【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、総務省、ミリ波を活用するヘテロジニアスセルラネットワークの研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Ericsson,Signalling procedures for dual connectivity,3GPP TSG-RAN WG2 #84 Tdoc R2-134219,2013年11月 2日,pp.1-9
【文献】
Nokia Networks, Nokia Corporation,Overview of L2 Reconfigurations in DC,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #87bis R2-144102,2014年 9月26日,pp.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端末に対して、ユーザプレーンの通信をスモールセルが行い、前記ユーザプレーンの通信処理の制御が行われる制御プレーンの通信をマクロセルが行う通信システムにおける前記マクロセルである基地局であって、
前記端末について前記基地局から他のマクロセルへの前記制御プレーンのハンドオーバの要否を判定する第1判定部と、
前記ハンドオーバが必要と判定された場合、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続し、前記端末が前記スモールセルの圏外に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を停止し、前記他のマクロセルへのハンドオーバ処理を行う制御部と、
を具備する基地局。
前記制御部において前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続する場合、前記他のマクロセルに対して、前記基地局と前記端末との間における前記制御プレーンのデータの中継を要求する第1メッセージを送信し、当該第1メッセージに対する応答を前記他のマクロセルから受信する第1送受信部と、
前記制御部において前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続する場合、前記端末に対して、前記ユーザプレーンの通信設定の維持を指示する情報及び前記他のマクロセルとの前記制御プレーンの通信の再設定を指示する情報を含む第2メッセージを送信し、当該再設定の完了を報告する第3メッセージを前記他のマクロセルを介して前記端末から受信する第2送受信部と、
を更に具備する、
請求項1に記載の基地局。
前記制御部は、前記第2メッセージを送信してから所定期間内に前記第3メッセージが受信されない場合、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続し、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置しない場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を停止する、
請求項2に記載の基地局。
前記制御部は、前記所定期間内に前記第3メッセージが受信されず、その後に前記基地局と前記端末とが前記他のマクロセルを介して再接続された場合、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続し、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置しない場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を停止する、
請求項3に記載の基地局。
前記制御部は、前記ハンドオーバが必要であり、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置し、かつ、前記端末がデータ通信中である場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続する、
請求項1に記載の基地局。
端末に対して、ユーザプレーンの通信をスモールセルが行い、前記ユーザプレーンの通信処理の制御が行われる制御プレーンの通信をマクロセルが行う通信システムにおける前記端末であって、
前記マクロセルから、他のマクロセルとの前記制御プレーンの通信を指示するメッセージを受信し、当該メッセージに対する応答を前記他のマクロセルへ送信する送受信部と、
前記メッセージに前記ユーザプレーンの通信設定の維持を指示する情報が含まれる場合、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信設定を継続して使用し、前記端末が前記スモールセルの圏外に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信を再設定する制御部と、
を具備する端末。
端末に対して、ユーザプレーンの通信をスモールセルが行い、前記ユーザプレーンの通信処理の制御が行われる制御プレーンの通信をマクロセルが行う通信システムにおける通信方法であって、
前記端末について前記基地局から他のマクロセルへの前記制御プレーンのハンドオーバの要否を判定し、
前記ハンドオーバが必要と判定された場合、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を継続し、前記端末が前記スモールセルの圏外に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信処理の制御を停止し、前記他のマクロセルへのハンドオーバ処理を行う、
通信制御方法。
端末に対して、ユーザプレーンの通信をスモールセルが行い、前記ユーザプレーンの通信処理の制御が行われる制御プレーンの通信をマクロセルが行う通信システムにおける通信方法であって、
前記マクロセルから、他のマクロセルとの前記制御プレーンの通信を指示するメッセージを受信し、当該メッセージに対する応答を前記他のマクロセルへ送信し、
前記メッセージに前記ユーザプレーンの通信設定の維持を指示する情報が含まれる場合、前記端末が前記スモールセルの圏内に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信設定を継続して使用し、前記端末が前記スモールセルの圏外に位置する場合には前記ユーザプレーンの通信を再設定する、
通信制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の一態様に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[本開示の一態様に係る発明に至った経緯]
図1は、従来のヘテロジニアスネットワークを構成する通信システムにおけるハンドオーバ時のC-Plane及びU-Planeのやりとりの一例を示す図である。
図1に示す通信システムは、コアネットワークのMME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving Gateway)と、マクロセル(BS1、BS2)と、スモールセルと、端末(MS)とを含む。
【0017】
図1は、MSがBS1のマクロセルからBS2のマクロセルへ移動する様子を示す。
【0018】
また、
図1に示すスモールセルは、BS1及びBS2がカバーするエリアの境界付近に配置されている。
図1に示すMSに対する通信形態はC/U分離であり、マクロセルがC-Planeを用いた通信を行い、スモールセルがU-Planeを用いた通信を行う。すなわち、C-Planeの通信時には、MME/S−GWからの制御データ(以下、C-Planeデータと称することもある。
図1に示す実線)は、マクロセルの基地局からMSへ送信される。一方、U-Planeの通信時には、MME/S−GWからのユーザデータ(以下、U-Planeデータと称することもある。
図1に示す破線)は、マクロセルの基地局を介して、スモールセルの基地局からMSへ送信される。基地局間(マクロセル、スモールセル)の通信には、X2インタフェースが使用される。
【0019】
図2は、
図1に示す通信システムにおいて、MSに対してBS1からBS2へハンドオーバする場合の動作を示すシーケンス図である。
【0020】
図2において、ステップ(以下、単に「ST」と表す)1では、MME/S−GWからのU-Planeデータは、BS1を介して、スモールセルからMSへ送信される。ST2では、MSは、各基地局から送信される参照信号(図示せず)を用いて測定した受信品質情報を含むMeasurement ReportをBS1へフィードバックする。Measurement Reportをフィードバックするタイミングは、所定のタイミングでもよく、所定の条件を満たしたタイミングでもよい。
【0021】
ST3では、BS1は、ST2で受け取ったMeasurement Reportに基づいて、MSに対してBS1から他のマクロセルへのハンドオーバ(HO)の要否を判定する。
【0022】
MSに対するマクロセルのハンドオーバが必要と判定された場合、マクロセルの切替に伴い、U-Planeデータの転送経路(X2インタフェース)が切り替えられる。
図1では、ハンドオーバ処理によって、MS向けのU-Planeデータのスモールセルへの転送経路がBS1からBS2へ切り替えられる。
【0023】
また、U-Planeデータには、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤにおいて秘匿処理が施される。PDCPレイヤにおける秘匿処理で使用されるパラメータ(COUNT値など)は、RRCレイヤ(すなわち、C-Plane)において制御される。よって、マクロセル間のハンドオーバ時には、PDCPレイヤにおける秘匿処理を管理するマクロセルが切り替わるため、ハンドオーバ先のマクロセルにおいて秘匿処理に関する情報は引き継がれない。
【0024】
そこで、ハンドオーバが必要と判定された場合、ST4において、BS1は、U-Planeの通信処理の制御を停止する。すなわち、BS1からスモールセルへのU-Planeデータの送信が停止される。
【0025】
ST5では、BS1(sourceセル)は、MSのハンドオーバ先(targetセル)であるBS2に対して、X2インタフェースを用いてハンドオーバを要求するメッセージ(X2 Handover Request)を送信する。BS2は、BS1からのハンドオーバ要求を受け付ける場合、当該ハンドオーバ要求に対する応答(ACK)をBS1へ送信する(ST5)。
【0026】
ST6では、BS1は、MSに対して、RRC(Radio Resource Control)シグナリングによって、ハンドオーバ先のBS2とのC-Planeの通信を行うための接続の再設定を指示するメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を送信する。MSは、ST5で受け取ったRRC Connection Reconfigurationに基づいて、BS2との接続の再設定を行う。例えば、MSは、秘匿処理に使用されるパラメータを再設定(re-establish)する(例えば、上記COUNT値をリセットする)。MSは、ST7において、再設定の完了を示すメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を、ハンドオーバ先のBS2へ送信する。
【0027】
また、BS1は、ST8において、MME/S−GWに対して、C-Planeデータ及びU-Planeデータの通信経路についてBS1からBS2への変更を要求するメッセージ(Path switch Request)を送信し、MME/S−GWは、BS1からの変更要求を受け付ける場合、当該変更要求に対する応答(ACK)をBS1へ送信する。
【0028】
以上により、MSに対するハンドオーバが完了し、
図1に示すように、C-Planeデータ及びU-Planeデータの経路は、BS1からBS2へ切り替わる。つまり、MME/S−GWからのU-Planeデータは、BS2を介して、スモールセルからMSへ送信される(ST9)。また、MME/S−GWからのC-Planeデータは、BS2からMSへ送信される。
【0029】
図1に示すように、MSがBS1のセルからBS2のセルへ移動した場合でも、MSはスモールセル内に存在するので、MSとスモールセルとの間のU-Planeの通信環境は良好なままである。しかし、
図2に示すように、マクロセル(BS1とBS2)のハンドオーバが発生した場合、U-Planeデータの送信停止(ST4)から、ハンドオーバ先のBS2を介したU-Planeデータの送信開始(ST9)までの切替期間中は、MSとスモールセルとの間の通信環境に依らず、MSはU-Planeデータを送受信できない。
【0030】
このように、C/U分離時の通信システムにおいてC-Planeに関するマクロセル間のハンドオーバが発生した場合、スモールセルによるU-Planeの通信も停止してしまうという課題が存在する。例えば、ハンドオーバ先のマクロセルにおける秘匿処理のパラメータが確定するまではU-Planeデータの通信が途切れてしまう。また、特に、マクロセル境界に位置するMSでは、マクロセルとの間の受信品質が不安定であるので、C-Planeのハンドオーバが頻繁に発生しやすい。よって、MSとスモールセルとの間のU-Planeの通信経路の受信品質が良好であっても、U-Planeの通信が途切れる頻度が高くなってしまう。
【0031】
そこで、本開示の一態様に係る発明はマクロセル間のハンドオーバが発生する場合でも、スモールセルにおけるデータ通信を継続させることを目的とする。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る通信システムは、
図1と同様の構成を採る。すなわち、この通信システムでは、MS(端末)に対して、U-Planeの通信をスモールセルが行い、U-Planeの通信処理の制御が行われるC-Planeの通信をマクロセルが行うC/U分離の通信形態を適用可能である。
【0033】
例えば、
図1において、マクロセル(BS1、BS2)はマイクロ波帯を用いて通信を行う基地局であり、スモールセルはマイクロ波帯を用いて通信を行う小型基地局である。
【0034】
[基地局の構成]
図3は、本実施の形態に係る基地局100の構成を示すブロック図である。基地局100は、マクロセルの基地局(
図1に示すBS1,BS2)である。基地局100は、基地局間通信インタフェース(I/F)101、コアNW通信I/F102、端末通信I/F103、及び、制御部104を備える。
【0035】
基地局間通信I/F101は、X2インタフェースを用いて他の基地局(マクロセル及びスモールセル)との間の通信を行う。基地局間通信I/F101は、C/U分離時には、基地局100(マクロセル)に接続されたスモールセルとの間でU-Planeデータを送受信する。また、基地局間通信I/F101は、後述するSlave動作時には、他のマクロセルとの間でC-Planeデータを送受信する。
【0036】
コアNW通信I/F102は、MME/S−GWを含むコアネットワーク内の装置との間の通信を行う。
【0037】
端末通信I/F103は、基地局100に接続された端末との間の通信を行う。例えば、端末通信I/F103は、C-Planeを用いて、端末からMeasurement Reportを受信する。また、端末通信I/F103は、C/U分離時には、C-Planeを用いて、基地局100(マクロセル)に接続された端末との間で通信(例えば、RRC Connection Reconfigurationなど)を行う。
【0038】
制御部104は、C-Plane及びU-Planeの通信処理、及び、ハンドオーバ処理を行う。制御部104は、HO判定部105、C/U分離判定部106、圏外判定部107、U-Plane継続判定部108、無線資源制御部109、Slave無線資源制御部110、X2送受信部111、U-Plane送受信部112、C-Plane送受信部113を備える。
【0039】
HO判定部105は、端末に対して自局から他のマクロセルへのC-Planeのハンドオーバの要否を判定する。具体的には、HO判定部105は、判定対象の端末から送信されたMeasurement Reportに示される、各マクロセルと当該端末との間の受信品質レベルに基づいて、端末に対してマクロセルのハンドオーバが必要か否かを判断する。例えば、HO判定部105は、自局との間の受信品質レベルが所定の閾値未満であり、かつ、自局に隣接するマクロセルとの間の受信品質レベルが所定の閾値以上である場合、端末に対して自局から隣接するマクロセルへのハンドオーバが必要と判断する。HO判定部105は、判定結果を、C/U分離判定部106、圏外判定部107及び無線資源制御部109へ出力する。
【0040】
C/U分離判定部106は、HO判定部105においてハンドオーバが必要と判定された端末について、C/U分離状態であるか否かを判定する。例えば、C/U分離判定部106は、端末に対してC/U分離が適用されるか否かを示す情報を予め保持している。そして、C/U分離判定部106は、判定結果をU-Plane継続判定部108へ出力する。
【0041】
圏外判定部107は、HO判定部105においてハンドオーバが必要と判定された端末がスモールセルの圏内に位置するか、圏外に位置するかを判定する。例えば、圏外判定部107は、Measurement Report等に示されるスモールセルと端末との間の受信品質レベルが所定の閾値以上である場合に、当該端末がスモールセルの圏内に位置すると判断してもよい。または、圏外判定部107は、端末によって判定されたスモールセルに対する圏内/圏外を示す情報(例えば、Measurement Reportに含まれる情報)に基づいて、当該端末のスモールセルでの在圏状況を判断してもよい。そして、圏外判定部107は、判定結果をU-Plane継続判定部108へ出力する。
【0042】
U-Plane継続判定部108は、HO判定部105においてハンドオーバが必要と判定された端末に対して、基地局100でのU-Planeの通信処理の制御を継続させるか否かを判定する。具体的には、ハンドオーバ対象の端末の通信形態がC/U分離状態であって、かつ、端末がスモールセルの圏内に位置する場合、U-Plane継続判定部108は、基地局100でのU-Planeの通信処理の制御を継続させると判定する。一方、ハンドオーバ対象の端末の通信形態がC/U分離状態ではない場合、又は、端末がスモールセルの圏外に位置する場合、U-Plane継続判定部108は、基地局100でのU-Planeの通信処理の制御を停止させると判定する。U-Plane継続判定部108は、判定結果を無線資源制御部109及びSlave無線資源制御部110へ出力する。
【0043】
無線資源制御部109及びSlave無線資源制御部110は、U-Plane継続判定部108の判定結果に応じて、ハンドオーバ対象の端末に対するU-Planeの通信処理の制御の継続/停止を判断する。
【0044】
無線資源制御部109は、U-Planeの通信処理及びC-Planeの通信処理を制御する。
【0045】
また、無線資源制御部109は、U-Plane継続判定部108においてハンドオーバ対象の端末に対して基地局100がU-Planeの通信処理の制御を継続しないと判定された場合、当該端末に対するハンドオーバ制御及びモビリティ制御を行う。
【0046】
具体的には、無線資源制御部109は、ハンドオーバ対象の端末に対応するU-Planeの通信処理の制御を停止する。次いで、無線資源制御部109は、X2送受信部111を介してハンドオーバ先のマクロセルに対して、ハンドオーバ要求(X2 Handover Request)を送信する。次いで、無線資源制御部109は、ハンドオーバ要求に対するACKをハンドオーバ先のマクロセルから受信すると、C-Plane送受信部113を介して、ハンドオーバ対象の端末に対して、ハンドオーバ先のマクロセルとのC-Planeの通信を行うための接続の再設定を指示するメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を送信する。
【0047】
また、無線資源制御部109は、X2送受信部111を介してハンドオーバ要求(X2 Handover Request)を他のマクロセルから受信した場合、自局がハンドオーバ先であると判定する。この場合、無線資源制御部109は、ハンドオーバ対象の端末からハンドオーバによる接続の再設定完了を示すメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を受信すると、X2送受信部111を介したスモールセルとのU-Planeの通信(転送)、及び、C-Plane送受信部113を介した端末とのC-Planeの通信を開始する。
【0048】
一方、無線資源制御部109は、U-Plane継続判定部108においてハンドオーバ対象の端末に対して基地局100がU-Planeの通信処理の制御を継続すると判定された場合、当該端末に対するスモールセルとの間のU-Planeデータの通信処理(転送処理)を継続する。すなわち、無線資源制御部109は、X2送受信部111を介して、スモールセルとの間のU-Planeデータの送受信処理を行う。
【0049】
Slave無線資源制御部110は、U-Plane継続判定部108においてハンドオーバ対象の端末に対して基地局100がU-Planeの通信処理の制御を継続すると判定された場合、当該端末に対するC-Planeの通信処理を制御する。具体的には、Slave無線資源制御部110は、X2送受信部111を介してハンドオーバ先のマクロセルに対して、C-Planeデータの物理チャネルのハンドオーバ要求(X2 C-Plane Slave Request)を送信する。
【0050】
以下、C-Planeの通信について、物理チャネルの通信処理のみをハンドオーバさせることを、「Slave動作」させると称することもある。つまり、Slave動作において、ハンドオーバ元のマクロセル(Masterセル)は、C-Planeの通信処理の制御を引き続き行い、ハンドオーバ先のマクロセル(Slaveセル)は、ハンドオーバ元のマクロセルから転送されたC-Planeデータを端末へ送信する。換言すると、Slaveセルは、Masterセルと端末との間におけるC-Planeデータを中継する。
【0051】
次いで、Slave無線資源制御部110は、ハンドオーバ要求(X2 C-Plane Slave Request)に対するACKをハンドオーバ先のマクロセルから受信すると、C-Plane送受信部113を介して、ハンドオーバ対象の端末に対して、ハンドオーバ先のマクロセルとのC-Planeの通信を行うための接続の再設定を指示するメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を送信する。ただし、このメッセージには、基地局100による当該端末に対するU-Planeの通信処理の制御を継続すること(すなわち、現在設定されているU-Planeの通信設定の維持)を指示する情報が含まれる。
【0052】
また、Slave無線資源制御部110は、X2送受信部111を介して、Slave動作を指示するハンドオーバ要求(X2 C-Plane Slave Request)を他のマクロセルから受信した場合、自局がC-Planeの物理チャネルの通信処理に対するハンドオーバ先(Slaveセル)であると判定する。この場合、Slave無線資源制御部110は、ハンドオーバ対象の端末からハンドオーバによる接続の再設定完了を示すメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を受信すると、X2送受信部111を介して、当該メッセージをハンドオーバ元のマクロセル(Masterセル)へ送信(中継)する。これ以降、Slave無線資源制御部112は、ハンドオーバ元のマクロセルからX2送受信部111を介して送信されるU-Planeデータを、U-Plane送受信部112を介して端末へ送信(中継)する。
【0053】
以上のように、無線資源制御部109及びSlave無線資源制御部110は、C/U分離状態である端末に対してハンドオーバが必要と判定された場合、端末がスモールセルの圏内に位置する場合にはU-Planeの通信処理の制御を継続し、端末がスモールセルの圏外に位置する場合にはU-Planeの通信処理の制御を停止し、他のマクロセルへのハンドオーバ処理を行う。
【0054】
X2送受信部111は、基地局間通信I/F101を介して、他の基地局(マクロセル又はスモールセル)との間でC-Planeデータ及びU-Planeデータを送受信する。ハンドオーバ時にSlave無線資源制御部110においてU-Planeの通信処理の制御が継続される場合、X2送受信部111は、他のマクロセル(Slaveセル)に対して、基地局100と端末との間におけるC-Planeデータの中継を要求するメッセージ(X2 C-Plane Slave Request)を送信し、当該メッセージに対するACKを当該他のマクロセルから受信する。
【0055】
U-Plane送受信部112は、コアNW通信I/F102又は端末通信I/F103を介して、コアネットワーク(MME/S−GWを含む)又は端末との間でU-Planeデータを送受信する。例えば、U-Plane送受信部112は、X2送受信部111から受け取るU-Planeデータ(スモールセルから転送されたデータ)をコアNW通信I/F102へ出力する。
【0056】
C-Plane送受信部113は、コアNW通信I/F102又は端末通信I/F103を介して、コアネットワーク(MME/S−GWを含む)又は端末との間でC-Planeデータを送受信する。ハンドオーバ時にSlave無線資源制御部110においてU-Planeの通信処理の制御が継続される場合、C-Plane送受信部113は、端末に対して、U-Planeの通信設定の維持を指示する情報及び他のマクロセル(Slaveセル)とのC-Planeの通信の再設定を指示する情報を含むメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を送信し、当該再設定の完了を報告するメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を、当該他のマクロセルを介して端末から受信する。
【0057】
[端末200の構成]
図4は、本実施の形態に係る端末200の構成を示すブロック図である。
図2において、端末200は、端末通信I/F201、及び、制御部202を備える。
【0058】
端末通信I/F201は、端末200が接続している基地局(マクロセル又はスモールセル)との間の通信を行う。例えば、端末通信I/F103は、C/U分離時には、C-Planeを用いて、基地局100(マクロセル)との間で通信(例えば、RRC Connection Reconfigurationなど)を行い、U-Planeを用いてスモールセルとの間で通信を行う。
【0059】
制御部202は、C-Plane及びU-Planeの通信処理、及び、ハンドオーバ処理を行う。制御部202は、圏外判定部203、U-Plane継続判定部204、無線資源制御部205、U-Plane送受信部206、C-Plane送受信部207を備える。
【0060】
圏外判定部203は、端末200がスモールセルの圏内に位置するか、圏外に位置するかを判定する。例えば、圏外判定部203は、スモールセルと端末200との間の受信品質レベルが所定の閾値以上である場合に、端末200がスモールセルの圏内に位置すると判断する。そして、圏外判定部203は、判定結果をU-Plane継続判定部204へ出力する。
【0061】
U-Plane継続判定部204は、端末200が現在の通信設定に基づいてU-Planeの通信を継続させるか否かを判定する。具体的には、U-Plane継続判定部204は、ハンドオーバ先のマクロセルとのC-Planeの通信を行うための接続の再設定を指示するメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)を無線資源制御部205から受け取る。そして、U-Plane継続判定部204は、メッセージにC-Planeの通信設定の維持を指示する情報が含まれ、かつ、圏外判定部203の判定結果が圏内である場合、U-Planeの通信を継続させると判定する。一方、U-Plane継続判定部204は、メッセージにC-Planeの通信設定の維持を指示する情報が含まれない場合、又は、圏外判定部203の判定結果が圏外である場合、U-Planeの通信を継続させないと判定する。U-Plane継続判定部204は、判定結果を無線資源制御部205へ出力する。
【0062】
無線資源制御部205は、マクロセル又はスモールセルとの間の受信品質レベルを測定し、測定結果をMeasurement Reportとして、C-Plane送受信部207を介してマクロセルへ送信する。
【0063】
また、無線資源制御部205は、U-Plane継続判定部204においてU-Planeの通信を継続させないと判定された場合、通常のハンドオーバによるU-Planeの通信の再設定(例えば、
図2を参照)を行う。例えば、無線資源制御部205は、PDCPレイヤにおける秘匿処理のパラメータを再設定(re-establish)する。また、無線資源制御部205は、接続の再設定が完了すると、再設定完了を示すメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)を、C-Plane送受信部207を介してハンドオーバ先のマクロセルへ送信する。無線資源制御部205は、ハンドオーバ処理の完了後、U-Plane送受信部206を介したスモールセルとのU-Planeの通信、及び、C-Plane送受信部207を介したハンドオーバ先のマクロセルとのC-Planeの通信を開始する。
【0064】
一方、無線資源制御部205は、U-Plane継続判定部204においてU-Planeの通信を継続させると判定された場合、U-Planeデータの物理チャネルの通信処理のみに対してハンドオーバによる接続の再設定を行う。すなわち、無線資源制御部205は、C-Planeデータの通信を行うマクロセルを切り替える。これに対して、無線資源制御部205は、U-Planeの通信設定を継続して使用する。例えば、無線資源制御部205は、PDCPレイヤにおける秘匿処理のパラメータを維持する。よって、無線資源制御部205は、ハンドオーバ処理中においても、U-Plane送受信部206を介したスモールセルとのU-Planeの通信を継続する。
【0065】
また、無線資源制御部205は、接続の再設定が完了すると、再設定完了を示すメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)をC-Plane送受信部207を介して、C-Planeのハンドオーバ先のマクロセルへ送信する。当該メッセージは、ハンドオーバ先のマクロセル(Slaveセル)からハンドオーバ元のマクロセル(Masterセル)へ転送される。無線資源制御部205は、ハンドオーバ処理の完了後、C-Plane送受信部207を介したハンドオーバ先のマクロセルとのC-Planeの通信を開始する。
【0066】
以上のように、無線資源制御部205は、マクロセルからのメッセージにU-Planeの通信設定の維持を指示する情報が含まれる場合、端末200がスモールセルの圏内に位置する場合にはU-Planeの通信設定を継続して使用し、端末200がスモールセルの圏外に位置する場合にはU-Planeの通信を再設定(現在の設定をリセット)する。
【0067】
U-Plane送受信部206は、端末通信I/F201を介して、マクロセル又はスモールセルとの間でU-Planeデータを送受信する。
【0068】
C-Plane送受信部207は、端末通信I/F201を介して、マクロセル又はスモールセルとの間でC-Planeデータを送受信する。C-Plane送受信部207は、端末200が接続しているマクロセル(Masterセル)から、他のマクロセル(Slaveセル)とのC-Planeの通信を指示するメッセージを受信し、当該メッセージに対するACKを当該他のマクロセルへ送信する。
【0069】
[端末100及び基地局200の動作]
上記構成を有する端末100及び基地局200の動作について説明する。
【0070】
[基地局100の動作]
図5は、ハンドオーバ元(Sourceセル)の基地局100におけるマクロセルのハンドオーバ処理の流れを示すフロー図である。
【0071】
図5において、ST101では、基地局100は、端末200からMeasurement Reportを受信する。例えば、Measurement Reportには、基地局100(マクロセル)と端末200との間の受信品質を示す情報、及び、スモールセルと端末200との間の受信品質を示す情報が含まれる。
【0072】
ST102では、基地局100は、受信したMeasurement Reportに基づいて、マクロセルのハンドオーバ条件を満たすか否かを判断する。例えば、基地局100は、Measurement Reportに示される基地局100と端末200との間の受信品質レベルが所定の閾値未満であり、他のマクロセルと端末200との間の受信品質レベルが閾値以上である場合、マクロセルのハンドオーバ条件を満たすと判定する。マクロセルのハンドオーバ条件を満たさない場合(ST102:No)、基地局100は、ST101の処理に戻る。
【0073】
一方、マクロセルのハンドオーバ条件を満たす場合(ST102:Yes)、ST103において、基地局100は、端末200に対する通信形態がC/U分離状態であるか否かを判断する。基地局100は、C/U分離状態でない場合(ST103:No)、ST105の処理へ進む。
【0074】
C/U分離状態である場合(ST103:Yes)、ST104において、基地局100は、端末200がスモールセルの圏内に位置するか否か(スモールセルの在圏条件を満たすか否か)を判断する。基地局100は、端末200がスモールセルの圏内に位置していない場合(ST104:No)、ST105の処理へ進む。
【0075】
端末200に対する通信形態がC/U分離状態ではない場合(ST103:No)又は端末200がスモールセルの圏内に位置していない場合(ST104:No)、基地局100は、ST105において通常のハンドオーバ処理を実施する。すなわち、基地局100は、C-Planeの制御を行うマクロセルの切替を行う。これにより、C-Planeデータ及びU-Planeデータの通信経路は、基地局100(ハンドオーバ元)から、ハンドオーバ先のマクロセルへ切り替わる(例えば、
図1及び
図2を参照)。
【0076】
一方、端末200に対する通信形態がC/U分離状態であり場合(ST103:Yes)かつ端末200がスモールセルの圏内に位置している場合(ST104:Yes)、基地局100は、C-Planeの物理チャネルのハンドオーバを決定する。換言すると、基地局100は、当該基地局100がC-Planeの制御を継続することを決定する。すなわち、基地局100は、U-Planeの通信処理の制御を継続する。
【0077】
この際、基地局100は、端末200に対して、U-Planeの通信設定の維持を指示する情報、及び、C-Planeの物理チャネルにおける接続の再設定(ハンドオーバ)を指示する情報を含むRRC Connection Reconfigurationを送信する(ST106)。
【0078】
また、基地局100は、U-PlaneのPDCPレイヤにおいて行われる秘匿処理に使用されるパラメータ(暗号化パラメータ等)を維持する(ST107)。
【0079】
また、基地局100は、X2インタフェースを用いて、ハンドオーバ先のマクロセルに対して、C-Plane Slave動作への遷移を要求する「C-Plane Slave Request」を送信する(ST108)。
【0080】
そして、基地局100は、C-Plane Slave動作の状態に遷移する(ST109)。すなわち、基地局100(Masterセル)は、C-Planeデータをハンドオーバ先のマクロセルへ送信し、U-Planeデータをスモールセルへ送信する。
【0081】
[端末200の動作]
図6は、端末200におけるマクロセルのハンドオーバ処理の流れを示すフロー図である。
【0082】
図6において、ST201では、端末200は、基地局100(ハンドオーバ元)から、ハンドオーバ先のマクロセルとの通信における接続の再設定を指示するRRC Connection Reconfiguration(RCR)を受信する。基地局100がC-Plane Slave動作の実施を決定した場合(
図5に示すST104:Yesの場合)、このRRC Connection Reconfigurationには、U-Planeの通信設定の維持を指示する情報、及び、C-Planeの物理チャネルのハンドオーバ(接続の再設定)を指示する情報が含まれる。
【0083】
ST202では、端末200は、ST201で受信したRRC Connection ReconfigurationにU-Planeの通信設定の維持を指示する情報が含まれるか否かを判断する。U-Planeの通信設定の維持を指示する情報が含まれない場合(ST202:No)、端末200は、ST204の処理に進む。
【0084】
一方、U-Planeの通信設定の維持を指示する情報が含まれる場合(ST202:Yes)、ST203において、端末200は、端末200がスモールセルの圏内に位置するか否か(スモールセルの在圏条件を満たすか否か)を判断する。端末200がスモールセルの圏内に位置していない場合(ST203:No)、端末200は、ST204の処理へ進む。
【0085】
U-Planeの通信設定の維持を指示する情報が無い場合(ST202:No)又は端末200がスモールセルの圏内に位置していない場合(ST203:No)、端末200は、ST204において、通常のハンドオーバ処理を実施する。すなわち、端末200は、C-Planeのやりとりを行うマクロセルの切替を行う。これにより、C-Planeデータ及びU-Planeデータの通信経路は、基地局100(ハンドオーバ元)から、ハンドオーバ先のマクロセルへ切り替わる(例えば、
図1及び
図2を参照)。
【0086】
一方、U-Planeの通信設定の維持を指示する情報が有る場合(ST202:Yes)かつ端末200がスモールセルの圏内に位置している場合(ST203:Yes)、端末200は、U-Planeの通信設定を維持することを決定する。例えば、端末200は、U-PlaneのPDCPレイヤにおいて行われる秘匿処理に使用されるパラメータ(暗号化パラメータ等)を維持する(ST205)。
【0087】
そして、端末200は、C-Planeの物理チャネルについてのみハンドオーバ処理を行う(ST206)。これにより、端末200は、ハンドオーバ先のマクロセルとの間でC-Planeデータを送受信する。一方、端末200は、C-Planeのハンドオーバ前から使用していた通信設定を用いて、スモールセルとの間でU-Planeデータを送受信する。
【0088】
次に、上述したハンドオーバ処理の動作例について説明する。
【0089】
図7は、本実施の形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバ前のC-Plane及びU-Planeのやりとりの一例を示す図であり、
図8は、本実施の形態に係る通信システムにおける、ハンドオーバ後のC-Plane及びU-Planeのやりとりの一例を示す図である。
【0090】
MSは、
図7に示す位置から
図8に示す位置へ移動し、MSに対してBS1からBS2へのハンドオーバが実施される。なお、
図7及び
図8に示すMSの位置は何れもスモールセルの圏内である。
【0091】
図7に示すように、ハンドオーバ前には、MSに対して、C-Planeデータ(実線)はBS1からMSへ送信され、U-Planeデータ(破線)はBS1を介してスモールセルからMSへ送信される。
【0092】
図9は、MSに対して、BS1からBS2へハンドオーバする場合の動作を示すシーケンス図である。なお、
図9において、
図2と同様の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
図7〜
図9において、BS1及びBS2は基地局100の構成(
図3)を備え、MSは端末200の構成(
図4)を備える。
【0094】
図9において、ST3’では、BS1は、Measurement Report、MSのC/U分離状態、及び、MSのスモールセルにおける在圏状態に基づいて、BS1から他のマクロセルへのハンドオーバの要否を判定する(
図5に示すST102〜ST104に対応)。
図9では、BS1は、C-Plane Slave動作に基づくBS2へのハンドオーバの実行を決定する。つまり、BS1は、C-Planeの物理チャネルのハンドオーバを決定する。
【0095】
この場合、ST11では、BS1は、U-Planeの通信処理の制御を継続する(
図6に示すST107に対応)。つまり、BS1は、U-Planeデータのスモールセルへの転送処理を継続する。これにより、
図9に示すように、BS1では、U-Planの通信が、C-Planeのハンドオーバ処理に影響を受けることなく継続される。
【0096】
ST12では、BS1は、ハンドオーバ先のBS2に対して、C-Plane Slave Requestを送信し、BS2は、C-Plane Slave Requestを受け付ける場合に当該requestに対するACKをBS1へ送信する(
図5に示すST108に対応)。これにより、BS2は、ST13においてC-Plane Slave動作の状態に遷移する。つまり、BS2は、BS1と端末との間のC-Planeデータを中継するC-Plane Slave動作を行う。
【0097】
ST6’では、BS1は、ハンドオーバ対象のMSに対して、U-Planeの接続の維持(継続)を指示する情報を含むRRC Connection Reconfigurationを送信する。MSは、U-Planeの通信設定を継続して使用する(
図6に示すST205に対応)。また、MSは、C-Planeのハンドオーバを行う(
図6に示す206に対応)。これにより、
図9に示すように、MSでは、U-Planの通信が、C-Planeのハンドオーバ処理に影響を受けることなく継続される。
【0098】
MSは、C-Planeのハンドオーバ処理が完了すると、ST7’において、RRC Connection Reconfiguration Completeを、BS2を介してBS1へ送信する(ST7’)。これ以降、MSはBS2との間でC-Planeデータの通信を行い、BS2はMSとBS1との間のC-Planeデータを中継する。
【0099】
このように、BS1がU-Planeの通信処理の制御を継続する場合に、BS1(Masterセル)は、C-PlaneデータをBS2(Slaveセル)に中継させる。これにより、ハンドオーバ前(
図7)にはBS1からMSへ送信されたC-Planeデータは、ハンドオーバ後(
図8)において、BS1からBS2を経由してMSへ送信される。
図8において、MSとBS2との間の受信品質は、MSとBS1との間の受信品質よりも良好であるので、MSは、良好な受信品質においてC-Planeデータを送受信することができる。
【0100】
一方、C-Planeのハンドオーバ元であるBS1(Masterセル)は、U-Planeの通信処理の制御(つまり、C-Planeの制御)を継続する。具体的には、BS1は、MSに対するデータ通信経路の制御、及び、PDCPレイヤにおける秘匿処理の制御を含めたRRC制御を引き続き行う。すなわち、BS1は、コアネットワークに対してデータ経路変更要求(Path switch request。
図2を参照)を送信しない。
【0101】
このため、ハンドオーバ前(
図7)のU-Planeの通信経路は、ハンドオーバ後(
図8)においても維持される。また、MSは、秘匿処理を含むU-Planeの接続設定を維持する。よって、
図9に示すように、U-Planeデータは、C-Planeの物理チャネルでのハンドオーバ処理中(
図9に示すST11〜ST13,ST6’,ST7’)においても継続される。すなわち、U-Planeデータは、C-Planeデータのハンドオーバ処理に影響を受けることなく、スモールセルとMSとの間で継続して送受信される。
【0102】
以上のように、本実施の形態に係る基地局100(マクロセル)は、通信形態がC/U分離状態であるMSに対して、マクロセル間のハンドオーバが必要である場合に、当該MSがスモールセルに在圏している場合にはU-Planeの通信処理を継続しつつ、C-Planeの物理チャネルのみをハンドオーバさせる。
【0103】
また、本実施の形態に係る端末200は、通信形態がC/U分離状態であり、スモールセルに在圏している場合には、マクロセル(基地局100)からU-Planeの通信設定の維持を指示されると、U-Planeの接続の再設定を行わずに継続して使用し、C-Planeのハンドオーバのみを行う。
【0104】
すなわち、基地局100及び端末200は、C/U分離時の端末200に対してマクロセル(つまり、C-Plane)のハンドオーバが発生した場合でも、当該端末200がスモールセルに良好な受信品質で接続されている場合には、U-Planeの通信を継続させる。こうすることで、本実施の形態によれば、マクロセル間のハンドオーバが発生する場合でも、スモールセルにおけるU-Planeデータの通信を継続させることができる。例えば、マクロセルの境界付近に配置されたスモールセルと接続された端末200は、マクロセル間のハンドオーバが頻発する場合でも、スモールセルとの間でデータ通信を途切れることなく継続することができる。
【0105】
(実施の形態2)
マクロセルのハンドオーバに失敗すると、マクロセルと端末との通信が切断され、通信の再接続が完了するまで端末は通信することができなくなってしまう。これに対して、特許文献1には、マクロセルのハンドオーバの際、スモールセルを介して、マクロセルと端末との間でハンドオーバ処理に関する信号を送受信することにより、ハンドオーバの失敗を抑圧する方法が開示されている。
【0106】
しかしながら、特許文献1では、C/U分離状態である通信システムにおいて、C-Planeの通信(マクロセル)の切替に伴い、上述したように、スモールセルと端末との間の受信品質が良好であってもU-Planeの通信の切断も発生してしまうという課題がある。
【0107】
また、ヘテロジニアスネットワークでは、マクロセルとスモールセルとがそれぞれ異なるシステムとして構成される場合も想定される。一例として、マクロセルがLTEシステムの基地局であって、スモールセルがLTEシステム以外のシステムである場合が挙げられる。この場合、特許文献1のようにスモールセルを介してマクロセルのC-Planeのハンドオーバを行う方法では、マクロセルとスモールセルとが異なるシステムに属する場合には、スモールセルは、マクロセルとの間のC-Planeデータの送受信処理を行うことができない。
【0108】
そこで、本実施の形態では、ハンドオーバが失敗した場合でも、マクロセル及びスモールセルが属するシステムに依ることなく、U-Planeの通信を継続させる方法について説明する。
【0109】
本実施の形態に係る基地局及び端末の基本構成は、実施の形態1と同様であるので、
図3(基地局100)及び
図4(端末200)を援用して説明する。
【0110】
図10は、本実施の形態に係る通信システムにおいて、C-Planeの物理チャネルのハンドオーバ処理を行った際のC-Plane及びU-Planeのやりとりの一例を示す図である。
【0111】
図10は、C-Planeの物理チャネルのハンドオーバが失敗した状態を示す。上記ハンドオーバの失敗は、例えば、ハンドオーバ元のマクロセル(BS1)からMSへのメッセージ(RRC Connection Reconfiguration)の受信失敗時、又は、MSからハンドオーバ先のマクロセル(BS2)へのメッセージ(RRC Connection Reconfiguration Complete)の受信失敗時に発生する。
【0112】
以下では、一例として、MSからハンドオーバ先のマクロセル(BS2)へ送信されるRRC Connection Reconfiguration Completeの送信が失敗(ハンドオーバ失敗)した場合について説明する。
【0113】
図11は、
図10に示す通信システムにおいて、MSに対して、BS1からBS2へハンドオーバする場合の動作を示すシーケンス図である。なお、
図11において、
図2及び
図9と同様の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0114】
図11では、ST7’において、MSからBS2へのRRC Connection Reconfiguration Completeの通信が失敗している。つまり、U-Planeの通信は、実施の形態1で説明したように継続しているものの、C-Planの通信は切断された状態となる。
【0115】
また、BS1(Slave無線資源制御部110)は、ST6’においてRRC Connection ReconfigurationをMSへ送信するタイミングで、このRRC Connection Reconfigurationに対する応答(ACK)に対するタイマの計時を開始する(ST21)。
【0116】
ST21で計時してから所定期間経過後にタイマが満了すると(ST22)、BS1(U-Plane継続判定部108)は、MSとスモールセルとの間の受信品質に基づいて、ST6’でのRRC Connection Reconfigurationの送信先であるMSがスモールセルの圏内であるか否か(すなわち、MSがスモールセルと通信可能であるか否か)を判定する。BS1は、MSがスモールセルの圏内である場合、当該MSに対するU-Planeの通信処理の制御を継続させると判定する。これにより、
図11に示すように、ST22のタイマ満了後も、BS1は、MSに対するU-Planeの制御を継続する。一方、BS1は、MSがスモールセルの圏外である場合、当該MSに対するU-Planeの通信処理の制御を停止する(図示せず)。
【0117】
一方、MS(圏外判定部203)は、ST7’のRRC Connection Reconfiguration Complete送信後、MSがBS2のカバーエリアの圏外であることを検出する(ST23)。この場合、MS(U-Plane継続判定部204)は、MSとスモールセルとの間の受信品質に基づいて、MSがスモールセルの圏内であるか否か(すなわち、MSがスモールセルと通信可能であるか否か)を判定する。MSは、MSがスモールセルの圏内である場合、U-Planeの通信を継続すると判定する。これにより、
図11に示すように、ST23の圏外検出時にも、MS1は、U-Planeの接続を継続させる。一方、MSは、MSがスモールセルの圏外である場合、U-Planeの通信を停止(通信設定をリセット)する(図示せず)。
【0118】
このように、BS1(基地局100)は、RRC Connection Reconfiguration(ST6’)を送信してから所定期間内にRRC Connection Reconfiguration Completeが受信されない場合(ハンドオーバ失敗の場合)、MS(端末200)がスモールセルの圏内に位置する場合にはU-Planeの通信処理の制御を継続し、MSがスモールセルの圏内に位置しない場合にはU-Planeの通信処理の制御を停止する。また、MS(端末200)は、RRC Connection Reconfiguration Completeを送信した後に当該他のマクロセルの圏外であることを検出した場合(ハンドオーバ失敗の場合)、MS(端末200)がスモールセルの圏内に位置する場合にはU-Planeの通信処理を継続し、MSがスモールセルの圏内に位置しない場合にはU-Planeの通信処理を停止する。
【0119】
こうすることで、
図10に示すように、C-Planeのハンドオーバが失敗した状態でも、BS1及びMSではU-Planeの通信が維持され、ハンドオーバ前と同様に、U-PlaneデータはスモールセルとMSとの間で送受信される。
【0120】
次いで、MS(圏外判定部203)は、圏外検出後、ハンドオーバ先のマクロセルであるBS2を検出する(ST24)。この場合、MS(無線資源制御部205)は、検出したBS2に対して、再接続を要求するRRC Connection Reestablish Requestを送信する(ST25)。BS2は、ST13においてC-Plane Slave動作が設定されているので、受信したRRC Connection Reestablish Requestを、そのままBS1(Masterセル)へ転送する。
【0121】
BS1(Slave無線資源制御部110)は、RRC Connection Reestablish Requestを受け取ると、U-Planeの再接続を指示するRRC Connection Reestablishを、BS2(Slaveセル)を介してMSへ送信する(ST26)。
【0122】
MSは、RRC Connection Reestablishに従って、再接続処理を行い、再接続完了後、RRC Connection Reestablish Completeを、BS2を介してBS1へ送信する(ST27)。また、この際、MSは、MSがスモールセルの圏内である場合、U-Planeの接続を継続すると判定する。同様に、BS1は、MSがスモールセルの圏内に位置する場合、当該MSに対するU-Planeの接続を継続させると判定する。これにより、
図11に示すように、BS2を介したBS1とMSとのC-Planeの通信の再接続後も、BS1及びMSは、U-Planeの通信を継続させる。一方、BS1及びMSは、MSがスモールセルの圏外に位置する場合にはU-Planeの通信を停止(通信設定をリセット)する(図示せず)。
【0123】
このように、BS1(基地局100)は、所定期間内にRRC Connection Reconfiguration Completeが受信されず、その後にBS1とMSとがBS2(Slaveセル)を介して再接続された場合、MSがスモールセルの圏内に位置する場合にはU-Planeの通信処理の制御を継続し、MSがスモールセルの圏内に位置しない場合にはU-Planeの通信処理理の制御を停止する。また、MS(端末200)は、BS2の圏外であることを検出後にBS1とMSとがBS2(Slaveセル)を介して再接続された場合、MSがスモールセルの圏内に位置する場合にはU-Planeの通信処理を継続し、MSがスモールセルの圏内に位置しない場合にはU-Planeの通信処理理を停止する。
【0124】
こうすることで、
図10に示すように、C-Planeのハンドオーバ失敗後、C-Planeの通信が再接続される場合にも、BS1及びMSではU-Planeの通信が維持され、ハンドオーバ前と同様に、U-PlaneデータはスモールセルとMSとの間で送受信される。
【0125】
以上のように、本実施の形態によれば、端末200がスモールセルの圏内に位置する場合(端末200がスモールセルと通信可能である場合)には、C-Planeのハンドオーバが失敗した場合でも、U-Planeの通信を切断することなく継続させることができる。
【0126】
また、本実施の形態によれば、C-Planeのハンドオーバに関する処理、及び、U-Planeの通信に関する処理(通信処理の継続判定等)の双方とも、スモールセルを介さずに、マクロセル(基地局100)と端末200との間によって行われる。このため、本実施の形態によれば、ヘテロジニアスネットワークにおいてマクロセルとスモールセルとが異なるシステムに属する場合であっても、マクロセル及びスモールセルが属するシステムに依ることなく、U-Planeの通信を継続させることができる。
【0127】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0128】
なお、上記実施の形態では、端末200がスモールセルに在圏中であることを、U-Planeの通信処理を継続させる条件の一つとする場合について説明した。しかし、端末200がスモールセルに在圏中であっても、当該端末200がデータ通信中ではない場合には、U-Planeの通信が途切れても問題は発生しない。そこで、端末200がスモールセルに在圏中であっても、当該端末200がデータ通信中ではない場合には、U-Planeの通信処理を継続させることなく、通常のハンドオーバ処理(例えば、
図2を参照)が優先的に行われてもよい。すなわち、基地局100(Masterセル)は、C/U分離状態である端末200に対してハンドオーバが必要であり、端末200がスモールセルの圏内に位置し、かつ、端末200がデータ通信中である場合にU-Planeの通信処理の制御を継続する。
【0129】
また、上記実施の形態において、マクロセルの通信システムとスモールセルの通信システムとが異なってもよい。例えば、マクロセルはLTEシステム又はLTE−Advancedシステムに属し、スモールセルは、WiFiを用いた通信システム又はWiGigを用いた通信システムに属してもよい。また、スモールセルは、U-Plane専用のLTEシステムに属してもよい。この場合、端末200は、マクロセルの通信システム及びスモールセルの通信システムの双方において通信可能な構成を採る。
【0130】
なお、上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0131】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0132】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)又は、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0133】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。