特許第6150720号(P6150720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150720インク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150720
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】インク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   B41J2/175 117
   B41J2/175 131
   B41J2/175 151
   B41J2/175 171
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-258527(P2013-258527)
(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2015-112843(P2015-112843A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 隆顕
(72)【発明者】
【氏名】中村 透
【審査官】 高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−34352(JP,A)
【文献】 特開2010−12677(JP,A)
【文献】 特表2001−510752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するインク容器と、
前記インク容器に装着され、当該インク容器に貯留されたインクが流出可能な開口、当該開口を開閉可能である弁体、及び、前記弁体を前記インク容器の内側から閉位置側に付勢する弾性体を有するキャップと、
前記キャップが装着された前記インク容器を、当該キャップ側で保持するインクタンクと、
前記インクタンクに回動軸線を回動中心として回動自在に設けられた回動レバーと、
前記インク容器が前記インクタンクに保持された状態で、当該インクタンクに対する前記インク容器、及び、前記キャップの相対回転を規制する回転止め機構と、
前記回動レバーの回動運動を、前記インク容器、及び、前記キャップの前記回動軸線に沿った方向の直線運動に変換する変換機構と、
前記インクタンクの内部に設けられ、前記インク容器、及び、前記キャップの直線運動に伴って当該キャップが前記インクタンク側に接近した際に前記弁体を開位置側に押圧する開弁突起部とを備えることを特徴とする、
インク供給ユニット。
【請求項2】
前記回動レバーは、円筒状に形成され前記インクタンクに回動自在に支持されると共に円筒状に形成された前記キャップが挿入される円筒状部と、前記円筒状部から径方向に突出するレバー部とを有し、
前記変換機構は、前記キャップから径方向に突出した案内突起部と、前記円筒状部の壁面に、前記回動軸線に沿った方向に対して傾斜して形成され前記案内突起部が挿入される案内凹部とを有し、前記回動レバーと前記キャップとの相対回転に伴って、前記案内凹部が前記案内突起部を前記回動軸線に沿った方向に案内する、
請求項1に記載のインク供給ユニット。
【請求項3】
前記回転止め機構は、円筒状に形成された前記キャップ、又は、前記インク容器から径方向に突出した回転止め突起部と、前記インクタンクに形成され、前記回転止め突起部が係合する回転止め係合部とを有する、
請求項1又は請求項2に記載のインク供給ユニット。
【請求項4】
前記インク容器が前記インクタンクに保持された状態で、前記インクタンクの内部と大気とを連通する大気開放管と、
前記回動レバーに設けられ、当該回動レバーの回動に伴って前記大気開放管を押圧して閉塞させる閉塞位置と、前記大気開放管を解放させる解放位置とに移動可能な大気開放突起部とを備え、
前記大気開放突起部は、前記弁体が開位置にある状態で前記解放位置に位置し、前記弁体が閉位置にある状態で前記閉塞位置に位置する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインク供給ユニット。
【請求項5】
インクを貯留するインク容器と、当該インク容器のインク供給口と接続手段を介して接続されて前記インク容器から前記インクが供給されるインクジェットヘッドと、を有するインクジェット印刷装置において、
前記接続手段は、前記インクジェットヘッドが一端側に配設されたインク供給系の他端側に配設され、前記インク供給口に形成された凹部、又は、凸部の一方と係合する当該凹部、又は、当該凸部の他方を有するとともに自らが回転する回転部材と、前記インク容器の回転を阻止する阻止部とを有し、
前記インク容器は、前記阻止部によって回転が阻止されるとともに、前記回転部材の回転に伴い、前記凹部と前記凸部とが相対移動することによって直動し、当該直動に伴って、閉鎖された前記インク供給口が開口して、前記インクを供給することを特徴とする、
インクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置として、例えば、特許文献1には、各色用インクタンクを当該各色用ノズルユニットと離れた位置に配設するとともに当該各色用ノズルユニット内のインクバッファと当該各色用インクタンクとをインク供給チューブおよびインク補給チューブで接続し、各インク供給チューブに付勢手段を設けるとともに各インク補給チューブにチューブ開閉手段を設けたインクジェットプリンタのインク供給装置が開示されている。このインク供給装置は、各付勢手段の起動・停止および当該各チューブ開閉手段の開放動作・閉鎖動作の選択により、各色用ノズルユニット内へのインク初期供給、空気抜き、プライムおよび印字運転中のインク補給を切換可能に構成されている。このインク供給装置では、各色用インクタンクは、上部が液面一定化手段を介してインクカセットを着脱可能に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−157154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のインク供給装置は、例えば、インクタンクへのインクの補充作業の作業性向上の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、インクを補充する際の作業性を向上することができるインク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るインク供給ユニットは、インクを貯留するインク容器と、前記インク容器に装着され、当該インク容器に貯留されたインクが流出可能な開口、当該開口を開閉可能である弁体、及び、前記弁体を前記インク容器の内側から閉位置側に付勢する弾性体を有するキャップと、前記キャップが装着された前記インク容器を、当該キャップ側で保持するインクタンクと、前記インクタンクに回動軸線を回動中心として回動自在に設けられた回動レバーと、前記インク容器が前記インクタンクに保持された状態で、当該インクタンクに対する前記インク容器、及び、前記キャップの相対回転を規制する回転止め機構と、前記回動レバーの回動運動を、前記インク容器、及び、前記キャップの前記回動軸線に沿った方向の直線運動に変換する変換機構と、前記インクタンクの内部に設けられ、前記インク容器、及び、前記キャップの直線運動に伴って当該キャップが前記インクタンク側に接近した際に前記弁体を開位置側に押圧する開弁突起部とを備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、上記インク供給ユニットは、回転止め機構によってインク容器、及び、キャップの回転が規制された状態で、回動レバーを回動させ、当該回動運動を変換機構によってインク容器、及び、キャップの直線運動に変換しインクタンク側に接近させることで、開弁突起部によって、キャップに設けられた弁体を開弁させ、インク容器のインクをインクタンクへ補充することができる。また、インク供給ユニットは、回動レバーを上記とは逆に回動させ、インク容器、及び、キャップをインクタンク側から離間させることで、キャップに設けられた弁体を閉弁させ、インクタンクへのインクの補充を終了することができる。この結果、インク供給ユニットは、インクタンクへインクを補充する際の作業性を向上することができる。
【0008】
また、上記インク供給ユニットでは、前記回動レバーは、円筒状に形成され前記インクタンクに回動自在に支持されると共に円筒状に形成された前記キャップが挿入される円筒状部と、前記円筒状部から径方向に突出するレバー部とを有し、前記変換機構は、前記キャップから径方向に突出した案内突起部と、前記円筒状部の壁面に、前記回動軸線に沿った方向に対して傾斜して形成され前記案内突起部が挿入される案内凹部とを有し、前記回動レバーと前記キャップとの相対回転に伴って、前記案内凹部が前記案内突起部を前記回動軸線に沿った方向に案内するものとすることができる。
【0009】
これにより、上記インク供給ユニットは、案内突起部が案内凹部内に挿入された状態で、回動レバーとキャップとの相対回転に伴って、当該案内凹部によって案内突起部が回動軸線に沿った方向に案内されることで、当該変換機構によって、回動レバーの回動運動を、インク容器、及び、キャップの回動軸線に沿った方向の直線運動に変換することができる。
【0010】
また、上記インク供給ユニットでは、前記回転止め機構は、円筒状に形成された前記キャップ、又は、前記インク容器から径方向に突出した回転止め突起部と、前記インクタンクに形成され、前記回転止め突起部が係合する回転止め係合部とを有するものとすることができる。
【0011】
これにより、上記インク供給ユニットは、インク容器がインクタンクに保持された状態で、回転止め突起部が回転止め係合部と係合することで、当該回転止め機構によって、インクタンクに対するインク容器、及び、キャップの回動軸線周りの相対回転を規制することができる。
【0012】
また、上記インク供給ユニットでは、前記インク容器が前記インクタンクに保持された状態で、前記インクタンクの内部と大気とを連通する大気開放管と、前記回動レバーに設けられ、当該回動レバーの回動に伴って前記大気開放管を押圧して閉塞させる閉塞位置と、前記大気開放管を解放させる解放位置とに移動可能な大気開放突起部とを備え、前記大気開放突起部は、前記弁体が開位置にある状態で前記解放位置に位置し、前記弁体が閉位置にある状態で前記閉塞位置に位置するものとすることができる。
【0013】
これにより、上記インク供給ユニットは、回動レバーの回動動作に連動して、大気開放突起部によって大気開放管を閉塞、あるいは、解放することができる。この結果、インク供給ユニットは、インクの補充の際にはインクタンクを大気開放して適正にインクを補充することができると共に、インク容器を取り外す際には大気開放管内のインクがインクタンク内に流れ込むことを抑制することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェット印刷装置は、インクを貯留するインク容器と、当該インク容器のインク供給口と接続手段を介して接続されて前記インク容器から前記インクが供給されるインクジェットヘッドと、を有するインクジェット印刷装置において、前記接続手段は、前記インクジェットヘッドが一端側に配設されたインク供給系の他端側に配設され、前記インク供給口に形成された凹部、又は、凸部の一方と係合する当該凹部、又は、当該凸部の他方を有するとともに自らが回転する回転部材と、前記インク容器の回転を阻止する阻止部とを有し、前記インク容器は、前記阻止部によって回転が阻止されるとともに、前記回転部材の回転に伴い、前記凹部と前記凸部とが相対移動することによって直動し、当該直動に伴って、閉鎖された前記インク供給口が開口して、前記インクを供給することを特徴とする。
【0015】
これにより、上記インクジェット印刷装置は、阻止部によってインク容器の回転が阻止されるとともに、回転部材の回転に伴い、凹部と凸部とが相対移動することによってインク容器が直動し、当該インク容器の直動に伴って、インク供給口が開口して、インク容器のインクをインクジェットヘッドに補充、供給することができるので、インクを補充する際の作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るインク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置は、インクタンクへインクを補充する際の作業性を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係るインク供給ユニットが適用されるインクジェットプリンタの一例を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るインク供給ユニットが適用されるインクジェットプリンタの一例を表す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るインク供給ユニットが適用されるインクジェットプリンタの一例を表す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るインク供給ユニットに適用されるインク容器の一例を表す模式的な斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るインク供給ユニットに適用されるインク容器の一例を表す模式的な斜視図である。
図6図6は、実施形態に係るインク供給ユニットに適用されるインク容器の一例を表す模式的な斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るインク供給ユニットの概略構成を表す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係るインク供給ユニットの部分斜視図である。
図9図9は、実施形態に係るインク供給ユニットの一部を断面にした部分斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るインク供給ユニットの部分断面図である。
図11図11は、実施形態に係るインク供給ユニットのインク容器を取り除いた状態の部分斜視図である。
図12図12は、実施形態に係るインク供給ユニットの回動レバー、及び、キャップの斜視図である。
図13図13は、実施形態に係るインク供給ユニットのインク容器を取り除いた状態で鉛直方向上側から視た平面図である。
図14図14は、実施形態に係るインク供給ユニットのインク容器を取り除いた状態で鉛直方向上側から視た平面図である。
図15図15は、実施形態に係るインク供給ユニットの動作を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
[実施形態]
図1図2図3は、実施形態に係るインク供給ユニットが適用されるインクジェットプリンタの一例を表す斜視図である。図4図5図6は、実施形態に係るインク供給ユニットに適用されるインク容器の一例を表す模式的な斜視図である。図7は、実施形態に係るインク供給ユニットの概略構成を表す斜視図である。図8は、実施形態に係るインク供給ユニットの部分斜視図である。当該図8では、筐体の一部の図示を省略している。図9は、実施形態に係るインク供給ユニットの一部を断面にした部分斜視図である。図10は、実施形態に係るインク供給ユニットの部分断面図である。図11は、実施形態に係るインク供給ユニットのインク容器を取り除いた状態の部分斜視図である。図12は、実施形態に係るインク供給ユニットの回動レバー、及び、キャップの斜視図である。図13図14は、実施形態に係るインク供給ユニットのインク容器を取り除いた状態で鉛直方向上側から視た平面図である。図15は、実施形態に係るインク供給ユニットの動作を説明する模式図である。
【0020】
本実施形態に係るインク供給ユニット1は、図1図2図3に例示するように、縦型やフラットベッド型等、種々の形式のインクジェット印刷装置としてのインクジェットプリンタ100A、100B、100Cに適用され、当該インクジェットプリンタ100A、100B、100Cにインクを供給するシステムである。インク供給ユニット1は、インク容器2からインクタンク4(図8等参照)にインクが補充され、当該インクタンク4に補充されたインクを、インクチューブT(図7等参照)等を介してインクジェットプリンタ100A、100B、100Cのインクジェットヘッド(プリンタヘッド)側に供給する。つまり、インクジェットプリンタ100A、100B、100Cは、インク供給ユニット1を備えものであり、インクを貯留するインク容器2と、当該インク容器2のインク供給口と接続手段を介して接続されてインク容器2からインクが供給されるインクジェットヘッド(不図示)と、を有する。このインク供給ユニット1に適用されるインク容器2は、図4に例示する密閉型インクボトル方式、図5に例示するアルミパック方式、図6に例示する大気開放型(継ぎ足し型)インクボトル方式等、種々の方式のものを用いることができる。これらのインク容器2は、後述するキャップ3が装着され、当該キャップ3を介してインクタンク4に装填される。また、インク供給ユニット1に適用されるインク容器2は、既存のインクボトル、アルミパック等であってもよく、当該既存のものに後述のキャップ3を装着すればよい。インク容器2とキャップ3との装着の形式は、適用されるインク容器2の方式に応じて適宜変更されればよい。
【0021】
具体的には、本実施形態に係るインク供給ユニット1は、図7図12に示すように、インク容器2と、キャップ3と、インクタンク4と、回動レバー5と、回転止め機構6と、変換機構7と、開弁突起部8とを備える。
【0022】
本実施形態のインク供給ユニット1は、インク容器2、キャップ3、インクタンク4、回動レバー5、回転止め機構6、変換機構7、及び、開弁突起部8を1組として、これらの組が印刷可能な色数等に応じて複数設けられる。ここでは、インク供給ユニット1は、図7に示すように、8つの組を有しており、つまり、インクの供給系として8系統を備えている。インク供給ユニット1は、鉛直方向上側の面が開口した箱状の収容ケースとしての筐体9を備える。そして、インク供給ユニット1は、図7図8に示すように、当該筐体9に8つのインクタンク4が収容されると共に、鉛直方向上側の開口側に各インクタンク4に対応して8つのインク容器2が装填される。上述のインクチューブTは、当該筐体9の側面から延設される。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、8つの組の1つについて説明する。また、このインク供給ユニット1では、鉛直方向がインクタンク4に対するインク容器2、及び、キャップ3の挿入方向に相当する。
【0023】
ここで、開口33を有するキャップ3は、インク容器2のインク供給口を構成する。回動レバー5と回転止め機構6とは、上述の接続手段を構成する。接続手段は、インク供給口とインクジェットヘッドとの間に介在するものであり、インクジェットヘッドが一端側に配設されたインク供給系の他端側に配設され、インク供給口に形成された凹部、又は、凸部の一方と係合する当該凹部、又は、当該凸部の他方を有するとともに自らが回転する回転部材としての回動レバー5と、インク容器の回転を阻止する阻止部としての回転止め機構6とを有する。ここで、インク供給系とは、上述のインクチューブTを含むインクの供給経路である。そして、インク容器2は、回転止め機構6によって回転が阻止されるとともに、回動レバー5の回転に伴い、凹部と凸部とが相対移動することによって直動し、当該直動に伴って、閉鎖されたインク供給口(キャップ3)が開口して、インクを供給する。
【0024】
具体的には、インク容器2は、インクを貯留する容器であり、上述したように、密閉型インクボトル方式、アルミパック方式、大気開放型インクボトル方式、いずれの方式のものでもよい。以下の説明では、特に断りのない限り、インク容器2は、密閉型インクボトル方式のものを例に説明する。ここでは、インク容器2は、略円筒状に形成され、一方の端部が閉塞すると共に、他方の端部にインクが流出するインク流出開口2a(図9図10等参照)が形成されている。
【0025】
キャップ3は、インク容器2に装着される。キャップ3は、インク容器2のインク流出開口2aに設けられる蓋状の部材である。ここでは、キャップ3は、円筒状に形成されたスクリューキャップである。
【0026】
より詳細には、キャップ3は、図9図10に示すように、円筒状に形成される内筒部材31、及び、外筒部材32と、開口33と、弁体34と、弾性体35とを有する。
【0027】
内筒部材31は、円筒部31a、螺合溝31b、円環板状部31c、弁体孔31d、円筒状バネ保持部31e等を有し、これらが一体で形成される。円筒部31aは、円筒状に形成される。円筒部31aは、複数の円環板状の段付部31f、31gを有している。螺合溝31bは、円筒部31aの一方の端部の内周面側に螺旋溝状に形成される。円環板状部31cは、円筒部31aの他方の端部の内周面側に円環板状に形成される。円筒部31aは、当該螺合溝31b側から当該円環板状部31c側に向かって段付部31f、段付部31gを順に介して徐々に縮径するように形成される。弁体孔31dは、円環板状部31cに円形状の孔部として形成される。円筒状バネ保持部31eは、円筒状に形成され、円筒部31aの内周面側に設けられる。円筒状バネ保持部31eは、一端部が円環板状部31cに接続され、当該円環板状部31cから螺合溝31b側に向けて延在する。円筒状バネ保持部31eは、円環板状部31c側の端部が弁体孔31dと連通し、他方の端部、すなわち、螺合溝31b側の端部が閉塞している。円筒部31a、円環板状部31c、弁体孔31d、円筒状バネ保持部31eは、ほぼ同軸となるように形成される。
【0028】
外筒部材32は、内筒部材31の円筒部31aの外周面側に装着されるものである。外筒部材32は、円筒部32a、円環板状部32b、円環板状部32cを有し、これらが一体で形成される。円筒部32aは、円筒状に形成される。円環板状部32bは、円筒部32aの一方の端部、ここでは、内筒部材31に装着された状態で螺合溝31b側の端部の外周面側に円環板状に形成される。円環板状部32cは、円筒部32aの他方の端部、ここでは、内筒部材31に装着された状態で円環板状部31c側の端部の内周面側に円環板状に形成される。
【0029】
開口33は、インク容器2に貯留されたインクが流出可能なものである。開口33は、円環板状部31cに円形状の孔部として形成される。開口33は、直径が弁体孔31dの直径より小さく形成される。当該開口33、及び、外筒部材32の円筒部32a、円環板状部32b、円環板状部32cは、ほぼ同軸となるように形成される。
【0030】
弁体34は、開口33を開閉可能なものであり、ここでは、球体(ボール)が用いられている。弁体34は、外径が弁体孔31dの直径よりも小さく、かつ、開口33の直径よりも大きく形成される。
【0031】
弾性体35は、弁体34をインク容器2の内側から閉位置側に付勢するものであり、ここでは、圧縮コイルバネが用いられている。
【0032】
そして、このキャップ3は、弾性体35が内筒部材31の円筒状バネ保持部31eに保持されると共に、当該弾性体35の弁体孔31d側に弁体34が位置するような位置関係で、外筒部材32が円環板状部31c側から内筒部材31に装着される。キャップ3は、外筒部材32が内筒部材31に装着された状態で、段付部31gと円環板状部32bとが対向して接触する一方、円環板状部31cと円環板状部32cとが所定の間隔をあけて対向する。また、キャップ3は、外筒部材32が内筒部材31に装着された状態で、円筒部31aの円環板状部31c側の外周面と円筒部32aの内周面とが対向し接触する。キャップ3は、外筒部材32が内筒部材31に装着され、弾性体35、及び、弁体34を保持した状態で、ビス等によって外筒部材32が内筒部材31に固定され一体化される。キャップ3は、内筒部材31と外筒部材32とが一体化された状態で、螺合溝31bがインク容器2側の螺合溝2bに螺合することでインク容器2に装着される。ここで、インク容器2側の螺合溝2bは、インク容器2においてインク流出開口2aが形成された突状部分の外周面側に形成される。キャップ3は、上記のように、内筒部材31と外筒部材32とが一体化された状態で、弾性体35の付勢力によって弁体34が開口33側に、すなわち、インク容器2の内側から閉位置側に押圧される。
【0033】
なお、キャップ3は、インク容器2に装着された状態で、インク容器2のインク流出開口2aが形成された端部と、段付部31fとの間に円環状のシール部材36が設けられる。シール部材36は、キャップ3がインク容器2に装着された状態で、インク流出開口2aが形成された端部と段付部31fとの間を密閉しインクの漏洩を抑制するための部材である。また、キャップ3は、円環板状部31cと円環板状部32cとの間で、かつ、開口33の外周に沿った位置に円環状のOリング37が設けられる。Oリング37は、弁体34の閉弁時に当該弁体34と開口33との間を密閉しインクの漏洩を抑制するための部材である。また、キャップ3は、段付部31gの外周面に円環状のOリング38が装着される。Oリング38は、後述するように、インク容器2が当該キャップ3と共にインクタンク4に保持され、固定された状態で、キャップ3と後述のインク貯留空間部壁面41aとの間を密閉しインクの漏洩を抑制するための部材である。
【0034】
インクタンク4は、図8図9図10に示すように、キャップ3が装着されたインク容器2を、当該キャップ3側で保持するものである。インクタンク4は、上述したように筐体9に収容される。インクタンク4は、インク容器2から補充されるインクを貯留するためのインク貯留空間部41を備える。上述のインク貯留空間部壁面41aは、当該インク貯留空間部41を区画する壁面であり、円筒状の壁面として形成される。つまり、このインク貯留空間部41は、円柱シリンダ状に形成される。インク容器2は、後述の回動レバー5を介してキャップ3側がインク貯留空間部41内に保持される。
【0035】
なお、このインク供給ユニット1は、このインクタンク4の内部と大気とを連通する大気開放管10(図7図9図10図11等参照)も備えている。この大気開放管10は、例えば、ゴムチューブ等によって構成され、インク容器2がインクタンク4に保持された状態で、このインクタンク4の内部、すなわち、インク貯留空間部41と大気とを連通し、インク貯留空間部41内を大気開放することができる。また、このインク供給ユニット1は、インクタンク4からインク容器2が取り外された際にインク貯留空間部41を覆いインクの飛び出しを抑制するための開閉式の蓋部材11(図7図8等参照)も備えている。
【0036】
回動レバー5は、図9図10図11図12に示すように、インクタンク4に回動軸線Xを回動中心として回動自在に設けられるものである。回動レバー5は、円筒状部51、レバー部52等を有し、これらが一体で形成される。円筒状部51は、円筒状に形成される。円筒状部51は、インクタンク4に回動自在に支持されると共に内周面側にインク容器2と共にキャップ3が挿入される。円筒状部51は、インク貯留空間部壁面41aに形成された円環状の環状案内溝部42に支持される。環状案内溝部42は、インク貯留空間部壁面41aに凹部状に形成される。環状案内溝部42は、鉛直方向に沿って視た状態で円環状に形成される。レバー部52は、円筒状部51から径方向に突出する棒状の部分である。レバー部52は、インクタンク4に形成された切り欠き部43(図13等も参照)、筐体9に形成された切り欠き部9a等を介して、筐体9の外部に露出している。また、円筒状部51は、径方向(回動軸線Xと交差する方向)に対してレバー部52と対向する位置に円弧状の切り欠き部53が形成される。回動レバー5は、回動軸線Xが鉛直方向に沿うような位置関係で、円筒状部51が環状案内溝部42に支持され、この状態でレバー部52が手動にて操作されることで回動軸線X周りに回動可能である。回動レバー5は、円筒状部51の鉛直方向上端部側がビス54(図11等参照)等によって、インクタンク4の環状案内溝部42内で回動可能な状態で当該環状案内溝部42から脱落しないように位置決めされている。なお、上記切り欠き部43、切り欠き部9aは、回動レバー5が回動した際に、当該レバー部52の移動を規制しない程度の寸法、位置に形成される。
【0037】
回転止め機構6は、図9図10図11図12図13に示すように、インク容器2がインクタンク4に保持された状態で、当該インクタンク4に対するインク容器2、及び、キャップ3の相対回転を規制するものである。回転止め機構6は、回転止め突起部61と、回転止め係合部62とを有する。回転止め突起部61は、キャップ3、又は、インク容器2から径方向に突出して板状に形成される。ここでは、回転止め突起部61は、キャップ3の円筒部31aの螺合溝31b側の端部に形成されるものとして説明するが、インク容器2側に設けられていてもよい。回転止め係合部62は、インクタンク4に形成され、回転止め突起部61が係合するものである。回転止め係合部62は、インクタンク4の鉛直方向上端部側で、かつ、環状案内溝部42の径方向外側に形成される壁面44に設けられる。壁面44は、円筒状の壁面として形成される。回転止め係合部62は、壁面44に形成される溝部であり、ここでは周方向に沿って対向する2つのリブによって形成される。ここでは、回転止め係合部62は、インクタンク4が筐体9に設けられた状態で、キャップ3の挿入方向、すなわちここでは、鉛直方向に沿って環状案内溝部42まで形成される。回転止め突起部61は、インク容器2と共にキャップ3が回動レバー5の円筒状部51に挿入された状態で、回動レバー5の切り欠き部53を介して回転止め係合部62まで到達するような寸法に形成される。回転止め機構6は、インク容器2と共にキャップ3を回動レバー5の円筒状部51内に装着する際に、回転止め突起部61が鉛直方向上側から回転止め係合部62内に挿入される。これにより、回転止め機構6は、インク容器2がインクタンク4に保持された状態で、回転止め突起部61が回転止め係合部62と係合することで、当該インクタンク4に対するインク容器2、及び、キャップ3の回動軸線X周りの相対回転を規制することができる。
【0038】
変換機構7は、図11図12図13図14に示すように、回動レバー5の回動運動を、インク容器2、及び、キャップ3の回動軸線Xに沿った方向の直線運動に変換するものである。変換機構7は、凸部としての案内突起部71と、凹部としての案内凹部72とを有する。案内突起部71は、キャップ3から径方向に突出して形成される円柱状の突状部である。案内突起部71は、キャップ3の円筒部31aの外周面に一対で設けられる。一対の案内突起部71は、円筒部31aの外周面に沿ってほぼ対称な位置に設けられる。ここでは、上述の回転止め突起部61は、円筒部31aの外周面に沿って当該一対の案内突起部71の中間位置に設けられる。案内凹部72は、回動レバー5の円筒状部51に形成される。ここでは、案内凹部72は、当該円筒状部51の壁面を貫通するようにして形成された孔部であるが、当該円筒状部51の壁面を貫通しない構成であってもよい。案内凹部72は、回動軸線Xに沿った方向に対して傾斜して形成される。案内凹部72は、一対の案内突起部71に対応して一対で設けられ、対応する案内突起部71が挿入される。より詳細には、案内凹部72は、回動レバー5がインクタンク4に設置された状態で、図12等に示すように、鉛直方向上側から、回動軸線Xを中心として反時計回りに、徐々に鉛直方向下側に向かうように傾斜して形成される。また、案内凹部72は、鉛直方向上端が円筒状部51の鉛直方向上端部側に開口する一方、鉛直方向下端がほぼ水平方向に沿った形状となる。変換機構7は、インク容器2と共にキャップ3を回動レバー5の円筒状部51内に装着する際に、一対の案内突起部71が案内凹部72の鉛直方向上端部側の開口に挿入される。そして、変換機構7は、案内突起部71が案内凹部72内に挿入された状態で、回動レバー5とキャップ3との相対回転に伴って、案内凹部72が案内突起部71を回動軸線Xに沿った方向に案内する。これにより、変換機構7は、インク容器2、及び、キャップ3の相対回転が規制された状態で、回動レバー5の回動運動を、インク容器2、及び、キャップ3の回動軸線Xに沿った方向の直線運動に変換することができる。すなわち、変換機構7は、回動レバー5が回動することで、インク容器2、及び、キャップ3を回動軸線Xに沿った方向に移動させることができる。ここで、回動軸線Xに沿った方向とは、典型的には、鉛直方向であり、ここでは、インク容器2、及び、キャップ3がインクタンク4に対して接近離間する方向、インク容器2、及び、キャップ3の挿入方向に相当する。
【0039】
なお、キャップ3に設けられた回転止め突起部61、及び、一対の案内突起部71、インクタンク4の壁面44に設けられた回転止め係合部62、及び、回動レバー5に設けられた一対の案内凹部72は、回動レバー5がインクタンク4に設置され、インク容器2と共にキャップ3が当該回動レバー5の円筒状部51に挿入された状態で、一対の案内突起部71がそれぞれ一対の案内凹部72に挿入され、回転止め突起部61が回転止め係合部62に挿入されるような位置関係で形成される。
【0040】
開弁突起部8は、図9図10に示すように、インクタンク4の内部、ここでは、インク貯留空間部41内に設けられる。開弁突起部8は、当該インク貯留空間部41を区画するインク貯留空間部底面41bに立設される。開弁突起部8は、回動レバー5がインクタンク4に設置され、インク容器2と共にキャップ3が当該回動レバー5の円筒状部51に挿入された状態で、キャップ3に設けられた開口33と鉛直方向に対向する位置に設けられる。開弁突起部8は、インク容器2、及び、キャップ3の直線運動に伴って当該キャップ3がインクタンク4側に接近した際に弁体34を開位置側に押圧するものである。
【0041】
なお、このインク供給ユニット1は、上述したように、インクタンク4のインク貯留空間部41と大気とを連通し、当該インク貯留空間部41内を大気開放することができる大気開放管10を備える。この大気開放管10は、図7図13等に示すように、インクタンク4から開放管立設板12によって一旦インク容器2の鉛直方向上側に導かれた後、再度インクタンク4側の壁面44の外周面側を通っている。つまり、大気開放管10は、少なくともインク容器2の鉛直方向上側まで延在している。そしてさらに、本実施形態のインク供給ユニット1は、図13図14に示すように、回動レバー5の回動と連動して上述の大気開放管10を押圧可能である大気開放突起部13を備える。大気開放突起部13は、回動レバー5に設けられる。大気開放突起部13は、円筒状部51の外周面に突起状に形成される。大気開放突起部13は、切り欠き部53の一方の端部に隣接して設けられる。大気開放突起部13は、回動レバー5の回動に伴って大気開放管10を押圧して閉塞させる閉塞位置と、大気開放管10を解放させる解放位置とに移動可能である。大気開放突起部13は、少なくとも、図13に示すように、回動レバー5のレバー部52が切り欠き部43内において、図13中向かって最右側に位置している状態で、大気開放管10を押圧して閉塞させる閉塞位置に位置している。一方、大気開放突起部13は、図14に示すように、回動レバー5のレバー部52が切り欠き部43内において、図14中向かって最左側に位置している状態で、大気開放管10を解放させる解放位置に位置している。ここでは、大気開放突起部13は、下記で説明するように、弁体34が開位置にある状態で解放位置に位置し、弁体34が閉位置にある状態で閉塞位置に位置する。
【0042】
次に、図15等を参照してインク供給ユニット1の動作を説明する。インク供給ユニット1の各構成については、適宜図9図12図13図14図15を参照する。なお、以下の説明では、回動レバー5の回動方向は、鉛直方向上側から視た際の方向として説明する。
【0043】
インク供給ユニット1は、図15中、左列に記載されているように、インクタンク4にインクを補充する際には、まず、キャップ3が装着されたインク容器2が、当該キャップ3側から回動レバー5の円筒状部51に挿入される(セット開始)。図15中、中央列は、インク容器2のセットが完了し、回動レバー5を回動させる前の状態である(セット終了、回動レバー回動前)。このとき、回動レバー5は、図13に示すような状態にある。すなわち、回動レバー5は、この状態ではキャップ3に設けられた一対の案内突起部71がそれぞれ一対の案内凹部72の鉛直方向上側の開口に位置し、レバー部52が切り欠き部43内において、図13中向かって最右側に位置している。この状態では、インク容器2は、いまだインクタンク4に対しては固定されておらず取り外し可能な状態であり、弁体34は、閉位置に位置している。この状態では、インクタンク4は、キャップ3に装着されたOリング38とインク貯留空間部壁面41aとの間に隙間があいている状態であり、当該箇所で密閉された状態とはないっていない。また、この状態では、大気開放突起部13は、大気開放管10を押圧して閉塞させる閉塞位置に位置している。これにより、インク供給ユニット1は、大気開放突起部13によって、大気開放管10を介したインク貯留空間部41と大気との連通が遮断された状態となっている。したがって、この状態では、インク供給ユニット1は、インク容器2からインクタンク4へのインクの補充は行われない。
【0044】
そして、インク供給ユニット1は、セット終了、回動レバー回動前の状態から、図13に示すように、回動レバー5を時計回り方向(固定方向)に回動させることで、キャップ3、及び、インク容器2が回動軸線Xに沿った方向、ここでは、鉛直方向下側に向けて移動する。すなわち、キャップ3、及び、インク容器2は、回動軸線Xに沿ってインクタンク4のインク貯留空間部底面41bに設けられた開弁突起部8側に接近する方向に移動する。より詳細には、インク供給ユニット1は、回転止め機構6によってインク容器2、及び、キャップ3の相対回転が規制された状態で、回動レバー5を固定方向に回動させることで、当該回動レバー5の回動に伴って案内凹部72が案内突起部71を鉛直方向下側に押圧する。この結果、インク供給ユニット1は、インク容器2、及び、キャップ3の回転が規制された上で、当該案内突起部71が形成されたキャップ3、及び、これと一体のインク容器2が鉛直方向下側、すなわち、開弁突起部8に接近する方向に移動する。
【0045】
そして、インク供給ユニット1は、図14に示すように、レバー部52が切り欠き部43内において、図14中向かって最左側に位置するまで回動レバー5を回動させることで、案内突起部71が案内凹部72の鉛直方向下端の水平部分まで案内される。インク供給ユニット1は、図15中、右列に記載されているように、この状態でインク容器2がキャップ3、及び、回動レバー5を介してインクタンク4に固定される(固定完了)。この状態で、インク供給ユニット1は、開弁突起部8が弾性体35の付勢力に打ち勝って弁体34を開位置に押し上げた状態となり、Oリング37におけるシールが解除された状態となっている。また、この状態では、インクタンク4は、キャップ3とインク貯留空間部壁面41aとの間がOリング38によって密閉された状態となる。さらに、この状態では、大気開放突起部13は、大気開放管10を解放させる解放位置に位置している。これにより、インク供給ユニット1は、大気開放突起部13によって大気開放管10を介したインク貯留空間部41と大気との連通が解放された状態となっている。この結果、インク供給ユニット1は、インク容器2内のインクが、弁体34と開口33との隙間を介して、インクタンク4のインク貯留空間部41に補充される(充填開始)。なお、この状態では、インク供給ユニット1は、インク貯留空間部壁面41aに形成された円環板状の段付部41cと、キャップ3の円環板状部31cとが鉛直方向に対向して接触している。
【0046】
一方、インク供給ユニット1は、インクタンク4からインク容器2を取り外す場合には、回動レバー5を上記とは逆方向に回動させる。すなわち、インク供給ユニット1は、インク容器2がインクタンク4に固定された状態から、図14に示すように、回動レバー5を反時計回り方向(解除方向)に回動させることで、キャップ3、及び、インク容器2が回動軸線Xに沿った方向、ここでは、鉛直方向上側に向けて移動する。この結果、キャップ3、及び、インク容器2は、回動軸線Xに沿って開弁突起部8から離間する方向に移動する。より詳細には、インク供給ユニット1は、回転止め機構6によってインク容器2、及び、キャップ3の相対回転が規制された状態で、回動レバー5を解除方向に回動させることで、当該回動レバー5の回動に伴って案内凹部72が案内突起部71を鉛直方向上側に押圧する。この結果、インク供給ユニット1は、インク容器2、及び、キャップ3の回転が規制された上で、当該案内突起部71が形成されたキャップ3、及び、これと一体のインク容器2が鉛直方向上側、すなわち、開弁突起部8から離間する方向に移動する。これにより、インク供給ユニット1は、開弁突起部8による弁体34の押圧が解除され、弾性体35の付勢力によって当該弁体34が閉位置に押し戻される。この結果、インク供給ユニット1は、Oリング37におけるシールが復旧され、弁体34と開口33との隙間を介したインクの補充が停止される。そして、インク供給ユニット1は、図13に示すように、レバー部52が切り欠き部43内において、図13中向かって最右側に位置するまで回動レバー5を回動させることで、インクタンク4からインク容器2、及び、キャップ3を取り外すことができる。この状態では、上述の図13の説明と同様、大気開放突起部13は、大気開放管10を押圧して閉塞させる閉塞位置に位置している。これにより、インク供給ユニット1は、大気開放突起部13によって大気開放管10を介したインク貯留空間部41と大気との連通が遮断された状態となっている。これにより、インク供給ユニット1は、インクタンク4からインク容器2、及び、キャップ3を取り外した際に、大気開放管10に残留していたインクが、インクタンク4側に流れ込むことを抑制することができる。
【0047】
つまり、このインク供給ユニット1は、レバー部52を固定方向に動かした場合は、インク容器2のインクタンク4への固定、大気開放管10の開放(大気開放突起部13の解除)、弁体34と開弁突起部8との接触に応じた隙間形成によるインクの供給開始という、1回のレバー部52の操作で3つの機能を果たす事が可能となる。逆に、このインク供給ユニット1は、レバー部52を解除方向に動かした場合には、インクタンク4からのインク容器3の取り外し、大気開放管10の閉鎖(大気開放突起部13の設定)、弁体34と開放突起部8との離間によって隙間が閉ざされインク供給が停止されるという、1回のレバー部52の操作で3つの機能を果たす事が可能となる。したがって、このインク供給ユニット1は、インク容器2の脱着の操作性を向上させる事ができ、また、ユーザーの作業のバラツキも抑制することができる。
【0048】
上記のように構成されるインク供給ユニット1、インクジェットプリンタ100A、100B、100Cは、インク容器2と共にキャップ3が回動レバー5に挿入され、回転止め機構6によってインク容器2、及び、キャップ3の回転が規制された状態で、回動レバー5を回動させ、当該回動運動を変換機構7によってインク容器2、及び、キャップ3の直線運動に変換しインクタンク4側に接近させることで、開弁突起部8によって、キャップ3に設けられた弁体34を開弁させ、インク容器2のインクをインクタンク4へ補充することができる。また、インク供給ユニット1は、回動レバー5を上記とは逆に回動させ、インク容器2、及び、キャップ3をインクタンク4側から離間させることで、キャップ3に設けられた弁体34を閉弁させ、インクタンク4へのインクの補充を終了することができる。この結果、インク供給ユニット1は、インクタンク4へインクを補充する際の作業性を向上することができる。
【0049】
例えば、インク供給ユニット1は、上述のようにインク容器2をインクタンク4にセットし、回動レバー5を回動させることでインクの補充開始、補充終了を実行することができるので、インク容器2とキャップ3とが相対回転することを抑制した上でインク容器2からインクタンク4へのインクの補充を完了することができる。これにより、インク供給ユニット1は、インクの補充作業中に、キャップ3が緩むことを抑制しインク漏れが発生することを抑制することができるので、インク容器2からインクタンク4へ安全にインクを供給することができる。また、インク供給ユニット1は、回動レバー5を回動させることで、インク容器2とインクタンク4の脱着作業を行うことができるので、安全かつ機械的に脱着作業を行うことができるので、ユーザーに応じた作業のばらつきを低減することができ、この点でも作業性を向上することができる。
【0050】
また、インク供給ユニット1は、インク容器2をインクタンク4に脱着する際の回動レバー5の回動動作に連動して、大気開放突起部13によって大気開放管10を閉塞、あるいは、解放することができる。この結果、インク供給ユニット1は、インクの補充の際には確実にインクタンク4を大気開放して適正にインクを補充することができると共に、インク容器2を取り外す際には大気開放管10内のインクがインクタンク4内に流れ込むことを確実に抑制することができる。
【0051】
以上で説明した実施形態に係るインク供給ユニット1によれば、インク容器2と、キャップ3と、インクタンク4と、回動レバー5と、回転止め機構6と、変換機構7と、開弁突起部8とを備える。インク容器2は、インクを貯留する。キャップ3は、インク容器2に装着され、当該インク容器2に貯留されたインクが流出可能な開口33、当該開口33を開閉可能である弁体34、及び、弁体34をインク容器2の内側から閉位置側に付勢する弾性体35を有する。インクタンク4は、キャップ3が装着されたインク容器2を、当該キャップ3側で保持する。回動レバー5は、インクタンク4に回動軸線Xを回動中心として回動自在に設けられた。回転止め機構6は、インク容器2がインクタンク4に保持された状態で、当該インクタンク4に対するインク容器2、及び、キャップ3の相対回転を規制する。変換機構7は、回動レバー5の回動運動を、インク容器2、及び、キャップ3の回動軸線Xに沿った方向の直線運動に変換する。開弁突起部8は、インクタンク4の内部に設けられ、インク容器2、及び、キャップ3の直線運動に伴って当該キャップ3がインクタンク4側に接近した際に弁体34を開位置側に押圧する。
【0052】
以上で説明した実施形態に係るインクジェットプリンタ1100A、100B、100Cによれば、インクを貯留するインク容器2と、当該インク容器2のインク供給口(キャップ3)と接続手段を介して接続されてインク容器2からインクが供給されるインクジェットヘッドと、を有するインクジェット印刷装置において、接続手段は、回動レバー5と、回転止め機構6とを有する。回動レバー5は、インクジェットヘッドが一端側に配設されたインク供給系(インクチューブT)の他端側に配設され、インク供給口に形成された凹部(案内凹部72)、又は、凸部(案内突起部71)の一方と係合する当該凹部、又は、当該凸部の他方を有するとともに自らが回転する。回転止め機構6は、インク容器2の回転を阻止する。インク容器2は、回転止め機構6によって回転が阻止されるとともに、回動レバー5の回転に伴い、凹部と凸部とが相対移動することによって直動し、当該直動に伴って、閉鎖されたインク供給口が開口して、インクを供給する。
【0053】
したがって、インク供給ユニット1、インクジェットプリンタ1100A、100B、100Cは、インク容器2をインクタンク4にセットし、回動レバー5を回動させることでインクの補充開始、補充終了を実行することができるので、インクタンク4へインクを補充する際の作業性を向上することができる。
【0054】
なお、上述した本発明の実施形態に係るインク供給ユニット、及び、インクジェット印刷装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0055】
以上の説明では、凹部(案内凹部72)が回転部材(回動レバー5)側に設けられ、凸部(案内突起部71)がインク供給口(キャップ3)側に設けられるものとして説明したが、この逆であってもよい。また、以上の説明では、凹部は、案内凹部72、凸部は、案内突起部71であるものとして説明したが、それぞれ相互に螺合する雄ネジ溝、及び、雌ネジ溝であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 インク供給ユニット
2 インク容器
3 キャップ(インク供給口)
4 インクタンク
5 回動レバー(接続手段、回転部材)
6 回転止め機構(接続手段、阻止部)
7 変換機構
8 開弁突起部
9 筐体
10 大気開放管
11 蓋部材
12 開放管立設板
13 大気開放突起部
33 開口
34 弁体
35 弾性体
61 回転止め突起部
62 回転止め係合部
71 案内突起部(凸部)
72 案内凹部(凹部)
100A、100B、100C インクジェットプリンタ(インクジェット印刷装置)
T インクチューブ(インク供給系)
X 回動軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15