(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6151608
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】各々が2個の死点で層状に重なり合う2個の機械的動作伝達アセンブリーを含む角度位置決め装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/08 20060101AFI20170612BHJP
F16H 21/48 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
G02B26/08 E
F16H21/48
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-179935(P2013-179935)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-48668(P2014-48668A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】1202341
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ヴェザン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ボーダス、ヤニク
(72)【発明者】
【氏名】ギオニー、セバスチャン
【審査官】
佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−148685(JP,A)
【文献】
米国特許第3584519(US,A)
【文献】
特開2004−153608(JP,A)
【文献】
特開2003−18436(JP,A)
【文献】
特開2003−18435(JP,A)
【文献】
特開2014−47924(JP,A)
【文献】
米国特許第4764002(US,A)
【文献】
特開昭55−12425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B26/00−26/08
F16H19/00−37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(2)、第1の機械的動作伝達アセンブリー(10)、及び第2の機械的動作伝達アセンブリー(20)を含む角度位置決め装置(1)であって、前記第1の機械的アセンブリー(10)が、
・第1軸(X1)に従って前記フレーム(2)にピボット接続された第1支持部(11)、
・前記第1軸(X1)に平行な第2軸(X2)に従って前記第1支持部(11)にピボット接続された第1接続ロッド(12)、
・第3軸(X3)に従って前記第1接続ロッド(12)にピボット接続され、且つ第4軸(X4)に従って前記フレーム(2)にピボット接続されていて、前記第3及び第4軸が前記第1及び第2軸に平行である、第2接続ロッド(13)、及び
・前記第4軸(X4)の回りに前記第2接続ロッド(13)を回転可能な第1の起動装置(14)を含み、
前記第1の機械的動作伝達アセンブリー(10)が、前記第1支持部(11)が前記第1軸(X1)の回りの2個の異なる角度位置(α1、α2)を占め、その各々について前記第1(12)及び第2(13)接続ロッドが前記第1支持部(11)に死点を形成できるように構成され、
前記第2の機械的動作伝達アセンブリー(20)が、
・前記第1軸(X1)に平行でない第5軸(X5)に従って前記第1支持部(11)にピボット接続された第2支持部(21)、
・第6軸(X6)に従って前記第2支持部(21)にピボット接続され、且つ前記第5軸(X5)に平行な第7軸(X7)に従って前記第2支持部にピボット接続された第3接続ロッド(23)、
・第8軸(X8)に従って前記第3接続ロッド(23)にピボット接続され、且つ第9軸(X9)に従って前記フレーム(2)にピボット接続されていて、前記第8及び第9軸が前記第5及び第7軸に平行である、第4接続ロッド(24)、及び
・前記第9軸(X9)の回りに前記第4接続ロッド(24)を回転可能な第2の起動装置(25)を含み、
前記第2の機械的動作伝達アセンブリー(20)が、前記第2支持部(21)が前記第5軸(X5)の回りの2個の異なる角度位置を占め、その各々について前記第3(23)及び前記第4(24)接続ロッドが前記第2支持部(21)に死点を形成できるように構成され、
前記角度位置決め装置(1)が、前記第5軸が、前記第1軸(X1)の回りの前記第1支持部(11)の前記角度位置(α1、α2)の一つにおいて前記第7軸(X7)に平行であるように、且つ前記第6軸(X6)が、前記第5軸(X5)の回りの前記第2支持部(21)の角度位置の一箇所で前記第1軸(X1)に結合されるように構成されている、角度位置決め装置(1)。
【請求項2】
前記第7、第8及び第9軸(X7、X8、X9)が、前記第1、第2、第3及び第4軸(X1、X2、X3、X4)と直交している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の起動装置(14)が、前記角度位置決め装置(1)の前記フレーム(2)と一体化された固定子、及び前記第2接続ロッド(13)と一体化されたローターを含む回転モーターを含んでいる、請求項1、2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の起動装置(25)が、前記角度位置決め装置(1)の前記フレーム(2)と一体化された固定子、及び前記第4接続ロッド(24)と一体化されたローターを含む回転モーターを含んでいる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1支持部(11)が、駆動アーム(112)を含み、前記第1支持部(11)の前記フレーム(2)との前記ピボット接続が前記駆動アーム(112)の第1終端で提供され、前記第1支持部(11)の前記第1接続ロッド(12)との前記ピボット接続が前記駆動アーム(112)の第2終端で提供されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1支持部(11)が、前記第2支持部(21)を内部に配置したフレームワーク(111)を含んでいる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1(12)及び第2(13)接続ロッドが、前記第3軸(X3)が前記第2軸(X2)及び第4軸(X4)を含む平面に一致する場合に、前記第1支持部(11)に死点を形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第3(23)及び第4(24)接続ロッドが、前記第8軸(X8)が前記第7軸(X7)及び第9軸(X9)を含む平面に一致する場合に、前記第2支持部(21)に死点を形成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記第3接続ロッド(23)と前記第2支持部(21)の間のピボット接続が、前記第3接続ロッド(23)と前記第7軸(X7)に従った接続アーム(22)の間の第1のピボット接続、及び前記接続アーム(22)と前記第6軸(X6)に従った前記第2支持部(21)の間の第2のピボット接続を含んでいる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の角度位置決め装置(1)、及び前記第2支持部(21)に固定可能な光学機器の要素を含む光学機器用較正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械的動作伝達の分野に関する。本発明は、機械的角度位置決め装置に関し、特に3個の所定定置に従い鏡等の要素の位置決めを必要とする光学機器に適している。
【背景技術】
【0002】
角度位置決めを行う多くの機械的装置が存在する。例えば、簡単なステップモーターは、自身の1ステップに応じて角度位置決めを行うことができる。しかし、従来の装置は、特定の用途に適していない場合がある。例えば、約100分の1度の角度精度が必要な場合がそうである。更に、異なる角度位置の良好な安定性及び良好な信頼性を得たい場合に更なる困難さに出会う。換言すれば、所与の持続時間にわたり維持可能であって、そこから離れた場合に再度得ることができる正確な位置を得ることは困難である。精度、安定性、及び信頼性に関する厳しい要件が、特に光学機器分野にあてはまる。例えば、光学機器は、自身のセンサーのうち1個に較正を必要とする場合がある。この較正は、3個の異なる角度位置に応じて鏡の向きを合わせることを含んでいる場合がある。シーン位置として知られる第1の位置は、鏡が研究対象領域からの放射を反射する位置に対応する。鏡は、研究対象領域の方を向いていると言われる。較正位置として知られる他の2個の位置は、鏡が基準光源の放射を反射する位置に対応する。これらの基準エミッターは例えば、黒体又は冷空間に向けた照準を含んでいる。この場合、センサーの較正は、第1の較正位置、次いで第2の較正位置、最後にシーン位置における鏡の位置決めを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械的位置決め装置の挙動に影響を及ぼす要素の一つがアクチュエータであることが理解されよう。一般に、これは回転電気モーターである。異なる種類の電気モーターを用いることができる。「音声コイル」モーターとして知られる可動コイルモーターは高い精度を有している。しかし、これらは閉ループ内のサーボ制御による制御を必要とし、所与の位置での保持には永久的な電力供給を必要とする。圧電アクチュエータもまた高い精度を有している。しかし、これらもまた閉ループ内のサーボ制御により制御されなければならない。これらはまた、進行方向に比較的弱い力が生じる。従って実際には、寸法が大きい圧電アクチュエータを使用する必要がある。ステップモーターには、閉ループなしで制御可能であるという利点があり、電力供給を必要とせずに位置の保持が可能である。一方、角度精度は一般に不十分である。一つの解決策は、ステップモーターに減速器を関連付けるものである。減速器により、出力側における角度変位をモーターの角度変位に対して減らすことが可能になる。従って、モーターの各ステップ毎に、出力側における角度変位は、当該ステップの途中を表す。減速器は、例えばギア付きの装置の形式であってよい。しかし、例えば約100分の1という低い伝達率を得るために、当該装置は多数の歯車を含んでいなければならない。複雑さと大きさの問題に加え、この種の減速器は、遊び及び抵抗トルクをもたらす。遊びを除去する装置は存在するが、更なるトルクをもたらす。別の減速器解決策は、2本の接続ロッドによりモーターにより回転するアームの使用に基づくものである。当該アームは、フレームにピボット接続されている。第1接続ロッドは、モーターにより回転する。第2接続ロッドは、第1のピボット接続により第1接続ロッドに接続しており、且つ第2のピボット接続により当該アームに接続している。これらの2個のピボット接続の軸がモーターの回転軸と同一平面にある場合、2個の接続位置は死点、すなわちアームの回転動作が反転される構成を生成する。この反転には、アームの角度変位とローターの角度変位の間の伝達率の局所化された減少を伴う。しかし、この種の装置は2個の死点だけを含んでいて、3個の異なる位置に従う角度位置決めには適していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は特に、3個の異なる角度位置に低い伝達率を提供可能な機械的装置を提供することである。この目的のため、本発明は、接続ロッドを有する2個の機械的アセンブリーの組合せ、すなわち第1軸回りの回転動作において2個の死点を形成する第1の機械的アセンブリー、及び第1軸に平行でない第2軸回りの回転動作において2個の死点を形成する第2の機械的アセンブリーを提案する。より具体的には、本発明の目的は、フレーム、第1の機械的動作伝達アセンブリー、及び第2の機械的動作伝達アセンブリーを含む角度位置決め装置である。第1の機械的アセンブリーは、
・第1軸に従ってフレームにピボット接続された第1支持部、
・第1軸に平行な第2軸に従って第1支持部にピボット接続された第1接続ロッド、
・第3軸に従って第1接続ロッドにピボット接続され、且つ第4軸に従ってフレームにピボット接続されていて、第3及び第4軸が第1及び第2軸に平行である、第2接続ロッド、及び
・第4軸に従って第2接続ロッドを回転可能な第1の起動装置を含んでいる。
第1の機械的動作伝達アセンブリーは、第1支持部が第1軸回りの2個の異なる角度位置を占め、その各々について第1及び第2接続ロッドが第1支持部に死点を形成できるように構成されている。
第2の機械的動作伝達アセンブリーは、
・第1軸に平行でない第5軸に従って第1支持部にピボット接続された第2支持部、
・第6軸に従って第2支持部にピボット接続され、且つ第5軸に平行な第7軸に従って第2支持部にピボット接続された第3接続ロッド、
・第8軸に従って第3接続ロッドにピボット接続され、且つ第9軸に従ってフレームにピボット接続されていて、第8及び第9軸が第5及び第7軸に平行である、第4接続ロッド、及び
・第9軸に従って第4接続ロッドを回転可能な第2の起動装置を含んでいる。
第2の機械的動作伝達アセンブリーは、第2支持部が第5軸回りの2個の異なる角度位置を占め、その各々について第3及び第4接続ロッドが第2支持部に死点を形成できるように構成されている。
角度位置決め装置は、第5軸が、第1軸回りの第1支持部の角度位置の一箇所で第7軸に平行であるように、且つ第6軸が、第5軸回りの第2支持部の角度位置の一箇所で第1軸に結合されるように構成されている。
【0005】
特定の実施形態によれば、第7、第8及び第9軸は、第1、第2、第3、及び第4軸と直交している。
【0006】
第1の起動装置は、角度位置決め装置のフレームと一体化された固定子、及び第2接続ロッドと一体化されたローターを含む回転モーター含んでいてよい。同様に、第2の起動装置は、角度位置決め装置のフレームと一体化された固定子、及び第4接続ロッドと一体化されたローターを含む回転モーターを含んでいてよい。
【0007】
特定の実施形態によれば、第1支持部は、駆動アームを含み、第1支持部のフレームとのピボット接続は駆動アームの第1終端で提供され、第1支持部の第1接続ロッドとのピボット接続は駆動アームの第2終端で提供されている。
【0008】
特定の実施形態によれば、第1支持部は、第2支持部を内部に配置したフレームワークを含んでいる。
【0009】
第1及び第2接続ロッドは、第3軸が、第2軸及び第4軸を含む平面に一致する場合に、第1支持部に死点を形成することができる。同様に、第3及び第4接続ロッドは、第8軸が、第7軸及び第9軸を含む平面に一致する場合に、第2支持部に死点を形成することができる。
【0010】
特定の実施形態によれば、第3接続ロッドと第2支持部の間のピボット接続は、第3接続ロッドと第7軸に沿った接続アームの間の第1のピボット接続、及び接続アームと第6軸に沿った第2支持部の間の第2のピボット接続を含んでいる。
【0011】
本発明の目的はまた、上述のような角度位置決め装置、及び第2支持部に固定可能な光学機器の要素を含む光学機器用較正システムである。
【0012】
本発明は特に、関心対象の角度位置周辺で低い伝達率、及びこれらの位置の外側でより高い伝達率の両方が得られる利点があり、異なる位置間の通過速度を増大することが可能になる。
【0013】
添付の図面に関する以下の記述を読めば本発明への理解が深まると共に、他の利点も明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による角度位置決め装置の例を示す透視図である。
【
図2】本発明による角度位置決め装置の例を示す透視図である。
【
図3】
図1、2における角度位置決め装置の機械的動作伝達アセンブリーの出力側部分の角度位置の、当該機械的アセンブリーの入力側部分の角度位置に対する変化をグラフ形式で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一般に、本発明による角度位置決め装置はフレーム、及び2個の層状に重なり合う機械的動作伝達アセンブリーを含んでいる。第1の機械的アセンブリーは、第1軸に従ってフレームにピボット接続された第1支持部を含んでいる。当該支持部は、第1支持部に対する2個の死点を形成する2本の接続ロッドを介して第1のモーターにより回転可能である。第2の機械的アセンブリーは、第1軸に平行でない第2軸に従って第1支持部にピボット接続された第2支持部を含んでいる。当該第2支持部は、第2支持部に対する2個の死点を形成する2本の接続ロッドを介して第2のモーターにより回転可能である。角度位置決め装置は、第1支持部の死点のうち1個が第2支持部の死点のうち1個に一致できるように構成されている。
【0016】
図1、2に、本発明による角度位置決め装置の例を2個の透視図で示す。角度位置決め装置1は、フレーム2、第1の機械的動作伝達アセンブリー10、及び第2の機械的動作伝達アセンブリー20を含んでいる。第1の機械的アセンブリー10は、第1支持部11、2本の接続ロッド12、13、及び第1の起動装置14を含んでいる。支持部11は、第1軸X
1に従ってフレーム2にピボット接続されている。第2接続ロッド12は、軸X
1に平行な第2軸X
2に従って支持部11にピボット接続されている。第2接続ロッド13は、軸X
1、X
2に平行な第3軸X
3に従って第1接続ロッド12にピボット接続され、且つ軸X
1、X
2及びX
3に平行な第4軸X
4に従ってフレーム2にピボット接続されている。起動装置14は、第2接続ロッドを軸X
4回りに回転可能である。本実施形態において、フレーム2は、プレート3、及びプレート3の平面に直角な方向にプレート3から延在する2本のアーム4を含んでいる。支持部11は、矩形のフレームワーク111、及びフレームワーク111の平面に直角な方向に延在する駆動アーム112を含んでいる。駆動アーム112の第1終端はフレームワーク111と一体化されている。支持部11とフレーム2の間のピボット接続は、フレームワーク111の側面に固定された2本のシャフト又はピン113、及びアーム4の終端に形成された2個のベアリング5により提供される。支持部11と接続ロッド12の間のピボット接続は、駆動アーム112の第2終端で提供される。接続ロッド12は、自身の両終端の各々に屈曲部を含み、一方の終端が駆動アーム112に形成されたベアリング114に挿入されている。接続ロッド12の他の終端は、接続ロッド13の一方の終端に形成されたベアリング131に挿入されている。起動装置14は、フレーム2と一体化された固定子、及び接続ロッド13の第2終端と一体化されていて軸X
4の回りを回転するローターを含む回転モーターである。これは例えばステップモーターである。接続ロッド13とフレーム2の間のピボット接続はこのように回転モーターにより提供される。第2の機械的動作伝達アセンブリー20は、第2支持部21、接続アーム22、2本の接続ロッド23、24、及び第2の起動装置25を含んでいる。第2支持部21は、第5軸X
5に従う第1支持部11にピボット接続されている。軸X
5は、軸X
1〜X
4とは平行でない。
図1、2の実施形態と同様に、軸X
5は軸X
1〜X
4と直交していてよい。接続アーム22は、軸X
6に従って支持部21にピボット接続されていて、その向きは以下に議論する。第3接続ロッド23は、軸X
5に平行な軸X
7に従って接続アーム22にピボット接続されている。第4接続ロッド24は、軸X
8に従って第3接続ロッド23にピボット接続され、且つ軸X
9に従ってフレーム2にピボット接続されている。軸X
8及びX
9は、軸X
5及びX
7に平行である。
図1、2の実施形態において、支持部21は、第1支持部11のフレームワーク111に組込まれた長方形のフレームワーク211を含んでいる。第2支持部21と第1支持部11の間のピボット接続は、フレームワーク211の長手方向側面に固定された2個のピン212、及びフレームワーク111の長手方向側面に形成された2個のベアリング115により提供される。同様に、支持部21と接続アーム22の間のピボット接続、接続アーム22と接続ロッド23の間のピボット接続、及び接続ロッド23、24の間のピボット接続は各々、互いに協働するピン及びベアリングにより提供可能である。起動装置25は、フレーム2と一体化された固定子、及び接続ロッド24と一体化されて軸X
9の回りを回転するローターを含む回転モーターである。これはまた、ステップモーターでもよい。接続ロッド24とフレーム2の間のピボット接続は従って回転モーターにより提供される。
【0017】
図1、2の実施形態において、異なる要素間の関節構造がピボット接続を形成するピン及びベアリングにより実現されるものと考えられてきた。一般に、これらの関節構造は、検討対象である軸回りに回転の自由度を与える任意の機構により実現できる。特に、各々のピボット接続は、同じ回転軸とのスライドピボット接続により、又はボールジョイント接続により代替可能である。また、支持部21と接続アーム22の間のピボット接続、及びアーム22と接続ロッド23の間のピボット接続は、軸X
6及びX
7と直交する軸に従って、支持部21と接続ロッド23の間のフィンガーとの単一のボールジョイント接続に結合可能である。接続アーム22は従ってもはや必要でない。フィンガーとのボールジョイント接続はまた、ボールジョイント接続又は環状線状接続で代替可能である。
【0018】
本発明による角度位置決め装置は、起動装置14、25により制御される。これらの起動装置は次いで、第2支持部21に対する3個の異なる角度位置を得るべく機能する。当該支持部21は、配置したい要素、例えば光学機器の鏡、を受容可能である。起動装置14により、第2支持部21を軸X
1の回りに回転させることが可能になる。起動装置14の起動により、接続ロッド13を軸X
4の回りに回転させ、接続ロッド13が、接続ロッド12を接続ロッド12の瞬間回転中心の回りに回転させ、接続ロッド12自体が駆動アーム112、従ってフレームワーク111、211を軸X
1の回りに回転させる。フレームワーク111、211の回転が可能なのは、フレームワーク211が、フレームワーク111とフレーム2の間のピボット接続と同じ軸に従ってフレーム2に対して回転可能である場合、すなわち軸X
6が軸X
1と結合されている場合だけである点に注意されたい。第1の機械的アセンブリー10は、2通りの特定の構成を取り得るように構成されている。これらの構成の各々において、接続ロッド12、13は支持部11に死点を形成する。一般に、互いにピボット接続された2本の接続ロッド間の死点とは、当該接続ロッドの特定の個別位置であって、当該接続ロッドの一方にピボット接続された各要素が当該位置を通る間に動作の反転を受ける位置を意味する。当該動作は回転又は並進動作であってよい。この場合、接続ロッド12、13は、これらの接続ロッド間のピボット接続の軸X
3が、接続ロッド12と駆動アーム112の間の、及び接続ロッド13とフレーム2の間のピボット接続の軸X
2及びX
4の各々を通る平面に一致する場合に、支持部11に死点を形成する。
図1、2の実施形態において、
図1、2に示すように軸X
4が軸X
2と軸X
3の間に存在する場合に第1の死点が形成され、軸X
3が軸X
2と軸X
4の間に存在する場合に第2の死点が形成される。第1の機械的アセンブリー10の他の構成において、軸X
2が軸X
3と軸X
4の間に存在する場合に死点を形成することができる。死点を通る間、支持部11の回転方向は、起動装置14の回転方向に合わせるべく反転される。回転方向のこの反転は、軸X
1周辺における支持部11の2個の角度位置α
1、α
2で生じる。従って、接続ロッド13の軸X
4回りの連続回転により、角度位置α
1とα
2の間に支持部11のバランス動作が生じる。また、死点を通ることにより、接続ロッド13の角度変位と支持部11の角度変位の間で伝達率の低下が生じる。角度位置α
1、α
2は従って比較的安定した角度位置である。
【0019】
図3に、
図1、2における第1の機械的動作伝達アセンブリー10用の接続ロッド13の角度位置に従う支持部11の角度位置の変化をグラフ形式で示す。この変化を曲線31で表している。各角度位置は、角度基準位置に相対的な位置にある。上述のように、接続ロッド13の回転動作により、支持部11の回転の回転動作が第1の方向に、接続ロッド12、13が第1の死点を形成する角度位置α
1まで生じる。この角度位置α
1に近づく際に、接続ロッド13の角度変位と支持部11の角度変位の間の伝達率は、角度位置α
1付近での曲線31の平坦化で示すように、当該角度位置が相殺されるまで、減少する。角度位置α
1から離れる際に、支持部11の回転動作が反転される。角度位置α
1から遠ざかる間、伝達率は次第に増大し、次いで接続ロッド12、13が第2の死点を形成する角度位置α
2に近づくにつれて再度減少する。角度位置α
2において、伝達率は相殺され、支持部11の回転動作は再度反転され、従って、回転の第1の方向に戻る。次いで伝達率が次第に増大し、次いで角度位置α
1に近づくにつれて再度減少し、接続ロッド13は完全に回転している。
図3は従って、接続ロッド13を完全に回転させるために、支持部11が角度位置α
1とα
2の間で振動する様子を示している。これらの位置間の角度移動が比較的僅かである、すなわち
図1、2の実施形態で約13°であると仮定すれば、接続ロッド13の角度変位と支持部11の角度変位の間の平均伝達率が1より大幅に低いことは明らかである。特に、死点を通ることにより局所的に伝達率の大幅な減少が生じる。
【0020】
起動装置25により、第2支持部21を軸X
5の回りに回転させることが可能になる。起動装置25の起動により、接続ロッド24を軸X
9の回りに回転させ、接続ロッド24が、接続ロッド23を接続ロッド23の瞬間回転中心の回りに回転させ、接続ロッド23自体が接続アーム22及び支持部21を軸X
5の回りに回転させる。支持部21の回転が可能なのは、支持部11と21の間のピボット接続の軸X
5が軸X
7、X
8及びX
9に平行の場合だけである点に注意されたい。軸X
5の向きは、軸X
1周辺での支持部11の角度位置に依存する。好適には、第1の機械的アセンブリー10は、軸X
5が自身の2個の死点のうち1個において、すなわち、支持部11が自身の角度位置α
1、α
2の一方にある場合に、軸X
7、X
8及びX
9に平行であるように構成されている。軸X
5を軸X
7、X
8及びX
9に平行にする操作はこのように最大の精度で実行される。第2の機械的動作伝達アセンブリー20は、2通りの特定の構成をなし、その各々について接続アーム23、24が支持部21に死点を形成できるように構成されている。この場合、死点は、これらの接続ロッド間のピボット接続の軸X
8が、接続ロッド23と接続アーム22の間、及び接続ロッド24とフレーム2の間の各々のピボット接続の軸X
7及びX
9を通る平面に一致する場合に、支持部21に対して生成される。
図1、2の実施形態において、同図に示すように、軸X
8が軸X
7と軸X
9の間に存在する場合に第1の死点が形成され、軸X
9が軸X
7と軸X
8の間に存在する場合に第2の死点が形成される。第2の機械的アセンブリー20の他の構成において、軸X
7が軸X
8と軸X
9の間に存在する場合、死点を形成することができる。死点を通る間、支持部21の回転方向は、起動装置25の回転方向に合わせるべく反転される。回転方向のこの反転は、軸X
5周辺における支持部21の2個の角度位置β
1、β
2で生じる。従って、接続ロッド24の軸X
9回りの連続回転により、角度位置β
1とβ
2の間に支持部21のバランス動作が生じる。接続ロッド24の角度変位と支持部21の角度変位の間の伝達率は局所的に相殺されるため、これらの位置は安定な位置である。好適には、第2の機械的アセンブリー20は、軸X
6が自身の2個の死点のうち1個において、すなわち支持部21が自身の角度位置β
1、β
2の一方にある場合に、軸X
1に結合されるように構成されている。軸X
1に対する軸X
6の配置は、このように最大の精度で実行される。
【0021】
本発明による角度位置決め装置は特に、光学機器用較正の実行に良く適している。光学機器の要素、例えば鏡は、第2支持部に固定可能である。第1の機械的動作伝達アセンブリーにより、第1軸回りの2個の角度位置に対して要素の向きを正確に合わせることが可能になり、第2の機械的動作伝達アセンブリーにより、第1軸とは平行でない第2軸回りの2個の角度位置に対して正確に向きを合わせることが可能になる。光学機器の要素が3個の異なる次元について第1及び第2軸回りに正確に位置決めされるように、第1軸回りの関心対象の角度位置の一つが、第2軸回りの関心の角度位置の一つに対応している。
【符号の説明】
【0022】
1 角度位置決め装置
2 フレーム
3 プレート
4 アーム
5,114,115,131 ベアリング
10,20 機械的動作伝達アセンブリー
11,21 支持部
12,13,23,24 接続ロッド
14,25 起動装置
22 接続アーム
111,212 フレームワーク
112 駆動アーム
113,212 ピン
31 曲線
X
1−X
9 軸
α
1,α
2 角度位置