特許第6151014号(P6151014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6151014
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】車両用自動変速機の油圧供給システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   F16H61/00
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-270456(P2012-270456)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-47917(P2014-47917A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0097304
(32)【優先日】2012年9月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙世煥
(72)【発明者】
【氏名】黄眞榮
(72)【発明者】
【氏名】魏泰煥
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−287688(JP,A)
【文献】 特開平08−042674(JP,A)
【文献】 特開2003−194198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルパンに貯蔵されたオイルを利用して低圧の油圧および高圧の油圧を生成し、前記低圧の油圧と高圧の油圧をそれぞれ低圧部と高圧部に供給する車両用自動変速機の油圧供給システムにおいて、
前記オイルパンに貯蔵されたオイルを第1吸入流路を介して吸入し、油圧を生成して第1低圧流路に吐出する低圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路から供給される油圧の流路を選択的に開閉する第1スイッチバルブと、
前記第1スイッチバルブから第2低圧流路を介して供給される油圧を安定した油圧に制御し、第3低圧流路を介して低圧部に供給する低圧用レギュレータバルブと、
前記第1低圧流路を介して前記低圧用オイルポンプから供給される油圧を昇圧させて高圧流路に吐出する高圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路と高圧流路との間に配置され、選択的に流路を開閉する第2スイッチバルブと、
前記高圧流路を介して前記高圧用オイルポンプから供給される油圧、または前記第2スイッチバルブを介して選択的に供給される前記低圧用オイルポンプの油圧を安定した高圧の油圧に制御し、高圧部に供給する高圧用レギュレータバルブと、
前記第1スイッチバルブを迂回して前記第1低圧流路と第2低圧流路とを互いに連結するバイパス流路と、
前記オイルパンから前記第1低圧流路へと流体が一方向にのみ流れ得るように前記オイルパンと前記第1低圧流路とを連結する第2吸入流路とを含み、
前記高圧用レギュレータバルブは、前記第2スイッチバルブを介して前記第1低圧流路に選択的に連結され、前記高圧流路に直接連結され、前記第1低圧流路と前記高圧流路から供給される油圧の一部を第2再循環流路を介して再循環させ、油圧を安定して調整し、
前記第2再循環流路は、第2低圧流路に連結されることを特徴とする車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項2】
前記低圧用オイルポンプは、エンジンによって駆動される機械式オイルポンプであり、前記高圧用オイルポンプは、電動機によって駆動される電動式オイルポンプであることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項3】
前記低圧用オイルポンプと前記高圧用オイルポンプは、電動機によって駆動される電動式オイルポンプであることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項4】
前記第1スイッチバルブおよび第2スイッチバルブのうちの少なくとも1つ以上は、デューティー制御される第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御されることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項5】
前記第1ソレノイドバルブは、前記第1スイッチバルブおよび第2スイッチバルブのうちの少なくとも1つ以上に制御圧を供給しないか、第1制御圧または第2制御圧を供給するようになっていることを特徴とする請求項4記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項6】
前記第1ソレノイドバルブが制御圧を供給しなければ、前記第1スイッチバルブと第2スイッチバルブが作動せず、
前記第1ソレノイドバルブが第1制御圧を供給すると、前記第1スイッチバルブと第2スイッチバルブはすべて作動し、
前記第1ソレノイドバルブが第2制御圧を供給すると、前記第1スイッチバルブは作動せず、前記第2スイッチバルブは作動することを特徴とする請求項5記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項7】
前記第1ソレノイドバルブは、前記高圧流路に連結されるリデューシングバルブによって制御供給圧が供給されるようになっていることを特徴とする請求項4記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項8】
前記低圧用レギュレータバルブは、前記第2低圧流路に連結され、前記第2低圧流路から供給される油圧の一部を第1再循環流路を介して再循環させ、前記第2低圧流路の油圧を安定して調整して第3低圧流路に供給することを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項9】
前記第1再循環流路は、第1吸入流路に連結されることを特徴とする請求項8記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項10】
前記低圧用レギュレータバルブは、第2ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、および前記第2ソレノイドバルブの制御圧に対抗する前記第3低圧流路から供給される油圧によって制御されることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項11】
前記第2ソレノイドバルブは、比例制御ソレノイドバルブからなることを特徴とする請求項10記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項12】
前記高圧用レギュレータバルブは、第3ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、および前記第3ソレノイドバルブの制御圧に対抗する前記高圧流路から供給される油圧によって制御されることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項13】
前記第3ソレノイドバルブは、比例制御ソレノイドバルブからなることを特徴とする請求項12記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項14】
前記バイパス流路には、オリフィスが設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【請求項15】
前記第2吸入流路には、逆流を防止するチェックバルブが設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用自動変速機の油圧供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動変速機の油圧供給システムに関するものであって、より詳細には、高圧用オイルポンプの作動停止時、低圧用オイルポンプの油圧を利用して自動変速機の正常な運転を可能にすることにより、安全性と信頼性を向上させることができる車両用自動変速機の油圧供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、世界的な原油高と排気ガスの排出規制が強化されるにつれ、自動車メーカーは燃費を向上させることができる技術開発に総力を傾けている。
自動変速機における燃費の改善は、動力伝達効率の向上を通じて達成可能であり、前記動力伝達効率の向上は、オイルポンプの無駄な消費動力を最少化することによって実現できる。
【0003】
このように、燃費改善のために、最近は、自動変速機に低圧用オイルポンプと高圧用オイルポンプを別途に備え、前記低圧用オイルポンプで生成された油圧は低圧部(トルクコンバータ、冷却、潤滑)に供給されるようにし、前記高圧用オイルポンプで生成された油圧は高圧部(変速時に選択的に作動する摩擦部材)に供給されるようにしている。
【0004】
より具体的には、自動変速機の通常の油圧は、前記低圧部が要求する油圧を基準として生成(つまり、低圧用オイルポンプで生成)し、高圧部が要求する一部の油圧のみを高圧用オイルポンプで生成し、前記高圧部に供給するようになっている。
【0005】
これにより、オイルポンプ駆動のための消費動力を最少化することにより、燃費の向上を達成することができ、これと共に、オイルポンプにかかる負荷を低減し、騒音および振動の減少と耐久性の向上を図ることができる。
【0006】
しかし、従来の油圧供給システムでは、低圧用オイルポンプで生成された油圧が高圧用オイルポンプに供給され、高圧用オイルポンプで高圧の油圧として生成されるため、高圧用オイルポンプが故障すると、高圧部に供給される油圧が不足し、車両の走行が不可能になる問題があった。
【0007】
また、低圧用オイルポンプは常に駆動しなければならないため、低圧用オイルポンプの耐久性が低下することがあり、低圧用オイルポンプの故障または作動停止時には油圧供給システムが作動せず、安定性および作動の信頼性が低い問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、低圧用オイルポンプまたは高圧用オイルポンプのうちのいずれか1つでのみ油圧供給システムを駆動できるようにすることにより、低圧用オイルポンプまたは高圧用オイルポンプの故障または作動停止時に安全性と信頼性を向上させることができる車両用自動変速機の油圧供給システムを提供しようとする。
【0009】
また、ポンプの耐久性を考慮して、低圧用オイルポンプまたは高圧用オイルポンプのうちの1つでのみ油圧供給システムを駆動することができる車両用自動変速機の油圧供給システムを提供しようとする。
【0010】
さらに、スイッチバルブのブロッキング制御を通じて高圧部に流量を優先供給し、初期始動または変速イベントの発生時に高圧部の応答性を向上させる車両用自動変速機の油圧供給システムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、オイルパンに貯蔵されたオイルを利用して低圧の油圧および高圧の油圧を生成し、前記低圧の油圧と高圧の油圧をそれぞれ低圧部と高圧部に供給する車両用自動変速機の油圧供給システムにおいて、
前記オイルパンに貯蔵されたオイルを第1吸入流路を介して吸入し、油圧を生成して第1低圧流路に吐出する低圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路から供給される油圧の流路を選択的に開閉する第1スイッチバルブと、
前記第1スイッチバルブから第2低圧流路を介して供給される油圧を安定した油圧に制御し、第3低圧流路を介して低圧部に供給する低圧用レギュレータバルブと、
前記第1低圧流路を介して前記低圧用オイルポンプから供給される油圧を昇圧させて高圧流路に吐出する高圧用オイルポンプと、
前記第1低圧流路と高圧流路との間に配置され、選択的に流路を開閉する第2スイッチバルブと、
前記高圧流路を介して前記高圧用オイルポンプから供給される油圧、または前記第2スイッチバルブを介して選択的に供給される前記低圧用オイルポンプの油圧を安定した高圧の油圧に制御し、高圧部に供給する高圧用レギュレータバルブと、
前記第1スイッチバルブを迂回して前記第1低圧流路と第2低圧流路とを互いに連結するバイパス流路と、
前記オイルパンから前記第1低圧流路へと流体が一方向にのみ流れ得るように前記オイルパンと前記第1低圧流路とを連結する第2吸入流路とを含み、
前記高圧用レギュレータバルブは、前記第2スイッチバルブを介して前記第1低圧流路に選択的に連結され、前記高圧流路に直接連結され、前記第1低圧流路と前記高圧流路から供給される油圧の一部を第2再循環流路を介して再循環させ、油圧を安定して調整し、
前記第2再循環流路は、第2低圧流路に連結されることを特徴とする
【0013】
本発明の一または複数の実施形態において、前記低圧用オイルポンプは、エンジンによって駆動される機械式オイルポンプであり、前記高圧用オイルポンプは、電動機によって駆動される電動式オイルポンプであり得る。
【0014】
本発明の一または複数の実施形態において、前記低圧用オイルポンプと前記高圧用オイルポンプは、電動機によって駆動される電動式オイルポンプであり得る。
【0015】
前記第1スイッチバルブおよび第2スイッチバルブのうちの少なくとも1つ以上は、デューティー制御される第1ソレノイドバルブの制御圧によって制御できる。
【0016】
前記第1ソレノイドバルブは、前記第1スイッチバルブおよび第2スイッチバルブのうちの少なくとも1つ以上に制御圧を供給しないか、第1制御圧または第2制御圧を供給するようになっていてよい。
【0017】
前記第1ソレノイドバルブが制御圧を供給しなければ、前記第1スイッチバルブと第2スイッチバルブが作動しないことがある。
【0018】
前記第1ソレノイドバルブが第1制御圧を供給すると、前記第1スイッチバルブと第2スイッチバルブはすべて作動できる。
【0019】
前記第1ソレノイドバルブが第2制御圧を供給すると、前記第1スイッチバルブは作動せず、前記第2スイッチバルブは作動できる。
【0020】
前記第1ソレノイドバルブは、前記高圧流路に連結されるリデューシングバルブによって制御供給圧が供給されるようになっていてよい。
【0021】
前記低圧用レギュレータバルブは、前記第2低圧流路に連結され、前記第2低圧流路から供給される油圧の一部を第1再循環流路を介して再循環させ、前記第2低圧流路の油圧を安定して調整して第3低圧流路に供給することができる。
【0022】
前記第1再循環流路は、第1吸入流路に連結できる。
【0023】
前記低圧用レギュレータバルブは、第2ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、および前記第2ソレノイドバルブの制御圧に対抗する前記第3低圧流路から供給される油圧によって制御できる。
【0024】
前記第2ソレノイドバルブは、比例制御ソレノイドバルブからなり得る。
【0027】
前記高圧用レギュレータバルブは、第3ソレノイドバルブの制御圧、弾性部材の弾性力、および前記第3ソレノイドバルブの制御圧に対抗する前記高圧流路から供給される油圧によって制御できる。
【0028】
前記第3ソレノイドバルブは、比例制御ソレノイドバルブからなり得る。
【0029】
前記バイパス流路には、オリフィスが設けられ得る。
【0030】
前記第2吸入流路には、逆流を防止するチェックバルブが設けられ得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によれば、前記低圧用オイルポンプは、低圧の油圧を生成し、前記高圧用オイルポンプは、前記低圧用オイルポンプから供給される油圧の一部を高圧に昇圧して高圧の油圧を生成することにより、オイルポンプの動力損失を最少化し、耐久性が向上し、オイルポンプの騒音および振動を低減する。
【0032】
また、前記低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプのうちのいずれか1つが作動しない場合にも、油圧供給システムの正常な運転が可能で、オイルポンプの耐久性と、作動の安定性および信頼性を向上させることができる。
【0033】
そして、前記低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプが独立に高圧の油圧を生成することができ、ISG装置が備えられた車両の作動の信頼性を向上させることができる。
【0034】
また、低圧用オイルポンプまたは高圧用オイルポンプが単独で油圧供給システムを作動できるようにし、システムの安全性と作動の信頼性を向上させることができる。
【0035】
さらに、スイッチバルブのブロッキング制御を通じて高圧部に流量を優先供給し、初期始動または変速イベントの発生時に高圧部の応答性を向上させる効果がある。
【0036】
そして、前記低圧用および高圧用オイルポンプが独立に高圧の油圧を生成することができ、ISG装置が備えられた車両にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態にかかる油圧供給システムで低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプの正常作動状態を示す構成図である。
図2】本発明の実施形態にかかる油圧供給システムで高圧用オイルポンプのみが作動する場合を示す構成図である。
図3】本発明の実施形態にかかる油圧供給システムで低圧用オイルポンプのみが作動する場合を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
ただし、本実施形態を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたり、同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付して説明する。
【0040】
下記の説明において、構成の名称を第1、第2などと区分したのは、その構成の名称が同一でこれを区分するためであって、必ずしもその順序に限定されるものではない。
【0041】
図1は、本発明の実施形態にかかる油圧供給システムで低圧用オイルポンプおよび高圧用オイルポンプの正常作動状態を示す構成図である。
【0042】
図1を参照すれば、本発明の実施形態にかかる油圧供給システムは、低圧用オイルポンプ2で生成された低圧の油圧をトルクコンバータ(T/C)、冷却部、潤滑部などのような低圧部4に供給し、高圧用オイルポンプ6で生成された高圧の油圧を変速に関係する摩擦部材を作動させるための高圧部8に供給できるように構成される。
【0043】
前記低圧の油圧は、トルクコンバータ(T/C)の作動と冷却および潤滑を円滑にする程度の低い圧力を意味し、高圧の油圧は、変速時に選択的に作動する複数の摩擦部材を円滑に作動させ得る程度の相対的に高い圧力を意味する。
【0044】
前記低圧の油圧は、低圧用オイルポンプ2で生成され、第1スイッチバルブ10と低圧用レギュレータバルブ12を介して低圧部4に供給される。
【0045】
前記低圧用オイルポンプ2は、当業者によく知られているように、エンジンの回転動力によって駆動される機械式ポンプからなるか、電動機によって駆動される電動式ポンプからなり得る。
【0046】
前記低圧用オイルポンプ2は、第1吸入流路14を介してオイルパンPに連結され、前記低圧用オイルポンプ2によって生成された低圧の油圧は第1低圧流路16に吐出される。
【0047】
前記第1スイッチバルブ10は、スプールバルブからなり、デューティー制御される第1ソレノイドバルブSOL1から第1制御圧または第2制御圧が供給されるか、第1ソレノイドバルブSOL1からいかなる制御圧も供給されないことにより、前記第1低圧流路16の油圧を選択的に前記低圧用レギュレータバルブ12に伝達または遮断する。
【0048】
つまり、前記第1スイッチバルブ10は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から第1制御圧が供給されると、前記第1スイッチバルブ10は、前記第1低圧流路16の油圧を第2低圧流路18を介して前記低圧用レギュレータバルブ12に供給する。前記第1スイッチバルブ10は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から制御圧が供給されないか(つまり、制御圧“0”bar)、第2制御圧が供給されると、前記第1スイッチバルブ10は、前記第1低圧流路16と第2低圧流路18とを遮断する。
【0049】
ここで、前記第1制御圧は、第2制御圧よりも高い圧力に設定される。説明の便宜上、前記第1制御圧は“5”barであることを例示し、第2制御圧は“2”barであることを例示したが、これに限定されない。
【0050】
そして、前記第1スイッチバルブ10の下流を形成する第1低圧流路16と、前記第1スイッチバルブ10の上流を形成する第2低圧流路18は、バイパス流路20によって互いに連結され、前記バイパス流路20上には、オリフィスORが配置される。これにより、前記第1スイッチバルブ10が第1低圧流路16と第2低圧流路18とを遮断しても、最小の油圧が第1低圧流路16から第2低圧流路18に供給される。
【0051】
前記低圧用レギュレータバルブ12は、前記第2低圧流路18を介して前記スイッチバルブ10に連結され、第1再循環流路22を介して前記第1吸入流路14に連結される。したがって、前記低圧用レギュレータバルブ12は、前記第1スイッチバルブ10から供給される油圧の一部を前記第1再循環流路22を介して第1吸入流路14に再循環させながら、油圧を調整する。前記低圧用レギュレータバルブ12で調整された油圧は、第3低圧流路24を介して低圧部4に供給される。
【0052】
このために、前記低圧用レギュレータバルブ12は、通常のスプールバルブからなり得る。また、前記低圧用レギュレータバルブ12は、比例制御を行うことができる第2ソレノイドバルブSOL2の制御圧および弾性部材26の弾性力と、前記第2ソレノイドバルブSOL2の制御圧に対抗する第3低圧流路24の圧力差によって制御できるようになっている。前記弾性部材26の弾性力は、第3低圧流路24に要求される圧力に応じて設定される。
【0053】
そして、前記第1低圧流路16に連結される第2スイッチバルブ28は、前記第1低圧流路16の油圧を選択的に高圧部8に伝達する。
【0054】
このために、前記第2スイッチバルブ28は、スプールバルブからなり、デューティー制御される前記第1ソレノイドバルブSOL1から第1制御圧(“5”bar)または第2制御圧(“2”bar)が供給されるか、第1ソレノイドバルブSOL1からいかなる制御圧も供給されないことにより、第1低圧流路16の油圧を選択的に前記高圧部8に伝達または遮断する。
【0055】
つまり、前記第2スイッチバルブ28は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から制御圧が供給されなければ、前記第1低圧流路16と前記高圧部8に連結される高圧流路30とを連結する。前記第2スイッチバルブ28は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から第1制御圧(“5”bar)または第2制御圧(“2”bar)が供給されると、前記第1低圧流路16と高圧流路30とを遮断する。
【0056】
そして、前記高圧用オイルポンプ6は、電動機によって駆動される電動式ポンプからなり得る。前記高圧用オイルポンプ6は、前記第1低圧流路16を介して供給される低圧の油圧を高圧に昇圧させて前記高圧流路30に吐出する。
【0057】
また、前記高圧用オイルポンプ6から高圧流路30に吐出された油圧は、高圧用レギュレータバルブ32で安定した高圧の油圧に制御され、高圧部8に供給される。
【0058】
前記高圧用レギュレータバルブ32は、高圧流路30に連結され、第2再循環流路34を介して前記第2低圧流路18に連結される。これにより、前記高圧用レギュレータバルブ32は、前記高圧流路30を介して供給される油圧の一部を前記第2再循環流路34を介して低圧部4に排出しながら、圧力を調整する。
【0059】
前記高圧用レギュレータバルブ32は、通常のスプールバルブからなり得る。また、前記高圧用レギュレータバルブ32は、比例制御を行うことができる第3ソレノイドバルブSOL3の制御圧および弾性部材36の弾性力と、前記第3ソレノイドバルブSOL3の制御圧に対抗する高圧流路30の圧力差によって制御できるようになっている。前記弾性部材36の弾性力は、高圧流路30に要求される圧力に応じて設定される。
【0060】
前記第2再循環流路34を第2低圧流路18に連結したのは、高圧用オイルポンプ6が単独で作動する時、低圧部4側に油圧が供給できるようにするためである。
【0061】
そして、前記高圧用オイルポンプ6は、第2吸入流路40を介してオイルパンPに連結される。前記第2吸入流路40には、逆流を防止するチェックバルブ38が配置される。これにより、前記高圧用オイルポンプ6は、前記低圧用オイルポンプ2から油圧が供給されないか、不十分な油圧が供給される時、直接オイルパンPからオイルを吸入して高圧の油圧を生成し、高圧部8に供給する。
【0062】
前記実施形態では、低圧用オイルポンプ2は機械式オイルポンプであり、高圧用オイルポンプ6は電動式オイルポンプであることを例示しているが、これに限定されない。前記2つのオイルポンプ2、6すべてを電動式オイルポンプとして適用することができる。
【0063】
また、前記第1ソレノイドバルブSOL1は、前記高圧流路30に連結されるリデューシングバルブ42によって制御供給圧が供給され、前記リデューシングバルブ42は、第1制御圧と同じ“5”barの制御供給圧を前記第1ソレノイドバルブSOL1に供給する。
【0064】
前記低圧用オイルポンプ2と高圧用オイルポンプ6が正常に作動する時には、本発明の実施形態にかかる油圧供給システムは、図1のように、前記低圧用オイルポンプ2で生成された低圧の油圧を低圧部4に供給し、高圧用オイルポンプ6で生成された高圧の油圧を高圧部8に供給する。
【0065】
この時、前記第1ソレノイドバルブSOL1は、第1制御圧(“5”bar)を供給するようにデューティー制御され、前記低圧用オイルポンプ2によって生成された低圧の油圧は、前記第1スイッチバルブ10を介して低圧用レギュレータバルブ12に供給され、安定した低圧の油圧に制御された後、低圧部4に供給される。
【0066】
また、前記低圧用オイルポンプ2で生成された低圧の油圧の一部は、前記高圧用オイルポンプ6によって昇圧されて高圧の油圧として生成され、前記高圧の油圧は、前記高圧用レギュレータバルブ32によって安定した高圧の油圧に制御され、高圧部8に供給される。
【0067】
この時、前記第2スイッチバルブ28は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から供給される第1制御圧(“5”bar)によって前記第1低圧流路16と高圧流路30とを遮断する。
【0068】
図2は、本発明の実施形態にかかる油圧供給システムで高圧用オイルポンプのみが作動する場合を示す構成図である。
【0069】
つまり、図2を参照すれば、低圧用オイルポンプ2が故障したり耐久性を考慮して作動しない時、またはISG(Idle Stop&Go)装置の作動で高圧部8にのみ油圧を供給しようとする時のオイルの流れが示されている。この時、前記第1ソレノイドバルブSOL1は、第2制御圧(“2”bar)を供給するようにデューティー制御される。
【0070】
すると、前記第1スイッチバルブ10は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から供給される第2制御圧によって前記第1低圧流路16と第2低圧流路18とを遮断し、前記第2スイッチバルブ28は、前記第1ソレノイドバルブSOL1から供給される第2制御圧によって前記第1低圧流路16と高圧流路30とを遮断する。
【0071】
これにより、前記高圧用オイルポンプ6が作動しながら、第2吸入流路40を介してオイルパンPのオイルをポンピングして高圧の油圧を生成することにより、前記高圧部8に一定圧の予備油圧を供給することができる。
【0072】
この時、前記高圧用レギュレータバルブ32は、前記高圧流路30を介して高圧部8で必要とする予備油圧を形成した後、前記油圧の一部を前記第2再循環流路34を介して低圧部4に供給する。
【0073】
特に、ISG(Idle Stop&Go)装置が備えられた車両が一時停車した時、エンジンの始動が停止した状態で高圧部8に高圧の油圧を供給する必要性がある場合がある。この時、前記高圧用オイルポンプ6が作動し、第2吸入流路40を介してオイルパンPのオイルをポンピングして高圧の油圧を生成することにより、前記高圧部8に予備油圧を供給することができる。
【0074】
つまり、エンジンの始動が停止して前記低圧用オイルポンプ2が作動しなくても、前記高圧用オイルポンプ6の単独作動で高圧部8に高圧の油圧を供給することができる。
【0075】
図3は、本発明の実施形態にかかる油圧供給システムで低圧用オイルポンプのみが作動する場合を示す構成図である。
【0076】
つまり、図3を参照すれば、高圧用オイルポンプ6が故障したり耐久性を考慮して作動しない時、または高圧用オイルポンプ6の停止中にISG(Idle Stop&Go)装置の作動で高圧部8に予備油圧を形成しようとする時のオイルの流れが示されている。この時、前記第1ソレノイドバルブSOL1がスイッチングオフされ、いかなる制御圧も生成しない(つまり、制御圧は“0”barである)。
【0077】
この時、前記低圧用オイルポンプ2は、吐出量を増加させて高圧の油圧を生成し、第1スイッチバルブ10によって前記低圧用レギュレータバルブ12への油圧の供給は遮断され、前記第2スイッチバルブ28の流路の切換により、前記低圧用オイルポンプ2で生成された高圧の油圧が前記高圧流路30に供給される。
【0078】
この時、前記第1スイッチバルブ10が第1低圧流路16と第2低圧流路18とを遮断しても、前記バイパス流路20上のオリフィスORを介して最小の油圧が第2低圧流路18に供給される。
【0079】
また、前記高圧流路30に供給された油圧は、前記高圧用レギュレータバルブ32の制御によって高圧の油圧に調整されて高圧部8に供給されることにより、高圧部8の作動が円滑に行われるようにする。
【0080】
この時、前記高圧用レギュレータバルブ32から第2再循環流路34を介して第2低圧流路18に供給される油圧は、前記低圧部4の円滑な作動が行われるようにする。
【0081】
このように、前記高圧用オイルポンプ6の非作動時にも、低圧用オイルポンプ2によって油圧供給システムの正常な運転を可能にすることにより、2つのオイルポンプ2、6を有する油圧供給システムの作動の安全性と信頼性を向上させることができる。
【0082】
車両の初期始動時に、前記第1ソレノイドバルブSOL1をスイッチングオフし(つまり、制御圧は“0”barである)、低圧用オイルポンプ2および高圧用オイルポンプ6を同時に駆動させると、高圧部8に優先的に油圧を供給することができ、始動に対する応答性を向上させることができる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の実施形態から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって容易に変更され、均等と認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0084】
2:低圧用オイルポンプ
4:低圧部
6:高圧用オイルポンプ
8:高圧部
10、28:第1、第2スイッチバルブ
12:低圧用レギュレータバルブ
14、40:第1、第2吸入流路
16、18、24:第1、第2、第3低圧流路
20:バイパス流路
22、34:第1、第2再循環流路
26、36:弾性部材
30:高圧流路
32:高圧用レギュレータバルブ
38:チェックバルブ
42:リデューシングバルブ
SOL1、SOL2、SOL3:第1、第2、第3ソレノイドバルブ
OR:オリフィス
図1
図2
図3