特許第6150871号(P6150871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6150871三次元ワークピースの製造装置において用いられる接触装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6150871
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】三次元ワークピースの製造装置において用いられる接触装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20170612BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20170612BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20170612BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20170612BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   B22F3/105
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B22F3/16
   B28B1/30
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-226581(P2015-226581)
(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-121392(P2016-121392A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】14194128.6
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】ボード ハック
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュヴァルツェ
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−289973(JP,A)
【文献】 特開2006−312310(JP,A)
【文献】 特表2004−516166(JP,A)
【文献】 実開平06−045278(JP,U)
【文献】 独国実用新案第202013009787(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00− 9/30
B29C67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原料粉末層にレーザー放射又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置(10)において用いられる接触装置(44)であって、
累積的な積層プロセスによって前記装置(10)内に作製されるワークピースを受けるように適合された交換可能な構築チャンバー(20)と、
前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持するように適合された構築チャンバー支持部(38)と、
第1の平坦な導電面(50)が設けられた少なくとも1つの第1の電気伝導部(48)を具備し、前記交換可能な構築チャンバー(20)に固定された第1の接触部(46)と、
第2の平坦な導電面(56)が設けられた少なくとも1つの第2の電気伝導部(54)を具備し、前記構築チャンバー支持部(38)に固定された第2の接触部(52)とを有し、
前記第1の接触部(46)の第1の電気伝導部(48)に設けられた前記第1の平坦な導電面(50)と前記第2の接触部(52)の第2の電気伝導部(54)に設けられた第2の平坦な導電面(56)は、前記交換可能な構築チャンバー(20)を前記構築チャンバー支持部(38)上に支持するときに、前記交換可能な構築チャンバー(20)と前記構築チャンバー支持部(38)との間で電気的な接続が形成されるように、相互に作用するように適合されたものであることを特徴とする接触装置。
【請求項2】
前記第1の接触部(46)は、前記第1の電気伝導部(48)に設けられた前記第1の平坦な導電面(50)が前記交換可能な構築チャンバー(20)の底面(42)の領域内に配置されるように前記交換可能な構築チャンバー(20)に固定されており、かつ、前記第2の接触部(52)は、前記第2の電気伝導部(54)に設けられた前記第2の平坦な導電面(56)が前記構築チャンバー支持部(38)の支持面(40)の領域内に配置されるように前記構築チャンバー支持部(38)に固定されているものであることを特徴とする請求項1に記載の接触装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の接触部(46、52)の少なくとも一方は、前記第1及び第2の電気伝導部(48、54)をそれぞれ収容するための少なくとも1つの凹部(64、58)が設けられた基盤部(62、60)を有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接触装置。
【請求項4】
前記第1の電気伝導部(48)は、該第1の電気伝導部(48)に設けられた前記第1の平坦な導電面(50)が前記基盤部(62)の表面(66)から突き出る第1の位置と、前記第1の電気伝導部(48)に設けられた前記第1の平坦な導電面(50)が前記基盤部(62)の表面(66)と同じ高さで配置される第2の位置との間で、前記第1の接触部(46)の前記基盤部(62)に対して移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の接触装置。
【請求項5】
前記第2の電気伝導部(54)は、該第2の電気伝導部(54)に設けられた前記第2の平坦な導電面(56)が前記基盤部(60)の表面(61)から突き出る第1の位置と、前記第2の電気伝導部(54)に設けられた前記第2の平坦な導電面(56)が前記基盤部(60)の表面(61)と同じ高さで配置される第2の位置との間で、前記第2の接触部(52)の前記基盤部(60)に対して移動可能であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の接触装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の電気伝導部(48、54)の少なくとも一方は、付勢手段(68)によって、前記第1の位置に偏らされていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の接触装置。
【請求項7】
複数の原料粉末層にレーザー放射又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置(10)であって、
照射手段(14)と、
プロセスチャンバー(16)と、
前記プロセスチャンバー(16)に隣接して配置されるように適合された交換可能な構築チャンバー(20)と、
原料粉末を受けるためのキャリア(18)であって、前記プロセスチャンバー(16)内で累積的な積層プロセスによって前記キャリア(18)上の原料粉末から作製されるワークピースをも受け、累積的な積層プロセスによって前記プロセスチャンバー(16)内に作製されたワークピースを前記交換可能な構築チャンバー(20)へ移すために、前記プロセスチャンバー(16)に対して前記交換可能な構築チャンバー(20)内に移動可能なキャリア(18)と、
前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持するように適合された構築チャンバー支持部(38)と、
第1の平坦な導電面(50)が設けられた少なくとも1つの第1の電気伝導部(48)を具備し、前記交換可能な構築チャンバー(20)に固定された第1の接触部(46)と、
第2の平坦な導電面(56)が設けられた少なくとも1つの第2の電気伝導部(54)を具備し、前記構築チャンバー支持部(38)に固定された第2の接触部(52)とを有し、
前記第1の接触部(46)の第1の電気伝導部(48)に設けられた前記第1の平坦な導電面(50)と前記第2の接触部(52)の第2の電気伝導部(54)に設けられた第2の平坦な導電面(56)は、前記交換可能な構築チャンバー(20)を前記構築チャンバー支持部(38)上に支持するときに、前記交換可能な構築チャンバー(20)と前記構築チャンバー支持部(38)との間で電気的な接続が形成されるように、相互に作用するように適合されたものであることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記構築チャンバー支持部(38)は、前記プロセスチャンバー(16)に隣接して配置される間、前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持するように適合されたものであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
さらに、前記交換可能な構築チャンバー(20)が前記プロセスチャンバー(16)に隣接して配置される前又は後に前記交換可能な構築チャンバー(20)を収容するように適合された前後処理部(26)を具備し、該前後処理部(26)は前記交換可能な構築チャンバー(20)を収容している間に加熱するための加熱手段(30)が設けられた加熱部(28)を備えるものであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記構築チャンバー支持部(38)は、前記加熱部(28)に配置されている間、前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持するように適合されたものであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
複数の原料粉末層にレーザー放射又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置(10)を稼働する方法であって、
累積的な積層プロセスによって前記装置(10)内に作製されるワークピースを受けるように適合された交換可能な構築チャンバー(20)であって、第1の平坦な導電面(50)が設けられた少なくとも1つの第1の電気伝導部(48)を備える第1の接触部(46)が固定された前記交換可能な構築チャンバー(20)を準備する工程と、
前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持するように適合された構築チャンバー支持部(38)であって、第2の平坦な導電面(56)が設けられた少なくとも1つの第2の電気伝導部(54)を備える第2の接触部(52)が固定された前記構築チャンバー支持部(38)を準備する工程と、
前記構築チャンバー支持部(38)上に前記交換可能な構築チャンバー(20)を配置し、それにより、前記第1の接触部(46)の第1の電気伝導部(48)に設けられた前記第1の平坦な導電面(50)と前記第2の接触部(52)の第2の電気伝導部(54)に設けられた前記第2の平坦な導電面(56)とが作用することを可能にして、前記交換可能な構築チャンバー(20)と前記構築チャンバー支持部(38)の間で電気的な接続を形成する工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記構築チャンバー支持部(38)により、前記装置(10)のプロセスチャンバー(16)に隣接して配置される間、前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持することを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記交換可能な構築チャンバー(20)前記装置(10)の前後処理部(26)の加熱部(28)内に収容されている間に加熱することを更に含み、前記加熱は、前記交換可能な構築チャンバー(20)が前記装置(10)のプロセスチャンバー(16)に隣接して配置される前又は後に、行われることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記構築チャンバー支持部(38)により、前記加熱部(28)内に配置される間、前記交換可能な構築チャンバー(20)を支持することを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁放射線または粒子放射線を複数の原料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを製造する装置において用いられる接触装置に関する。さらに、本発明は、そのような接触装置を備える、電磁放射線または粒子放射線を複数の原料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを製造する装置とそのような装置を稼働する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末層融解は、粉末の、特に、金属、及び/又は、セラミックの原料を複雑な形状の三次元ワークピースに加工することができる累積的な積層プロセスである。この目的のために、原料粉末の層がキャリア上に塗布され、製造されるワークピースの所望の幾何学的形状に応じて、位置選択的な方法でレーザー放射される。粉末層の中に浸透したレーザー放射線は、原料粉末粒子を加熱し、その結果として、融解又は焼結を引き起こす。さらに、ワークピースが所望の形状と大きさになるまで、原料粉末の複数の層が、既にレーザー処理された、キャリア上の層に連続的に塗布される。粉末層融解は、CADデータに基づいて、試作品、工具、交換部品、高価値部品又は医療人工器官、例えば歯科又は整形外科用の人工器官などの製造のために使用され得る。
【0003】
粉末層融解プロセスによって粉末の原料から多数の成形体を製造するのに好適な装置が、DE 20 2013 009 787 U1に記載されている。その先行技術による装置は、照射手段(装置)とプロセスチャンバーを備えるワークピース作製部を有している。プロセスチャンバーは周囲の雰囲気に対して密封されてよく、原料粉末のみならず、累積的な積層プロセスによってキャリア上の原料粉末から作製されるワークピースをも受けるためのキャリアを収容する。キャリアは、ワークピースを作製する際にその増加する高さを相殺するために、プロセスチャンバーに対して、構築チャンバー内に移動可能とされる。構築チャンバーは、覆い(カバー)によって周囲の雰囲気に対して密封され得り、その後、プロセスチャンバーに隣接する稼働位置からワークピース作製部の外側の交換位置に移動されてもよい。構築チャンバーはさらに、交換位置から、後処理部へ移動される。後処理部において、構築チャンバー内に収容されたワークピースは冷却され、余剰の原料粉末は構築チャンバーから取り除かれ、最終的にワークピースが構築チャンバーから取り出される。構築チャンバーが後処理部へ移されるために交換位置を離れるとすぐに、交換用の構築部が更なるワークピースを製造するために、ワークピース作製部内に導入されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電磁放射線または粒子放射線を複数の原料粉末層に照射することによって、より多数のワークピースを特に効率的な方法で作製することを可能にする三次元ワークピースの製造装置において用いられる接触装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、電磁放射線または粒子放射線を複数の原料粉末層に照射することによって、より多数のワークピースを特に効率的な方法で作製することを可能にする三次元ワークピースの製造装置を提供することを目的とする。最後に本発明は、そのような装置を稼働する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の接触装置、請求項7の装置、および請求項11の方法によって達成される。
【0006】
複数の原料粉末層に電磁放射線又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置において用いられる接触装置は、累積的な積層プロセスによって装置内に作製されるワークピースを受けるように適合された交換可能な構築チャンバーを有している。交換可能な構築チャンバーは装置内で、稼働位置、交換位置、及び前処理/後処理位置(前後処理位置)の間で移動可能とされてよい。その稼働位置において、交換可能な構築チャンバーはプロセスチャンバーに隣接して配置されてよく、三次元ワークピースが、キャリアに塗布された複数の原料粉末層を電磁放射線又は粒子放射線で照射することにより、キャリア上に作製される。キャリアは、ワークピースが作製される際の高さの増加を相殺するよう、プロセスチャンバー内で作製されたワークピースを構築チャンバー内へ移すためにプロセスチャンバーに対して変位可能とされてよい。
【0007】
交換可能な構築チャンバーは、雰囲気に対して密封可能とされてよく、それにより、交換可能な構築チャンバーがその内部に作製されたワークピースを保持した状態で、ワークピースを雰囲気に曝すことなく、その稼働位置から交換位置へ移動され得る。さらに、交換可能な構築チャンバーはその交換位置から前後処理位置に移動されてもよい。交換可能な構築チャンバーがその交換位置から移されるとすぐに、新しい構築チャンバーがプロセスチャンバーに隣接する稼働位置で装置内の適切な場所に据え付けられて、新しいワークピースが作製されてもよい。もちろん、前後処理位置で適切な前後処理を受けたあとで、交換可能な構築チャンバーは装置内で再使用されてよく、すなわち、更なるワークピースを受けるようにその稼働位置に戻されてよい。
【0008】
接触装置はさらに、交換可能な構築チャンバーを支持するように適合された構築チャンバー支持部を備えている。構築チャンバー支持部は、交換可能な構築チャンバーを所望の位置で保持する限りは、三次元ワークピースの製造装置内のどの場所の接触装置に対して適合されてもよい。例えば、交換可能な構築チャンバーは円柱形状でもよく、特には、実質的に平坦な底面を有する円筒形状でよい。構築チャンバー支持部はさらに、実質的に平板形状に設計されたものでよく、その上に交換可能な構築チャンバーを受けるように実質的に平坦な支持面を有していてよい。
【0009】
接触装置の第1の接触部は、交換可能な構築チャンバーに固定されており、少なくとも1つの第1の電気伝導部を具備している。第1の電気伝導部には、第1の平坦な導電面が設けられている。第1の電気伝導部は、露出した第1の平坦な導電面が設けられている限りは、どのような適切な設計のものでもよい。例えば、第1の電気伝導部は直方体の形状で設計されてよく、第1の電気伝導部の第1の平坦な導電面はその直方体の複数の側面のうちの1つにより形成されてもよい。必要であれば、第1の接触部は同じ形状又は異なる形状の複数の第1の電気伝導部を備えてよい。
【0010】
第2の接触部は構築チャンバー支持部に固定されており、少なくとも1つの第2の電気伝導部を具備している。第2の電気伝導部には、第2の平坦な導電面が設けられている。第1の電気伝導部と同様に、第2の電気伝導部も、露出した第2の平坦な導電面が設けられている限りは、どのような適切な設計のものでもよい。例えば、第2の電気伝導部も直方体の形状で設計されてよく、第2の電気伝導部の第2の平坦な導電面はその直方体の複数の側面のうちの1つにより形成されてもよい。必要であれば、第2の接触部は同じ形状又は異なる形状の複数の第2の電気伝導部を備えていてよい。
【0011】
第1の接触部の第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面と第2の接触部の第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面は、交換可能な構築チャンバーが構築チャンバー支持部上に支持されるときに、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部の間で電気的な接続が形成されるように、相互に作用するように適合される。換言すると、第1及び第2の電気伝導部に設けられた平坦な導電面は、相互に接触するようにされて、それにより、交換可能な構築チャンバーを構築チャンバー支持部に接続して、その結果、交換可能な構築チャンバーを三次元ワークピース製造装置の電気的なシステムに接続するように適合される。第1及び第2の平坦な導電面の形状は、相互に調整されることが好ましく、すなわち、接触装置の好ましい実施態様においては、第1及び第2の平坦な導電面は同一形状であるか、又は少なくとも類似の形状とされる。
【0012】
第1及び第2の電気伝導部には平坦な導電面が設けられているので、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部の間の電気的な接続は、交換可能な構築チャンバーが構築チャンバー支持部上に載置されるときに、伝導部を損傷する危険性(可能性)なしに、瞬時かつ容易に形成されることができる。同様に、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部の間の電気的な接続は、交換可能な構築チャンバーが構築チャンバー支持部から取り外されたときに、容易に遮断されることができる。従って、接触装置を具備した三次元ワークピース製造装置においては、その装置内の様々な位置の間での交換可能な構築チャンバーの移動が、特に効率的な方法で実行されることができ、その装置は信頼性が高く、保守(メンテナンス)業務を低減しつつ稼働させることができる。
【0013】
接触装置の好ましい実施態様においては、第1の接触部は、第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面が交換可能な構築チャンバーの底面の領域に配置されるように、交換可能な構築チャンバーに固定される。第2の接触部は、好ましくは、第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面が構築チャンバー支持部の支持面の領域内に配置されるように、構築チャンバー支持部に固定される。接触装置のこの設計は、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部の間の電気的な接続が交換可能な構築チャンバーを構築チャンバー支持部の上に単に降ろすことによって特に容易に形成されることを可能にする。同様に、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部の間の電気的な接続は、構築チャンバー支持部から交換可能な構築チャンバーを単に持ち上げることによって、遮断されることができる。
【0014】
第1の接触部は、第1の電気伝導部を収容するための少なくとも1つの凹部が設けられた基盤部を備えていてもよい。第1の接触部が1を超える第1の電気伝導部を備えている場合は、第1の接触部の基盤部には複数の凹部が設けられていてもよく、各々の凹部は第1の電気伝導部をそれぞれ収容するように適合される。それに加えて、又はそれに代えて、第2の接触部は、第2の電気伝導部を収容するための少なくとも1つの凹部が設けられた基盤部を備えていてもよい。第2の接触部が1を超える第2の電気伝導部を備えている場合は、第2の接触部の基盤部には複数の凹部が設けられていてもよく、各々の凹部は第2の電気伝導部をそれぞれ収容するように適合される。
【0015】
第1の電気伝導部は固定された伝導部でよい。すなわち、第1の電気伝導部は、その第1の平坦な導電面が基盤部の表面と同じ高さで配置され、かつ、第1の平坦な導電面と交換可能な構築チャンバーの間の電気的な接続が連続的に形成された状態で第1の接触部の基盤部に固定的に取り付けられてもよい。しかしながら、第1の電気伝導部は第1の接触部の基盤部に対して、第1の位置と第2の位置の間で移動可能であることも考えられる。第1の電気伝導部がその第1の位置に配置されるとき、第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面は、基盤部の表面から突き出していてよい。反対に、第1の電気伝導部がその第2の位置に配置されるとき、第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面は、基盤部の表面と同じ高さで配置されてよい。
【0016】
基本的に、第2の電気伝導部も固定された伝導部でよい。すなわち、第2の電気伝導部は、その第2の平坦な導電面が基盤部の表面と同じ高さで配置され、かつ、第2の平坦な導電面と構築チャンバー支持部の間の電気的な接続が連続的に形成された状態で第2の接触部の基盤部に固定的に取り付けられてもよい。しかしながら、それに代わり、第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面が基盤部の表面から突き出る第1の位置と、第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面が基盤部の表面と同じ高さで配置される第2の位置との間で、第2の接触部の基盤部に対して移動可能である第2の電気伝導部を第2の接触部に設けることも考えられる。
【0017】
移動可能な第1の電気伝導部は、付勢手段によってその第1の位置に偏らされていてもよい。同様に、移動可能な第2の電気伝導部も、付勢手段によってその第1の位置に偏らされていてもよい。第1及び/又は第2の電気伝導部に加えられる付勢力により、第1及び/又は第2の電気伝導部は第1の位置に動かされて、第1及び第2の平坦な導電面が接触されたときに、第1の接触部の第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面と第2の接触部の第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面の間に信頼性の高い電気的な接続が形成され得ることが確実となる。付勢手段は、例えば、ばねの形態で設計されてよく、第1又は第2の電気伝導部には約14Nのばね力を加えるのが適切とされてよい。
【0018】
接触装置は、固定された第1の伝導部と固定された第2の伝導部、又は、移動可能な第1の伝導部と移動可能な第2の伝導部を備えていてよい。さらに、接触装置に1つの固定された伝導部と1つの移動可能な伝導部を備えることも考えられる。この接触装置においては、第1の伝導部は移動可能な設計であることが好ましい。
【0019】
複数の原料粉末層に電磁放射線又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置は、照射手段を有している。照射手段は少なくとも1つの放射源、特にレーザー光源と、放射源によって放出される放射ビームを誘導し、及び/又は処理する少なくとも1つの光学ユニットを備えている。光学ユニットは、例えば、対物レンズ、特にf−θレンズ、及びスキャナユニットのような光学部品を備えていてよく、スキャナユニットは回折光学素子や偏向ミラーを備えることが好ましい。さらに、装置は、プロセスチャンバー内に制御された雰囲気、特に、不活性の雰囲気を形成及び維持可能とするために、周囲の雰囲気に対して密封し得るプロセスチャンバーを有する。
【0020】
交換可能な構築チャンバーはプロセスチャンバーに隣接して配置されるように適合される。特に、交換可能な構築チャンバーは、装置内の異なる複数の位置、例えば、プロセスチャンバーに隣接する稼働位置、交換位置、及び/又は、前後処理位置に配置されるように適合されてもよい。装置はさらに、原料粉末のみならず、プロセスチャンバー内で累積的な積層プロセスによってキャリア上の原料粉末から作製されるワークピースをも受けるキャリアを有する。原料粉末は粉末塗布手段によってキャリアに塗布されてよく、好ましくは、金属粉末、特に金属合金粉末であるが、セラミック粉末又は異なる複数の原料を含む粉末でもよい。粉末は、どのような適切な粒子の大きさ又は粒子の大きさの分布を有していてもよい。しかしながら、100μm未満の大きさの粒子の粉末を処理することが好ましい。キャリアはプロセスチャンバー内にワークピースが作製される際にその高さの増加を相殺するために、また、累積的な積層プロセスによってプロセスチャンバー内に作製されたワークピースを交換可能な構築チャンバー内へ移すために、プロセスチャンバーに対して構築チャンバー内に移動可能である。
【0021】
装置はさらに、交換可能な構築チャンバーを支持するように適合された構築チャンバー支持部を有している。構築チャンバー支持部は、交換可能な構築チャンバーを所望の位置で保持するのに適切である限りは、三次元ワークピースの製造装置内のどの場所に配置されてもよい。
【0022】
第1の接触部は交換可能な構築チャンバーに固定されており、少なくとも1つの第1の電気伝導部を具備している。第1の電気伝導部には、第1の平坦な導電面が設けられている。第2の接触部は構築チャンバー支持部に固定されており、少なくとも1つの第2の電気伝導部を具備している。第2の電気伝導部には、第2の平坦な導電面が設けられている。第1の接触部の第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面と第2の接触部の第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面は、交換可能な構築チャンバーを構築チャンバー支持部上に支持するときに、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部との間で電気的な接続が形成されるように、相互に作用するように適合される。
【0023】
接触装置に関して上述した全ての特徴、特に、交換可能な構築チャンバー、構築チャンバー支持部、第1の接触部及び第2の接触部についての特徴は、三次元ワークピース製造装置にも備わっていてよい。
【0024】
構築チャンバー支持部は、プロセスチャンバーに隣接する稼働位置に配置されている間、交換可能な構築チャンバーを支持するように適合されてよい。
【0025】
好ましい実施態様において、装置はさらに、交換可能な構築チャンバーがその稼働位置においてプロセスチャンバーに隣接して配置される前又は後に、交換可能な構築チャンバーを収容するように適合された前処理/後処理部(前後処理部)を具備している。前後処理部は、例えば、交換可能な構築チャンバーから余剰の原料粉末を排出する余剰粉末排出部、作製されたワークピースを交換可能な構築チャンバーから取り外すワークピース取り外し部、及び交換可能な構築チャンバーが装置のプロセスチャンバーに隣接する稼働位置に戻されるまで、交換可能な構築チャンバーを保管する保管部を有してもよい。
【0026】
特に好ましい実施態様において、装置の前後処理部は、交換可能な構築チャンバーが加熱部に収容されている間に交換可能な構築チャンバーを加熱するための加熱手段が設けられた加熱部を有している。加熱部は、交換可能な構築チャンバーがプロセスチャンバーに隣接する稼働位置へ移動される前に、所望の温度まで、空の交換可能な構築チャンバーを加熱するために用いられてよく、プロセスチャンバー内で作製されたワークピースを連続的に収容するために用いられてよい。しかしながら、ワークピースが加熱部内に収容されている間、交換可能な構築チャンバーとワークピースを徐冷するために、交換可能な構築チャンバーを加熱するために加熱部を用いて、それにより、室温まで徐冷される際のワークピース内の熱応力の発生を低減することも考えられる。
【0027】
加熱部を備える前後処理部を有し、複数の原料粉末層に電磁放射線又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置は、上述した接触装置とは別に請求されてもよい。加熱部を備える前後処理部に加え、装置は、上述した特徴を備え得る照射手段、プロセスチャンバー、プロセスチャンバーに隣接して配置されるように適合された交換可能な構築チャンバー、及び原料粉末のみならずプロセスチャンバー内で累積的な積層プロセスによってキャリア上の原料粉末から作製されるワークピースをも受けるキャリアを有してよい。キャリアは、累積的な積層プロセスによってプロセスチャンバー内に作製されたワークピースを交換可能な構築チャンバーへ移すために、プロセスチャンバーに対して交換可能な構築チャンバー内に移動可能とされてよい。必要ならば、装置は上述した接触装置を有していてよく、すなわち、装置は上述した第1の接触部と上述した第2の接触部とを有していてよい。
【0028】
基本的に、本発明の三次元ワークピース製造装置は、構築チャンバー支持部を1つだけ有している。上記したように、前記構築チャンバー支持部はその稼働位置において、交換可能な構築チャンバーを支持するように適合されてよい。しかしながら、交換可能な構築チャンバーが加熱部内に配置されている間、交換可能な構築チャンバーを支持するように適合された構築チャンバー支持部を装置に備えることも考えられる。第1及び第2の接触部を作用させることによって、交換可能な構築チャンバーは、それを加熱するために、加熱部、特に加熱部の加熱手段と電気的に接続されてもよい。もちろん、装置は、例えば、稼働位置において交換可能な構築チャンバーを支持するように適合された第1の構築チャンバー支持部と、加熱部に配置されている間に交換可能な構築チャンバーを支持するように適合された第2の構築チャンバー支持部のような、複数の構築チャンバー支持部を備えていてもよい。
【0029】
複数の原料粉末層に電磁放射線又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置を稼働する方法において、累積的な積層プロセスによって装置内に作製されるワークピースを受けるように適合された交換可能な構築チャンバーが準備される。少なくとも1つの第1の電気伝導部を備える第1の接触部が交換可能な構築チャンバーに固定される。第1の電気伝導部には、第1の平坦な導電面が設けられる。さらに、交換可能な構築チャンバーを支持するように適合された構築チャンバー支持部が準備される。少なくとも1つの第2の電気伝導部を備える第2の接触部が構築チャンバー支持部に固定される。第2の電気伝導部には、第2の平坦な導電面が設けられる。構築チャンバー支持部上に交換可能な構築チャンバーを配置し、それにより、第1の接触部の第1の電気伝導部に設けられた第1の平坦な導電面と第2の接触部の第2の電気伝導部に設けられた第2の平坦な導電面とが作用することを可能にして、交換可能な構築チャンバーと構築チャンバー支持部の間で電気的な接続が形成される。
【0030】
接触装置、特に、交換可能な構築チャンバー、構築チャンバー支持部、第1の接触部、及び第2の接触部に関して上述された全ての特徴は、三次元ワークピース製造装置の稼働方法にも適用されてよい。
【0031】
方法の好ましい実施態様においては、構築チャンバー支持部は、装置のプロセスチャンバーに隣接して配置されている間、交換可能な構築チャンバーを支持する。
【0032】
交換可能な構築チャンバーは、装置の前後処理部の加熱部内に収容されている間、加熱されてよく、前後処理部は交換可能な構築チャンバーが装置のプロセスチャンバーに隣接して配置される前又は後に、交換可能な構築チャンバーを収容するように適合される。
【0033】
構築チャンバー支持部は、加熱部内に配置されている間、交換可能な構築チャンバーを支持してもよい。
【0034】
添付された概略図を参照して本発明の好ましい態様を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】複数の原料粉末層に電磁放射線又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを製造する装置を示す概略図である。
図2図1の装置で用いられる接触装置を示す概略図である。
図3図2の接触装置の第1の接触部の詳細な三次元概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、複数の原料粉末層に電磁放射線又は粒子放射線を照射することによって三次元ワークピースを作製するワークピース作製部12を備える装置10を示している。ワークピース作製部12は、照射手段14とプロセスチャンバー16を備えている。プロセスチャンバー16とそのプロセスチャンバー16を取り囲むワークピース作製部12の領域は、雰囲気に対して密封可能とされ、プロセスチャンバー16とそのプロセスチャンバー16を取り囲むワークピース作製部12の領域が真空源及び/又は圧力源に接続される際に経由するそれぞれの接続部が設けられる。キャリア18は、原料粉末のみならず、累積的な積層プロセスによって原料粉末から作製されたワークピースも収容するように機能するプロセスチャンバー16内に配置される。キャリア18は、プロセスチャンバー16に対して、交換可能な構築チャンバー20内に垂直方向の下方に移動可能とされる。
【0037】
照射手段14は放射源、特に、例えば、約1070から1080nmの波長のレーザー光を放出するダイオード励起イッテルビウムファイバーレーザーのようなレーザー光源と、放射源によって放出される放射ビームを導き、処理する光学ユニットを有する。光学ユニットは、放射ビームを拡大するビームエキスパンダー、スキャナ、対物レンズを有してもよい。その代わりに、光学ユニットは、集束光学部品およびスキャナユニットを含むビームエキスパンダーを有してもよい。スキャナユニットによって、ビーム路の方向とビーム路に垂直な面内の両方における放射ビームの焦点の位置が、変化され、調整されることができる。スキャナユニットは、ガルバノメータースキャナの形態で設計されてよいし、対物レンズはf−θレンズでもよい。
【0038】
装置10が稼働する間、粉末塗布手段(不図示)により、キャリア18の表面が原料粉末によって覆われるように、キャリア18上に原料粉末層を塗布する。その後、キャリア18に塗布された原料粉末層は、照射手段14によって放出される放射ビームで選択的に照射される。放射ビームは、製造されるワークピースのCADデータに応じて、キャリア18上に塗布された原料粉末層の上方に向けられる。ワークピースの第1の層が完成した後で、キャリア18はそのキャリア18上に製造されるワークピースの高さの増加を相殺するために垂直方向に下げられ、それにより、キャリア18による連続的な粉末層の塗布を可能にする。その後、その連続的な粉末層は照射手段14によって照射される。このようにして、キャリア18が交換可能な構築チャンバー20の中に連続的に下げられる間に、1層ごとに、ワークピースはキャリア18上に積み上げられる。
【0039】
構築プロセスの終了後、すなわち、ワークピースが交換可能な構築チャンバー20内に完全に収容された時に、交換可能な構築チャンバー20はその最上部に覆い22を取り付けることによって密閉され、プロセスチャンバー16に隣接するワークピース作製部12内のその稼働位置から移動される。交換部24を経由して、交換可能な構築チャンバー20は前後処理部26へ移される。交換可能な構築チャンバー20が交換部24の交換位置を離れるとすぐに、新しい空の交換可能な構築チャンバー20がプロセスチャンバー16に隣接するワークピース作製部12内の稼働位置に配置され、更なるワークピースを作製するための新しい構築プロセスが開始されてもよい。
【0040】
前後処理部26は、交換可能な構築チャンバー20が加熱部28内に収容されている間に交換可能な構築チャンバー20を加熱する加熱手段30が設けられた加熱部28を有している。加熱部28は、交換可能な構築チャンバー20がプロセスチャンバー16に隣接するワークピース作製部12内の稼働位置に配置される前に空の交換可能な構築チャンバー20を予備加熱するために用いられてよい。しかしながら、前後処理部26の加熱部28内に、新たに作製されたワークピースを収容する交換可能な構築チャンバー20を配置することも考えられる。加熱部28の加熱手段30から交換可能な構築チャンバー20への熱の移動とそこに収容されたワークピースが、例えば、交換可能な構築チャンバー20とワークピースとが室温まで徐々に冷却されるように制御されてもよく、その結果、ワークピース内の熱応力が低減される。加熱部28に加え、前後処理部26はさらに、交換可能な構築チャンバー20から余剰の原料粉末を排出するための余剰粉末排出部32、作製されたワークピースを交換可能な構築チャンバー20から取り外すためのワークピース取り外し部34、及び交換可能な構築チャンバー20がワークピース作製部12の稼働位置に戻されるまで、交換可能な構築チャンバー20を保管するための保管部36とを有している。
【0041】
交換可能な構築チャンバー20がワークピース作製部12の内の稼働位置に配置される時、交換可能な構築チャンバー20は構築チャンバー支持部38によって支持される。図に示される装置10の実施態様において、構築チャンバー支持部38は実質的に平板形状であり、交換可能な構築チャンバー20の平坦な底面42を支持する実質的に平坦な支持面40を備えている。図2により詳細に記載される接触装置44は、交換可能な構築チャンバー20と構築チャンバー支持部38の間で電気的な接続(接触)を形成する機能を有する。
【0042】
接触装置44は、複数の第1の電気伝導部48を具備し、交換可能な構築チャンバー20に固定された第1の接触部46を備えている。各々の第1の電気伝導部48には、直方体の第1の電気伝導部48の矩形の側面によって規定される第1の平坦な導電面50が設けられている。接触装置44の第2の接触部52は、構築チャンバー支持部38に固定される。第1の接触部46と同様に、第2の接触部52も複数の第2の電気伝導部54を具備し、各々の第2の電気伝導部54には、直方体の第2の電気伝導部54の矩形の側面によって規定される第2の平坦な導電面56が設けられる。
【0043】
交換可能な構築チャンバー20が構築チャンバー支持部38上に支持されるとき、第1の接触部46の第1の電気伝導部48に設けられた各々の第1の平坦な導電面50は、第2の接触部52の第2の電気伝導部54に設けられたそれぞれ関連付けられた第2の平坦な導電面56と作用する。結果として、交換可能な構築チャンバー20と構築チャンバー支持部38の間で電気的な接続が形成される。さらにその結果、交換可能な構築チャンバー20は装置10の電気的なシステムと接続される。
【0044】
第1の接触部46は、第1の接触部46の複数の第1の電気伝導部48に設けられた複数の第1の平坦な導電面50が、交換可能な構築チャンバー20の領域内に配置されるように、交換可能な構築チャンバー20に固定される。第2の接触部52は、第2の接触部52の複数の第2の電気伝導部54に設けられた複数の第2の平坦な導電面56が、構築チャンバー支持部38の支持面40の領域内に配置されるように、構築チャンバー支持部38に固定される。結果として、交換可能な構築チャンバー20を構築チャンバー支持部38上に置き、交換可能な構築チャンバー20の底面42が構築チャンバー支持部38の支持面40に対して接触するとすぐに、交換可能な構築チャンバー20は構築チャンバー支持部38に電気的に接続される。
【0045】
図2から明らかなように、第2の接触部52には、複数の固定された第2の電気伝導部54が設けられており、すなわち、第2の接触部52の複数の第2の電気伝導部54は、複数の第2の電気伝導部54に設けられた複数の第2の平坦な導電面56が基盤部60の表面61と同じ高さで配置されるように、第2の接触部52の基盤部60内に形成されたそれぞれの凹部58内に固定的に収められる。反対に、第1の接触部46には、図3に示すように、基盤部62内に形成されたそれぞれの複数の凹部64内に、第1の接触部46の基盤部62に対して移動可能な複数の第1の電気伝導部48が第1の位置と第2の位置の間で設けられる。複数の第1の電気伝導部48が図3に示すように第1の位置に配置されるとき、複数の第1の電気伝導部48に設けられた複数の第1の平坦な導電面50は、基盤部62の表面66から突き出る。
【0046】
これとは反対に、複数の第1の電気伝導部48が(図2に示すように)第2の位置に配置されるとき、複数の第1の電気伝導部48に設けられた複数の第1の平坦な導電面50は、基盤部62の表面66と同じ高さで配置される。各々の第1の電気伝導部48は、付勢手段68によって第1の位置に偏らされる。図に記載された第1の接触部46の実施態様においては、各々の付勢手段68は、第1の接触部46の基盤部62内に形成された適切な収容部70内に収められたばねの形態で設計される。ばねの第1の終端部は、収容部70の終端面を押し、一方、ばねの第2の終端部は第1の電気伝導部48の第1の平坦な導電面50とは反対側の第1の電気伝導部48の表面を押す。約14Nの付勢力がそれぞれ関連付けられた付勢手段68によって各々の第1の電気伝導部48に加えられ、各々の第1の電気伝導部48は関連付けられた第2の電気伝導部54をそれぞれ押しつける。結果として、交換可能な構築チャンバー20と構築チャンバー支持部38の間の確実な電気的な接続の達成が保証される。
【0047】
図1から明らかなように、装置10はさらに、前後処理部26の加熱部28内に配置されている間に、交換可能な構築チャンバー20を支持するように適合された構築チャンバー支持部38を備えている。加熱部28のこの更なる構築チャンバー支持部38は、ワークピース作製部12の構築チャンバー支持部38と同様であり、交換可能な構築チャンバー20を装置10の電気的なシステムに接続する機能も有する。加えて、交換可能な構築チャンバー20に固定された第1の接触部46と、加熱部28の構築チャンバー支持部38に固定された第2の接触部52との相互作用によって、加熱手段30によって生成された熱を交換可能な構築チャンバー20へ移動可能とするために、交換可能な構築チャンバー20が加熱部28の加熱手段30に接続されることができる。
【符号の説明】
【0048】
10…三次元ワークピースを製造する装置、 14…照射手段、
16…プロセスチャンバー、 18…キャリア、
20…交換可能な構築チャンバー、 26…前後処理部、 28…加熱部、
30…加熱手段、 38…構築チャンバー支持部、 40…支持面、
42…底面、 44…接触装置、 46…第1の接触部、
48…第1の電気伝導部、 50…第1の平坦な導電面、 52…第2の接触部、
54…第2の電気伝導部、 56…第2の平坦な導電面、
58…第2の接触部の凹部、 60…第2の接触部の基盤部、
61…第2の接触部の基盤部の表面、 62…第1の接触部の基盤部、
64…第1の接触部の凹部、 66…第1の接触部の基盤部の表面、
68…付勢手段。
図1
図2
図3