(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る好適な実施の形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明の唯一の実施の形態を示すためのものではない。以下の詳細な説明は本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、このような具体的な細部事項なしにも本発明が実施され得るということが当業者には理解される。
【0027】
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、特別の言及がない限り、選択的なものと考慮すればよい。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合していない形態で実施されてもよく、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
【0028】
以下の説明で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更してもよい。
【0029】
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略されたり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示されることもある。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
【0030】
本発明の実施例は、無線アクセスシステムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTE及びLTE−A(LTE−Advanced)システム、並びに3GPP2システムの少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省いた段階又は部分は、上記の文書によって裏付けることができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
【0031】
以下の技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)などのような様々な無線アクセスシステムに用いることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM(登録商標) Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。明確性のために、以下ではIEEE 802.11システムを中心に説明するが、本発明の技術的思想がこれに制限されるものではない。
【0032】
CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)
【0033】
CSMA/CDは有線LAN環境における衝突検出技法であり、イーサネット(登録商標)(ethernet)環境で通信をしようとするPC(Personal Computer)やサーバー(server)は、まず、ネットワーク上で通信が起きているか否かを確認し、他の装置(device)が当該ネットワーク上でデータを送っていると、待ってからデータを送る。しかし、2人以上のユーザ(例、PC、端末など)が同時にデータを送る場合は、これらの同時送信に衝突が発生する。CSMA/CDは、このような衝突を監視して柔軟なデータ送信を可能にする技法である。CSMA/CDを用いる送信装置は、例えば、下記の規則を用いて、他の送信装置によるデータ送信を感知し、自身のデータ送信を調節する。
【0035】
X.ケーブルがアイドル(idle)であれば送信する。
【0036】
Y.ケーブルがビジー(busy)であれば、ケーブルが待機状態になるまで継続してケーブルを感知する。
【0037】
V.送信中に衝突が感知されるとデータ送信を止め、電波妨害(jamming)信号を送った後、上記送信を完全に中断する。
【0038】
W.ランダム時間を待った後、X段階から再び送信を試みる。
【0039】
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)
【0040】
CSMA/CAは、IEEE 802.11標準に明示されている媒体接近制御プロトコルである。IEEE 802.11標準に基づくWLANシステムは、IEEE 802.3標準で用いられたCSMA/CDを用いず、CA、すなわち、衝突を回避する方式を用いている。各送信装置は常にネットワークの搬送波を感知しているが、ネットワークが空になった時、目録に登載された自身の位置によって定められた分の時間を待ってからデータを送る。目録内で送信装置間の優先順位を決め、それを再設定(reconfiguration)するには様々な方法が用いられる。IEEE 802.11標準の一部バージョンに基づくシステムでは衝突が起きることがあり、その場合には衝突感知手順が行われる。CSMA/CAを用いる送信装置は、例えば、下記の規則を用いて、他の送信装置によるデータ送信と自身のデータ送信との衝突を回避する。
【0042】
i)送信装置Aは、他の送信装置がデータ送信中であるか否か(電波を出しているか否か)を感知する搬送波感知を行う。
【0043】
ii)他の送信装置が送信中であることを検知すると、待機する。
【0044】
iii)送信開始までの遅延時間として、ランダム(random)時間が割り当てられる。
【0045】
iv)搬送波再感知を行って、他の搬送波がないか否か確認する。
【0046】
v)データ(パケット)送信を開始する。
【0047】
MIMO(Multiple Input Multiple Output)
【0048】
MIMO技術は、送信端と受信端で複数個のアンテナを使用し、使用されたアンテナの個数に比例して容量或いはSINR(Signal to Interference−plus−Noise Ratio)を高める技術である。参考として、送信端でのみ複数のアンテナを用いる技法をMISO(Multiple Input Single Output)、受信端でのみ複数のアンテナを用いる技法をSIMO(Single Input Multiple Output)、そして送信端及び受信端の両方で単一アンテナを用いる技法をSISO(Single Input Single Output)と呼ぶ。ただし、MIMO技術は、MIMO、SIMO、MISO及びSISO技法を総称する用語として用いられることもある。
【0049】
一方、MIMO技術は、送信ダイバーシティ(transmit diversity)、ビーム形成(beamforming)、空間多重化(spatial multiplexing)などのために用いることができる。送信ダイバーシティは、複数の送信アンテナで同一のデータを送信して送信信頼度を高める技術である。ビーム形成は、複数のアンテナでチャネル状態による重み値を加えて信号のSINRを増加させるために用いる。このとき、重み値は重みベクトル(weight vector)又は重み行列(weight matrix)で表示でき、これをプリコーディングベクトル(precoding vector)又はプリコーディング行列(precoding matrix)という。空間多重化は、複数の送信アンテナでそれぞれ異なるデータを同時に送信し、システムの帯域幅を増加させることなく高速のデータを送信できる技術である。空間多重化は、単一ユーザに対する空間多重化及び複数ユーザに対する空間多重化がある。MIMOを用いた単一ユーザに対する空間多重化は単一ユーザMIMO(single user MIMO、SU−MIMO)と呼ぶこともでき、MIMOを用いた複数ユーザに対する空間多重化は、SDMA(Spatial Division Multiple Access)或いは多重ユーザMIMO(multiple user MIMO、MU−MIMO)と呼ぶこともできる。
【0050】
MU−MIMOについてより詳しく説明する。SU−MIMOでは、同一の時間/周波数物理リソース上で単一の送信端から単一の受信端に信号を伝達するのに対し、MU−MIMOでは、同一の時間/周波数物理リソース上で複数のアンテナを活用した空間的分解技法を適用して単一の送信端から複数の受信端に或いは複数の送信端から単一の受信端に信号を伝達する。単一の送信端から複数の受信端に信号を伝達するMU−MIMO技術では、送信端の多重アンテナを用いて各受信端に伝達される信号が干渉の極力除去された状態で伝達されるようにすることが重要である。
複数の送信端から単一の受信端に信号を伝達するMU−MIMO技術では、受信端で多重アンテナを用いて各送信端の信号を分離することが重要である。APと端末の観点で、単一のAPから複数の端末に同一の時間/周波数リソースを用いて信号を送信するMU−MIMOを特に下りリンク(downlink、DL)MU−MIMOといい、複数の端末が同一の時間/周波数リソースを用いて単一のAPに信号を送信するMU−MIMOを特に上りリンク(uplink、UL)MU−MIMOという。UL MU−MIMO技術では、互いに異なる距離で離れているとともに、ハードウェア特性が異なる複数の送信端から単一の受信端に信号を送信するため、複数の送信端間にUL同期化手順(例、周波数オフセット(offset)及び/又はUL送信タイミングオフセットを合わせる手順)も非常に重要である。
【0051】
現在CSMAベースシステムにおいてUL MU−MIMO送信は考慮していない。UL MU−MIMO送信のためには異種装置どうしのUL同期が取れなければならないが、一般的にCSMAベースシステムはネットワーク観点では同期化されていない(unsynchronized)システムであるためである。同期化されたシステムであるセルラー(cellular)システムでは、基地局(base station、BS)が端末のUL信号からUL周波数オフセット及びタイミングオフセットを測定或いは計算した後、各端末の周波数及び時間オフセットを制御情報として端末に提供してUL同期化を行う。これに対し、LAN(Local Area Network)、PAN(Personal Area Network)などのようなCSMAベースシステムでは、送信パケットのプリアンブル(preamble)信号を用いてリンク観点で受信機が送信機と同期化されるだけであり、全体ネットワーク、AP或いはセル観点での同期化は行われない。言い換えると、CSMAベースシステムでは、信号を送る側が信号を受ける側に、自身に同期化することを強制するだけであり、セルラーシステムにおけるBSのような強力な制御主体がネットワークにおける各装置の周波数及びタイミングオフセットを制御する機能はない。
【0052】
しかしながら、CSMAベースのネットワークが進化するにつれてAPの制御機能も増えつつある。一例として、IEEE 802.11acでは、基地局の主導下にDL MU−MIMO送信を支援する。したがって、将来、より進化したシステムではUL MU−MIMOが考慮されることも可能になるだろう。
【0053】
セルラーシステムにおいてUL MU−MIMO送信は一般に次の過程を経る。
【0054】
・段階1. BSがUL MU−MIMOを行う端末グループを選択する。
【0055】
・段階2. BSが上記端末グループに属した各端末に、UL送信を行う時間、周波数及び空間リソース(例、プリコーディング行列)をスケジューリングする。
【0056】
・段階3. 端末グループ内の各端末はULスケジューリング情報によって定められた物理リソースを通じてUL送信を行う。
【0057】
このように、既存のUL MU−MIMO送信方式では、BSがMU−MIMO送信を行う装置の対(pair)(或いは、グループ)及び物理リソースを制御し、端末はスケジューリングされたリソースを用いて受動的にUL送信を行う。そのため、大部分の場合、UL送信を命令された端末は、自身がUL MU−MIMO送信をするのかそれともSU−MIMO送信をするのかも、さらに自身がいかなる端末と対になっているか(或いは、グループ化されているか)も知らないだけでなく、敢えて知る必要もない。ところが、CSMAベースシステムにおいて既存方式によってUL MU−MIMO送信を行うには、APがUL送信に関するスケジューリングを行わなければならない。UL MU−MIMO送信のためには、複数の装置が送信したパケットがAPに同時に且つ同一の周波数で受信されなければならないためである。すなわち、UL MU−MIMO送信のためには、各装置のフレーム送信タイミングと周波数を同期化しなければならない。CSMAベースシステムにおいて各装置の時間及び周波数の同期化のために、既存方式と同様に、受信機であるAPが各装置の送信タイミングオフセットと周波数オフセットを測定した後、その値を各送信装置に知らせ、各装置がその値に基づいて送信タイミングと周波数オフセットを補償する方式を考慮することができる。ところが、このような方式に従うには、定期的或いはMU−MIMO送信の直前に、時間及び周波数の同期化のための制御情報を含むパケットをAPが各装置に送信しなければならず、これはCSMAベースシステムのオーバーヘッド(overhead)を増加させる結果を招くことがある。しかも、CSMA方式は基本的に特定時点で一つの媒体を一つの送信装置が独占する方式であり、このようなチャネル独占時に、他の装置は送信したいパケットがあっても送信を遅延させたり(CSMA/CA)、パケットの衝突による再送信をしなければならない(CSMA/CD)ため、時間/周波数の同期化のために一つの制御パケットをさらに送る場合、他の装置に及ぶ性能低下が、他のスケジューリングベースのTDMA或いはFDMA方式に比べて遥かに深刻である。その上、APにスケジューリング機能を追加すると、APの複雑度(complexity)が増加する問題を招く。そのため、CSMAベースシステムではUL MU−MIMO送信のために頻繁に制御パケットを送信することによるシステム効率の低下が深刻であり得る。
【0058】
上記のような問題点を解決するために、本発明は、感知(sensing)ベースの周波数同期化技法を提案する。本発明の実施例を説明するに先立ち、本発明の実施例を適用し得るCSMAベースシステムを、IEEE 802.11システムを例にとって具体的に説明する。説明の便宜のために、IEEE 802.11システムがCSMAベースシステムの例として説明されるが、他のCSMAベースシステムにも本発明の実施例を適用することができる。
【0059】
図1は、本発明を適用し得るIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。
【0060】
IEEE 802.11構造は複数個の構成要素で構成することができ、これらの相互作用によって上位層に対してトランスペアレントなステーション(station、STA)移動性を支援するWLANを提供することができる。WLANシステムにおいて、STAは、IEEE 802.11のMAC/PHY規定に基づいて動作する装置である。STAは、AP STA及び非−AP(non−AP)STAを含む。非−AP STAは、ラップトップコンピュータ、移動電話機などのように、一般的にユーザが直接扱う装置に該当する。
【0061】
図1を参照すると、基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)はIEEE 802.11 LANにおける基本的な構成ブロックに該当し得る。
図1では、2個のBSS(BSS1及びBSS2)が存在し、それぞれのBSSのメンバーとして2個のSTAが含まれること(STA1及びSTA2はBSS1に含まれ、STA3及びSTA4はBSS2に含まれること)を例示的に示している。
図1で、BSSを示す楕円は、当該BSSに含まれたSTAが通信を維持するカバレッジ領域を示すものと理解してもよい。この領域をBSA(Basic Service Area)と称することができる。STAがBSAの外へ移動すると、当該BSA内の他のSTAと直接通信できなくなる。
【0062】
IEEE 802.11 LANにおいて最も基本的なタイプのBSSは、独立したBSS(Independent BSS;IBSS)である。例えば、IBSSは、2個のSTAだけで構成された最小の形態を有することができる。また、最も単純な形態であるとともに他の構成要素が省略されている
図1のBSS(BSS1又はBSS2)がIBSSの代表的な例示に該当し得る。このような構成は、STA同士が直接通信できる場合に可能である。また、このような形態のLANは、あらかじめ計画して構成されるものではなく、LANが必要な場合に構成され、これをアド−ホック(ad−hoc)ネットワークと呼ぶこともできる。
【0063】
STAの電源がついたり消えたりすること、STAがBSS領域に入ったり出たりすることなどによって、BSSにおいてSTAのメンバーシップが動的に変更することがある。BSSのメンバーになるためには、STAは同期化過程を用いてBSSにジョイン(join)すればよい。BSS基盤構造の全てのサービスにアクセスするためには、STAはBSSに連携(associate)されなければならない。このような連携(association)は動的に設定でき、分配システムサービス(Distribution System Service;DSS)の利用を含むことができる。
【0064】
図2は、本発明を適用し得るIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。
図2は、
図1の構造において、分配システム(Distribution System;DS)、分配システム媒体(Distribution System Medium;DSM)、接続ポイント(Access Point;AP)などの構成要素が追加された形態である。
【0065】
LANにおいて直接的なステーション−対−ステーションの距離はPHY性能によって制限され得る。このような距離の限界で充分な場合もあれば、より遠い距離のステーション間の通信が必要な場合もある。拡張されたカバレッジを支援するために分配システム(DS)を構成することができる。
【0066】
DSは、BSS同士が相互接続される構造を意味する。具体的に、
図1のようにBSSが独立して存在する代わりに、複数個のBSSで構成されたネットワークの拡張された形態の構成要素としてBSSが存在してもよい。
【0067】
DSは論理的な概念であり、DSMの特性によって特定することができる。これに関して、IEEE 802.11標準では無線媒体(Wireless Medium;WM)とDSMとを論理的に区別している。それぞれの論理的媒体は互いに異なる目的のために用いられ、互いに異なる構成要素によって用いられる。IEEE 802.11標準の定義では、このような媒体を互いに同一なものとも、互いに異なるものとも制限しない。このように複数個の媒体が論理的に互いに異なるという点で、IEEE 802.11 LAN構造(DS構造又は他のネットワーク構造)の柔軟性を説明することができる。すなわち、IEEE 802.11 LAN構造は様々に具現することができ、それぞれの具現例の物理的な特性によって独立的に当該LAN構造を特定することができる。
【0068】
DSは複数個のBSSのシームレス(seamless)な統合を提供し、あて先へのアドレスを扱うために必要な論理的サービスを提供することによって移動装置を支援することができる。
【0069】
AP(すなわち、AP STA)とは、連携しているSTAに対してWMを通じてDSへの接続を可能にし、且つSTA機能性を有する個体を意味する。APを通じてBSS及びDS間のデータ移動を行うことができる。例えば、
図2に示すSTA2及びSTA3は、STAの機能性を有するとともに、連携しているSTA(STA1及びSTA4)をDSに接続させる機能を持つ。また、いかなるAPも基本的にSTAに該当するため、APはいずれもアドレス可能な個体である。WM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスとDSM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスは必ずしも同一である必要はない。
【0070】
APに連携しているSTAのいずれか一つから当該APのSTAアドレスに送信されるデータは、常に非制御ポート(uncontrolled port)で受信し、IEEE 802.1Xポート接続個体によって処理することができる。また、制御ポート(controlled port)が認証されると、送信データ(又は、フレーム)をDSに伝達することができる。
【0071】
図3は、本発明を適用し得るIEEE 802.11システムのさらに他の例示的な構造を示す図である。
図3では、
図2の構造にさらに広いカバレッジを提供するための拡張されたサービスセット(Extended Service Set;ESS)を概念的に示す。
【0072】
任意の(arbitrary)大きさ及び複雑度を有する無線ネットワークがDS及びBSSで構成されてもよい。IEEE 802.11システムではこのような方式のネットワークをESSネットワークと称する。ESSは、一つのDSに接続されたBSSの集合に該当し得る。しかし、ESSはDSを含まない。ESSネットワークはLLC(Logical Link Control)層でIBSSネットワークとして見える点が特徴である。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、移動STAはLLCにトランスペアレントに一つのBSSから他のBSSに(同一ESS内で)移動することができる。
【0073】
IEEE 802.11では、
図3におけるBSSの相対的な物理的位置について何ら仮定しておらず、次のようないずれの形態も可能である。BSSは部分的に重なってもよく、これは、連続したカバレッジを提供するために一般に利用される形態である。また、BSSは物理的に接続していなくてもよく、論理的にはBSS同士間の距離に制限はない。また、BSS同士は物理的に同一位置に位置してもよく、これはリダンダンシーを提供するために用いることができる。また、一つ(又は、一つ以上の)IBSS又はESSネットワークが一つ(又は一つ以上の)ESSネットワークとして同一空間に物理的に存在してもよい。これは、ESSネットワークが存在する位置にアド−ホックネットワークが動作する場合、互いに異なる機関(organizations)によって物理的に重なるIEEE 802.11ネットワークが構成される場合、又は、同一位置で2つ以上の互いに異なる接続及び保安政策が必要な場合などにおける、ESSネットワーク形態に該当し得る。
【0074】
図4は、無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。
図4では、DSを含む基盤構造BSSの一例を示す。
【0075】
図4の例示で、BSS1及びBSS2がESSを構成する。
図4の例示で、STA1、STA3、STA4はnon−AP STAに該当し、STA2及びSTA5はAP STAに該当する。
【0076】
以下の説明で、非−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ機器(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動端末(Mobile Terminal)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などと呼ぶこともできる。また、APは、他の無線通信分野における基地局(Base Station;BS)、ノード−B(Node−B)、発展したノード−B(evolved Node−B;eNB)、基底送受信システム(Base Transceiver System;BTS)、フェムト基地局(Femto BS)などに対応し得る。
【0077】
IEEE 802.11に基づく無線LANシステムにおいて、MAC(Medium Access Control)の基本接続メカニズムは、CSMA/CAメカニズムである。CSMA/CAメカニズムは、IEEE 802.11 MACの分配調整機能(distributed coordination function、DCF)とも呼ばれ、基本的に「listen before talk」接続メカニズムを採用している。このような類型の接続メカニズムによれば、AP及び/又はSTAは送信を開始するに先立ち、所定の時間区間(例えば、DIFS(DCF Inter−Frame Space)の間に無線チャネル又は媒体(medium)を感知(sensing)するCCA(Clear Channel Assessment)を行うことができる。感知の結果、媒体が遊休状態(idle state)であると判断されると、当該媒体を通じてフレーム送信を開始する。一方、媒体が占有状態(occupied state)であると感知されると、当該AP及び/又はSTAは自身の送信を開始せずに、媒体接続のための遅延期間(例えば、ランダムバックオフ周期(random backoff period))を設定して待った後、フレーム送信を試みることができる。ランダムバックオフ周期の適用により、複数のSTAがそれぞれ異なる時間を待った後にフレーム送信を試みることが期待されるため、衝突(collision)を最小化することができる。
【0078】
また、IEEE 802.11 MACプロトコルはHCF(Hybrid Coordination Function)を提供する。HCFはDCFとPCF(Point Coordination Function)に基づく。PCFは、ポーリング(polling)ベースの同期式接続方式で、全ての受信AP及び/又はSTAがデータフレームを受信できるように周期的にポーリングする方式のことをいう。また、HCFは、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)とHCCA(HCF Controlled Channel Access)を有する。EDCAは、提供者が複数のユーザにデータフレームを提供するための接続方式を競合ベースとするものであり、HCCAは、ポーリング(polling)メカニズムを用いた非競合ベースのチャネル接続方式を用いるものである。また、HCFは、WLANのQoS(Quality of Service)を向上させるための媒体接続メカニズムを含み、競合周期(Contention Period;CP)、非競合周期(Contention Free Period;CFP)のいずれにおいてもQoSデータを送信することができる。
【0079】
図5は、バックオフ手順を説明するための図である。
【0080】
図5を参照してランダムバックオフ周期に基づく動作について説明する。占有(occupy又はbusy)状態だった媒体が遊休状態に変更されると、複数のSTAはデータ(又はフレーム)送信を試みることができる。この時、衝突を最小化するための方案として、STAはそれぞれランダムバックオフカウントを選択し、それに該当するスロット時間だけ待機した後、送信を試みることができる。ランダムバックオフカウントは、擬似−ランダム整数(pseudo−random integer)値を有し、0乃至CW範囲の値のいずれか一つに決定され得る。ここで、CWは、競合ウィンドウ(Contention Window)パラメータ値である。CWパラメータは初期値としてCWminが与えられるが、送信失敗の場合(例えば、送信されたフレームに対するACKを受信できなかった場合)に2倍の値を取ることができる。CWパラメータ値がCWmaxになると、データ送信に成功するまでCWmax値を維持しながらデータ送信を試みることができ、データ送信に成功する場合にはCWmin値にリセットされる。例えば、CW、CWmin及びCWmax値は2
n−1(n=0,1,2,…)に設定される。
【0081】
ランダムバックオフ過程が始まると、STAは、決定されたバックオフカウント値によってバックオフスロットをカウントダウンする間に続けて媒体をモニタする。媒体が占有状態とモニタされるとカウントダウンを止めて待機し、媒体が遊休状態になると残りのカウントダウンを再開する。
【0082】
図5の例示で、STA3のMACに送信するパケットが到達した場合に、STA3はDIFSだけ媒体が遊休状態であることを確認し、直ちにフレームを送信することができる。一方、残りのSTAは、媒体が占有(busy)状態であることをモニタして待機する。その間にSTA1、STA2及びSTA5のそれぞれでも送信するデータが発生することがあり、それぞれのSTAは、媒体が遊休状態とモニタされると、DIFSだけ待機した後に、それぞれ選択したランダムバックオフカウント値によってバックオフスロットのカウントダウンを行うことができる。
図6の例示では、STA2が最も小さいバックオフカウント値を選択し、STA1が最も大きいバックオフカウント値を選択した場合を示す。すなわち、STA2がバックオフカウントを終えてフレーム送信を始める時点でSTA5の残余バックオフ時間はSTA1の残余バックオフ時間よりも短い場合を例示する。STA1及びSTA5は、STA2が媒体を占有する間に暫くカウントダウンを止めて待機する。STA2の占有が終了して媒体が再び遊休状態になると、STA1及びSTA5はDIFSだけ待機した後に、止めていたバックオフカウントを再開する。すなわち、残余バックオフ時間だけの余りのバックオフスロットをカウントダウンした後にフレーム送信を始めることができる。STA5の残余バックオフ時間がSTA1よりも短かったため、STA5がフレーム送信を始めるようになる。一方、STA2が媒体を占有する間にSTA4でも送信するデータが発生することがある。このとき、STA4の立場では、媒体が遊休状態になるとDIFSだけ待機した後、自身が選択したランダムバックオフカウント値によるカウントダウンを行ってフレーム送信を始めることができる。
図6の例示では、STA5の残余バックオフ時間がSTA4のランダムバックオフカウント値と偶然に一致する場合を示し、この場合、STA4とSTA5間に衝突が発生することがある。衝突が発生する場合はSTA4、STA5両方ともACKを受けることができず、データ送信に失敗することになる。この場合、STA4とSTA5はCW値を2倍に増やした後にランダムバックオフカウント値を選択してカウントダウンを行うことができる。一方、STA1は、STA4とSTA5の送信によって媒体が占有状態である間に待機しているが、媒体が遊休状態になると、DIFSだけ待機した後、残余バックオフ時間が経過するとフレーム送信を開始することができる。
【0083】
前述したように、CSMA/CAメカニズムは、AP及び/又はSTAが媒体を直接感知する物理的搬送波感知(physical carrier sensing)の他、仮想搬送波感知(virtual carrier sensing)も含む。仮想搬送波感知は、隠れたノード問題(hidden node problem)などのように媒体接続で発生し得る問題を補完するために用いられる。仮想搬送波感知のために、無線LANシステムのMACはネットワーク割当ベクトル(Network Allocation Vector;NAV)を用いることができる。NAVは、現在媒体を利用していたり又は利用する権限のあるAP及び/又はSTAが、媒体を使用可能な状態になるまで残っている時間を、他のAP及び/又はSTAに指示(indicate)する値である。したがって、NAVに設定された値は、当該フレームを送信するAP及び/又はSTAによって媒体の利用が予定されている期間に該当し、NAV値を受信するSTAは、当該期間において媒体接続が禁止される。NAVは、例えば、フレームのMACヘッダ(header)の「duration」フィールドの値によって設定されてもよい。
【0084】
また、衝突可能性を低減するために堅牢な衝突検出(robust collision detect)メカニズムが導入された。これについて
図7及び
図8を参照して説明する。実際に搬送波感知範囲と送信範囲は同一でないこともあるが、説明の便宜のために両者は同一であると仮定する。
【0085】
図6は、隠れたノード及び露出されたノードを説明するための図である。
【0086】
図6(a)は、隠れたノードに対する例示であり、STA AとSTA Bとが通信中にあり、STA Cが送信する情報を持っている場合である。具体的に、STA AがSTA Bに情報を送信している状況であるにもかかわらず、STA CがSTA Bにデータを送る前に搬送波感知を行う際、媒体が遊休状態にあると判断することがある。これは、STA Aの送信(すなわち、媒体占有)をSTA Cの位置では感知できないこともあるためである。このような場合、STA BはSTA AとSTA Cの情報を同時に受け、衝突が発生することになる。このとき、STA AをSTA Cの隠れたノードということができる。
【0087】
図6(b)は、露出されたノード(exposed node)に対する例示であり、STA BがSTA Aにデータを送信している状況で、STA CがSTA Dに送信する情報を持っている場合である。この場合、STA Cが搬送波感知を行うと、STA Bの送信によって媒体が占有された状態であると判断することができる。そのため、STA CがSTA Dに送信する情報を持っていても、媒体占有状態と感知されたため、媒体が遊休状態になるまで待たなければならない。しかし、実際にはSTA AはSTA Cの送信範囲外にあるため、STA Cからの送信とSTA Bからの送信とがSTA Aの立場では衝突しないこともあるため、STA Cは、STA Bが送信を止めるまで余計に待機することになる。このとき、STA CをSTA Bの露出されたノードということができる。
【0088】
図7は、RTS(request to send)とCTS(Clear To Send)を説明するための図である。
【0089】
図6のような例示的な状況で衝突回避(collision voidance)メカニズムを效率的に利用するために、送信要求を示すRTSと受信準備完了を示すCTSなどの短いシグナリングパケット(short signaling packet)を利用することができる。両STA間のRTS/CTSは周囲のSTAがオーバーヒヤリング(overhearing)できるようにし、この周囲のSTAが上記両STA間の情報送信の有無を考慮するようにすることができる。例えば、データを送信しようとするSTAがデータを受けるSTAにRTSフレームを送信すると、データを受けるSTAは、CTSフレームを周囲のSTAに送信することによって、自身がデータを受けるということを知らせることができる。表1と表2は、RTSフレームフォーマットとCTSフレームフォーマットをそれぞれ例示するものである。
【0092】
RTSフレームとCTSフレームはMACフレームフォーマットとして定義され、制御フレーム(control frame)の一種である。MACフレームは基本的に、MACヘッダー、フレームボディー(body)及びFCS(Frame Check Sequence)で構成されるが、RTSフレームフォーマットとCTSフレームフォーマットはフレームボディー無しでMACヘッダー及びFCSのみで構成される。表1では、フレーム制御(Frame Control)、持続期間(Duration)、受信機アドレス(Receiver Address)及び送信機アドレス(Transmitter Addresss)フィールドがMACヘッダーに該当し、表2では、フレーム制御、持続期間及び受信機アドレスフィールドがMACヘッダーに該当する。表1及び表2で、フレーム制御フィールドはフレーム送信/受信に必要な制御情報を含むことができる。持続期間フィールドは当該フレームなどを送信するための時間に設定することができ、これを他のSTAのNAV設定に用いることができる。表1で、受信機アドレスフィールドはRTSフレームを受信するSTAのアドレスに該当し、送信機アドレスフィールドは、当該RTSフレームを送信するSTAのアドレスに該当する。表2で、受信機アドレスフィールドはCTSフレームを受信するSTAのアドレスに該当する。表1及び表2で、FCSフィールドは当該フレームの誤り検出のためのフィールドである。
【0093】
フレーム制御フィールドは、プロトコルバージョン(Protocol Version)フィールド、Typeフィールド、Subtypeフィールド、To DSフィールド、From DSフィールド、MF(More Fragment)フィールド、Retryフィールド、PM(Power Management)フィールド、MD(More Data)フィールド、PF(Protected Frame)フィールド、及びOrderフィールドで構成することができる。
【0094】
図7(a)は、隠れたノード問題を解決する方法の例示であり、STA A及びSTA Cが両方ともSTA Bにデータを送信しようとする場合を仮定する。STA AがRTSをSTA Bに送ると、STA BはCTSを自身の周囲に位置しているSTA AとSTA Cの両方に送信する。その結果、STA Cは、STA AとSTA Bのデータ送信が終わるまで待ち、衝突を避ける。
【0095】
図7(b)は、露出されたノード問題を解決する方法の例示であり、STA AとSTA B間のRTS/CTS送信をSTA Cがオーバーヒヤリングすることによって、STA Cは、自身が他のSTA(例えば、STA D)にデータを送信しても衝突が発生しないと判断することができる。すなわち、STA Bは、周囲の全てのSTAにRTSを送信し、実際に送るデータを持っているSTA AのみがCTSを送信する。STA Cは、RTSのみを受け、STA AのCTSは受信できなかったため、STA AがSTA Cの搬送波感知範囲から離れているということがわかる。
【0096】
無線LANで通信速度の限界を克服するために比較的最近に制定された技術標準としてIEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nは、ネットワークの速度と信頼性を増大させ、且つ無線ネットワークの運営距離を拡張することに目的がある。より具体的に、IEEE 802.11nは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援するとともに、送信エラーを最小化し、データ速度を最適化するために送信端と受信端の両方に多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基づいている。
【0097】
無線LANの普及が活性化されるともに、それを用いたアプリケーションが多様化するに伴って、最近ではIEEE 802.11nが支援するデータ処理速度よりも高い処理率を支援するための新しい無線LANシステムの必要性が台頭している。超高処理率(Very High Throughput;VHT)を支援する次世代無線LANシステムは、IEEE 802.11n無線LANシステムの後続バージョン(例えば、IEEE 802.11ac)であり、MACサービス接続ポイント(Service Access Point;SAP)で1Gbps以上のデータ処理速度を支援するために近年新しく提案されているIEEE 802.11無線LANシステムの一つである。
【0098】
次世代WLANシステムは、無線媒体を效率的に利用するために複数のSTAが同時にチャネルに接続するMU−MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)方式の送信を支援する。MU−MIMO送信方式によれば、APが、MIMOペアリング(pairing)された一つ以上のSTAに同時にパケットを送信することができる。言い換えると、次世代無線LANシステムではDL MU−MIMOの支援が考慮されている。参考として、IEEE 802.11システムにおいてDL MU−MIMOは、1個より多いアンテナを持つAPが同一の無線周波数を通じて物理層プロトコルデータユニット(physical layer protocol data unit、PPDU)を複数の受信非−AP STAに送信し、各非−AP STAが同時に、一つ以上の区別される(distinct)空間−時間(space−time)ストリーム(stream)を受信する技法をいう。現在、IEEE 802.11標準は、CSMA技法の特性を考慮して、DL MU−MIMOのみを支援し、UL MU−MIMOに対する支援は考慮していない。しかし、CSMAベースシステムでUL MU−MIMOが支援されるとすれば、WLANシステムにおいてULデータ処理率は増大するだろう。そこで、本発明は、CSMAベースシステムでUL MU−MIMOを支援可能にするために、感知ベースのUL MU−MIMO送信技法及び周波数同期化技法を提案する。以下、パケット或いは信号の送信/受信のためのチャネル、物理リソース、媒体などを、媒体と総称する。
【0099】
図8は、本発明の一実施例に係る感知ベースのUL MU−MIMO送信を例示する図である。
【0100】
本発明の一実施例に係る装置は、下記の規則によってUL MU−MIMO送信を行うことができる。
【0102】
X.媒体を感知し、媒体を現在占有している端末が自身とUL MU−MIMO送信が可能な端末であるか否か判断する。
【0103】
Y.媒体を占有した端末がUL MU−MIMO送信が可能な端末でなければ、当該媒体が空になるまで待つ。そうでなければ、媒体に合流(join)してUL MU−MIMO送信を行う。
【0104】
上記の<規則>に従うUL送信は、受信装置であるBSがUL MU−MIMOをスケジューリングする既存のUL MU−MIMO技法と違い、送信装置が自分で、UL MU−MIMO送信が可能か否かを感知及び判断する。
図8を参照すると、例えば、位置(A,1)に存在する端末(以下、装置1)がAPに信号を送信している時、位置(B,4)に存在する端末(以下、装置2)は:
【0105】
(1)装置1が送信している信号を感知し、
【0106】
(2)装置1とのUL MU−MIMO送信が可能か否かを判断、すなわち、装置1と対を組むか否かを決定し、
【0107】
(3)装置1とのUL MU−MIMO送信が可能であると判断されると、装置1が占有している媒体に合流してMIMO送信を行うことができる。
【0108】
上記の過程(1)で装置がいかなる信号を感知するかはシステムごとに異なってもよい。大部分のCSMAベースシステムにおいてパケットヘッダー(packet header)は送信者と受信者の識別子(identifier、ID)(或いは、アドレス(address))を含むので、他の端末によって占有された媒体に合流しようとする端末は、パケットヘッダーを受信することによって、いかなる端末がいかなる端末に信号を送信しているかが把握できる。また、パケットの種類もパケットヘッダーから把握できる。また、パケットを受信すると同時に、該パケットを送信した送信装置の時間/周波数同期化情報(例、周波数オフセット)も獲得することができる。すなわち、感知過程によって次の情報のうち一つ以上を獲得することができる。
【0113】
一方、上記の過程(2)では、上記の過程(1)で得た情報(例、「a」〜「d」のうち少なくとも一つ)を用いて、装置が主体的に、UL MU−MIMO送信のために媒体上に合流するか否かを判断する。すなわち、
図8を参照すると、位置(B,4)の装置2は、位置(A,1)の装置1が送信するパケットから「a」〜「d」のうち少なくとも一つを獲得し、それを用いて装置1と対を組むか否かを判断することができる。このような判断はシステムによって様々な基準によって行うことができる。
【0114】
上記の過程(3)では、合流しようとする装置が、媒体を既に占有している装置のパケット送信タイミング及び周波数同期に自身のパケット送信タイミング及び周波数同期を合わせて、自身のパケット或いは信号を送信することができる。例えば、
図8を参照すると、位置(B,4)の装置2は、位置(A,1)の装置1のパケット送信タイミング及び周波数同期に自身のパケット送信タイミング及び周波数同期を合わせ、それによって自身のパケット或いは信号を送信することができる。
【0115】
図9は、本発明の一実施例に係る感知ベースの周波数同期化技法を例示する図である。
【0116】
時間及び周波数同期化のうち、周波数同期化は、本発明の一実施例に係る感知ベースの周波数同期化技法によって行うことができる。
図9を参照すると、本発明の一実施例に係る感知ベースの周波数(或いは、搬送波)同期化技法は、特定装置(以下、装置1)がパケット或いは信号を送信している時、装置1と共に同一媒体を通じて送信を行う他の装置(以下、装置2)が上記パケット或いは信号を聞き取ったりオーバーヒヤリングし、該パケット或いは信号から装置1の周波数オフセットを知った後、装置1の周波数オフセットに自身の周波数特性を合わせる。装置1の周波数特性に自身の周波数特性を合わせた装置2は、装置1がデータパケット或いは信号を送信する媒体上で自身のデータパケット或いは信号を送信する。
【0117】
図9の実施例による方式以外の方式で装置間の時間及び/又は周波数同期化を行ってもよい。例えば、装置2が装置1と時間及び周波数を同期化するために必要な情報は、BS或いはAPが制御情報として提供してもよく、システムにおいてあらかじめ設定されてもよい。例えば、時間及び周波数同期化に関する情報は、固定型ネットワークにおいて設置過程或いは最初セットアップ過程であらかじめ固定型ネットワーク内の装置が信号或いはパケットを交換しながら獲得した周波数オフセット及び/又はパケット送信タイミング値を保存して使用するようにすることによってシステムにあらかじめ設定されてもよい。ここでいう固定型ネットワークとは、ネットワーク内の装置の位置が一定時間以上固定しているネットワークを指す。
【0118】
一般に、送信タイミングオフセットは、APと該当の装置との伝搬遅延(propagation delay)のみを考慮した絶対的な送信タイミングオフセットを意味する。しかし、本発明の実施例では、送信タイミングオフセットが、絶対的な送信タイミングオフセットの他、MUグループ内の他の装置との相対的な送信タイミングオフセットを意味することもできる。例えば、
図8で、位置(A,1)の端末を装置1、位置(B,4)の端末を装置2、APを装置3、装置「x」と「y」間の伝搬遅延をd
xyとする。送信タイミングオフセットが絶対的な送信タイミングオフセットを意味する方式によれば、装置1と装置2にそれぞれd
13とd
23が提供され、装置1はd
13だけ、装置2はd
23だけあらかじめ送信するように制御される。送信タイミングオフセットが相対的な送信タイミングオフセットを意味する方式によれば、先に媒体を占有した装置1は送信タイミングオフセットを補償しないままパケットを送信し、既に装置1によって占有された上記媒体上で同時にパケットを送信しようとする装置2が装置1との相対的な伝搬遅延差(d
23−d
13)を補償して自身のパケットを送信することができる。すなわち、装置2はパケット送信を「d
23−d
13」だけあらかじめ送信し、装置1のパケットが装置3に到達する時間と自身のパケットが装置3に到達する時間とを合わせる。送信タイミングオフセットが相対的な送信タイミングオフセットを意味する実施例によれば、送信タイミングオフセットは、装置2とAPの位置が固定された場合にも、装置2がいずれの装置と対となってUL MU−MIMOを行うかによって変わることがある。
【0119】
本発明の感知ベースの周波数同期化技法において装置がどの装置に周波数特性を合わせるかは、様々な方法によって定めることができる。前述したように、代表装置を指定せず、媒体を先に占有した装置を基準にして、該装置と共にUL MU−MIMO送信を行おうとする他の装置が、上記装置の周波数特性に自身の周波数特性を合わせるように設定することができる。或いは、例えば、UL MU−MIMOを行う装置のグループにおいて代表装置を指定しておき、該代表装置を基準にして他の装置が周波数特性を合わせるように設定してもよい。又は、周波数同期が一致する場合にのみUL MU−MIMOが許容されるように制限してもよい。例えば、上記の過程(1)で装置2は媒体を感知し、該媒体を現在占有している端末が自身とUL MU−MIMO送信が可能か否かを判断する時、装置2の周波数同期と上記端末の周波数同期とが一致するか否かを考慮することができ、装置2は自身と周波数同期が一致する端末によって占有された媒体上に自身のパケット或いは信号を乗せることが許容されると判断することができる。
【0120】
一方、APからの特定パケットを基準(reference)にしてULパケットタイミングを同期化することが可能な場合は、すなわち、絶対的な送信タイミングオフセットによって全ての装置が同期化される場合は、MUグループ化(すなわち、MUペアリング)に関係なく装置別にタイミングオフセットが定められてもよい。例えば、IEEE 802.11は、管理フレーム(management frame)の一つとして、無線ネットワークの存在を知らせ、スキャニングを行うSTAが無線ネットワークを探して無線ネットワークに参加できるように周期的に送信されるビーコン(beacon)フレームを定義しているが、UL送信を行おうとする装置は上記ビーコンフレーム或いは上記ビーコンフレーム内のビーコンをULパケットタイミングの同期化のための基準として用いてもよい。
【0121】
前述した本発明の各実施例において、装置2が装置1によって占有された媒体に自身のパケットを乗せてUL MU−MIMO送信を開始するとき、自身が装置1によって占有された媒体に合流して送信中であるということ或いは送信するということを、APに知らせることができる。例えば、装置2は、自身が合流するということを知らせる制御パケットを送信してもよく、合流するパケットのMAC或いはPHYヘッダーの規定された位置に、合流しているというメッセージ或いは信号を送信してもよい。装置2はAPに上記制御パケットを送信した直後にUL MU−MIMO送信のために合流してもよいが、他の実施例として、APが装置2に送信許可をした場合に限ってUL MU−MIMO送信に合流するように制限されてもよい。装置2がUL MU−MIMO送信のために送信許可を必要とする実施例では、この送信許可に加えて、時間/周波数同期化に必要な情報が装置2にさらに提供されてもよい。
【0122】
装置2がUL MU−MIMO送信の意図をAPに知らせる代わりに、APが特定パケットを受信する時、該特定パケットとペアリングされた他のパケットが自分に受信されるか否かをモニタすることによって、装置2がAPにそのような情報を知らせなくても、APが自分でUL MU−MIMOであるか否かを判別することもできる。
【0123】
また、装置2がUL MU−MIMO送信(の開始)を、現在媒体を占有している装置1(すなわち、MUグループ化された装置)に知らせることもできる。UL MU−MIMO送信(の開始)を知らせる情報は、単純な情報提供のためのものでもよいが、装置1に許可を要請するためのものでもよい。後者の場合、装置2は装置1から送信許可を受信してから上記媒体上でUL送信を行う。装置1は、送信許可に加えて、装置2が装置1の時間/周波数に同期化するために必要な情報を装置2に提供することができる。言い換えると、装置2は装置1にUL MU−MIMO送信に関する許可を要請することができ、UL MU−MIMO送信を開始する前に装置1からUL MU−MIMO送信の許可及び/又は時間/周波数同期化に必要な情報を受信することができる。
【0124】
一方、ネットワーク内の装置の位置が(一定時間以上)固定されている固定型ネットワークの場合、UL MU−MIMOを行う装置のグループが一応決まると、それから一定時間の間は装置グループ化情報が固定されても構わない。したがって、ネットワークが装置にグループ化情報を提供すると、UL MU−MIMOを行おうとする装置は感知過程を通じて、自身とUL MU−MIMOを行い得るグループ(以下、MUグループ)内に送信装置IDが存在するか否かを確認し、同一のMUグループ内の装置がAPに送信中であることを確認した場合に限ってUL MU−MIMO送信を行うこともできる。すなわち、下記の条件を満たす場合に、装置は他の装置によって占有された媒体に合流してUL送信を行うことができる。
【0125】
・条件A.送信装置ID∈MUグループ
【0126】
・条件B.受信機器ID∈目標(target)APのID
【0127】
ただし、上記の条件A及びBを満たしても、該当の装置が既にデータパケット送信を片付けているときは送信に合流し難い。そこで、感知するパケットが特定のパケット種類に該当する場合にのみ合流が許容されるという条件が追加されてもよい。
【0128】
図10は、本発明の他の実施例に係る感知ベースのMU−MIMO送信を例示する図である。特に、
図10は、RTSパケット感知ベースのUL MU−MIMO送信の一例である。
【0129】
例えば、IEEE 802.11では、
図7で説明した通り、データパケットを送信する前に、隠れたノード問題を防止するために装置とAP間にRTSパケットとCTSパケットを交換(exchange)する。この場合、RTSパケットが感知された場合にのみUL MU−MIMO送信のための合流が許容されると規定することができる。
【0130】
図10を参照すると、装置2がMUグループに属した装置1のRTSパケットを感知すると、装置2もRTSパケットをAPに送信する。装置1及び装置2から(順次に)RTSパケットを受信したBS或いはAPは、装置1及び装置2に
CTSパケットを送信する。本発明の感知ベースのUL MU−MIMO送信のためのRTS/CTS交換方式は、図
7で説明した既存IEEE 802.11標準に定義されたRTS/CTS交換方式とは異なる。したがって、本発明がIEEE 802.11システムに適用されるには、装置がRTS受信後にCTSを送信する間隔(interval)を再定義すればよい。例えば、IEEE 802.11システムではAPは
STAからRTSを受信すると所定の時間(例えば、SIFS(Short Inter−Frame Space))の後にCTSを送るように定義されているが、本発明の感知ベースのUL MU−MIMO送信のためのRTS/CTS交換のためには上記所定の時間を再定義すればよい。一方、CTSは下記のいずれか一つを用いて送信することができる。
【0131】
・Alt1:マルチキャストメッセージング(multicast messaging)
【0132】
・Alt2:異なるタイミングでユニキャストメッセージング(unicast messaging with different timing)
【0133】
・Alt3:DL MU−MIMO送信でユニキャストメッセージング(unicast messaging with DL MU−MIMO transmission)
【0134】
Alt1は、一つのパケットを、RTSを送った装置の全てに送る方式(例、パケットの受信IDが複数、或いは受信ID=グループID)であり、Alt2は、RTSを送った装置のそれぞれに対してCTSを別々に構成(configure)し、互いに異なるタイミングに送る方式であり、Alt3は、RTSを送った装置に対するCTSを装置別にそれぞれ構成するが、それらの装置に対するCTSをDL MU−MIMO送信を用いて同時に同一の媒体上で送る方式である。Alt1、Alt2、Alt3において表1及び表2のフレームフォーマットを用いることができる。
【0135】
本実施例において、周波数及び/又はタイミング同期化のためにAPがMUグループ化された装置にCTSを送信する時、装置に周波数オフセット及び/又は送信タイミングオフセット値を送信してもよい。
【0136】
本実施例において、合流しようとする装置2がRTSをAPに送信する過程とAPが装置2にCTSを送信する過程は必須ではなく、省略されてもよい。例えば、装置2が装置1のRTSパケットを感知した後、APとのRTS/CTS交換手順無しで、装置1がデータパケットを送信する時に自身のデータパケットを併せて送信することもできる。
【0137】
本実施例において装置2は装置1に、装置1が占有している媒体に装置2が合流するということを知らせる情報を送信することができる。装置1が占有している媒体に装置2が合流するということを知らせる情報は、単純な情報提供のためのものでもよく、装置1に許可を要請するためのものでもよい。後者の場合、装置2は装置1から送信許可を受信すると、上記媒体上でUL送信を行う。装置1は送信許可に加えて、装置2が装置1の時間/周波数に同期化するために必要な情報を装置2に提供することができる。
【0138】
図11は、本発明の更に他の実施例に係る感知ベースのMU−MIMO送信を例示する図である。
【0139】
IEEE 802.11システムでは、データパケットが一定大きさ以上であれば、データパケットはより小さい大きさの複数のデータセグメントに分割され、これらの複数のデータセグメントが順次に送信される。
図11を参照すると、本発明の一実施例に係る装置2は装置1のRTSを感知した場合の他、データパケットが分割された場合にも、その情報を感知して装置1のUL送信過程に合流することができる。例えば、データが分割され、感知したパケットがデータパケットの複数のデータセグメントのうち特定順序以内のデータセグメントである場合に、装置2が装置1のUL送信に合流することが許容されると定義することができる。このとき、装置2は、
図11に示すように、APに装置1がUL送信に合流してUL送信を始めるという情報(
図11のMU−MIMO通知パケット)を送信した後に合流してもよく、MU−MIMO通知パケットの送信を省略し、直ちにMU−MIMO送信のために合流してもよい。MU−MIMO通知パケットは、合流しようとする装置(
図11の装置2)のID、データ送信量などの情報を含むことができる。
【0140】
図10の実施例及び/又は
図11の実施例に基づく装置は、下記の条件を満たす場合に、他の装置によって占有された媒体に合流してUL送信を行う。
【0141】
・条件C.感知したパケットの種類がRTSパケットであるか、又は分割されたデータパケットのセグメントのうち特定順序以内のセグメントである
【0142】
条件Cは条件A及び条件Bと共に用いられてもよい。すなわち、本発明の一実施例に係る装置は、条件A、条件B及び条件Cを満たす場合に、他の装置によって占有された媒体に合流してUL送信を行うことができる。
【0143】
一方、「条件A及び条件B」及び/又は「条件C」に加えて、時間/周波数同期化条件が追加されてもよい。例えば、装置2が感知したパケットの周波数オフセットが自身の送信パケットの周波数オフセットと特定誤差範囲以内である場合にのみ合流してUL MU−MIMO送信をするように規定されてもよい。もし装置2が自身の周波数オフセット特性を知っていないと、自身の送信パケットの周波数オフセットと比較する代わりに、感知したパケットの周波数オフセットの絶対値が特定誤差範囲以内である場合に、他の装置によって占有された媒体に合流することが許容されると規定されてもよい。或いは、上で提案した感知ベースの周波数同期化技法を適用して装置2が周波数オフセットを当該媒体上で既に送信をしている他の装置に合わせることができるため、感知したパケットの周波数オフセットが他の装置のUL送信に合流しようとする装置が修正可能な送信周波数オフセット範囲以内である場合に限ってMU−MIMO送信が許容されると規定されてもよい。要するに、本発明の一実施例に係る装置は、「条件A及び条件B」及び/又は「条件C」に加えて、下記の条件を満たす場合に、他の装置によって占有された媒体に合流してUL送信を行うことができる。
【0144】
・条件D.感知したパケットの周波数オフセットが:
【0145】
・・Alt1.特定誤差範囲以内である場合;或いは
【0146】
・・Alt2.自身の送信周波数オフセットと特定誤差範囲以内の差を有する場合;或いは
【0147】
・・Alt3.感知ベースの周波数同期化技法が適用されるときは、自身の修正可能な送信周波数オフセット範囲以内である場合
【0148】
図12は、本発明を実行する送信装置10及び受信装置20の構成要素を示すブロック図である。
【0149】
送信装置10及び受信装置20は、情報及び/又はデータ、信号、メッセージなどを運ぶ無線信号を送信又は受信できるRF(Radio Frequency)ユニット13,23と、無線通信システムにおける通信に関連した各種情報を記憶するメモリー12,22と、RFユニット13,23及びメモリー12,22などの構成要素に動作的に連結され、当該装置が前述した本発明の実施例の少なくとも一つを実行するようにメモリー12,22及び/又はRFユニット13,23を制御するように構成されたプロセッサ11,21と、をそれぞれ備える。
【0150】
メモリー12,22は、プロセッサ11,21の処理及び制御のためのプログラムを格納することができ、入/出力される情報を臨時記憶することができる。メモリー12,22をバッファーとして活用することができる。
【0151】
プロセッサ11,21は、通常、送信装置又は受信装置内の各種モジュールの動作全般を制御する。特に、プロセッサ11,21は、本発明を実行するための各種制御機能を果たすことができる。プロセッサ11,21は、コントローラ(controller)、マイクロコントローラ(microcontroller)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコンピュータ(microcomputer)などと呼ぶこともできる。プロセッサ11,21は、ハードウェア(hardware)、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア、又はこれらの結合によって具現することができる。ハードウェアを用いて本発明を具現する場合には、本発明を実行するように構成されたASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)などをプロセッサ11,21に備えることができる。一方、ファームウェアやソフトウェアを用いて本発明を具現する場合には、本発明の機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などを含むようにファームウェアやソフトウェアを構成することができ、本発明を実行できるように構成されたファームウェア又はソフトウェアは、プロセッサ11,21内に組み込まれてもよく、メモリー12,22に格納されてプロセッサ11,21によって駆動されてもよい。
【0152】
送信装置10のプロセッサ11は、プロセッサ11又はプロセッサ11に接続されたスケジューラからスケジューリングされて外部に送信される信号及び/又はデータに対して所定の符号化(coding)及び変調(modulation)を行った後にRFユニット13に送信する。例えば、プロセッサ11は、送信しようとするデータ列を逆多重化、チャネル符号化、スクランブリング、変調過程などを経てK個のレイヤに変換する。符号化されたデータ列は、コードワードと呼ばれることもあり、MAC層が提供するデータブロックである送信ブロックと等価である。一送信ブロック(transport block、TB)は一コードワードに符号化され、各コードワードは一つ以上のレイヤの形態で受信装置に送信される。周波数アップコンバートのためにRFユニット13はオシレータ(oscillator)を備えることができる。RFユニット13はN
t個(N
tは1以上の正の整数)の送信アンテナを有することができる。
【0153】
受信装置20の信号処理過程は、送信装置10の信号処理過程の逆の過程で構成される。プロセッサ21の制御下に、受信装置20のRFユニット23は、送信装置10から送信された無線信号を受信する。RFユニット23は、N
r個の受信アンテナを有することができ、受信アンテナから受信された信号のそれぞれを周波数ダウンコンバート(frequency down−convert)して基底帯域信号に復元する。RFユニット23は、周波数ダウンコンバートのためにオシレータを備えることができる。プロセッサ21は、受信アンテナから受信した無線信号に対して復号(decoding)及び復調(demodulation)を行って、送信装置10が元来送信しようとしたデータとして復元することができる。
【0154】
RFユニット13,23は、一つ以上のアンテナを有する。アンテナは、プロセッサ11,21の制御下に本発明の一実施例によって、RFユニット13,23で処理された信号を外部に送信したり、外部から無線信号を受信してRFユニット13,23に伝達する機能を果たす。アンテナはアンテナポートと呼ぶこともできる。各アンテナは一つの物理アンテナに該当したり、一つよりも多い物理アンテナ要素(element)の組合せによって構成することができる。各アンテナから送信された信号は受信装置20でそれ以上分解されることはない。該当のアンテナに対応して送信された参照信号(reference signal、RS)は、受信装置20の観点で見たアンテナを定義し、チャネルが一つの物理アンテナからの単一(single)無線チャネルであるか、或いは上記アンテナを含む複数の物理アンテナ要素(element)からの合成(composite)チャネルであるかに関係なく、受信装置20にとっての上記アンテナに対するチャネル推定を可能にする。すなわち、アンテナは、該アンテナ上のシンボルを伝達するチャネルが同一アンテナ上の他のシンボルが伝達される上記チャネルから導出され得るように定義される。複数のアンテナを用いてデータを送受信する多重入出力(Multi−Input Multi−Output、MIMO)機能を支援するRFユニットは2個以上のアンテナと連結され得る。
【0155】
本発明の各実施例において、非−AP STAは、上りリンクでは送信装置10として動作し、下りリンクでは受信装置20として動作することができる。AP STAは、上りリンクでは受信装置20として動作し、下りリンクでは送信装置10として動作することができる。
図9乃至
図11で、装置1と装置2は送信装置10として動作し、APは受信装置20として動作する。
図9乃至
図11で、装置1と装置2は非−AP STAであってよい。しかし、装置1がAPに信号を送信している他のAP STAであり、装置2が上記APに信号を送信しようとする非−AP STAであるか、装置1がAPに信号を送信している非−AP STAであり、装置2が上記APに信号を送信しようとする非−AP STAであるか、又は、装置1及び装置2が両方ともAP STAであってもよい。
【0156】
本発明の一実施例に係る送信装置10のプロセッサ11は、RFユニット13を用いて、媒体が他の装置による目的受信装置20への信号送信に使用されているか否か、すなわち、媒体が他の送信装置によって占有中であるか否かを感知するように構成される。プロセッサ11は、媒体上でAPに送信される信号を感知することによって、該媒体が既に他の装置によって占有中であることを感知することができる。プロセッサ11は:
【0157】
X.媒体を感知し、媒体を現在占有している他の送信装置が自身とUL MU−MIMO送信が可能な装置であるか否かを判断し;及び
【0158】
Y.媒体を占有している他の送信装置がUL MU−MIMO送信が可能な装置でなければ、媒体が空になるまで待ち、そうでなければ、媒体上でUL送信を行うようにRFユニット13を制御する。
【0159】
図8を参照すると、例えば、位置(A,1)に存在する装置1がAPに信号を送信している時、位置(B,4)に存在する送信装置10のプロセッサ11は:
【0160】
(1)装置1が送信する信号を感知するようにRFユニット13を制御し;
【0161】
(2)装置1とのUL MU−MIMO送信が可能か否かを判断、すなわち、装置1と対を組むか否かを決定し;
【0162】
(3)装置1とのUL MU−MIMO送信が可能であると判断されると、装置1が占有している媒体に合流してUL送信を行うようにRFユニット13を制御する、ように構成することができる。
【0163】
上記の過程(1)で、プロセッサ11は、他の送信装置によって占有されている媒体上でパケットヘッダーを受信することによって、他の送信装置が上記媒体上で、送信装置10が信号を送信する受信装置20と同一の受信装置に信号を送信しているか否かを感知することができる。プロセッサ11は、RFユニットが媒体上で受信したパケットから、下記情報のうち一つ以上を獲得するように構成されてもよい。
【0168】
上記の過程(2)で、プロセッサ11は、上記の過程(1)で得た情報(例、「a」〜「d」のうち少なくとも一つ)を用いて、他の送信装置が信号を送信中である媒体上に合流するか否かを判断するように構成されてもよい。
【0169】
上記の過程(3)で、プロセッサ11は、媒体を先に占有している他の装置のパケット送信タイミング及び周波数同期に送信装置10のパケット送信タイミング及び周波数同期を合わせ、それによって上記媒体上で信号を送信するようにRFユニット13を制御することができる。
【0170】
プロセッサ11は、時間及び周波数同期化のうち周波数同期化を本発明の一実施例に係る感知ベースの周波数同期化技法によって行うことができる。プロセッサ11はRFユニット13を用いて、他の送信装置が送信中であるパケット或いは信号を媒体上でオーバーヒヤリングし、該感知されたパケット或いは信号から上記他の送信装置の周波数オフセットを獲得する構成とすることができる。プロセッサ11は、上記の獲得した周波数オフセットに基づいて送信装置10の周波数特性を調整することができる。プロセッサ11は、上記の調整された周波数特性に基づいてデータパケット或いは信号を上記他の送信装置が信号を送信中である媒体上で受信装置20に送信するようにRFユニット13を制御することができる。
【0171】
他の例として、プロセッサ11は、AP或いは受信装置20から時間及び周波数同期化のための同期化情報或いはシステムにあらかじめ設定された同期化情報に応じて時間及び周波数同期化を行うように構成されてもよい。
【0172】
時間同期化と関連して、他の送信装置を装置1、送信装置10を装置2、受信装置20を装置3とし、装置「x」と「y」間の伝搬遅延をd
xyとしよう。プロセッサ11は、他の送信装置に比べて「d
23−d
13」だけあらかじめ信号を送信するようにRFユニット13を制御することによって、他の送信装置のパケットが受信装置20に到達する時間と送信装置10のパケットが受信装置20に到達する時間とを合わせる。
【0173】
プロセッサ11は、上記の過程(1)で媒体を現在占有している他の送信装置が送信装置10とUL MU−MIMO送信が可能な装置であるか否かを判断するとき、送信装置10の周波数同期と他の送信装置の周波数同期とが一致するか否かを考慮するように構成されてもよい。両者の周波数同期が一致する場合、他の送信装置によって占有されている媒体上で信号を送信するようにRFユニット13を制御することができる。
【0174】
一方、APからの特定パケットを基準(reference)にしてULパケットタイミングが同期化されることが可能な場合は、すなわち、絶対的な送信タイミングオフセットによって全ての装置が同期化される場合は、プロセッサ11は、MUグループ化(すなわち、MUペアリング)に関係なく、装置別にタイミングオフセットを定めるように構成されてもよい。
【0175】
前述した本発明の各実施例において、プロセッサ11は、媒体を現在占有している他の送信装置に、上記媒体上で信号を送信中或いは送信する予定であるという情報を送信するようにRFユニット13を制御することができる。また、プロセッサ11は、UL MU−MIMO送信(の開始)に関する情報を他の送信装置に送信するようにRFユニット13を制御することができる。
【0176】
一方、プロセッサ11は、下記の条件を満たす場合、装置が他の装置によって占有された媒体に合流してUL送信を行うようにRFユニット13を制御することができる。
【0177】
・条件A.送信装置ID∈MUグループ
【0178】
・条件B.受信機器ID∈目標(target)APのID
【0179】
ただし、プロセッサ11は、感知されたパケットが特定パケットの種類に該当する場合にのみ、既に占有された媒体に合流してUL送信を行うようにRFユニット13を制御することもできる。
【0180】
プロセッサ11は、他の送信装置が受信装置20に送信するRTSパケットが感知された場合にのみ、他の送信装置が占有している媒体上でUL送信を行うようにRFユニット13を制御することもできる。
【0181】
本実施例において、周波数及び/又はタイミング同期化のために、受信装置20のプロセッサ21はMUグループ化された装置にCTSを送信するように構成することができる。プロセッサ21は、CTSを送信する時、グループ化された装置に周波数オフセット及び/又は送信タイミングオフセット値を送信するようにRFユニット23を制御することができる。
【0182】
一方、プロセッサ11は、下記の条件を満たす場合に、他の送信装置によって占有された媒体に合流してUL送信を行うようにRFユニット13を制御することもできる。
【0183】
・条件C.感知したパケットの種類がRTSパケットであるか、又は分割されたデータパケットのセグメントのうち特定順序以内のセグメントである
【0184】
条件Cは条件A及び条件Bと共に用いられてもよい。
【0185】
一方、プロセッサ11は、「条件A及び条件B」及び/又は「条件C」に加えて、時間/周波数同期化条件をさらに考慮することもできる。例えば、プロセッサ11は、「条件A及び条件B」及び/又は「条件C」に加えて、下記の条件を満たす場合に、他の装置によって占有されている媒体に合流してUL送信を行うようにRFユニット13を制御することもできる。
【0186】
・条件D.感知したパケットの周波数オフセットが:
【0187】
・・Alt1.特定誤差範囲以内である場合;或いは
【0188】
・・Alt2.自身の送信周波数オフセットと特定誤差範囲以内の差を持つ場合;或いは
【0189】
・・Alt3.感知ベースの周波数同期化技法が適用されるときは、自身の修正可能な送信周波数オフセット範囲以内である場合
【0190】
本発明の各実施例によれば、受信装置20のRFユニット23は、媒体上で任意の(certain)送信装置から信号を受信する途中に、この信号の他、送信装置からも信号を受信することとなる。
【0191】
本発明の実施例によれば、CSMAベースシステムにおいてUL周波数同期化を效率的に行うことができる。
【0192】
また、本発明の実施例によれば、UL MU−MIMO送信を效率的に行うことができる。
【0193】
また、本発明の実施例によれば、ULデータ処理率を向上させることができる。
【0194】
以上開示された本発明の好ましい実施例についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。以上では本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者にとっては、添付した特許請求の範囲に記載された本発明を様々に修正及び変更することもできる。したがって、本発明は、ここに開示されている実施形態に制限されるものではなく、ここに開示されている原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。