(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物(A)と、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、テフルトリン、シラフルオフェン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを有効成分として含有する殺害虫性組成物(但し、ホスチアゼートとテフルトリンとの組合せを除く)。
有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジン、ジノテフラン及びチアメトキサムからなる群より選ばれる少なくとも1種のネオニコチノイド系化合物である、請求項1に記載の殺害虫性組成物。
有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾイルウレア系化合物である、請求項1に記載の殺害虫性組成物。
有機リン系化合物(A)がイミシアホスであり、化合物(B)がクロチアニジン、ジノテフラン及びチアメトキサムからなる群より選ばれる少なくとも1種のネオニコチノイド系化合物である、請求項1に記載の殺害虫性組成物。
有機リン系化合物(A)がイミシアホスであり、化合物(B)がテフルトリン及びシラフルオフェンからなる群より選ばれる少なくとも1種のピレスロイド系化合物である、請求項1に記載の殺害虫性組成物。
有機リン系化合物(A)がイミシアホスであり、化合物(B)がクロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾイルウレア系化合物である、請求項1に記載の殺害虫性組成物。
ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、テフルトリン、シラフルオフェン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)の殺害虫有効量とを施用する害虫を防除する方法(但し、ホスチアゼートとテフルトリンとの組合せを除く)。
ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、テフルトリン、シラフルオフェン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)の殺害虫有効量とを害虫又は害虫の生息場所に施用して害虫を防除する、請求項11に記載の方法(但し、ホスチアゼートとテフルトリンとの組合せを除く)。
有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジン、ジノテフラン及びチアメトキサムからなる群より選ばれる少なくとも1種のネオニコチノイド系化合物である、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ホスチアゼート(fosthiazate)及びイミシアホス(imicyafos)には、各々光学異性体が存在するが、本発明の化合物Aとしては、光学活性体、ラセミ体の双方が含まれる。
【0009】
本発明の化合物Bにおいて、クロチアニジン(clothianidin)、ジノテフラン(dinotefuran)及びチアメトキサム(thiamethoxam)はネオニコチノイド系化合物である。テフルトリン(tefluthrin)及びシラフルオフェン(silafluofen)はピレスロイド系化合物である。クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)及びテフルベンズロン(teflubenzuron)はベンゾイルウレア系化合物である。
【0010】
化合物Aと化合物Bの混合比率は、製剤形態、施用方法、気象条件、防除対象害虫の種類や発生状況などに応じ適宜調整する必要があり一概に定めることはできないが、例えば重量比で1:0.01〜1:20であり、望ましくは1:0.04〜1:10である。特に化合物Aがホスチアゼートであり、化合物Bがクロチアニジンの場合の混合比率は、重量比で1:0.01〜1:10であるのが望ましく、1:0.02〜1:7であるのがさらに望ましい。
【0011】
本発明の殺害虫性組成物は、例えば10〜10,000ppm、望ましくは100〜5,000ppmの有効成分濃度で施用することができる。有効成分濃度は、化合物Aと化合物Bの混合比率、製剤形態、施用方法、気象条件、防除対象害虫の種類や発生状況などに応じ適宜調整することができる。
単位面積あたりの化合物Aと化合物Bの施用量(殺害虫有効量)は、前述と同様一概に定めることはできないが、例えば化合物Aは500〜10,000g/ha、望ましくは750〜5,000g/haであり、化合物Bは100〜10,000g/ha、望ましくは200〜5,000g/haである。
【0012】
本発明の殺害虫性組成物を施用する際は、害虫への施用又は害虫の生息場所への施用のいずれを選択してもよい。また、土壌への施用を選択することもできる。そして、土壌混和処理、植穴処理、植溝処理、潅注処理などのような種々の散布形態を選択することができる。
また、作物の種子や球根などに対する浸漬処理、塗布処理や、粉衣処理などのような散布形態を選択することもできる。また、本発明においては、化合物Aと化合物Bの殺害虫有効量を前述の散布形態に従って施用することができ、その際化合物Aと化合物Bは同時に施用してもよく、或はいずれか一方を施用した後に他方を施用してもよい。
【0013】
本発明の殺害虫性組成物は、線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類、アザミウマ目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、隠翅目害虫、シラミ目害虫、等翅目害虫、半翅目害虫、ワラジムシ類、ムカデ類、ヤスデ類などの各種害虫を防除することができる。
本発明の殺害虫性組成物は、特に農園芸作物および樹木などを土壌中で加害する害虫や、農園芸作物や樹木の種子を加害する害虫、例えば、前記線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類、半翅目害虫などの防除に有効である。
また、本発明の殺害虫性組成物を土壌に処理することにより、土壌中に生息する害虫、並びに、地上部に生息する害虫の同時防除が可能となる。また、この方法では、有効成分の施用量及び施用回数が低減され、且つ持続効果が長いため、総合的に省力化された防除方法が提供できる。
各種害虫の具体例を以下に示す。
【0014】
線虫類としては、ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、チャネグサレセンチュウ(Pratylenchus loosi)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のネグサレセンチュウ類;ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)等のシストセンチュウ類;キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)等のネコブセンチュウ類;イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴセンチュウ(Aphelenchoides fragarieae)等のアフェレンコイデス類;イシュクセンチュウ類;ワセンチュウ類;ピンセンチュウ類;ロンギドルス類;トリコドルス類;イチゴメセンチュウ;マツノザイセンチュウなどが挙げられる。
【0015】
等脚類としては、ダンゴムシ、ワラジムシなどが挙げられる。
【0016】
鞘翅目害虫としては、ウエスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類;ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類;メイズウィービル(Sitophiluszeamais)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、アリモドキゾウムシ(Cylas formicarius)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera pastica)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類;オキナワカンシャクシコメツキ(Melanotus okinawensis)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes ogurae fusciollis)、クシコメツキ(Melanotus legatus)等のハリガネムシ類;チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類;ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)等のハムシ類;ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ類;ナガシンクイムシ類;アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等が挙げられる。
【0017】
鱗翅目害虫としては、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、シバツトガ(Parapediasia teterrella)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類;ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類;モンシロチョウ(Pierisrapae)等のシロチョウ類;アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類;モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類;リオネティア属等のハモグリガ類;リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類;コナガ(Plutellaxylostella)等のスガ類;ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等のキバガ類;アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等が挙げられる。
【0018】
腹足類としてはマイマイ、ナメクジなどが挙げられる。
【0019】
直翅目害虫としては、ケラ、バッタ、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)などが挙げられる。
【0020】
植物寄生性ダニ類としては、ナミハダニ、ニセナミハダニ、ミカンハダニ、ネダニなどが挙げられる。
【0021】
アザミウマ目害虫としては、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ハナアザミウマ(Thrips hawaiiensis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、カキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi)等が挙げられる。
【0022】
双翅目害虫としては、アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等のイエカ類;Aedes aegypti、Aedes albopictus等のエーデス属;Anopheles sinensis等のアノフェレス属;ユスリカ類;イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類;クロバエ類;ニクバエ類;ヒメイエバエ類;タネバエ(Deliaplatura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類;マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類;ミバエ類;ショウジョウバエ類;チョウバエ類;ブユ類;アブ類;サシバエ類等が挙げられる。
【0023】
膜翅目害虫としては、アリ類;アシナガバチ類;スズメバチ類;アリガタバチ類;カブラハバチ(Athalia rosae)等のハバチ類;チュウレンジハバチ(Arge pagana)等のミフシハバチ類等が挙げられる。
【0024】
隠翅目害虫としては、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)等が挙げられる。
【0025】
シラミ目害虫としては、コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ(Phthirus pubis)、ヒトジラミ等が挙げられる。
【0026】
等翅目害虫としては、ヤマトシロアリ、イエシロアリなどが挙げられる。
【0027】
半翅目害虫としては、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類;ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類;ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ミカンミドリアブラムシ(Aphis citricola)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis pserudobrassicae)、ナシミドリオオアブラムシ(Nippolachnus piri)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera ciidius)等のアブラムシ類;アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)等のカメムシ類;オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類;アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、オリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、ミカンノカキカイガラムシ(Lepidosaphes beckii)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類;グンバイムシ類;キジラミ類等が挙げられる。
【0028】
ワラジムシ類としては、ワラジムシ(Porcellio scaber)、ホソワラジムシ(Porcellionides pruinosus)、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等が挙げられる。
【0029】
ムカデ類としては、トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)、アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)、アカズムカデ(Scolopendra subspinipes multidens)、ゲジ(Thereuopoda hilgendorfi)等が挙げられる。
【0030】
ヤスデ類としては、ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、オビババヤスデ(Parafontarialaminata laminata)等が挙げられる。
【0031】
本発明の殺害虫性組成物は、他の農薬、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物成長調整剤などと混用、併用することができ、この場合に一層優れた効果を示すことがある。例えば適用害虫の範囲、薬剤処理の時期、殺害虫活性等を、より好ましい方向へ改良できる場合がある。
【0032】
本発明の殺害虫性組成物は、有効成分である化合物A又は化合物Bを、通常の農薬の製剤方法に準じて各種補助剤と配合し、粉剤、微粒剤F、微粒剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(水溶性フィルムで包装する形態を含む)、マイクロカプセル剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、マイクロエマルジョン製剤、サスポエマルジョン製剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤などの種々の形態に製剤調製し、施用することができる。すなわち、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。
なお、前記した土壌への施用のうち、土壌混和処理、植穴処理及び植溝処理は、粉剤、微粒剤F、微粒剤、粒剤錠剤又は丸剤の製剤形態で行うのが望ましい。
また、潅注処理は、顆粒水和剤、水和剤、マイクロカプセル剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤又は液剤の製剤形態で行うのが望ましい。
製剤調製に際しては、化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し製剤調製しても、或はそれらを別々に製剤調製し施用時に混合してもよい。
【0033】
製剤に使用する補助剤としては、カオリナイト、セリサイト、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、アルミナ、硫黄粉末、澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳のような固形担体;水、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキサン、ソルベントナフサ、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ケロシン、灯油、クロロホルム、クロロベンゼン、酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコール、エチレングリコールのような溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンのような植物油や鉱物油などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもできる。例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、発泡剤、崩壊剤、結合剤などの通常使用される各種補助剤も使用することができる。
本発明の殺害虫性組成物における有効成分と各種補助剤との配合割合は、重量%比で0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10程度とすることができる。
【0034】
本発明の殺害虫性組成物の施用方法は、種々の方法を採用でき、施用場所、製剤形態、防除対象害虫の種類や生育状況などの各種条件に応じて適宜使い分けることができる。例えば以下のような方法が挙げられる。
1.化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製したものをそのまま施用する。
2.化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製したものを水等で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
3.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製し、各々をそのまま施用する。
4.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製し、必要に応じて各々を水等で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して、各々施用する。
5.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製したものを水等で所定濃度に希釈する時に混合し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
【0035】
本発明の殺害虫性組成物及び害虫の防除方法は、害虫防除に関して共力的作用を有する。この共力的作用は、各薬剤の有する各種害虫防除特性からは予測し得ない相乗効果に基づくものであり、本発明の有用性は、各薬剤を単独で使用するよりも、害虫防除効果、特に土壌中の害虫防除力が明らかに増強され、即効的な効果が付与されることもある。2種の有効成分を組み合わせた場合の防除活性が、その2種の有効成分各々の防除活性から期待される防除活性よりも優れている場合、これを相乗効果という。2種の有効成分の組合せにより期待される活性は、コルビーの式(Colby S.R.、「Weed」15巻、20〜22頁、1967年を参照)に基づいて計算することができる。
【0036】
本発明の望ましい態様を以下に記載するが、本発明はこれらの記載に基づき限定して解釈されるものではない。
(1)ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物(A)と、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、テフルトリン、シラフルオフェン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを有効成分として含有する殺害虫性組成物(但し、ホスチアゼートとテフルトリンとの組合せを除く)。
(2)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートである、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(3)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジン、ジノテフラン及びチアメトキサムからなる群より選ばれる少なくとも1種のネオニコチノイド系化合物である、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(4)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジン又はチアメトキサムである、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(5)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジンである、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(6)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がチアメトキサムである、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(7)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がシラフルオフェンである、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(8)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾイルウレア系化合物である、(1)に記載の殺害虫性組成物。
【0037】
(9)有機リン系化合物(A)がイミシアホスである、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(10)有機リン系化合物(A)がイミシアホスであり、化合物(B)がクロチアニジン、ジノテフラン及びチアメトキサムからなる群より選ばれる少なくとも1種のネオニコチノイド系化合物である、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(11)有機リン系化合物(A)がイミシアホスであり、化合物(B)がテフルトリン及びシラフルオフェンからなる群より選ばれる少なくとも1種のピレスロイド系化合物である、(1)に記載の殺害虫性組成物。
(12)有機リン系化合物(A)がイミシアホスであり、化合物(B)がクロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種のベンゾイルウレア系化合物である、(1)に記載の殺害虫性組成物。
【0038】
(13)ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、テフルトリン、シラフルオフェン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)の殺害虫有効量とを施用して害虫を防除する方法(但し、ホスチアゼートとテフルトリンとの組合せを除く)。
(14)ホスチアゼート及びイミシアホスからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム、テフルトリン、シラフルオフェン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン及びテフルベンズロンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)の殺害虫有効量とを、害虫又は害虫の生息場所に施用して害虫を防除する、(13)に記載の方法(但し、ホスチアゼートとテフルトリンとの組合せを除く)。
(15)有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、化合物(B)の殺害虫有効量とを、土壌に施用して害虫を防除する、(13)又は(14)に記載の方法。
(16)土壌混和処理、植穴処理、植溝処理又は潅注処理により土壌に施用して害虫を防除する、(15)に記載の方法。
(17)土壌混和処理により土壌に施用して害虫を防除する、(15)に記載の方法。
(18)有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、化合物(B)の殺害虫有効量とを、土壌混和処理し、土壌に生息する害虫を防除し、作物を播種又は定植した後、更に作物に有機リン系化合物(A)及び化合物(B)を取り込ませて、作物の地上部に生息する害虫を防除する、(13)に記載の方法。
(19)作物の種子又は球根に対して、有機リン系化合物(A)の殺害虫有効量と、化合物(B)の殺害虫有効量とを浸漬処理、塗布処理又は粉衣処理することにより、土壌に施用して害虫を防除する、(13)〜(15)に記載の方法。
(20)害虫が線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類、アザミウマ目害虫、双翅目害虫、膜翅目害虫、隠翅目害虫、シラミ目害虫、等翅目害虫、半翅目害虫、ワラジムシ類、ムカデ類及びヤスデ類からなる群から選択される少なくとも1種である、(13)〜(19)に記載の方法。
(21)害虫が線虫類、等脚類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫、腹足類、直翅目害虫、植物寄生性ダニ類及び半翅目害虫からなる群から選択される少なくとも1種である、(20)の方法。
(22)害虫が線虫類、鞘翅目害虫、鱗翅目害虫及び植物寄生性ダニ類からなる群から選択される少なくとも1種である、(21)に記載の方法。
(23)土壌中に生息する害虫、並びに、地上部に生息する害虫を1回の薬剤施用で防除する、(13)〜(22)に記載の方法。
(24)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジン、ジノテフラン及びチアメトキサムからなる群より選ばれる少なくとも1種のネオニコチノイド系化合物である、(13)〜(23)に記載の方法。
(25)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジン又はチアメトキサムである、(13)〜(23)に記載の方法。
(26)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がクロチアニジンである、(13)〜(23)に記載の方法。
(27)有機リン系化合物(A)がホスチアゼートであり、化合物(B)がチアメトキサムである、(13)〜(23)に記載の方法。
【実施例】
【0039】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの記載に限定
して解釈されるものではない。
試験例1
蒸気滅菌水田土と砂とを容積比1:1で混合した砂壌土1リットルを、1/1,000,000haポットに入れ、所定量の供試薬剤を添加混合した。薬剤添加直後に、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)汚染土壌500ミリリットルを各々のポットに接種し、充分混和後トマト(品種:イエローペアー)苗を移植した。移植33〜35日後に線虫のネコブ着生程度(0〜100%着生)を肉眼で調査した。試験は2連制で行った。
試験結果として、薬剤無処理区のネコブ着生程度を100とした場合のネコブ着生指数を第1表〜第3表に示す。また、前述のコルビーの式により求めた理論値を各表の( )内に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
試験例2
蒸気滅菌水田土と砂とを容積比1:1で混合した砂壌土1リットルを、1/1,000,000haポットに入れ、所定量の供試薬剤を添加混合した。ナミハダニ(黄緑系)の成虫30頭を寄生させたナス(品種:千両2号)の苗を移植し、温室にて5日間育苗し、薬剤を各々のポットに接種した。薬剤処理14日後に、各ポットに寄生するナミハダニの頭数を調査した。試験は3連制で行った。試験の結果を第4表に防除価(%)で示した。また、コルビーの式により求めた理論値を第4表の( )内に示す。
なお、防除価(%)は下記の式により算出した。
防除価(%)=(1−(処理区の寄生虫数)/(無処理区の寄生虫数))×100
【0044】
【表4】
【0045】
試験例3
砂、非滅菌土及び滅菌土を容積比1:1:1で混合した砂壌土を、1/500,000haポットに入れ、所定量の供試薬剤を充分混和処理した。そこにキャベツ(品種:おきな)の3葉期苗を移植し、温室にて11日間育苗し、キャベツの第4葉目を切り、ハスモンヨトウの2齢幼虫各10頭を接種、4日後に生存個体数を調査し、試験例2と同様に防除価を求めた。試験は3連制で行った。試験の結果を第5表に防除価で示した。また、コルビーの式により求めた理論値を第5表中の( )内に示す。なお、ホスチアゼートとイミダクロプリドの組み合わせについては、比較例として試験を行った。
【0046】
【表5】
【0047】
試験例4
有効成分量が所定量となるように、ホスチアゼートの粒剤とクロチアニジンの粒剤を混合し、圃場の土壌表面に散粒し、小型ロータリーを用いて、十分混和した。ダイコン種子を播種し、処理36日後にキスジノミハムシ幼虫による根部の加害程度を程度別に調査し、次式により被害度を求めた。試験の結果を第6表に防除価で示した。また、コルビーの式により求めた理論値を第6表の( )内に示す。なお、ホスチアゼートの粒剤とイミダクロプリドの粒剤の組み合わせについては、比較例として試験を行った。
被害程度別(無:0、小:1、中:2、大:3、甚:4)
被害度={Σ(被害度指数×被害程度別調査個数)/(全調査個数×4)}×100
【0048】
【表6】