(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150797
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】放射線映像システム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/24 20060101AFI20170612BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/00 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/02 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/56 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/61 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/68 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/74 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/79 20060101ALI20170612BHJP
C09K 11/84 20060101ALI20170612BHJP
G03G 5/04 20060101ALI20170612BHJP
G03G 5/05 20060101ALI20170612BHJP
G03G 5/06 20060101ALI20170612BHJP
G03G 5/147 20060101ALI20170612BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20170612BHJP
H01L 31/08 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
G01T1/24
A61B6/00 300Q
A61B6/00 300S
C09K11/00 B
C09K11/02
C09K11/08 G
C09K11/56CPC
C09K11/61CPR
C09K11/68CPT
C09K11/74CQC
C09K11/79CPF
C09K11/84CPD
G03G5/04
G03G5/05 104A
G03G5/06 312
G03G5/06 314B
G03G5/06 322
G03G5/06 340
G03G5/06 371
G03G5/06 376
G03G5/06 384
G03G5/147
H01L27/14 K
H01L31/00 A
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-523847(P2014-523847)
(86)(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公表番号】特表2014-534408(P2014-534408A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】KR2012006154
(87)【国際公開番号】WO2013019077
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年1月29日
【審判番号】不服2016-2458(P2016-2458/J1)
【審判請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/514,089
(32)【優先日】2011年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/514,116
(32)【優先日】2011年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/514,121
(32)【優先日】2011年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513303186
【氏名又は名称】ビューワークス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ヒョン ソク
【合議体】
【審判長】
伊藤 昌哉
【審判官】
森 竜介
【審判官】
松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−12982(JP,A)
【文献】
特開2006−208158(JP,A)
【文献】
特開2003−282854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/24
A61B 6/00
C09K 11/00 - 11/84
G03G 5/04 - 5/06
G03G 5/147
H01L 27/144
H01L 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線映像システムであって、
a)放射線変換層と、
b)前記放射線変換層上にある上部電極と、
c)前記放射線変換層に電気的にカップリングされたピクセル単位のアレイとを含み、
前記放射線変換層は、電荷輸送物質(CTM)を含む有機マトリックスと、放射線を吸収するための閃光粒子とを含み、前記有機マトリックス内には、表面の一部もしくは全部が電荷発生物質(CGM)で被覆された前記閃光粒子が分散され、
前記電荷発生物質(CGM)は、オキシチタンフタロシアニン、キノリン、ポルフィリン、キナクリドン、ジブロモアンタントロン顔料、スクアリリウム染料、ペリレンジアミン、ペリノンジアミン、多核芳香族キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、アゾ顔料、トリフェニルメタン型染料、セレン、オキシバナジウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、オキシチタンフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、金属非含有フタロシアニン、インジゴ型顔料、及びこれらの調合物のうちの少なくとも1つであり、
電荷発生物質(CGM)対電荷輸送物質(CTM)の重量比が10:90ないし80:20であることを特徴とする放射線映像システム。
【請求項2】
前記閃光粒子と接触されている前記電荷発生物質(CGM)は、前記有機マトリックス内で前記電荷輸送物質(CTM)との混合物の形態で存在することを特徴とする請求項1に記載の放射線映像システム。
【請求項3】
前記閃光粒子上に被覆された前記電荷発生物質(CGM)の厚さは、前記閃光粒子から放出された閃光の光の20%以上を吸収するのに十分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線映像システム。
【請求項4】
前記閃光粒子は、オキシ硫化ガドリニウム(GOS)、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)、硫化亜鉛(ZnS)、タングステン酸カドミウム(CdWO4またはCWO)、LYSO(Lu1.8Y0.2SiO5(Ce))のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項5】
前記閃光粒子は、ユーロピウム、テルビウム(Tb)、プラセオジウム(Pr)及びリチウム(Li)のうちの少なくとも1つを含むドーパントでドーピングされることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項6】
前記ドーピングされた閃光粒子の放出スペクトラムは、前記電荷発生物質(CGM)の吸収スペクトラムの範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の放射線映像システム。
【請求項7】
前記電荷輸送物質(CTM)は、4、4’−TPD(トリフェニルアミンダイマー)、9−ジシアンメチレン−2、4、7−トリニトロフルオレン、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジ(4−メチル−フェニル)−ベンジジン、N、N’−ジ(ナフタリン−2−イル)−N、N’−ジ(3−メチル−フェニル)−ベンジジン、4、4’−(1、2−エタンジイリデン)−ビス(2、6−ジメチル−2、5−サイクロヘキサジエン−1−オン)、2−(1、1−ジメチルエチル)−4−[3−(1、1−ジメチルエチル)−5−メチル−4−ヨード−2、5−サイクロヘキサ−ジエン−1−イリデン]−6−メチル−2、5−サイクロヘキサジエン−1−オン、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジ(3−メチル−フェニル)−ベンジジン、ポリ(3−オクチルチオペン−2、5−ジイル)、ポリ(3−デシルチオペン−2、5−ジイル)、N−ビフェニリル−N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)−アミン、4−N、N−ビス(4−メチルフェニル)−アミノ−ベンズアルデハイド−N、N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジフェニルアミノ−ベンズアルデハイド−N−フェニル−メチル−ヒドラゾン、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1、1’−ビフェニル−4、4’−ジアミン、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−1、1’−ビフェニル−4、4’−ジアミン、N、N、N’N’−テトラ(4−メチルフェニル)−(1、1’−ビフェニル)−4、4’−ジアミン、4、4’−(3、4−ジメチルフェニルアザンジイル)ビス(4、1−フェニレン)ジメタノール、N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−N、N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−1、1’−トフェニル−4、4−ジアミン、及びこれらの調合物のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項8】
前記閃光粒子の平均直径が1〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項9】
前記有機マトリックス中の前記閃光粒子の体積パーセントが10体積%ないし95体積%であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項10】
前記放射線は、X線、ガンマ線及びイオン化放射線からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項11】
前記放射線変換層は、5μmないし2000μmの厚さを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項12】
前記放射線変換層と前記上部電極との間に電荷注入遮断層をさらに含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項13】
前記ピクセル単位のアレイは、前記放射線変換層のピクセル領域に電荷信号を収集するための電荷収集電極と、前記電荷収集電極に接続され、前記電荷収集電極により収集された電荷信号を蓄積するための信号蓄積キャパシタと、前記電荷収集電極に接続され、前記電荷収集電極上の電荷信号を電圧信号に変換して前記電圧信号を信号線に伝送するトランジスタと、を含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【請求項14】
前記閃光粒子の大きさは、放射線映像検出器のピクセルの大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1から13のいずれか1つに記載の放射線映像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線映像システムに関し、特に本発明は放射線を吸収し、吸収された放射線に比例して電荷を生成する放射線変換層であって、新規組成物を用いる放射線映像システム(RADIATION IMAGING SYSTEM)に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な医療診断プロセスは、銀ハロゲンフィルム上にX線映像パターンを記録する。これらのシステムは、研究対象患者を介して呼出用X線放射線の初期の均一なパターンを誘導し、X線放射線強化スクリーンによってX線放射線の結果的な映像方式変造パターン(image−wise modulated pattern)を横取りして、強化されたパターンを銀ハロゲンフィルムに記録し、この潜在的な放射線パターンをラジオグラム(radiogram)と呼ばれる永久的な可視映像に化学的に変換させる。
【0003】
ラジオグラムは、また電荷の映像方式変造パターンであって、ラジオグラフィック映像を直接キャプチャするために放射線感応性物質の層を用いて生成される。入射されるX線放射線の強度に応じて、ピクセル化領域内のX線放射線により電気的あるいは光学的に発生された電荷は分離された固体状態放射線センサの規則的に配列されたアレイを用いて陽子化する。アメリカ特許第5、319、206号(発明者;Leeなど、公告日:1994年6月7日、E.I.du Pont de Nemours and Companyに譲渡される)は、薄膜トランジスタなどのような電気−感応性素子によって対応するアナログピクセル(画素)値で今後に変換される一対の電子−正孔の映像方式変造領域分布を作成するために光伝導性物質の層を用いるシステムを記載している。アメリカ特許第5、262、649号(Antonukなど)は、非晶質シリコンフォトダイオードなどのような感光性素子により電荷の対応する映像方式変造分布で、今後に変換する光子の映像方式変造分布を作成するために燐光体あるいは閃光物質の層を用いるシステムを記載している。これらの固体状態システムは銀ハロゲンフィルムの消費及び化学的処理なしに、X線放射線への繰り返された露光のために有用であるという利点を有する。
【0004】
アメリカ特許第5、319、206号(
図1)に記載の従来技術などのようなセレンなどのような光伝導性物質を用いるシステムにおいて、映像方式変調されたX線放射線への露光の前に、電位が上部電極(top electrode)1に印加されて適切な電界を提供する。X線放射線10への露光の間、一対の電子−正孔(−及び+で表示される)は、X線放射線の映像方式変造パターンの強度に応じて光伝導性層3で発生し、これらの一対の電子−正孔は高電圧電源12により供給された印加バイアス電界によって分離される。一対の電子−正孔は、光伝導性層3の対向する面に向けて電界線に従って反対方向に移動する。X線放射線露光後に、電荷映像がTFTアレイ7Aの蓄積キャパシタ8に蓄積される。この映像電荷は、さらに薄膜トランジスタ7及び電荷統合増幅器(charge integrating amplifier)6の直交アレイによって読み出しされる。この類型の直接変換システムは、X線変換光伝導性層の厚さと多少無関に高い空間解像度を維持する別個の利点を有する。しかし、現在、非常に制限数の直接変換光電導体だけが商業的な製品のために用いられる。最も人気があって技術的に円熟した物質は、X線により発生した正孔と電子の両方に対する好適な電荷輸送特性を有する非晶質セレンである。しかし、原子番号34を有するセレンは、典型的に30Kev以下の低いエネルギー範囲で、単に好適なX線吸収を有する。より高エネルギーX線のために、セレンの吸収係数はより一層小さくなって、より厚い層のセレンが適切なX線キャプチャのために要求される。好適な画質の非晶質セレンの製造の複雑性及び困難性はセレン厚さの強力な機能であるので、今まで成功的なX線映像製品は、マンモグラフィ、低エネルギーX線結晶学、低エネルギー非破壊検査などのような低エネルギーX線応用に制限されている。
【0005】
非晶質シリコンフォトダイオードなどのような感光性素子の電荷の対応する映像方式変造分布として、今後に変換される光子の映像方式変造分布を作成するために燐光体あるいは閃光物質の層を用いるシステムにおいて、吸収されたX線により発生した閃光は、光感応性映像化素子によって検出される前に多数が散乱され、広く散らばることになる。燐光体類型は、より高いX線吸収係数のために、ガドリニウム(原子番号64)、セシウム(原子量133)、ヨード(53)、ランタン(57)、テルビウム(57)、バリウム(56)などのような、より高い原子番号分子を含むように採択されることができる。しかし、閃光の散乱のため、この類型の間接的変換X線検出器は、セレンなどのような直接変換類型に比べてより低い空間解像度をもたらす、高い点拡散機能を有する。
【0006】
したがって、放射線吸収媒体の厚さに関係なく、高い空間解像度を維持するだけでなく、広い放射線エネルギー範囲にかけて適切な放射線吸収を有する放射線映像システムを設計することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】アメリカ特許第5、319、206号明細書
【特許文献2】アメリカ特許第5、262、649号明細書
【発明の概要】
【0008】
一実施形態は、放射線変換層と、前記放射線変換層上にある上部電極と、前記放射線変換層に電気的にカップリングされたピクセル単位のアレイを含む放射線映像システムに関し、そこで、前記放射線変換層は、電荷輸送物質(charge transport material:CTM)を含む有機マトリックスと、前記有機マトリックス内に分散されている、放射線を吸収するための閃光粒子とを含み、前記閃光粒子は、電荷発生物質(charge generation material:CGM)と接触されている。
【0009】
前記閃光粒子と接触されている前記電荷発生物質(CGM)は、前記有機マトリックス内において前記電荷輸送物質(CTM)との混合物の形態で存在することができる。
【0010】
前記閃光粒子は、部分もしくは全体表面で電荷発生物質(CGM)に被覆される。
【0011】
前記閃光粒子上に被覆された前記電荷発生物質の厚さは、前記閃光粒子から放出された閃光の光の約20%以上を吸収するのに十分とすることができる。
【0012】
前記閃光粒子は、オキシ硫化ガドリニウム(GOS)、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ゲルマニウム酸ビスマス(bismuthgermanate)(BGO)、硫化亜鉛(ZnS)、タングステン酸カドミウム(CdWO
4またはCWO)、LYSO(Lu
1.8Y
0.2SiO
5(Ce))などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0013】
前記閃光粒子は、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、プラセオジウム(Pr)及びリチウム(Li)、そしてこれらの調合物を含むドーパントにドーピングされる。
【0014】
前記ドーピングされた閃光粒子の放出スペクトラムは、前記CGM物質の吸収スペクトラムの範囲内とすることができる。
【0015】
前記電荷発生物質は、キノリン、ポルフィリン、キナクリドン、ジブロモアンタントロン顔料、スクアリリウム染料、ペリレンジアミン、ペリノンジアミン、多核芳香族キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、アゾ顔料、トリフェニルメタン型染料、セレン、オキシバナジウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、オキシチタンフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、金属非含有フタロシアニン、インジゴ型顔料を含むが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0016】
前記電荷輸送物質は4、4’−TPD(トリフェニルアミンダイマー)、9−ジシアンメチレン−2、4、7−トリニトロフルオレン、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジ(4−メチル−フェニル)−ベンジジン、N、N’−ジ(ナフタリン−2−イル)−N、N’−ジ(3−メチル−フェニル)−ベンジジン、4、4’−(1、2−エタンジイリデン)−ビス(2、6−ジメチル−2、5−サイクロヘキサジエン−1−オン)、2−(1、1−ジメチルエチル)−4−[3−(1、1−ジメチルエチル)−5−メチル−4−ヨード−2、5−サイクロヘキサ−ジエン−1−イリデン]−6−メチル−2、5−サイクロヘキサジエン−1−オン、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジ(3−メチル−フェニル)−ベンジジン、ポリ(3−オクチルチオペン−2、5−ジイル)、ポリ(3−デシルチオペン−2、5−ジイル)、N−ビフェニリル−N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)−アミン、4−N、N−ビス(4−メチルフェニル)−アミノ−ベンズアルデハイド−N、N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジフェニルアミノ−ベンズアルデハイド−N−フェニル−メチル−ヒドラゾン、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1、1’−ビフェニル−4、4’−ジアミン、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−1、1’−ビフェニル−4、4’−ジアミン、N、N、N’N’−テトラ(4−メチルフェニル)−(1、1’−ビフェニル)−4、4’−ジアミン、4、4’−(3、4−ジメチルフェニルアザンジイル)ビス(4、1−フェニレン)ジメタノール、N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−N、N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−1、1’−トフェニル−4、4−ジアミンを含むが、これらに限定されるものではない。これらの電荷輸送物質は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0017】
CGM対CTMの重量比は、約1:99ないし約95:5とすることができる。
【0018】
前記閃光粒子の平均直径が約1〜100μmの範囲内とすることができる。
【0019】
前記有機マトリックス中の閃光粒子の体積パーセントは、約10体積%ないし約95体積%とすることができる。
【0020】
前記放射線は、X線、ガンマ線及びイオン化放射線からなる群から選択された少なくとも1つとすることができる。
【0021】
前記放射線変換層は、約5μmないし約2000μmの厚さを有することができる。
【0022】
前記放射線映像システムは、前記放射線変換層と前記上部電極との間に電荷注入遮断層をさらに含むことができる。
【0023】
前記ピクセル単位のアレイは、前記放射線変換層のピクセル領域に電荷信号を収集するための電荷収集電極、前記電荷収集電極に接続され、前記電荷収集電極により収集された電荷信号を蓄積するための信号蓄積キャパシタ、及び前記電荷収集電極に接続され、前記電荷収集電極上の電荷信号を電圧信号に変換し、該当の電圧信号を信号線に伝送するトランジスタを含むことができる。
【0024】
前記閃光粒子の大きさは、前記放射線映像検出器のピクセル大きさよりも小さくてよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の前記及びその他の特性は、添付図面を参照しながら以下の実施形態の詳細な説明から明確にすることができる。
【0026】
【
図1】例示的な実施形態による放射線変換層を例示した概路図である。
【
図2】他の例示的な実施形態による放射線変換層を例示した概路図である。
【
図3】例示的な実施形態による放射線映像システムを例示した概路図である。
【
図4】実施例に用いられる実験セットアップの概路図である。
【
図5】実施例において1、000ボルトの正バイアス(positive bias)が印加された場合のオシロスコープ信号を示す図である。
【
図6】実施例において1、000ボルトの負バイアス(negative bias)が印加された場合のオシロスコープ信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、以下の詳細な説明により詳しく記載したが、この詳細な説明にはすべての実施形態ではなく、いくつかの代表的な実施形態が記載される。実際に本発明は多くの異なった形態に実現されることができ、本明細書に記述された実施形態に制限されると解釈されてはいけなく、むしろ、これらの実施形態は本発明の開示内容が適用可能である法的要件を満たすように提供される。
例示的な実施形態は添付図面を参照しながら以下に詳しく記載されているが、これらは異なった形態に実現されることができ、本明細書に記述された実施形態に制限されるものと解釈すべきである。むしろ、これらの実施形態は、本発明の開示内容が徹底的かつ完璧となって、当業者に本発明の範囲を十分に伝達することができる。
【0028】
図面において、層及び領域の寸法は例示の明確化のために誇張され得る。また、層あるいは要素が、異なる層あるいは基板「上」にあるものと言及された場合、これは該当の他の層あるいは基板上に直接あるか、または間に介在された層がまた存在することができる。また、層が他の層「下」にあるものと言及された場合、これはその下に直接あるか、1つ以上の間に介在された層がまた存在することができる。さらに、層が2つの層「間」にあるものと言及された場合、これは2つの層の間に、単に1つの層とすることができるか、または1つ以上の間に介在された層がまた存在することができる。同一の参照符号は明細書全文において同一の要素を指称する。
【0029】
当業者にて明白な詳細事項の説明は、本明細書において明確化のために省略される。
【0030】
当業者に明白な詳細事項の説明は、本明細書で明確化のために省略される。
【0031】
一実施形態は放射線映像システムに関する。放射線映像システムは、放射線変換層と、前記放射線変換層上にある上部電極と、前記放射線変換層に電気的にカップリングされたピクセル単位のアレイとを含み、前記放射線変換層は、有機マトリックス及び放射線を吸収する閃光粒子を含む。
【0032】
閃光粒子は有機マトリックスに分散される。
【0033】
閃光粒子は、電荷発生物質(CGM)と接触されている。例えば、閃光粒子は、部分もしくは全体表面で電荷発生物質(CGM)に被覆される。
【0034】
本明細書に用いられるように、「接触」との用語は、閃光粒子と電荷発生物質(CGM)が互いに密着している状態を形成することを意味する。1つの実施形態において、閃光粒子の全体表面は電荷発生物質(CGM)に覆われる。他の実施形態において、閃光粒子は電荷発生物質(CGM)で部分的に被覆される。他の実施形態において、閃光粒子は有機マトリックス内で電荷輸送物質(CTM)との混合物の形態で存在する電荷発生物質(CGM)と接触される。
【0035】
閃光粒子は、有機マトリックスの連続上に分散される。
【0036】
図1は、例示的な実施形態による放射線変換層を例示した概路図である。
図1に示すように、閃光粒子10は、有機マトリックス20内に分散されることができる。
【0037】
図2は、他の例示的な実施形態による放射線変換層を例示した概路図である。
図2に示すように、電荷発生物質(CGM)21に被覆された閃光粒子10は、有機マトリックス20内に分散されることができる。
【0038】
閃光粒子は放射線を吸収して吸収されたエネルギーに比例する強度に光パルスを生成する。高い原子番号を有する閃光粒子は、より高いエネルギーの放射線を効果的に吸収するのに最も適する。
【0039】
閃光粒子は、オキシ硫化ガドリニウム(GOS)、ヨウ化セシウム(CsI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)、硫化亜鉛(ZnS)、タングステン酸カドミウム(CdWO
4またはCWO)、LYSO(Lu
1.8Y
0.2SiO
5(Ce))を含むが、これらに限定されるものではない。これらの閃光粒子は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。これらのうちのオキシ硫化ガドリニウム(GOS)が好ましい。
【0040】
閃光粒子の大きさは、放射線映像検出器のピクセル大きさよりも小さくてよい。例えば、閃光粒子の平均直径は、約1〜100μm、例えば、約3〜50μmの範囲内とすることができる。この範囲内において、前記放射線映像システムは好適な解像度と低い雑音を有することができる。
【0041】
一実行例において、閃光粒子はドーパントにドーピングされることができる。ドーパントは、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、プラセオジウム(Pr)及びリチウム(Li)を含むが、これらに限定されるものではない。これらのドーパントは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。各閃光粒子の閃光スペクトラムは相違するドーピングによって異なり、適切な類型が電荷発生物質の吸収スペクトラムと整合されるように採択される。例えば、ドーピングされた閃光粒子の放出スペクトラムは電荷発生物質(CGM)の吸収スペクトラムの範囲内とすることができる。一実行例において、閃光粒子がオキシ硫化ガドリニウム(GOS)であり、電荷発生物質(CGM)がプタルロシアニン系化合物の場合、ドーパントはEuから採択されるが、その理由はEuドーピングされた閃光期(scintillator)の放出スペクトラムがプタルロシアニン系電荷発生物質(CGM)の吸収スペクトラムと整合するからである。
【0042】
有機マトリックスは、電荷輸送物質(CTM)を含む有機感光体(OPC)物質とすることができる。一実施形態において、有機マトリックスは電荷輸送物質(CTM)単独とすることができる。他の実施形態において、有機マトリックスは、電荷発生物質(CGM)と電荷輸送物質(CTM)との混合物とすることができる。
【0043】
電荷発生物質(CGM)は、有機マトリックス内で電荷輸送物質(CTM)と電気接触することができる。
【0044】
電荷発生物質が閃光粒子上に被覆された場合、該当の閃光粒子上に被覆された電荷発生物質の厚さは、閃光粒子から放出された閃光の光の約20%以上、好ましくは30%以上を吸収するのに十分とすることができる。
【0045】
電荷発生物質は、キノリン、ポルフィリン、キナクリドン、ジブロモアンタントロン顔料、スクアリリウム染料、ペリレンジアミン、ペリノンジアミン、多核芳香族キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、アゾ顔料、トリフェニルメタン型染料、セレン、オキシバナジウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、オキシチタンフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、金属非含有フタロシアニン、インジゴ型顔料を含むが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。例えば、2、9−ジベンジル−アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、フタロシアニン鉄(II)錯体、8、9、18、19−テトラクロロ−ビスベンズイミダゾール(2、1−a:1’、2’−b’)アントラ(2、1、9−def:6、5、10、d’e’f’)ジイソキノリン−6、16−ジオン(混合物w/シス−異性質体)、5、10、15、20−テトラフェニルポルフィンバナジル(IV)酸化物、2、9−ジ(トリデック−7−イル)−アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、2、9−ジ(ペント−3−イル)アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、2、9−ジベンジル−5、6、12、13−テトラクロロ−アントラ(2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’)ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、2、9−ジプロピル−アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、2、9−ジメチル−アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、2、9−ジベンジル−5、6、12、13−テトラクロロ−アントラ(2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’)ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、フタロシアニン鉛錯体、酸化チタン(IV)フタロシアニン、96%1、3−ジオキソラン中2%BM5(ポリビニルブチラル)結着剤を有する2%分散液、1−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−3−(4−ジメチルイモニウムサイクロヘキサ−2、5−ジエン−1−イリデン)−2−ヨウ素サイクロブテン−4−オレート、インジウム(III)フタロシアニンクロライド、1−(2、5−ジメチル−ピロル−3−イル)−3−(2、5−ジメチル−ピロリウム−3−イリデン)−サイクロブテン−2−オン−4−オレート、1−(1−ベンジル−キノリン−4−イリデンメチル)−3−(1−ベンジル−キノリウム−4−イル−メチレン)−2−ヨード−サイクロブテン−4−オレート、5、10、15、20−テトラフェニルポルフィン(金属非含有)、1−(4−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−フェニル)−3−(4−ジメチルイモニウム−2−ヒドロキシ−サイクロヘキサ−2、5−ジエン−1−イリデン)−2−ヨード−サイクロブテン−4−オレート、ビスベンズイミダゾール[2、1−a:2’、1’−a’]アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−10、21−ジオン(シス−異性質体との混合物)、酸化チタン(IV)フタロシアニン、5、10、15、20−テトラフェニルポルフィンコバルト(II)、1−(3、5−ジメチル−4−エチル−ピロル−2−イル)−3−(3、5−ジメチル−4−エチル−ピロリウム−2−イリデン)−サイクロブテン−2−オン−4−オレート、ビスイミダゾ[2、1−a:2’、1’]アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−ジオン(シス−異性質体との混合物)、2、9−ジ(2−メトキシエチル)−アントラ[2、1、9−def:6、5、10−d’e’f’]ジイソキノリン−1、3、8、10−テトロン、塩化鉄(III)テトラフェニルポルフィン、アズレニウム、ジヒドロ−3−[2−ヒドロキシ−3−(5−イソプロピル−3、8−ジメチル−1−アズレニル)−4−ヨード−2−サイクロブテン−1−イリデン]−7−イソプロピル−1、4−ジメチル、ヒドロキサイドなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0046】
前記電荷輸送物質は、4、4’−TPD(トリフェニルアミンダイマー)、9−ジシアンメチレン−2、4、7−トリニトロフルオレン、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジ(4−メチル−フェニル)−ベンジジン、N、N’−ジ(ナフタリン−2−イル)−N、N’−ジ(3−メチル−フェニル)−ベンジジン、4、4’−(1、2−エタンジイリデン)−ビス(2、6−ジメチル−2、5−サイクロヘキサジエン−1−オン)、2−(1、1−ジメチルエチル)−4−[3−(1、1−ジメチルエチル)−5−メチル−4−ヨード−2、5−サイクロヘキサ−ジエン−1−イリデン]−6−メチル−2、5−サイクロヘキサジエン−1−オン、N、N’−ジ(ナフタリン−1−イル)−N、N’−ジ(3−メチル−フェニル)−ベンジジン、ポリ(3−オクチルチオペン−2、5−ジイル)、ポリ(3−デシルチオペン−2、5−ジイル)、N−ビフェニリル−N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)−アミン、4−N、N−ビス(4−メチルフェニル)−アミノ−ベンズアルデハイド−N、N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジフェニルアミノ−ベンズアルデハイド−N−フェニル−メチル−ヒドラゾン、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1、1’−ビフェニル−4、4’−ジアミン、N、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−1、1’−ビフェニル−4、4’−ジアミン、N、N、N’N’−テトラ(4−メチルフェニル)−(1、1’−ビフェニル)−4、4’−ジアミン、4、4’−(3、4−ジメチルフェニルアザンジイル)ビス(4、1−フェニレン)ジメタノール、N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−N、N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−1、1’−トフェニル−4、4−ジアミンを含むが、これらに限定されるものではない。これらの電荷輸送物質は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0047】
CGM対CTMの重量比は約1:99ないし約95:5、例えば、約10:90ないし約80:20とすることができる。この範囲内において、前記放射線映像システムは好適な解像度と低い雑音を有することができる。
【0048】
有機マトリックス中の閃光粒子の体積パーセントは約10体積%ないし約95体積%、例えば、約15体積%ないし約80体積%とすることができる。この範囲内において、放射線映像システムは好適な解像度と低い雑音を有することができる。例えば、有機マトリックス中の閃光粒子の体積パーセントは約20体積%ないし約65体積%とすることができる。
【0049】
図3は例示的な実施形態による放射線映像システムを例示した概路図である。放射線映像システムは、前記層100;前記放射線変換層上にある上部電極300と、前記放射線変換層に電気的にカップリングされたピクセル単位のアレイを含む。
【0050】
放射線は、X線、ガンマ線、及びイオン化放射線からなる群から選択された少なくとも1つとすることができる。イオン化放射線は、物質を浸透して閃光物質内に光を生成するすべての放射線を含むことができる。例えば、イオン化放射線は、アルファ線、ベータ線、中性子などを含むことができる。
【0051】
放射線変換層100は、有機マトリックスと閃光粒子とを混合して組成物を製造し、この組成物を映像電荷収集装置上に被覆することで製造することができる。
【0052】
一実施形態において、前記組成物は、閃光粒子の表面上に電荷発生物質(CGM)を被覆し、電荷輸送物質(CTM)を含む有機マトリックス内に前記電荷発生物質が被覆された閃光粒子を分散させることで製造することができる。
【0053】
他の実施形態において、前記組成物は、電荷発生物質(CGM)と電荷輸送物質(CTM)とを混合して有機マトリックスを製造し、該当の有機マトリックス内に閃光粒子を分散させることで製造することができる。
【0054】
結着剤樹脂は有機マトリックス内に添加されることができる。結着剤樹脂の例として、スチレン系樹脂、ポリオレフイン、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0055】
結着剤樹脂は、芳香族溶媒、アルコール、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、サイクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロピラン、1、4−ジオキサン、ピリジン、ジエチルアミンなどのような溶媒によって溶解されることができる。
【0056】
有機マトリックスに閃光粒子を分散させるために、超音波分散装置、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサーを利用することができる。
【0057】
層100は、約5μmないし約2000μm、例えば、約10μmないし約1000μmの厚さを有することができる。層100は映像電荷収集装置の上部に堆積、すなわち、蒸着(deposited)されることができる。
【0058】
放射線映像システムは、放射線変換層と上部電極との間に電荷注入遮断層200をさらに含むことができる。
【0059】
ピクセル単位のアレイは、放射線変換層のピクセル領域に電荷信号を収集するための電荷収集電極500、前記電荷収集電極に接続され、前記電荷収集電極により収集された電荷信号を蓄積するための信号蓄積キャパシタ700、及び前記電荷収集電極に接続され、前記電荷収集電極上の電荷信号を電圧信号に変換して該当の電圧信号を信号線に伝送するトランジスタを含むことができる。
【0060】
一実施形態において、放射線映像システムは、基板600、信号蓄積キャパシタ700、トランジスタ800、及び電荷増幅器900を含む、商業的に入手可能な薄膜トランジスタパネルから始めて製造される。液晶ディスプレイに用いられる商業的に入手可能なパネルは薄膜トランジスタパネルを構築するための便利な出発点とすることができる。電荷収集電極500は薄膜トランジスタパネル上に形成されることができる。電荷収集電極500の表面上には電子遮断層400が適用されることができる。電子遮断層400は、好ましくは酸化アルミニウムによって提供されることができる。本発明の放射線変換層100は、電子遮断層(10)上に塗布されることができる。電荷注入遮断層200と上部電極300は、放射線変換層100上に形成されることができる。
【0061】
閃光粒子による放射線の吸収時に発生した閃光の光は、隣接したCGM物質により吸収され、電荷に局所的に変換される。バイアス印加された電界下に、これらの電荷はマトリックス中のCTM物質により上部及び下部界面に分離して輸送され、薄膜トランジスタ(TFT)アレイなどのような映像システムのピクセル電極により収集される。
【0062】
閃光崩壊時間及び残光特性は、さらに映像化フレーム率(imaging frame rate)、映像累積時間(image integration time)などのような、映像システムの要件と整合するように採択される。一実行例において、プタルロシアニン系CGM物質の光吸収係数は、ユーロピウムドーピングされたGOSの閃光スペクトラムと整合されることができる。閃光の光は、非常に短い距離(0.01ないし10マイクロンなど)で周りのCGM物質により吸収される。CGMは、放射線が吸収された閃光粒子に隣接した電荷を発生することができる。
【0063】
従来の閃光映像検出器の閃光の光は、フォトダイオードの電荷手段に光が至る前に典型的に数百マイクロンの長距離を走行する必要がある。この長い光路によって、従来の閃光映像検出器の閃光の光は、閃光物質内部に多数散乱されて結果的に映像尖鋭度の劣化をもたらす。
【0064】
一方に、本発明の層は光が実質的に散乱される前に、閃光の光を局所的に電荷に変換させることができる。電荷は、続いてCTM物質の電界によってそれぞれの映像電荷電極に誘導され、よって、高い空間映像解像度が維持される。本発明の放射線映像検出器から得られた画質は、セレンなどのような直接変換半導体から生成されたものと比べることができる。高い空間的画質に付加して、本発明の層の放射線吸収効率は、相違する原子番号と粒子大きさを有する広範囲な閃光物質から選択することができる。
【0065】
本発明の層は、アメリカ特許第5、319、206号(発明者:Leeなど、公告日:1994年6月7日、その全文が本明細書に参照として内包される)に記載のTFTアレイと類似の放射線変換層を形成するために、薄膜トランジスタ(TFT)などのような電荷読み出しシステム(chargereadoutsystem)上に被覆される。上部電極は、続いて放射線変換層上に蒸着されることができる。バイアス電圧は、放射線変換層に均一な電界を生成するTFT電流復帰面と上部電極との間に印加されることができる。映像化の間、人間の身体などのような対象物を通過した衝突放射線は放射線変換層によって吸収され、吸収された放射線エネルギーの強度に比例する強度を有する光を生成する。この閃光の光の大部分は周りのCGMによって吸収され、続いて閃光の強度に比例して一対の電子−正孔の電荷を発生することができる。バイアス電極によって生成された電界下に、電荷の1つの極性がTFT内の電荷収集器に進入され、電荷の反対側極性はバイアス電極に進入される。この構造は、電荷変換セレン層を有するアメリカ特許第5、319、206号に記載のセレン検出器などのような直接変換式放射線映像検出器と類似する。光の大部分はCGM被覆により、あるいは閃光物質に隣接して吸収されるので、この過程で放射線の吸収により発生された電荷は放射線吸収材料に対して非常に局所的である。バイアス電界を用いて、これらの電荷はTFTピクセル大きさよりも最も小さい閃光粒子の大きさより大きくない拡散性を有する放射線相互作用点の直下にある電荷収集ピクセルに直接進入することができる。ただGOSあるいはヨウ化セシウム閃光物質を用いる間接変換検出器と異なって、非常に小さい閃光の光は放射線相互作用点を越えて拡散されることができ、よって、空間解像度はTFT上にセレンなどのような直接変換検出器と同様に維持される。
【0066】
本発明の開示内容の詳細は、以下の実施例及び製造例を参照しながらより詳しく説明される。本明細書に含まれない実施形態は、当業者にて容易に認識され理解することができるので、その説明は省略する。
【実施例】
【0067】
塩化メチレンとトルエンを10:1重量比で混合して溶液を製造する。続いて、この溶液にCGMとして化学式1を有するオキシチタンフタロシアニン2重量%及びCTMとして化学式2を有する4、4’−TPD(トリフェニルアミンダイマー)2重量%、ポリカーボネート重合体2重量%を添加して混合物を得る。CGM、CTM及びポリカーボネートの重量比は1:1:1である。4μmの直径を有するユーロピウムドーピングされたGOS粉末20gをCGM/CTM混合物4ml+トルエン0.54mlに添加して組成物を製造する。続いて、この組成物を500μmの厚さを有するドクターブレードを用いてインジウム錫酸化物(ITO)下部電極(bottom electrode)上に被覆する。50℃の温度で48時間硬化後、伝導性上部電極が組成物の上部表面に被覆される。バイアス電圧はサンプルの上部電極に印加されて、ITO下部電極は高電圧電源に対する復帰回路を有する負荷抵抗器(R)に接続される。オシロスコーププローブは、
図4に示すように、負荷抵抗器(R)両端に接続される。
【0068】
【化1】
【0069】
【化2】
70KVP、100mA及び20ミリ秒の供給源からのX線の露光時、1、000ボルトの正バイアスが印加された場合のオシロスコープ信号を
図5に示す。
図6は、1、000ボルトの負バイアスが印加された場合のオシロスコープ信号を示すものである。2次元薄膜トランジスタ(TFT)アレイがITOガラスの代りに用いられた場合、X線露光により生成された電荷信号は各個別のピクセル素子によって収集され、X線映像が形成される。
【0070】
例示的な実施形態が本明細書に開示されていて、特定用語が用いられているが、これらは制限の目的ではなく、単に一般的な説明的意味として用いられ、解釈されるべきである。よって、以下の特許請求の範囲に記載されたような本発明の精神と範囲から脱することなく、形態及び詳細の各種変化が実施可能であることを当業者として理解することができる。