(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150784
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】有孔フォーミングスクリーン及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20170612BHJP
B32B 25/08 20060101ALI20170612BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
B29C59/02 B
B32B25/08
B29C59/04 C
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-238822(P2014-238822)
(22)【出願日】2014年11月26日
(62)【分割の表示】特願2011-540711(P2011-540711)の分割
【原出願日】2009年12月14日
(65)【公開番号】特開2015-71308(P2015-71308A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2014年12月25日
(31)【優先権主張番号】12/592,657
(32)【優先日】2009年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/316,645
(32)【優先日】2008年12月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501217020
【氏名又は名称】トレドガー フィルム プロダクツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ポール、イー.
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、ショーン
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−510824(JP,A)
【文献】
特開平06−294098(JP,A)
【文献】
特開平11−138738(JP,A)
【文献】
特表2002−512565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/00 − 59/18
B32B 25/08
B26F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口形成フィルムを作製するための有孔フォーミングスクリーンであって、前記有孔フォーミングスクリーンが、ショア硬さHSD12〜90の熱硬化性ゴム層であって、前記開口形成フィルムを作製するのに使用される溶融ポリマーの熱の影響を受けにくい熱硬化性ゴム層を含み、前記熱硬化性ゴム層が、該ゴム層を貫通して延びる複数の穿孔と、前記穿孔の間の前記熱硬化性ゴム層の外面上に形成された微細スケール構造とを有し、前記微細スケール構造が254ミクロンより大きくない寸法及び間隔を有し、前記穿孔が0.55mmと1.2mmの間の平均直径を有している有孔フォーミングスクリーン。
【請求項2】
前記ゴム層が支持体を有していない請求項1に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項3】
前記有孔フォーミングスクリーンが内層及び外層を有し、前記外層が接着剤で前記内層に接着され、前記外層が前記熱硬化性ゴム層であり、前記複数の穿孔が前記内層もまた貫通して延びている、請求項1に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項4】
前記内層がプラスチック及び金属から選択される、請求項3に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項5】
前記内層が、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、アセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択されるプラスチックであり、前記熱硬化性ゴム層が、エボナイトゴム及び水素化ニトリルブタジエン・ゴムから選択される、請求項4に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項6】
前記内層が、アルミニウム、ニッケル、銅、冷間圧延鋼、炭素鋼、ステンレス鋼、非鉄金属、上記のいずれかの金属の合金、及びそれらの混合物から選択される金属であり、前記熱硬化性ゴム層が、エボナイトゴム及び水素化ニトリルブタジエン・ゴムから選択される、請求項4に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項7】
前記熱硬化性ゴム層が、加硫天然ゴム、ネオプレン、シリコーン、フルオロエラストマー、ウレタン、エチレンプロピレンジエンのMクラス(「EPDM」)のゴム、水素化ニトリルブタジエン・ゴム、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択される天然ゴム又は合成ゴムを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項8】
熱伝導性材料を前記熱硬化性ゴム層中に分散させた、請求項1から7までのいずれか一項に記載のフォーミングスクリーン。
【請求項9】
フォーミングスクリーン作製方法であって、
支持層に熱硬化性ゴム材料を接合し、前記熱硬化性ゴム材料を加硫処理して、ショア硬さHSD12〜90の熱硬化性ゴム層であって、前記フォーミングスクリーンで開口形成フィルムを作製するのに使用する溶融ポリマーの熱の影響を受けにくい熱硬化性ゴム層を形成するステップと、
前記熱硬化性ゴム層及び前記支持層に、0.55mmと1.2mmの間の平均直径を有する複数の穿孔を形成するステップと、
前記穿孔を形成する前又は後に、前記熱硬化性ゴム層の外面に複数の微細スケール構造を形成するステップであって、それによって前記複数の微細スケール構造が前記フォーミングスクリーンの前記複数の穿孔の間に位置し、また前記複数の微細スケール構造が254ミクロンより大きくない寸法及び間隔を有しているステップと
を含むフォーミングスクリーン作製方法。
【請求項10】
前記フォーミングスクリーンを、外面上に前記熱硬化性ゴム層を備えた円筒に成形するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フォーミングスクリーンを円筒にするように成形し、その後前記熱硬化性ゴム層を前記支持層に接合する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持層が、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、アセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択され、前記熱硬化性ゴム層がエボナイトゴム及び水素化ニトリルブタジエン・ゴムから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記熱硬化性ゴム層が、加硫天然ゴム、ネオプレン、シリコーン、フルオロエラストマー、ウレタン、エチレンプロピレンジエンのMクラス(「EPDM」)のゴム、水素化ニトリルブタジエン・ゴム、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択される天然ゴム又は合成ゴムを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はフォーミングスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
フォーミングスクリーンは、開口形成フィルムを作製するために使用される有孔の装置である。開口形成フィルムは、フィルムに開口又は穴を作るように加工されたプラスチック・フィルムである。開口フィルムには、一般的な2つのカテゴリー、つまり3次元フィルム及び平坦なフィルムがある。全てのフィルムが呼び厚さを有するという点で3次元であるが、本開示の文脈における「3次元フィルム」は、フィルムに対して呼び厚さを超える、より大きい厚さを与える表面構造を有するフィルムである。概して、こうした表面構造は、フィルムの変形の限度が脅かされない限り、圧力又は張力によって変形した後に形状を取り戻す点で記憶を有する。対照的に、平坦な開口フィルムは、「3次元フィルム」を特徴付ける3次元の記憶を有する表面構造が欠如した、単なる穴のあるフィルムである。
【0003】
当技術分野には、開口フィルムを作製するいくつかの加工法がある。フィルムに穴が加えられるどんな加工法でも平坦なフィルムを作製することができる。一般に、先行のフィルムに穴を作るためのピン又は他のエンボスを用いた機械加工がある。3次元フィルムに関しては、最も一般的な2つの加工法は、真空成形法及び液圧成形法である。米国特許第3939135号及び米国特許第4324246号などの参照により例示される真空成形法は、フィルムの一方の側に負圧を、フィルムの反対側にそれに対応する正圧を作るように真空を使用する。圧力の差により、フィルムがフォーミングスクリーンの穴に引き込まれて、開口が作られる。液圧成形法では、米国特許第4609518号によって例示されるように、高圧水のジェットを使用して、フィルム上に衝突する液体の流れを生成して、開口が作られる。
【0004】
液圧成形法又は真空成形法では、フィルムは、当技術分野で知られた、本明細書でフォーミングスクリーンと称される有孔構造上に支持される。フォーミングスクリーンは、開口加工中にフィルムに移すテクスチャ付き表面を有することができる。フォーミングスクリーンは、典型的には、金属製又はプラスチック製である。金属スクリーンには、プラスチック・スクリーンより強く、より頑強であるという利点があり、プラスチック・スクリーンと比較して熱をより良好に放散することもでき、これは、一般に、金属スクリーンを使用することにより生産ライン速度をより速くできることを意味する。しかし、金属スクリーンはプラスチック・スクリーンより高価である。さらに、金属スクリーンの表面に複雑で微細なスケールの設計又は構造を作ることは、不可能でないにしても難しい。
【0005】
しかし、微細スケールの構造はプラスチック・スクリーンに形成できるが、そうした微細スケールのテクスチャを維持することは問題である。具体的には、プラスチック・スクリーンは、直接注入成形法でフィルムを作製するのに使用される溶融ポリマーの温度の影響を受け易い。微細スケールのテクスチャ及び構造は体積が大きくないので、熱に耐える能力が小さく、微細スケールの機構を逆に簡単に失うことがある。さらに、スクリーンを作製するために使用されるプラスチック樹脂の多くは水溶性であり、したがって、スクリーンは、水が徐々にスクリーンを溶かすので液圧成形法で使用されるときに徐々に劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3939135号
【特許文献2】米国特許第4324246号
【特許文献3】米国特許第4609518号
【特許文献4】米国特許第7143709号
【特許文献5】米国特許第5562932号
【特許文献6】米国特許第5718928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当技術分野では、低コストで、耐久性があり、直接注入成形フィルム法で溶融ポリマーの高温にさらされるときでも微細スケールの構造及びテクスチャを受容及び維持でき、液圧成形法での劣化に強く、したがって、直接注入真空成形法及び液圧成形法の両方に適した、プラスチック・スクリーンが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施例では、本開示は、ショア硬さHSD12〜90の熱硬化性ゴムを含む有孔フォーミングスクリーンを有するフォーミングスクリーンを提供する。
【0009】
一実施例では、熱硬化性ゴムはエボナイトを含む。
【0010】
一実施例では、熱硬化性ゴムは水素化ニトリルブタジエン・ゴムを含む。
【0011】
一実施例では、本開示は、熱硬化性ゴムの層又はコーティングを有する支持体をその表面上に有するフォーミングスクリーンを提供する。
【0012】
一実施例では、本開示は、熱硬化性ゴムの層又はコーティングをその表面上に有するプラスチック支持体を有するフォーミングスクリーンを提供する。
【0013】
一実施例では、本開示は、熱硬化性ゴムの層又はコーティングをその表面上に有する金属の支持体を有するフォーミングスクリーンを提供する。
【0014】
別の実施例では、フォーミングスクリーンは平面の有孔フォーミングスクリーンを有する。
【0015】
別の実施例では、フォーミングスクリーンは円筒形の有孔フォーミングスクリーンを有する。
【0016】
一実施例では、フォーミングスクリーンは、アセタール樹脂製のプラスチック支持体と、熱硬化性ゴムの外側のカバー又は層とを有する。
【0017】
一実施例では、フォーミングスクリーンは、アルミニウム製の金属の支持体と、熱硬化性ゴムの外側のカバー又は層とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示による円筒形のフォーミングスクリーンの斜視図である。
【
図2】
図1の線及び矢印2−2から見た断面図である。
【
図3】別の実施例による平面スクリーンの断面図である。
【
図4】多孔性マンドレルと接触している円筒形のスクリーンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で開示するフォーミングスクリーンは、一実施例では有孔である。有孔スクリーンは、吸収体のトップシートなど、衛生の用途の場合に、開口形成フィルムを作製する際に使用するのに特に適している。吸収体のトップシートは、ユーザの皮膚に隣接して配置される。したがって、皮膚に接触するプラスチックが生成することがある粘湿な感覚が消費者には好まれないので、トップシートの触知可能な感覚は問題である。さらに、プラスチック・フィルムに関連する光沢もネガティブな特性と考えられる。したがって、表面のテクスチャは外観の観点からも重要である。
【0020】
別の実施例では、本開示のフォーミングスクリーンは有孔ではない。言及したように、本開示のスクリーンは、金属製のスクリーンより微細スケールの細部を受容する能力を有する。こうした微細スケール構造は、望ましく、多くの場合、対応する表面の構造及びテクスチャをフィルムに作り出すのに必要である。上記で言及した触知可能な模様及び光沢を低減するのに加えて、微細スケールの収差を含む本開示のスクリーンは、米国特許第7143709号に開示されているように生体接着性を促進又はそれに抵抗するために、「鮫肌」又は他の微細スケールのパターンを形成する際に有用であり得る。
【0021】
図1を参照すると、フォーミングスクリーンの一実施例がその図に示されている。図示実施例では、フォーミングスクリーン10は円筒形の部材12を有し、円筒形の部材12は内層14及び外層16を有する。内層14及び外層16は、スクリーン10が粘着性構造ユニットを備えるように互いに密接に接合されている。図示の特定実施例では、フォーミングスクリーン10は、有孔であり、離隔した複数の開口18を含んでいる。
【0022】
次に
図2を参照すると、フォーミングスクリーン10の断面が
図1の線及び矢印2−2に沿って見たように示されている。内層14と外層16の間の密接な関係は
図2で簡単に見られる。複数の穿孔18が外層16及び内層14の両方を横切ることも見られる。この構成では、フォーミングスクリーン10の内部に加えられる真空がスクリーン10の外部に正圧を作り出し、これは空気が穿孔18を通るようにすることになる。その空気流は、フォーミングスクリーンの外部に貼付されたフィルムを穿孔18に対応する領域で破裂させるものである。或いは、高圧の水蒸気をフォーミングスクリーン10の外部に加えることによって、外面に貼付されるフィルムは、穿孔18中に押し込まれ、破裂して、フィルムに開口が作られる。
【0023】
フォーミングスクリーンのさらに別の実施例を
図3に示し、その図に平面フォーミングスクリーンの一部分の断面図を示す。
図3のフォーミングスクリーン110は、前の実施例と同様であり、互いに密接に接触した内層114及び外層116を有する平面部材112を有する。特定実施例では、フォーミングスクリーン110はさらに、複数の貫通孔又は穿孔118を含み、それらは外層116及び内層114の両方を横切る。やはり
図3に見られるように、外層116上の領域は、参照番号120で示す微細スケールの段差又は表面構造を含む。これらの微細スケールの段差120は、フォーミングスクリーンの表面上の突起部、エンボス、凹所、又は他のタイプの段差とすることができる。こうした表面段差120は、フォーミングスクリーンの一部分にのみ、又は所望の場合は表面全体にあってよい。
【0024】
いくつかの実施例では、内層14は熱可塑性樹脂製である。適切な材料は当技術分野で知られた材料であり、それらに限定されないが、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、ポリエステル、Delaware州WilmingtonのE.I.du Pont de Nemours & Co.から入手可能なデルリン(登録商標)樹脂などのアセタール樹脂、並びにそれらの混合物及びブレンドを含む。アセタール樹脂、具体的にはデルリン(登録商標)樹脂が好ましい。
【0025】
いくつかの実施例では、内層14は金属製である。適切な金属は、当技術分野で知られた金属であり、それらに限定されないが、アルミニウム、ニッケル、銅、冷間圧延鋼、炭素鋼、ステンレス鋼、又は任意の非鉄金属、及びそれらの合金を含む。
【0026】
外層16は、意図する用途に応じてショア硬さHSD12〜90、好ましくは33〜90、最も好ましくは46〜60の天然又は合成の熱硬化性ゴムである。フォーミングスクリーンが型押し加工のニップ・ロールとして使用される場合は、例えば、当技術分野で知られているように、カウンタ・ロールと接触するときに所望の又は期待の力に耐えるのにゴムの硬度が十分である必要がある。適切な熱硬化性材料は、加硫天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、ウレタン、水素化ニトリルブタジエン・ゴム(「HNBR」)、及びエチレンプロピレンジエンのMクラス(「EPDM」)のゴムを含む。好ましいゴムの1つは、加硫天然ゴム、具体的にはゴムを長期間加硫処理することによって調製された硫黄含有率30%〜40%の硬質ゴムである。こうした材料の1つは、ボーリング用のボールを作るためにEbonite Internationalによって使用されているので「エボナイト」として知られている。別の好ましいゴムはHNBRである。
【0027】
EPDMは、屋根膜、庭用のホースなど、広い範囲の用途に使用されるエラストマーである。Mクラスとは、ASTM基準D−1418のエラストマーの階級を指す。「M」クラスには、ポリメチレン・タイプの飽和鎖を有するゴムが含まれる。EPDMゴムの製造に現在用いられている(1つ又は複数の)ジエンは、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、及びビニルノルボルネンである。EPDMゴムのエチレン含有量は約45%から75%である。エチレン含有量が高いほど、ポリマーを含有する可能性が高くなり、混合及び押し出しが改善される。過酸化物の硬化中に、それらのポリマーにより、アモルファスの相手方部品と比較して架橋密度が高くなる。ジエン含有量は2.5重量%から最大12重量%まで変えてよい。
【0028】
所望の場合は、カーボン・ナノチューブ、又は酸化アルミニウムなどの金属粒子などを含む熱伝導性材料をゴム材料中に分散させて、ゴム層の熱伝導性を改善することができる。
【0029】
一実施例では、フォーミングスクリーンは、支持層なしでショア硬さHSD12〜90、より好ましくは33〜90、最も好ましくは46〜60の熱硬化性ゴムの有孔部材を備える。
【0030】
フォーミングスクリーンは複数の異なる手法で生産できる。フォーミングスクリーンが平面の場合は、プラスチック又は金属のシートと、所定のサイズ、形状、及び厚さのゴムを任意の適切な接着剤を用いて互いに接着することができる。シアノアクリレート接着剤が好ましい。
【0031】
スクリーンが円筒形の場合は、フォーミングスクリーンを異なる手法で用意することができる。第1の方法は、所定の厚さを有するプラスチック又は金属材料の支持シートを切断して、所望の円周長に対応する所定のサイズにする。次いで、その支持シートを丸め、継ぎ目に沿って溶着して、円筒を形成する。次いで、シアノアクリレート接着剤、又は他の適切な接着剤を用いてゴム・シートを支持円筒に接着する。
【0032】
第2の方法では、まず、支持シートをゴム・シートに接着し、次いで、その複合シートを丸め、溶着して、円筒を形成する。形成後に、その円筒を熱老化して(焼きなまして)、その円筒に記憶を与えることが好ましい。支持層としてプラスチックが使用される実施例では、継ぎ目を形成するための熱溶着を、ホット・ナイフ、音波接合、又は他の適切な加工法によって行うことができる。金属に溶着された継ぎ目を形成するために有用な一般に知られた技法には、アーク溶着、TIG溶着、及び他の方法が含まれる。場合によっては、半田付けも適していることがある。最終的な円筒の所望の公差を得るために、スクリーンを旋盤又は他の適切な装置に配置し、最終的な寸法になるように機械加工することができる。同様に、所望の場合はゴム層を貼付する前にプラスチック層を機械加工することができる。
【0033】
代替の実施例では、フォーミングスクリーンは、プラスチック又は金属のシート又は円筒上に溶解又は分散した熱硬化性ゴムをコーティングすることによって用意することができる。こうした実施例では、ほとんどの場合、選択されたプラスチックは、熱硬化性ゴムを焼きなますために用いられる温度には適していない。したがって、コーティングのために選択したゴムは、下位層として選択したプラスチックの融点未満の温度で架橋又は硬化できなければならない。
【0034】
プラスチックの下位層なしでフォーミングスクリーンが熱硬化性ゴムのみを備える実施例では、ゴムを押し出し成形又は射出成形し、次いで、必要な場合は機械加工して円筒又は他の所望の形状を形成することができる。
【0035】
熱硬化性ゴムのみから構成されるスクリーンを作製する例示的な一方法を、
図4を参照しながら説明する。
図4に見られるように、多孔性マンドレル221にアルミニウム又はニッケルの箔などの金属箔を巻き付けて、金属層222を作る。箔巻きつけの代わりに薄い金属の円筒を使用することもできるが、通常、追加のコストは正当化されない。好ましくは、マンドレルにらせんに巻き付けられる。しかし、他の手法でマンドレルに巻き付けることも可能である。使用する金属及びゴムのタイプに応じて、ゴム材料が箔に接着するのを防止することが必要であるか又は望ましいことがある。こうした条件では、E.I du Pont de Nemours and Co.によるマイラー(登録商標)フィルムなどのポリマー・フィルム層223、好ましくは、ポリエステル・フィルム層がアルミニウム箔上に巻き付けられる。
【0036】
次いで、箔222(又は保護フィルム層223)上にゴムのリボンを押し出し成形するか、又はその他の方法でゴム・コーティング業界では一般的な手段によってゴムのリボンを貼付してゴム層216を形成する。例えば、それらのリボンは、厚さを一様にし、端部間をつなぐように分配するように、箔(又はポリエステル・フィルム)上にらせんに巻き付けることができる。この時点で、ゴムは、加硫処理されておらず、したがって、軟質であり、互いに融合して事実上継ぎ目のない層を形成する。次いで、そのゴムを加硫処理して硬化させ、表面を削って特定の直径にする。
【0037】
金属箔層222、任意選択のフィルム層223、及び加硫処理されたゴム層216は、ずらすことなく又は緩めることなく機械加工できるように、マンドレル221と緊密に接触する。次いで、所望の場合は、そのように形成された複合材料をレーザ又は他の適切な方法によって彫刻して、複雑な設計及びパターンを作り出す。例えば、レーザ彫刻装置(図示せず)を使用して、穿孔又は貫通孔218をゴム層216に切り込むこともできる。レーザ光は、ゴム216を完全に貫通して切断して貫通孔218を形成するが、(使用する場合は)保護フィルム層223のみを部分的に貫通して切断し、箔層222によって反射される。箔層222の完全性を維持することは、仕上げたスクリーンを多孔性マンドレル221から取り外すために重要である。さらに、すでに上記で述べた理由から、レーザ光を使用して、微細スケールの段差220をゴム216の表面212上に形成することもできる。
【0038】
彫刻ステップが完了すると、スクリーン216が多孔性マンドレル221から取り外される。例えば、マンドレルの内部に空気圧が加えられる。多孔性マンドレルから出る空気圧により、マンドレルから滑り外れるのに十分なほどにスクリーンを拡張する。こうしたマンドレルは、異なる印刷パターンを有するスリーブを容易に且つ簡単に交換することができる印刷業界ではよく知られている。
【0039】
マンドレルから取り外されると、箔及び任意選択のフィルム層は取り外され破棄される。残りの加工品がスクリーンの内面に残っている場合は、内面を滑らかにするように削り取るか又は研削することによって取り除くことができる。
【0040】
上記で記載したように、この開示のフォーミングスクリーンは、金属フォーミングスクリーンと比較して微細スケールのレーザ彫刻に適している。用語「微細スケール」は、X−Y寸法を有し、約10.0ミル(254ミクロン)未満の間隔をあけた、設計、パターン又は配列の構造を形成するために使用される段差及び/又は凹所を指す。多くの実施例で、個別の段差及び/又は凹所のZ方向がX−Y寸法の最も狭い幅の少なくとも約半分にほぼ等しいか、又はそれよりわずかに大きいことも望ましい。こうしたZ方向の要件を有する微細スケールの設計は、金属をレーザ彫刻することが不可能でないにしても特に難しい。
【0041】
ゴム層は、直接注入成形法では溶融ポリマーの熱の影響を受けにくく、したがって、その用途には従来のプラスチック・フォーミングスクリーンより適している。さらに、ゴム層は、下のプラスチックを保護し、したがって、スクリーンは、プラスチック・スクリーン技法を利用する液圧成形法で使用するのにもさらに適している。
【0042】
支持層及びゴム層の厚さは、特定の用途に関して必要であるか又は望ましい任意の厚さでよい。しかし、ほとんどのフィルム形成用途では、支持層は概してゴム層より厚い。真空成形法又は液圧成形法の場合に有孔フォーミングスクリーンとして使用するときは、例えば、支持層は厚さ500から3175ミクロン程度でよく、ゴム層は厚さ約500から1650ミクロンでよい。好ましい実施例では、支持層は厚さ約1500ミクロンであり、ゴム層は厚さ約1000ミクロンである。支持層60%とゴム層40%の比は、フォーミングスクリーンに両方の層が存在するときは一般に好ましい。
【0043】
フォーミングスクリーンの開口18、118は、存在する場合は、最終の用途に望ましい任意のサイズ及び形状のものでよい。例えば、穿孔又は開口18、118は、円形、六角形、楕円、長円、五角形又は他の所望の形状でよい。さらに、名目上図に垂直に示しているが、例えば、米国特許第5562932号、米国特許第5718928号で教示されるように、開口18、188をスクリーンの平面の正接に対して0〜70度以上の角度に向けることができることは当業者には理解される。それらの開示は参照により本明細書に援用される。衛生の用途では、フィルムが動的流体の動きに関する大寸法の開口、静的流体の動きに関する毛管、又はそれらの両方を含むことが望ましい。大寸法の開口は平均直径が0.55mmから1.2mmの間でよく、毛管の直径は50〜400ミクロンである。それらの間の全ての範囲が衛生の用途で使用される開口フィルムについても可能である。他の用途には他の直径が適している場合がある。有孔フォーミングスクリーンを、従来の真空形成法又は液圧成形法を用いて開口形成フィルムを製造するために使用することができる。さらに、本開示のフォーミングスクリーンは、フィルム及び他のウェブにテクスチャを与えるために型押しする際に有用である。
【0044】
本明細書に開示した実施例は、例示的なものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明の他の特徴は以下の通りである。
本発明によるフォーミングスクリーンは、ゴムの外面上に複数の微細スケールの構造をさらに有する。
本発明によるフォーミングスクリーンは、前記ゴムに接合された支持層をさらに有する。
前記支持層がプラスチック及び金属から選択される。
前記スクリーンが円筒形であり、前記ゴム層が前記円筒の外面上にある。
前記支持層が、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、アセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択されるプラスチックである。
前記プラスチック層がアセタール樹脂製であり、前記ゴム層がエボナイトゴム及び水素化ニトリルブタジエン・ゴムから選択される。
前記プラスチック層が、シアノアクリレート接着剤によって前記ゴム層と接合される。
前記支持層が、アルミニウム、ニッケル、銅、冷間圧延鋼、炭素鋼、ステンレス鋼、非鉄金属、上記のいずれかの金属の合金、及びそれらの混合物から選択される金属である。
前記金属層がアルミニウム製であり、前記ゴム層がエボナイトゴム及び水素化ニトリルブタジエン・ゴムから選択される。
前記ゴム層が、加硫天然ゴム、ネオプレン、シリコーン、フルオロエラストマー、ウレタン、エチレンプロピレンジエンのMクラス(「EPDM」)のゴム、水素化ニトリルブタジエン・ゴム、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択される天然ゴム又は合成ゴムを含む。
熱伝導性材料が前記ゴム中に分散している。
又、本発明によるフォーミングスクリーン作製方法は、フォーミングスクリーンをその外面上にゴムがある円筒に成形するステップをさらに含む。
前記フォーミングスクリーンを円筒にするように成形して、その後前記ゴム層を前記支持層に接合する。
内部に表面段差を形成するように前記フォーミングスクリーンをレーザ彫刻するステップをさらに含む。
前記支持層が金属及びプラスチックから選択される。
前記プラスチック層が、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、アセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択される樹脂を含む。
前記プラスチック層がアセタール樹脂製であり、前記ゴム層がエボナイトゴム及び水素化ニトリルブタジエン・ゴムから選択される。
前記プラスチック層が前記ゴム層にシアノアクリレート接着剤によって接合される。
前記ゴム層が、加硫天然ゴム、ネオプレン、シリコーン、フルオロエラストマー、ウレタン、エチレンプロピレンジエンのMクラス(「EPDM」)のゴム、水素化ニトリルブタジエン・ゴム、並びにそれらの混合物及びブレンドから選択される天然ゴム又は合成ゴムを含む。
多孔性マンドレル上の金属箔層を覆うようにゴム層を貼付し、次いで、前記ゴム層を穿孔するステップを含む。
前記金属箔層がニッケル、アルミニウム、又は他の薄い金属から構成され、前記金属箔層が無孔のままである。
前記ゴムが前記金属層に張り付くことができないように、ポリマー・フィルムの層が前記金属層と前記ゴム層との間に貼付される。
前記無孔金属箔層が前記フォーミングスクリーンを取り除くために拡張するように、前記多孔性マンドレルに内部空気圧が加えられる。
前記箔層及びスクリーンが前記多孔性マンドレルから取り除かれた後で、前記箔層及び任意の残りの加工品が取り除かれて、滑らかな内面が残る。
【符号の説明】
【0045】
10 フォーミングスクリーン
12 円筒形の部材
14 内層
16 外層
18 開口、穿孔
110 フォーミングスクリーン
112 平面部材
114 内層
116 外層
118 穿孔、開口
120 微細スケールの段差
212 表面
216 ゴム層
218 穿孔、貫通孔
220 微細スケールの段差
221 多孔性マンドレル
222 金属層、金属箔層
223 ポリマー・フィルム層、保護フィルム層
222 箔層