【実施例】
【0024】
以下に本発明を具体的試験例、及び実施例により説明をするが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、種々の変形例が可能であって、それらの変形例も本願発明の技術的範囲に包含されるものである。
【0025】
試験例1:
ピタバスタチンカルシウム塩は、本出願人が提案している特開2013−103884号公報(ピタバスタチンカルシウム塩の工業的製造方法)の実施例に記載の方法で製造したピタバスタチンカルシウム塩の結晶を使用した。
ピタバスタチンカルシウム塩1gをポリエチレン袋に入れ、結束バンド(インシュロックタイ)で封をした。
このピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、アルミ蒸着したポリエチレン袋体に入れ、ヒートシーラーで密封し、40℃/湿度75%条件下で、8週間保存した。
保存開始直後、保存開始2、4及び8週間後におけるピタバスタチンカルシウム塩の水分含量の変動、並びに、5−ケト体の分解生成量、類縁物資の生成合計量を、HPLCにて測定した。
【0026】
なお、HPLC分析条件は、以下の通りである。
測定波長:紫外吸光光度計(測定波長:245nm)
濃度:本品10mgを移動相10mLに溶解し、試料溶液とした。
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用のオクタデシル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水400mLに塩化ナトリウム約0.29gを加え溶解させ、メタノール600mLを加え、さらに酢酸2mLを加えた液。
流量:0.87mL/min
注入量:10μL
面積測定範囲:80分間
この条件下において、ピタバスタチンカルシウム塩及び5−ケト体の保持時間は、以下の通りであった。
ピタバスタチンカルシウム塩:保持時間 約19.5分
5−ケト体:保持時間 約40分
【0027】
その結果を下記表1に纏めて示した。なお、検討はピタバスタチンカルシウム塩の製造ロットの異なるもの2ロット(製造ロット1及び2)について行い、それぞれの結果を示している。
また、併せて
図1に、製造ロット2についての8週間後のHPLC分析チャート図を示した。
【0028】
【表1】
【0029】
保存開始時には、ほとんど微量(0.02〜0.04%)検出するのみであった5−ケト体は、ロットによる差異はあるものの大幅に規格(0.10%以下)を超えることとなった。
したがって、単純に空気のみを遮断するような保存方法では、ピタバスタチンカルシウム塩の安定性は保つことはできないものであることが判明する。
また、
図1に示した結果からも、5−ケト体(保持時間:約40分)のピークが認められている。
【0030】
試験例2:
ピタバスタチンカルシウム塩は、本出願人が提案している特開2013−103884号公報(ピタバスタチンカルシウム塩の工業的製造方法)の実施例に記載の方法で製造したピタバスタチンカルシウム塩の結晶を使用した。
ピタバスタチンカルシウム塩1gをポリエチレン袋に入れ、結束バンド(インシュロックタイ)で封をした。
このピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、アルミ蒸着したポリエチレン袋体に入れ、脱酸素剤を共存させ、ヒートシーラーで密封した。
また、同様にピタバスタチンカルシウム塩を封入したポリエチレン袋を、脱酸素剤を共存させ、ガラス瓶にて密封した。
なお、両者において、脱酸素剤を共存させないものを、比較例とした。
脱酸素剤は、以下のものである。
脱酸素剤P:ファーマキープ(三菱ガス化学社製:登録商標)
脱酸素剤E:エージレス(三菱ガス化学社製:登録商標)
【0031】
それぞれの包装体を、40℃/湿度75%条件下、或いは50℃/温度調整なしの条件下で8週間保存した。
保存開始直後、保存開始2、4及び8週間後におけるピタバスタチンカルシウム塩からの5−ケト体の分解生成量を、試験例1と同様の条件によるHPLCにて測定した。
それらの結果を、下記表2〜5に示した。
また、
図2に製造ロット2のピタバスタチンカルシウム塩の開始時のHPLC分析チャート図を、
図3に、脱酸素剤P(ファーマキープ:登録商標)共存下での保存8週間後のHPLC分析チャート図を示した
【0032】
表2:製剤バルク+脱酸素剤+ガラス瓶(40℃/湿度75%)
【0033】
【表2】
【0034】
表3:製剤バルク+脱酸素剤+ガラス瓶(40℃/湿度75%)
【0035】
【表3】
【0036】
表4:製剤バルク+ポリエチレン袋+脱酸素剤+アルミ蒸着袋(40℃/湿度調整無し)
【0037】
【表4】
【0038】
表5:製剤バルク+ポリエチレン袋+脱酸素剤+アルミ蒸着袋(40℃/湿度75%)
【0039】
【表5】
【0040】
上記した表2〜5示した結果から判明するように、脱酸素剤を用いた場合には、初期の2週間で5−ケト体は増加している。これは、脱酸素剤が、袋内の酸素を吸収するまでに時間を要するため、存在する酸素により5−ケト体が分解生起したものと思われる。
しかしながら、その後は、開始時に5−ケト体が微量存在するものも、0.1%程度存在するものも、両者ともに4週間以降では増加を認めていない。
したがって、脱酸素剤を共存させることにより、効果的に5−ケト体の分解生起が抑制されていることが理解される。
また、
図2及び3の結果の対比からも、脱酸素剤を共存させることにより、5−ケト体の分解生成が良く抑制されているものであることが判明する。
【0041】
実施例1:
ピタバスタチンカルシウム塩は、本出願人が提案している特開2013−103884号公報(ピタバスタチンカルシウム塩の工業的製造方法)の実施例に記載の方法で製造したピタバスタチンカルシウム塩の結晶を使用した。
このピタバスタチンカルシウム塩の結晶500gをポリエチレン袋に二重に入れ、各々のポリエチレン袋を結束バンド(インシュロックタイ:登録商標)で縛る。これをアルミ蒸着ポリエチレン袋に入れる。ポリエチレン袋とアルミ蒸着ポリエチレン袋の間にファーマキープKH−500(三菱ガス化学社製)を一ついれ、ヒートシーラーでシールした。