特許第6150691号(P6150691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150691
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】切替制御回路および測定装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   H01H9/54 A
   H01H9/54 B
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-189028(P2013-189028)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-56284(P2015-56284A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】鳴澤 知弘
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−024724(JP,A)
【文献】 特開2006−084249(JP,A)
【文献】 特開2008−197056(JP,A)
【文献】 特開2000−111593(JP,A)
【文献】 実開昭60−121228(JP,U)
【文献】 特開2000−171501(JP,A)
【文献】 特開2002−031655(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0084790(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0038340(US,A1)
【文献】 特開2008−046060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチ素子で構成されると共に、電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御および当該電源部に対する制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、
前記電源部から前記信号切替器に出力されている前記電流を検出する検出部を備えると共に、当該電源部は、当該電流の電流値を前記測定対象に供給するときの第1電流値、および当該第1電流値よりも低い電流値であって前記複数のスイッチ素子のオン・オフ状態を検出するときの第2電流値のうちの任意の一方の電流値に規定可能に構成され、
前記処理部は、前記複数のスイッチ素子に対して前記オン・オフ制御を実行する際に、前記電源部に対して前記電流の電流値を前記第2電流値に規定させて当該電流の出力を開始させる制御を実行した後に当該複数のスイッチ素子に対する当該オン・オフ制御を実行すると共に、この状態において前記検出部によって検出される当該電流の電流値に基づいて当該複数のスイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了していると判別したときに当該電源部に対して当該電流の電流値を前記第1電流値に規定させる制御を実行する切替制御回路。
【請求項2】
複数のスイッチ素子で構成されると共に、電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御および当該電源部に対する制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、
前記電源部から前記信号切替器に出力されている前記電流を検出する検出部を備えると共に、当該電源部は、当該電流の電流値を前記測定対象に供給するときの第1電流値、および当該第1電流値よりも低い電流値であって前記複数のスイッチ素子のオン・オフ状態を検出するときの第2電流値のうちの任意の一方の電流値に規定可能に構成され、
前記処理部は、前記電源部に対して前記電流の出力を停止させる制御を実行した状態において前記複数のスイッチ素子に対して前記オン・オフ制御を実行した際に、当該電源部に対して前記電流の電流値を前記第2電流値に規定させて当該電流の出力を開始させる制御を実行すると共に、この状態において前記検出部によって検出される当該電流の電流値に基づいて当該複数のスイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了していると判別したときに当該電源部に対して当該電流の電流値を前記第1電流値に規定させる制御を実行する切替制御回路。
【請求項3】
請求項1または2記載の切替制御回路、前記電流を出力する前記電源部、前記信号切替器、および前記1つの測定対象に発生する電圧を測定する電圧測定部を備え、
前記処理部は、前記信号切替器を構成する前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行して前記複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記第1電流値に規定された前記電流を供給させると共に、当該電流の供給状態において前記電圧測定部によって測定される前記1つの測定対象に発生する電圧の電圧値と当該電流の当該電流値とに基づいて、当該1つの測定対象の抵抗を測定する測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば1つの電源部からの電流を複数の測定対象に切り替えて供給する信号切替器を構成する複数のスイッチ素子のオン・オフを制御する切替制御回路、およびこの切替制御回路を備えた測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の切替制御回路として、下記特許文献1に開示された信号切替器としての第1切り替え部を制御する制御部が知られている。この第1切り替え部は、リレーやアナログスイッチなどのスイッチ素子で構成されて、複数の測定対象に接続される複数のプローブユニットと、測定用の電流を生成する電源部に接続されている導線とに接続されている。制御部は、第1切り替え部に対する制御を実行して第1切り替え部を構成するスイッチ素子をオン状態またはオフ状態に移行させることにより、複数のプローブユニットの1つ1つに電源部からの測定用の電流を切り替えながら供給する。
【0003】
上記の特許文献では、明記されてはいないが、各スイッチ素子としてリレーなどの接点を有するスイッチ素子を使用したときには、オン状態からオフ状態に移行するとき、およびオフ状態からオン状態に移行するときにチャタリングが発生する。したがって、切替制御部は、このチャタリングの影響を排除しつつ、いわゆるホットスイッチング(測定用の電流が流れている状態(通電状態)で、オン状態からオフ状態、またはオフ状態からオン状態にスイッチングされること)による各スイッチ素子の損傷を回避するため、測定用の電流が流れていない状態(非通電状態)でスイッチ素子をオン・オフさせると共に、オン・オフの際に発生するチャタリングが消滅するのに要する最長時間よりも若干長い時間(一定の待ち時間)だけ常に待って、電源部に測定用の電流を生成させて、この電流を第1切り替え部およびプローブユニットを経由して測定対象に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46060号公報(第5−7頁、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した従来の切替制御回路には、以下の改善すべき課題が存在している。すなわち、この切替制御回路では、信号切替器を構成するスイッチ素子を制御する都度、常に一定の待ち時間が経過するのを待って、電源部に測定用の電流を生成させる必要がある。このため、この切替制御回路には、信号切替器を構成するスイッチ素子に対する制御をホットスイッチングによる損傷を回避しつつ実行して、複数の測定対象を信号切替器を介して電源部に順次1つずつ接続する際(信号切替器を構成するスイッチ素子に対する制御を複数回実行する際)の時間が長時間化するという改善すべき課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題を改善すべくなされたものであり、ホットスイッチングによる損傷を回避しつつ、信号切替器を構成するスイッチ素子に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮し得る切替制御回路およびこの切替制御回路を備えた測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の切替制御回路は、複数のスイッチ素子で構成されると共に、電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御および当該電源部に対する制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、前記電源部から前記信号切替器に出力されている前記電流を検出する検出部を備えると共に、当該電源部は、当該電流の電流値を前記測定対象に供給するときの第1電流値、および当該第1電流値よりも低い電流値であって前記複数のスイッチ素子のオン・オフ状態を検出するときの第2電流値のうちの任意の一方の電流値に規定可能に構成され、前記処理部は、前記複数のスイッチ素子に対して前記オン・オフ制御を実行する際に、前記電源部に対して前記電流の電流値を前記第2電流値に規定させて当該電流の出力を開始させる制御を実行した後に当該複数のスイッチ素子に対する当該オン・オフ制御を実行すると共に、この状態において前記検出部によって検出される当該電流の電流値に基づいて当該複数のスイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了していると判別したときに当該電源部に対して当該電流の電流値を前記第1電流値に規定させる制御を実行する。
【0008】
また、請求項2記載の切替制御回路は、複数のスイッチ素子で構成されると共に、電流を出力する電源部と複数の測定対象との間に配設されて、当該複数のスイッチ素子がオン・オフ制御されることによって当該複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記電流を供給可能に構成された信号切替器における前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御および当該電源部に対する制御を実行する処理部を備えた切替制御回路であって、前記電源部から前記信号切替器に出力されている前記電流を検出する検出部を備えると共に、当該電源部は、当該電流の電流値を前記測定対象に供給するときの第1電流値、および当該第1電流値よりも低い電流値であって前記複数のスイッチ素子のオン・オフ状態を検出するときの第2電流値のうちの任意の一方の電流値に規定可能に構成され、前記処理部は、前記電源部に対して前記電流の出力を停止させる制御を実行した状態において前記複数のスイッチ素子に対して前記オン・オフ制御を実行した際に、当該電源部に対して前記電流の電流値を前記第2電流値に規定させて当該電流の出力を開始させる制御を実行すると共に、この状態において前記検出部によって検出される当該電流の電流値に基づいて当該複数のスイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了していると判別したときに当該電源部に対して当該電流の電流値を前記第1電流値に規定させる制御を実行する。
【0009】
また、請求項3記載の測定装置は、請求項1または2記載の切替制御回路、前記電流を出力する前記電源部、前記信号切替器、および前記1つの測定対象に発生する電圧を測定する電圧測定部を備え、前記処理部は、前記信号切替器を構成する前記複数のスイッチ素子に対する前記オン・オフ制御を実行して前記複数の測定対象のうちの選択された1つの測定対象を前記電源部に接続して前記第1電流値に規定された前記電流を供給させると共に、当該電流の供給状態において前記電圧測定部によって測定される前記1つの測定対象に発生する電圧の電圧値と当該電流の当該電流値とに基づいて、当該1つの測定対象の抵抗を測定する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の切替制御回路および請求項3記載の測定装置では、 処理部が、信号切替器を構成する複数のスイッチ素子に対してオン・オフ制御を実行する際に、電源部に対して電流の電流値を第1電流値よりも低い(十分に低い)第2電流値に規定させた後に各スイッチ素子に対するオン・オフ制御を実行すると共に、この状態において検出部によって検出される電流の電流値に基づいて信号切替器の各スイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否か(具体的には、チャタリングが消滅しているか否か)を検出して、各スイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了していることを検出した時点で、電源部に対して電流の電流値を第1電流値に規定させる制御を実行する。
【0011】
したがって、この切替制御回路およびこの測定装置によれば、信号切替器を構成する各スイッチ素子に対するオン・オフ制御を実行する都度、常に一定の待ち時間(チャタリングが消滅するまでに要する最長時間)が経過するのを待って電流を第1電流値で出力させる従来の構成と比較して、ホットスイッチングによる各スイッチ素子の損傷を回避しつつ、切替制御回路を構成する各スイッチ素子に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮することができる。また、これにより、この測定装置によれば、各スイッチ素子の損傷を回避しつつ、各スイッチ素子の抵抗値を測定するまでに要する時間を短縮することができる。
【0012】
請求項2記載の切替制御回路および請求項3記載の測定装置では、処理部が、電源部に対して電流の出力を停止させる制御を実行した状態において複数のスイッチ素子に対してオン・オフ制御を実行した際に、電源部に第2電流値で電流の出力を開始させる制御を実行すると共に、この状態において検出部によって検出される電流の電流値に基づいて複数のスイッチ素子のオン状態またはオフ状態への移行が完了していると判別したときに電源部に対して電流の電流値を前記第1電流値に規定させる。
【0013】
したがって、この切替制御回路およびこの測定装置によっても、信号切替器を構成する各スイッチ素子に対するオン・オフ制御を実行する都度、常に一定の待ち時間(チャタリングが消滅するまでに要する最長時間)が経過するのを待って電流を第1電流値で出力させる従来の構成と比較して、ホットスイッチングによる各スイッチ素子の損傷を回避しつつ、切替制御回路を構成する各スイッチ素子に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮することができる。また、これにより、この測定装置によれば、各スイッチ素子の損傷を回避しつつ、各スイッチ素子の抵抗値を測定するまでに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】信号切替器4に対してオン・オフ制御を実行する切替制御回路7を有する測定装置1の構成を示す構成図である。
図2】切替制御回路7の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3】比較例の切替制御回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、切替制御回路およびこの切替制御回路を有する測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
最初に、測定装置1の構成について説明する。なお、測定装置1の一例として、測定対象の抵抗を測定する抵抗計を例に挙げて説明する。
【0017】
図1に示す測定装置1は、複数の電流供給プローブ2、電流供給プローブ2と同数の電圧検出プローブ3、信号切替器4、電源部5、電圧測定部6、切替制御回路7および出力部8を備え、測定対象としての複数の抵抗11(本例では一例として、3つの抵抗11a,11b,11c(以下、特に区別しないときには「抵抗11」ともいう))の抵抗値Ra,Rb,Rc((以下、特に区別しないときには「抵抗値R」ともいう)を測定可能に構成されている。本例では一例として、測定装置1は、各抵抗値Rを4端子法で測定する構成のため、各抵抗11の各端子には、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3がそれぞれ接触させられている。
【0018】
信号切替器4は、複数のスイッチ素子(本例では一例として、3つの抵抗11の抵抗値Rを4端子法で測定する構成のため、12個のスイッチ素子21a,21b,21c,21d,22a,22b,22c,22d,23a,23b,23c,23d)で構成されている。また、信号切替器4は、電源部5および電圧測定部6で構成される測定回路側と、複数の電流供給プローブ2および複数の電圧検出プローブ3で構成されるプローブ側(すなわち、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3が接触させられる測定対象としての抵抗11側)との間に配設されている。
【0019】
この信号切替器4は、スイッチ素子21a,21b,21c,21d(以下、特に区別しないときには、「スイッチ素子21」ともいう)のオン・オフ状態が切替制御回路7によって制御されることにより、複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11aを電源部5および電圧測定部6に接続したり、電源部5および電圧測定部6から切り離したりする。また、信号切替器4は、スイッチ素子22a,22b,22c,22d(以下、特に区別しないときには、「スイッチ素子22」ともいう)のオン・オフ状態が切替制御回路7によって制御されることにより、複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11bを電源部5および電圧測定部6に接続したり、電源部5および電圧測定部6から切り離したりする。また、信号切替器4は、スイッチ素子23a,23b,23c,23d(以下、特に区別しないときには、「スイッチ素子23」ともいう)のオン・オフ状態が切替制御回路7によって制御されることにより、複数の抵抗11のうちの選択された1つの抵抗11cを電源部5および電圧測定部6に接続したり、電源部5および電圧測定部6から切り離したりする。すなわち、信号切替器4は、上記の測定回路側に接続される電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を切り替える切替動作を実行する。
【0020】
また、各スイッチ素子21,22,23としては、機械的な可動部を有して機械的に接点を開閉させることで、信号や電流・電圧をオン・オフする有接点リレーが使用される。
【0021】
電源部5は、本例では一例として電流源で構成されて、切替制御回路7によって制御されることにより、電流I(本例では直流電流)を一対の出力端子5a,5bから出力したり、その出力を停止したりすることが可能に構成されている。また、電源部5は、切替制御回路7によって制御されることにより、この電流Iの電流値Iaを、抵抗11に供給してその抵抗値Rを測定するときの第1電流値I1(例えば、数百mA)、およびこの第1電流値I1よりも低い第2電流値I2(各スイッチ素子21,22,23のオン・オフ状態を検出するときの電流値。例えば、電流Iがリレーの接点に流れ得る最小の電流値。例えば、数mA程度)のうちの任意の一方の電流値に切替可能に構成されている。また、電源部5は、出力端子5a側が出力端子5b側に対して高電位となる状態で、電流Iを出力する。電圧測定部6は、一対の入力端子6a,6bに入力される電圧Vの電圧値V1を測定して、この電圧値V1を示す電圧データDvを切替制御回路7に出力する。
【0022】
切替制御回路7は、一例として、電流検出器31、検出部32および処理部33で構成されている。この切替制御回路7では、電流検出器31が電源部5の出力端子5aと信号切替器4との間に配設されて、電源部5から出力される電流Iを検出電圧Viに変換する。本例では一例として、電流検出器31は、検出抵抗で構成されているが、これに限定されるものではなく、電流を電圧に変換する検出回路である限り、他の構成の検出回路を使用することもできる。
【0023】
検出部32は、例えば、アンプおよびA/D変換器(いずれも図示せす)を備えて構成されて、アンプが検出電圧Viを入力して所定の増幅率で増幅してA/D変換器に出力し、A/D変換器がアンプで増幅された電圧を電流データDi(電流Iの電流値Iaを示すデータ)に変換して、処理部33に出力する。
【0024】
処理部33は、一例としてCPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、切替処理、制御処理、検出処理、測定処理および出力処理を実行する。この場合、切替処理では、処理部33は、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御を実行することで、測定回路側に接続される電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を切り替える切替動作を信号切替器4に実行させる。また、制御処理では、処理部33は、電源部5に対する制御を実行することにより、電源部5に対して信号切替器4への電流Iの出力または出力の停止を実行させると共に、電流値Iaを第1電流値I1または第2電流値I2に規定させる。
【0025】
また、検出処理では、処理部33は、検出部32から出力される電流データDiに基づいて電流Iの電流値Iaを算出(測定)すると共に、算出した電流値Iaに基づいて、この電流Iが供給されている信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否か(具体的には、チャタリングが消滅しているか否か)を検出する。また、測定処理では、処理部33は、検出部32から出力される電流データDiに基づいて電流Iの電流値Iaを算出(測定)すると共に、電圧測定部6から出力される電圧データDvに基づいて入力端子6a,6bに入力される電圧Vの電圧値V1を算出(測定)して、算出した電流値Iaおよび電圧値V1に基づいて、信号切替器4、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3を介して接続されている抵抗11の抵抗値Rを算出する。
【0026】
また、出力処理では、処理部33は、算出(測定)した各抵抗11の抵抗値Rを出力部8に出力する。本例では後述するように、処理部33は、抵抗値Rを出力部8の画面上に表示させる。
【0027】
出力部8は、例えば、LCDなどの表示装置で構成されて、処理部33から出力された抵抗値Rを画面上に表示させる。なお、出力部8は、表示装置に代えて外部インターフェース回路で構成して、この回路に伝送路を介して接続された外部機器に抵抗値Rを送出したり、またこの回路に接続された外部メモリに抵抗値Rを記憶させたりするようにしてもよいのは勿論である。
【0028】
次に、切替制御回路7による信号切替器4に対する切替動作について、測定装置1の動作と併せて図面を参照して説明する。なお、図1に示すように、各抵抗11の各端子には、電流供給プローブ2および電圧検出プローブ3がそれぞれ接触させられているものとする。
【0029】
まず、切替制御回路7の処理部33は、最初の測定対象である抵抗11aの抵抗値Raを測定する。この際に、処理部33は、図2に示すように、電源部5に対する制御処理を実行して、電流Iを第2電流値I2で出力させる(時刻t1)。次いで、処理部33は、信号切替器4に対する切替処理を実行して、各スイッチ素子21をオン状態に移行させると共に、他のスイッチ素子22,23をすべてオフ状態に移行させることで、抵抗11aに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続する。この場合、電源部5が電流Iを出力している状態において、各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御が実行されるため、各スイッチ素子21,22,23はいわゆるホットスイッチング(通電状態で、オン状態からオフ状態、またはオフ状態からオン状態に制御される)されることになるが、上記したようにして、電流Iが第1電流値I1よりも十分に低い第2電流値I2に規定されていることから、オン・オフ制御された各スイッチ素子21,22,23が損傷するという事態には至らない。
【0030】
この切替処理に要する時間(各スイッチ素子21,22,23に対して、上記のオン・オフ状態に制御するための制御信号を出力し終えるまでに要する時間。ほぼ一定の時間)は時間Aであるが、オン・オフ制御された際に各スイッチ素子21,22,23に発生しているチャタリングが消滅するまでにさらに時間B1がかかる(チャタリングの発生時間は、時間Aに時間B1を加えた時間になる)。なお、チャタリングの発生時間(発生から消滅するまでのチャタリングの継続時間)は、例えば、数百μs〜数msの範囲でばらつくが、その最長時間は時間Fであるものとする。
【0031】
このチャタリングの消滅を検出するため、処理部33は、切替処理を開始してから切替処理が完了するまでの間に、検出処理を開始する。この検出処理では、処理部33は、検出部32から出力されている電流データDiに基づいて電流Iの電流値Iaを算出すると共に、この算出した電流値Iaに基づいて、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23に発生しているチャタリングが消滅しているか否か(つまり、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否か)を検出する。この場合、図2に示すように、各スイッチ素子21,22,23に対する切替処理の実行中(切替処理の開始から時間Aが経過するまでの期間)、および切替処理の完了から時間B1が経過するまでの期間(チャタリングの発生から消滅するまでの期間)では、電流値Iaがチャタリングにより変動するが、この時間B1の経過後は、電流値Iaは第2電流値I2で安定する。
【0032】
したがって、処理部33は、検出処理において、電流値Iaが第2電流値I2で安定したこと(第2電流値I2の状態が一定時間C以上連続していること)を検出したときには、各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行の完了、すなわち、最初の測定対象としての抵抗11aが信号切替器4を介して電源部5および電圧測定部6に正常に接続されたと判別する。この場合の一定時間Cは、スイッチ素子21〜23にチャタリングが発生している状態において、スイッチ素子21〜23がオン状態からオフ状態に移行し、再度オン状態に移行するまでに要する時間(または、オフ状態からオン状態に移行し、再度オフ状態に移行するまでに要する時間)をチャタリングの1周期としたときに、例えば、チャタリングの2周期程度の時間とする。
【0033】
続いて、処理部33は、電源部5に対して、出力されている電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定(第2電流値I2から第1電流値I1に変更)させる制御処理を実行する。これにより、電流値Iaの規定(変更)に要する時間Eを経過した時点で、抵抗値Rを測定するときの第1電流値I1で電流Iが抵抗11aに供給される。このため、処理部33は、測定処理を実行する。この測定処理では、処理部33は、検出部32から出力される電流データDiに基づいて電流Iの電流値Iaを算出すると共に、電圧測定部6から出力される電圧データDvに基づいて入力端子6a,6bに入力される電圧Vの電圧値V1を算出して、算出した電流値Iaおよび電圧値V1に基づいて、抵抗11aの抵抗値Raを算出する。また、処理部33は、算出した抵抗値Raをメモリに記憶して、抵抗11aに対する測定処理を完了させる。処理部33は、電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定させてから時間D(ほぼ一定の時間)が経過するまでの期間において、この測定処理を実行する。
【0034】
次いで、処理部33は、2番目の測定対象である抵抗11bの抵抗値Rbを測定する。この際に、処理部33は、図2に示すように、電源部5に対する制御処理を実行して、電流Iの電流値Iaを第2電流値I2に規定(第1電流値I1から第2電流値I2に変更)させる(時刻t2)。次いで、処理部33は、電流値Iaを規定するのに要する時間Eを経過した時点で、信号切替器4に対する切替処理を実行して、各スイッチ素子22をオン状態に移行させると共に、他のスイッチ素子21,23をすべてオフ状態に移行させることで、抵抗11bに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続する。この場合も、抵抗11aに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続するときと同様にして、電流Iが十分に低い第2電流値I2に規定されていることから、オン・オフ制御された(ホットスイッチングされた)各スイッチ素子21,22,23が損傷するという事態には至らない。
【0035】
この切替処理に要する時間は上記したようにほぼ一定の時間Aであるが、オン・オフ制御された際に各スイッチ素子21,22,23に発生しているチャタリングが消滅するまでにさらに時間B2がかかる(チャタリングの発生時間は、時間Aに時間B2を加えた時間になる)。この場合、抵抗11aのときの時間B1よりも短い時間B2でチャタリングが消滅したものとする。
【0036】
処理部33は、切替処理を開始してから切替処理が完了するまでの間に、検出処理を開始して、算出される電流値Iaに基づいて、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23に発生しているチャタリングが消滅しているか否か(つまり、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否か)を検出する。この場合、図2に示すように、各スイッチ素子21,22,23に対する切替処理の実行中、および切替処理の完了から時間B2が経過するまでの期間(チャタリングの発生から消滅するまでの期間)では、電流値Iaが変動するが、この時間B2経過後は、電流値Iaは第2電流値I2で安定する。
【0037】
したがって、処理部33は、検出処理において、電流値Iaが第2電流値I2で安定したこと(第2電流値I2の状態が一定時間C以上連続していること)を検出したときには、各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行の完了、すなわち、2番目の測定対象としての抵抗11bが信号切替器4を介して電源部5および電圧測定部6に正常に接続されたと判別する。
【0038】
続いて、処理部33は、電源部5に対して、出力されている電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定(第2電流値I2から第1電流値I1に変更)させる制御処理を実行する。これにより、電流値Iaの規定(変更)に要する時間Eを経過した時点で、抵抗値Rを測定するときの第1電流値I1で電流Iが抵抗11bに供給されるため、処理部33は、測定処理を実行する。この測定処理では、処理部33は、抵抗11aのときと同様にして、抵抗11bの抵抗値Rbを算出する。また、処理部33は、算出した抵抗値Rbをメモリに記憶して、抵抗11bに対する測定処理を完了させる。処理部33は、電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定させてから時間Dが経過するまでの期間において、この測定処理を実行する。
【0039】
次いで、処理部33は、最後の測定対象である抵抗11cの抵抗値Rcを測定する。この際に、処理部33は、図2に示すように、電源部5に対する制御処理を実行して、電流Iの電流値Iaを第2電流値I2に規定(第1電流値I1から第2電流値I2に変更)させる(時刻t3)。次いで、処理部33は、電流Iの電流値Iaを変更するのに要する時間Eを経過した時点で、信号切替器4に対する切替処理を実行して、各スイッチ素子23をオン状態に移行させると共に、他のスイッチ素子21,22をすべてオフ状態に移行させることで、抵抗11cに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続する。この場合も、抵抗11aや抵抗11bに接触させられている2本の電流供給プローブ2および2本の電圧検出プローブ3を電源部5および電圧測定部6に接続するときと同様にして、電流Iが十分に低い第2電流値I2に規定されていることから、オン・オフ制御された(ホットスイッチングされた)各スイッチ素子21,22,23が損傷するという事態には至らない。
【0040】
この切替処理に要する時間は上記したようにほぼ一定の時間Aであるが、オン・オフ制御された際に各スイッチ素子21,22,23に発生しているチャタリングが消滅するまでにさらに時間B3がかかる(チャタリングの発生時間は、時間Aに時間B3を加えた時間になる)。この場合、抵抗11aのときの時間B1よりも長い時間B3でチャタリングが消滅したものとする。
【0041】
処理部33は、切替処理を開始してから切替処理が完了するまでの間に、検出処理を開始して、算出される電流値Iaに基づいて、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23に発生しているチャタリングが消滅しているか否か(つまり、信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否か)を検出する。この場合、図2に示すように、各スイッチ素子21,22,23に対する切替処理の実行中、および切替処理の完了から時間B3が経過するまでの期間(チャタリングの発生から消滅するまでの期間)では、電流値Iaが変動するが、この時間B3経過後は、電流値Iaは第2電流値I2で安定する。
【0042】
したがって、処理部33は、検出処理において、電流値Iaが第2電流値I2で安定したこと(第2電流値I2の状態が一定時間C以上連続していること)を検出したときには、各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行の完了、すなわち、最後の測定対象としての抵抗11cが信号切替器4を介して電源部5および電圧測定部6に正常に接続されたと判別する。
【0043】
続いて、処理部33は、電源部5に対して、出力されている電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定(第2電流値I2から第1電流値I1に変更)させる制御処理を実行する。これにより、電流値Iaの規定(変更)に要する時間Eを経過した時点で、抵抗値Rを測定するときの第1電流値I1で電流Iが抵抗11cに供給されるため、処理部33は、測定処理を実行する。この測定処理では、処理部33は、抵抗11a,11bのときと同様にして、抵抗11cの抵抗値Rcを算出する。また、処理部33は、算出した抵抗値Rcをメモリに記憶して、抵抗11cに対する測定処理を完了させる。処理部33は、電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定させてから時間Dが経過するまでの期間において、この測定処理を実行する。
【0044】
最後に、処理部33は、電源部5に対して、出力されている電流Iを停止させる制御処理を実行する。この制御処理によって電流Iの電流値Iaがゼロになったとき(時刻t4)に、各抵抗11a,11b,11cについての抵抗値Ra,Rb,Rcの測定(測定処理)が完了する。
【0045】
なお、従来の構成を採用した図3に示す例(比較例)では、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御を実行する都度、常に一定の待ち時間(チャタリングが消滅するまでに要する最長時間F(>B3>B1>B2))が経過するのを待って、電流Iを第1電流値I1で出力させている。具体的には、この従来の構成では、同図に示すように、時刻t1において切替処理を開始してから上記の待ち時間(最長時間F>(時間A+時間B1))が経過した時点で、電源部5に対する制御処理を実行して電流Iを第1電流値I1で出力させ、その後に、電流Iの電流値Iaを変更するのに要する時間E(この場合には、電流値Iaをゼロから第1電流値I1に変更するのに要する時間)を経過した時点から始まる時間Dの期間(電流値Iaが第1電流値I1の期間)内に抵抗11aに対する測定処理を実行し、この時間Dの経過後に、電源部5に対する制御処理を実行して電流Iを第1電流値I1からゼロに変更する(電流は時間Eでゼロに変更される)という処理を、それ以後の時刻t2,t3において繰り返すことで、抵抗11b,11cに対する測定処理を実行する。
【0046】
この場合、切替処理に要する時間A、チャタリングの発生から消滅までの時間B1,B2,B3、測定処理のための時間D、および電流Iの電流値Iaを変更するために要する時間Eは、図2,3において同じ長さであるが、検出処理において電流値Iaが第2電流値I2で安定したと判別するための一定時間Cよりもチャタリングの最長時間Fの方が一般的に十分に長い(チャタリングの10周期程度)。
【0047】
したがって、この従来の構成と比較して、図2に示す切替制御回路1の構成では、各抵抗11a,11b,11cの抵抗値Ra,Rb,Rcを測定するのに要する時間(時刻t1から時刻t4までの時間)を十分に短くすることが可能になっている。
【0048】
処理部33は、この測定処理の完了後に出力処理を実行することにより、測定した抵抗11a,11b,11cの各抵抗値Ra,Rb,Rcをメモリから読み出すと共に出力部8に出力して、出力部8の画面上に各抵抗値R(Ra,Rb,Rc)を表示させる。これにより、すべての抵抗11a,11b,11cについての抵抗測定が完了する。
【0049】
このように、この切替制御回路7およびこの切替制御回路7を備えた測定装置1では、処理部33が、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21〜23に対してオン・オフ制御を実行する際に、電源部5に対して電流Iの電流値Iaを十分に低い第2電流値I2に規定させた後に各スイッチ素子21〜23に対するオン・オフ制御を実行すると共に、この状態において検出部32によって検出される電流Iの電流値Iaに基づいて信号切替器4の各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否か(具体的には、チャタリングが消滅しているか否か)を検出して、各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了していることを検出した時点で、電源部5に対して電流Iの電流値Iaを測定用の第1電流値I1に規定させる制御処理を実行する。
【0050】
したがって、この切替制御回路7およびこの切替制御回路7を備えた測定装置1によれば、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御を実行する都度、常に一定の待ち時間(チャタリングが消滅するまでに要する最長時間F)が経過するのを待って電流Iを第1電流値I1で出力させる従来の構成と比較して、ホットスイッチングによる各スイッチ素子21,22,23の損傷を回避しつつ、切替制御回路7を構成する各スイッチ素子21,22,23に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮することができる。また、これにより、この測定装置1によれば、各スイッチ素子21,22,23の損傷を回避しつつ、各スイッチ素子21,22,23の抵抗値Ra,Rb,Rcを測定するまでに要する時間を短縮することができる。
【0051】
なお、上記の切替制御回路7では、処理部33は、各スイッチ素子21,22,23に対してオン・オフ制御を実行する際に、まず、電源部5に対する制御を実行して電流Iの電流値Iaを第2電流値I2に規定させ、この後に、各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御(切替処理)を実行すると共に、各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否かを検出(判別)する検出処理を実行する構成を採用しているが、図示はしないが、処理部33が、電源部5に対する制御を実行して電流Iを停止させている状態において電各スイッチ素子21,22,23に対してオン・オフ制御を実行した際(実行した後)に、電源部5に対する制御を実行して電流Iを第2電流値I2で出力させると共に、各スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了しているか否かを検出(判別)する検出処理を実行して、スイッチ素子21,22,23のオン状態またはオフ状態への移行が完了していると判別したときに電源部5に対して電流Iの電流値Iaを第1電流値I1に規定させる構成を採用することもできる。
【0052】
この構成においても、信号切替器4を構成する各スイッチ素子21,22,23に対するオン・オフ制御を実行する都度、常に一定の待ち時間(チャタリングが消滅するまでに要する最長時間F)が経過するのを待って、電流Iを第1電流値I1で出力させる従来の構成と比較して、ホットスイッチングによる各スイッチ素子21,22,23の損傷を回避しつつ、切替制御回路7を構成する各スイッチ素子21,22,23に対する制御を複数回実行する際の時間を短縮することができる。また、これにより、この測定装置1によれば、各スイッチ素子21,22,23の損傷を回避しつつ、各スイッチ素子21,22,23の抵抗値Ra,Rb,Rcを測定するまでに要する時間を短縮することができる。
【0053】
また、上記の例では、4端子法によって抵抗11の抵抗値Rを測定する構成を採用しているが、信号切替器の切替制御回路7は、2端子法によって抵抗11の抵抗値Rを測定する構成を採用した信号切替器にも適用することができるのは勿論である。また、上記の信号切替器の切替制御回路7は、測定対象の物理量として抵抗値を測定する測定装置だけでなく、他の物理量(インダクタンスやキャパシタンスなど)を測定する測定装置の信号切替器に対する制御にも適用できるのは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 測定装置
4 信号切替器
5 電源部
7 切替制御回路
11a,11b,11c 抵抗
21,22,23 スイッチ素子
32 検出部
33 処理部
I 電流
I1 第1電流値
I2 第2電流値
Ia 電流値
図1
図2
図3