、47・・・係止孔、48・・・連結部、49・・・係止孔、50・・・連結部、51・・・貫通部、52・・・係止爪、60・・・補強部、61・・・ティアライン、62・・・扉部、63・・・変形部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10