(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150610
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】エアゾール容器用ワンタッチキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 83/20 20060101AFI20170612BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
B65D83/20
B05B9/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-101493(P2013-101493)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-221652(P2014-221652A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】高津 衣世
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−132058(JP,U)
【文献】
特開2012−030800(JP,A)
【文献】
特開2009−269638(JP,A)
【文献】
特表2008−522921(JP,A)
【文献】
特開2004−033917(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0075570(US,A1)
【文献】
米国特許第4254899(US,A)
【文献】
米国特許第6006957(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0075429(US,A1)
【文献】
国際公開第98/28207(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/20
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール等のスプレー缶の噴射弁を突没動作によって開閉するステムにノズル部材を取付け、このノズル部材を上記ステムの突没動作方向に移動可能に保持するエアゾール容器用ワンタッチキャップにおいて、
前記ワンタッチキャップは、前記スプレー缶の巻締め部に取付けられる筒状の外側側面部を有し、前記外側側面部の内方には、ノズル部材を突没操作可能にしてノズル部材の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部を備え、
前記外側側面部と前記内側側面部とが外内に二重壁状に有し、前記外側側面部と前記内側側面部とがそれらの上部同士で繋がって一体樹脂成型され、
前記外側側面部及び内側側面部には、前記ノズル部材の噴射方向に対応した開口部をそれぞれ設け、
ノズル部材の噴射口と、内側噴射用開口部及び外側噴射用開口部とが位置合わせされて、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部から外側噴射用開口部を通して外部に噴射されるものであり、
前記外側側面部と前記内側側面部との間の空間が、前記ノズル部材の噴射口と連通して噴射音が共鳴しうる空間とされ、
前記外側噴射用開口部の左右方向端部が、前記内側噴射用開口部の左右方向端部よりも前記噴射方向に対して後ろ側に位置して形成されたことを特徴とするエアゾール容器用ワンタッチキャップ。
【請求項2】
前記外側噴射用開口部がノズル部材の噴射角度よりも大きく形成されたことを特徴とする請求項1に記載にエアゾール容器用ワンタッチキャップ。
【請求項3】
前記外側噴射用開口部の少なくとも左右方向長さが上下方向長さよりも大きく形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール容器用ワンタッチキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉容器内に制汗剤、整髪料、化粧料等液状、粉状の内容物と液化ガスが詰められ、ノズル部材の噴射ボタンの押圧によってノズル部材の噴射口から内容物が噴霧可能になったエアゾール容器において、ノズル部材を覆うワンタッチキャップタイプのエアゾール容器用ワンタッチキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を噴射する各種エアゾール容器には、キャップとボタンの構造として、キャップを取って噴射ボタンを押す取り外し式のオーバーキャップタイプと、キャップを取らずに簡単に噴射ボタンを押すことができるワンタッチキャップタイプとが採用されている。ワンタッチキャップタイプには、ノズル部材の周囲を覆うキャップを取付けたままでボタンに兼用したノズル部材上部を押すタイプのものがある。
【0003】
通常、製品品質を向上させるためには、内容物の効能・性状や噴霧能力以外に使用時の快適性の確保が必要になる。
【0004】
そのため、エアゾール容器の噴射音が耳障りな場合、本人や近くにいる他の人に耳障りとなる可能性が高いことから、噴射音について考察する必要性がある。
【0005】
オーバーキャップタイプは、取り外し式なので噴射口があらわになり、ボタン形状や組成を変更することで噴射音を容易に変更することができる一方、ワンタッチキャップタイプはノズル部材(ボタン)の周囲をキャップが覆っているためキャップ部で音が反響して噴射音がこもってしまい、消費者に不快感を与える場合があった。
【0006】
エアゾール容器の噴射音の低減に関する先行技術として、特開2009−269638号公報(引用文献1)では、キャップの外側側面部及び内側側面部の間に、内側噴射用開口部と外側噴射用開口部を連通させる隔壁を設け、隔壁に凹凸を形成し、ワンタッチキャップのエアゾール容器で噴射音を低減できる構成が開示されている。
【0007】
このエアゾール装置においては、ワンタッチキャップの凹凸隔壁で噴射推進力を緩和することで噴射音を低減している。
【0008】
しかしながら、さらに噴射音を低減することが要請されている。
【0009】
なお、特開2001−293402号公報(引用文献2)記載のエアゾール容器においては、少なくとも噴射の開始時に、バックグランドが40dB(デシベル)のときに100dB以上の噴射音を発生する技術が開示されている。このエアゾール製品では、噴射音を増大して、噴射していることを離れた位置から確認可能にすることを目的として噴射音を増大する共鳴板を設けている。
【0010】
しかしながら、このエアゾール容器では、噴射音が増大するので、噴射音低減による使用感向上は望めなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−269638号公報
【特許文献2】特開2001−293402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ワンタッチキャップタイプのエアゾール容器において、噴射音を調整してこもり音がなく、消費者に不快感を与えないキャップ形状を実現するエアゾール容器用ワンタッチキャップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、エアゾール等のスプレー缶の噴射弁を突没動作によって開閉するステムにノズル部材を取付け、このノズル部材を上記ステムの突没動作方向に移動可能に保持するエアゾール容器用ワンタッチキャップにおいて、
前記ワンタッチキャップは、前記スプレー缶の巻締め部に取付けられる筒状の外側側面部を有し、前記外側側面部の内方には、ノズル部材を突没操作可能にしてノズル部材の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部を備え、
前記外側側面部及び内側側面部には、前記ノズル部材の噴射方向に対応したそれぞれの開口部を設け、
ノズル部材の噴射口と、内側噴射用開口部及び外側噴射用開口部とが位置合わせされて、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部から外側噴射用開口部を通して外部に噴射されるものであり、
前記外筒噴射用開口部の左右方向端部が、前記内側噴射用開口部の左右方向端部よりも後ろ側に位置して形成されたことを特徴とするエアゾール容器用ワンタッチキャップである。
【0014】
本発明において、前記外側噴射用開口部がノズル部材の噴射角度よりも大きく形成されたことが好適である。
【0015】
また、本発明において、前記外側噴射用開口部の少なくとも左右方向長さが上下方向長さよりも大きく形成されたことが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエアゾール容器用ワンタッチキャップは、ノズル部材から噴射される内容物は内側噴射用開口部から外側噴射用開口部を通して外部に噴射されるものである。噴射の際にノズル部材の噴射音が外側側面部内の空間が共鳴胴となって共鳴するが、前記外筒噴射用開口部の左右方向端部が、前記内側噴射用開口部の左右方向端部よりも後ろ側に位置して形成されているので、前記空間における共鳴が緩和されて、こもり音がなくなり、消費者に不快感を与えないという優れた効果を奏し得る。
【0017】
なお、本発明において、前記外側噴射用開口部がノズル部材の噴射角度よりも大きく形成されていることにより、噴射される内容物が外側噴射口周囲に当たらず、こもり音を確実に解消できる。
【0018】
また、本発明において、前記外側噴射用開口部の少なくとも左右方向長さが上下方向長さよりも大きく形成されたことにより、噴射される内容物が外側噴射口周囲に当たらず、こもり音を確実に解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るエアゾール容器用ワンタッチキャップの説明図である。
【
図2】
図1のワンタッチキャップの外観斜視図である。
【
図3】
図1のワンタッチキャップの作動説明図である。
【
図4】比較例1に係るワンタッチキャップの外観説明図である。
【
図5】参考例1に係るワンタッチキャップを外したエアゾール製品の外観説明図である。
【
図6】比較例2に係るワンタッチキャップの外観説明図である。
【
図8】比較例1に係るワンタッチキャップの噴射音の測定結果の線図である。
【
図9】参考例1に係るワンタッチキャップの噴射音の測定結果の線図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るワンタッチキャップの噴射音の測定結果の線図である。
【
図11】比較例2に係るワンタッチキャップの噴射音の測定結果の線図である。
【
図12】本発明に係るワンタッチキャップの実施品の噴射音の測定結果の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係るエアゾール容器用のワンタッチキャップの説明図、
図2は当該ワンタッチキャップの外観斜視図、
図3は当該ワンタッチキャップの作動説明図である。
【0022】
図1、
図2に示すように実施形態に係るエアゾール容器は、噴射対象物とエアゾール剤を収容したスプレー缶12(
図1では上部を図示する)の噴射弁(図示省略)を突没動作によって開閉するステム14にノズル部材16を嵌着によって取付け、このノズル部材16を上記ステム14の突没動作方向に移動可能にガイドし保持するように、前記ワンタッチキャップ10をスプレー缶12先端に設けたものである。
【0023】
スプレー缶12の先端(
図1では上端)に巻締め部12aが形成されている。スプレー缶12には、前記ワンタッチキャップ10における筒状の外側側面部10oの下端部内周が、前記スプレー缶12先端の巻締め部12aに外嵌して、前記ワンタッチキャップ10が前記スプレー缶12に取付けられ固定される。このスプレー缶12には上部に管状のステム14が突出しており、ステム14がスプレー缶12内部に押し込まれるとその内部に収容されたエアゾール流体が噴出する構成のものである。
【0024】
ワンタッチキャップ10は、それぞれ概略筒状の外側側面部10oと内側側面部10iとが外内に二重壁状に有し、外側側面部10oと内側側面部10iがそれらの上部同士で繋がって一体樹脂成型されたものである。材料の樹脂にはポリプロピレンを用いることができる。
【0025】
前記外側側面部10oの内方には、前記ノズル部材16を突没操作可能にして前記ノズル部材16の外周面形状と略同一の内周面形状を有する内側側面部10iを備えている。
【0026】
前記外側側面部10o及び内側側面部10iには、前記ノズル部材16の噴射方向(符号「s」で示す)に対応したそれぞれ外側噴射用開口部18及び内側噴射用開口部20を形成している。
【0027】
ノズル部材16の噴射口22と、該噴射口22を噴射方向に遮らないように内側噴射用開口部20及び外側噴射用開口部18同士が位置合わせされて、ノズル部材16から噴射される内容物は内側噴射用開口部20から外側噴射用開口部18を通して外部に遮られることなく噴射される構成になっている。
【0028】
前記ノズル部材16の噴射口22は、ノズル部材16の前面に球側面形状に凹んだ部分22aの中心部に穿孔して形成されている。
【0029】
また、前記内側噴射用開口部20は、ワンタッチキャップ10を内側側面部10iにおいて、前記噴射口22の噴射方向に対応する部分に下方に開放する概略U字型の切り欠き形状に形成される。
【0030】
また、前記外側噴射用開口部18は、正面視で矩形形状に形成されている。そして、前記外筒噴射用開口部18の左右方向端部18a、18aが、
図1、
図2に示すように、前記内側噴射用開口部20の左右方向端部20a、20aよりも後ろ側に位置して形成されている。
【0031】
また、
図3に示すように、前記ノズル部材16においては、その噴射口22から内容物をジェット噴射する場合に、前記噴射口22からのジェット噴射が、噴射口22を中心として開き角度(噴射角度D)になる。また、前記外側噴射用開口部18について、前記噴射口22を中心とした前記外側噴射用開口部18の内縁が開き角度Eで位置している。実施形態では、前記噴射口22からのジェット噴射の開き角度(噴射角度D)よりも、前記外側噴射用開口部18の前記開き角度Eが大きく形成されている(D<E)。
【0032】
また、
図2、
図3に示すように、前記外側噴射用開口部18の少なくとも左右方向長さWが上下方向長さLよりも大きく形成されている(W>L)。
【0033】
実施形態のエアゾール容器用ワンタッチキャップ10によれば、ノズル部材16から噴射される内容物は内側噴射用開口部20から外側噴射用開口部18を通して外部に噴射されるものである。噴射されるジェット音がワンタッチキャップ10の外側側面部10oとノズル部材16の外面又は内側側面部10iとの間の空間24に影響されて共鳴する場合がある。ワンタッチキャップ10では、前記外筒噴射用開口部18の左右方向端部18a、18aが、前記内側噴射用開口部20の左右方向端部20a、20aよりも後ろ側に位置して形成されているので、前記外側側面部10oにおける前記外筒噴射用開口部18の左右方向端部18a、18a周辺の内面に、噴射されたジェットが当たりにくくなる。
【0034】
したがって、前記空間24における共鳴が緩和されるので、こもり音がなくなり、エアゾール容器の使用者に不快感を与えないという優れた効果を奏し得る。
【0035】
また、前記外側噴射用開口部18におけるノズル部材16の噴射口22からの開き角度Eがノズル部材16の噴射角度Dよりも大きく形成されている(
図3参照)。したがって、噴射されるジェットが外側側面部10aに干渉せず、確実にジェットが当たらないようにできるので、こもり音の発生を緩和できる。
【0036】
また、
図2に示すように、前記外側噴射用開口部18の少なくとも左右方向長さWが上下方向長さLよりも大きく形成されていることにより、前記外筒噴射用開口部18の左右方向端部18a、18aには上下方向端部の内面よりも、噴射されたジェットが当たりにくくなる。したがって、外側側面部10oの外側噴射用開口部18の周囲から空間24内部への音響反射が少ないので、こもり音をさらに確実に解消できる。
【0037】
次に、本発明の実施形態に係るワンタッチキャップと、参考例1と、比較例1及び比較例2に係るワンタッチキャップのとのこもり音について比較して考察した結果を説明する。上記実施形態と同様部分に同一の符号を付している。
【0038】
図4は比較例1、
図5は参考例1、
図6は比較例2の各ワンタッチキャップを示す。
図7は本発明の実施品に係るワンタッチキャップを示す。
図8〜
図12は、各比較例と参考例1、実施形態及び実施品のジェット噴射時の発生音の周波数特性を示す。
【0039】
図4に示すように、比較例1に係るワンタッチキャップは、外側側面部10oの外側噴射用開口部aが円形で、その開口部aの端部が内側側面部10iの内側噴射用開口部bの左右方向端部よりも前方に位置している通常のタイプのワンタッチキャップ10Aである。
【0040】
図5に示すように、参考例1は、実施形態に示したワンタッチキャップ10をスプレー缶12から取り外してノズル部材16を露出させて、該ノズル部材16からエアゾール製品を直接噴射させる状態のものである。
【0041】
図6に示すように、比較例2に係るワンタッチキャップは、外側側面部10oの外側噴射用開口部cが矩形であるが、当該開口部cは左右方向長さW1が上下方向長さL1よりも短かいタイプ(W1<L1)のワンタッチキャップ10Bである。内側噴射用開口部bが比較例1と同様の幅に形成されている。
【0042】
図7に示すように、本発明の実施品は、
図1〜
図3に示した実施形態のワンタッチキャップの構成に、さらに、ワンタッチキャップ10の前記外側噴射用開口部18が、正面視で横長の矩形形状に形成されている。すなわち、前記外側噴射用開口部18の少なくとも左右方向長さW2が上下方向長さL2の2倍よりも大きく形成されている(W2>2*L2)。その他は、前記
図1〜
図3に示して実施形態のワンタッチキャップ10と同様である。
【0043】
噴射時の噴射音は以下のようになった。
比較例1のワンタッチキャップでは、噴射時の噴射音が、
図8に示すように、最大音量が−9.76dB(デシベル)であり、可聴域のうちで、主な周波数300Hz〜4000Hzの周波数域で、1500Hz前後でピークがあるため(
図8中に符号pによって可聴域内のピークを破線で表示)、周辺の周波数で人間の耳で最も感度の良い2000Hz〜3000Hzの音が聞こえづらくなり、低音のこもり音が大きく際立つために耳障りとなる。
【0044】
また、参考例1では、
図5に示すように、ワンタッチキャップがなく、ノズル部材16から噴射するものである。
この参考例1では、このようにノズル部材16から噴射時の噴射音が、
図9に示すように、最大音量が−12.91dBである。また、周波数500Hz〜4000Hzの可聴域でピークが小さくなり高域に向けてなだらかであって(
図9中に符号pによって可聴域内のピークを破線で表示)、4000Hzよりも高域の周波数にピークが来ており、噴射音のこもり感が気にならなかった。
【0045】
これに対して、
図1〜
図3に示す実施形態では、ワンタッチキャップ10の前記外側噴射用開口部18の少なくとも左右方向長さWが上下方向長さLよりも大きく形成された横長タイプである。
この実施形態では、ノズル部材16から噴射する噴射時の噴射音が、
図10に示すように(図中に符号pによって可聴域内のピークを破線で表示)、最大音量が−16.20dBであり、周波数500Hz〜4000Hzの可聴域で、ピークが2000Hz付近にあるが、比較例1、2よりもピークが緩和されており、こもり音が緩和されて気にならないものになることが理解される。
【0046】
また、比較例2では
図6に示すように、ワンタッチキャップ10Bが、開口部cが左右方向長さW1が上下方向長さL1よりも短かい縦長タイプである。
この比較例2では、ノズル部材16から噴射する噴射時の噴射音が、
図11に示すように(
図11中に符号pによって可聴域内のピークを破線で表示)、最大音量が−12.07dBであって、周波数500Hz〜4000Hzの可聴域で、ピークが2000Hz付近にあり、こもり音がある程度あり気になるものである。
【0047】
また、
図7に示す実施品では、ワンタッチキャップ10の前記外側噴射用開口部18の左右方向長さWが上下方向長さLの2倍の長さに形成された横長タイプである。
この実施品では、
図12に示すように(図中に符号pによって可聴域内のピークを破線で表示)、ノズル部材16から噴射する噴射時の噴射音が、最大音量が−15.88dBであり、周波数500Hz〜4000Hzの可聴域で、ピークが2000Hz付近にあるが、比較例1、2よりもピークが緩和されており、こもり音が緩和されて気にならないものになることが理解される。
【0048】
以上の比較例1〜2と本発明に係る実施形態や実施品とのジェット噴射音を比較した結果から、エアゾール容器用ワンタッチキャップにおいて、本発明の実施によってこもり音が減少し、使用感が向上することが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のエアゾール容器用ワンタッチキャップは、各種エアゾール容器に取付けて利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 ワンタッチキャップ
10a 外側側面部
10b 内側側面部
12 スプレー缶
16 ノズル部材
18 外側噴射用開口部
18a 外側噴射用開口部の左右方向端部
20 内側噴射用開口部
20a 内側噴射用開口部の左右方向端部
22 噴射口
24 空間