(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1開閉手段と前記第2開閉手段とが同時に開かないように制御され、前記第3開閉手段と前記第4開閉手段とが同時に開かないように制御される、請求項1に記載のはんだ付け装置。
前記部品がカセットに装着されて、少なくとも前記第2処理部と前記第3処理部との間を移動させるカセット搬送装置、及び、少なくとも前記第5処理部と前記第6処理部との間を移動させるカセット搬送装置を備えている、請求項1又は2に記載のはんだ付け装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るはんだ付け装置及びはんだ付け方法、並びに製造された基板及び電子部品について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、「本発明」を「本願の実施形態」に言い換えることができる。また、はんだ付け装置での「処理部」を、はんだ付け方法での「処理工程」に言い換えることができる。なお、「電極溶食防止層」とは、電極を構成する電極がはんだによって溶食(例えば銅電極の場合は、銅原子が拡散して溶け出す態様のこと。)されるのを防ぐように機能する層のことである。
【0028】
[はんだ付け装置及び方法]
本発明に係るはんだ付け装置100及び方法は、
図1〜
図3に示すように、第1処理部(第1処理工程)110から第7処理部(第7処理工程)170で構成されている。
【0029】
詳しくは、はんだ付けされる電極2を有する部品10をセットする第1処理部110と、その第1処理部110との間に設けられた第1開閉手段119で密閉可能に区切られ、第1処理部110から送り込まれた部品10を次の第3処理部130に送り出す第2処理部120と、その第2処理部120との間に設けられた第2開閉手段129で密閉可能に区切られ、第2処理部120から送り込まれた部品10を有機脂肪酸含有溶液131に接触させ、その部品10を水平移動する第3処理部130と、その第3処理部130で水平移動された部品10を上方の空間部143に移動して電極2に溶融はんだ5を付着させる溶融はんだ付着手段33、及び、空間部143で付着した溶融はんだ5のうち余剰の溶融はんだ5を除去する溶融はんだ除去手段34、を有する第4処理部140と、その第4処理部140で下方に移動した処理後の部品11を水平移動する第5処理部150と、その第5処理部150との間に設けられた第3開閉手段159で密閉可能に区切られ、第5処理部150から送り込まれた部品11を次の第7処理部170に送り出す第6処理部160と、その第6処理部160との間に設けられた第4開閉手段169で密閉可能に区切られ、第6処理部160から送り込まれた部品11を取り出す第7処理部170と、を有する装置100及び方法である。
【0030】
こうしたはんだ付け装置100及び方法により、従来のディッピング処理のような電極溶食が起こらず、しかもその後の種々の実装工程での電極溶食を起こさない基板や電子部品を製造することができる。その結果、電気的接続部である電極の信頼性が高く、歩留まりのよい基板や電子部品を低コストで製造することができる。また、各処理部での個々の処理時間を任意に設定できるので、その処理時間に応じた大きさで各処理部を設計できる。その結果、装置の省スペース化を図って小型化を実現でき、低コストで効率のよいはんだ付け装置となる。また、有機脂肪酸含有溶液のオイル臭が外部に漏れるのを防ぐことができる。
【0031】
はんだ付け装置100は、
図1に例示する外観の装置としてもよい。
図1の例では、第1処理部110から第7処理部170が配置されている処理部101と、溶融はんだ5aや有機脂肪酸含有溶液131を循環するための装置を備える循環装置部102とを有している。処理部101の前面側には、部品10を搬入する搬入扉103と、部品10を搬出する搬出扉104とが設けられており、必要に応じて設けられる覗き窓105を有している。
【0032】
以下、装置100の各構成及び工程について詳しく説明する
【0033】
(第1処理部/第1処理工程)
第1処理部110は、はんだ付けされる電極2を有する部品10をセットする処理部である。
【0034】
部品10は、基材1上に電極2が任意の形態で設けられているものであれば特に限定されない。部品10としては、例えば、プリント基板、ウエハー、フレキシブル基板等の基板(「実装基板」ともいう。)や、コネクタ、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Out line Package)、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、半導体チップ、チップ抵抗、チップコンデンサ、ジャンパー配線材等の電子部品を挙げることができる。また、ここに例示したもの以外の公知の基板や電子部品、さらには今後開発される新しい基板や電子部品を含む。部品10の具体例としては、
図6に示す基板10、
図12及び
図13(A)に示す電子部品40、及び
図14に示す電子部品51,52ような各種の部品を例示できる。こうした部品10は、電極2を片面又は両面に有している。
【0035】
電極2は、部品10に各種の形態で設けられている。電極2の種類も特に限定されないが、溶融はんだ5aに含まれる錫と化合して溶食される金属成分を含む導電性電極が対象になる。錫と化合して溶食される金属成分としては、Cu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Bi等を挙げることができる。電極2は、こうした金属成分から選ばれる1種又は2種以上で構成されている。なお、はんだ濡れ性と溶食は表裏一体であり、「はんだ濡れ性」は、そうした金属成分の1種又は2種以上が溶融はんだ5aに含まれる錫と容易に化合して錫化合物として濡れ広がる現象であり、「溶食」は、金属成分の1種又は2種以上が溶融はんだ5aに含まれる錫と化合して錫化合物になって電極2が痩せてしまう現象のことである。後述する電極溶食防止層4は、そうした溶食を防いで、電極2の信頼性が低下するのを防止する層である。
【0036】
具体的な電極2としては、銅電極、銅合金電極、銀電極、銀合金電極、金電極、金合金電極、パラジウム電極、パラジウム合金電極、アルミニウム電極、アルミニウム合金電極等を挙げることができる。これらの合金成分に、上記したCu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Bi等から選ばれる1種又は2種以上の金属成分が含まれている場合には、そうした含有成分は、溶融はんだ5aに含まれる錫と化合して錫化合物になって電極2が痩せてしまうという現象が起こる。
【0037】
例えば、電極2が銅電極又は銅合金電極である場合は、その銅成分と溶融はんだ中の錫とでCuSn化合物層7が容易に形成する(例えば
図11(A)を参照)。その結果、電極2を構成する銅成分が減少(電極溶食)して電極2が痩せてしまう。同様に、銀電極、銀合金電極、金電極、金合金電極、パラジウム電極、パラジウム合金電極、アルミニウム電極、アルミニウム合金電極等の電極2の構成成分として、Cu、Ag、Au、Pd、Rh、Zn、Sn、Ni、Co、Biのいずれか1種又は2種以上含まれる場合も、その1種又は2種以上の成分(M)と溶融はんだ中の錫(Sn)とでMSn化合物が容易に形成する。その結果、電極2を構成する成分Mが減少して電極2が痩せてしまう。
【0038】
電極2の形態や寸法は特に限定されないが、基板に設けられている電極パターンの場合は、例えばパターン幅又はパターン直径で、5μm以上又は10μm以上で、500μm以下の狭幅パターン又は微細円形パターンのものを例示することができる。また、電子部品に設けられている電極の場合は、その電子部品の種類に応じ、数百μm以上、数mm以下の程度の大きい寸法の電極を例示できる。
【0039】
また、電極2の厚さも特に限定されないが、一例としては、例えば5μm以上、30μm以下の程度を挙げることができる。電極2が設けられる基材1の大きさや外形形状も特に限定されず、各種のものに対して本発明を適用できる。本発明に係る部品の製造方法は、そうした電極2の表面に、電極成分の溶出を抑えることができる電極溶食防止層4を形成する方法である。
【0040】
こうした部品10は、
図1の搬入扉103から装置100内に搬入される。搬入された部品10は、例えば
図2に示すように順に並べられ、掴持装置(部品を掴んで持つ装置)111によって順に第2処理部120に送られる。部品10の両面に電極2がある場合は、1つずつ第2処理部120に送られるが、部品10の片面だけに電極2がある場合は、2つずつ第2処理部120に送られてもよい。この掴持装置111は特に限定されないが、掴み部112を有し、昇降軸113が昇降モータ114で上下動するように制御されるものを例示できる。
【0041】
なお、部品10がプリント基板等の場合には、その矩形のプリント基板はそのままセットされるが、部品10が例えば
図12に示す電子部品40の場合には、その電子部品40の形状に合わせた保持ジグ42に取り付けたものをセットすることが好ましい。
【0042】
(第2処理部/第2処理工程)
第2処理部120は、第1処理部110との間に設けられた第1開閉手段119で密閉可能に区切られ、第1処理部110から送り込まれた部品10を次の第3処理部130に送り出す処理部である。
【0043】
第2処理部120では、第1処理部110から部品10が送り込まれるまでは第1開閉装置119のシャッター(図示しない。以下同じ。)は閉じており、部品10が送り込まれる直前にシャッターが開く。シャッターが開いた後に、第1処理部110から部品10が下方に搬送され、部品10がカセット115に装着される。カセット115に装着した後、第1開閉装置119のシャッターを閉じ、その後、第2開閉装置129のシャッターを開けて部品10を装着したカセット115(これを、部品装着カセット115という。)を第3処理部130に送り出す。
【0044】
第3処理部130に部品装着カセット115を送り出した後は、第2開閉装置129のシャッターを閉じ、第3処理部130から入り込んだ第2処理部120内の有機脂肪酸含有溶液131のミストや臭いを空気や不活性ガス等でパージして入れ替えることが好ましい。こうすることにより、第3処理部130で用いる有機脂肪酸含有溶液131のミストや臭いが、第2処理部120から第1処理部110に流れて外部に漏れるのを防ぐことができる。なお、パージして入れ替えたものは、脱臭装置や吸着装置で処理される。
【0045】
カセット115の搬送は特に限定されないが、例えば
図2に示すようなカセット搬送装置122で行うことができる。このカセット搬送装置122は、搬送ワイヤ123と搬送モータ124と搬送ローラ125とで構成されている。このカセット搬送装置122により、カセット115を、少なくとも第2処理部120と第3処理部130との間で繰り返し往復させることができる。
【0046】
第2処理部120の形状は特に限定されないが、1つ又は2つの部品10が1つのカセット115に装着できるだけの大きさであればよい。
図2の例では、第2処理部130は平面視で長細い構造で構成されており、省スペースの点で特に有利である。
【0047】
第2処理部120には、プレ加熱するためのヒータ121が設けられていることが好ましい。このヒータ121で部品10を予め加温しておくことにより、部品10が第3処理部130の有機脂肪酸含有溶液131に接触したときの有機脂肪酸含有溶液131の温度の降下を抑制できる。
【0048】
(第3処理部/第3処理工程)
第3処理部130は、第2処理部120との間に設けられた第2開閉手段129で密閉可能に区切られ、第2処理部120から送り込まれた部品10を有機脂肪酸含有溶液131に接触させ、その部品10を水平移動する処理部である。
【0049】
第3処理部130に部品装着カセット115が下降して送り込まれ、部品10は第3処理部130内の有機脂肪酸含有溶液131に接触する。通常は、
図3に示すように、第3処理部130に一定量満たされた有機脂肪酸含有溶液131に浸漬されて接触するが、有機脂肪酸含有溶液131のシャワーを噴霧してもよい。なお、部品装着カセット115が第3処理部130に送り込まれた後は、第2開閉装置129のシャッターが閉じる。
【0050】
第3処理部130の大きさ及び形状は特に限定されないが、部品10を有機脂肪酸含有溶液131に接触させることができる十分な大きさと形状であり、部品装着カセット115の搬送に支障のない大きさと形状で構成されていることが好ましい。
図2の例では、第3処理部130は平面視で長細い構造で構成されており、省スペースの点で特に有利である。
【0051】
有機脂肪酸含有溶液131に接触した部品装着カセット115は、後述する溶融はんだ付着処理や余剰はんだの除去処理のために引き上げられる箇所まで水平移動する。その後、第4処理部140を構成する上方の空間部にまで上昇する。
【0052】
第3処理部130中の有機脂肪酸含有溶液131の温度は、そこから蒸発した蒸気で第4処理部140を構成する空間部143の温度を溶融はんだ5aの液流温度と同じ又は略同じ温度とすることから、溶融はんだ5aの液流温度によって決まる。例えば溶融はんだ5aの液流温度が約250℃である場合は、有機脂肪酸含有溶液131の温度も同じ又は同程度の温度であることが好ましく、低温タイプの溶融はんだ5aの液流温度が約150℃である場合は、有機脂肪酸含有溶液131の温度も同じ又は同程度の温度であることが好ましい。こうした温度に設定することにより、有機脂肪酸含有溶液131から蒸発した蒸気の温度を、溶融はんだ5aの液流温度と同じ又は同程度の温度にすることができる。有機脂肪酸含有溶液131の温度の制御手段としては、第3処理部130の周りにヒータや冷却器を巻き付けたり、槽中にヒータや冷却管を挿入したり、槽中の有機脂肪酸含有溶液131を温調機器(図示しない)に循環して温度制御してもよい。
【0053】
第3処理部130中の有機脂肪酸含有溶液131は、炭素数が12以上20以下の有機脂肪酸を含む溶液であることが好ましい。炭素数11以下の有機脂肪酸でも使用可能ではあるが、そうした有機脂肪酸は、吸水性があり、あまり好ましくない。また、炭素数21以上の有機脂肪酸は、融点が高いこと、浸透性が悪いこと、取扱いし難いこと等の難点がある。代表的なものとしては、炭素数16のパルミチン酸が好ましい。有機脂肪酸としては、炭素数16のパルミチン酸のみを用いることが特に好ましく、必要に応じて炭素数12以上20以下の有機脂肪酸、例えば炭素数18のステアリン酸を含有させることもできる。
【0054】
有機脂肪酸含有溶液131は、5質量%以上25質量%以下のパルミチン酸を含み、残部がエステル合成油からなるものが好ましく用いられる。こうした有機脂肪酸含有溶液131を用いることにより、その有機脂肪酸含有溶液131は、部品10の電極表面に存在する酸化物やフラックス成分等の不純物を選択的に取り込み、電極表面を清浄化することができる。特に、炭素数16のパルミチン酸を10質量%前後(例えば、5質量%以上15質量%以下)含有する有機脂肪酸含有溶液131が好ましい。なお、有機脂肪酸含有溶液131には、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等の添加剤は含まれていない。
【0055】
有機脂肪酸の濃度が5質量%未満では、電極2の表面に存在する酸化物やフラックス成分等の不純物を選択的に取り込んで精製する効果がやや低く、さらに低濃度での管理が煩雑になることがある。一方、有機脂肪酸の濃度が25質量%を超えると、有機脂肪酸含有溶液131の粘度が高くなること、300℃以上の高温領域では発煙と悪臭の問題を生ずること、等の問題がある。したがって、有機脂肪酸の含有量は、5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、特に炭素数16のパルミチン酸のみを用いる場合は、10質量%前後(例えば、5質量%以上15質量%以下)の含有量であることが好ましい。
【0056】
第3処理部130では、上記した有機脂肪酸含有溶液131に部品10が接触し、その結果、部品10が有する電極2の表面に存在する酸化物や不純物等が除去されて清浄化される。そして、電極2の表面は、有機脂肪酸含有溶液131を構成する有機脂肪酸のコーティング層3(
図8(B)参照)が形成される。このコーティング層3は、電極2の表面を清浄し、さらには電極2の表面の酸化を抑制して酸化被膜の生成を防ぐことができる。
【0057】
(第4処理部/第4処理工程)
第4処理部140は、第3処理部130で水平移動された部品10を上方の空間部143に移動して電極2に溶融はんだ5aを付着させる溶融はんだ付着手段33、及び、空間部143で付着した溶融はんだ5aのうち余剰の溶融はんだ5aを除去する溶融はんだ除去手段34、を有する処理部である。なお、符号141は溶融はんだ5aの配管であり、その配管141には噴射ノズル33が通常は等間隔で設けられている。また、符号142は有機脂肪酸含有溶液131の配管であり、その配管142には噴射ノズル34が通常は等間隔で設けられている。
【0058】
この第4処理部140では、
図3に示すように、部品装着カセット115から部品10が掴持装置181の掴み部182で掴まれ、昇降軸183の昇降によって、その後の上昇、降下、水平移動等が行われる。なお、
図3の例では、部品装着カセット115から部品10だけを掴んで移動しているが、部品装着カセット115のまま移動させて付着手段33や除去手段34を適用してもよい。
【0059】
先ず、溶融はんだ付着手段33について説明する。
【0060】
溶融はんだ付着手段33は、第3処理部130で水平移動された部品10を上方の空間部143に移動して電極2に溶融はんだ5aを付着させる。部品10は、
図3〜
図5に示すように、第3処理部130の有機脂肪酸含有溶液131で処理された後、上方の空間部143に引き上げられる。空間部143は、有機脂肪酸含有溶液131と同じ又は略同じ有機脂肪酸含有溶液131の蒸気雰囲気の加圧された空間部であって、部品10に設けられている電極2に向けて溶融はんだ5aの液流5’を吹き付ける付着手段33、及び後述する余剰の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液131を吹き付けて除去する除去手段34を水平方向に離して配置している空間部である。
【0061】
空間部;
空間部143は、有機脂肪酸含有溶液131の蒸気等で満たされており、加圧状態になっていることが好ましい。空間部143の圧力は特に限定されないが0.1Pa前後であることが好ましい。特に有機脂肪酸含有溶液131の蒸気によって上記範囲の加圧状態になっていることにより、部品10の電極2が酸化したり不純物で汚染されたりすることがない。この空間部143は、先ず、窒素ガスを導入した後、有機脂肪酸含有溶液131を加温して空間部143をその蒸気で満たすことによって形成される。なお、符号148は、空間部内の圧力を調整したり、ガスの入れ替えを行ったりするためのドレンである。
【0062】
空間部143の雰囲気温度は、はんだ付けする溶融はんだ5aの温度と同じ又はそれに近い温度であることが好ましい。同じ温度であってもよいが、溶融はんだ5aの温度よりもやや高く設定することが好ましい。例えば、溶融はんだ5aの液流温度に比べて、2℃以上10℃以下の高さで設定されていることが好ましく、2℃以上5℃以下の雰囲気温度に設定されていることが好ましい。この温度範囲内とすることにより、電極2の表面に噴射した後の溶融はんだ5aの液流5’をその電極2の表面に満遍なく流動させることができ、特にファインピッチの電極や小面積の電極の表面の隅々にまで溶融はんだ5aを広げることができる。雰囲気温度が溶融はんだ5aの液流温度よりも低い場合は、溶融はんだ5aの粘度が低下して溶融はんだ5aの流動性が低下することがあり、一方、雰囲気温度が10℃を超える高さで設定されると、温度が高すぎて部品10に熱ダメージを与えるおそれがある。
【0063】
空間部143の下には第3処理部130があり、その第3処理部130から蒸発した有機脂肪酸含有溶液131の蒸気が空間部143を満たしている。その量は特に限定されないが、空間部143の圧力を0.1MPa前後にする蒸気を発生させることができる程度の量であればよい。
【0064】
空間部143の下の有機脂肪酸含有溶液131の温度は、そこから蒸発した蒸気で空間部143の温度を溶融はんだ5aの液流温度と同じ又は略同じ温度とすることから、溶融はんだ5aの液流温度によって決まる。例えば溶融はんだ5aの液流温度が250℃である場合や低温はんだのように150℃程度である場合は、有機脂肪酸含有溶液131の温度も同じ又は同程度の温度であることが好ましい。こうした温度に設定することにより、有機脂肪酸含有溶液131から蒸発した蒸気の温度を、溶融はんだ5aの液流温度と同じ又は同程度の温度にすることができる。有機脂肪酸含有溶液131の温度の制御手段としては、第3処理部130の周りにヒータや冷却器を巻き付けたり、槽中にヒータや冷却管を挿入したり、槽中の有機脂肪酸含有溶液131を温調機器(図示しない)に循環して温度制御してもよい。
【0065】
付着処理;
第4処理部140を構成する空間部143では、部品10の電極2に向けて溶融はんだ5aの付着処理(噴射処理ともいう。)を行う。すなわち、
図3〜
図5に示すように、有機脂肪酸含有溶液131から上方の空間部143に部品10を引き上げながら、その部品10に対して溶融はんだ5aの液流5’を噴射させて、電極2上に溶融はんだ5aを付着させる。付着処理は、溶融はんだ5aの液流5’を吹き付ける付着手段33によって行われ、例えば
図4及び
図5に示すように、噴射ノズル33が好ましく用いられる。この噴射ノズル33は、電極2が設けられている面の側に配置されていることが好ましいが、通常、部品10の両面側に配置されている。
【0066】
最初に、噴射ノズル33から噴射される溶融はんだ5aについて説明する。溶融はんだ5aとしては、はんだを加熱して溶融させ、液流5’として吹き付けることができる程度に流動化させたものを用いる。その加熱温度は、はんだ組成によって任意に選択されるが、通常、150℃以上300℃以下程度の範囲内から良好な温度が設定される。本発明では、錫を主成分とし、ニッケルを副成分として少なくとも含み、さらに銀、銅、亜鉛、ビスマス、アンチモン及びゲルマニウムから選ばれる1種又は2種以上を副成分として任意に含む溶融鉛フリーはんだが用いられる。
【0067】
好ましいはんだ組成は、Sn−Ni−Ag−Cu−Ge合金であり、具体的には、ニッケル0.01質量%以上0.5質量%以下、銀2質量%以上4質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、ゲルマニウム0.001質量%以上0.02質量%以下、残部が錫のはんだ合金を用いることが、電極溶食を安定して防ぐことができるCuNiSn金属間化合物4(
図11(B)参照。)を形成するために好ましい。そうしたCuNiSn金属間化合物4を形成するための特に好ましい組成は、0.01質量%以上0.07質量%以下、銀0.1質量%以上4質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、ゲルマニウム0.001質量%以上0.01質量%以下、残部が錫のはんだ合金である。こうしたSn−Ni−Ag−Cu−Ge合金ではんだ付けする場合は、240℃以上260℃以下の温度の溶融はんだ5aとして用いることが好ましい。
【0068】
また、ビスマスを含むはんだは、溶融はんだ5aの加熱温度をさらに低温化することができ、その成分組成を調整することにより、例えば150℃近くまで低温化させることができる。こうした低温化は、空間部143内の蒸気の温度も下げることができるのでより好ましい。ビスマスを含有するはんだ組成も、上記同様、ニッケルを0.01質量%以上0.5質量%以下含有することが好ましく、0.01質量%以上0.07質量%以下含有することがより好ましい。こうすることにより、CuSn金属間化合物層4を容易に形成できる低温型の溶融はんだ5aとすることができる。
【0069】
また、その他の亜鉛やアンチモンも、必要に応じて配合される。いずれの場合であっても、はんだ組成は、少なくともニッケルを0.01質量%以上0.5質量%以下含有することが好ましく、0.01質量%以上0.07質量%以下含有することがより好ましい。
【0070】
こうした組成の溶融はんだ5aは、鉛を含まない鉛フリーはんだであるとともに、上記含有量のニッケルを必須に含むので、
図11(B)に示すように、溶融はんだ5aに含まれるニッケルが電極2の銅と化合し、さらに溶融はんだ5aの錫とも化合して、CuNiSn金属間化合物層4を電極2の表面に容易に形成することができる。形成されたCuNiSn金属間化合物層4は、電極2の電極溶食防止層として作用し、電極2の欠損や消失を防ぐように作用する。したがって、CuNiSn金属間化合物層4を有するはんだ層5は、その後において、そのはんだ層5が形成された基板をはんだ槽中にディッピングするディッピング工程に投入する場合のように、電極2にとって過酷とも言える処理にも容易に耐えることができる。そのため、低コストのはんだディッピング工程を適用しても、歩留まりがよく、信頼性の高いはんだ層5を形成できる。さらに、そのはんだ層5を利用した電子部品の実装を低コストで信頼性高く行うことができる実装基板を歩留まりよく得ることができる。
【0071】
溶融はんだ5aに含まれるニッケル含有量は、CuNiSn金属間化合物層4の厚さに影響することがわかっている。具体的には、ニッケル含有量が0.01質量%以上、0.5質量%以下(好ましくは0.07質量%以下)の範囲では、1μm以上3μm以下程度の略均一厚さのCuNiSn金属間化合物層4を生成できる。この範囲内の厚さのCuNiSn金属間化合物層4は、電極2中の銅が溶融はんだ5a中又ははんだ層5中に溶け込んで溶食されるのを防ぐことができる。
【0072】
ニッケル含有量が0.01質量%では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが約1μm以上1.5μm以下程度になり、ニッケル含有量が例えば0.07質量%では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが約2μm程度になり、ニッケル含有量が0.5質量%では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが約3μm程度になる。
【0073】
ニッケル含有量が0.01質量%未満では、CuNiSn金属間化合物層4の厚さが1μm未満になって、そのCuNiSn金属間化合物層4が電極2を覆いきれない箇所が生じ、その箇所から銅の溶食が起こりやすくなることがある。ニッケル含有量が0.5質量%を超えると、硬いCuNiSn金属間化合物層4が厚さ3μmを超えてさらに厚くなり、そのCuNiSn金属間化合物層4に亀裂が生じることがある。その結果、その亀裂部分から銅の溶食が起こりやすくなる。なお、好ましいニッケル含有量は0.01質量%以上0.07質量%以下であり、この範囲のニッケル含有量を有する溶融はんだ5aは、ニッケル含有量が0.07質量%を超え、0.5質量%以下の場合に比べて、CuNiSn金属間化合物層4の亀裂を起こす可能性がなく、平滑な均一層を形成することができる。
【0074】
精製処理;
溶融はんだ5aとして用いるはんだは、精製処理されていることが好ましい。具体的には、炭素数12〜20の有機脂肪酸を5質量%以上25質量%以下含有する溶液を180℃以上350℃以下に加熱し、その加熱された溶液と溶融はんだ5aとを接触させて激しく撹拌混合する。こうすることにより、酸化銅とフラックス成分等で汚染された精製処理前の溶融はんだ5aを清浄化することができ、酸化銅やフラックス成分等を除去した溶融はんだ5aを得ることができる。その後、酸化銅やフラックス成分等が除去された溶融はんだ5aを含む混合液を、有機脂肪酸含有溶液貯槽(図示しない)に導入し、その有機脂肪酸含有溶液貯槽中において比重差で分離した清浄化後の溶融はんだ5aをその有機脂肪酸含有溶液貯槽の底部からポンプで鉛フリーはんだ液貯槽に戻す。こうした精製処理を行うことで、液流として使用する溶融はんだ5a中の銅濃度及び不純物濃度の経時的な上昇を抑制し、かつ酸化銅やフラックス残渣等の不純物を鉛フリーはんだ液貯槽に持ち込ませないようにすることができる。その結果、鉛フリーはんだ液貯槽内の溶融はんだ5aの経時的な組成変化を抑制することができるので、安定した接合信頼性の高い溶融はんだ5aを用いたはんだ層5を連続して形成することができる。また、そうしたはんだ層5を備えた実装基板を連続して製造することができる。
【0075】
精製された溶融はんだ5aは、はんだ層5の接合品質に影響する酸化銅やフラックス残渣等の不純物を含まない。さらにその溶融はんだ5aは、処理していない溶融はんだに比べて粘度も下がる。その結果、微細なパターンの電極2上にはんだ層5を形成する場合に、その電極2上に満遍なくはんだ層5を形成でき、はんだ層5と電子部品との接合品質のロット間ばらつきがなくなり、経時的な品質安定性に寄与することができる。
【0076】
精製に用いる有機脂肪酸含有溶液に含まれる有機脂肪酸は、上記した有機脂肪酸含有溶液131が含むものと同じであるので、ここではその説明を省略する。なお、精製に用いる有機脂肪酸含有溶液の温度は、精製する溶融はんだ5aの融点で決まり、有機脂肪酸含有溶液と溶融はんだ5aとは、少なくとも溶融はんだ5aの融点以上の高温領域(一例としては240℃〜260℃)で激しく撹拌接触させる。また、有機脂肪酸含有溶液の上限温度は、発煙の問題や省エネの観点から350℃程度であり、望ましくは精製処理する溶融はんだ5aの融点以上の温度〜300℃の範囲である。例えば、ニッケル0.01質量%以上0.07質量%以下、銀0.1質量%以上4質量%以下、銅0.1質量%以上1質量%以下、ゲルマニウム0.001質量%以上0.01質量%以下、残部が錫のはんだ合金は、240℃以上260℃以下の温度で溶融はんだ5aとして用いるので、有機脂肪酸含有溶液の温度もそれと同じ240℃以上260℃以下程度であることが好ましい。なお、低温はんだを用いる場合は、有機脂肪酸含有溶液131もその温度に応じて低温にすることができる。
【0077】
こうした有機脂肪酸含有溶液で精製した溶融はんだ5aは、
図3〜
図5に示すように、部品10が有機脂肪酸含有溶液131から上方に引き上げられている途中で、付着手段33から部品10に向かって液流5’として噴霧される。付着手段33からの溶融はんだ5aの噴射圧力は特に限定されず、溶融はんだ5aの種類、温度、粘度等に応じて任意に設定される。通常は0.3MPa〜0.8MPa程度の圧力で噴射する。雰囲気温度は、上記したように、溶融はんだ5aの液流温度と同じ又はそれに近い温度(好ましくはやや高い温度)であることが好ましい。こうして、
図8(C)及び
図5に示すように、電極2に付着して盛り上がった溶融はんだ5aが設けられる。また、付着手段33から吹付ける溶融はんだ5aの液流5’の流速と吹付け処理時間は、溶融はんだ5aの種類等を考慮して任意に設定する。また、付着手段33の形状と吹付け角度等の条件についても、溶融はんだ5aの種類等を考慮して任意に適用又は設定する。
【0078】
次に、余剰の溶融はんだの除去手段34について説明する。余剰はんだの除去手段34は、上記した付着手段33によって付着した溶融はんだ5のうち余剰の溶融はんだ5を除去する手段である。
【0079】
溶融はんだ5aが盛られた部品10は、
図4に示すように、空間部143内に引き上げられた後に空間部143内を水平方向に移動し、その後、余剰の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液131を吹き付けて除去することができる。その除去工程は、部品10を有機脂肪酸含有溶液131中に降下させながら、その途中の空間部143内に配置された除去手段34から有機脂肪酸含有溶液131を吹き付けて行う工程である。この除去工程により、
図8(C)及び
図10に示すように、電極2上に盛り上がった溶融はんだ5aを除去して、除去しきれない溶融はんだ5aのみを残すことができる。除去しきれない溶融はんだ5aとは、電極2上に形成されたCuNiSn金属間化合物層4に付着した溶融はんだ5aのことであり、その付着した溶融はんだ5aがはんだ層5を構成する。
【0080】
また、
図5に示すように、部品10を上方の第4処理部140を構成する空間部143に引き上げながら、基板10の両面側に向けられてセットした噴射ノズル33から溶融はんだ5aの液流5’を噴射し、その後引き続いて、部品10を一旦下げて再び空間部143に引き上げながら、部品10上の余剰の溶融はんだ5aを除去する方法を好ましく適用することができる。
【0081】
溶融はんだ5aを除去するための有機脂肪酸含有溶液は、第3処理部130に含まれる有機脂肪酸含有溶液131と同じもの又は略同じものである。空間部143が有機脂肪酸含有溶液131の蒸気雰囲気であることから、有機脂肪酸含有溶液131を構成する有機脂肪酸含有溶液131と同じものが用いられる。なお、窒素ガス等の不活性ガスを一部混入させてもよい。一方、酸素を含む空気や水等は、はんだ層5の酸化や有機脂肪酸含有溶液への相溶性の観点から混入させない。除去手段34からの有機脂肪酸含有溶液131の噴射圧力は特に限定されず、溶融はんだ5aの種類、温度、粘度等に応じて任意に設定される。通常は0.2MPa〜0.4MPa程度の圧力で噴射する。
【0082】
噴射液体として用いる有機脂肪酸含有溶液131の温度は、溶融はんだ5aの温度(例えば250℃前後、低温はんだの場合は150℃前後等)と同じ又は略同じであることが好ましい。こうして余剰の溶融はんだ5aを吹き飛ばすと同時に、露出した溶融はんだ5aの表面には、有機脂肪酸のコーティング層6(
図8(D)及び
図13(B)参照)を形成できる。
【0083】
溶融はんだの再利用;
空間部143の下方の第3処理部130の底部には、図示しないが、付着手段33から噴射した溶融はんだ5aや除去手段34で掻き落とされた溶融はんだ5aが比重差で沈んでいる。沈んだ溶融はんだ5aを回収して再利用するための循環装置(図示しない)が設けられていてもよい。この循環装置は、第3処理部130の底に貯まった溶融はんだ5aを、溶融はんだ5aを吹き付ける付着手段33に送ってもよい。
【0084】
なお、有機脂肪酸含有溶液131と溶融はんだ5aとは、比重差で分離され、第3処理部130の底に沈んだ溶融はんだ5aを取り出して、有機脂肪酸含有溶液131と分離することができる。こうして分離された溶融はんだ5aと有機脂肪酸含有溶液131は、必要に応じて濾過処理等が施された後に再利用することができる。
【0085】
(第5処理部/第5処理工程)
第5処理部150は、第4処理部140で下方に移動した処理後の部品11を水平移動する処理部である。
【0086】
第4処理部140から下方に移動した処理後の部品11は、第5処理部150で再び有機脂肪酸含有溶液131に浸漬等によって接触する。第5処理部150は、例えば
図3に示すように、省スペース型の第3処理部130と同じ槽内に位置したものであり、処理部としては異なるが同じ有機脂肪酸含有溶液131を共有する領域であり、前述した第3処理部130の延長上にある。
【0087】
第5処理部150の有機脂肪酸含有溶液131の温度は、前述したように、第3処理部130中の各部の温度と同じである。また、その有機脂肪酸含有溶液131やその含有成分等も前述したとおりであるので、ここではそれらの説明は省略する。
【0088】
下降した部品11は、カセット116に装着され、その部品装着カセット116が第6処理部160の真下まで水平移動する。カセット116の搬送は特に限定されないが、上記したカセット115の搬送と同様、例えば
図2に示すようなカセット搬送装置152で行うことができる。このカセット搬送装置152は、搬送ワイヤ153と搬送モータ154と搬送ローラ155とで構成されている。このカセット搬送装置152により、カセット116を、少なくとも第5処理部150と第6処理部160との間で繰り返し往復させることができる。
【0089】
(第6処理部/第6処理工程)
第6処理部160は、第5処理部150との間に設けられた第3開閉手段159で密閉可能に区切られ、第5処理部150から送り込まれた部品11を次の第7処理部170に送り出す処理部である。
【0090】
第6処理部160では、第5処理部150から部品装着カセット116が送り込まれるまでは第3開閉装置159のシャッターは閉じており、部品装着カセット116が送り込まれる直前にシャッターが開く。シャッターが開いた後に、第5処理部150から部品装着カセット116が上方に搬送される。その直後に第3開閉装置159のシャッターを閉じ、その後、第4開閉装置169のシャッターを開けて部品装着カセット116から部品11だけを第7処理部170に送り出す。
【0091】
第7処理部170に部品11を送り出した後は、第4開閉装置169のシャッターを閉じ、第5処理部150から入り込んだ第6処理部160内の有機脂肪酸含有溶液131のミストや臭いを空気や不活性ガス等でパージして入れ替えることが好ましい。こうすることにより、第5処理部150で用いる有機脂肪酸含有溶液131のミストや臭いが、第6処理部160から第7処理部170に流れて外部に漏れるのを防ぐことができる。なお、パージして入れ替えたものは、脱臭装置や吸着装置で処理される。
【0092】
部品装着カセット116からの部品11の掴み出しは、
図3に示すような掴持装置191で行うことができる。掴持装置191は特に限定されないが、掴み部192を有し、昇降軸193が昇降モータ194で上下動するように制御されるものを例示できる。
【0093】
この第6処理部160では、必要に応じてエアーナイフ(図示しない)を設けてもよい。エアーナイフは、第5処理部150から引き上げられた部品11の表面に付着した有機脂肪酸含有溶液131を液切りするために好ましく適用される。こうした液切りにより、余剰に付着した有機脂肪酸含有溶液131を除去することができる。この液切りは、エアーノズル等を用いることが好ましい。このときのエアーノズル等の噴射圧力は特に限定されず、部品11の大きさや形状に応じて任意に設定される。こうして、処理後の部品11を得ることができる。
【0094】
(第7処理部/第7処理工程)
第7処理部170は、第6処理部160との間に設けられた第4開閉手段169で密閉可能に区切られ、第6処理部160から送り込まれた部品11を取り出す処理部である。第7処理部170に送り込まれた部品11は、例えば
図2に示すように順に並べられ、
図1の搬出扉104から装置100外に搬出される。
【0095】
(その他)
図3〜
図5に示すA1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8,A9は、部品又は部品装着カセットの移動方向を示しており、Bはカセットの戻り方向を示している。また、はんだ付け装置100を構成する循環装置部102は、溶融はんだ5aや有機脂肪酸含有溶液131を循環するための装置であり、ポンプ201、分岐装置202,配管203,204、ポンプ301、分岐装置302、タンク303、分岐装置304、接合部305、分岐部306,307である。これらは任意に設計でき、
図2に示す形態以外の構成にすることもできる。
【0096】
また、
図1〜
図3に示すように、はんだ付け装置100は、全体を覆う密閉カバーが設けられていると共に、上記した開閉装置と併せて各処理部110〜170の間も密閉構造になっている。こうすることにより、蒸発しやすい有機脂肪酸含有溶液131が、蒸気になって外部に放散するのを防ぐことができるとともに、外部からの汚染物質が装置内に入り込むのを防ぐことができる。
【0097】
得られた部品11がプリント基板等の基板である場合は、その基板の電極2の表面には、電極溶食防止層4と最小限のはんだ層5と有機脂肪酸コーティング層6とがその順で設けられている。その結果、その基板がその実装工程で、種々の溶融はんだ槽にディッピングされたり、ペーストはんだを印刷した後にリフロー炉に投入されたり、焼成路に投入されたりした場合であっても、電極2の電極溶食が起きず、しかもはんだ濡れ性を損なわず、その後に実装工程で処理することができる。
【0098】
得られた部品11が電子部品である場合も、その電子部品の電極2の表面には、電極溶食防止層4と最小限のはんだ層5と有機脂肪酸コーティング層6がその順で設けられている。その結果、その電子部品の実装工程で、種々の溶融はんだ槽にディッピングされたり、印刷されたペーストはんだ上に載置された後にリフロー炉に投入されたり、焼成路に投入されたりした場合であっても、電子部品の電極2の電極溶食が起きず、しかもはんだ濡れ性を損なわず、その後に実装工程で処理することができる。
【0099】
以上説明したように、本発明に係るはんだ付け装置100及び方法は、部品10が省スペース構造の各処理部110〜170を順次通過するので、各処理部での個々の処理時間を任意に設定でき、その処理時間に応じた大きさで各処理部を設計できる。その結果、装置の省スペース化が図られて小型化を実現でき、低コストで効率のよいはんだ付け装置となる。また、有機脂肪酸含有溶液131で処理する第3処理部130をコンパクトで省スペースを実現できる開閉手段119,129,159,169で密閉可能に区切ることができるので、装置全体の小型化を図ることができるとともに、有機脂肪酸含有溶液131のオイル臭が外部に漏れるのを防ぐことができる。また、第3処理部130と第4処理部140とを有するので、有機脂肪酸含有溶液131で清浄化された電極表面に、電極溶食防止層4をボイドや欠陥を極力生じさせない均一な厚さで形成することができる。その結果、その電極溶食防止層4上に設けられたはんだ5にも、ボイドの発生や欠陥を極力生じさせないようにすることができる。こうした装置と方法によれば、電気的接続部である電極の信頼性が高く、歩留まりのよい基板や電子部品を低コストで製造することができる。
【0100】
また、有機脂肪酸含有溶液131に接触させた後に、その有機脂肪酸含有溶液131の蒸気雰囲気の空間部143に引き上げながら、部品10に設けられている電極2に向けて溶融はんだ5aの液流5’を吹き付けて溶融はんだ5aを電極2に付着させ、さらに、その空間部143から降下させながら又は再び引き上げながら余剰の溶融はんだ5aに有機脂肪酸含有溶液131を吹き付けて除去するので、清浄化された電極表面に、電極溶食防止層4を欠陥なく一様に形成することができ、しかも余剰の溶融はんだ5aを除去した状態で再び有機脂肪酸含有溶液131に接触させて有機脂肪酸コーティング層6を設けている。その結果、その後の実装工程で、種々の溶融はんだ槽にディッピングされたり、ペーストはんだを印刷した後にリフロー炉に投入されたり、焼成路に投入されたりした場合であっても、電極2の電極溶食が起きず、しかもはんだ濡れ性を損なわず、その後に実装工程で処理することができる。
【0101】
[製造された基板及び電子部品]
本発明に係る基板10は、
図7及び
図8(D)に示すように、上記本発明に係るはんだ付け装置100又ははんだ付け方法で製造された基板であって、その基板10が有する電極2は、その表面から、電極溶食防止層4、はんだ層5及び有機脂肪酸コーティング層6の順で設けられている。基板10としては、プリント基板、ウエハー及びフレキシブル基板等の各種の基板を挙げることができる。特にウエハーは、電極の幅やピッチが狭いので、本発明に係る装置及び方法を適用することが好ましく、狭ピッチの微細電極に、はんだ層5を精度よく設けることができる。また、大きな電子部品を設けるプリント基板やフレキシブル基板の場合も、そのはんだ層5の表面を清浄化した状態で保持し、又はその後の工程で処理できるので、信頼性がある基板として用いることができる。
【0102】
また、本発明に係る電子部品は、
図13及び
図14に示すように、上記本発明に係るはんだ付け装置100又ははんだ付け方法で製造された電子部品40,51,52であって、その電子部品40,51,52が有する電極2は、その表面から、電極溶食防止層4、はんだ層5及び有機脂肪酸コーティング層6の順で設けられている。電子部品としては、半導体チップ、半導体モジュール、ICチップ、ICモジュール、誘電体チップ、誘電体モジュール、抵抗体チップ、抵抗体モジュール、等々を挙げることができる。
【0103】
こうした基板及び電子部品によれば、その後のリフロー炉や焼成路等で熱が加わっても、電極溶食防止層4で電極2の電極溶食がブロックされる。その結果、種々の工程を経て行われる電子部品の実装工程での電気的接続部(電極部)の信頼性が低下せず、しかも歩留まりよく製造できるので、低コストで信頼性の高い基板及び電子部品を提供できる。
【0104】
[はんだ付け装置の他の実施形態]
本発明に係る他の実施形態のはんだ付け装置400は、
図15及び
図16に示すように、はんだ付けされる電極を有する部品(処理基板という。)500をセットする第1処理槽(入口槽)401と、その第1処理槽401から送り込まれた処理基板を次の第3処理槽403に送り出す第2処理槽(低温処理液槽)402と、その第2処理槽402から送り込まれた処理基板を有機脂肪酸含有溶液に接触させる第3処理槽(高温処理槽)403と、その第3処理槽403で処理された処理基板の電極に溶融はんだを付着させる溶融はんだ付着手段(はんだ付け処理槽)、及び、前記付着した溶融はんだのうち余剰の溶融はんだを除去する溶融はんだ除去手段(溶融はんだ除去槽)、を有する第4処理槽404と、その第4処理槽404で処理された処理基板を気体又は液体で処理する第5処理槽(溶液除去処理槽)405と、その第5処理槽405から送り込まれた処理基板を次の第7処理槽407に送り出す第6処理槽(連絡槽)406と、第6処理槽406から送り込まれた処理基板600を取り出す第7処理槽(出口槽)407とを有する。
【0106】
図15及び
図16に示すはんだ付け装置400は、第1処理槽401、第2処理槽402、第3処理槽403、第4処理槽404、第5処理槽405、第6処理槽406及び第7処理槽とで構成されている。第2処理槽402〜第6処理槽406の5つの処理槽は、処理タンク431内に配置されている。配置態様は、アーム回転軸432を中心にして、外方に等間隔(例えば72°間隔)で、細長い各処理槽が放射状に内から外に向かうように配置されている。なお、その間隔は等間隔でなくても構わない。
【0107】
第1処理槽401と第7処理槽407は、処理タンク431外に配置されているが、
図16に示すように、第1処理槽401は第2処理槽402と底で繋がっており、第7処理槽407は第6処理槽406と底で繋がっている。いずれの処理槽401,402,406,407も、処理基板500,600が通過できる程度の縦方向の空間が確保されており、処理基板500,600はその空間をスライドして移動する。
【0108】
第1処理槽401の脇には、処理基板500を収容する入口スタック411が配置されている。処理基板500は、この入口スタック411に収容されている。一方、第7処理槽407の脇には、処理済み基板600を収容する出口スタック421が配置されている。処理済み基板600は、この出口スタック421に収容されている。
【0109】
これらの各処理槽は、全体を覆うカバーの中に配置され、入口スタック411と出口スタック421が、カバー433の外から処理基板の出し入れができるように、その一部がカバー433の外側にはみ出すように配置されている。
【0110】
処理基板500は、はんだ付け処理する電極が設けられている部品の一種である。その基板の種類は特に限定されないが、枚葉状の基板である。処理面は、片面であっても両面であってもよい。
【0111】
第1処理槽401は、入口スタック411から投入される。その投入は、ロボットアーム436で行われ、ロボットアーム436の先端に設けられている掴持部材437によって処理基板500を掴み持って行われる。この第1処理槽401には、有機脂肪酸溶液が入っている。第1処理槽401と第2処理槽402とは、繋がっているので、第2処理槽402にも有機脂肪酸溶液が入っている。有機脂肪酸溶液の温度は特に限定されないが、あまり高くないことが好ましく、約50℃〜80℃程度であればよい。有機脂肪酸溶液の温度を比較的低温にすることにより、有機脂肪酸溶液の臭いや煙の発生を抑制することができる。なお、第1処理槽401は、アームが上昇したら直ぐに蓋が閉まる構造になっており、7処理槽407も同様、アームが上昇したら直ぐに蓋が閉まる構造になっている。
【0112】
第1処理槽401に入った処理基板500は、スライド部材438によって第1処理槽401から第2処理槽402に移動する。その移動手段は特に限定されないが、例えば、
図16に示すように、第1処理槽401と第2処理槽402内を往復するスライドラック501で行うことができる。そのスライドラック501は、スライド部材438で移動でき、その移動のための駆動は、掴持部材437がスライド部材438に駆動を伝達して行うことができる。例えば、掴持部材437が回転することにより、スライド部材438でスライドラック501を往復するように機能する。なお、この移動は、第6処理槽406と第7処理槽407との間の移動も同じ原理で行わせることができる。なお、符号412は投入装置であり、符号413はその投入装置から延びるアームであり、符号422は排出装置であり、符号423はその投入装置から延びるアームである。
【0113】
第2処理槽402に移動した処理基板は、旋回アーム434の先端に設けられた吊り上げアーム435の先端で掴まれ、上方に引き上げられる。引き上げられた処理基板は、
図15に示すように、旋回アーム434によって第3処理槽403の位置まで旋回し、降下し、吊り下げアーム435で掴まれたまま第3処理槽403内に入る。
【0114】
第3の処理槽403は、加温された有機脂肪酸溶液が入った槽であり、処理基板はこの有機脂肪酸溶液で処理される。有機脂肪酸溶液の温度は、上記したとおりであるのでここではその説明と作用を省略する。
【0115】
処理された処理基板は、吊り下げアーム435で引き上げられ、
図15に示すように、旋回アーム434によって第4処理槽404の位置まで旋回し、降下し、吊り下げアーム435で掴まれたまま第4処理槽404内に入る。
【0116】
第4処理槽404は、溶融はんだを付着させる処理と、付着した溶融はんだのうち余剰の溶融はんだを除去する処理とを行う槽である。溶融はんだの付着は、槽404の中に溶融はんだを満たした状態で浸漬させてもよいし、溶融はんだを基板面に向けてスプレー噴射させてもよい。また、剰の溶融はんだの除去は、窒素ガスやエアー等の気体や、有機脂肪酸溶液を基板面に向けてスプレー噴射させることにより、処理基板面に付着した余剰のはんだを除去する。
【0117】
第4処理槽404には、はんだ循環タンク441と、フィルター442と、ギヤポンプ443とが設けられていてもよい。はんだ循環タンク441は、浸漬させる場合も噴射させる場合も、はんだ循環させることが好ましい。フィルター442は、はんだ中に混入する不純物や有機脂肪酸溶液を分離するためのものであり、サイクロンフィルターを好ましく適用できる。
【0118】
処理された処理基板は、吊り下げアーム435で引き上げられ、
図15に示すように、旋回アーム434によって第5処理槽405の位置まで旋回し、降下し、吊り下げアーム435で掴まれたまま第5処理槽405内に入る。
【0119】
第5処理槽405は、処理された基板を気体又は液体で処理するための槽である。具体的には、基板表面に付着している有機脂肪酸溶液をきれいにしたりする。そうした手段としては、エアースプレー噴射、不活性ガススプレー噴射等を挙げることができる。また、任意の洗浄溶液を満たしておき、その洗浄溶液で処理してもよい。
【0120】
処理された処理基板は、吊り下げアーム435で引き上げられ、
図15に示すように、旋回アーム434によって第6処理槽406の位置まで旋回し、降下し、吊り下げアーム435で掴まれたまま第6処理槽406内に入る。
【0121】
第6処理槽406には、処理タンク内の雰囲気と、外部雰囲気とを遮断するための溶媒が入っている。溶媒としては、上記した有機脂肪酸溶液であってもよいし、アルコール等の他の有機溶液であってもよい。なお、第1処理槽401と第2処理槽402に満たされる有機脂肪酸溶液も、同様に、処理タンク内の雰囲気と、下部雰囲気とを遮断するための溶媒が入っている。こうした溶液による処理タンク内と処理タンク外との雰囲気の遮断は、本発明に係るはんだ付け装置で極めて重要な技術的要素である。こうした遮断が行われることにより、処理タンク内の高温雰囲気と有機脂肪酸溶液雰囲気とを外部に放散させることがないという大きなメリットがある。
【0122】
以上説明したように、
図15及び
図16に示すはんだ付け装置400、及びその装置を用いたはんだ付け方法によれば、各処理槽での処理時間を短時間に設定でき、アームで旋回させながら順次処理することができる。その結果、装置の大幅な省スペース化と小型化を実現でき、低コストで効率のよいはんだ付け装置となる。また、効果的に遮断することができるので、有機脂肪酸含有溶液のオイル臭が外部に漏れるのを防ぐことができる。また、有機脂肪酸含有溶液で清浄化された電極表面に電極溶食防止層を形成することができるので、電極の溶食を防ぐことができるとともに、その電極溶食防止層上に設けられたはんだにボイドの発生や欠陥を極力生じさせないようにすることができる。こうした装置と方法によれば、電気的接続部である電極の信頼性が高く、歩留まりのよい基板や電子部品を低コストで製造することができる。
【実施例】
【0123】
以下、実施例と比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0124】
[実施例1]
一例として、基材1に幅が例えば200μmで厚さが例えば10μmの銅配線パターンが形成された基板10を準備した。この基板10は、銅配線パターンのうち、電子部品の実装部分となる幅が例えば200μmで長さが例えば50μmの電極2のみが多数露出し、他の銅配線パターンは絶縁層で覆われている。
【0125】
第3処理部130に投入する有機脂肪酸含有溶液131として、ニッケル塩やコバルト塩等の金属塩や酸化防止剤等が含まれていないエステル合成油にパルミチン酸を10質量%になるように含有させた有機脂肪酸含有溶液131を準備した。第3処理部130中の有機脂肪酸含有溶液131の温度を250℃に制御した。用いた溶融はんだ5aは、Ni:0.05質量%、Ge:0.005質量%、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる5元系鉛フリーはんだを用い、250℃に加熱して溶融はんだ5aとして準備した。
【0126】
空間部143は、窒素ガスを導入した後、有機脂肪酸含有溶液131の温度を250℃まで昇温して、上部空間を有機脂肪酸含有溶液131の蒸気で満たした。こうして準備されたはんだ付け装置100に基板10を投入した。
【0127】
基板10を第1処理部110にセットした。基板10は、第1処理部110で掴持装置111で掴まれて第2処理部120に送られ、カセット115に装着される。その後、第1開閉装置119のシャッターを閉じ、カセット115に装着された基板10は、第3処理部130に送られる。第3処理部130に基板10が送られた後、第2開閉装置129のシャッターを閉じた。基板10は、第3処理部130で有機脂肪酸含有溶液131中に浸漬して、電極2上に有機脂肪酸コーティング層3を設けた(例えば
図8(B)参照)。この有機脂肪酸コーティング層3は、有機脂肪酸含有溶液131で銅表面を清浄化した結果として付着されるものである。基板10を、第3処理部130で水平移動させた後に、
図7及び
図9に示すように上方の第4処理部140に引き上げながら、基板10の両面側に向けられてセットした噴射ノズル33から、例えば250℃の溶融はんだ5aの液流5’を噴射した。溶融はんだ5aが吹き付けられた電極2上には、例えば
図8(C)に示すように、溶融はんだ5aが付着して盛られた状態になった。
【0128】
引き続いて、
図7及び
図4に示すように、第4処理部140の空間部143内で基板10を水平方向に移動し、その後、下方に降下させながら基板10上の余剰の溶融はんだ5aを除去した。その除去手段は、基板10の両面にいずれも例えば30°に傾けてセットした噴射ノズル34を用いて行った。噴射ノズル34からは、例えば250℃の有機脂肪酸含有溶液131を噴射させた。その結果、
図8(D)に示す形態の基板11を得た。なお、この基板11は、電極2上に、電極溶食防止層4、はんだ層5、有機脂肪酸コーティング層6の順でが設けられている。その後、基板11を、第5処理部150中で水平方向に移動し、その後、第3開閉装置159のシャッターを開けて上方の第6処理部160に引き上げた。引き上げながらエアーノズル39からのエアー噴射により液切りした。第6処理部160に引き上げた後にシャッターを閉じた。その後、第4開閉装置169のシャッターを開けて第7処理部170に移動した。こうして基板11を得た。
【0129】
[実施例2]
実施例1において、第4処理部140での処理を
図5に示すようにした他は、実施例1と同様にして実施例2の基板11を得た。具体的には、基板10を上方の第4処理部140に引き上げながら、基板10の両面側に向けられてセットした噴射ノズル33から、例えば250℃の溶融はんだ5aの液流5’を噴射した。引き続いて、
図5に示すように、基板10を一旦下げて再び空間部143に引き上げながら、基板10上の余剰の溶融はんだ5aを除去した。
【0130】
[比較例1]
実施例1において、はんだ材料として、Ag:3質量%、Cu:0.5質量%、残部がSnからなる3元系鉛フリーはんだを用いた他は、実施例1と同様にして、比較例1の基板を得た。基板の電極2上には、CuNiSn金属間化合物層は存在せず、CuSn金属間化合物層7が形成されていた(
図11(A)を参照。)。