(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、配線引込具1が屋根に設置されている状態を基準にして、配線引込具1の構造を説明する。尚、以下の説明においては、実際の屋根における軒及び棟の位置にかかわらず、屋根の傾斜方向を軒棟方向といい、軒棟方向に沿った斜め上側を棟側、軒棟方向に沿った斜め下側を軒側という。
【0013】
図1に、本発明に係る配線引込具1の一例を示す。
【0014】
配線引込具1は、本体部材2及び下部材3を備えている。本体部材2は、ベース体4と、カバー体5とで構成されている。本体部材2に、配線空間部23と、導出孔21と、導入孔24とが形成されている。導入孔24は、本体部材2の軒側端面において開口している。本体部材2には、シール材90が設けられている。カバー体5が、軒側へ向けて突出すると共に、導入孔24の上方に配置されるカバー片600を備える。
【0015】
ベース体4は、屋根材7の上に設置される部材である。
図2及び
図3に示されるベース体4は、樹脂材料等の適宜の材料から形成される。ベース体4は平板状且つ平面視矩形状に形成されている。このベース体4には、上下に貫通する導出孔21が形成されている。この導出孔21の開口縁には、上方に向けて突出するリブ(外囲リブ415)が形成されており、この外囲リブ415により導出孔21が全周に亘って囲まれている。外囲リブ415における導出孔21よりも軒側に位置する部位(軒側部位416という)では、上方への突出高さが他の部分よりも低くなっている。この軒側部位416の上面は、棟側から軒側へ向けて下方へ凸状に湾曲する曲面となっている。この軒側部位416の曲面は、配線8が軒側部位416上に配置される場合に配線8が軒側部位416によって傷付かないようにするために形成されている。更にこの軒側部位416の上面には、弾性部材95(
図2(a)参照)が接着されるなどして取り付けられていてもよい。この弾性部材95は平板状であり、軒側部位416の曲面に沿って湾曲するように取り付けられる。この弾性部材95は弾性を有する。この弾性部材95の材料としては、例えば、EPDMゴムなどの適宜のゴムやエラストマー、或いは独立気泡や半独立気泡を有する多孔質の部材などが挙げられる。
【0016】
ベース体4の上面には、上方に突出する外枠部45が、導出孔21を取り囲むように形成されている。但し、導出孔21に対して軒側の位置には、外枠部45が形成されていない部位が存在する。この部位を切欠き部43という。外枠部45の一部は、水流制御部412を構成している。この水流制御部412は導出孔21よりも棟側にあり、軒棟方向と交差する方向に長い二つのリブ410,411で構成されている。この二つのリブ410,411は軒棟方向に間隔をあけて並んでいる。二つのリブ410,411にはそれぞれ軒棟方向に貫通すると共に上方に開放されている複数の水抜き用入口孔413が形成されている。各リブ410,411に形成されている水抜き用入口孔413は、軒棟方向に並ばないように位置をずらして配置されている。水抜き用入口孔413の位置は適宜設定されるが、本実施形態では、棟側のリブ410の中央部に水抜き用入口孔413が形成されている。更に棟側のリブ410と軒側のリブ411には、導出孔21よりも外側方における両側の端部にも水抜き用入口孔413が形成され、且つ棟側のリブ410における水抜き用入口孔413は、軒側のリブ411における水抜き用入口孔413よりも外側方にずれた位置に形成されている。尚、水流制御部412を構成するリブの個数は2個に限られず、水流制御部412が軒棟方向に並ぶ3個以上の複数のリブで構成されてもよい。また、外枠部45には、軒棟方向と直交する方向の両側部における軒側端部に、それぞれ軒棟方向と交差する方向に貫通すると共に上方に開放されている水抜き用出口孔414が形成されている。更に、ベース体4には上下に貫通する複数の固定用孔44が形成されている。この固定用孔44は、ベース体4の上面に形成されている上方に突出する凸部417で開口している(
図2(f)参照)。
【0017】
更に、ベース体4には、その上面から上方に突出する複数条のガイドリブ22が形成されている。複数条のガイドリブ22は導出孔21よりも軒側の位置から切欠き部43へ向けて軒棟方向に直線状に伸びるように形成されている。隣合うガイドリブ22間の間隔は、このガイドリブ22間に配線8が配置可能な程度の適宜の幅となっている。
【0018】
複数のガイドリブ22のうち、両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22には、後述する押さえ部材47を固定するための固定用孔46がそれぞれ形成されている。
【0019】
ガイドリブ22には、
図3に示されるように、配線8固定用の凸部25が形成されていてもよい。この凸部25は、隣合うガイドリブ22同士の対向面に形成される。
図3に示される例では、凸部25は上下方向に延びる一つの凸条であるが、凸部25の形状は特に制限されない。このような凸部25が形成される場合には、配線8が隣合うガイドリブ22の間に一本ずつ配置される際に、凸部25が配線8を押圧することで配線8の位置決めがしっかりとなされる。
【0020】
ベース体4には、隣合うガイドリブ22間の隙間やガイドリブ22の上などの適宜の位置に、ガイドリブ22間に配置される配線8の指標となるマーキング418,419,420が形成されていてもよい。この場合、複数種類の配線8を所定のガイドリブ22間の隙間に配置することが容易になる。また、アース線が配置される隙間の両側のガイドリブ22上に、アースの記号を表すマーキング419とアースの文字を表すマーキング420がそれぞれ形成されている。
【0021】
カバー体5は、ベース体4を覆う部材である。
図4に示されるカバー体5は、金属板材等の適宜の材料から形成される。カバー体5は、天板51、棟片52、軒片53、側片54,54、下片55,55、上片58及び水切り片57を備える。天板51は、平板状且つ平面視矩形状に形成されている。棟片52は、天板51の棟側の辺から棟側へ向けて斜め下方へ突出している。このように棟片52が斜め下方へ突出していると、屋根上を流れる雨水等の水が配線引込具1まで到達しても、この水が棟片52の傾斜に沿って配線引込具1を容易に乗り越えて、配線引込具1よりも軒側へと流れる。このため、配線引込具1の周りに水が溜まりにくくなり、配線引込具1の設置位置からの屋内への水の浸入が抑制される。尚、棟片52は、天板51の棟側の辺から下方へ突出してもよい。軒片53は天板51の軒側の辺から、側片54,54は天板51及び棟片52の軒棟方向と直交する方向の両側の各辺から、それぞれ下方に突出している。上片58は、天板51の軒棟方向の両側の各辺から、それぞれ軒棟方向と直交する外側方向へ突出している。この上片58は、カバー体5の上面を流れる水がカバー体5の側部へ回り込みにくくなるようにするために形成されている。このような水の回り込みが抑制されると、カバー体5の側部からカバー体5へ水が浸入することが抑制される。下片55,55は、各側片54,54の下端から、軒棟方向と直交する外側方向へ突出している。水切り片57は、棟片52の下端及び各側片54,54の棟側端部から、棟側へ向けて突出している。軒片53には、カバー体5の内側と外側とを軒棟方向に連通する切欠き部56が形成されている。
【0022】
また、本実施形態では、
図4に示すように、カバー体5には、カバー片600が設けられる。カバー片600は、カバー体5と同様の材料から形成される。カバー片600は、平板状に形成される。カバー片600は、軒側へ向けて突出すると共に、後述する導入孔24の上方に配置される。カバー片600は、天板51の軒側の辺から軒側へ向けて斜め下方へ突出している。カバー片600の傾斜角度については、所定の傾斜角度にすることができ、例えば、カバー片600が、天板51に対してなす角度θを、15度にすることができる。カバー片600の軒棟方向における長さとしては、例えば、50mmとすることができる。カバー片600の幅方向(軒棟方向と直交する方向)における長さとしては、カバー体5に設けられる切欠き部56の幅方向における長さ以上に形成されているものであれば、特に限定はされない。すなわち、
図4(a)及び(b)に示すように、カバー片600がカバー体5の上面の幅方向の略全長にわたって形成され、カバー片600の幅方向における長さが、カバー体5の上面の幅方向における長さと同じ長さで形成されていてもよい。尚、カバー体5の上面の幅方向における長さとは、幅方向における天板51の長さと、幅方向における上片58,58の長さとを合わせた長さのことをいう。また、カバー片600の幅方向における長さが、切欠き部56の幅方向における長さと同じ長さで形成されていてもよい。カバー片600の形成方法としては、特に限定されない。カバー片600は、例えば、金属板を折り返し加工するなどして、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53、側片54,54などと一体に形成されていてもよい。また、カバー片600は、カバー体5とは別体で作製され、リベットなどの固定具を用いて、カバー片600をカバー体5に取り付けてもよい。
【0023】
更に、配線引込具1には、シール材90(91,92)(
図7及び
図8参照)が設けられる。シール材90(91,92)は、後述する導入孔24の開口縁部と、配線8との間隙を閉塞する部材である。シール材90(91,92)は、カバー体5とベース体4にそれぞれ設けられる。ベース体4に設けられるシール材91は、ベース体4上の、ガイドリブ22と切欠き部43との間において、切欠き部43を臨む位置に接着されるなどして取り付けられる(
図2(a)参照)。このシール材91の上面には、凹条93が軒棟方向に伸びるように形成される。凹条93は複数形成され、この複数の凹条93は軒棟方向と直交する方向に並んでいる。この複数の凹条93は、隣合うガイドリブ22同士の間の隙間と合致する位置に形成される。凹条93の断面形状は、
図7に示されるように半円形状であっても、
図8に示されるように軒棟方向に長い半楕円形状であってもよい。カバー体5に設けられるシール材92は、カバー体5の天板51の下面に、ベース体4に設けられたシール材91と合致する位置に接着されるなどして取り付けられる(
図4(a)参照)。このシール材92の下面には、凹条94が軒棟方向に伸びるように形成される。凹条94は複数形成され、この複数の凹条94は軒棟方向と直交する方向に並んでいる。カバー体5に設けられるシール材92の凹条94は、ベース体4に設けられるシール材91の凹条93と合致する位置に形成される。カバー体5に設けられるシール材92の凹条94の断面形状も、
図7に示されるように半円形状であっても、
図8に示されるように軒棟方向に長い半楕円形状であってもよい。この二つのシール材91,92が上下に対向し、このシール材91,92の間に配線8が挟まれる。この場合、配線引込具1への水の浸入が抑制される。このシール材90(91,92)は弾性を有する。更にシール材90(91,92)は水を透過させにくい材料で形成されている。シール材90(91,92)の材料としては、例えば、EPDMゴムなどの適宜のゴムやエラストマー、或いは独立気泡や半独立気泡を有する多孔質の部材などが挙げられる。
【0024】
本実施形態では、配線引込具1が、押さえ部材47を備えていてもよい。押さえ部材47は、
図5に示すように、平板状に形成され、その両側の端部と棟側の端部には下方へ突出する脚部48が形成されている。この脚部48は後述するように、ベース体4の外囲リブ415(軒側部位416を除く)の外側、並びに複数のガイドリブ22のうち両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22の更に外側に配置される。更に押さえ部材47の下面には弾性部材96が取り付けられていてもよい(
図5(a)参照)。弾性部材96は弾性を有し、例えばベース体4の外囲リブ415における軒側部位416に取り付けられている弾性部材95と同様の材質から形成される。この押さえ部材47における弾性部材96は、ベース体4の軒側部位416に取り付けられている弾性部材95と合致する位置に取り付けられる。また、押さえ部材47には、ベース体4における固定用孔46と合致する位置に固定用孔49が形成されている。
【0025】
シール材91がベース体4に、シール材92がカバー体5にそれぞれ取り付けられ、ベース体4に押さえ部材47が取り付けられ、更にベース体4が上方からカバー体5で覆われることで、本体部材2が構成される。
【0026】
ベース体4に押さえ部材47が取り付けられると、押さえ部材47の脚部48はベース体4の外囲リブ415(軒側部位416を除く)の外側、並びに複数のガイドリブ22のうち両側の最外部に位置する二つのガイドリブ22の更に外側に配置され、押さえ部材47の固定用孔49がベース体4における固定用孔46と合致する位置に配置される。この状態で、釘やビス等の固定具が固定用孔49及び固定用孔46に打ち込まれることで、押さえ部材47がベース体4に固定される。これにより押さえ部材47は外囲リブ415の上方に配され、押さえ部材47が外囲リブ415における軒側部位416を除く部位の上端に接し、押さえ部材47と軒側部位416との間に生じる隙間が導出孔21に連通する。更に押さえ部材47は、ガイドリブ22の上方に、ガイドリブ22間の隙間を閉塞するように配置される。
【0027】
ベース体4が上方からカバー体5で覆われると、ベース体4は、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53及び側片54,54で囲まれた内側に配置される。本体部材2の内部には、ベース体4とカバー体5との間に、配線空間部23が形成される。配線空間部23は、ベース体4と、カバー体5の天板51、棟片52、軒片53及び側片54,54とで囲まれた空間である。配線空間部23には、配線8が挿通される。また、ベース体4の導出孔21は、外囲リブ415の内側並びに押さえ部材47と軒側部位416との間の隙間を通じて、配線空間部23とその下方の外側、つまり屋内とを連通している。
【0028】
このように構成される本体部材2においては、ベース体4に形成されている切欠き部43の外側に、カバー体5の軒片53に形成されている切欠き部56が重ねられている。これにより、配線空間部23と外部とを連通する導入孔24が形成されている。導入孔24は、本体部材2の軒側端面において開口し、配線空間部23とその外側、つまり屋外とを、軒棟方向に連通している。
【0029】
また、配線空間部23内において、ベース体4の複数条のガイドリブ22は導出孔21の軒側の位置から導入孔24の近傍位置まで、軒棟方向に直線状に伸びるように形成されている。
【0030】
更に、本体部材2には、導入孔24にシール材90(91,92)が配される。二つのシール材91,92は上下に重なりあって互いに弾性的に接触しており、カバー体5に設けられたシール材92の凹条94とベース体4に設けられたシール材91の凹条93とが対向することで配線空間部23内と外部とを連通する複数の孔が形成される。この孔を除き、シール材90(91,92)により導入孔24が閉塞される。
【0031】
図6に示される下部材3は、平板部31と、筒状のリブ32とを備える。平板部31は、平板状且つ平面視矩形状に形成されている。平板部31には上下に貫通する連通孔33が形成されている。連通孔33は、導出孔21と合致する形状に形成されている。筒状のリブ32は、平板部31の連通孔33の周縁から上方に突出するように形成されている。このリブ32は、導出孔21に挿通され得る形状に形成されている。また平板部31には、ビスや釘等の固定具が挿通する複数の固定用孔36が形成されている。
【0032】
下部材3の平板部31には、軒棟方向の両側の端縁にそれぞれ切り欠き状の指標37が形成されており、この二つの指標37は軒棟方向に並んでいる。平板部31には、軒棟方向と直交する方向の両側の端縁にもそれぞれ切り欠き状の指標37が形成されており、この二つの指標37は軒棟方向と直交する方向に並んでいる。このような指標37は、下部材3が屋根に設置される際の下部材3の位置合わせに利用される。
【0033】
この配線引込具1を備える屋根構造について説明する。
【0034】
屋根下地6は野地板などで構成される。野地板上には更にアスファルトルーフィング等の防水シートが設置されていてもよい。屋根下地6には、導出孔21及び連通孔33と合致する形状の通孔61が形成される。
【0035】
この屋根下地6の上に、下部材3及び複数の屋根材7が設置される。屋根材7は平板状であり、例えばスレート材から形成される。
【0036】
屋根下地6上の、通孔61よりも軒側に、複数の屋根材7(便宜上、一列目の屋根材71という)が軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。
【0037】
屋根下地6上には、前記設置された一列目の屋根材71の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、二列目の屋根材72という)が設置される。二列目の屋根材72も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。野地板上の、通孔61が形成されている位置には、下部材3が設置される。下部材3は、平板部31が屋根下地6にビスや釘などの固定具で固定されることで、設置される。下部材3は、その連通孔33と屋根下地6の通孔61とが重なる位置に設置される。
【0038】
屋根下地6上には、二列目の屋根材72の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、三列目の屋根材73という)が設置される。三列目の屋根材73も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。これらの三列目の屋根材73のうち、下部材3と重なる屋根材73には、筒状のリブ32と重なる位置に、切り欠き又は開口が形成されている。この切り欠き又は開口を通して、筒状のリブ32が三列目の屋根材73よりも上方に突出する。
【0039】
屋根下地6上には、三列目の屋根材73の棟側部分に重ねて、更に複数の屋根材7(便宜上、四列目の屋根材74という)が設置される。四列目の屋根材74も、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。
【0040】
ベース体4は三列目の屋根材73上に設置される。ベース体4は、その固定用孔44を通じてビスや釘などの固定具が三列目の屋根材73に打ち込まれるなどして、設置される。ベース体4は、その導出孔21と、下部材3の連通孔33とが重なる位置に設置され、導出孔21に筒状のリブ32が挿通される。
【0041】
この状態で、複数の配線8が、屋外から導出孔21、連通孔33を順次通過し、更に屋根下地6の通孔61を通過して、屋内へ引き込まれるように設けられる。更にこの複数の配線8は、ガイドリブ22の間に一本ずつ配置されることで、位置決めされて固定される。
【0042】
続いて、ベース体4に押さえ部材47が取り付けられる。これにより複数の配線8がベース体4と押さえ部材47との間に挟まれることで保持され、配線8の配置位置の移動が拘束され、複数の配線8が縺れたりしないようになる。
【0043】
続いて、カバー体5が、ベース体4を覆うように設置される。これにより本体部材2が構成される。このときカバー体5の水切り片57は、三列目の屋根材73と四列目の屋根材74との間に差し入れられる。また、本体部材2の軒側端面には、シール材90(91,92)が設けられた導入孔24が配置されることになる。また、カバー体5のカバー片600は、軒側へ向けて突出すると共に、導入孔24の上方に配置される。
【0044】
本実施形態では、
図1に示すように、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置H以下になるように設けられることが好ましい。すなわち、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hと同じ位置になるように設けられてもよい。また、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hよりも下方の位置に設けられてもよい。
図1に示す構造では、カバー片600の軒側端部600aは、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hよりも下方の位置に設けられている。
【0045】
カバー体5は、ビスや釘等の固定具9によりベース体4に固定される。固定具9は、例えばカバー体5の棟片52、軒片53、側片54,54などと、ベース体4の外枠部45とが重なる位置を貫通するように打ち込まれる。
【0046】
このようにして配線引込具1が設置されると、複数の配線8は、屋外から、配線引込具1の導入孔24に挿入される。このとき、カバー体5に設けられたシール材92の凹条94と、ベース体4に設けられたシール材91の凹条93との間に孔が形成されている場合は、この孔に配線8が配置される。二つのシール材91,92は凹条93,94で配線8に弾性接触し、そのため前記孔は配線8によって埋められる。この結果、シール材90(91,92)によって導入孔24の開口縁部と、配線8との間隙が閉塞される。そして、配線8は、配線空間部23、押さえ部材47と軒側部位416との間の隙間、導出孔21、連通孔33を順次通過し、更に屋根下地6の通孔61を通過して、屋内へ引き込まれるように配置される。
【0047】
このような屋根構造は、屋根に太陽電池モジュール101等の屋上設備機器10が設置される場合において、この屋上設備機器10に接続されている配線8が屋内に引き込まれる場合に、設けられる。
【0048】
図10は、屋根に太陽電池モジュール101が設置される様子を示す。屋根材7上には、軒棟方向に長い複数のフレーム材102が、軒棟方向と直交する方向に並んで設置される。太陽電池モジュール101は、フレーム材102の上方に設置される。これにより、太陽電池モジュール101が、屋根材7の上方に、この太陽電池モジュール101と屋根材7との間に間隔があくように設置される。複数の太陽電池モジュール101は、軒棟方向、並びに軒棟方向と直交する方向にマトリックス状に並んで、フレーム材102の上方に設置される。この際、太陽電池モジュール101は、軒棟方向、並びに軒棟方向と直交する方向に隣接する太陽電池モジュール101と太陽電池モジュール101との間に、隙間Sが形成されるようにして設置される。太陽電池モジュール101に接続されている配線8は、太陽電池モジュール101と屋根材7との間で引き回され、配線引込具1から屋内へ引き込まれる。
【0049】
尚、上記に示した実施形態では、配線引込具1のカバー体5に設けられるカバー片600が、カバー体5の天板51の軒側の辺から軒側へ向けて斜め下方へ突出するように形成される構成について説明したが、本発明はこれに限られない。
【0050】
本発明に係る配線引込具1は、例えば、
図9(a)及び(b)に示すような構造であってもよい。
図9(a)及び(b)に示す構造では、
図1に示す構造において、カバー体5に設けられるカバー片600の形状が変更されている。その他の構成は、上記
図1のものと同様である。
図9(a)及び(b)には、
図1に示す構造と共通する要素に、
図1の場合と同じ符号を付している。
【0051】
図9(a)に示す構造では、カバー片600は、第一支持片600bと、第二支持片600cとを備えて、断面視L字状に形成されている。すなわち、カバー片600は、カバー体5の天板51の軒側の辺から軒側へ向けて突出する平板状の第一支持片600bと、この第一支持片600bの軒側の辺から下方に向かって略垂直に突出する平板状の第二支持片600cとからなる。カバー片600の幅方向における長さとしては、カバー体5に設けられる切欠き部56の幅方向における長さ以上に形成されているものであれば、特に限定はされない。すなわち、カバー片600がカバー体5の上面の幅方向の略全長にわたって形成され、カバー片600の幅方向における長さが、カバー体5の上面の幅方向における長さと同じ長さで形成されていてもよい。また、カバー片600の幅方向における長さが、切欠き部56の幅方向における長さと同じ長さで形成されていてもよい。また、本実施形態では、
図9(a)に示すように、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置H以下になるように設けられることが好ましい。尚、本実施形態においては、軒側端部600aとは、第二支持片600cの下端部のことをいう。すなわち、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600a(第二支持片600cの下端部)が、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hと同じ位置になるように設けられてもよい。また、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600a(第二支持片600cの下端部)が、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hよりも下方の位置に設けられてもよい。
【0052】
図9(b)に示す構造では、カバー片600は、カバー体5の軒片53から軒側へ向けて斜め下方へ突出するように形成されている。カバー片600の棟側端部の位置(軒片53から突出させる位置)は、軒片53に形成された切欠き部56の上方の位置であれば、特に限定されず、適宜の位置を設定することができる。カバー片600の幅方向における長さとしては、カバー体5に設けられる切欠き部56の幅方向における長さ以上に形成されているものであれば、特に限定はされない。すなわち、カバー片600が軒片53の幅方向の略全長にわたって形成され、カバー片600の幅方向における長さが、軒片53の幅方向における長さと同じ長さで形成されていてもよい。また、カバー片600の幅方向における長さが、切欠き部56の幅方向における長さと同じ長さで形成されていてもよい。また、本実施形態では、
図9(b)に示すように、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置H以下になるように設けられることが好ましい。すなわち、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hと同じ位置になるように設けられてもよい。また、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置Hよりも下方の位置に設けられてもよい。
【0053】
このように、本発明に係る配線引込具1では、シール材90(91,92)が設けられる導入孔24の上方に、軒側へ向けて突出するカバー片600が配置される。これにより、太陽電池モジュール101、101の間に形成された隙間Sから太陽光の紫外線が入射して、屋根材7と屋上設備機器10との間に紫外線が照射されても、この紫外線をシール材90(91,92)にあたりにくくすることができる。この結果、シール材90(91,92)の劣化を抑制して、防水性能を確保することができる。また、紫外線の照射によるシール材90(91,92)の劣化について考慮しなくてもよくなるため、従来のように配線引込具1の取り付け位置を制限する必要がなくなる。これにより、従来では設置が難しかった、屋上設備機器10の外側や、隣接する屋上設備機器10、10のつなぎ目(隙間S)箇所の下側などに配線引込具1を設置することができる。この結果、施工の際に配線引込具1の設置位置を任意に選択することができるようになり、施工性を向上させることができる。
【0054】
更に、屋根材7上で雨水等の水が屋根の傾斜に沿って軒側へ流れる場合、配線引込具1の方に水が流れてきても、カバー片600によって水を軒側へ排水することができる。この結果、配線引込具1を介して水が屋内へ浸入するのが抑制され、防水性を向上させることができる。
【0055】
また、本発明に係る配線引込具1では、カバー体5のカバー片600は、その軒側端部600aが、導入孔24の開口縁部下端24aの水平位置H以下になるように設けられる。この場合、屋根材7と屋上設備機器10との間に照射された太陽光の紫外線を、導入孔24に設けられたシール材90(91,92)に更にあたりにくくすることができ、シール材90(91,92)の劣化を効果的に抑制することができる。
【0056】
尚、本発明に係る配線引込具1の構成は、本発明の範囲及び目的を逸脱しない限り上記の実施形態に制限されるものではなく、例えば上記の実施形態の構成が部分的に取り除かれたり、その他の適宜の設計変更がされてもよい。