(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記利息算定手段は、経過期間が分割され得る前記複数の預入期間の組合せのうち、組合せた預入期間それぞれの金利を適用した利息の和が最大となる組合せに、前記算定された経過期間それぞれを分割する、
請求項1に記載の情報処理装置。
付与された利息を格納する利息格納手段から、前記基準時点より前に付与された利息を取得し、取得した利息と前記算定された基準時点の利息との差額の利息を、前記基準時点において付与する利息付与手段を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的な構成に限定するものではない。説明は、(1)概要、(2)ハードウェア構成、(3)機能構成、(4)処理の流れ、(5)作用効果、(6)その他の順で記載される。
【0022】
<概要>
本実施形態の預金システムでは、普通預金の性質と定期性預金の性質を兼ね備えた「ハイブリッド預金」が実現できる。ハイブリッド預金は、満期前の払戻しや預金の一部分の払戻しに制約がない預金であり、定期性預金のように預入の期間の長さに応じた金利が適用される預金である。この預金の利息の算定では、預入が継続していた期間である経過期間が定期性預金の預入期間を成分とした和に分割され、預金全体があたかも分割された成分の預入期間ごとに満期に達した定期性預金の集合体とみなされて、全体の利息が算定される。分割された預入期間それぞれに、定期性預金の金利が適用されるため、普通預金の利息よりも高い利息が算定される。ここで、成分は、自然数の分割における和因子(多項式の項)に相当するものである。また、本実施形態では、ハイブリッド預金において、定期性預金の金利が適用されて算定される利息を上乗せ利息と称する。なお、本実施形態では、預金商品として別途用意された定期性預金の預入期間を成分とした分割が行われるが、ハイブリッド預金に特有の預入期間を用いた分割が行われてもよい。
【0023】
本実施形態の預金システムでは、1か月を周期として毎月末を基準時点として、このよ
うな上乗せ利息が付与される。本実施形態では、基準時点間の期間を「期」(「所定の単位期間」の一例)と称する。なお、上乗せ利息の付与は、このような月次に限らず、年次や日次等で行われてもよい。
【0024】
図1は、本実施形態における上乗せ利息の算定の概要を説明する説明図である。
図1には、4月途中に当初の預入がされたハイブリッド預金に関し、8月期までの上乗せ利息が算定される過程の主要部分として、経過期間が分割される様子等が例示されている。
【0025】
図1(A)は、預金口座の月ごとの残高の推移を例示する表である。
図1(A)には、4月〜8月の残高が示されており、例えば8月の残高は33万円である。本実施形態では、対象期間の各時点の残高のうちで最低の残高である最低残高を基礎として利息が算定される。
図1(A)に示される残高は、各月の最低残高である。
図1(A)では、当初の預入前には残高が存在しない(残高が0である)ため、4月の最低残高が0と示される。なお、最低残高は当初の預入後の残高のうちの最低の残高として算定されてもよく、この場合、4月の最低残高は0とは限らない。
【0026】
図1(B)は階層を説明する説明図である。ハイブリッド預金は、残高が単位額に区切られた「階層」ごとに上乗せ利息が処理される。本実施形態では、単位額は10万円である。階層には順序が設けられ、下層から順に階層番号1、2、…が割り当てられる。
図1(B)では、各月の残高が、単位額10万円の階層と、単位額に満たない額との積み重ねで表現されている。
図1(B)では、例えば、8月の残高33万円が、下層から順に、10万円を表す1階層目L1(階層番号1)、2階層目L2(階層番号2)、及び3階層目L3(階層番号3)の3階層(階層数3)と、階層に属さない3万円との積み重ねで表記されている。
【0027】
各階層は、階層に対応する金額が継続して預入されていた期間を示す経過期間を有する。各階層の経過期間は、利息算定の基準となる期以前の各期の階層数の推移に基づいて算定される。
図1(B)では、各階層が紙面横方向に延びる矩形で表され、その矩形の長辺の長さが経過期間に応じた長さになっている。
図1(B)には、8月期の各階層の経過期間が矩形の長辺の長さで表されており、1階層目の経過期間が4か月であり、2階層目の経過期間が4か月であり、3階層目の経過期間が3か月である。
【0028】
本実施形態では、階層番号が小さいほど、階層の経過期間が長くなるように階層が構成される。より詳細には、階層番号をnとして、次式が成り立つ。
(n層の経過期間)≧(n+1層の経過期間)
【0029】
上乗せ利息の算定の過程で、このような階層の経過期間が、定期性預金の預入期間を成分とした和に分割される。
図1(C)には、8月期までの1階層目の経過期間4か月を、預入期間が1か月、2か月、3か月、及び4か月の定期性預金を用いて分割したパターンP1〜P8が示されている。例えば、パターンP2では、経過期間が、預入期間2か月と、預入期間1か月と、預入期間1か月との和に分割されている。このようなパターンP2では、5〜6月の間に預入期間2か月の定期性預金の預入が継続し、7月の間に預入期間1か月の定期性預金の預入が継続し、8月の間に別の預入期間1か月の定期性預金の預入が継続したものとみなされた上で、上乗せ利息が算出される。すなわち、5〜6月の2か月定期性預金の満期の利息と、7月の1か月定期性預金の満期の利息と、8月の1か月定期性預金の満期の利息とが加算されて、パターンP2の上乗せ利息が算出される。なお、4月については、普通預金の預入が継続したとみなされて、別途利息が算出される。
【0030】
本実施形態では、パターンP1〜P8から算出される利息のうちで最大の利息が、8月期までの1階層目の利息として算定される。2階層目、3階層目についても、1階層目と
同様に利息が算定される。そして、8月期までの上乗せ利息は、1階層目〜3階層目の上乗せ利息の累計として算定される。なお、8月の残高において階層に属さない3万円については、上乗せ利息の対象外として普通預金の金利が適用される。
【0031】
このような上乗せ利息が算定されるハイブリッド預金を提供する預金システムの詳細について、以下説明する。
【0032】
<ハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1を含む預金システムの構成を例示する図である。
図2には、情報処理装置1、ATM(Automated Teller Machine)2、ネットワーク3、窓口端末4、Webサーバ5、及びインターネットNが示されている。
【0033】
情報処理装置1は、預金を管理し、ハイリッド預金等の利息の算定をするコンピュータである。情報処理装置1は、預金口座の情報を管理するための口座データベースを有し、預金口座に関する取引の処理を行う。情報処理装置1は、金融機関の計算センター等に設置される。本実施形態の情報処理装置1は、メインフレーム等の大型コンピュータであるが、ホストコンピュータ、ワークステーション、その他のコンピュータであってもよい。また、
図1では、情報処理装置1が1台のコンピュータで例示されているが、情報処理装置1は、例えば、ネットワークで接続された複数台のコンピュータであってもよい。
【0034】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置14、ネットワーク3に接続されるNIC(Network Interface Controller)15を備えたコンピュータである。
【0035】
CPU11は、中央処理装置であり、RAM12等に展開された各種プログラムの命令及びデータを処理することで、RAM12、補助記憶装置14等を制御する。RAM12は、主記憶装置であり、CPU11によって制御され、各種命令やデータが書き込まれ、読み出される。補助記憶装置14は、不揮発性の記憶装置であり、RAM12にロードされる各種プログラム等、永続性が求められる情報が書き込まれ、読み出される。
【0036】
ATM2は、預金者等が、預金通帳やキャッシュカードを使用して操作し、預金口座への預け入れ、預金口座からの引出し、預金口座からの振込み等の各種入出金取引や、預金通帳への入出金明細の記帳等を行うための装置である。ATM2は、現金自動預払機とも呼ばれるものであってもよい。
図1では、1台のATM2が例示されているが、預金システムは、各地域の施設等に設置される複数台のATM2を有してもよい。
【0037】
ネットワーク3は、専用の通信回線で構築された通信網である。ネットワーク3は、情報処理装置1及びATM2を接続する。なお、ネットワーク3には、インターネットVPN(Virtual Private Network)、WAN(Wide Area
Network)、その他のネットワークが採用されてもよい。
【0038】
窓口端末4は、金融機関の店舗等の窓口に設置され、手続きを担当する窓口担当者が操作するコンピュータである。窓口端末4は、預金通帳への入出金明細の記帳等を含む、金融取引に関する各種処理を行う。
図1では、1台の窓口端末4が例示されているが、預金システムは、各地域の店舗の窓口等に設置される複数台の窓口端末4を有してもよい。
【0039】
Webサーバ5は、インターネットNを介して、オンラインでの預金口座に関する取引
依頼を受け付け、受け付けた取引依頼に従って取引を処理するコンピュータであり、インターネットバンキングのサービスを提供する。また、Webサーバ5は、ゲートウェイ等を介してインターネットNと接続され、Webブラウザからのリクエストメッセージに応じて、レスポンスメッセージを返送するWebサーバである。
【0040】
インターネットNは、世界規模の公衆パケット通信網である。
【0041】
<機能構成>
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を例示する図である。情報処理装置1は、補助記憶装置14に記憶されているプログラムが、RAM12に読み出され、CPU11によって実行されることで、口座データベースD11、利息データベースD12、単位数算出部F11、経過期間算定部F12、金利データ取得部F13、利息算定部F14、利息付与部F15、及び表示用データ生成部F16を備えるコンピュータとして機能する。口座データベースD11は、単位数算出部F11、経過期間算定部F12、金利データ取得部F13、利息算定部F14、利息付与部F15、及び表示用データ生成部F16は、それぞれ、「預金データ格納手段」、「単位数算出手段」、「経過期間算定手段」、「金利データ取得手段」、「利息算定手段」、「利息付与手段」、及び「表示用データ生成手段」の一例である。
【0042】
なお、本実施形態において、情報処理装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部または全部は、1または複数の専用プロセッサ、ハードウェアの演算回路等によって実行されてもよい。ここで、ハードウェアの演算回路とは、例えば、論理ゲートを組合せた加算回路、乗算回路、フリップフロップ等をいう。また、これらの機能の一部または全部は、別途のコンピュータにおいて実行されてもよい。
【0043】
(データベース)
口座データベースD11は、預金口座を管理するための預金の各種情報を格納するデータベースである。利息データベースD12は、利息を管理するための各種情報を格納するデータベースである。口座データベースD11及び利息データベースD12は、CPU11によって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、補助記憶装置14に記憶されるデータを管理することで構築される。口座データベースD11及び利息データベースD12は、例えば、リレーショナルデータベースである。口座データベースD11は、口座テーブル及び残高履歴テーブルを有する。利息データベースD12は、金利テーブル及び階層情報テーブルを有する。なお、本実施形態の各テーブルの値のうち、金額を示すものは円を単位としているが、日本国以外の通貨の預金口座が円以外の単位によって管理されてもよい。
【0044】
図4Aは、口座テーブルのデータ例を示す図である。口座データベースD11の口座テーブルは、預金口座の原簿を管理するために用いられる。口座テーブルに格納されるレコード1件は、単一の預金口座のデータを示す。
図4Aが示すように、口座テーブルのレコードは、口座番号、預金区分、預入日、及び残高のフィールドを有する。口座番号は、金融機関に開設された預金口座それぞれを識別する番号を表す。預金区分は、預金口座の預金の区分を表し、普通預金を示す「普通」、定期性預金を示す「定期」、上乗せ利息の付与対象となるハイブリッド預金を示す「ハイブリッド」等の値をとる。預入日は、預金を初めに預入した日を表す。残高は、現在の預金残高を表す。なお、預金口座は、口座番号に限らず、金融機関の支店番号等を示す通帳記号と通帳番号は支店等における預金口座を識別する通帳番号との組等、その他の識別情報で識別されるものであってもよい。なお、本実施形態では、普通預金や定期性預金の預金口座とハイブリッド預金の預金口座とが預金区分によって明確に区分された預金口座として管理されるが、例えば、普通預金が特定
の条件(預金口座の残高や取引回数等が基準値に達すること等)を満たした場合に当該普通預金の預金口座がハイブリッド預金の預金口座として取り扱われてもよい。
【0045】
図4Bは、残高履歴テーブルのデータ例を示す図である。口座データベースD11の残高履歴テーブルは、預金口座の残高の履歴を管理するために用いられる。残高履歴テーブルに格納されるレコード1件は、単一の預金口座の特定の日時に変更された残高の履歴を示す残高履歴情報(「預金データ」の一例)1件を示す。
図4Bが示すように、残高履歴テーブルのレコードは、口座番号、日時、残高、取引内容、取引額、及び内訳のフィールドを有する。口座番号は、残高が変化した預金口座を識別する口座番号である。日時は、残高が変化した日時を表す。残高は、日時において変化した後の残高を表す。取引内容は、残高の変化の原因となった事項を表し、預入、振替、利息の付与を示す値等をとる。取引額は、残高が変化した金額を表し、残高が増額される場合には正の値をとり、残額が減額される場合には負の値をとる。内訳には、利息の内訳等を示す値が設定される。内訳は、未設定であってもよい。
【0046】
残高履歴テーブルのレコードは、ATM2や窓口端末4を介した預金の預入や引出し等、預金口座の残高の変化を伴う取引や利息の付与等が行われたときに、追加される。残高履歴テーブルのレコードは、入出金明細を通帳に記帳する際にも利用される。
【0047】
図4Cは、金利テーブルのデータ例を示す図である。利息データベースD12の金利テーブルは、普通預金や各預入期間の定期性預金の金利データを管理するために用いられる。金利テーブルは、「金利データ格納手段」の一例である。
図4Cが示すように、金利テーブルのレコードは、預金区分、預入期間、適用期間、及び金利のフィールドを有する。預金区分は、金利の適用対象となる預金の区分を表す。預入期間は、金利が適用されるまでに預入の継続を要する期間を表す。預入期間の値は、預金区分の値が「普通」である場合、設定されない。定期性預金における預入期間は、預入から満期に至るまでの期間である。適用期間は、金利が適用される期間を表し、預入日が適用期間の範囲に入る場合に、金利が適用される。金利は変動するため、このように適用される期間が定まっている。金利は、預金に対して支払われる報酬を預金額に対する割合で表したものである。金利テーブルのレコードは、金利の改訂等があった場合に、適宜追加される。
【0048】
図4Dは、階層情報テーブルのデータ例を示す図である。利息データベースD12の階層情報テーブルは、上乗せ利息の算定の基礎となる階層に関する情報を管理し、利息を算定するために用いられる。階層情報テーブルのレコード1件は、特定の預金口座の特定の期における単一の階層を示す階層情報1件を示す。
図4Dが示すように、階層情報テーブルのレコードは、口座番号、期、階層番号、回数、経過期間、利息、及び分割パターンリストのフィールドを有する。
【0049】
口座番号は、階層が属する預金口座を識別する口座番号である。期は、階層情報が何れの期における階層に関する情報であるかを表し、年月の値をとる。階層番号は、同一の預金口座の同一の期に属する各階層に割り当てられた通し番号である。本実施形態では、回数が大きい階層に優先して小さい番号が割り当てられる。回数は、階層に対応する金額が継続して預入されている期間を期の数で表したものであり、預入から何期経過したかの値をとる。回数は0以上の値をとる。経過期間は、階層に対応する金額が継続して預入されている期間のうち、上乗せ利息の計算の基礎となる期間を表す。本実施形態では、経過期間が、期の数で表され、0以上の値で、所定の上乗せ限度期間を上限とした値をとる。利息は、階層に対応する金額の預金に対して付与される利息を表す。分割パターンリストは、利息を算定する過程で割り出された複数の分割パターンの情報を表し、リスト形式の値をとる。分割パターンリストは、各分割パターンの成分の預入期間と分割パターンに対応する利息との組を利息の値で降順に並べたリストである。分割パターンリストは、利息の
算定過程を預金者に示す場合等に用いられる。階層情報テーブルのレコードは、利息を算定する過程で追加、更新される。
【0050】
(各機能)
データベース以外の各機能の概要を順に説明する。なお、各機能を実現する処理の詳細は、後述の処理の流れにおいて説明される。
【0051】
単位数算出部F11は、ハイブリッド預金の預金口座の残高を口座データベースD11から取得し、残高を単位額で割った商である階層数(「単位数」の一例)を算出する。階層数が算出されることで、残高が単位額で区切られた階層を割り出されることになる。経過期間算定部F12は、利息の算定の基準時点となる期までの各期の階層数に基づいて、残高を階層数に分けた各階層の経過期間を算定する。金利データ取得部F13は、利息データベースD12の金利テーブルから、金利データを取得する。利息算定部F14は、ハイブリッド預金に対し、基準時点の期における利息を算定する。利息付与部F15は、利息算定部F14によって算定された利息に基づいて、ハイブリッド預金の預金口座に利息付与する。表示用データ生成部F16は、階層ごとの利息を表示するための表示用データを生成する。本実施形態では、表示用データは、通帳の印字面に階層ごとの利息を表示するために用いられる。
【0052】
図5は、本実施形態における通帳の入出金明細の印字例を示す図である。
図5には、利息付与を含む入出金明細が記帳された預金通帳の印字面が示されている。預金通帳の印字紙面には、年月日、お預り金額、お支払金額、及び現在高の欄が設けられている。
図5において、第02〜06行は、2015年3月31日に付与された利息の明細を表している。第02行のお預り金額欄には、付与された利息全体の値が印字されている。また、第03〜05行のお預り金額欄には、利息全体のうち、1階層目、2階層目、3階層目の階層それぞれに対して算定された利息が、括弧書きで印字されている。第03〜05行のお支払金額欄には、第03〜05行が、1階層目、2階層目、3階層目に関するものである旨を示す文言が印字されている。また、第06行のお預り金額欄には、利息全体のうち、階層に属さない金額に対して算定された利息が、括弧書きで印字されている。第06行のお支払金額欄には、第06行が普通預金の金利に関するものである旨を示す文言が印字されている。
【0053】
このような階層ごとの利息付与の表示によれば、ハイブリッド預金を利用する預金者に対して、普通預金等よりも有利な利息が付与されていることを意識等させ、継続的なハイブリッド預金の利用を促進することができる。なお、通帳には、階層数や各階層の経過期間の情報が印字されてもよい。また、このような表示が、通帳に限らず、インターネットバンキングのWebページ等に掲載されてよい。
【0054】
<処理の流れ>
本実施形態に係る情報処理装置1の主な処理の流れを説明する。なお、説明される処理の内容及び順序は一例であり、処理の内容及び順序には、実施の形態に適したものが適宜採用されることが好ましい。
【0055】
図6は、利息付与の処理の流れを例示するフローチャートである。この処理の流れでは、上乗せ利息の対象となるハイブリッド預金の1口座を対象として、利息付与の対象期であるN期の1期分の利息が付与される。また、この処理の流れは、N−1期(N期の1期前、すなわち1か月前)までの利息が付与されていることが前提である。この処理の流れは、例えば、対象の口座に対して利息を付与する所定日(「基準時点」の一例)の所定時刻となったことを契機に開始される。例えば、所定日が毎月末に設定され、月次で当該処理の流れが開始される。なお、日次や年次等で当該処理の流れが開始されてもよい。また
、利息を付与する所定日より前に、所定日に付与する利息が予め算定されてもよい。
【0056】
ステップS101では、預金の預入当初からN期までの上乗せ利息の算定処理が実行される。この処理では、対象口座の残高のうち、上乗せ利息の対象となる階層に属する金額残高に対する上乗せ利息が算定される。上乗せ利息は、単位額で分割された預金の階層ごとに算定され、利息データベースD12の階層情報テーブルにN期の階層情報として保存される。当該上乗せ利息の算定処理の詳細については後述する。
【0057】
ステップS102では、上乗せ利息の対象外の預金に対する利息が算定される。まず、利息算定部F14は、N期の残高に対して普通預金の金利を適用した利息を算定する。利息算定部F14は、口座データベースD11の残高履歴テーブルを参照し、対象口座のN期における日ごとの預金残高に普通預金の金利を適用した利息であるN期の普通預金利息を算出する。なお、普通預金の金利は、利息データベースD12の金利テーブルから金利データ取得部F13を介して取得される。次に、利息算定部F14は、N期の上乗せ利息の基礎となる残高に対する普通預金利息を算出する。具体的には、利息算定部F14は、ステップS101の算定の過程で算出された階層数と単位額とを乗じた額に、N期分(1
か月分)の普通預金の金利を適用した利息を算出する。次に、利息算定部F14は、次式を用いて、N期の上乗せ利息の対象外の預金に対する利息を算出する。
(N期の上乗せ利息の対象外の預金に対する利息)=(N期の普通預金利息)−(N期の上乗せ利息の基礎となる残高に対する普通預金利息)
【0058】
ステップS103では、利息算定部F14が、N期に付与される利息を算定する。利息算定部F14は、次式を用いて、N期に付与される利息を算定する。
(N期に付与される利息)=(N期までの上乗せ利息)−(N−1期までの上乗せ利息)+(N期の上乗せ利息の対象外の預金に対する利息)
ここで、N期までの上乗せ利息は、ステップS101で算定されて利息データベースD12の階層情報テーブルに保存されたデータに基づく。利息算定部F14は、階層情報テーブルに格納されたレコードのうち、期がN期であるレコードを抽出し、抽出したレコードの利息の和をN期までの上乗せ利息として算出する。N−1期までの上乗せ利息も、利息データベースD12の階層情報テーブルに保存されたデータに基づく。利息算定部F14は、階層情報テーブルに格納されたレコードのうち、期がN−1期であるレコードを抽出し、抽出したレコードの利息の和をN−1期までの上乗せ利息として算出する。また、N期の上乗せ利息の対象外の預金に対する利息は、ステップS102で算定されたものである。
【0059】
ステップS104では、利息付与部F15が、算定されたN期に付与される利息を、対象口座に付与する。具体的には、利息付与部F15は、口座データベースD11の口座テーブルに格納された対象口座のレコードの残高を、N期に付与される利息を加算した値に更新する。また、利息付与部F15は、口座データベースD11の残高履歴テーブルに、利息が加算された更新後の残高が設定された対象口座の残高履歴情報を示すレコードを追加する。当該レコードにおいて、日時には利息が付与された日時が設定され、取引内容には利息が付与されたことを示す情報が設定され、取引額には付与された利息が設定される。
【0060】
また、当該レコードの内訳には、各階層に対して算定された利息を通帳の印字面に表示するための表示用データが設定される。設定される表示用データは、表示用データ生成部F16により生成される。表示用データは、付与された利息の内訳として、利息の値とその利息の原因となった事項の名称との組を含む。表示用データ生成部F16は、まず、利息データベースD12の階層情報テーブルに格納されたレコードのうち、期がN期であるレコードを取得する。表示用データ生成部F16は、取得したレコードそれぞれの階層番
号及び利息を参照し、各階層の利息を示す文字列と各階層番号に対応する階層の表示用名称を示す文字列(例えば「1階層目」、「2階層目」)とを組にしたデータを、表示用データに含める。また、表示用データ生成部F16は、上述のN期の上乗せ利息の対象外の預金に対する利息と普通預金を意味する表示用名称(例えば「普通」)とを組にしたデータを、表示用データに含める。
【0061】
なお、情報処理装置1は、ネットワーク3を介してATM2や窓口端末4等から残高履歴情報の取得要求を受信した場合、受信した要求に従って、残高履歴テーブルに格納された残高履歴情報を要求元へ送信する。ATM2等は、通帳への入出金明細の記帳機能を預金者に提供する場合において、内訳に表示用データが設定されている残高履歴情報を情報処理装置1から受信したときに、表示用データを参照して、
図5を用いて説明したような階層ごとの利息が表示された入出金明細を、通帳に印字する。なお、表示用データは、インターネットバンキングのWebページ等に算定された利息の内訳を表示するためのデータとして生成され、Webサーバ5へ送信されてもよい。
【0062】
本実施形態では、利息を付与する所定日において、ステップS103で算定されたN期の利息が、ステップS104で付与された。これに対して、複数の期分の算定された利息が、6か月や1年等の期より長い所定の付与期間ごとにまとめて付与されてもよい。この場合、例えば、毎期(毎月)算定された利息の情報が利息データベースD12に蓄積され、付与期間を経過したときに、蓄積された利息の情報に基づいて、算定された利息の合計が付与される。
【0063】
図7は、上乗せ利息の算定処理の流れを示すフローチャートである。
図7では、預金の預入当初から対象期であるN期までの上乗せ利息が算定される。
図7の処理の流れは、
図6のステップS101の処理の詳細を示す。当該算定は、1期前(1か月前)のN−1期の階層情報が利息データベースD12の階層情報テーブルに保存されていることが、前提となる。
【0064】
ステップS201では、単位数算出部F11が、口座データベースD11の残高履歴テーブルから、N期における最低残高を取得する。具体的には、まず、単位数算出部F11は、残高履歴テーブルから、N期に属する日時を有するレコードを抽出する。また、単位数算出部F11は、N期の初頭の残高、すなわちN−1期の最終の残高を取得するため、残高履歴テーブルから、N期より前の日時を有するレコードのうちの最も遅い日時を有するレコードも抽出する。次に、単位数算出部F11は、抽出されたレコードが有する残高の最小値を最低残高として取得する。
【0065】
ステップS202では、単位数算出部F11が、ステップS201で取得された最低残高を単位額で割った商である階層数を算出する。なお、本実施形態では単位額が10万円として処理されるが、単位額はその他の額(例えば1万円)であってもよい。
【0066】
ステップS203では、利息算定部F14が、算出された階層数が1以上であるか否かを判定する。ステップS203で階層数が1以上であると判定された場合(S203;Yes)、処理はステップS204へ進む。ステップS203で階層数が1以上であると判定されなかった場合(S203;No)、上乗せ利息の算定処理の流れは終了する。この場合、N期の残高に対して、上乗せではない普通預金の金利のみが適用されることになる。
【0067】
ステップS204では、経過期間算定部F12が、利息データベースD12の階層情報テーブルからN−1期の階層情報を取得する。具体的には、経過期間算定部F12が、階層情報テーブルに格納される対象口座のレコードのうち、期がN−1期に対応する年月の
値であるレコードを抽出し、抽出したレコードの示す階層情報を取得する。
【0068】
ステップS205〜S208では、N期の各階層の階層情報が生成され、経過期間等が算定される。
【0069】
ステップS205では、経過期間算定部F12が、N−1期からN期まで継続した階層の階層情報を生成する。具体的には、まず、経過期間算定部F12は、N継続した階層数である継続階層数を、N−1期の階層数とN期の階層数とのうちの小さい方に決定する。より詳細には、経過期間算定部F12は、次式を用いて継続階層数を決定する。
(継続階層数)=min{(N−1期の階層数),(N期の階層数)}
ここで、N−1期の階層数は、ステップS204で取得されたN−1期の階層情報の個数として求められる。また、N期の階層数は、ステップS202で算出された階層数である。
【0070】
次に、経過期間算定部F12は、ステップS204で取得されたN−1期の階層情報のうち、階層番号が1から継続階層数までのN−1期の階層情報それぞれに対応するN期の階層情報を生成する。ここで生成される階層情報は、階層番号が1から継続階層数までの継続階層数件分のN−1期の階層情報それぞれに対応したものであり、期をN−1期からN期に変更し、階層番号をN−1期の階層番号と同一の値に設定し、回数及び経過期間をN−1期の回数及び経過期間を1増加させた値に設定したものである。それぞれの階層の回数及び経過期間が算定されたことになる。なお、N−1期の階層数が0の場合、ステップS205では階層情報が生成されない。
【0071】
ステップS206では、経過期間算定部F12が、ステップS202で算出されたN期の階層数がN−1期の階層数よりも大きいか否かを判定する。ここで、N−1期の階層数は、ステップS204で取得された階層情報の個数である。ステップS206でN期の階層数がN−1期の階層数よりも大きいと判定された場合(S206;Yes)、処理はステップS207へ進む。ステップS206でN期の階層数がN−1期の階層数よりも大きいと判定されなかった場合(S206;No)、処理はステップS208へ進む。
【0072】
ステップS207では、経過期間算定部F12が、N−1期から増加した新たな階層を示すN期の階層情報を生成する。ここでは、((N期の階層数)−(N−1期の階層数))個の階層情報が生成される。生成される各階層情報の階層番号は、(N−1期の階層数)+1、(N−1期の階層数)+2、…、(N期の階層数)−1、(N期の階層数)である。また、生成される階層情報の何れも、期がN期であり、回数が1であり、経過期間が0である。
【0073】
ステップS208では、N期の階層情報の経過期間が上乗せ限度期間を上限とした値に修正される。具体的には、経過期間算定部F12は、ステップS205及びS207で生成されたN期の階層情報のうち、経過期間が対象口座の上乗せ限度期間を超える階層情報について、経過期間を上乗せ限度期間の値に置換する。本実施形態では上乗せ限度期間を超えた期間については上乗せ利息が付与されないように利息が算定されるため、ステップS208の処理では、経過期間が上乗せ限度期間を超えないように調整される。本実施形態では、このように上乗せ限度期間が設けられるため、付与される利息を一部制限できるとともに、後述する階層の利息の算定処理において、経過期間の分割のパターン数が膨大になって計算量が爆発的に増えることを抑制できる。
【0074】
ステップS205〜S208を終え、処理がステップS209へ向かう段階で生成された階層情報の回数及び経過期間は、N期における各階層の回数及び経過期間等の算定結果を示している。
【0075】
ステップS209〜S212では、N期における全階層に対する利息が算定される。ステップS209及びS212は、全階層利息処理ループを構成する。まず、ステップS209では、利息算定部F14が、N期における全ての階層に対して利息が算定済みか否かを判定する。ステップS209でN期における全ての階層に対して利息が算定済みであると判定された場合、全階層利息処理ループは終了し、処理がステップS213へ進む。ステップS209でN期の全ての階層に対して利息が算定済みであると判定されなかった場合、処理はステップS210へ進む。ステップS210では、利息算定部F14が、生成されているN期の階層情報が示す階層のうち、利息が未算定の階層を1つ選択し、算定対象の階層に決定する。次に、ステップS211では、算定対象となる1階層についての利息が算定される。当該利息の算定の処理の詳細については後述する。処理は、ステップS211へ進むと、その後ステップS209へ戻る。
【0076】
ステップS213では、情報処理装置1が、N期の階層情報を保存する。具体的には、情報処理装置1は、ステップS205〜S212で生成され、フィールドの値が設定されたN期の階層情報を示すレコードを、利息データベースD12の階層情報テーブルに追加し、格納させる。保存されたN期の階層情報は、N+1期(N期の1期後、すなわち1か月後)における上乗せ利息の算定に利用される。
【0077】
図8は、算定対象の1階層の利息の算定処理の流れを示すフローチャートである。
図8の処理の流れは、
図7のステップS211の処理の詳細を示す。
【0078】
ステップS301では、利息算定部F14が、算定対象の階層の経過期間が0(か月)であるか否か判定する。算定対象の階層の経過期間が0(か月)であると判定された場合(S301;Yes)、処理はステップS302へ進む。この場合、普通預金の金利を用いた利息の算定が行われる。一方、算定対象の階層の経過期間が0であると判定されなかった場合(S301;No)、処理はステップS303へ進む。この場合、定期性預金の金利を用いた利息の算定が行われる。
【0079】
ステップS302では、利息算定部F14が、算定対象の階層の利息として、普通預金の金利を単位額に適用した利息を算定する。具体的には、まず、利息算定部F14は、利息データベースD12の金利テーブルから、N期に適用される普通預金の金利を、金利データ取得部F13を介して取得する。次に、利息算定部F14は、取得した金利に基づき、適用される金利を単位額に乗じた利息を、算定対象の階層の利息として算定する。算定された利息は、算定対象の階層を示す階層情報に設定される。ステップS302の後、1階層の利息の算定処理の流れは終了する。
【0080】
ステップS303では、利息算定部F14が、算定対象の階層の経過期間を、定期性預金の預入期間の組合せに分割した分割パターン全てを割り出す。ここで、割り出される分割パターンそれぞれは、経過期間を、預入期間を成分とした和で表したものである。分割パターンでは、預入期間の順序が考慮され、各預入期間が異なる順番で表された和は、別の分割パターンである。例えば、定期性預金の預入期間として、1か月、3か月、6か月、1年、3年があるとする。この場合、経過期間6(か月)は、6、3+3、3+1+1+1、1+3+1+1、1+1+3+1、1+1+1+3、1+1+1+1+1+1に分割される(単位は「か月」)。経過期間6(か月)の階層に対して7パターンの分割パターンが割り出されることになる。このような分割の処理は、例えば、組合せ論における順序付き分割の問題を、コンピュータの演算により解くことで実現できる。
【0081】
ステップS304では、利息算定部F14が、割り出された各分割パターンの利息を算出する。利息算定部F14は、各分割パターンに対して、分割パターンの成分の預入期間
それぞれに対応する金利を単位額に乗じて、利息を算出する。
【0082】
具体的には、まず、利息算定部F14は、成分の預入期間の始期に基づき、当該成分の預入期間に適用される金利を、利息データベースD12の金利テーブルから金利データ取得部F13を介して取得する。この際、預入期間の始期が金利テーブルの適用期間に属するか否かが判定される。例えば、N期(2015年3月)において、経過期間6(か月)が3+3に分割された分割パターンについて説明する。1番目の成分3の始期は、2015年3月末から6か月遡った2014年10月初めであり、2014年10月を適用期間に含む、預入期間3か月の定期性預金の金利が取得される。なお、2014年9月を適用期間に含む、預入期間3か月の定期性預金の金利が取得されてもよい。次に、利息算定部F14は、各成分の預入期間に対して取得された金利を単位額に乗じ、各成分の預入期間に対する利息を算出する。次に、利息算定部F14は、算出された各成分の預入期間に対する利息を積算して当該分割パターンに対する利息を算出する。
【0083】
ステップS305では、利息算定部F14が、ステップS304で算出された分割パターンに対する利息のうちの最大の利息を、算定対象の階層の利息として算定する。ここでは、算出された分割パターンに対する利息のうちから最大の値を探索する処理が実行される。算定された利息は、算定対象の階層を示す階層情報に設定される。なお、算定される利息は、このような最大の値に限らず、例えば、2番目に大きい値であってもよい。
【0084】
なお、利息算定部F14は、対象期や経過期間に応じた、分割パターン、分割パターンごとの利息、分割パターンのうちの利息の最大の値等の計算結果を記録した計算テーブル等を、利息の算定前に作成してもよい。この場合、利息算定部F14は、作成した計算テーブル等に基づいて、算定対象の階層の利息を算定する。階層の利息は単位額に従って算定されるため、当該計算テーブル等の値は、対象口座や階層が異なっていても共通に利用可能である。そのため、多数の預金口座について上乗せ利息を算定する場合に、当該計算テーブル等によって1度求めた結果を再利用することにより、全体として、より迅速に階層の利息を算定することができる。
【0085】
ステップS306では、利息算定部F14が、各分割パターンの情報を算出された利息の値で降順に並べた分割パターンリストを生成し、階層情報に設定する。ここで、生成された分割パターンリストには、各分割パターンに対して算出された利息が含まれる。分割パターンリストが設定された階層情報は、後の処理(
図7のステップS213)で利息データベースD12の階層情報テーブルに登録される。
【0086】
なお、情報処理装置1は、ネットワーク3を介してインターネットバンキングのWebサーバ5やATM2等から分割パターンリストの要求を受信した場合に、当該要求に従って、階層情報テーブルを参照して分割パターンリストを要求元に送信する。要求元のWebサーバ5等は、当該分割パターンリストを受信した場合、当該分割パターンリストに基づき、利息の算定過程で割り出された分割パターンの内容を預金者に表示するための表示用データを生成する。Webサーバ5等は、例えば、表示用データに基づいて分割パターンの内容を表示するWebページを生成し、預金者の端末に提供する。なお、表示用データは、ATM2の画面や、通帳の印字面の表示に用いられてもよい。
【0087】
図9は、利息ランキングページを例示する図である。
図9が示す利息ランキングページは、特定の階層における分割パターンの利息のランキングを表している。
図9には、分割パターンそれぞれが、順位及び算出された利息とともに、預入期間の和として表現されて示されている。
図9には、分割パターンが利息の降順で順位付けされた場合における上位5位の分割パターンが示されている。1位の分割パターンが実際に利息の算定に用いられたものを示す。この利息ランキングページに接した預金者は、利息の算定に採用された分
割パターンの利息と、利息の算定に採用されなかった分割パターンの利息とを比較することができる。そのため、預金者が、実際に算定された利息がより有利なものであると認識することが支援され、ハイブリッド預金の残高の維持、増額が期待できる。なお、利息が下位5位や下位10位である分割パターンを表した下位ランキングが提供されてもよい。また、このような分割パターンを表したランキングに加え、仮にハイブリッド預金の残高に対して普通預金の金利のみが適用されたときの利息を表示するWebページが、預金者の端末に提供されてもよい。
【0088】
<作用効果>
以上説明した本実施形態では、単位額で区分された階層それぞれを対象に、N期までの経過期間が算定され、経過期間が定期性預金の預入期間を成分とした和に分割された分割のパターンが割り出された。そして、分割された各成分の預入期間に応じて定期性預金の金利が適用されて、階層ごとの上乗せ利息が積算されて全体の上乗せ利息が算定された。残高が単位額で階層に分けられたので、残高が変動する場合でも、適用する金利を定める基礎となる金額及び期間(経過期間)が算定できる。また、当該期間が定期性預金の預入期間に分割されるので、預金口座に満期等が設定されていなくても定期性預金の金利が適用可能となる。よって、残高が度々変動し得るハイブリッド預金の預金口座について、預けた期間に応じて、定期性預金を利用した場合と同等の金利を処理し、普通預金よりも多い上乗せ利息を付与できる。そのため、長期間預けた場合の預金者に対するメリットが生じ、残高の維持や増額が促進され得る。
【0089】
また、ハイブリッド預金の預入時には、預入期間の指定や定期性預金としての金利が適用される金額の指定が求められない。そのため、ハイブリッド預金を利用する預金者にとって、預入の手続き負担が軽減され得る。
【0090】
金融市場の動向等により金利が変動した場合、預金者は、より有利な利息を求めて、定期預金を解約して預け直す(預け替える)ことがある。本実施形態では、各階層について、経過期間が定期性預金の預入期間を成分とした和に分割した全分割パターンが割り出され、全分割パターンのうち、利息が最大となるパターンに基づいて上乗せ利息が算定された。そのため、預金者は、定期性預金を預け替える等の手続き負担を負わないで、あたかも賢明に定期性預金の預入期間を設定して預け替えたような、より有利な利息を得ることができる。この際、預け替え等に起因する金融機関の事務負担の発生も抑制される。
【0091】
また、本実施形態では、ハイブリッド預金に対して、期(1か月)を単位に、前期との差額の利息が付与された。そのため、預金者が、普通預金よりも上乗せされた利息を早期に受け取ることができる。
【0092】
<その他>
(階層の経過期間の引き継ぎ)
情報処理装置1は、一方のハイブリッド預金の預金口座から他方のハイブリッド預金の預金口座へ残高を移動する際、各階層の回数や経過期間が移動先の預金口座へ引き継がれるように処理する階層引き継ぎ機能を有してもよい。この機能は、例えば、相続において、被相続人のハイブリッド預金の預金口座から相続人のハイブリッド預金の預金口座へ残高全額が移動されるときに利用される。
【0093】
この場合、まず、情報処理装置1は、利息データベースD12の階層情報テーブルにおける移動元の預金口座の階層情報の最後の期の階層情報を、移動先の預金口座の階層情報の最後の期の階層情報に変更する。具体的には、情報処理装置1は、当該期の階層情報を示すレコードの口座番号を、移動元の預金口座を識別する口座番号から移動先の預金口座を識別する口座番号へ更新する。次に、情報処理装置1は、移動先の当該期の階層情報そ
れぞれの回数を比較し、移動先の当該期の階層情報の階層番号を、回数の値が大きいほど小さな値となるように採番し直して更新する。このような処理により、移動後の移動先の階層数は、移動前における移動先の階層数と移動元の階層数の和となり、階層情報は、階層番号が小さい値であるほど回数や経過期間が大きな値となるように調整される。移動先の預金口座について上乗せ利息が算定される際には、このように階層数が増え、回数や経過期間が引き継がれた階層情報に基づいた算定が行われる。
【0094】
このような階層引き継ぎの機能によれば、相続等で預金が引き継がれるときに、引き継ぎ先の預金者が、預入の継続による高金利の適用を受ける権利も、合わせて引き継ぐことができる。そのため、長期の間、残高の維持を維持し、預入が継続されることが促進され得る。