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特許6150963心拍同期型の血液循環補助システム、制御方法及び心拍同期型の電気刺激装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6150963
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】心拍同期型の血液循環補助システム、制御方法及び心拍同期型の電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   A61N1/36
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-505682(P2017-505682)
(86)(22)【出願日】2016年10月3日
(86)【国際出願番号】JP2016079325
【審査請求日】2017年2月1日
(31)【優先権主張番号】特願2015-199570(P2015-199570)
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599045903
【氏名又は名称】学校法人 久留米大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390018913
【氏名又は名称】株式会社ホーマーイオン研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】松瀬 博夫
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】神谷 志郎
(72)【発明者】
【氏名】秋本 龍二
(72)【発明者】
【氏名】細木 力
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−517293(JP,A)
【文献】 特表2007−510447(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0036938(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0847776(EP,A1)
【文献】 米国特許第04541417(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36 − A61N 1/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の血液循環を補助する血液循環補助システムであって、
前記人体の少なくとも下腿部にパルス波である電気信号を出力する電気刺激装置と、
前記人体から心電波形を連続的に取得する心電データ取得装置と、
前記心電データ取得装置が取得した心電波形を解析して、前記電気刺激装置から出力される前記電気信号の出力タイミングを決定する心電データ解析装置と、を含み、
前記心電データ解析装置は、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れたタイミングを前記出力タイミングとして決定し、
前記所定時間は前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間であることを特徴とする血液循環補助システム。
【請求項2】
前記周期Tは、前記R波の直近の周期であることを特徴とする請求項1に記載の血液循環補助システム。
【請求項3】
前記心電データ解析装置は、前記R波が検出されるたびに前記出力タイミングを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の血液循環補助システム。
【請求項4】
前記心電データ解析装置は、前記R波が検出されると前記出力タイミングを決定する処理と、前記R波を検出しても前記出力タイミングを決定しない処理とを交互に繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の血液循環補助システム。
【請求項5】
前記電気刺激装置は、さらに前記人体の大腿部に前記電気信号を出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の血液循環補助システム。
【請求項6】
前記周期T内における前記電気信号の出力時間が0.15秒〜0.25秒であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の血液循環補助システム。
【請求項7】
人体の少なくとも下腿部にパルス波である電気信号を出力することにより、前記人体に電気刺激を付与して血液循環を補助する血液循環補助システムの制御方法であって、
前記人体から心電波形を連続的に取得し、
この取得した心電波形を解析して、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れたタイミングを前記電気信号の出力タイミングとして決定し、
前記所定時間は前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間であることを特徴とする血液循環補助システムの制御方法。
【請求項8】
人体に電気刺激を付与する電気刺激装置であって、
前記人体から検出される心電波形に同期させて、パルス波からなる電気信号を出力する電気信号出力部と、
前記人体の少なくとも下腿部に前記電気信号を伝達する電極と、を有し、
前記電気信号出力部は、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れた出力タイミングで前記電気信号を出力し、
前記所定時間は、前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間であることを特徴とする電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液循環を補助する血液循環補助システム及び電気刺激装置、並びに血液循環補助システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心不全などの血液の循環に異常をきたした病態の治療法として心臓補助循環療法がある。心臓補助循環療法とは、物理学的/生理学的アプローチによって血行動態を改善し、病状の改善を図る方法である。国内外では心臓補助循環療法として、大動脈内バルーンパンピング法(IABP法)や増強型体外式カウンターパルセーション法(EECP法)が実施されている。
【0003】
大動脈内バルーンパンピング法では、下行大動脈内に留置したバルーンを心臓の拍動に合わせて膨張および収縮させる。心臓の拡張期に下行大動脈内でバルーンが拡張すると、心臓の栄養血管である冠動脈に流れ込む血流量が増加する。心臓の収縮期に拡張していたバルーンが収縮すると、動脈内の圧力が低下する。このようなタイミングでバルーンを膨張および収縮させることにより、心臓は、血液を押し出しやすくなり、血液の循環が補助される。
【0004】
また、増強型体外式カウンターパルセーション法は、下肢を覆うパンツ型のバルーンを心臓の拍動に合わせて膨張および収縮させ、下肢の動脈を圧迫したり、下肢の動脈の圧迫を解除したりする。パンツ膨張時には、心臓の栄養血管である冠動脈に流れ込む血流量が増加する。パンツ収縮時には、下肢の動脈の圧迫が解除され、動脈内の圧力が低下する。このように、パンツ型のバルーンを膨張および収縮させることにより、心臓は、血液を押し出しやすくなり、大動脈内バルーンパンピング法と同様に、血液の循環を補助することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大動脈内バルーンパンピング法では、バルーンを下行大動脈内に留置するために、上腕動脈や大腿動脈などにバルーンを挿入する挿入口があけられる。つまり、大動脈内バルーンパンピング法は、観血的な治療法であり、患者への侵襲度が高い。バルーンを血管内に留置する間は血液凝固剤を持続投与せねばならず、出血性合併症のリスクを高めることになる。観血的ゆえ、感染症などの合併症を引き起こしやすいという問題もある。
【0006】
また、増強型体外式カウンターパルセーション法では、パンツ型のバルーンを一定時間中、頻回に収縮及び拡張させることで下肢の皮膚表面に持続的な強い刺激が加えられる。そのため、皮膚のびらんや潰瘍などの合併症が発生しやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。上述したような既存のシステムで問題となる合併症を引き起こしにくく、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えにくい血液循環補助システム及び電気刺激装置を提供するとともに、血液循環補助システムの電気信号の出力タイミングを最適な状態に保つことができる血液循環補助システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するための本発明に係る人体血液循環補助システムは、前記人体の少なくとも下腿部にパルス波である電気信号を出力する「電気刺激装置」と、前記人体から心電波形を連続的に取得する「心電データ取得装置」と、前記心電データ取得装置が取得した心電波形を解析して、前記電気刺激装置から出力される前記電気信号の出力タイミングを決定する「心電データ解析装置」と、を含む。前記心電データ解析装置は、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れたタイミングを前記出力タイミングとして決定する。前記所定時間は前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間であることを特徴とする。
【0009】
(2)上記(1)の構成において、前記周期Tは、前記R波の直近の周期とすることができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)の構成において、前記心電データ解析装置は、前記R波が検出されるたびに前記出力タイミングを決定することができる。
【0011】
(4)上記(1)または(2)の構成において、前記心電データ解析装置は、前記R波が検出されると前記出力タイミングを決定する処理と、前記R波を検出しても前記出力タイミングを決定しない処理とを交互に繰り返すことができる。
【0012】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの構成において、前記電気刺激装置は、さらに前記人体の大腿部に前記電気信号を出力することができる。
【0013】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの構成において、前記周期T内における前記電気信号の出力時間は、0.15秒〜0.25秒とすることができる。
【0014】
(7)また、本発明に係る人体の少なくとも下腿部にパルス波である電気信号を出力することにより、前記人体に電気刺激を付与して血液循環を補助する血液循環補助システムの制御方法は、前記人体から心電波形を連続的に取得し、この取得した心電波形を解析して、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れたタイミングを前記電気信号の出力タイミングとして決定し、前記所定時間は前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間であることを特徴とする。
【0015】
(8)また、本発明に係る人体に電気刺激を付与する電気刺激装置は、前記人体から検出される心電波形に同期させて、パルス波からなる電気信号を出力する電気信号出力部と、前記人体の少なくとも下腿部に前記電気信号を伝達する電極と、を有し、前記電気信号出力部は、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れた出力タイミングで前記電気信号を出力し、前記所定時間は、前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間であることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上述したような既存のシステムでしばしば認められる合併症を引き起こしにくく、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えにくい血液循環補助システム及び電気刺激装置を提供することができる。また、本発明によれば、血液循環補助システムの電気信号の出力タイミングを最適な状態に保つことができる血液循環補助システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】血液循環補助システムの機能ブロック図である。
図2】心電データ解析装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図3図2のフローチャートに対応するタイミングチャートである。
図4】電気刺激装置の構成を示す図である。
図5】血液循環補助システムの処理フローを示す図である。
図6】連続する心電波形の個々のR波に対して連続して電気信号を出力した人体Pの上腕動脈の動脈圧波形を示す図である。
図7】連続する心電波形の個々のR波に対して一つ置きに電気信号を出力した人体Pの上腕動脈の動脈圧波形を示す図である。
図8】変形例1における心電データ解析装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図9図8のフローチャートに対応するタイミングチャートである。
図10】変形例2における心電データ解析装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
図11図10のフローチャートに対応するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の血液循環補助システム1の機能ブロック図であり、点線の矢印は信号等の送信方向を表している。本実施形態の血液循環補助システム1は、人体Pの少なくとも下腿部に電気刺激を付与するための電気信号を出力する電気刺激装置100と、連続する心電波形を人体Pから検出する心電データ取得装置200と、心電波形に含まれるR波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間を算出して電気信号の出力タイミングを決定し、当該出力タイミングにて電気刺激装置100を動作させるためのトリガー信号を出力する心電データ解析装置300と、によって構成することができる。
【0019】
まず、心電データ取得装置200について説明する。心電データ取得装置200は、図1に示すように、心電データ取得部201を有する。心電データ取得部201は、人体Pの体表に固定される検出電極(不図示)から、連続する心電波形を含む心電データを取得する(つまり、心電波形を連続的に取得する。)。また、心電データ取得部201は、取得した心電データを心電データ解析装置300に出力する。心電データ取得装置200は、例えば、心電計により構成することができる。なお、心電データの取得および心電データの出力は、無線通信手段及び/又は有線通信手段により行うことができる。
【0020】
次に、心電データ解析装置300について説明する。心電データ解析装置300は、図1に示すように、解析部301と、トリガー信号生成部302と、を有する。
【0021】
解析部301は、タイマー301aを備えている。ただし、タイマー301aは、解析部301の外部に設けられていてもよい。解析部301は、心電データ取得部201から出力された心電データを解析する解析処理を行うとともに、タイマー301aのカウント結果に基づき電気信号の出力タイミングを決定する。また、解析部301は、決定した出力タイミングを含む情報をトリガー信号生成部302に伝達する。
【0022】
トリガー信号生成部302は、解析部301から伝達された出力タイミングにて、電気刺激装置100に電気信号を出力させるためのトリガー信号を生成する。また、トリガー信号生成部302は、生成したトリガー信号を電気刺激装置100に出力する。
【0023】
なお、心電データ取得部201から出力される心電データの取得及びトリガー信号生成部302で生成されるトリガー信号の出力は無線通信手段及び/又は有線通信手段により行うことができる。
【0024】
次に、図2及び図3を参照しながら、心電データ解析装置300が行う処理について具体的に説明する。図2は、心電データ解析装置300が行う処理の手順を示すフローチャートである。図3は、図2のフローチャートに対応するタイミングチャートであり、上側のタイミングチャートは人体Pから検出された心電波形を模式的に表しており、下側のタイミングチャートは心電波形に同期して出力される電気信号の波形を模式的に表している。
【0025】
ステップS31では、解析部301が心電データ取得部201から出力された心電データを解析し、心電波形に含まれるR波が検出されたか否かを判別する。ここで、R波が検出された場合(ステップS31 YES)には、処理はステップS32に進み、R波が検出されなかった場合(ステップS31 NO)には、ステップS31の処理を再び繰り返す。なお、R波とは、心室が収縮したときに現れる波のことである。図3に示す通り、R波は、心電波形に含まれるP波、Q波、S波及びT波よりも振幅が大きい(言い換えると、電圧(電位)が最も大きい)。
【0026】
ステップS32では、解析部301がタイマー301aをスタートさせて、処理はステップS33に進む。例えば、図3に示す4つの心電波形のうち最も左の心電波形のR波がステップS31で検出された場合、ステップS32ではカウント時間tにおいてタイマー301aをスタートさせる。
【0027】
ステップS33では、解析部301が次のR波が検出されたか否かを判別する。例えば、ステップS31において最も左の心電波形のR波が検出された場合、ステップS33ではその次のR波、つまり、左から二番目の心電波形のR波が検出されたか否かを判別する。次のR波が検出された場合(ステップS33 YES)には、処理はステップS34に進み、次のR波が検出されなかった場合(ステップS33 NO)には、ステップS33の処理を再び繰り返す。
【0028】
ステップS34では、ステップS33で次のR波が検出されたときのカウント時間を解析部301が測定する。例えば、ステップS33において左から二番目の心電波形のR波が検出された場合、ステップS34ではtがカウント時間として測定される。
【0029】
ステップS35では、タイマー301aをスタートさせた時刻から次のR波が検出された時刻までの間隔、つまり、R波の周期T(秒)を解析部301が決定する。例えば、ステップS32及びステップS34のカウント時間がそれぞれt及びtである場合、t2−t1(t2をt1で減じた時間)が周期Tとして決定される。
【0030】
ステップS36では、ステップS35で決定された周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間を解析部301が算出し、R波が検出された時刻から周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミングを電気信号の出力タイミングとして解析部301が決定する。例えば、ステップS31で最も左の心電波形のR波が検出され、ステップS33で左から二番目の心電波形のR波が検出された場合、左から二番目の心電波形のR波よりも当該R波の直近の周期である周期T(T=t2−t1)に0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミング、つまりカウント時間uを出力タイミングとして決定する。なお、周期Tに乗じる数値は、心電データ解析装置300に設けられる操作部(不図示)や後述する電気刺激装置100の操作部14を操作することにより、0.075〜0.35の範囲内で適宜設定することができる。
【0031】
ステップS37では、タイマー301aの時刻からステップS36で決定した出力タイミングとなったか否かを解析部301が判別する。例えば、ステップS36で左から二番目の心電波形のR波よりも当該R波の直近の周期であるt2−t1に0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミングが出力タイミングとして決定された場合、u1の時刻になったか否かを判別する。ここで、出力タイミングになったと判別された場合(ステップS37 YES)には、処理はステップS38に進み、出力タイミングになったと判別されなかった場合(ステップS37 NO)には、ステップS37の処理を再び繰り返す。
【0032】
ステップS38では、トリガー信号生成部302がステップS37で判別される電気信号の出力タイミングで、電気刺激装置100に電気信号を出力させるトリガー信号を生成し、電気刺激装置100に出力する。この場合、トリガー信号を受信した電気信号出力部101から直ちに電気信号が出力される。
【0033】
ステップS39では、治療停止信号が入力されたか否かを解析部301が判別する。治療停止信号が入力されたと判別された場合(ステップS39 YES)には、ステップS40でタイマー301aをストップして解析処理を終了する。ここで、解析部301は、例えば、電気刺激装置100に設けられる治療停止スイッチが押された場合や、心電データ取得装置200、心電データ解析装置300及び電気刺激装置100に投下される電源のスイッチがOFFされた場合に治療停止信号が入力されたものと判別できる。
【0034】
また、ステップS39において、治療停止信号が入力されなかった場合(ステップS39 NO)には、処理はステップS33に戻り、治療停止信号が入力されるまで時刻u,u・・・・・・のタイミングにて心電波形に同期した電気刺激が行われる。
【0035】
なお、本実施形態では、連続する2つの心電波形から周期Tを決定したが、連続する3つ以上の心電波形から周期T(秒)の平均値を算出し、これを周期Tとして決定することもできる。また、トリガー信号には出力タイミングに関する情報が含まれていてもよい。この場合、トリガー信号生成部302は生成したトリガー信号を直ちに電気刺激装置100に出力し、電気信号出力部101はトリガー信号に含まれる出力タイミングになるまで電気信号を出力しない。
【0036】
次に、電気刺激装置100について、図4を用いて説明する。電気刺激装置100は、電気信号出力部101と、電極102と、を備える。電気信号出力部101は、トリガー信号生成部302から出力されるトリガー信号に基づいて電気信号を出力する。電極102は、電気信号出力部101により出力された電気信号を人体Pに伝達する。
【0037】
また、電気刺激装置100は、記憶部13と、操作部14と、電源部15と、表示部16と、を備える。記憶部13は、電気信号出力部101から出力される電気信号の周波数,パルス幅,出力時間,電流値,出力パターン(連続する心電波形の個々のR波に対して連続して電気信号を出力するか否かなど)などの通電方式に関する種々の情報を記憶している。操作部14は、電気刺激装置100のオン及びオフを切り替える動作スイッチ,通電方式の設定を行う設定ボタンを含む。電源部15は、電気刺激装置100の各構成要素に電力を供給する。表示部16には、通電方式等の情報を表示することができる。
【0038】
次に、電気信号出力部101の構成を具体的に説明する。電気信号出力部101には、電気信号の出力タイミングや通電態様を制御する出力制御部12と、出力制御部12による制御に基づき、電気信号を発生及び出力する出力ポート11と、が設けられている。
【0039】
出力制御部12は、マイクロコンピュータを含めて構成されている。出力制御部12は、操作部14から出力される信号などに基づいて、出力ポート11が発生及び出力する電気信号の通電態様を制御する。また、出力制御部12は、心電データ解析装置300(トリガー信号生成部302)から入力されるトリガー信号に基づいて、電気信号の出力タイミングを制御する。トリガー信号に出力タイミングの情報が含まれない場合、出力制御部12は、トリガー信号が入力されると同時に出力ポート11に電気信号を発生及び出力させる。トリガー信号に出力タイミングの情報が含まれる場合、出力制御部12は、出力タイミングになってから、出力ポート11に電気信号を発生及び出力させる。
【0040】
電気信号出力部101(出力ポート11)は、パルス波である電気信号を出力する。電気信号の出力時間は、周期Tに0.65を乗じた時間未満であればよく、当業者が適宜設定することができるが、例えば0.15秒〜0.25秒とすることが好ましい。電気信号のパルス幅は、特に限定されないが、例えば200μ秒〜300μ秒とすることができる。また、下腿部に伝達される電気信号の電流値は、筋肉量などによって影響を受けるため一義的に定めることができないが、一例としては20mA〜30mAとすることができる。電気信号の周波数は、当業者が適宜設定することができるが、例えば20Hz〜30Hzとすることが好ましい。周波数が20Hz以上の電気信号は、動脈を継続して圧迫しやすく、周波数が30Hz以下のパルス波は、運動神経が応答しやすく、筋肉を収縮しやすい。
【0041】
次に、電極102について説明する。電極102には、図4に示すように、人体Pの右側に装着される右電極部60と、人体Pの左側に装着される左電極部61とが設けられる。また、これらの電極部60,61には、+電極及び−電極を含む少なくとも2つの正負電極が設けられる。そして、これらの2つの正負電極は、人体Pの足首及び太もも下部(膝上)にそれぞれ装着することができる。具体的に説明すると、右電極部60の+電極及び−電極は、人体Pの右太もも下部及び右足首にそれぞれ装着され、左電極部61の+電極及び−電極は、人体Pの左太もも下部及び左足首にそれぞれ装着されることができる。上述の部位に電極102を装着すると、電気信号は、人体Pの足首から太もも下部までの部位、つまり人体Pの少なくとも下腿部に伝達される。なお、電極102の構成や装着方法は、人体Pの少なくとも下腿部に電気信号を伝達することができれば当該構成や当該装着方法に限定されない。例えば、電極部60,61の正負電極を、足首及び膝にそれぞれ装着することもできる。
【0042】
また、電極102は、人体Pの下腿部に加え、さらに人体Pの大腿部に電気信号を伝達する構成とすることもできる。電極102をこのように構成する場合、例えば、電極部60,61は、足首、太もも及び腰部にそれぞれ装着される少なくとも3つの正負電極を含む構成とされることができる。これら3つの正負電極は、少なくとも+電極及び−電極を含む構成とされ、足首及び腰部に装着される正負電極の極性と太ももに装着される正負電極の極性とが異なるように装着される。具体的な一例について説明すると、右電極部60の正負電極について、右太ももに+電極を装着した場合、人体Pの右側の腰部と右足首には−電極をそれぞれ装着する。左電極部61の正負電極について、人体Pの左太ももに+電極を装着した場合、左側の腰部と左足首には−電極をそれぞれ装着する。電極102をこのように構成して装着すると、電気信号は、人体Pの足首から腰部までの部位、つまり人体Pの少なくとも下腿部及び大腿部に伝達される。なお、電極102の構成や装着方法は、人体Pの下腿部及び大腿部に電気信号を伝達することができれば当該構成や当該装着方法に限定されない。例えば、電極部60,61の正負電極について、膝に−電極を装着し、腰部と足首に+電極をそれぞれ装着することもできる。
【0043】
ここで、下腿部とは、人体Pの膝から足首までの部分をいい、大腿部とは、人体Pの膝よりも上部で人体Pの脚の付け根(鼠蹊部)までの部分をいう。なお、大腿部に伝達される電気信号の電流値は、筋肉量などによって影響を受けるため一義的に定めることができないが、例えば25mA〜35mAとすることができる。
【0044】
また、電極部60,61の正負電極は、非導電性の部材で覆われ、人体Pとの接触面のみに導電性部材が設けられる構成であってもよい。また、電極部60,61の正負電極は、人体Pに巻き付けられるように、帯状の構成であってもよい。なお、電極部60,61の正負電極の数、サイズ及び形状は、装着部位や人体Pの体型などにあわせて変更することができる。
【0045】
次に、本実施形態の血液循環補助システム1全体の処理フローについて説明する。図5は、血液循環補助システム1の処理フローを示す図である。まず、ステップS71では、人体Pから心電波形を連続的に検出する。次に、ステップS72では、ステップS71で検出された心電波形を解析し、R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間を算出する。次に、ステップS73では、R波からステップS72で算出された時間遅延させたタイミングを電気信号の出力タイミングとして決定する。次に、ステップS74では、ステップS73で決定された出力タイミングで電気信号を出力する。
【0046】
なお、本実施形態の血液循環補助システム1では、心電データ取得装置200と心電データ解析装置300と電気刺激装置100とにより図5に示す処理を行っているが、これらの処理全てを電気刺激装置100のみで行うように構成することもできる。
【0047】
ここで、本実施形態の血液循環補助システム1では、電気信号が、心電波形に含まれるR波よりも周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅れた出力タイミングで出力される。このタイミングで出力される電気信号は、下腿部に伝達され、心臓の拡張期における所定のタイミングで下腿部の筋収縮を引きおこす(筋ポンプ作用)。そして、この所定のタイミングで引き起こされる下腿部の筋収縮によって、下腿部の動脈が圧迫されるとともに、心臓の栄養血管である冠動脈に動脈血が流入しやすいタイミングにおいて、下腿部の動脈血を心臓(左心室)に向かって押し戻す作用が発生する。このため、心臓(左心室)に向かって押し戻される動脈血が、冠動脈に流入しやすくなり、心臓の血液ポンプ機能が向上する。従って、本実施形態の血液循環補助システム1によれば、心臓が血液を送り出しやすくなり、人体Pを流れる血液の循環を補助することができる。また、上述した血液循環補助効果は、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づいているため、血液の循環(還流)を妨げる事もなく、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えにくい。
【0048】
一方、血液循環補助システム1から出力される電気信号が、R波よりも周期Tに0.075を乗じた時間よりも早い出力タイミングで出力される場合や、R波よりも周期Tに0.35を乗じた時間よりも遅い出力タイミングで出力される場合、冠動脈に動脈血が流入しやすいタイミングにおいて、下腿部の動脈血が心臓(左心室)に向かって押し戻されにくくなる。このため、心臓の血液ポンプ機能が向上しにくく、人体Pを流れる血液の循環を補助することができない。また、これらの出力タイミングで出力される電気信号では、下腿部の動脈血が心臓(左心室)に向かって押し戻されるタイミングが、冠動脈に動脈血が流入しやすいタイミングに同期しないため、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えやすくなる。また、血液循環補助システム1から出力される電気信号の出力タイミングが、R波から周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅延させたタイミングであったとしても、下腿部に電気信号が出力されない場合、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えることなく血液循環を補助することができない。
【0049】
心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助が出来ているか否かは、当業者が技術常識に基づき適宜判断することができ、大動脈内バルーンパンピング法(IABP法)や増強型体外式カウンターパルセーション法(EECP法)などで用いられる評価方法を参考にすることができる。例えば、電気信号が出力される人体Pから検出した上腕動脈の動脈圧波形を確認する方法であってもよい。図6は、連続する心電波形の個々のR波に対して連続して前記電気信号を出力した人体Pの上腕動脈の動脈圧波形を示す図であり、横軸が時間(秒)であり、縦軸が圧力(mmHg)である。図6(A)及び(B)の動脈圧波形に示すように、電気信号が出力される人体Pから検出した動脈圧波形のうちの少なくとも一心拍分の動脈波形W1において、サポート波形W10を確認することができる場合には、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助が出来ていると判断することができる。一方、図6(C)の動脈圧波形に示すように、検出した動脈圧波形W2において、サポート波形W10を確認することができない場合には、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助が出来ていないと判断することができる。
【0050】
サポート波形W10は、人体Pから得られる信号であって、個人間による差があるため一義的に定めることはできないが、一例としては、図6(A)及び(B)の動脈圧波形に示すように、大動脈弁閉鎖時T11から血圧が急激に上昇してオーグメンテーション圧P11に達し、オーグメンテーション圧P11の測定時T12から拡張期終了時T13まで血圧が下降して拡張期血圧P12に至る波形を挙げることができる。なお、オーグメンテーション圧P11は、図6(A)に示すように、収縮期血圧P10よりも高いことが好ましい。
【0051】
なお、本明細書において、収縮期とは、大動脈弁開放時T10(T20)から大動脈弁閉鎖時T11(T21)までの期間を示し、拡張期とは、大動脈弁閉鎖時T11(T21)から次の大動脈弁開放時T13(T23)までの期間を示す。また、大動脈弁開放時T10(T20)とは、拡張期血圧P12(P22)が測定された時を示し、次の大動脈弁開放時T13(T23)とは、拡張期血圧P12(P22)の次の拡張期血圧P12(P22)が測定された時を示す。また、大動脈弁閉鎖時T11(T21)とは、ディクロティックノッチD(D’)が測定された時を示す。
【0052】
ここで、血液の循環を補助する従来の大動脈内バルーンパンピング法や増強型体外式カウンターパルセーション法は、上述の通り、侵襲度が高く感染症などの合併症を引き起こしやすいという問題や、潰瘍などの合併症を引き起こしやすいという問題があった。しかしながら、本実施形態の血液循環補助システム1によれば、所定のタイミングで電気信号を下腿部に出力するだけで血液循環の補助をすることができるため、非観血的に治療を行うことができることに加え、人体Pに過度な衝撃を加えることもない。従って、感染症や潰瘍などの合併症を引き起こしにくい。
【0053】
また、本実施形態の血液循環補助システム1において、周期T内における電気信号の出力時間は、0.15秒〜0.25秒であることが好ましい。本実施形態の血液循環補助システム1において、下腿部に出力されていた電気信号の出力が中止されると、下腿部の動脈の圧迫が解除され、動脈内の抵抗が低下(動脈内の圧力を低下)するが、電気信号の出力時間が0.15秒〜0.25秒である場合、心臓の収縮期に、動脈内の抵抗(動脈内の圧力)が低下しやすくなる。このため、心臓は、心臓(左心室)中の血液を動脈内に流出させやすくなり(あたかも心臓(左心室)中の血液が動脈血管内へ引き込まれるように流出する)、血液を動脈に流出させる際の負荷が軽減されやすくなる(より低い自己収縮期血圧となる)。つまり、心臓の血液ポンプ機能が補助される。従って、本実施形態の血液循環補助システム1において、電気信号の出力時間が0.15秒〜0.25秒である場合、上述した心臓の血液ポンプ機能の向上に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づいて、血液循環を補助することができる。なお、電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒とすることで得られる血液循環補助効果は、心臓の血液ポンプ機能の向上や補助に基づいているため、血液の循環(還流)を妨げる事もなく、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えにくい。
【0054】
一方、電気信号の出力時間が0.15秒〜0.25秒の範囲外である場合、心臓の収縮期に、動脈内の抵抗(動脈内の圧力)が低下しにくくなる。このため、心臓の負荷が軽減されにくくなり、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果が得られにくくなる。また、出力時間が0.15秒〜0.25秒の範囲外である電気信号では、動脈内の抵抗(動脈内の圧力)の低下が、心臓の収縮期と同期しにくくなるため、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えやすくなる。
【0055】
上述した心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助効果に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果が得られているか否かは、当業者が技術常識に基づき適宜判断することができる。例えば、連続する心電波形の個々のR波に対して一つ置きに電気信号を出力した人体Pの上腕動脈の動脈圧波形を確認する方法であってもよい。
【0056】
図7は、連続する心電波形の個々のR波に対して一つ置きに電気信号を出力した人体Pの上腕動脈の動脈圧波形を示す図である。図7に示す動脈圧波形W3(W4)は、電気信号が出力される心電波形に対応する動脈圧波形を示し、サポート波形W30(W40)を有する。図7に示す動脈圧波形W3’(W4’)は、電気信号が出力されない心電波形に対応する動脈圧波形を示す。図7(A)に示すように、サポート波形W30を有する動脈圧波形のうちの少なくとも一心拍分の動脈圧波形W3において、拡張期血圧P31が、電気信号が出力されない心電波形に対応する動脈圧波形W3’の拡張期血圧P30未満となる場合には、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助効果に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果が得られていると判断することができる。一方、図7(B)に示すように、サポート波形W40を有する全ての動脈圧波形W4において、拡張期血圧P41が、電気信号が出力されない心電波形に対応する動脈圧波形W4’の拡張期血圧P40以上となる場合には、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果が得られていないと判断することができる。
【0057】
なお、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助効果に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果を有しているか否かは、上述した方法に限られず、連続する心電波形の個々のR波に対して連続して電気信号を出力した人体Pの上腕動脈の動脈圧波形を確認することにより判断することもできる。具体的には、電気信号が出力されてない時の人体Pの拡張期血圧を検出し、この拡張期血圧を基準拡張期血圧とする。また、連続する心電波形の個々のR波に対して連続して電気信号を出力した時の人体Pの動脈圧波形についても検出し、検出された動脈圧波形のうち、サポート波形を有する動脈圧波形の拡張期血圧を対象拡張期血圧とする。そして、この対象拡張期血圧と前述した基準拡張期血圧とを比較し、対象拡張期血圧が、基準拡張期血圧未満である場合には、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助効果に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果が得られていると判断することができる。一方、対象拡張期血圧が、基準拡張期血圧以上である場合には、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果が得られていないと判断することができる。
【0058】
また、本実施形態の血液循環補助システム1を、R波から当該R波の直近の周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅れた出力タイミングで電気信号が出力される構成とすることで、最新の周期Tに基づいて決定される出力タイミングで電気信号を出力することができる。そのため、心臓が不定期に拍動した場合であっても、出力される電気信号を心拍(心電波形)に正確に同期させることができる。
【0059】
また、心電データ解析装置300が、R波が検出されるたびに出力タイミングを決定する構成とされることで、心臓が拍動する度(心電波形が検出される度)に電気信号が出力され、心臓が拍動する度に血液の循環を補助することができる。そして、心臓の拍出量を継続して増加させることもできる。
【0060】
また、個々の出力タイミングに対応して電気刺激装置100から出力される電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒とした場合、電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒の範囲外とした場合と比較し、動脈を確実に圧迫することができる。このため、電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒とした場合、血液の循環をより確実に補助させることができる。そして、心臓の拍出量をより増加させることもできる。また、電気刺激装置100から出力される電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒とした場合、心電データ取得装置300で決定された出力タイミングで、電気信号が出力されやすくなる。電気信号の出力時間が0.15秒未満の場合、出力時間が0.15秒以上の場合と比較して、筋肉の収縮時間が短いため、動脈を圧迫するのに十分な筋張力を得ることができない場合がある。このような場合には、動脈は圧迫されにくくなる。また、電気信号の出力時間が0.25秒を超える場合、出力時間が0.25秒以下の場合と比較して、心電データ取得装置300で決定された出力タイミングで電気信号が出力されにくくなる場合ある。例えば、通常の心拍(例えば、50〜90回/分)よりも心拍が過度に早い人は、周期Tが短いため、電気信号の出力時間が0.25秒よりも長くなった場合には、電気信号の出力が終わるとすぐに新たな電気信号の出力タイミングになることがある。このような場合には、決定された出力タイミングで電気信号が出力されにくくなることがある。
【0061】
また、電気刺激装置100が、下腿部に加えてさらに人体Pの大腿部に電気信号を出力する構成とされることで、下腿部及び大腿部の動脈を圧迫することができる。つまり、下腿部のみに電気信号が出力される血液循環補助システム1と比較して、多くの動脈を圧迫できるため、血液の循環をさらに補助させることができる。そして、心臓の拍出量をより増加させることもできる。
【0062】
なお、本実施形態の血液循環補助システム1を制御する方法によれば、上述の通り、血液循環補助システムの電気信号の出力タイミングを最適な状態に保つことができる。
【0063】
(変形例1)
次に、本実施形態の血液循環補助システム1の変形例1について、図8及び図9を用いて説明する。上述した実施形態では、心電データ解析装置300が行う処理に関し、R波よりも当該R波の直近の周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミングを電気信号の出力タイミングとして決定していたが、電気信号の出力タイミングは、R波よりもR波の周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミングであればよい。つまり、R波から当該R波の直近の周期ではない周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミングであってもよい。本変形例1では、電気信号の出力タイミングをこのような出力タイミングとして決定している。このような出力タイミングであっても、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えずに血液循環を補助することができる。
【0064】
なお、以下に説明するステップS46〜S55は、一例として、ステップS41で図9に示す心電波形のうち最も左の心電波形のR波が検出され、ステップS43で左から二番目の心電波形のR波が検出され、ステップS45でt2−t1(秒)が周期Tとして決定された後の処理に関するステップであるものとする。また、ステップS41〜S45については、上述した実施形態のステップS31〜S35とそれぞれ同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0065】
ステップS46では、ステップS45で決定されたt2−t1(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間を解析部301が算出する。本変形例1では、上述した実施形態とは異なり、周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間を算出する処理と電気信号の出力タイミングを決定する処理が別々に行われる。
【0066】
ステップS47では、左から三番目の心電波形のR波が検出されたか否かを解析部301が判別する。左から三番目の心電波形のR波が検出された場合(ステップS47 YES)、処理はステップS48の処理に進む。左から三番目の心電波形のR波が検出されなかった場合(ステップS47 NO)、ステップS47を再び繰り返す。
【0067】
次に、ステップS48では、左から三番目の心電波形のR波からt2−t1(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間遅延したタイミング、つまりuの時刻を電気信号の出力タイミングとして解析部301が決定する。
【0068】
ステップS49では、左から三番目の心電波形のR波が検出されたカウント時間t3を解析部301が測定する。
【0069】
ステップS50では、ステップS44及びステップS49の時間から、左から二番目の心電波形のR波と左から三番目の心電波形のR波の周期t3−t2(秒)を解析部301が決定する。
【0070】
次に、ステップS51では、t3−t2(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間を解析部301が算出する。
【0071】
ステップS52では、ステップS48で決定された出力タイミング(uの時刻)となったか否かを解析部301が判別する。ここで、uの時刻になったと判別された場合(ステップS52 YES)には、処理はステップS53に進み、uの時刻になったと判別されなかった場合(ステップS52 NO)には、ステップS52の処理を再び繰り返す。
【0072】
ステップS53では、トリガー信号生成部302がuの時刻に、トリガー信号を生成し、電気刺激装置100にトリガー信号を出力する。
【0073】
次に、ステップS54において、治療停止信号が入力されたか否かを判別し、治療停止信号が入力されたと判別された場合(ステップS54 YES)には、ステップS55でタイマー301aをストップして解析処理を終了する。また、ステップS54において、治療停止信号が入力されたと判別されなかった場合(ステップS54 NO)には、処理はステップS47に戻り、それ以降のステップを繰り返す。なお、次に繰り返されるステップS48では、最も右の心電波形のR波からt3−t2(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間遅延したタイミング、つまり、uの時刻が電気信号の出力タイミングとして決定する。
【0074】
(変形例2)
次に、本実施形態の血液循環補助システム1の変形例2について、図10及び図11を用いて説明する。上述した実施形態では、心電データ解析装置300が行う処理に関し、連続する心電波形の個々のR波に対して連続して前記電気信号を出力するように出力タイミングを決定していた(つまり、R波が検出されるたびに出力タイミングを決定していた)が、本変形例では、連続する心電波形の個々のR波に対して一つ置きに連続して前記電気信号を出力するように出力タイミングを決定する(つまり、R波が検出されると出力タイミングを決定する処理と、R波を検出しても出力タイミングを決定しない処理とを交互に繰り返す)。このような出力タイミングで電気信号を出力したとしても、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えずに血液循環を補助することができる。
【0075】
なお、以下に説明するステップS91及びステップS91に続く繰り返されるステップS81〜S90は、一例として、ステップS81で図11に示す心電波形のうち最も左の心電波形のR波が検出され、ステップS83で左から二番目の心電波形のR波が検出され、ステップS86で左から二番目の心電波形のR波からt2−t1(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミング、つまりuの時刻が電気信号の出力タイミングとして決定された後の処理に関するステップであるものとする。また、繰り返される前のステップS81〜ステップS90は、上述した実施形態のステップS31〜ステップS40とそれぞれ同様であるから、詳細な説明を省略する。
【0076】
ステップS91では、ステップS90において治療停止信号が入力されなかったと判別されなかった場合に、解析部301がタイマー301aをストップする。なお、解析部301がタイマー301aをストップした後は、処理はステップS81以降のステップを再び繰り返す。
【0077】
繰り返されるステップS81では、左から三番目の心電波形のR波が検出されたか否かを判別する。左から三番目の心電波形のR波が検出されなかった場合(ステップS81 NO)には、ステップS81の処理を再び行う。左から三番目の心電波形のR波が検出された場合(ステップS81 YES)、繰り返されるステップS82で解析部301がカウント時間tの時刻にタイマー301aをスタートする。
【0078】
繰り返されるステップS83では、最も右の心電波形のR波が検出されたか否かを解析部301が判別する。最も右の心電波形のR波が検出されなかった場合(ステップS83 NO)には、ステップS83の処理を再び行う。最も右の心電波形のR波が検出された場合(ステップS83 YES)、繰り返されるステップS84において、最も右の心電波形のR波が検出されたカウント時間t4を解析部301が測定する。
【0079】
繰り返されるステップS85では、繰り返されるステップS82及び繰り返されるステップS84の時間から、左から三番目の心電波形のR波と最も右の心電波形のR波との周期Tをt4−t3(秒)(t4をt3で減じた時間)として決定する。
【0080】
繰り返されるステップS86では、t4−t3(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間を算出し、最も右の心電波形のR波からt4−t3(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間遅れたタイミング、つまりuの時刻を電気信号の出力タイミングとして解析部301が決定する。
【0081】
繰り返されるステップS87では、最も右の心電波形のR波からt4−t3(秒)に0.075〜0.35を乗じた時間遅延したタイミング、つまりuの時刻となったか否かを解析部301が判別する。ここで、uの時刻になったと判別された場合(ステップS87 YES)には、処理はステップS88に進み、uの時刻になったと判別されなかった場合(ステップS87 NO)には、ステップS87の処理を再び繰り返す。
【0082】
繰り返されるステップS88では、uの時刻に、電気刺激装置100に電気信号を出力させるトリガー信号をトリガー信号生成部302が生成して出力する。
【0083】
繰り返されるステップS89では、治療停止信号が入力されたか否かを判別し、治療停止信号が入力されたと判別された場合(ステップS89 YES)、ステップS90でタイマー301aをストップして解析処理を終了する。また、治療停止信号が入力されたと判別されなかった場合(ステップS89 NO)、処理はステップS91以降の処理を繰り返す。
【0084】
ここで、本変形例2の電気刺激装置100によれば、連続する個々の心拍(心電波形)に対して一つ置きに電気信号が出力される。そのため、連続する個々の心拍(心電波形)に対して一つ置きに血液循環を補助させることができる。従って、連続する心電波形の個々のR波に対して連続して前記電気信号を出力する電気刺激装置100と比較して、血液循環の補助により生じる人体Pの負担を軽減することができる。
【実施例】
【0085】
次に、実施例を示して、本実施形態の血液循環補助システム1についてより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0086】
(実施例1)
心電データ取得装置200と心電データ解析装置300とを接続した。心電データ取得装置200が接続される心電データ解析装置300と電気刺激装置100とを接続した。心電データ取得装置200から延びる検出電極を被験者Aの胸に装着した。電気刺激装置100に設けられる−電極を被験者Aの左右の足首にそれぞれ装着した。電気刺激装置100に設けられる+電極を被験者Aの左右の太ももの下部(膝上)にそれぞれ装着した。被験者Aから心電データを取得し、連続する心電波形に同期させてパルス波である電気信号を下腿部に出力した。電気信号は、R波から当該R波の直近の周期Tに0.10を乗じた時間遅れたタイミングで出力し、連続する心電波形の個々のR波に対して連続して出力した。なお、電気信号の出力時間は、0.2秒に設定し、電気信号のパルス幅は、260μ秒に設定し、電気信号の周波数は、20Hzに設定し、電気信号の電流値は、被験者Aが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に設定した。
【0087】
(実施例2)
被験者Aを被験者Bに変更した。被験者Bが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Bの下腿部に電気信号を出力した。
【0088】
(実施例3)
被験者Aを被験者Cに変更した。被験者Cが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Cの下腿部に電気信号を出力した。
【0089】
(実施例4)
被験者Aを被験者Dに変更した。被験者Dが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Dの下腿部に電気信号を出力した。
【0090】
(実施例5)
被験者Aを被験者Eに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.15を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Eが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Eの下腿部に電気信号を出力した。
【0091】
(実施例6)
被験者Aを被験者Fに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.25を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Fが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Fの下腿部に電気信号を出力した。
【0092】
(実施例7)
被験者Aを被験者Gに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.075を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Gが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Gの下腿部に電気信号を出力した。
【0093】
(実施例8)
被験者Aを被験者Hに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.075を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Hが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Hの下腿部に電気信号を出力した。
【0094】
(実施例9)
被験者Aを被験者Iに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.35を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Iが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Iの下腿部に電気信号を出力した。
【0095】
(実施例10)
被験者Aを被験者Jに変更した。電気刺激装置100に設けられる−電極を被験者Jの左右の鼠蹊部及び左右の足首にそれぞれ装着し、+電極を被験者Jの左右の太ももの下部(膝上)にそれぞれ装着した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.10を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Jが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Jの大腿部及び下腿部に電気信号を出力した。
【0096】
(実施例11) 被験者Jを被験者Kに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.35を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Kが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例10と同様の条件により、被験者Kの大腿部及び下腿部に電気信号を出力した。
【0097】
(比較例1)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.017を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Aが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と条件により、被験者Aの下腿部に電気信号を出力した。
【0098】
(比較例2)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.017を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Bが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例2と条件により、被験者Bの下腿部に電気信号を出力した。
【0099】
(比較例3)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.017を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Dが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例4と条件により、被験者Dの下腿部に電気信号を出力した。
【0100】
(比較例4)
被験者Aを被験者Lに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.017を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Lが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と条件により、被験者Lの下腿部に電気信号を出力した。
【0101】
(比較例5)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.05を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、実施例8と条件により、被験者Hの下腿部に電気信号を出力した。
【0102】
(比較例6)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.40を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、実施例1と条件により、被験者Aの下腿部に電気信号を出力した。
【0103】
(比較例7)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.40を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、実施例2と条件により、被験者Bの下腿部に電気信号を出力した。
【0104】
(比較例8)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.40を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、実施例3と条件により、被験者Cの下腿部に電気信号を出力した。
【0105】
(比較例9)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.40を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、実施例4と条件により、被験者Dの下腿部に電気信号を出力した。
【0106】
(比較例10)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.40を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、実施例9と条件により、被験者Iの下腿部に電気信号を出力した。
【0107】
(比較例11)
被験者Aを被験者Mに変更した。電気刺激装置100に設けられる−電極を被験者Mの左右の鼠蹊部にそれぞれ装着し、+電極を被験者Mの左右の太ももの下部(膝上)にそれぞれ装着した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.25を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Mが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Mの大腿部に電気信号を出力した。
【0108】
(比較例12)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.30を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、比較例11と同様の条件により、被験者Mの大腿部に電気信号を出力した。
【0109】
(比較例13)
被験者Mを被験者Nに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.10を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Nが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、比較例11と同様の条件により、被験者Nの大腿部に電気信号を出力した。
【0110】
(比較例14)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.15を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、比較例13と同様の条件により、被験者Nの大腿部に電気信号を出力した。
【0111】
(比較例15)
電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.30を乗じた時間遅れたタイミングに変更した以外の条件は、比較例13と同様の条件により、被験者Nの大腿部に電気信号を出力した。
【0112】
(比較例16)
被験者Aを被験者Oに変更した。電気刺激装置100に設けられる−電極を被験者Oの左右の鼠蹊部及び左右の足首にそれぞれ装着し、+電極を被験者Oの左右の太ももの下部(膝上)にそれぞれ装着した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.40を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Oが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Oの大腿部及び下腿部に電気信号を出力した。
【0113】
実施例1〜11及び比較例1〜16の各被験者に対して出力した電気信号の電流値及び出力タイミングを、後述する表1に示す。
【0114】
[評価1]
実施例1〜11及び比較例1〜16の各被験者について、血圧脈波検査装置を用いて、上腕動脈の動脈圧波形を検出した。検出した動脈圧波形を医師が確認し、以下の評価基準に従って評価した。結果を、後述する表1に示す。
<評価基準>
Good:検出した動脈圧波形のうちの少なくとも一心拍分の動脈波形において、上述したサポート波形を確認できた。
Poor:検出した動脈圧波形において、上述したサポート波形を確認できなかった。
【0115】
[表1]
【0116】
表1に示すように、実施例1〜11の血液循環補助システム1では、評価1の評価結果が全て「Good」となった。この結果から、実施例1〜11の血液循環補助システム1は、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助ができることが理解できる。つまり、実施例1〜11の血液循環補助システム1によれば、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えずに血液の循環を補助できることが理解できる。一方、比較例1〜16の血液循環補助システムでは、評価1の評価結果が全て「Poor」となった。この結果から、比較例1〜16の血液循環補助システム1は、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助ができないことが理解できる。つまり、比較例1〜16の血液循環補助システム1によれば、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えずに血液の循環を補助できないことが理解できる。
【0117】
特に、比較例1〜10及び16の評価1の評価結果から、電気信号の出力タイミングを、R波から周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅延させたタイミングとしない場合、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えずに血液の循環を補助できないことが理解できる。また、比較例11〜15の評価1の評価結果から、電気信号の出力タイミングを、R波から周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間遅延させたタイミングにしたとしても、下腿部に電気信号を出力しない場合、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えずに血液の循環を補助できないことが理解できる。
【0118】
次に、電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒とする本実施形態の血液循環補助システム1が、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助効果に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果を有していることを示すため、以下の実施例を実施した。
【0119】
(実施例12)
被験者Aを被験者Bに変更した。電気信号の出力タイミングを、R波から当該R波の直近の周期Tに0.30を乗じた時間遅れたタイミングに変更した。被験者Bが10段階に分類されるボルグスケールの4(ややきつい)と判断する電流値に変更した。被験者Bから検出される連続する心電波形の個々のR波に対して一つ置きに電気信号を出力した。これら以外の条件は、実施例1と同様の条件により、被験者Bの下腿部に電気信号を0.2秒間出力した。
【0120】
[評価2]
実施例12の被験者について、血圧脈波検査装置を用いて、上腕動脈の動脈圧波形を検出した。検出した実施例12の被験者の動脈圧波形を医師が確認し、以下の評価基準に従って評価した。
<評価基準>
Good:上述したサポート波形を有する動脈圧波形のうちの少なくとも一心拍分の動脈圧波形において、拡張期血圧が、電気信号が出力されない心電波形に対応する動脈圧波形の拡張期血圧未満となった。
Poor:上述したサポート波形を有する全ての動脈圧波形において、拡張期血圧が、電気信号が出力されない心電波形に対応する動脈圧波形の拡張期血圧以上となった。
【0121】
実施例12に関し、出力した電気信号の出力条件及び評価2の結果を表2に示す。
【0122】
[表2]
【0123】
表2に示すように、実施例12の血液循環補助システム1は、評価2の評価結果が「Good」となった。この結果から、電気信号の出力時間を0.15秒〜0.25秒の範囲内とする実施例12の血液循環補助システム1は、心臓の血液ポンプ機能の向上に基づく血液循環補助効果に加えて、心臓の血液ポンプ機能の補助に基づく血液循環補助効果を有していることが理解できる。
【符号の説明】
【0124】
1 血液循環補助システム 11 出力ポート
12 出力制御部 13 記憶部
14 操作部 15 電源部
16 表示部 60 右電極部
61 左電極部 100 電気刺激装置
101 電気信号出力部 102 電極
200 心電データ取得装置 201 心電データ取得部
300 心電データ解析装置 301 解析部
302 トリガー信号生成部
【要約】
合併症を引き起こしにくく、自己調律性の心臓収縮拡張機能に悪影響を与えにくい血液循環補助システム及びその制御方法並びに電気刺激装置に関する。
人体(P)の少なくとも下腿部にパルス波である電気信号を出力する電気刺激装置(100)と、前記人体(P)から心電波形を連続的に取得する心電データ取得装置(200)と、前記心電データ取得装置(200)が取得した心電波形を解析して、前記電気刺激装置(100)から出力される前記電気信号の出力タイミングを決定する心電データ解析装置(300)とを含み、前記心電データ解析装置(300)は、前記心電波形に含まれるR波よりも所定時間遅れたタイミングを前記出力タイミングとして決定し、前記所定時間は前記R波の周期である周期Tに0.075〜0.35を乗じた時間である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11