【文献】
P−04D 取扱説明書,株式会社NTTドコモ,2012年 3月,第1.2版,p.35,[online],[平成28年10月6日検索],URL,https://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/support/trouble/manual/download/P-04D_J_OP_02.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態〜第2実施形態の説明]
以下で、[第1実施形態]〜[第2実施形態]について説明する。
【0017】
[本実施形態に係る携帯端末装置の概要]
<本実施形態に係る携帯端末装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯端末装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る携帯端末装置1は、一例として、スマートフォンである。なお、携帯端末装置1として、他の様々なものが用いられてもよく、例えば、タブレット型の端末装置などを用いることもできる。
本実施形態に係る携帯端末装置1は、通信部11と、物体検出部12と、操作部13と、表示部14と、記憶部15と、制御部16を備える。
【0018】
通信部11は、外部の装置と無線で通信する機能や、外部の装置と有線で通信する機能を有する。通信部11は、例えば、外部の基地局装置などとの間で無線で通信し、また、外部の記憶媒体やコンピュータなどとの間で有線で通信する。
物体検出部12は、本実施形態では、赤外線型の近接センサを用いて構成されている。本実施形態に係る近接センサは、携帯端末装置1の上部に設けられており、携帯端末装置1の前面の垂直方向に赤外線を放射し、その赤外線が物体に当たって反射されて戻ってきた反射波を検出することで、当該物体との間の距離を検出する。なお、物体検出部12としては、他の様々なものが用いられてもよい。
【0019】
操作部13は、本実施形態では、タッチスクリーン(画面)を用いて構成されており、ユーザにより行われる操作の内容を受け付ける。なお、操作部13としては、他の様々なものが用いられてもよく、例えば、キーやマウスなどを用いることもできる。
表示部14は、本実施形態では、タッチスクリーン(画面)を用いて構成されており、各種の情報を画面に表示する。なお、表示部14としては、他の様々なものが用いられてもよく、例えば、操作部13とは別体の画面を用いることもできる。
【0020】
記憶部15は、各種の情報(データ)を記憶する。記憶部15は、例えば、制御部16により使用されるプログラムの情報を記憶する。また、記憶部15は、例えば、物体検出部12により行われた検出の結果の情報を記憶する。ここで、記憶部15としては、例えば、携帯端末装置1の内部のメモリが用いられてもよく、或いは、携帯端末装置1の外部のメモリが用いられてもよい。また、メモリとしては、例えば、不揮発性メモリが用いられ、一例として、SDカード(二次記憶装置)を用いることができる。
制御部16は、携帯端末装置1における各種の処理や制御を実行する。制御部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを用いて構成されており、記憶部15に記憶されたプログラムの情報を読み込んで各種の処理や制御を実行する。
【0021】
<物体検出部に関して正常時における概略的な動作>
物体検出部12は、近接センサからの赤外線の放射方向に存在する物体との間の距離に応じた値(例えば、物体との間の距離が近いか或いは遠いかを示す値であり、更に、距離を示す値であってもよい)を制御部16へ出力する。本実施形態では、物体検出部12は、物体との間の距離が小さいほど大きい値を出力し、近接センサの検出結果に応じて0から255の値(本実施形態では、整数値)を出力する。一例として、物体検出部12は、物体との間の距離が0cmであるときに255の値を出力し、物体との間の距離が5cm以上であるときに0の値を出力し、物体との間の距離が0cmから5cmの間であるときにその距離に応じて255と0との間の値を出力する。また、物体検出部12は、例えば、予め定められた一定の時間毎に、物体との間の距離に応じた値を出力する。このような物体検出部12は、近接センサの前にユーザの顔がある場合(例えば、通話状態である場合)には255又はそれに近い値を連続して出力し、一方、携帯端末装置1が上方に向けられて机の上に放置されているような場合にはほぼ0を連続して出力する。
なお、物体検出部12から出力する値(近接センサの検出値に応じた値)の範囲は、例えば、携帯端末装置1の機種などによって異なり得る。
【0022】
通常利用時(正常時)における物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)について説明する。
ユーザ(ここでは、電話の利用者)が携帯端末装置1を使用して電話で会話する場合における動作の過程の例として、(正常時の動作過程1)〜(正常時の動作過程4)を示す。
【0023】
(正常時の動作過程1:放置時の状態)
まず、ユーザが電話を使用する前において、携帯端末装置1は、その近接センサの前面の近くに物体が存在せず、放置された状態であるとする。このとき、物体検出部12は、定常的に0又はそれに近い値を出力し、例えば、近接センサの前方の近くを人などの物体(障害物)が通過すると、それを検知してスパイク的に(急に)200以上の値を出力する。
【0024】
(正常時の動作過程2:通話開始時の状態)
ユーザが、電話を使用するために、携帯端末装置1を手に持って、操作部13を操作して通話アプリを起動させて電話番号を指定し、携帯端末装置1の画面に顔を接する。携帯端末装置1では、通話アプリが起動されて、通話が開始される。このとき、ユーザの顔により近接センサの前面がふさがれ、物体検出部12は、ほぼ連続して200以上の値を出力する。
【0025】
(正常時の動作過程3:一時的な通話中断時の状態)
ユーザが、電話で通話中に一時的に、携帯端末装置1の画面から顔を離して、ブラウザの情報やメールの情報を閲覧して確認などするとする。このとき、ユーザの顔は近接センサの前面から離れ、物体検出部12は、定常的に0の値を出力する。
【0026】
(正常時の動作過程4:通話再開時の状態)
ユーザが、電話の通話を再開するために、再び携帯端末装置1の画面に顔を接する。このとき、再びユーザの顔により近接センサの前面がふさがれ、物体検出部12は、ほぼ連続して200以上の値を出力する。
【0027】
ここで、本実施形態に係る携帯端末装置1では、制御部16は、物体検出部12から出力される値が所定の閾値(例えば、一定の閾値)Thを超える状態が所定の時間(例えば、数秒など)又は所定の回数連続した場合には、近接センサに対する反応がある(ここでは、通話のためにユーザの顔が携帯端末装置1の画面に接している)と判定して、画面をオフへ切り替えること、或いは、キーの操作(キーイベントの受け付け)を無効にすること、のうちの一方又は両方を実行する。
その後、制御部16は、物体検出部12から出力される値が所定の閾値(例えば、一定の閾値)Th以下となる状態が所定の時間(例えば、数100ミリ秒など)又は所定の回数連続した場合には、近接センサに対する反応が途絶えた(ここでは、ユーザの顔が携帯端末装置1の画面から離れた)と判定して、オフへ切り替えられた画面を再びオンへ切り替えること、或いは、無効にされたキーの操作(キーイベントの受け付け)を再び有効にすること、のうちの一方又は両方を実行する。これにより、省電力処理を行うことができる。
【0028】
一例として、前記した所定の閾値Thを200に設定することで、ユーザの顔が携帯端末装置1の画面に接するタイミングや、ユーザの顔が携帯端末装置1の画面から離れるタイミングを判定することができ、これにより、画面のオン/オフの制御や、キー操作の有効/無効の制御などを実行することができる。
なお、物体検出部12から出力する値に関する前記した所定の閾値Thは、例えば、携帯端末装置1の機種などによって適切な値(レベル)が異なり得る。
【0029】
[第1実施形態]
本実施形態に係る携帯端末装置1において行われる、物体検出部12の近接センサに関する異常診断処理について説明する。
図2は、本実施形態に係る携帯端末装置1において行われる、物体検出部12の近接センサに関する異常診断処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、携帯端末装置1がオフの状態からオンの状態へ起動されると、近接センサに関する異常診断処理のプログラム(異常診断プログラム)が、例えばバックグラウンドサービスとして、起動される。
そして、異常診断プログラムでは、制御部16は、予め定められた時間間隔で(例えば、60分などの一定の時間T毎に)、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを監視して判定し、その判定の結果の情報を記憶部15に記憶(記録)する。
【0030】
このように異常診断プログラムが起動させられている状態で、ユーザは、携帯端末装置1を(通常に)使用する。そして、ユーザは、任意のタイミング(又は、予め定められたタイミング)で、異常診断プログラムのGUI(Graphical User Interface)を起動して、近接センサの異常診断を開始するための操作を行う。
すると、異常診断プログラムでは、制御部16は、記憶部15に記憶された前記した判定の結果の情報を参照して、近接センサの検出状態が「直近の過去のM(Mは、1以上の整数)回の判定結果のうちで、N(Nは、0以上M以下の整数)回以上、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Thを超えた」状態であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0031】
異常診断プログラムでは、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態であると判定した場合には、例えば対処方法である「液晶保護フィルムをはがしてお使い下さい。」などのメッセージ(結果メッセージ)を表示部14の画面に表示する(ステップS2)。そして、本処理(近接センサの異常診断の処理)を終了する。
一方、異常診断プログラムでは、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態ではないと判定した場合には、例えば「異常無し」などのメッセージ(結果メッセージ)を表示部14の画面に表示する(ステップS3)。そして、本処理(近接センサの異常診断の処理)を終了する。
【0032】
ここで、前記したM回としては、様々な回数が用いられてもよく、例えば、一定の時間T(=60分)毎に判定結果を得る場合に、M=24回(つまり、一日分)や、M=12回(つまり、半日分)などを用いることができる。このM回は、パラメータとして、調整することが可能である。
また、前記したN回としては、様々な回数が用いられてもよく、例えば、M=24回に対して、N=20回などを用いることができ、また、M=12回に対して、N=10回などを用いることができる。このN回は、パラメータとして、調整することが可能である。
【0033】
ここで、本実施形態では、近接センサの検出状態が「直近の過去のM(Mは、1以上の整数)回の判定結果のうちで、N(Nは、0以上M以下の整数)回以上、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Thを超えた」状態である場合に異常と判定する構成を示したが、他の構成例として、M回の代わりにm(mは、0より大きい値)時間を用いることや、N回の代わりにn(nは、0以上m以下の値)時間を用いることもできる。なお、このm時間やn時間は、それぞれ、パラメータとして、調整することが可能である。また、例えば、一定の時間間隔で判定を行う場合には、(回数×一定の時間間隔)などの値を時間として用いることができる。
また、本実施形態では、ユーザにより行われる所定の操作に応じて、近接センサの異常診断の処理が実行される構成を示したが、他の構成例として、携帯端末装置1において、異常診断プログラムなどに予め設定された条件が満たされたと判定したことに応じて、装置により自動的に、近接センサの異常診断の処理が実行される構成を用いることもできる。
【0034】
このように、携帯端末装置1において、近接センサの検出値に応じた値の情報を記憶しておき、ユーザにより指示されたタイミング或いは一定の期間毎のタイミングなどで、記憶された情報に基づいて、異常の有無を検査することができる。
具体的には、近接センサの面上に液晶保護フィルムが付着している場合には、物体検出部12からの出力値が、常時、所定の閾値Thを超えるような反応を示し、通話中に一時的に画面からユーザが顔を離しても、画面がオフのまま、或いは、キー操作が無効なまま、となってしまう。そこで、本実施形態では、このような近接センサに関する反応の違いを利用して、異常を検出する構成とした。
本実施形態では、通常利用の通話中のように「物体検出部12からの出力値が、一時的に、所定の閾値Thを超えることが何度かあっても、残りは所定の閾値Th以下であり0に近い」状態と、液晶保護フィルムが不適切に貼り付けられて近接センサがふさがれているときのように「物体検出部12からの出力値が、常時、所定の閾値Thを超えることが継続する」状態とを判定することができ、後者の場合にユーザに液晶保護フィルムの除去を促すことができる。
【0035】
図3〜
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る携帯端末装置1の画面の表示の例を示す。この例では、携帯端末装置1がスマートフォンであるとする。また、この例では、異常診断プログラムでは、近接センサの異常診断以外についても、幾つかの項目(本実施形態では、特に関係ないため、省略する)について異常診断を実行する機能を有するとする。
【0036】
図3は、診断開始時における画面101の表示の例を示す図である。
この画面101では、携帯端末装置1の制御部16が、ユーザの操作により又は自動的に、「スマートフォン異常診断プログラム」というタイトルの画面情報を表示部14の画面に表示する。この画面情報には、「センサ付近の異物」という項目が含まれており、この項目が近接センサの異常診断に相当する。
ユーザが「センサ付近の異物」という項目を指定(選択)する操作を行うと、携帯端末装置1の制御部16が、近接センサの異常診断の処理を開始する。
図4は、診断中における画面102の表示の例を示す図である。
この画面102では、
図3に示される画面情報に加えて、携帯端末装置1の制御部16が、近接センサの異常診断の処理を実行していることを示す「<診断中>」という情報を表示部14の画面に表示する。
【0037】
図5は、異常ありの診断完了時における画面103の表示の例を示す図である。
この画面103では、携帯端末装置1の制御部16が、異常があること及び対処方法を示す「<センサ付近の異物>ディスプレイ(タッチパネル)が誤動作する可能性があります。液晶保護フィルムをはがしてお使い下さい。」という情報を表示部14の画面に表示する。
図6は、異常無しの診断完了時における画面104の表示の例を示す図である。
この画面104では、携帯端末装置1の制御部16が、異常が無いことを示す「<センサ付近の異物>異常なし」という情報を表示部14の画面に表示する。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る携帯端末装置1では、赤外線型の近接センサの反応値を用いて、近接センサの面に対する液晶保護フィルムの有無を判定(検出)することができる。例えば、スマートフォンでは、赤外線型の近接センサが一般に用いられており、この近接センサの反応値を利用して、近接センサをふさいでスマートフォン利用に障害をきたす液晶保護フィルムの存在を検出することができる。
これにより、例えば、ユーザがサービスセンターに申告してくる前、またはサービスセンターの誘導により、ユーザ自身で故障診断を行うことができ、誤って近接センサの面上に貼り付けられた液晶保護フィルムを検出させて、ユーザにその除去を促すことができる。
ここで、本実施形態では、近接センサの面をふさぐ物として、液晶保護フィルムを例としたが、他の様々な付着物が検出されてもよい。
このように、本実施形態に係る携帯端末装置1では、液晶保護フィルムなどが近接センサなどの上に存在する状態を検出することができる。
【0039】
[第2実施形態]
本実施形態に係る携帯端末装置1において行われる、物体検出部12の近接センサに関する異常診断処理について説明する。なお、本実施形態では、主に、第1実施形態とは異なる構成について詳しく説明し、同様な構成については詳しい説明を省略する。
本実施形態に係る携帯端末装置1では、制御部16は、近接センサの異常診断の処理として、<近接センサの異常診断における時間制御処理>と<近接センサの異常診断における通話制御処理>という2つの処理を実行する。
【0040】
本実施形態に係る携帯端末装置1では、近接センサの異常診断の処理時において、制御部16は、まず、<近接センサの異常診断における時間制御処理>を開始して実行して、異常(ここでは、異常の疑わしさ)の有無を判定する。そして、制御部16は、これにより異常(ここでは、異常の疑わしさ)を検出した場合にのみ、より確度が高いと考えられる<近接センサの異常診断における通話制御処理>を開始して実行して、異常(ここでは、確定的な異常)の有無を判定する。
【0041】
<近接センサの異常診断における時間制御処理>
近接センサの異常診断における時間制御処理では、携帯端末装置1の制御部16は、表示部14の画面をオンにするイベントが発生したときに、所定の時刻の範囲であるか否かを判定し、所定の時刻の範囲であると判定した場合には、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを判定することを開始して実行する(近接センサを用いた判定をオンにする)。そして、制御部16は、表示部14の画面をオフにするイベントが発生するまで、判定結果の情報を記憶部15に記憶する。
一方、携帯端末装置1の制御部16は、表示部14の画面をオンにするイベントが発生したときに、所定の時刻の範囲であるか否かを判定し、所定の時刻の範囲ではないと判定した場合には、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを判定することを実行しない(近接センサを用いた判定をオフにする)。
ここで、前記した所定の時刻の範囲としては、様々な時刻の範囲が用いられてもよく、例えば、06時から24時までの範囲(人の活動時間の範囲の一例)などを用いることができる。この所定の時刻の範囲は、パラメータとして、調整することが可能である。
【0042】
また、近接センサの異常診断における時間制御処理では、携帯端末装置1の制御部16は、表示部14の画面をオフにするイベントが発生したときには、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを判定することを停止する(近接センサを用いた判定をオフにする)。
なお、例えば、近接センサの異常診断における時間制御処理では、携帯端末装置1の制御部16は、所定の時刻の範囲ではなくなったときには、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを判定することを停止する(近接センサを用いた判定をオフにする)構成を用いることもできる。
【0043】
ユーザの操作に応じて又は自動的に、近接センサの異常診断が開始されると、異常診断プログラムでは、制御部16は、記憶部15に記憶された前記した判定の結果の情報を参照して、近接センサの検出状態が「過去の24時間内におけるM(Mは、1以上の整数)回の判定結果のうちで、N(Nは、0以上M以下の整数)回以上、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Thを超えた」状態であるか否かを判定する。そして、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態であると判定した場合には、異常(ここでは、異常の疑わしさがある)と判定する。一方、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態ではないと判定した場合には、正常(異常無し)と判定する。なお、このM回やN回は、それぞれ、パラメータとして、調整することが可能である。
【0044】
他の構成例として、ユーザの操作に応じて又は自動的に、近接センサの異常診断が開始されると、異常診断プログラムでは、制御部16は、記憶部15に記憶された前記した判定の結果の情報を参照して、近接センサの検出状態が「画面がオンであった過去の24時間内におけるm時間の判定結果のうちで、n時間以上、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Thを超えた」状態であるか否かを判定する。そして、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態であると判定した場合には、異常(ここでは、異常の疑わしさがある)と判定する。一方、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態ではないと判定した場合には、正常(異常無し)と判定する。なお、このm時間やn時間は、それぞれ、パラメータとして、調整することが可能である。また、例えば、一定の時間間隔で判定を行う場合には、(回数×一定の時間間隔)などの値を時間として用いることができる。一例として、n=0.7m(つまり、mの70パーセント)などを用いることができる。
【0045】
<近接センサの異常診断における通話制御処理>
近接センサの異常診断における通話制御処理では、携帯端末装置1の制御部16は、通話アプリが起動されたときに、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを判定することを開始して実行する(近接センサを用いた判定をオンにする)。そして、制御部16は、起動された通話アプリが終了させられるまで、判定結果の情報を記憶部15に記憶する。制御部16は、起動された通話アプリが終了させられると、物体検出部12からの出力値(近接センサの検出値に応じた値)が所定の閾値Thを超えるか否かを判定することを停止する(近接センサを用いた判定をオフにする)。
【0046】
ユーザの操作に応じて又は自動的に(ここでは、自動的に)、近接センサの異常診断が開始されると、異常診断プログラムでは、制御部16は、記憶部15に記憶された前記した判定の結果の情報を参照して、近接センサの検出状態が「直近の(最後の)通話時において、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Th以下であり、その後、所定の時間以上連続して物体検出部12からの出力値が所定の閾値Thを超えており、その後、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Th以下であった」状態であるか否かを判定する。そして、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態ではないと判定した場合には、異常(ここでは、確定的な異常)と判定する。一方、制御部16は、近接センサの検出状態が前記した状態であると判定した場合には、正常(異常無し)と判定する。なお、この所定の時間は、パラメータとして、調整することが可能である。一例として、この所定の時間として、10秒を用いることができる。
【0047】
ここで、「直近の(最後の)通話時において、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Th以下であり、その後、所定の時間以上連続して物体検出部12からの出力値が所定の閾値Thを超えており、その後、物体検出部12からの出力値が所定の閾値Th以下であった」状態は、例えば、「直近の(最後の)通話時において、ユーザの顔が携帯端末装置1の画面から離れており、その後、所定の時間以上連続してユーザの顔が携帯端末装置1の画面に近付き(例えば、接し)、その後、ユーザの顔が携帯端末装置1の画面から離れた」状態に相当する。このような状態は、ユーザが携帯端末装置1を使用して通話を行った状態であるとみなすことができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る携帯端末装置1では、例えば、常時(例えば、毎日24時間)、近接センサを用いた判定をオンにすると、電力消費量が増大する可能性があることに対して、省電力化を図ることができる。
【0049】
ここで、本実施形態では、<近接センサの異常診断における時間制御処理>と<近接センサの異常診断における通話制御処理>という2つの処理を組み合わせて異常の有無を判定する構成を示したが、他の構成例として、これらのうちのいずれか一方のみを用いる構成が用いられてもよい。
また、<近接センサの異常診断における通話制御処理>は確度が高いと考えられるが、例えば、ハンズフリー通話などのように、近接センサに関する反応が無い場合もあるため、<近接センサの異常診断における時間制御処理>と組み合わされた方が、より誤判定を低減することができる。
【0050】
また、本実施形態では、例えば、一日のうちで、予め定められた時間帯だけ、近接センサを用いた判定をオンにすることや、或いは、画面がオンになったことに応じて近接センサを用いた判定をオンにすることや、或いは、画面がオフになったことに応じて近接センサを用いた判定をオフにすることができ、他の例として、近接センサを用いた判定を実行した前回のタイミングから所定の時間が経過した後に、初めて画面がオンになったときに、近接センサを用いた判定をオンにすることができる。また、本実施形態では、例えば、「通話アプリが起動させられて、近接センサを用いた判定をオンにした場合に、携帯端末装置1の画面から顔が離れており、その後、携帯端末装置1の画面に顔が近付き、その後、携帯端末装置1の画面から顔が離れて、通話アプリが終了した」状態を正常な状態とみなすことができる。
【0051】
[以上の実施形態(第1実施形態〜第2実施形態)に係る構成例]
(第1実施形態〜第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、物体との間の距離に応じた値を検出する物体検出部12と、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在するか否かを判定する制御部16と、を備える携帯端末装置1である。
(第1実施形態に係る構成例)
一構成例として、前記物体検出部12は、予め定められた時間間隔で、前記検出を行う。
(第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、前記物体検出部12は、予め定められた時間帯、或いは、画面がオンであるときのうちの一方又は両方が満たされるときに、前記検出を行う。
【0052】
(第1実施形態〜第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、前記制御部16は、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、物体との間の距離が所定の閾値より近いことを示す値が、所定の度合い(例えば、閾値或いはパーセントなど)以上である場合に、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在すると判定する。
(第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、前記制御部16は、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、通話時に、物体との間の距離が所定の閾値より遠いことを示す値であり、その後、物体との間の距離が所定の閾値より近いことを示す値であり、その後、再び、物体との間の距離が所定の閾値より遠いことを示す値である、ことが満たされない場合に、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在すると判定する。
(第1実施形態〜第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、前記制御部16は、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在すると判定した場合に、その旨を示す情報(例えば、
図5に示される情報)を画面に表示する。
【0053】
(第1実施形態〜第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、携帯端末装置1に備えられた物体検出部12が、物体との間の距離に応じた値を検出し、前記携帯端末装置1に備えられた制御部16が、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在するか否かの情報を提供する、方法(異常検出方法)である。
(第1実施形態〜第2実施形態に係る構成例)
一構成例として、携帯端末装置1に備えられた物体検出部12が、物体との間の距離に応じた値を検出するステップと、前記携帯端末装置1に備えられた制御部16が、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在するか否かを判定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム(異常検出プログラム)である。
【0054】
[第3実施形態の説明]
以下で、[第3実施形態]について説明する。
なお、以下に示す[第3実施形態]では、以上に示した[第1実施形態〜第2実施形態の説明]で説明したものとは異なる点について詳しく説明し、同様な点については説明を省略又は簡略化する。
【0055】
[第3実施形態]
<近接センサについて>
本実施形態では、物体検出部12の近接センサは、検出結果が変化したときにだけ出力値(例えば、検出結果の値、又は、所定の他の値)を出力する仕組みになっている。例えば、近接センサによる検出動作がオンである状態で、近接センサの周囲(検出範囲)の状況が変化しなければ近接センサからの出力は無(無信号)であり、物体が近接センサの検出範囲を遮ることなどにより近接センサの周囲(検出範囲)の状況が変化したときに近接センサからの出力(信号)が発生する。
物体検出部12は、近接センサによる検出結果に応じて、対応する値(本実施形態では、0から255の値)を出力する。
【0056】
<本実施形態の背景>
例えば、物体検出部12の近接センサによる検出動作を常時オンにして稼働させておけば、過去の一定期間(例えば、一日など)の間に物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)に延々と変化が無いことをもって「異常(例えば、付着物)あり」と判断することが可能であり、一方、過去の一定期間(例えば、一日など)の間に物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)に一度でも変化があったことをもって「異常(例えば、付着物)無し」と判断することが可能である。
このように、常時(例えば、一日中)近接センサによる検出動作をオンにしておけば、付着物が存在したとしてユーザがいつその付着物を剥がしたとしても、ほぼ確実に近接センサの反応(検出結果)の変化をとらえることができ、異常(例えば、付着物)の有無の判断を誤る可能性は低い。
【0057】
しかしながら、近接センサによる検出動作を常時オンにしておく構成では、近接センサの稼働によって電流消費量が増大し、携帯端末装置1の稼働時間が短縮される可能性があるため、近接センサによる検出動作を常時オンにしない構成が望まれる。
なお、本実施形態では、近接センサによる検出動作を常時オンにしない構成例を示すが、他の構成例として、近接センサによる検出動作を常時オンにしておく構成が実施されてもよい。
【0058】
<本実施形態における近接センサによる検出動作の概要>
本実施形態では、次の(処理内容3−1)〜(処理内容3−6)に従って、携帯端末装置1の通話中(本実施形態では、受信(着信)中のときだけであり、送信(発信)中のときは除く)に限って近接センサによる検出動作をオンにして稼働させる方式によって、異常の有無を判定する。
【0059】
(処理内容3−1)
携帯端末装置1がオフの状態からオンの状態へ起動されると、近接センサに関する異常診断処理のプログラム(異常診断プログラム)が、例えばバックグラウンドサービスとして、起動される。
【0060】
(処理内容3−2)
異常診断プログラムは、通話の発生(本実施形態では、着信且つ受話が発生したときのみであり、発信を除く)を監視する。
【0061】
(処理内容3−3)
着信があり且つ受話がある(例えば、操作部13の受話ボタンが押下される)と、近接センサによる監視(本実施形態では、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報の記憶)を開始する。この通話の終了(例えば、着信側で通話を切ったとき、又は、発信側(通話の相手側)で通話を切ったとき)から、所定の時間Tが経過した後に、近接センサによる監視を終了する。
なお、携帯端末装置1では、着信側(当該携帯端末装置1の側)で通話を切ったときと、発信側(通話の相手側)で通話を切ったときとで、いずれも、同じ信号(通話の終了を示す信号)が内部で発生し、これを検出する。
また、ユーザによる受話の操作(例えば、受話ボタンの押下)ばかりでなく、携帯端末装置1により着信時に自動的に受話する場合(例えば、自動応答の場合)についても、受話があったとみなす構成が用いられてもよい。
【0062】
また、前記した所定の時間Tとしては、様々な値が用いられてもよく、一例として、30秒程度に設定する構成を用いることができる。前記した所定の時間Tが長い方が、より確実に、「ユーザの顔が携帯端末装置1の画面から離れた」状態を検出することができると考えられるが、長過ぎないように適度な値が設定されるのが好ましい。また、前記した所定の時間Tが0に設定されてもよく、つまり、通話の終了時に近接センサによる監視を終了する構成が用いられてもよい。
【0063】
ここで、本実施形態では、近接センサによる監視を開始して稼働させるタイミングとしては、着信時(又は、発信時)ではなく、着信して且つ受話(例えば、受話ボタンの押下)があったときのタイミングを用いている。この理由は、例えば、着信後にすぐに近接センサによる監視を開始して稼働させると、ユーザが着信後に相手の電話番号を見て受話せずにその着信(通話)を切った場合や、ユーザが運転中などであり受話が不能でその着信に受話しなかった場合においても、物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)が変化しないデータ(無反応のデータ)が記憶されてしまい、誤診断の可能性が生じるためである。なお、発信時についても、例えば、発信時に近接センサによる監視を開始して稼働させると、ユーザが発信後に通話せずにその発信を切った場合や、その発信に対して相手側が無応答であった場合において、物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)が変化しないデータ(無反応のデータ)が記憶されてしまい、誤診断の可能性が生じる。
【0064】
なお、通常は、携帯端末装置1に着信があると、ユーザは、携帯端末装置1の画面に当該ユーザの顔を近付ける前に、当該ユーザの指で受話ボタンを押下する操作(或いは、他の操作でもよい)により受話し、その後、携帯端末装置1の画面に当該ユーザの顔を近付けて相手側(発信側)と通話する。そして、ユーザは、当該ユーザ自身が通話を終了する場合には、携帯端末装置1の画面から当該ユーザの顔を離した後に、当該ユーザの指で通話終了のためのボタンを押下する操作(或いは、他の操作でもよい)により通話を終了させ、また、相手側の操作により通話が終了させられた場合には、通話の終了後に、(通常は、それほど長い時間をおかずに)携帯端末装置1の画面から当該ユーザの顔を離す。
このため、一例として、通話の開始時における近接センサによる検出結果(ユーザの顔が離れていた状態から近付く状態へ変化すること)、又は、通話の終了時における近接センサによる検出結果(ユーザの顔が近付いていた状態から離れた状態へ変化すること)のうちの一方又は両方を判定することができるような構成とする。
【0065】
(処理内容3−4)
1回分の通話について、近接センサによる監視の開始から終了までの間、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報(データ)を記憶部15に記憶する。
ここで、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報としては、例えば、物体検出部12からの出力値自体の情報が用いられてもよく、或いは、物体検出部12からの出力値が所定の閾値を超えるか否かを判定した結果の情報が用いられてもよく、或いは、物体検出部12からの出力値に対して他の演算等を行った結果の情報が用いられてもよい。
【0066】
(処理内容3−5)
ユーザは、任意のタイミング(又は、予め定められたタイミング)で、異常診断プログラムのGUIを起動して、近接センサの異常診断を開始するための操作を行う。すると、異常診断プログラムが近接センサによる検出結果に基づく異常診断を開始する。
【0067】
(処理内容3−6)
具体的には、異常診断プログラムは、直近の、診断対象として有効な、1回分の通話(本実施形態では、着信のみ)について、その通話中(本実施形態では、近接センサによる監視の開始から終了までの間)における物体検出部12からの出力値のデータ(本実施形態では、記憶部15に記憶されたデータ)を参照して、物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)に一度も変化がなかったことを判定した場合には、例えば、液晶保護フィルムが不適切に貼り付けられて近接センサがふさがれているとみなして、対処方法のメッセージを表示部14の画面に表示する。
【0068】
ここで、直近の、診断対象として有効な、1回分の通話としては、診断対象として無効である通話の条件が設定されている場合には、診断対象として無効である通話(このような通話中における物体検出部12からの出力値のデータ)を排除して、最も最後(最近)に行われた有効な通話(無効でない通話)が用いられる。なお、他の構成例として、診断対象として無効である通話の条件が設定されずに、全ての通話が有効であるとする構成が用いられてもよい。
【0069】
診断対象として無効である通話の条件としては、例えば、Bluetooth(登録商標)等のヘッドセット、イヤホンマイク、或いはスピーカーフォンなどの、離隔通話用部品(携帯端末装置1から顔を離隔させて通話することを可能とする部品)が携帯端末装置1で使用された通話を無効な通話とする条件を用いることができる。この理由は、このような離隔通話用部品をユーザが使用する場合には、ユーザが普通に通話していても、ユーザの顔は携帯端末装置1の画面に全く近付かず、物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)が変化しないデータ(無反応のデータ)が記憶されてしまい、誤診断の可能性が生じるためであり、このようなデータは無効として除外する必要があるためである。
【0070】
また、本実施形態のように、着信と発信のうちで着信のみを診断対象とする場合には、診断対象として無効である通話の条件として、発信により発生した通話を無効な通話とする条件を用いることができる。
【0071】
なお、他の構成例として、近接センサによる監視を開始して稼働させるタイミングとして、着信して且つ受話(例えば、受話ボタンの押下)があったときのタイミングが用いられる場合に、このタイミングから所定の時間(例えば、1分間など)に相当するガードタイムが経過するまでに着信側又は発信側が通話を切ったときに、その通話を無効な通話とする条件を用いることができる。この条件は、例えば、ユーザが着信に対して受話したが前記ガードタイム(前記所定の時間)内に着信側又は相手側(発信側)がその着信に係る通話を切る場合を考慮しており、具体例として、着信時に相手側に対して運転中であることなどを伝える応答保留が自動的に再生して、前記ガードタイム(前記所定の時間)内に携帯端末装置1が自動的にその着信に係る通話を切る場合又は相手側がその着信に係る通話を切る場合などを考慮しており、このような場合における誤診断をなくすことができる。
【0072】
また、物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)が変化したか否か(変化があったか否か)を判定する手法としては、例えば、値が同一ではなくなった場合(つまり、僅かでも値が異なる値になった場合)に変化したと判定する手法が用いられてもよく、或いは、値が予め定められた閾値以上に異なる値になった場合に変化したと判定する手法(つまり、誤差範囲の変化については変化していないとみなす手法)が用いられてもよい。
【0073】
<近接センサによる監視の開始から終了までのタイミングの例>
図7は、本実施形態に係る携帯端末装置1における、近接センサによる監視の開始から終了までのタイミングの一例を示すタイミングチャート図である。
図7の例では、携帯端末装置1における通話状況に関する状態T1〜T4、携帯端末装置1における自動診断アプリケーション(本実施形態では、異常診断プログラムのアプリケーション)に関する状態T11〜T13、携帯端末装置1における通話アプリケーション(通話アプリ)に関する状態T21〜T24、携帯端末装置1における制御部16(本実施形態では、オペレーティング・システム(OS))に関する状態T31〜T34、携帯端末装置1における物体検出部12の近接センサに関する状態T41〜T42を示してある。
【0074】
図7の例に係る一連の処理を説明する。
自動診断アプリケーションは、携帯端末装置1の電源がオンであるときには常時、オンであり、稼働している(状態T11)。
携帯端末装置1では、他の携帯端末装置などから電話の着信があると(状態T1)、通話アプリを起動させる(状態T21)。
通話アプリは、起動すると、近接センサによる検出動作をオンにさせる要求を、OSに対して発して通知する(状態T22)。
OSは、この要求を通話アプリから受けると、この要求を実行し、すなわち、近接センサによる検出動作をオンにさせる(状態T31)。これにより、近接センサによる検出動作がオフからオンになる(状態T41)。なお、この時点では、まだ、近接センサによる監視(本実施形態では、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報の記憶)は開始されていない。
【0075】
携帯端末装置1では、前記した着信に対して、電話を受けるために、ユーザが受話ボタンを押下する(状態T2)。これにより、この着信に係る電話の通話が開始され、携帯端末装置1のユーザと発信側の他の携帯端末装置などのユーザとの間で電話の会話が行われる。
自動診断アプリケーションは、着信の電話が受けられたこと(本実施形態では、受話ボタンが押下されたこと)を検出すると、近接センサによる監視(本実施形態では、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報の記憶)を開始させる要求を、OSに対して発して通知する(状態T12)。
OSは、この要求を自動診断アプリケーションから受けると、この要求を実行し、すなわち、近接センサによる監視を開始させる(状態T32)。これにより、近接センサによる監視が開始され、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報が記憶部15に記憶されていく。
【0076】
携帯端末装置1では、当該携帯端末装置1のユーザが電話の通話を終了させるための操作(例えば、通話終了のためのボタンの押下)を行うことにより又は電話の相手側が電話の通話を終了させるための操作を行うことにより、前記した着信に係る電話の通話が終了する(状態T3)。
通話アプリは、前記した着信に係る電話の通話が終了すると、近接センサによる検出動作をオフにさせる要求を、OSに対して発して通知する(状態T23)。そして、通話アプリは、終了する(状態T24)。
OSは、この要求を通話アプリから受ける(状態T33)。なお、通話アプリのみを考えると、OSは、この要求を通話アプリから受けると、この要求を実行し、すなわち、近接センサによる検出動作をオフにさせるが、
図7の例では、自動診断アプリケーションからの要求に応じて近接センサによる監視が行われているため、OSは、このことに基づいて、近接センサによる検出動作をオンのままとして、近接センサによる監視を続行させたままとする。
【0077】
自動診断アプリケーションは、前記した電話の通話が終了した後に所定の時間(例えば、30秒程度)が経過したことを検出すると(状態T4)、近接センサによる監視を終了させる要求を、OSに対して発して通知する(状態T13)。
OSは、この要求を自動診断アプリケーションから受けると、この要求を実行し、すなわち、近接センサによる監視を終了させ、且つ、近接センサによる検出動作をオンにしておく要求がなくなったため、近接センサによる検出動作をオフにさせる(状態T34)。これにより、近接センサによる監視が終了され、且つ、近接センサによる検出動作がオンからオフになる(状態T42)。
このような一連の処理によって、前記した着信に係る1回分の通話について、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報が記憶部15に記憶されて、履歴の情報(データ)として残る。
【0078】
<近接センサの異常診断の処理の説明>
本実施形態に係る携帯端末装置1において行われる、物体検出部12の近接センサに関する異常診断処理について説明する。なお、全体的な処理の制御は、制御部16により行う。
図8は、本実施形態に係る携帯端末装置1において行われる、物体検出部12の近接センサに関する異常診断処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、携帯端末装置1がオフの状態からオンの状態へ起動されると、近接センサに関する異常診断処理のプログラム(異常診断プログラム)が、例えばバックグラウンドサービスとして、起動される。
そして、異常診断プログラムでは、制御部16は、
図7に示される処理内容(或いは、他の処理内容でもよい)により、通話(本実施形態では、着信して受話したもの)毎について、近接センサによる監視を行って、近接センサによる検出結果に応じた物体検出部12からの出力値に関する情報を記憶部15に記憶する。
【0079】
このように異常診断プログラムが起動させられている状態で、ユーザは、携帯端末装置1を(通常に)使用する。そして、ユーザは、任意のタイミング(又は、予め定められたタイミング)で、異常診断プログラムのGUIを起動して、近接センサの異常診断を開始するための操作を行う。
【0080】
すると、異常診断プログラムでは、制御部16は、直近の、診断対象として有効な、通話中の物体検出部12(近接センサ)の出力値のデータに関して、一度でも変化があったか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、制御部16は、直近の、診断対象として有効な、1回分の通話(本実施形態では、着信のみ)について、その通話中(本実施形態では、近接センサによる監視の開始から終了までの間)における物体検出部12からの出力値のデータ(本実施形態では、記憶部15に記憶されたデータ)を参照して、物体検出部12からの出力値(近接センサによる検出結果)に一度以上の変化があったか否かを判定する。
【0081】
ステップS11の処理における判定の結果、異常診断プログラムでは、制御部16は、診断対象のデータに関して一度も変化がなかったと判定した場合には、例えば対処方法である「液晶保護フィルムをはがしてお使い下さい。」などのメッセージ(結果メッセージ)を表示部14の画面に表示する(ステップS12)。そして、本処理(近接センサの異常診断の処理)を終了する。
一方、ステップS11の処理における判定の結果、異常診断プログラムでは、制御部16は、診断対象のデータに関して一度でも変化があったと判定した場合には、例えば「異常無し」などのメッセージ(結果メッセージ)を表示部14の画面に表示する(ステップS13)。そして、本処理(近接センサの異常診断の処理)を終了する。
【0082】
ここで、本実施形態では、ユーザにより行われる所定の操作に応じて、近接センサの異常診断の処理が実行される構成を示したが、他の構成例として、携帯端末装置1において、異常診断プログラムなどに予め設定された条件が満たされたと判定したことに応じて、装置により自動的に、近接センサの異常診断の処理が実行される構成を用いることもできる。
このように、携帯端末装置1において、近接センサの検出値に応じた値の情報を記憶しておき、ユーザにより指示されたタイミング或いは一定の期間毎のタイミングなどで、記憶された情報に基づいて、異常の有無を検査することができる。
【0083】
本実施形態では、通常利用の通話中のように「物体検出部12からの出力値が、一時的に、所定の閾値Thを超えることが何度かあっても、残りは所定の閾値Th以下であり0に近い」状態(本実施形態では、一度でも変化がある状態)と、液晶保護フィルムが不適切に貼り付けられて近接センサがふさがれているときのように「物体検出部12からの出力値が、常時、所定の閾値Thを超えることが継続する」状態(本実施形態では、一度も変化がない状態)とを判定することができ、後者の場合にユーザに液晶保護フィルムの除去を促すことができる。
【0084】
また、本実施形態では、異常診断プログラムによる自動診断アプリケーションの有無に関わらず、通話中はほぼ必ず、顔面近接検知のために、近接センサによる検出動作がオンにされて稼働する構成であるため、異常診断を行うために近接センサによる監視を行っても、電流消費量が(例えば、それほどには)増大しない。
このように、本実施形態では、携帯端末装置1において、近接センサ(例えば、一般的な赤外線型の近接センサ)の反応値を用いて、過剰に電流消費量を増やすことなく、当該携帯端末装置1の利用に障害をきたす可能性がある付着物の存在を検出することができる。
なお、本実施形態においても、携帯端末装置1の画面の表示の例として、
図3〜
図6に示されるようなものを用いることができる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る携帯端末装置1では、当該携帯端末装置1における操作の状況(本実施形態では、着信に対する受話ボタンの押下の操作の状況)に基づいて、所定の期間だけ近接センサによる監視を稼働させ、その期間における近接センサによる検出結果に関する情報(データ)を記憶し、直近の有効な記憶データを分析すること(本実施形態では、一度でも変化があったか否かを判定すること)により、付着物の有無を判定することができる。また、本実施形態に係る携帯端末装置1では、着信に対して受話ボタンが押下されて通話が行われている間(例えば、初めや終わりの一部の時間をずらすように調整されてもよい)に、近接センサによる監視を稼働させる。
このように、本実施形態に係る携帯端末装置1では、液晶保護フィルムなどが近接センサなどの上に存在する状態を検出することができる。
【0086】
ここで、本実施形態では、発信及び着信による通話のうちで、着信による通話のみについて、近接センサによる検出結果に関する情報を記憶して異常診断に使用する構成を示したが、他の構成例として、発信による通話と着信による通話の両方について、近接センサによる検出結果に関する情報を記憶して異常診断に使用する構成や、或いは、発信による通話のみについて、近接センサによる検出結果に関する情報を記憶して異常診断に使用する構成を用いることも可能である。
また、本実施形態では、着信時に受話があったときのタイミングで近接センサによる監視を開始する構成を示したが、他の構成例として、着信があったときのタイミングで近接センサによる監視を開始する構成を用いることも可能である。
また、本実施形態では、1回分の通話に関する情報に基づいて異常診断を行う構成を示したが、他の構成例として、複数回分の通話に関する情報に基づいて異常診断を行う構成を用いることも可能である。このような回数(1回又は2回以上である所定回数)は、例えば、あらかじめ携帯端末装置1に設定され、また、ユーザなどにより変更することが可能な構成が用いられてもよい。
【0087】
[以上の実施形態(第3実施形態)に係る構成例]
一構成例として、物体との間の距離に応じた値を検出する物体検出部12と、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在するか否かを判定する制御部16と、を備える携帯端末装置1である。
ここで、例えば、物体検出部12又は物体検出部12を構成する近接センサとして、検出結果が変化したときにだけ出力値(例えば、検出結果の値、又は、所定の他の値)を出力するようなものが用いられる場合についても、物体との間の距離に応じた値に関しては、複数の値(例えば、時間的に前後にある2つの値)の差異に基づいて検出結果が変化したか否かが把握されるため、本発明に含まれる。
【0088】
一構成例として、前記制御部16は、所定回分の通話に関して、前記物体検出部12により検出された値に基づいて、前記物体との間の距離に応じた値に変化がなかったと判定した場合に、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在すると判定する。
ここで、前記した所定回(所定の回数)としては、好ましい一構成例として、1回を用いることができ、他の構成例として、2回以上の任意の回数を用いることができる。
一構成例として、前記所定回分の通話は、直近の、且つ、診断対象として有効な(例えば、診断対象として無効であるとする1つ以上の条件を満たさない)、且つ、着信時に受話した通話である。
一構成例として、前記制御部16は、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在すると判定した場合に、その旨を示す情報(例えば、
図5に示される情報)を画面に表示する。
【0089】
一構成例として、携帯端末装置1に備えられた物体検出部12が、物体との間の距離に応じた値を検出し、前記携帯端末装置1に備えられた制御部16が、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在するか否かの情報を提供する、方法(異常検出方法)である。
一構成例として、携帯端末装置1に備えられた物体検出部12が、物体との間の距離に応じた値を検出するステップと、前記携帯端末装置1に備えられた制御部16が、前記物体検出部12により検出された複数の値に基づいて、前記物体検出部12により検出可能な位置に異常な物体が存在するか否かを判定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム(異常検出プログラム)である。
【0090】
[以上の実施形態のまとめ]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0091】
また、以上に示した実施形態に係る装置(例えば、携帯端末装置1)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
【0092】
なお、ここで言う「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。
【0093】
更に、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、或いは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことを言う。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。更に、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。