(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6151011
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】即席カレー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20170612BHJP
【FI】
A23L23/00
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-262731(P2012-262731)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-108058(P2014-108058A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】509075480
【氏名又は名称】株式会社サンフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】持田 民雄
【審査官】
松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−119258(JP,A)
【文献】
特開平07−284380(JP,A)
【文献】
特開2003−325145(JP,A)
【文献】
特開2005−065585(JP,A)
【文献】
特開2009−273410(JP,A)
【文献】
特開平05−000069(JP,A)
【文献】
特開平11−164665(JP,A)
【文献】
特開2007−259780(JP,A)
【文献】
特開2003−250502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L23/00−25/10
A23L35/00
A21D2/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
別ルートで作成した粉末状のカレーと、カレーの具材とを、個別に1食分づつ小分けし樹脂シート材で真空包装して密封包装し、これらを1食分づつ一緒にして所要の容器に入れシート状蓋材で密封包装した即席カレーの製造方法であり、
前記カレーの具材は、具材となる材料を所要大きさに刻んで、予め所要大きさの鍋に入れ所要の調味料を入れ加熱して味付けしたものであり、
前記粉末状のカレーは、小麦粉を160℃以下の弱火で加熱し攪拌しながら小麦粉の色が杏色または卵色程度に変色するまで炒める工程と、
該工程に引き続き加熱温度を維持して、それぞれ所要量の粘性材と、カレー粉と、ペースト状にした野菜類と、調味料とを加えて均等に混ぜ合わせる工程と、
全体を均等に攪拌しながら160℃以下の弱火で炒って主に調味料に含まれている水分を飛ばして、残存する水分が8〜12%の範囲になるまで、焦がさないように攪拌して炒ることにより、全体がパラパラでしっとりした状態の粉末状に形成する工程とで得られたものであること
を特徴とする即席カレーの製造方法。
【請求項2】
前記カレーの具材は、肉、野菜及び/または魚介類であること
を特徴とする請求項1に記載の即席カレーの製造方法。
【請求項3】
前記粉末状のカレーは、主として10重量部の小麦粉と、7重量部の粘性材と、4重量部のカレー粉と、3重量部の野菜類と、16重量部の調味料とからなること
を特徴とする請求項1乃至2に記載の即席カレーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半乾燥状態でパックし、湯戻しが容易で且つ風味を損なわない即席(インスタント)カレー及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の即席(インスタント)カレーとしては、複数の凍結真空乾燥カレー及びその製造方法が公知になっている。その第1の公知例としては、物理的処理によって製造されるオニオンペーストを、凍結乾燥する前のカレー100重量部に対して5重量部〜40重量部含み、前記オニオンペースト中には、繊維状構造を維持している食物繊維を1.5%以上含み、凍結前の粘度が900mPas以上、2,531mPas以下である、凍結真空乾燥カレーである(特許文献1の訂正された請求項1参照)。
【0003】
この凍結真空乾燥カレーの製造方法は、下記工程(1)〜工程(5)を含むとし、
(1)断機による微細化後、裏ごし、加熱攪拌を行って、繊維状構造を維持している食物繊維を1.5%以上含むオニオンペーストを製造し、
(2)油脂、カレー粉及び調味料を含むカレーベースを製造し、
(3)工程(1)のオニオンペースト及び工程(2)のカレーペースを混交攪拌して、凍結乾燥する前のカレー100重量部に対してオニオンペーストを5重量部〜40重量部含み、
(4)凍結前の粘度を900mPas以上、2,531mPas以下に調整し、
(5)凍結真空乾燥する、というものである(特許文献1の訂正された請求項3参照)。
【0004】
そして、野菜ペーストで粘度付与されたカレーは安定な粘性を有していることから、具材などの成分の沈降も起こらない。さらに、野菜が元々含有して水和状態である繊維状構造は、デンプンのα化構造よりも強固な構造体を構成しているために、凍結真空乾燥においても水分が完全に昇華してしまうことはなくある程度保有される。この結果、繊維状構造は凝集することなく、凍結真空乾燥後も微細孔を有した多孔質構造が得られる、としている。
【0005】
また、第2の公知例は、カレーベース、増粘多糖類及び/又は乳化剤を含むカレーを凍結乾燥してなる凍結乾燥カレーであって、前記カレーベースが食用油脂、野菜ペースト、カレー粉、具材及び水を含み、前記増粘多糖類は、キサンタンガム及びグアガムからなる群から選ばれ、前記乳化剤はグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含む、凍結乾燥カレーである(特許文献2の請求項1参照)。
【0006】
この凍結乾燥カレーの製造方法は、増粘多糖類及び/又は乳化剤をカレーベースに配合し凍結乾燥する工程を含み、前記カレーベースが食用油脂、野菜ペースト、カレー粉、具材及び水を含み、前記増粘多糖類は、キサンタンガム及びグアガムからなる群から選ばれ、前記乳化剤はグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルを含む、凍結乾燥カレーの製造方法である(請求項7参照)。
【0007】
そして、本発明では野菜ペーストで粘度を付与しているために凍結乾燥カレーを湯戻した場合に粘度が速やかに復元し、増粘多糖類及び/又は乳化剤を配合しているために、凍結のための冷却時に食用油脂の分離がない、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−273410号公報
【特許文献2】特開2012−170401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたカレーは、主たる成分として、小麦粉を使用しないで、オニオンペーストを使用するというものであり、その理由として、小麦粉に含まれる小麦でん粉が凍結真空乾燥によって老化してしまい、湯戻りが悪くなる場合があると説明している。しかしながら、カレーを凍結真空乾燥すると、全体がサラサラになり乾燥効率が良く賞味期限を長くすることができるけれども、カレーとしての旨味の成分及び風味が吹き飛んでしまい、湯戻ししても製造時のカレーの旨味や風味は戻らないという致命的な問題点を有している。
【0010】
また、前記特許文献2は、前記特許文献1と同一出願人による発明であり、同特許文献2に記載されたカレーも、基本的には、小麦粉を使用しないで、野菜ペーストと増粘多糖類及び/又は乳化剤を組み合わせて配合するというものであり、小麦粉、でん粉を配合しないことがより好ましいと説明している。このカレーも、要するに、凍結乾燥しているので、前記特許文献1と同様に、カレーとしての旨味の成分、風味や香味が吹き飛んでしまい、湯戻ししても製造時のカレーの旨味、風味や香味は戻らないという致命的な問題点を有している。
【0011】
従って、従来公知の即席カレーは、いずれも凍結乾燥することが必須要件であり、そのために老化して湯戻りが悪い小麦でん粉を使用しないというものであるが、小麦でん粉は、カレーのボディ感と粘性とを付与するために不可欠であり、さらに、湯戻しする時に速やかに行えるようにすると共に、バランスの採れた旨味、風味を維持して美味しく食せるようにし、且つ、香味を失わないで長期に保存できるようにすることに解決課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述の従来例の課題を解決する具体的手段として、第1の発明は、別ルートで作成した粉末状のカレーと、カレーの具材とを、個別に1食分づつ小分けし樹脂シート材
で真空包装して密封包装し、これらを1食分づつ一緒にして所要の容器に入れシート状蓋材で密封包装した即席カレーの製造方法であり、前記カレーの具材は、具材となる材料を所要大きさに刻んで、予め所要大きさの鍋に入れ所要の調味料を入れ加熱して味付けしたものであり、前記粉末状のカレーは、小麦粉を160℃以下の弱火で加熱し攪拌しながら小麦粉の色が杏色または卵色程度に変色するまで炒める工程と、該工程に引き続き加熱温度を維持して、それぞれ所要量の粘性材と、カレー粉と、ペースト状にした野菜類と、調味料とを加えて均等に混ぜ合わせる工程と、全体を均等に攪拌しながら
160℃以下の弱火で炒って主に調味料に含まれている水分を飛ばして、残存する水分が8〜12%
の範囲になるまで、焦がさないように攪拌して炒ることにより、全体がパラパラでしっとりした状態の粉末状に形成する工程と
で得られたものであることを特徴とする即席カレーの製造方法を提供するものである。
【0013】
この発明の即席カレーの製造方法において、前記カレーの具材は、肉
、野菜及び/または魚介類であること;及び前記粉末状のカレーは、主として10重量部の小麦粉と、7重量部の粘性材と、4重量部のカレー粉と、3重量部の野菜類と、16重量部の調味料とからなること;を付加的な要件として含むものである。
【0014】
また、前記の製造方法の発明によって得られた即席カレーは、要するに、別ルートで作成した粉末状のカレーと、カレーの具材とを、個別に1食分づつ小分けし樹脂シート材で
真空包装して密封包装するものであるが、いずれも好ましくは、無菌室状態の雰囲気で粉末状のカレーが70℃程度の内に真空包装すれば、無菌の状態で包装できる。
【0015】
さらに、別ルートで作成したカレーの具材については、肉
、野菜及び/または魚介類であることとしているので、肉の種類によってビーフカレー又はチキンカレーとすると共に、野菜カレー又はシーフードカレーとして商品化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によって得られた即席カレーは、材料を
160℃以下の弱火で炒って水分を飛ばすことにより、残存する水分が略8〜12%程度になるまで炒るのであり、それによってパラパラでしっとりした状態の粉末状に形成することができるのである。特に、凍結乾燥しないので、主成分である小麦粉でん粉を老化させることなく、カレーとしての旨味の成分、風味や香味が凝縮して保有されるのであり、湯戻しした時に、バランスの採れた旨味、風味を維持して美味しく食せるように、且つ、香味を失わないで長期に保存できるという優れた効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る即席カレーの商品としての包装状況の一例を示すもので、カレーと具材とを個別に包装し、所要の容器に詰める状況を示した説明図である。
【
図2】個別に包装したカレーと具材とを所要の容器に詰め、該容器にシート状蓋材でシールして商品とした状況を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を好ましい実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明の即席カレーは、
図1と2において、粉末状のカレー1と、肉などのカレーの具材2とを別ルートで作成し、個別に1食分づつ小分けし排気して樹脂シート材の外周面をそれぞれシール1a、2aして密封包装し、これらを1食分づつ一緒にして所要の容器3に入れ透明又は半透明のシート状蓋材4で密封包装して商品とするものであり、所要の容器3は、カレーとして食する時に、粉末状のカレー1と具材2とを開封して容器3に入れ、お湯または水を所要量入れて戻すために使用できるのである。
【0019】
この場合に、例えば、容器3は発泡樹脂で形成し、その内側に所要量のお湯または水を注ぐための適切な量と認められる位置に線5を引いておき、利用者がその位置までお湯または水を注いで全体を掻き混ぜ、お湯の場合には、全体を掻き混ぜると予定した粘性(トロミ)が出るので、それをご飯に掛けて食することができるが、水を注いだ場合には、全体を掻き混ぜた後に、電子レンジに入れて2分程度加熱することにより、予定した粘性(トロミ)が出るので、それをご飯に掛けて食することができるのである。なお、具材2を加熱しないでお湯を注いだ場合には、全体の温度が下がるので1分程度の加熱をした方が好ましい。
【0020】
粉末状のカレー1については、主として小麦粉と、粘性材と、カレー粉と、野菜類(タマネギ)と、各種調味料とによって造られる。これらの材料をそれぞれ所要量づつ加えて混ぜ合わせ、均等に攪拌しながら炒って調味料等に含まれている水分を飛ばして、残存する水分が略8〜12%程度になるまで、焦がさないように攪拌して炒ることにより、全体がパラパラの粉末状になるのである。粉末状といっても、凍結真空乾燥または凍結乾燥によるサラサラ状と違って、全体としてしっとりした状態になるのである。
【0021】
本発明に係る即席カレーの製造方法は、例えば、焙煎釜を用いてまず最初に10重量部の小麦粉を投入し、回転ドラム内の小麦粉を160℃以下の弱火で攪拌しながら炒める。小麦粉の色が杏色または卵色程度に変色したところで、7重量部の粘性材と、4重量部のカレー粉と、3重量部の野菜類と、16重量部の調味料とを加えてそのままの加熱温度を維持し、回転ドラム自体は190〜230℃に加熱されており、その回転ドラムを回転させて材料を均等に攪拌しながら炒めて、材料中の水分を加熱により飛ばして残存する水分が略8〜12%程度になるまで炒める。
【0022】
この場合に、野菜類としては細かく切って炒めて潰したペースト状のタマネギを使用するので、攪拌によって他の材料と馴染みやすく、全体的に均等に混じり合うのである。そして、攪拌した材料が全体的に茶色又は褐色程度に変化してパラパラの粉末状になったものが、要するに、しっとりした粉末状のカレー1であって、しっとりした粉末状であるために、お湯または水を注いだ時に、簡単に戻すことができるばかりでなく、カレーとしての旨味の成分や風味及び香味が閉じ込められてそのまま残るのである。
【0023】
このようにして得られた粉末状のカレー1は、焙煎釜から取り出して、例えば、1人前として30gずつ分けて、ナイロンポリTL12−17等の樹脂シート材で密封包装する。この密封包装において、内部の空気を抜くために圧着包装しても良いし、好ましくは、無菌室状態の雰囲気で粉末状のカレー1が70℃程度の内に真空包装すれば、無菌の状態で包装できる。なお、安全を考慮して、脱酸素剤(エージレスZP−100)を一緒に封入することもできる。
【0024】
また、別ルートで作成するカレーの具材2は、肉として牛肉を使用した場合には、ビーフカレーとして商品化されるし、鶏肉を使用した場合には、チキンカレーとして商品化される。これら肉類は、所要の大きさにカットして、適宜のだし汁と、砂糖、醤油等の調味料で煮て予め下味を付けた状態で仕上げ、複数個を無菌室状態において70℃程度で、アルミ蒸着した樹脂フィルムを用いて真空包装する。なお、肉のみならず、具材として人参などの根菜や、いか、海老などの魚介類も同様に加工して一緒に封入することができる。
【0025】
[実施例]
以下、本発明について具体的な実施例を挙げて説明する。
まず、小麦粉については、商品名のカメリア又はバイオレットを使用する。
カレー粉については、ターメリック、クミン、コリアンダー、シナモン、カルダモン、フェンネル、フェネグリーク、チリパウダー、クローブ、ブラックペッパー、ナツメグ、ベイリーフ、マンダリン(陳皮)等を所要量を配合しミックスして、所謂スパイスミックス(カレー粉)として使用する。
そのスパイスミックス(カレー粉)の配合例については、下記表1のとおりである。
【0027】
粘性材としては、無塩バターと生クリームとが使用され、野菜類としては、主としてタマネギを使用し、タマネギを細かく切って、例えば、ソテーパンで略透明になるまで炒めて潰し、所謂、ペースト状のオニオンソテーにして使用する。
【0028】
調味料については、特製のミルポワ(だし汁)、チキンブイヨン、塩(伯方の)、上白糖、濃口醤油、白だし(日東醸造 三河)、赤味噌、鰹粉末、昆布粉末、チョコレート等であり、特製のミルポワ(だし汁)については、セロリ、人参、タマネギ、生姜、ニンニク、鶏ガラ、ローリエ等を所要量の水と一緒に深鍋に入れ、とろ火(弱火)で長時間煮詰めて濾過しただし汁を使用する。
その特製のミルポワ(だし汁)のレシピは下記表2のとおりである。
【0029】
【表2】
なお、容量の50%まで煮詰めてだし汁とする。
【0030】
前記したようにして揃えた各材料を、一応の目安として下記表3に示した量をそれぞれ準備する。
【0032】
まず、小麦粉を、例えば、ソテーパンに入れて弱火で炒る。この場合の小麦粉とソテーパンは、外気温度(20℃)と同じである。弱火の加熱によってソテーパン内の小麦粉が焦げないように木べら等で常に掻き混ぜるようにして炒める。ソテーパン内の小麦粉の温度は、加熱1分後には略100℃に達し、5分後には略150℃に達し、15分後には160℃に達するようになり、それ以降は温度変化はあまりなく略160℃を維持している。そして、小麦粉の色が杏色または卵色に変色するまで炒める。
【0033】
上記のように小麦粉が変色した時点で、カレー粉(スパイスミックス)、調味料(粉末状のものから先に入れる)、粘性材及び野菜類を入れて全体を均等に掻き混ぜ、最後に液状の調味料を入れる。全部の材料を入れても、加熱はあくまでも弱火であって、焦げ付かないように木べらで全体を常時掻き混ぜながら、水分を飛ばして行く。そして、掻き混ぜている材料から水分がある程度蒸発して、全体的に茶色又は褐色程度に変化したパラパラの粉末状になったものが、残水率8〜12%程度のしっとりした粉末状のカレー1の完成であって、加熱を止めて次の包装工程に移行させる。包装については、前記実施の形態で説明したとおりであり、全体的に略無菌状態で包装した即席カレーとして提供できるのである。
【0034】
このようにして得られた粉末状のカレー1は、160℃以下の加熱によって材料の水分を蒸発させてパラパラの粉末状にしたものであり、水分が8〜12%程度残存しているので、その中に旨味成分と風味とが凝縮して残存しており、しかも、さらさらの乾燥した粉末ではなく、しっとりとした粉末状になっているので、食する時に、お湯または水で戻す時に速やかにとろみのあるカレーにすることができ、旨味成分と風味も元の状態に戻るので、美味しく食することができるのである。また、包装にしても、無菌状態で包装するので、長期間に亘って変質が生じないことが証明されているのである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
このように本発明に係る即席カレーは、別工程で粉末状のカレー1と具材2とを製造し、それぞれを1食分づつ減圧又は真空パックして包装し、両者を所要の容器3に詰めて商品化するものであり、特に、粉末状のカレー1は、材料を所要温度(160℃以下)で攪拌しながら加熱して水分を飛ばしパラパラの粉末状にし、残存する水分が略8〜12%程度になるまで炒めて、しっとりした粉末状にする点に特徴が存するのであり、従来例のように凍結乾燥によりサラサラの粉末状又は固形と違って、旨味成分と風味がそのまま閉じ込められているので、食する時に、所要量のお湯または水を注げば元の状態に戻りやすく、お湯の場合は旨味成分と風味が元に戻ってそのまま美味しく食せるし、水を注いだ時には電子レンジで2分間加熱すれば旨味成分と風味が元に戻って美味しく食せるのであり、あくまでも水分の除去を加熱によって行い、水分の残存率を8〜12%にするのが肝要であり、この種即席食品の製造に広く利用される可能性が大である。
【符号の説明】
【0036】
1 粉末状のカレー
2 具材
1a、2a シール
3 容器
4 シート状蓋材
5 線