(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加工期間中の情報は、工作機械の仕様、工作機械の操作盤により指定した加工条件、加工プログラムに含まれるマクロ変数、ワークの固定具の情報、およびクーラントの情報のうち少なくとも一つを含む、請求項8に記載の加工情報管理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
数値制御式の工作機械では、ワークに対する工具の相対位置を移動させる移動情報が定められた加工プログラムに基づいて加工が行われる。工作機械の制御装置は、加工プログラムを読み取り、加工プログラムに基づいて工作機械の移動装置を駆動する。ところが、工作機械にてワークを加工するためには、加工プログラムのみではなく、ワークの加工を行う為の他の加工情報が必要になる。例えば、工作機械にて加工を行う時の工具の種類や工具径などの工具の情報や、加工プログラムの内部にて使用されている座標系の情報が必要になる。更には、加工情報としては、工作機械の操作盤にて個別に設定する情報が必要になる場合がある。また、加工を行う時に、クーラントの情報などを設定したりする必要がある。使用者は、これらの種々の加工情報を設定することにより、所望のワークの加工を行うことができる。
【0006】
ところで、1種類のワークの加工を行った場合に、後日に再び同じ加工を実施する場合がある。過去の加工と同一の加工を行う場合に、今回の加工情報を過去の加工情報と同一にすることにより、過去に実施した加工と同様の加工を行うことができる。ところが、従来の技術においては、使用者は、ワークの加工を行った場合に、前述の様々な加工情報をワークの加工後に保存しておく必要がある。このために、後に同一の加工を行う可能性がある場合には、使用者は、加工に使用した複数の加工情報のうち、後に必要になる加工情報であるか否かを判別する。そして、使用者は、次回の加工に必要な加工情報を収集して保管しておく必要がある。
【0007】
しかしながら、このような各種の加工情報の収集には、熟練した技術が必要であり、時間がかかるという問題がある。特に、加工プログラムを読むことにより必要な工具情報を収集したり座標情報を収集したりするには、熟練した技術が必要である。また、加工情報の要否を判断しながら加工情報を保存するために、保存し忘れ等の人為的なミスが生じる場合がある。また、保存した加工情報を再使用する場合にも、保存した情報を閲覧しながら設定を行う必要があり、熟練した技術が必要であったり、時間がかかったりする。このように、過去に実施した加工と同じ加工を再現するためには、熟練した技術と高度な注意力が要求される。この結果、使用者の負担が増えて、ワークの加工の生産性が低下していてしまう。
【0008】
本発明は、後の加工に必要な加工情報を容易に生成する工作機械の加工情報管理装置および工具経路生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加工情報管理装置は、加工プログラムに基づいて工具とワークとを相対移動させて加工を行う工作機械の加工情報を管理する加工情報管理装置であって、予め定められたワークの加工を実施する加工プログラムに含まれる工具交換指令および加工プログラムに含まれる座標系選択指令を抽出する抽出部と、工具交換指令にて指定される工具に関する工具情報および座標系選択指令にて指定される座標系に関する座標情報を取得する取得部と、
1つのワークの加工に対する加工プログラム、工具情報、および座標情報を含む総合加工情報を生成する生成部と
、総合加工情報を記憶する記憶装置と、過去の1つのワークの加工に関する総合加工情報を記憶装置から読み取る読取部とを備える。
【0010】
上記発明においては、
記憶装置は、複数の総合加工情報を
記憶することができる。
【0011】
上記発明においては、記憶装置が着脱可能な外部記憶装置であってもよい。
【0012】
上記発明においては、
使用者に選択された名称の総合加工情報を表示する表示部を備え、表示部は、今回の加工の工具情報と
使用者に選択された名称の総合加工情報に含まれる過去の加工の工具情報とを並べて表示し、過去の工具情報を参照しながら今回の工具を選定可能に形成されており、更に、今回の加工の座標情報と
使用者に選択された名称の総合加工情報に含まれる過去の加工の座標情報とを並べて表示し、過去の座標情報を参照しながら今回の座標情報を設定可能に形成されることが好ましい。
【0013】
上記発明においては、加工プログラムは、主プログラムと主プログラムの中で引用されている副プログラムとを含み、抽出部は、主プログラムに含まれる工具交換指令および座標系選択指令と、副プログラムに含まれる工具交換指令および座標系選択指令とを抽出し、生成部は、主プログラムおよび副プログラムに基づく工具情報および座標情報を含む総合加工情報を生成することが好ましい。
【0014】
上記発明においては、ワークの加工を実施した後のワークの検査情報を取得する検査情報取得部を備え、取得部は、検査情報取得部からワークの検査情報を取得し、生成部は、ワークの検査情報を含む総合加工情報を生成することが好ましい。
【0015】
上記発明においては、ワークの検査情報は、ワークの検査手順およびワークの検査結果のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0016】
上記発明においては、ワークの加工を実施している時の加工期間中の情報を取得する実施情報取得部を備え、取得部は、実施情報取得部から加工期間中の情報を取得し、生成部は、加工期間中の情報を含む総合加工情報を生成することが好ましい。
【0017】
上記発明においては、加工期間中の情報は、工作機械の仕様、工作機械の操作盤により指定した加工条件、加工プログラムに含まれるマクロ変数、ワークの固定具の情報、およびクーラントの情報のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
本発明の工具経路生成装置は、ワークの形状データに基づいて工具経路を生成する経路生成部と、工作機械の加工情報を管理する加工情報管理装置とを備える工具経路生成装置において、加工情報管理装置は、予め定められたワークの加工を実施する加工プログラムに含まれる工具交換指令を抽出する抽出部と、工具交換指令にて指定される工具情報を取得する取得部と、
1つのワークの加工に対する加工プログラムおよび工具情報を含む総合加工情報を生成する生成部と
、総合加工情報を記憶する記憶装置と、過去の1つのワークの加工に関する総合加工情報を記憶装置から読み取る読取部とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、後の加工に必要な加工情報を容易に生成する工作機械の加工情報管理装置および工具経路生成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図10を参照して、実施の形態における加工情報管理装置および工具経路生成装置について説明する。本実施の形態の加工情報管理装置は、工作機械の総合加工情報を管理する。
【0022】
図1に、実施の形態における工作機械のブロック図を示す。工作機械11は、加工プログラム76に基づいて工具とワークとを相対移動させて加工を行う数値制御式である。工作機械11は、移動装置を制御したり加工情報を設定したりする制御装置70を備える。制御装置70は、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等により構成することができる。工作機械としては、マシニングセンタ、フライス盤、旋盤、研削盤、放電加工機等の種々の機械がある。
【0023】
制御装置70は、入力部71、読取解釈部72、補間演算部73、およびサーボモータ制御部74を含む。加工プログラム76に基づいてワークを加工する場合に、使用者は、加工プログラム76を作成する。または、加工プログラム76は、ワークの目標形状に基づいてCAM(Computer Aided Manufacturing)装置等の工具経路生成装置にて生成することができる。ワークの目標形状は、たとえば、CAD(Computer Aided Design)装置にて作成することができる。工作機械11は、加工プログラム76を読み込んで自動的にワークの加工を実施することができる。
【0024】
入力部71には、加工プログラム76等の情報が入力される。入力部71への入力は使用者が手入力にて行っても、各種の情報が含まれた電子情報が入力されても構わない。加工プログラム76には、ワークに対する工具の相対移動の情報などが含まれている。入力部71には、工具情報77が入力される。工具情報77には、工具の種類、工具の径、および工具の長さ等の工具に関する情報が含まれている。工具情報77は、使用者により入力部71に入力することができる。または、工具情報77は、CAM装置から出力されていても構わない。
【0025】
入力部71には、座標情報78が入力される。座標情報78は、加工プログラム76の内部にて使用されている座標系の情報である。たとえば、加工プログラムに複数のワーク座標が使用されていた場合には、座標情報78に複数のワーク座標の情報が含まれている。座標情報78は、使用者により入力部71に手動にて入力することができる。または、座標情報78は、CAM装置から出力されても構わない。
【0026】
読取解釈部72は、入力部71から加工プログラム76を読み込む。読取解釈部72は、移動指令を補間演算部73に送出する。補間演算部73は、補間周期毎の位置指令値を演算する。たとえば、補間演算部73は、移動指令に基づいて設定された時間間隔ごとの移動量を算出する。補間演算部73は、位置指令値をサーボモータ制御部74に送出する。サーボモータ制御部74は、位置指令に基づいてX軸、Y軸、およびZ軸等の各軸の移動量を算出し、各軸サーボモータ75を駆動する。
【0027】
本実施の形態の工作機械11の制御装置70は、加工情報管理装置20を含む。加工情報管理装置20は、工作機械にて加工を行うための複数の情報を管理する。加工情報管理装置20は、複数の加工情報を集めた総合加工情報を自動的に生成することができる。また、加工情報管理装置20は、過去に生成された総合加工情報を呼び出して、今回のワークの加工を行うための加工情報の設定を行うことができる。
【0028】
図2に、総合加工情報の説明図を示す。総合加工情報79は、加工プログラム76、工具情報77および座標情報78を含む。これらの3つの加工情報は、工作機械にて加工を実施するために必要な情報である。加工情報管理装置20は、これらの3つの加工情報を総合加工情報79の中に自動的に記録する。加工プログラム76は、使用者が読み取ったり編集したりできる形式にて作成されている。加工プログラム76には、例えば、GコードやMコード等により行単位に工作機械に対する指令が示されている。
【0029】
また、加工プログラム76は、主プログラムを含む。主プログラムの中に副プログラムが引用されている場合には、加工プログラム76には副プログラムが含まれる。副プログラムが複数個ある場合には、加工プログラム76には、主プログラムおよび複数個の副プログラムが含まれる。また、加工プログラム76にカスタムマクロ変数が含まれる場合には、加工プログラム76にカスタムマクロ変数の情報を含めることができる。
【0030】
工具情報77には、加工を行う工具に関する情報が含まれる。工具情報77には、ドリルやエンドミル等の工具の種類、工具径、工具長、および工具の刃数などの情報が含まれる。
【0031】
座標情報78には、加工プログラム76において使用されている座標系の情報が含まれる。工作機械の座標系には、工作機械の所定の点を原点とした機械座標系が含まれる。これに対して、例えばワークの任意の点を原点としたワーク座標系が設定される場合がある。ワーク座標系は、ワークが移動した場合にワークと共に移動する。ワーク座標系は、機械座標系に対する相対位置を設定することにより定めることができる。このような機械座標系とは異なる他の座標系の情報が座標情報78に含まれる。また、加工プログラム76の内部で複数の座標系が用いられている場合には、これらの複数の座標系の情報が座標情報78に含まれる。
【0032】
また、総合加工情報79には、加工を行った後にワークを検査した情報としてワーク検査情報80を含めることができる。ワーク検査情報80には、ワークの検査を実施したときの検査手順や検査結果を含めることができる。検査手順には、例えば、検査に使用した測定装置の情報、手動検査または自動検査の検査種類、および測定方法を含めることができる。自動で測定を行う場合には測定プログラムを検査手順に含めることができる。検査結果には、測定装置にて検出した座標値等の検出値や検出値から演算したワークの情報を含めることができる。また、検査結果には、加工精度の許容値や面品位の情報等も含めることができる。
【0033】
例えば、ワークに平面形状が円の凹部を生成した後に行う検査では、検査手順には、手動または自動を選択した情報や、測定装置としてのタッチプローブの情報を含めることができる。検査手順には、タッチプローブの移動方法等の情報を含めることができる。更に、検査手順には、円の凹部の壁面にタッチプローブを接触させる位置を含めることができる。検査結果には、タッチプローブにて測定した座標値を含めることができる。また、複数の座標値に基づいて円の凹部の内径や円の中心位置等の各種の情報を演算することができる。検査結果には、この様な測定した座標値から演算したワークの各種の情報を含めることができる。
【0034】
また、総合加工情報79には、実際に加工を行っている加工期間中の情報81を含めることができる。加工期間中の情報81としては、例えば、工作機械の仕様、加工時間、加工をした寸法、工作機械の主軸を回転させる時の負荷、およびワークに対して工具を相対移動したときに移動装置に加わる負荷等を含めることができる。また、加工期間中の情報81には、主軸や移動装置のモータの温度、モータの振動、および工具の摩耗状態なども含めることができる。また、加工期間中の情報81には、ワークをテーブルに固定する為の固定具に関する情報や、使用したクーラントに関する情報を含めることができる。
【0035】
更に、加工期間中の情報81には、制御装置のパラメータを含めることができる。たとえば、加工期間中の情報81には、制御装置の操作盤にて指定した加工条件の情報を含めることができる。たとえば、移動速度等に関するオーバライド値は、制御装置70の操作盤41により設定することができる。加工期間中の情報81には、このようなオーバライド値を含めることができる。
【0036】
また、総合加工情報79には、加工開始条件の情報82や添付情報83を含めることができる。添付情報83には、任意の加工に関する情報を含めることができる。たとえば、加工後の製品の画像やワークの設計図等を含めることができる。または、添付情報83には、ワークの取付け手順等の情報を含めることができる。
【0037】
図1を参照して、本実施の形態の加工情報管理装置20は、加工プログラム76を自動的に解析し、加工プログラム76から使用される工具を抽出し、使用される工具に関する工具情報77を取得することができる。また、加工プログラム76を自動的に解析し、加工プログラム76にて使用される座標系を抽出し、使用される座標系に関する座標情報78を取得することができる。そして、加工情報管理装置20は、これらの加工プログラム76、工具情報77、および座標情報78を含む総合加工情報79を生成し、総合加工情報79を保存することができる。更に、加工情報管理装置20は、過去に生成された総合加工情報79を読み込んで表示し、今回の加工のための加工情報の生成を援助する。
【0038】
加工情報管理装置20は、入力部71を含む。入力部71には、加工プログラム76、工具情報77および座標情報78等が入力される。また、入力部71には、操作盤等で入力される他の加工情報が入力される。
【0039】
加工情報管理装置20は、解析部21を含む。解析部21は、抽出部22、取得部23および生成部24を含む。抽出部22は、加工プログラム76に含まれる工具交換指令および座標系選択指令等の指令を抽出する。加工プログラム76は、文字で書かれている。例えば、工具交換指令がTで指定されている場合には、抽出部22は、Tで始まる工具交換指令を加工プログラム76から抽出する。また、座標系選択指令は、例えば、G54等の文字列により指定されている。抽出部22は、G54にて指定される座標系選択指令を抽出する。
【0040】
取得部23は、工具交換指令にて指定される工具に関する工具情報を取得する。また、取得部23は、座標系選択指令にて指定される座標系に関する座標情報を取得する。生成部24は、これらの工具情報77や座標情報78に基づいて、工具情報77の電子ファイルおよび座標情報78の電子ファイルを生成する。さらに、生成部24は、ワーク検査情報80、加工期間中の情報81、加工開始条件の情報82、および添付情報83を取得して、それぞれの加工情報の電子ファイルを生成する。そして、生成部24は、これらの加工情報を含む総合加工情報を生成する。このように、生成部24は、1つのワークの加工に対する総合加工情報を生成することができる。
【0041】
なお、加工プログラムにマクロ変数が含まれている場合には、抽出部22がマクロ変数を抽出し、取得部23がマクロ変数に関する情報を取得する。たとえば、取得部23は、マクロ変数を定義した情報を取得する。そして、生成部24は、マクロ変数に関する情報を総合加工情報に含めることができる。
【0042】
加工情報管理装置20は、記憶指令部25と記憶装置26とを含む。記憶指令部25は、生成部24にて生成された総合加工情報を記憶装置26に記憶させる。本実施の形態では、総合加工情報のフォルダを生成し、総合加工情報のフォルダの内部に工具情報の電子ファイルや座標情報の電子ファイル等を保存する。なお、本実施の形態の生成部24は、1つの加工情報に対して1つの電子ファイルを生成しているが、この形態に限られず、複数の加工情報が含まれる1つの総合加工情報の電子ファイルを生成しても構わない。すなわち、1つの総合加工情報の電子ファイルに、加工プログラム、工具情報、および座標情報等の各種の加工情報が含まれていても構わない。
【0043】
なお、本実施の形態の記憶装置26は、加工情報管理装置20の内部に配置されているが、この形態に限られず、記憶装置26は、加工情報管理装置20の外部に配置されていても構わない。例えば、メモリーカードやハードディスクなどの着脱可能な外部記憶装置が、通信インターフェイスを介して、加工情報管理装置20に接続されていても構わない。
【0044】
本実施の形態における加工情報管理装置20は、記憶装置26に記憶されている過去の総合加工情報を読み取る読取部27を含む。読取部27に読み取られた過去の総合加工情報は解析部21に送出される。
【0045】
加工情報管理装置20は、総合加工情報を表示する表示部28を含む。表示部28は、今回の加工を行うための加工情報を表示することができる。また、表示部28は、過去に生成した加工情報を表示することができる。このため、使用者は、過去の情報を確認しながら、今回の加工の設定を行うことができる。
【0046】
ワークの検査を実施する場合に、使用者は、検査を実施するために必要な情報を入力部71に入力する。たとえば、検査手順を入力部71に入力する。加工情報管理装置20は、検査情報取得部30を含む。検査情報取得部30は、ワークの検査結果に関する情報を取得する。検査情報取得部30は、例えば、タッチセンサ31からの信号を受信する。また、検査情報取得部30は、サーボモータ制御部74からの機械座標の座標値を受信する。そして、検査情報取得部30は、これらの情報を解析部21に送出する。解析部21の生成部24は、ワークの検査の情報に基づいてワークの検査結果を演算する。そして、生成部24は、ワークの検査手順やワークの検査結果等を含むワーク検査情報80の電子ファイルを生成する。ワーク検査情報80は、総合加工情報79に含めることができる。
【0047】
さらに、加工情報管理装置20は、ワークの加工を実施しているときの情報を取得する実施情報取得部29を含む。実施情報取得部29は、各種センサ32からの信号を受信し、解析部21に送出する。各種センサ32には、工具を回転させる主軸に取り付けられているセンサ、各軸の移動装置に取り付けられているセンサ、およびクーラントの供給装置に取り付けられているセンサ等が含まれる。解析部21の生成部24は、実施情報取得部29からの情報に基づいて、加工期間中の情報81の電子ファイルを生成する。また、生成部24は、操作盤により設定された加工条件やワークの固定具の情報を取得し、加工期間中の情報81の電子ファイルに含めることができる。このように、生成部24により生成された加工期間中の情報81は、総合加工情報79に含めることができる。
【0048】
さらに生成部24は、加工開始条件の情報82や添付情報83の電子ファイルを生成し、総合加工情報79に含めることができる。加工情報管理装置20は、1つのワークの加工を行った後に自動的に総合加工情報79を生成することができる。または、使用者が操作盤において総合加工情報の作成を指示することにより加工情報管理装置20が総合加工情報79を生成することができる。
【0049】
図3に、加工プログラムの解析を実施する解析制御のフローチャートを示す。ステップ111においては、加工プログラムリストにプログラム名を追加する。本実施の形態においては、使用した加工プログラムの名称が記憶された加工プログラムリストが生成される。解析制御を開始した直後では、加工プログラムのうち主プログラムの名称が加工プログラムリストに追加される。
【0050】
次に、ステップ112においては、加工プログラムを総合加工情報に複写する。例えば、総合加工情報のフォルダを生成した後に、総合加工情報のフォルダに加工プログラムの電子ファイルを複写する。
【0051】
次に、加工プログラムの内部の解析を実施する。加工プログラムの内部の解析は、たとえば、1行に記載された1個の指令ごとに実施することができる。ステップ113においては、現在の指令が副プログラムの呼出し指令であるか否かを判別する。この制御は、解析部21の抽出部22にて実施することができる。加工プログラムに記載される副プログラムを呼び出す指令としては、「M98」や「G65」等を例示することができる。ステップ113において、現在の指令が副プログラムの読出し指令である場合にはステップ114に移行する。
【0052】
ステップ114においては、加工プログラムリストに副プログラムの名称を追加する。次に、ステップ115においては、副プログラムを総合加工情報のフォルダに複写する。この制御は、解析部21の生成部24にて実施することができる。ステップ113において、現在の指令が副プログラムの呼出し指令でない場合には、ステップ116に移行する。
【0053】
ステップ116においては、現在の指令が工具交換指令であるか否かを判別する。この制御は、解析部21の抽出部22にて実施することができる。加工プログラムに記載される工具交換指令としては、「T9」や「M6」を例示することができる。現在の指令が工具交換指令である場合にはステップ117に移行する。
【0054】
ステップ117においては、工具交換指令にて指定された工具に関する工具情報を収集する。この制御は、解析部21の取得部23にて実施することができる。次に、ステップ118においては、工具情報のファイルに現在の指令の工具の情報を追加する。そして、工具情報のファイルを総合加工情報のフォルダに複写する。この制御は、解析部21の生成部24にて実施することができる。ステップ116において、現在の指令が工具交換指令でない場合にはステップ119に移行する。
【0055】
次に、ステップ119においては、現在の指令に座標系選択指令が含まれるか否かを判別する。この制御は、解析部21の抽出部22にて実施することができる。加工プログラムに記載される座標系選択指令としては、例えば、ワーク座標系の選択指令として「G54」から「G59」までのGで始まる指令を例示することができる。現在の指令に座標系選択指令が含まれる場合にはステップ120に移行する。
【0056】
ステップ120においては、現在の座標系選択指令に含まれる座標系に関する座標情報を収集する。この制御は、解析部21の取得部23にて実施することができる。次に、ステップ121においては、取得した座標情報のファイルを総合加工情報のフォルダに複写する。この制御は、解析部21の生成部24にて実施することができる。ステップ119において、現在の指令に座標系選択指令が含まれない場合には、ステップ122に移行する。
【0057】
ステップ122においては、加工プログラムに次の指令があるか否かを判別する。加工プログラムに次の指令が存在する場合にはステップ113に戻り、次の指令についての解析を実施する。ステップ122において、次の指令がない場合には、この制御を終了する。
【0058】
このように加工プログラムに記載されている1つの指令ごとに、ステップ113からステップ122までの制御を繰り返すことにより、加工プログラム、加工プログラムに含まれる副プログラム、工具に関する工具情報、座標系に関する座標情報を含む総合加工情報を生成することができる。
【0059】
さらに、主プログラムに副プログラムの呼出し指令が含まれる場合には、
図3に示す解析制御と同様の制御を副プログラムに対して実施することができる。この制御により、副プログラムに使用されている工具に関する工具情報や、副ブログラムの内部で使用されている座標系に関する座標情報を総合加工情報に含めることができる。ワークの加工に使用する全ての工具に関する工具情報や全ての座標系に関する座標情報を総合加工情報に含めることができる。
【0060】
このように、本実施の形態の加工情報管理装置は、加工プログラムを解析して加工プログラム、工具情報、および座標情報を含む総合加工情報を自動的に生成することができる。このために、加工プログラムに含まれている副プログラムの情報、工具情報、および座標情報を使用者が判別して保存する必要がなく、次回の加工に必要な加工情報を短時間に生成することができる。この場合に、熟練した技術は必要なく、更に必要な情報の保存忘れを回避しながら総合加工情報を生成することができる。更に、本実施の形態の加工情報管理装置は、短時間で総合加工情報を生成することができる。
【0061】
たとえば、使用者は、加工プログラムを閲覧して、使用される工具を特定したり、使用されている座標系を特定したりする必要がない。更に、使用される工具に関する工具情報を収集して保存したり、使用される座標に関する情報を収集して保存したりする作業が必要なく、自動的にこれらの加工情報を保存することができる。
【0062】
本実施の形態の加工情報管理装置20は、読取部27にて過去の総合加工情報を読み取って表示部28にて表示することができる。使用者は、過去の加工情報を参照しながら、今回の加工条件を設定することができる。このために、過去と同一の加工を行う場合に短時間で工作機械の設定を行うことができる。また、過去と類似の加工を行う場合にも、過去の加工情報を参照しながら今回の工作機械の設定を行うことができる。このために、工作機械に加工情報を設定するときの人為的なミスを回避しながら、容易に工作機械の設定を行うことができる。このように、作業者の負担を軽減し、工作機械の設定を行う時間を短縮することができる。この結果、工作機械の生産効率を向上させることができる。または、過去の加工情報から加工品質に影響のある要因を分析し、加工時間の低減または加工品質の向上を図ることができる。
【0063】
総合加工情報79にワーク検査情報80を含めることにより、加工後にワークの検査を行う場合に、過去の検査手順および検査結果を参照しながら、使用者は確実に検査を実施することができる。また、過去の検査手順を参考にして検査手順の改善を容易に行うことができる。更に、過去の検査結果を参照して、今回の加工における工作機械の設定を維持したり修正したりすることができる。
【0064】
また、総合加工情報79に加工期間中の情報81を加えることにより、使用者は、過去の加工期間中の情報を参照しながら、今回の加工条件を設定することができる。過去と同一の加工を行う場合や過去と類似の加工を行う場合に、短時間で工作機械の設定を行うことができる。また、今回の再加工の所要時間を予測することができる。また、今回の加工時のワークの固定や、クーラントに関する設定等を短時間で確実に実施することができる。
【0065】
本実施の形態の加工情報管理装置は、ワークの加工に関する多くの情報を一括して、1つの総合加工情報として生成することができる。そして、総合加工情報を生成する場合に、使用者が必要な情報を収集する必要がなく、容易に総合加工情報を生成することができる。
【0066】
なお、工具情報については、過去に使用した工具と同一の工具であっても過去の工具情報と一致するか否かが不明な場合がある。たとえば、工具の研磨等により工具径が変化している場合がある。このために、工具情報については、工具の計測を改めて実施し、工具の計測結果を今回の加工の工具情報として入力することが好ましい。この場合にも、過去の総合加工情報の工具情報は、参考情報として利用することができる。過去の工具情報を参照することにより、入力ミス等の人為ミスを低減することができる。
【0067】
また、座標情報についても、過去の座標情報と一致するか否かが不明な場合がある。ワークは固定具によりテーブル等に固定される。このときのワークが固定されるテーブル上の位置が僅かにずれる場合がある。たとえば、機械座標系に対するワーク座標系のオフセット値が変化する場合がある。このために、座標情報についても今回の加工において、改めて計測して設定することが好ましい。この場合にも、過去の総合加工情報の座標情報は、参考情報として利用することができる。過去の座標情報を参照することにより、入力ミス等の人為ミスを低減することができる。
【0068】
次に、本実施の形態の工作機械の制御装置に組込まれている加工情報管理装置についてより具体的な例を示して説明する。
【0069】
図4に、工作機械の制御装置に配置されている操作盤の概略正面図を示す。操作盤41は、各種の加工情報の表示および加工情報の入力を行う表示部28を含む。本実施の形態の表示部28は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネル方式が採用されている。
【0070】
操作盤41は、キー入力部42を含む。キー入力部42には、複数のキースイッチが配置されている。キー入力部42のキースイッチを押すことにより、所定の数字や文字等を入力することができる。また、操作盤41は、所定の操作の選択を行う操作スイッチ部44およびオーバライド値の設定を行うオーバライド設定部43を含む。オーバライド設定部43は、例えば、主軸の送り速度のオーバライド値や加工の送り速度のオーバライド値等を設定することができる。オーバライド値を設定することにより、加工プログラムにて指定されている速度に対して、設定された割合を乗じて速度を速くしたり遅くしたりすることができる。オーバライド値は、総合加工情報79の加工期間中の情報81に含まれる。
【0071】
図5から
図8には、操作盤41の表示部28に示される画面を示している。
図5は、総合加工情報管理画面である。総合加工情報管理画面51は、総合加工情報管理のタブ49fを選択することにより表示される。画面の下側の領域には、ボタン領域54が配置されている。ボタン領域54には、操作を行うためのボタンが配置されている。総合加工情報管理画面51では、総合加工情報の概略的な内容を確認することができる。また、総合加工情報管理画面51では、総合加工情報を記憶装置から工作機械の解析部の記憶領域に複写することができる。また、総合加工情報管理画面51では、工作機械の解析部の記憶領域にて生成した総合加工情報を記憶装置に複写することができる。
【0072】
総合加工情報管理画面51は、記憶装置の中の総合加工情報の保管場所を示す表示領域52と、工作機械の解析部の内部の記憶領域を示す表示領域53を含む。ワークの加工は、工作機械の解析部の内部の記憶領域に保存されている加工情報が入力部に送られて実施される。
【0073】
表示領域52には、総合加工情報の保管場所を階層の状態にて示す表示領域52aを含む。表示領域52は、表示領域52aにて選択した情報が表示される表示領域52b,52cを含む。
図5に示す例では、保存場所に保管されている名称がO11の総合加工情報に含まれる加工プログラムが選択されている。表示領域52b,52cには、選択された加工プログラムに、名称がO12の副プログラムと、名称がO13の副プログラムとが含まれていることが示されている。
【0074】
総合加工情報管理画面51の表示領域53は、工作機械の解析部の記憶領域を階層の状態にて示す表示領域53aを含む。また、表示領域53は、表示領域53aにて選択された部分の内容を表示する表示領域53b,53cを含む。
図5に示す例では、工作機械において、名称がO0001の総合加工情報のフォルダが選択されている。表示領域53bにおいては、名称がO0001のフォルダに保存されている画像ファイルが選択されている。そして、表示領域53cにおいては、この画像ファイルに記憶されている加工後の製品の画像が示されている。
【0075】
たとえば、過去の総合加工情報として、保管場所に名称がO0001の総合加工情報が保存されている場合に、保管場所にて名称がO0001の総合加工情報を選択する。次に、ボタン54cを押すことにより、保管場所から工作機械の記憶領域に総合加工情報を複写することができる。以下の説明では、総合加工情報管理画面51の表示領域53において、名称がO0001の総合加工情報を選択した場合を例示する。始めに、プログラム編集のタブ49aを選択する。
【0076】
図6に、加工プログラムを表示および編集するためのプログラム編集画面を示す。プログラム編集画面55は、加工プログラムの内容が表示されている表示領域55aと、加工プログラムの概要が表示されている表示領域55bとを含む。表示領域55bでは、正面フライスやドリルなどの使用する工具ごとに加工面や座標系の情報等が表示されている。
【0077】
また、主プログラムに副プログラムが含まれる場合には、副プログラムの情報が示される。
図6に示す例では、工具にエンドミルを用いる加工では、名称がO1000の副プログラムが呼び出された後に名称がO1010の副プログラムが呼び出されている。使用者は、表示領域55bを確認しながら表示領域55aに示される加工プログラムの確認を行うことができる。または、加工プログラムの編集を容易に行うことができる。
【0078】
次に、工具情報のタブ49bを選択することにより、工具情報を表示することができる。
図7に、工具情報を表示および編集するための工具情報画面を示す。工具情報画面56には、使用する工具を表示する画面を選択するタブ56bと、それぞれの工具の情報を表示および編集する画面を選択するタブ56cとを有する。
図7に示す例では、使用工具のタブ56bが選択されている。
【0079】
表示領域56aには、過去に使用された工具の工具情報と現在の工作機械の工具マガジンに配置されている工具の工具情報とが示されている。工具番号は、加工プログラムにて使用されている工具の番号である。ツールポケットの欄には、工作機械の工具マガジンのツールポケットの番号が示されている。ここで、1つの工具番号の工具に対して、過去に使用した工具の工具情報を示すデータ表示行57aと、現在の工具マガジンに配置されている工具の工具情報を示すデータ表示行57bとが表示されている。このように、過去に実施した加工の工具情報、今回の加工の工具情報を並べて表示している。そして、過去の工具情報を参照しながら、今回の加工のための工具を選定できるように形成されている。同一または使用可能な工具が工具マガジンに配置されている場合には、その工具を選択することができる。
【0080】
本実施の形態の加工情報管理装置においては、過去に使用した工具と同一の工具が工作機械の工具マガジンに存在しない場合には、過去に使用した工具と類似する工具を検索するように形成されている。使用可能な工具が工具マガジンに配置されていない場合には、使用者は、使用可能な工具を工具マガジンに配置する。そして、工具情報画面56のタブ56cを選択して工具の情報を編集する。その後に今回の加工にて使用する工具を選定する。このように、今回の加工にて使用する工具を過去の加工にて使用した工具と比較することにより、工具を速やかに選定することができる。また、工具の選定の誤りを低減することができる。
【0081】
次に、座標情報のタブ49cを選択することにより座標情報を表示することができる。
図8は、座標情報を表示および編集するための座標情報画面である。座標情報画面58は、加工プログラムにて使用されている座標系の一覧を表示する表示領域58aを有する。この例では、名称がO0001の加工プログラムには、名称がG54、G55、およびG56の座標系が使用されている。表示領域58bには、今回の加工を行うための座標系の座標情報が表示されている。表示領域58cには、過去の座標系の座標情報が表示されている。座標情報には、例えば、今回の加工を行う場合の機械座標系に対するワーク座標系の差分を入力する。
【0082】
表示領域58bに設定する今回の加工のための座標情報は、工作機械にワークを配置して測定を行うことにより設定することが好ましい。この場合に、本実施の形態の加工情報管理装置では、今回の加工の座標情報と過去の加工の座標情報とを並べて表示している。そして、過去の座標情報を参照しながら、今回の加工のための座標情報を設定することができる。このために、過去の座標情報を参照して今回の座標情報に誤りがないことを容易に確認することができる。例えば、新たに設定した座標情報と過去の座標情報とが、ワークの取付け誤差以上にずれている場合には、ワークの取付けが失敗していることに気付くことができる。
【0083】
次に、検査記録のタブ49dを選択することにより、検査記録画面を表示することができる。検査記録画面では、過去の加工に関するワークの検査記録を閲覧することができる。このために、過去のワークの検査記録を参照して、過去の加工情報をそのまま採用したり、過去の加工情報を編集したりすることができる。または、検査記録画面では、今回の加工が終わった後に、過去の検査手順と同一または類似の検査手順にてワークの検査を実施することができる。過去の検査手順が記憶されているために、加工が終了したワークの検査を容易に実施することができる。また、検査手順の誤り等を回避しながら検査を実施することができる。
【0084】
また、加工記録のタブ49eを選択することにより、過去の加工期間中の情報や過去の加工開始条件の情報を閲覧することができる。過去の加工期間中の情報や過去の加工開始条件の情報を参照して、今回の加工のための加工情報を設定することができる。たとえば、過去の加工におけるオーバライド値、ワークの検査結果、および作業時間を参照して、今回の加工のオーバライド値を選定することができる。または、前回の加工を行っているときのクーラントの情報を参照して、今回のクーラントを供給するための設定を容易に行うことができる。
【0085】
図6を参照して、加工情報の設定が終了したら、ボタン領域54に配置されている解析ボタン54aを押すことにより、今回の加工における総合加工情報を作成し、工作機械の記憶領域に保存することができる。この場合に、基準となる名称O001の総合加工情報に上書きすることができる。または、名称O0001とは異なる名称の総合加工情報を新たに生成することができる。また、本実施の形態の加工情報管理装置は、ワークの加工が終了すると共に、自動的に総合加工情報を生成することができる。
【0086】
工作機械の記憶領域に保存された総合加工情報は、保管場所にて表示される記憶装置に複写することができる。例えば、
図5を参照して、総合加工情報管理画面51において、ボタン領域54のボタン54bを押すことにより、工作機械にて生成した総合加工情報を保管場所に複写することができる。たとえば、工作機械の外部の記憶装置にて次回の加工まで総合加工情報を保管することができる。
【0087】
なお、上述の説明においては、過去の総合加工情報を参考にして今回の加工のための総合加工情報を生成する例を示したが、この形態に限られず、CAM装置等により新規に加工プログラムを生成して、工具情報や座標情報等を新たに設定した場合にも総合加工情報を生成することができる。
【0088】
ところで、工作機械の加工情報管理装置を取り付ける装置は、工作機械に限られず、例えば、CAM装置等の工具経路生成装置に、本実施の形態の工作機械の加工情報管理装置を取り付けることができる。
【0089】
図9に、本実施の形態における工具経路生成装置のブロック図を示す。工具経路生成装置12は、形状データ読取部62と経路生成部63とを含む。ワークの形状データ61は、CAD装置等にて生成することができる。形状データ読取部62は、形状データ61および工具情報84を読み取って経路生成部63に送出する。経路生成部63は、ワークに対する工具の相対的な移動経路、すなわち工具経路を生成する。経路生成部63は、加工プログラム76を出力する。また、経路生成部63は、工具情報77および座標情報78を出力する。
【0090】
本実施の形態の工具経路生成装置12は、加工情報管理装置20を含む。加工情報管理装置20は、加工プログラム76、工具情報77および座標情報78に基づいて、総合加工情報を生成したり編集したりすることができる。
【0091】
なお、工具情報および座標情報は、実際に加工を行う工作機械において、正確な値を入力することが好ましい。複数の座標系を用いる場合には、座標情報78には複数の座標系に対する相対位置の情報が含まれる。また、経路生成部63は、座標情報78を出力しなくても構わない。この場合に加工情報管理装置20は、加工プログラム76および工具情報77を含む総合加工情報を生成する。
【0092】
さらに、本実施の形態の工作機械の加工情報管理装置は、工作機械および工具経路生成装置等から離れた場所にて使用することができる。加工情報管理装置は、CAM装置等で生成された加工プログラムを用いて総合加工情報を作成したり編集したりした後に、工作機械に総合加工情報を移行することができる。
【0093】
図10に、加工情報管理装置のブロック図を示す。
図10では、加工情報管理装置20が、通信ネットワーク等に接続されていない状態を例示している。加工プログラム76、工具情報77および座標情報78等の各種の情報は、メモリーカードなどの記憶媒体を介して入力部71に入力することができる。加工情報管理装置20は、総合加工情報を作成したり編集したりすることができる。また、作成した総合加工情報を記憶装置26に保存することができる。そして、生成した総合加工情報を工作機械に移行して、工作機械にて使用することができる。工作機械とは離れた別の場所にて総合加工情報を作成したり編集したりすることにより、工作機械での作業を低減して工作機械の稼働率を向上することができる。
【0094】
このような工作機械および工具経路生成装置等から離れた場所に配置される加工情報管理装置は、例えば、工作機械や工具経路生成装置等に通信ネットワークを介して接続されていても構わない。例えば、加工情報管理装置は、工場内のローカルエリアネットワークを介して複数の工作機械に接続することができる。加工情報管理装置にて生成したり編集したりした総合加工情報を通信ネットワークを介して工作機械に送信することができる。または、加工情報管理装置は、通信ネットワークを介して総合加工情報を工作機械から受信しても構わない。
【0095】
本実施の形態の加工情報管理装置は、エンドミル等の工具により切削を行う工作機械の他に、旋盤、研削盤、放電加工機等の任意の工作機械の加工情報を管理する装置に適用することができる。
【0096】
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。上記のそれぞれの実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、請求の範囲に示される形態の変更が含まれている。