(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の「発明を実施するための形態」では、種々の組の数値範囲(例えば、特定の部分における炭素原子の数、又は特定の成分の量など)が記載され、各組内では、範囲の任意の下限を範囲の任意の上限と対にすることができる。同様に、このような数値範囲は、範囲内に含まれるすべての数を含むことを意味する(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」は、1つ若しくはすべての列挙した要素、又は2つ以上の列挙した要素のいずれかの組み合わせを意味する。
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一又は異なる条件下において、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1以上の好ましい実施形態の引用は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを目的とするものではない。
「含む(comprises)」という用語及びその変化形は、それらの用語が説明及び請求項に出現する箇所において、限定的な意味を有するものではない。
本明細書で使用するところの「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1以上の」は、互換可能に使用される。
上記「課題を解決するための手段」の節は、すべての実施形態又は本発明のすべての実施を説明しようとするものではない。以下の「発明を実施するための形態」が実施形態をより具体的に例示する。「発明を実施するための形態」にわたり、複数の実施例の一覧を通してガイダンスが提供されており、それら実施例は様々な組み合わせで用いられ得る。いずれの場合にも、記載した一覧は、代表的な群としてのみ役立つものであり、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【0023】
定義
本特許出願で使用されるとき、
「連結型ヘテロ原子(catenatedheteroatom)」とは、(例えば、炭素−ヘテロ原子−炭素鎖又は炭素−ヘテロ原子−ヘテロ原子−炭素鎖を形成するために)炭素鎖中で1個以上の炭素原子と置き換わる炭素以外の原子(例えば、酸素、窒素、又は硫黄)を意味する。
「硬化」とは、(例えば、触媒を通した)架橋ポリマーネットワークへの変換を意味する。
「フルオロ−」(例えば、「フルオロアルキレン」若しくは「フルオロアルキル」、又は「フルオロカーボン」の場合のような基若しくは部分に関して)又は「フッ素化された」とは、炭素に結合した水素原子が少なくとも1つはあるように、部分フッ素化されていることを意味し、
「フルオロケミカル」とはフッ素化又はペルフルオロ化を意味し、
「ヘテロ有機」とは、少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは、少なくとも1個のカテネイトヘテロ原子)を含有する有機基又は部分(例えば、アルキル又はアルキレン基)を意味する。
「ヒドロシリル」は、水素原子に直接結合したケイ素原子を含む一価部分又は基を指す(例えば、ヒドロシリル部分は、式−Si(R)
3−p(H)
pを有することができ、式中、pは1、2又は3の整数であり、Rは加水分解性又は非加水分解性基である(好ましくはアルキル又はアリールなどの非加水分解性である))。
「ヒドロキシシリル」は、ヒドロキシル基に直接結合したケイ素原子を含む一価部分又は基を指す(例えば、ヒドロキシシリル部分は、式−Si(R)
3−p(OH)
pを有することができ、式中、pは1、2又は3の整数であり、Rは加水分解性又は非加水分解性基である(好ましくはアルキル又はアリールなどの非加水分解性である))。
「イソシアナト」とは、式−NCOの一価の基又は部分を意味する。
「メルカプト」とは、式SHの一価の基又は部分を意味する。
「オリゴマー」とは、少なくとも2個の繰り返し単位を含み、かつ分子鎖同士で絡まるような分子量未満の分子量を有する分子を意味し、このような分子は、ポリマーとは異なり、1個の繰り返し単位を除去又は付加しただけでも特性が著しく変化する。
「オキシ」とは、式−O−の二価の基又は部分を意味する。並びに、
「ペルフルオロ」(例えば、「ペルフルオロアルキレン」又は「ペルフルオロアルキル」又は「ペルフルオロカーボン」の場合のような、基又は部分に関して)若しくは「ペルフルオロ化」とは、完全にフッ素化されたことを意味し、その結果、特記しない限り、フッ素と置換できる炭素に結合した水素原子がないことを意味する。
【0024】
成分(a)
本発明の硬化性ポリシロキサン組成物の成分(a)としての使用に好適なポリシロキサンとしては、少なくとも2つのヒドロキシシリル部分(すなわち、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシル基を含む一価の部分)を含む反応性シラン官能基を含む、ポリジオルガノシロキサン、フッ素化ポリジオルガノシロキサン及びこれらの組み合わせ(好ましくはポリジオルガノシロキサン)が挙げられる。これらのポリシロキサンは、オリゴマー、ポリマー又はこれらの組み合わせであることができる。好ましくは、これらのポリシロキサンはポリマーであり、直鎖、分枝鎖又は環状であり得る。有用なポリマーとしては、ランダム、交互、ブロック又はグラフト構造又はこれらの組み合わせを有するものが挙げられる。
【0025】
ポリシロキサンの成分(a)の分子量及び反応性シラン官能基(ヒドロキシシリル部分の数及び性質など)は、例えば、成分(b)の反応性シラン官能基の分子量並びに硬化性及び/又は硬化した組成物に所望される特性に依存して、非常に様々であり得る。しかしながら、成分(a)及び(b)のうちの少なくとも一方は、架橋された網目構造の形成を可能にするために、
平均で少なくとも3つ
の反応性シラン官能基を有する(すなわち、成分(a)が(平均で)少なくとも3つのヒドロキシシリル部分を有するか、成分(b)が(平均で)少なくとも3つのヒドロシリル部分を有するか、又はその両方である)。
【0026】
好ましくは、成分(a)に使用されるポリジオルガノシロキサン、フッ素化ポリジオルガノシロキサン及びこれらの組み合わせは、(平均で)2つの末端ヒドロキシシリル部分を含むように、ヒドロキシ末端封鎖される。これらのポリシロキサンは、好ましくは約150〜約1,000,000(より好ましくは約1,000〜約1,000,000)の重量平均分子量を有する。
【0027】
有用なポリシロキサンの好ましい部類としては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる。
(OH)
p−Si(R’)
3−p−[G−Si(R’)
2]
t−O−[(R’)
2SiO]
q[Si(R’)
2−G]
t−Si(R’)
3−p−(OH)
p(I)
式中、各pは独立して1、2又は3(好ましくは1)の整数であり、各Gは独立して二価結合基であり、各R’は独立して、アルキル、アルケニル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、シクロアルキル、フルオロシクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロフルオロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロフルオロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロフルオロシクロアルキル及びこれらの組み合わせから選択され、qは0〜約15,000(好ましくは約20〜約15,000)の整数であり、各tは独立して0又は1(好ましくは0)の整数である。好ましくは、各R’は独立して、アルキル(好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する)、フルオロアルキル(好ましくは3〜約8個の炭素原子を有し、より好ましくはR
fC
2H
4−(式中、R
fは、1〜約6個の炭素原子(好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有するフッ素化又は過フッ素化アルキル基である))、アリール及びこれらの組み合わせから選択される。より好ましくは、各R’は独立して、メチル、C
4F
9C
2H
4−、C
6F
13C
2H
4−、CF
3C
2H
4−、フェニル、C
6H
5C
2H
4−及びこれらの組み合わせ(更により好ましくはメチル、CF
3C
2H
4−、フェニル、C
4F
9C
2H
4−及びこれらの組み合わせ、最も好ましくはメチル)から選択される。各二価結合基Gは、好ましくは独立して、オキシ、アルキレン、アリーレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン及びこれらの組み合わせから選択される(より好ましくは、オキシ、アルキレン、アリーレン及びこれらの組み合わせから選択される)。(G及び/又はR’中の)ヘテロ原子としては、酸素、イオウ、窒素、リン及びこれらの組み合わせ(好ましくは酸素、イオウ及びこれらの組み合わせ、より好ましくは酸素)を挙げることができる。Gは、少なくとも2個の炭素原子によりケイ素から分離されるのであれば、フッ素を含有することができる。
【0028】
好ましいポリシロキサンとしては、ヒドロキシル末端封鎖されたポリジメチルシロキサンホモポリマー、並びに、ジメチルシロキサン単位と、ジアルキルシロキサン単位、(アルキル)(メチル)シロキサン単位及び(アルキル)(フェニル)シロキサン単位(ここで、各アルキル基は独立して、2〜約8個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、ヘキシル)から選択される)、ジ(フルオロアルキル)シロキサン単位、(フルオロアルキル)(メチル)シロキサン単位及び(フルオロアルキル)(フェニル)シロキサン単位(ここで、各フルオロアルキル基は独立して、3〜約8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロプロピル又はノナフルオロヘキシル)から選択される)、ジフェニルシロキサン単位、及びこれらの組み合わせから選択される最大で約40又は50モルパーセントの他の単位と、を含むヒドロキシル末端封鎖されたコポリマーが挙げられる。
【0029】
成分(a)として有用なポリシロキサンは、本発明の硬化性組成物中で単独で又は様々なポリシロキサンの混合物の形態で使用することができる。場合により、混合物が好ましいものであり得る。成分(a)としての使用に好ましい組成物は、(1)約300,000〜約1,000,000(より好ましくは約400,000〜約900,000、最も好ましくは約500,000〜約700,000)の範囲の重量平均分子量を有する、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、フッ素化ポリジオルガノシロキサン又はこれらの組み合わせ(好ましくは少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン)と、(2)約150〜約150,000(より好ましくは約10,000〜約120,000、最も好ましくは約10,000〜約15,000)の範囲の重量平均分子量を有する、少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン、フッ素化ポリジオルガノシロキサン又はこれらの組み合わせ(好ましくは少なくとも1つのポリジオルガノシロキサン)と、の組み合わせを含む。成分(1)と成分(2)の相対量及びこれらの分子量は、利用される接着剤(又は他の材料)の性質及び所望される剥離レベルに従って、剥離用途に関し選択することができる。
【0030】
例えば、成形型剥離用途については、前者のポリシロキサンと後者のポリシロキサンの重量比は、約3:1〜約19:1(好ましくは約4:1〜約9:1、より好ましくは約6:1)の範囲であり得る。感圧接着剤(PSA)剥離用途については、前者のポリシロキサンと後者のポリシロキサンの重量比は、例えば、約2:1〜約1:10(好ましくは約1:1〜約1:6、より好ましくは約1:2〜約1:4)の範囲であり得る。
【0031】
成分(a)としての使用に好適なポリシロキサンは、既知の合成方法により調製することができ、多くは市販されている。例えば、Syl−Off(商標)292コーティング組成物(Dow Corning Corporation(Midland,MI)から入手可能)のヒドロキシシリル官能性成分は好ましいポリシロキサンであり、様々な分子量の他の有用なポリシロキサンは、Gelest,Inc.(Morrisville,PA)から入手することができる(例えば、Silicon Compounds:Silanes and Silicones,Second Edition(B.Arkles and G.Larson ed.,Gelest,Inc.(2008))を参照されたい)。
【0032】
成分(b)
本発明の硬化性組成物の架橋剤成分(b)としての使用に好適なポリシロキサンとしては、少なくとも2つのヒドロシリル部分(すなわち、ケイ素原子に直接結合した水素原子を含む一価の部分)を含む反応性シラン官能基を含む、ポリジオルガノシロキサン、フッ素化ポリジオルガノシロキサン及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらのポリシロキサンは、小分子、オリゴマー、ポリマー又はこれらの組み合わせであり得る。好ましくはこれらのポリシロキサンはポリマーである。これらのポリシロキサンは、直鎖、分枝鎖又は環状であることができる。有用なポリマーとしては、ランダム、交互、ブロック又はグラフト構造又はこれらの組み合わせを有するものが挙げられる。
【0033】
成分(b)の分子量及び反応性シラン官能基(ヒドロシリル部分の数及び性質など)は、例えば、成分(a)の反応性シラン官能基の分子量並びに硬化性及び/又は硬化した組成物に所望される特性に応じ、非常に様々であり得る。好ましくは、成分(b)は、(成分(a)がヒドロキシル末端封鎖される場合に、架橋された網目構造を形成できるように)
平均で少なくとも3つ
の反応性シラン官能基を有する。これらのポリシロキサンは、好ましくは約100〜約100,000)の重量平均分子量を有する。
【0034】
ポリシロキサンの好ましい部類としては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる。
R’
2R”SiO(R’
2SiO)
r(HR’SiO)
sSiR”R’
2(II)
式中、R’は式(I)について上記で定義した通りであり、各R”は独立して水素又はR’であり、rは0〜約150(好ましくは0〜約100、より好ましくは0〜約20)の整数であり、sは2〜約150(好ましくは約5〜約100、より好ましくは約20〜約80)の整数である。最も好ましくはR”及びR’はどちらもメチルであり、rは0であり、並びに/又は、sは約40である。
【0035】
好ましい水素化官能性ポリシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサンホモポリマーを含むもの、並びに、ジメチルシロキサン単位と、ジアルキルシロキサン単位、(アルキル)(メチル)シロキサン単位及び(アルキル)(フェニル)シロキサン単位(ここで、各アルキル基は独立して、2〜約8個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、ヘキシル)から選択される)、ジ(フルオロアルキル)シロキサン単位、(フルオロアルキル)(メチル)シロキサン単位及び(フルオロアルキル)(フェニル)シロキサン単位(ここで、各フルオロアルキル基は独立して、3〜約8個の炭素原子を有するフルオロアルキル基(例えば、トリフルオロプロピル又はノナフルオロヘキシル)から選択される)、ジフェニルシロキサン単位、及びこれらの組み合わせから選択される最大で約40又は50モルパーセントの他の単位と、を含むコポリマー(1つ又は複数)を含むものが挙げられる。ホモポリマーが多くの場合好ましいが、一部の用途についてはコポリマーが好ましいものであり得る。
【0036】
成分(b)として有用なポリシロキサンは、本発明の硬化性組成物中で単独で又は様々なポリシロキサンの混合物の形態で使用することができる。このようなポリシロキサンは既知の合成方法により調製することができ、多くは市販されている。例えば、Syl−Off(商標)Q2−7560架橋剤、Syl−Off(商標)7678架橋剤、並びに、Syl−Off(商標)292及びSyl−Off(商標)294コーティング組成物のヒドロシリル官能性成分(例えば、Syl−Off(商標)7048架橋剤)(すべてDow Corning Corporation(Midland,MI)から入手可能)は好ましいポリシロキサンであり、様々な分子量の他の有用なポリシロキサンは、Gelest,Inc.(Morrisville,PA)から入手することができる(例えば、Silicon Compounds:Silanes and Silicones,Second Edition(B.Arkles and G.Larson ed.,Gelest,Inc.(2008))を参照されたい)。
【0037】
成分(c)
本発明の硬化性組成物の成分(c)としての使用に好適な塩基としては、アミジン、グアニジン(ビグアニドのような置換グアニジンなど)、ホスファゼン、プロアザホスファトラン(Verkade塩基としても既知)及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの塩基の自己プロトン化可能な形態(例えば、アルギニンなどのアミノ酸)は通常、このような形態は自己中和されているので、あまり好適ではなく、したがって除外される。好ましい塩基としては、アミジン、グアニジン及びこれらの組み合わせが挙げられる(より好ましくはアミジン及びこれらの組み合わせ、最も好ましくは環状アミジン及びこれらの組み合わせ)。
【0038】
列挙されている構造部類の塩基は、上記のように成分(a)と(b)の間の反応を有効に触媒することができることが発見されている。これらの塩基は、硬化性組成物中で単独で(個別に)又は1つ以上の異なる塩基の混合物(異なる構造部類からの塩基を含む)の形態で使用することができる。所望される場合には、塩基は、感光性形態で(例えば、放射線又は熱に曝露するとその場で塩基を生じる活性化可能組成物の形態で)存在させることができる。
【0039】
有用なアミジンとしては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる:
【化1】
式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素、一価の有機基、一価のヘテロ有機基(例えば、炭素原子を通して結合され、カルボキシル又はスルホンなどの酸官能基を含有しない基又は部分の形態で、窒素、酸素、リン又はイオウを含む)及びこれらの組み合わせから選択され、R1、R2、R3及びR4のうちの任意の2つ以上は、一緒に結合して、環構造(好ましくは五員環、六員環又は七員環、より好ましくは六員環又は七員環)を形成することができる。有機基及びヘテロ有機基は、好ましくは1〜20個の炭素原子(より好ましくは1〜約10個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する。好ましくはR4は水素ではない。
【0040】
少なくとも1つの環構造を含むアミジン(すなわち、環式アミジン)が通常好ましい。2つの環構造を含む環式アミジン(すなわち、二環式アミジン)がより好ましい。
【0041】
有用なアミジン化合物の代表例としては、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−n−プロピル−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−イソプロピル−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−n−プロピル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−イソプロピル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、DBU(すなわち、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(すなわち、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいアミジンとしては、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、DBU(すなわち、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)、DBN(すなわち、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン)及びこれらの組み合わせが挙げられ、DBU、DBN及びこれらの組み合わせがより好ましく、DBUが最も好ましい。
【0042】
有用なグアニジンとしては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる:
【化2】
式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、一価の有機基、一価のヘテロ有機基(例えば、炭素原子を通して結合され、カルボキシル又はスルホンなどの酸官能基を含有しない基又は部分の形態で、窒素、酸素、リン又はイオウを含む)及びこれらの組み合わせから選択され、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの任意の2つ以上は、一緒に結合して、環構造(好ましくは五員環、六員環又は七員環、より好ましくは五員環又は六員環、最も好ましくは六員環)を形成することができる。有機基及びヘテロ有機基は、好ましくは1〜20個の炭素原子(より好ましくは1〜約10個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する。好ましくはR5は水素ではない。
【0043】
少なくとも1つの環構造を含むグアニジン(すなわち、環式グアニジン)が通常好ましい。2つの環構造を含む環式グアニジン(すなわち、二環式グアニジン)がより好ましい。
【0044】
有用なグアニジン化合物の代表例としては、1−メチルグアニジン、1−n−ブチルグアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1−ジエチルグアニジン、1,1,2−トリメチルグアニジン、1,2,3−トリメチルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1,1,2,3,3−ペンタメチルグアニジン、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチル−2−n−プロピルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソプロピルグアニジン、2−n−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、TBD(すなわち、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、MTBD(すなわち、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、7−エチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−n−プロピル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−イソプロピル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−n−ブチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−イソブチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−tert−ブチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−シクロヘキシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−n−オクチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−2−エチルヘキシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−デシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、ビグアニド、1−メチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−(2−エチルヘキシル)ビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−n−ブチル−N2−エチルビグアニド、1,1’−エチレンビスグアニド、1−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ビグアニド、1−[3−(ジブチルアミノ)プロピル]ビグアニド、N’,N”−ジヘキシル−3,12−ジイミノ−2,4,11,13−テトラアザテトラデカンジアミン及びこれらに類するもの並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいグアニジンとしては、TBD(すなわち、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、MTBD(すなわち、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。TBD、MTBD及びこれらの組み合わせが最も好ましい。
【0045】
所望される場合には、アミジン及びグアニジンは、JIS Z 8802に従って測定したときに13.4未満のpH値を呈するもの(例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、DBU、DBN又はこれらの組み合わせ、好ましくはDBU、DBN又はこれらの組み合わせ)から選択することができる。水溶液のpHを判定するための参照方法JIS Z 8802は、重量比10:3のイソプロピルアルコールと水の混合溶媒100gに5ミリモルの塩基を添加することにより、塩基の水溶液をまず調製することにより、行われる。次に、得られた溶液のpHを23℃にてpHメーター(例えば、Horiba Seisakusho Model F−22のpHメーター)を用いて測定する。
【0046】
有用なホスファゼンとしては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる:
【化3】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して、水素、一価の有機基、一価のヘテロ有機基(例えば、炭素原子を通して結合され、カルボキシル又はスルホンなどの酸官能基を含有しない基又は部分の形態で、窒素、酸素、リン又はイオウを含む)及びこれらの組み合わせから選択され、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7のうちの任意の2つ以上は、一緒に結合して、環構造(好ましくは五員環、六員環又は七員環、より好ましくは五員環又は六員環、最も好ましくは六員環)を形成することができる。有機基及びヘテロ有機基は、好ましくは1〜20個の炭素原子(より好ましくは1〜約10個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する。好ましくはR7は水素ではない。
【0047】
有用なホスファゼン化合物の代表例としては、以下のものが挙げられる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせ。好ましいホスファゼンとしては、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン、ホスファゼン塩基P
1−t−Bu−トリス(テトラメチレン)、ホスファゼン塩基P
4−t−Bu及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
有用なプロアザホスファトラン塩基(Verkade塩基)としては、以下の一般式により表すことができるものが挙げられる:
【化4】
式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、一価の有機基、一価のヘテロ有機基(例えば、炭素原子を通して結合され、カルボキシル又はスルホンなどの酸官能基を含有しない基又は部分の形態で、窒素、酸素、リン又はイオウを含む)及びこれらの組み合わせから選択される(水素はあまり好ましくない)。有機基及びヘテロ有機基は、好ましくは1〜20個の炭素原子(より好ましくは1〜約10個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する。
【0049】
有用なプロアザホスファトラン化合物の代表例としては、以下のものが挙げられる。
【表2】
及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせ。2,8,9−トリイソプロピル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカンが好ましいプロアザホスファトラン化合物である。
【0050】
硬化性組成物の調製
本発明の硬化性組成物は、(好ましくは撹拌又はかき混ぜながら)本質的に任意の順序で成分(a)、(b)及び(c)を組み合わせることにより調製することができる。好ましくは、成分(a)と(b)をまず組み合わせ、次いで成分(c)を添加する。この組成物は、所望であれば、(例えば、成分(c)を他の二成分とは別個に保存することにより)比較的保存安定的な二部系として維持することができるが、(三成分すべてを含む)一部系もまた、例えば、組成物のコーティング又は他の適用に先立って、無水溶媒中で最大約2週間といった期間にわたって安定であることができる。
【0051】
成分(a)と(b)の相対量は、これらの性質並びに硬化性及び/又は硬化した組成物に所望される特性に依存して、非常に様々であり得る。化学量論は反応性シラン官能基のモル比は1:1(例えば、ヒドロキシシリル部分のモル当たり1モルのヒドロシリル)であると説明しているが、実践上はヒドロシリル官能基が不足又は過剰していることが有用であり得る(例えば、これは、硬化阻害剤が存在する場合に有用であり得る)。最大で約8:1又は約13:1又は更には約35:1もの(ヒドロシリル部分とヒドロキシシリル部分の)モル比が有用であり得る。成分(c)(塩基触媒)は、硬化性組成物中に、成分(a)、(b)、(c)の合計重量に基づいて、約0.1〜約10重量パーセント(好ましくは約0.1〜約5重量パーセント、より好ましくは約0.5〜約2重量パーセント)の範囲の量で存在し得る。
【0052】
好ましくは、硬化性組成物は、保存安定性、混合及び/又はコーティングを補助するために、特に成分(a)及び(b)がポリマーである場合、少なくとも1つの溶媒又は希釈剤を含む。本発明の硬化性組成物で使用するのに好適な溶媒としては、芳香族溶媒(例えば、キシレン、トルエン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン及びこれらに類するもの並びにこれらの混合物)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン及びこれらに類するもの並びにこれらの混合物)、アルキルエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル及びこれらに類するもの並びにこれらの混合物)、アルカン(例えば、ヘプタン、イソパラフィン系炭化水素及びこれらに類するもの並びにこれらの混合物)、エーテル(例えば、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)及びこれらに類するもの並びにこれらの混合物)及びこれらに類するもの、並びにこれらの混合物などの非プロトン性溶媒が挙げられる。好ましい溶媒としては、芳香族溶媒、アルカン、ケトン及びこれらの混合物が挙げられ、キシレン、ヘプタン、メチルエチルケトン及びこれらの混合物がより好ましく、ヘプタン、メチルエチルケトン及びこれらの混合物が最も好ましい。
【0053】
微量の任意成分を添加して、特定の硬化方法又は用途に対する特定の望ましい特性を硬化性組成物に付与することができる。有用な組成物は、例えば、触媒(所望される場合には共触媒として添加できる、スズ触媒などの従来の縮合触媒など)、反応開始剤、乳化剤(界面活性剤を包含する)、安定剤、抗酸化剤、難燃剤、接着促進剤、剥離調整剤(例えば、シリケートMQ樹脂)、着色剤、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアクリルアミド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドコポリマー、ポリアルキノール)及びこれらに類するもの並びにこれらの混合物などの、従来の添加剤を含むことができる。
【0054】
所望される場合には、硬化性組成物は、エマルションの形態で調製することができる(例えば、希釈剤として水を使用することにより)。有用な乳化剤(エマルジェントとしても既知)としては、界面活性物質又は界面活性剤が挙げられる。シリコーンエマルションは、多くの場合、水、シリコーンオイル、安定化界面活性剤、防腐剤、並びに、粘性安定化及び冷凍解凍安定性のための他の添加剤を含有する。
【0055】
本発明の硬化性組成物は、様々な既知の又は今後開発される機械的及び化学的乳化技術のいずれかにより、エマルションの形態で調製することができる。一部の好適なエマルションはまた、市販されており(例えば、Dow Corning Corporation(Midland,MI)から入手可能なSyl−Off(商標)1181水性エマルションコーティング組成物)、塩基触媒(成分(c))と組み合わせて使用することができる。有用な乳化技術としては、例えば、欧州特許第0 268 982号(Toray Silicone Company,Ltd.)、同第0 459 500号(Dow Corning Corporation)及び同第0 698 633号(Dow Corning Corporation)に記載されているものが挙げられ、これらの技術についての記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
水エマルション中でのシリコーン製造のための特に有用な技術は、米国特許第6,013,682号(Dalle et al.)に記載されているものであり、この技術についての記載は参照により本明細書に組み込まれる。この技術は、シリコーンが、水中に懸濁されたシリコーン液滴の内部で鎖延長により重合するエマルションをもたらす。米国特許第5,229,212号(Reed)は、高分子量の、水溶性又は水分散性ポリマー増粘剤(ポリエチレンオキシドなど)が利用される別の有用な技術を記載しており、この技術についての記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
本発明の硬化性組成物中での使用に好適な乳化剤としては、非イオン性(ポリマー非イオン性界面活性剤など(例えば、アルキル多糖))、カチオン性、アニオン性及び両性界面活性剤、並びにこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。これらの界面活性剤は、個別に又は組み合わせて、使用することができる。本質的には任意のタイプの界面活性剤を使用できるが、非イオン性界面活性剤が好ましいものであり得る。
【0058】
有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール鎖(エチレンオキシドの重縮合により得られる)の存在により親水性を付与されているものが挙げられる。このような非イオン性界面活性剤は、「ポリエトキシレート化非イオン性界面活性剤」と呼ばれる。有用な非イオン性界面活性剤の他の例としては、ポリアルケノール(ポリビニルアルコールとしても既知)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、エトキシル化又はスルホン化樹脂、カルボキシメチルセルロース及び他の多糖誘導体、ポリアクリレート、キサンタン、並びにこれらに類するもの並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリマー非イオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせ(より好ましくはポリアルケノール及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0059】
有用なカチオン性界面活性剤の例としては、四級アンモニウムヒドロキシド(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロートリメチルアンモニウムヒドロキシド、ココトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びこれらに類するもの並びにこれらの組み合わせ)、四級アンモニウムヒドロキシドの対応する塩、脂肪酸アミン及びアミド及びこれらの誘導体、脂肪酸アミン及びアミドの塩(脂肪族脂肪酸アミン及びアミドなど)及びこれらの誘導体、脂肪酸鎖を有する芳香族アミンの類似体、脂肪酸ジアミンから誘導された脂肪酸アミド、二置換アミンから誘導された脂肪酸アミド、エチレンジアミンの誘導体、アミノアルコールのアミド誘導体、長鎖脂肪酸のアミン塩、二置換ジアミンの脂肪酸アミドから誘導された四級アンモニウム塩基、ベンゾイミダゾリンの四級アンモニウム塩基、ピリジニウムの塩基性化合物及びその誘導体、スルホニウム化合物、ベタインの四級アンモニウム化合物、エチレンジアミンのウレタン、ポリエチレンジアミン、ポリプロパノールポリエタノールアミン、並びにこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
有用なアニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホネート(洗剤)、脂肪酸(せっけん)、ラウリル硫酸などのアルキル硫酸塩(起泡剤)、ジアルキルスルホスクシネート(湿潤剤)、リグノスルホネート(分散剤)及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。他の有用なアニオン性界面活性剤としては、米国特許第6,013,682号(Dalle et al.)に記載のものが挙げられ、その記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
有用な界面活性剤の別の部類は、両性又は双極性イオン界面活性剤のものであり、アニオンとカチオンの両方の解離を呈する単一の界面活性剤分子を含む。有用な両性界面活性剤の例としては、ベタイン、スルホベタイン、アミノ酸及びリン脂質などの天然物質、並びにこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0062】
本発明の硬化性組成物中に含ませることができる界面活性剤の量は、(例えば、界面活性剤(1つ又は複数)の性質に依存して)様々である。しかしながら、多くの場合、界面活性剤の量は(硬化性組成物の合計重量に基づいて)約0.01〜約35重量パーセントの範囲が有用であり得る(約0.1〜約20重量パーセントの範囲の量が好ましく、約0.5〜約5又は10重量パーセントの範囲の量がより好ましい)。水性エマルションを形成するために硬化性組成物中に含ませることができる水の合計量も様々であり得るが、一般に(硬化性組成物の合計重量に基づいて)約20〜約95重量パーセントの範囲であることができる。
【0063】
所望される場合には、塩基触媒(成分(c))は、他の硬化性組成物と組み合わせる前に、(例えば、界面活性剤及び/又は増粘剤の水溶液に塩基触媒を添加し、その後、得られた混合物を振とう又は撹拌することにより)予め乳化させることができる。
【0064】
硬化性組成物の使用及び硬化
本発明の硬化性組成物は、様々な異なる用途に使用することができる。例えば、組成物(1つ又は複数)は、封止材、剥離コーティング、表面処理、ハードコート及びこれらに類するものとして使用することができる。フッ素化表面処理として使用するとき、ある程度の疎水性及び/又は疎油性を(例えば、表面を保護するため、又は洗浄容易性を高めるために)様々な基材に付与することができる。
【0065】
本発明の硬化性組成物(又は別の方法としてその成分)は、様々なコーティングされた物品を形成するように、本質的に任意の既知の又は今後開発される適用方法により、基材(シート、繊維又は成形された物体)の少なくとも1つの主表面の少なくとも一部分に適用することができる。本組成物は、有用なコーティングを生成できる本質的に任意のやり方で(及び本質的に任意の厚さで)適用することができる。
【0066】
有用な適用方法としては、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、ワイピング、ロールコーティング、ワイヤコーティング及びこれらに類するもの、並びにこれらの組み合わせなどのコーティング方法が挙げられる。本組成物は、未希釈形態、又は溶媒溶液(例えば、アルキルエステル、ケトン、アルカン、芳香族及びこれらに類するもの、並びに、これらの混合物などの溶媒)又はエマルションの形態で適用することができる。溶媒を使用する場合、本組成物の有用な濃度は、本組成物の粘度、利用される適用方法、基材の性質、及び所望の特性に依存して、広範囲にわたって変動してもよい(例えば、約1〜約90重量%)。
【0067】
コーティングされた基材の調製における使用に好適な基材としては、固体であり、好ましくは使用される任意のコーティング又は適用溶媒に対して実質的に不活性である物質を含む少なくとも1つの表面を有するものが挙げられる。好ましくは、この硬化性組成物は、化学的相互作用、物理的相互作用、又はこれらの組み合わせ(より好ましくは、これらの組み合わせ)を通して基材表面に接着することができる。
【0068】
好適な基材は、単一材料又は異なる材料の組み合わせを含んでもよく、事実上均質であっても不均質であってもよい。有用な不均質基材としては、物理的支持材(例えば、ポリマーフィルム)上に存在する材料(例えば、金属又はプライマー)のコーティングを含む、コーティングされた基材が挙げられる。
【0069】
有用な基材としては、木材、ガラス、鉱物(例えば、コンクリートなどの人工セラミックス並びに大理石及びこれらに類するものなどの天然石の両方)、多層ポリマーフィルムを包含するポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート及びこれらに類するもの)、金属(例えば、銅、銀、金、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、ニッケル、亜鉛及びこれらに類するもの)、金属合金、金属化合物(例えば、金属酸化物及びこれらに類するもの)、皮革、羊皮紙、紙、織物、塗面、及びこれらの組み合わせを含むものが挙げられる。好ましい基材としては、ガラス、鉱物、木材、金属、金属合金、金属化合物、ポリマー、及びこれらの組み合わせ(より好ましくは、金属、金属合金、金属化合物、ポリマー、及びこれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0070】
好ましい基材としては、感圧接着剤(PSA)製品に使用されるものが挙げられる。例えば、硬化性組成物は、好適な可撓性又は非可撓性裏材に適用し、その後、硬化させることができる。有用な可撓性裏材としては、紙、クラフト紙、ポリオレフィンでコーティングされた紙、プラスチックフィルム(例えば、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリアミド、酢酸セルロース及びエチルセルロースなど)及びこれらに類するもの並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、本質的に接着剤に対して剥離を必要とする任意の表面を利用することができる。それゆえに、裏材は、綿、ナイロン、レーヨン、ガラス又はセラミック材料などの合成又は天然材料の糸から形成された織布であってもよく、天然若しくは合成繊維又はこれらのブレンドのエアレイドウェブなどの不織布であってもよい。加えて、好適な裏材は、金属、金属化ポリマーフィルム又はセラミックシート材料から形成することができる。プライマー(コロナ処理などの表面処理を含む)を利用することもできるが、これらは必ずしも必要ではない。
【0071】
本発明の硬化性組成物は、PSAコーティングされたラベル及びテープの製造での使用に好適であるコーティングをもたらすことができる。硬化時にもたらされる剥離の具体的なレベルは、例えば、組成物の成分(a)の重量百分率及び分子量の変動を通して、又は、性質及び/若しくは量が様々であり得る剥離調整剤(例えば、シリケートMQ樹脂)の添加を通して、制御可能に変異させることができる。
【0072】
硬化性組成物は、濃縮により(例えば、溶媒を蒸発させることにより)硬化させることができる。好ましい硬化条件は、具体的な用途並びにそれに付随する要件及び条件によって変化する。水分は存在し得るが、通常は必須ではない。硬化は、概して、室温(例えば、約20〜23℃)から約150℃まで又はそれ以上の温度(好ましくは約20℃〜約125℃、より好ましくは約20℃〜約100℃、最も好ましくは約20℃〜約80℃の温度)で生じ得る。硬化時間は、数分(例えば、室温で)〜数時間(例えば、触媒少量条件下)の範囲であり得る。
【0073】
本発明の硬化性組成物の硬化を介して得られる剥離コーティングは、一般に、これらと接触するようになるPSAの粘着及び剥離特性に悪影響を及ぼす遊離シリコーンをほとんど又は全く含有しない。本発明の硬化性組成物は、比較的迅速に硬化して、広範囲のPSAタイプ(例えば、アクリレート、粘着付与天然ゴム及び粘着付与合成エラストマー)と共に使用できる比較的強固に定着した高度に架橋された溶媒耐性非粘着コーティングをもたらすことができる。
【0074】
PSA積層体の形態の物品(例えば、剥離ライナー上に支持されたPSAの層を含む)は、乾燥積層、湿潤溶液キャスティングを介して剥離コーティングと接触させながらPSAを配置することにより、あるいは、光重合可能な組成物を剥離コーティングに適用し、その後、光照射して重合させることにより、調製することができる(例えば、記載が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,181,752号(Martens et al.)に記載のように)。このような物品は、(例えば、剥離コーティングからの剥離のレベル(剥離力)及び/又は所望の基材への接着の後続のレベルにおける任意の変化を評価するための、室温及び/又は熱加速経時処理試験の結果により証明されるように)比較的良好な保存安定性を呈することができる。
【実施例】
【0075】
以下の実施例によって本発明の目的及び利点を更に説明するが、これらの実施例において記載される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不要に限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲に限定することを意味するものではない。
なお、以下の実施例のうち、実施例1〜6、実施例11〜13、実施例16〜18及び実施例20〜26は参考例である。
【0076】
材料
特に記載のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分におけるすべての部、百分率、及び比率などは、重量による。特に記載のない限り、すべての化学物質は、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)などの化学物質供給業者から入手されており、あるいは、入手可能である。
【0077】
経時処理された剥離及び後続の接着を測定するための試験方法
これらの試験は、一定の温度及び相対湿度にてある時間にわたって経時処理された剥離ライナーの有効性を測定した。経時処理された剥離値は、特定の取り外しの角度及び速度で剥離ライナーから可撓性接着テープを取り外すのに必要とされる力の定量的尺度である。この力は、デシメートル当たりのニュートン(N/dm)で表される。特に記載のない限り、以下の4つの接着テープのうちの1つを用いて、経時処理剥離値と、基材に対する後続の接着(場合により再接着と呼ぶ)と、を測定した。
【0078】
テープAは、3M Company(St.Paul,MN)から商品名3M(商標)Controltac(商標)Graphic Film IJ180−10で市販されているビニル裏材を備える感圧接着された再配置可能な接着テープである。
テープBは、3M Company(St.Paul,MN)から商品名3M(商標)Scotchcal(商標)ElectroCut(商標)Graphic Film Series 7725で市販されているビニル裏材を備える感圧接着テープである。
テープCは、3M Company(St.Paul,MN)から商品名Scotch(商標)Magic(商標)Tape 810で市販されているポリプロピレン裏材を備えるアクリル系感圧接着テープである。
テープDは、3M Company(St.Paul,MN)から商品名Scotch(商標)Book Tape 845で市販されているポリプロピレン裏材を備えるアクリル系感圧接着テープである。
【0079】
本発明の剥離ライナー(剥離コーティングされた基材)は、上記接着テープの1つを、剥離ライナーの剥離コーティングが、そのテープの接着剤を支持している面に面している状態で、積層することにより、これらの経時処理した剥離値について試験した。得られた積層体は、約2.54cmの幅及びおよそ12cmの長さの試験片に切断した(実施例22〜26及び比較例C−13〜C−15についてはおよそ15cmの長さ)。この試験片を次に、下記の様々な実施例に特定されるように、一定の温度及び相対湿度(RH)にてある時間にわたって経時処理した。試験片の剥離ライナー側に適用した2.54cmの幅の二重コーティングされた接着紙テープ(3M Company(St.Paul,MN)から商品名3M(商標)Double Coated Paper Tape 410Bで市販)を用いて、経時処理した試験片をスリップ/剥離テスター(Instrumentors,Inc.(Strongsville,OH)から入手したModel SP2000)の作業板に取り付けた。取り付けた試験片に対して2kgゴムローラーを作業板上で一回転がした。試験片の接着テープを次に、180°及び毎分2.3メートル(毎分90インチ)の速度で剥離することにより、剥離ライナーから取り外し、剥離ライナーから接着テープを取り外すために必要とされた力を5秒のデータ収集時間にわたって測定した。
【0080】
経時処理剥離試験の別の形(下記に示すように、実施例21について使用)では、試験片の接着テープ側に適用した二重コーティングされた接着紙テープを用いて、試験片をスリップ/剥離テスターの作業板に取り付けた。取り付けた試験片に対して2kgゴムローラーを作業板上で一回転がした。試験片の剥離ライナーを次に、180°及び毎分2.3メートル(毎分90インチ)の速度で剥離することにより、接着テープから取り外し、接着テープから剥離ライナーを取り外すために必要とされた力を5秒のデータ収集時間にわたって測定した。
【0081】
すべての剥離試験は、一定温度(23℃)及び一定相対湿度(50パーセント)の設備内で行った。各実施例に対して少なくとも2回の測定を行い、すべての測定値の平均としてデータを報告する。測定はグラム−力/インチで行い、N/dmに変換した。
【0082】
剥離ライナーから接着テープを剥離した後、剥がしたばかりの接着テープ(剥離ライナー無し)を、テープの接着剤を支持する面をパネルに接触させて移動式ガラス製試験パネルに接着することにより、接着テープの後続の(180°剥離)接着力を測定した。取り付けた接着テープを試験パネル上で、まず軽く親指の押圧を用い、次に2kgのゴムロールを毎分61cmの速度で用いて、擦った。次に、テープの後続の接着値を、上記器具及び試験パラメーターを用いて測定した。これらの測定値を確認して、接着値の低下が、剥離ライナーの剥離コーティングによる接着表面の望ましくない汚染に起因して生じているかどうかを判定した。後続接着試験も23℃及び50パーセント相対湿度にて行った。各実施例に対して少なくとも2回の測定を行い、すべての測定値の平均としてデータを報告する。測定はグラム−力/インチ(又は、実施例22〜26及び比較例C−13〜C−15についてはオンス−力/インチ)で行い、N/dmに変換した。
【0083】
実施例1〜10及び比較例C−1〜C−12
キシレン中の反応性ヒドロキシシリル官能性シロキサンポリマー(1つ又は複数)(ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを含むと言われる)とヒドロシリル官能性ポリシロキサン架橋剤(ポリ(メチル)(水素)シロキサンを含むと言われる)のブレンド(商品名Syl−Off(商標)292でDow Corning Corporation(Midland,MI)から入手されたプレミアム剥離コーティング組成物)の30重量パーセント固形分分散体のサンプルをヘプタンで10重量パーセント固形分に希釈した。実施例1〜10及び比較例C−1〜C−12の各々のために、0.02gの触媒(下記の表1に列挙、すべての触媒はAldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した)を5gのSyl−Off(商標)292溶液(ヘプタン中10重量パーセント)に添加し、その後、混合した。得られた混合物を、4番ロッドを用いて、厚さ50マイクロメートルのポリエステルテレフタレート(PET)フィルム(Mitsubishi Polyester Film(Greer,SC)から商品名Hostaphan(商標)3SABで入手、以降3SAB PETフィルムと呼ぶ。シリコーンコーティングの接着を改善するために一方の面が化学的に処理されているか又は下塗りされている)の下塗り面上にコーティングした。得られたコーティングを終えた3SAB PETサンプルを室温(約23℃)にて取っておき、これらの硬化状態(粘着度)をモニターした。コーティングされたサンプルは、コーティングが5分以内に固化した場合に、硬化したとみなした。コーティングされたサンプルは、コーティングが固化せずに室温にて少なくとも24時間にわたって粘着性を維持した場合に、硬化しなかったとみなした。結果を下記の表1に示す。
【0084】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0085】
(実施例11)
9gのSyl−Off(商標)292剥離コーティング組成物、0.1gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手)、16.7gのヘプタン及び4.2gのメチルエチルケトン(MEK)を計量して120mLのガラス製広口びんの中に入れた。ガラス製広口びんを内容物が均質になるまで振盪した。均質な混合物を、厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングした。
【0086】
コーティングされたフィルムをボール紙に貼り付け、その後、周囲条件(約23℃)下に少なくとも3分にわたって放置した。2分後、コーティングはベタベタではなくなったが、軽く指で擦ることで擦り減った。2分40秒後、コーティングは堅固になり、指で擦っても擦り減らなくなった。コーティングされたフィルムを次に、Despatchオーブン(Model RFD2−19−2E、Despatch Industries(Minneapolis,MN)から市販)に配置し、溶媒を除去するために、加熱をOFFにし、換気扇を3分にわたってONにした。
【0087】
(実施例12)
29.4gのSyl−Off(商標)292剥離コーティング組成物、0.1gのDBU、56.4gのヘプタン及び14.1gのMEKを計量し、120mLのガラス製広口びんの中に入れた。ガラス製広口びんを内容物が均質になるまで振盪した。均質な混合物を、厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングした。
【0088】
コーティングされたフィルムをボール紙に貼り付け、その後、周囲条件(約23℃)下に少なくとも3分にわたって放置した。1分30秒後、コーティングは乾燥し、触ると硬化した感触がした。コーティングされたフィルムを次に、Despatchオーブンに配置し、溶媒を除去するために、加熱をOFFにし、換気扇を3分にわたってONにした。
【0089】
(実施例13)
29.4gのSyl−Off(商標)292剥離コーティング組成物、0.05gのDBU、56.4gのヘプタン及び14.1gのMEKを計量し、120mLのガラス製広口びんの中に入れた。ガラス製広口びんを内容物が均質になるまで振盪した。均質な混合物を、厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングした。
【0090】
コーティングされたフィルムをボール紙に貼り付け、その後、周囲条件(約23℃)下に少なくとも3分にわたって放置した。1分15秒後、コーティングは乾燥し、触ると硬化した感触がした。コーティングされたフィルムを次に、Despatchオーブンに配置し、溶媒を除去するために、加熱をOFFにし、換気扇を3分にわたってONにした。
【0091】
(実施例14)
0.1gの2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手)、56.4gのヘプタン、14.1gのMEK及び29.4gのSyl−Off(商標)292剥離コーティング組成物を計量し、示された順序で120mLのガラス製広口びんの中に入れた。ガラス製広口びんを内容物が均質になるまで振盪した。均質な混合物を、厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングした。
【0092】
コーティングされたフィルムをボール紙に貼り付け、その後、周囲条件(約23℃)下に少なくとも3分にわたって放置した。1分30秒後、コーティングは乾燥し、触ると硬化した感触がした。コーティングされたフィルムを次に、Despatchオーブンに配置し、溶媒を除去するために、加熱をOFFにし、換気扇を3分にわたってONにした。
【0093】
(実施例15)
0.05gの2,8,9−トリイソプロピル−2,5,8,9−テトラアザ−1−ホスファビシクロ[3.3.3]ウンデカン(TTP、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手)、56.45gのヘプタン、14.1gのMEK及び29.4gのSyl−Off(商標)292剥離コーティング組成物を計量して240mLのガラス製広口びんの中に入れた。ガラス製広口びんを内容物が均質になるまで振盪した。均質な混合物を、厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングし、フード内に放置して空気乾燥させた(約23℃にて)。コーティングされたフィルムを指で触れる程度まで乾燥させ、数分以内にわたってよく固着させた。
【0094】
(実施例16)
0.34gの100パーセント活性固形分フルオロ官能性シリコーン架橋剤(60重量パーセント超のトリメチルシロキシ末端メチル(ペルフルオロブチルエチル)、メチル水素シロキサンを含むと言われる、Dow Corning Corporation(Midland,MI)から商品名Syl−Off(商標)Q2−7560で入手)及び0.8gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(シラノール末端PDMS、分子量400〜700(MW)、Gelest,Inc.(Morrisville,PA)から商品名GELEST DMS−S12で入手)及び8.86gのヘプタンを混合して、10重量パーセント固形分溶液を調製した。0.04gのDBU触媒をこの溶液に添加した。混合後、得られたばかりの液体を、厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングした。コーティングを乾燥させ、室温にて硬化させた(約23℃にて、約6分後に硬化した)。
【0095】
(実施例17)
実施例11のコーティング溶液(3.3重量パーセントのDBUを含む)を浴寿命調査のために使用した。この調査では、溶液が凝固するかどうか及び/又はいつ凝固するかを判定するために、粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.(Middleboro,MA)製のModel DV−II+)を用いてコーティング溶液の粘度を定期的に測定した。溶液調製の15時間後、溶液は、悪影響を受けた。
【0096】
(実施例18)
実施例11、12及び13のコーティング溶液を室温(約23℃)にて定期的に(経時処理の0、1、2、4及び6時間の時点で)経時処理させ、各溶液を厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングした。コーティングが指により擦り落とされないようになるのに必要とされた経過時間として定義される硬化時間を各コーティングについて(各コーティング溶液について及び各経時処理時間について)判定した。得られた硬化時間を下記の表2に示す。
【0097】
【表4】
【0098】
(実施例19)
実施例11〜15のコーティング溶液を厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングし、このコーティングを硬化させて剥離ライナーを形成した。剥離ライナーを23℃及び70℃にてそれぞれ50%の相対湿度で7日にわたって経時処理した。剥離ライナーについての経時処理剥離値及び後続の接着値を次に、上記試験方法を行うことにより、決定した。得られたデータ(並びに、剥離コーティングしなかったブランクの3SAB PETフィルムについて得られたデータ)を以下の表3に示す。
【0099】
【表5】
【0100】
(実施例20)
実施例11のコーティング組成物を厚さ50マイクロメートルの3SAB PETフィルムの下塗り面上にコーティングし、組成物を硬化させて剥離ライナーを形成した。液体モノマーのアクリル系放射線感受性シロップ(90重量部のイソオクチルアクリレートと10重量部のアクリル酸の混合物、10パーセント未満が重合、本質的には米国特許第4,181,752号(Martens et al.)の実施例1〜7に記載の通り、この記載は参照により本明細書に組み込まれる)を、ノッチ付きバーコースターを用いて、厚さ25マイクロメートルのPETフィルム(Mitsubishi Polyester Film(Greer,SC)から入手)を重ねて剥離ライナー上にコーティングし、公称厚さ50マイクロメートルの連続ウェブを形成した。得られたコーティング済みウェブを次に、アクリルシロップを2つの350BLランプ(Osram Sylvania(Danvers,MA)から入手可能)でのUV−A放射線に、窒素不活性環境下で重ねたPETを介して曝露することにより、転化率が95パーセント超になるまで重合した。硬化すると、重合したシロップは、剥離ライナー上にPETで支持された感圧接着剤(PSA)層を形成した。得られた、25マイクロメートルPETフィルム/50マイクロメートルPSA/PET剥離ライナーの三層構造は、2.54cmの幅×公称12cmの長さの試験サンプル片に切断後、剥離試験した。試験サンプルを試験前に以下の表4に示しているような特定の長さの時間にわたって、23℃の温度及び50パーセントの一定相対湿度で、あるいは、70℃に設定したオーブン内で、経時処理した。上記の経時処理剥離の測定についての方法に従って剥離試験を行い、結果を表4に示す。
【0101】
【表6】
【0102】
(実施例21)
実施例11のコーティング溶液を、ポリエチレンコーティングしたクラフト紙(PCK、1平方メートル当たり156グラムの重量、International Converter(Kaukauna,WI)から入手可能)の一方の面上にコーティングし、得られたコーティングを硬化させて、PCK剥離ライナーを形成した。アクリル系放射線感受性シロップ(90重量部のイソオクチルアクリレートと10重量部のアクリル酸、10パーセント未満が重合)を、ノッチ付きバーコースターを用いて、25厚さ50マイクロメートルのPETフィルムを重ねて、剥離ライナー上にコーティングして、公称厚さ50マイクロメートルのアクリル系シロップの連続ウェブを形成した。得られたコーティング済みウェブを次に、アクリルシロップを2つの350BLランプでのUV−A放射線に、窒素不活性環境下で重ねた厚さ25マイクロメートルのPETを通して曝露することにより、転化率が95パーセント超になるまで重合した。硬化すると、重合したシロップは、剥離ライナー上にPETで支持された感圧接着剤(PSA)層を形成した。得られた、25マイクロメートルPETフィルム/50マイクロメートルPSA/PCK剥離ライナーの三層構造は、2.54cmの幅×公称12cmの長さの試験サンプル片に切断することにより、剥離試験のために調製した。試験サンプルを試験前に以下の表5に示しているような特定の長さの時間にわたって、23℃、32℃又は70℃の温度及び50パーセント、90パーセントの一定相対湿度で、あるいは、湿度制御せずに、経時処理した。上記の別の経時処理剥離試験方法に従って経時処理剥離試験を行い、ここで、PCK剥離ライナーを、PETで支持したPSAから剥がした。得られた結果を以下の表5に示す。
【0103】
【表7】
【0104】
エマルション
実施例22〜26及び比較例C−13〜C−15
DBU−PVAブレンド
6.0gのポリビニルアルコールNJE−249(Kuraray America Inc.(Houston,TX))と54.0gの脱イオン水を計量して、120mL広口びんに入れ、一晩室温(約23℃)にて放置し、粘稠な透明な液体を得た。5.0gのこの溶液に、5.0gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手可能)を添加し、溶液をよく振とうし、すべての成分を混合し、均質な溶液を得た。
【0105】
(実施例22)
10.0gのSYL−OFF(商標)1181エマルションコーティング組成物(酢酸ビニルと共にヒドロキシシリル官能性シロキサンポリマー(1つ又は複数)(ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを含むと言われる)とヒドロシリル官能性シロキサン架橋剤(ポリ(メチル)(水素)シロキサン)とビニルアルコールポリマーの固形分40重量パーセントの水性エマルション、Dow Corning Corporation(Midland,MI)から入手可能)、0.16gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手可能)及び29.84gの脱イオン水を計量して、120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。
【0106】
コーティング基材として光沢面と無光沢面を有する二面58#コロナ処理されたポリオレフィンコーティング済みクラフト紙(Jen Coat Inc.(P.O.Box 274,Westfield,MA)から入手可能)を用いて、本発明の剥離ライナー(剥離コーティングされた基材)を調製した。4番ワイヤ巻き付けロッド(D Specialties(Webster,NY)から入手可能)を用いて、光沢面を本発明の剥離コーティング組成物でコーティングし、コーティング基材上に厚さおよそ9.1マイクロメートルの湿潤フィルムを付着させた。得られたコーティング済みのポリオレフィンでコーティングされたクラフト紙を次に、室温(約23℃)にて8時間にわたって、又は、オーブン内で50℃にて5分にわたって、硬化させた。
【0107】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープDを用い、7日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続いて接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0108】
比較例C−13
10.0gのSYL−OFF(商標)1181エマルションコーティング組成物と0.8gのSYL−OFF(商標)1171A触媒(有機スズ触媒の固形分50重量パーセントの水性エマルション(ジオクチルスズジラウレートを含むと言われる)、Dow Corning Corporation(Midland,MI))から入手可能)と29.2gの脱イオン水を計量して、120mLガラス製広口びんに入れた。ガラス製広口びんを振とうして、すべての成分を混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。
【0109】
コーティング基材として光沢面と無光沢面を有する二面58#コロナ処理されたポリオレフィンコーティング済みクラフト紙(Jen Coat Inc.(P.O.Box 274,Westfield,MA)から入手可能)を用いて、剥離ライナー(剥離コーティングされた基材)を調製した。4番ワイヤ巻き付けロッド(D Specialties(Webster,NY)から入手可能)を用いて、光沢面を本発明の剥離コーティング組成物でコーティングし、コーティング基材上に厚さおよそ9.1マイクロメートルの湿潤フィルムを付着させた。得られたコーティング済みのポリオレフィンでコーティングされたクラフト紙を次に、室温(約23℃)にて8時間にわたって、又は、オーブン内で50℃にて5分にわたって、硬化させた。
【0110】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープDを用い、7日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続いて接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0111】
(実施例23)
10.0gのSYL−OFF(商標)1181エマルションコーティング組成物と29.84gの脱イオン水と0.16gのDBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)を計量して120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。4番ワイヤを巻き付けたロッドで、この溶液を50#粘土コーティングされたクラフト(CCK)紙(Stora Enso(Stamford,CT)から入手可能なLumisil(商標)CCK)上にコーティングした。得られたコーティング済み基材をボール紙に貼付し、オーブン内で50℃にて5分にわたって硬化させた。
【0112】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープCを用い、3日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続く接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0113】
(実施例24)
10.0gのSYL−OFF(商標)1181エマルションコーティング組成物と29.68gの脱イオン水と0.32gのDBUーPVAブレンド触媒(上記)を計量して120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。4番ワイヤを巻き付けたロッドで、この溶液を50#粘土コーティングされたクラフト(CCK)紙(Stora Enso(Stamford,CT)から入手可能なLumisil(商標)CCK)上にコーティングした。得られたコーティング済み基材をボール紙に貼付し、オーブン内で50℃にて5分にわたって硬化させた。
【0114】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープCを用い、3日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続く接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0115】
比較例C−14
10.0gのSYL−OFF(商標)1181エマルションコーティング組成物と29.2gの脱イオン水と0.8gのSYL−OFF(商標)1171A触媒(上記)を計量して120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。4番ワイヤを巻き付けたロッドで、この溶液を50#粘土コーティングされたクラフト(CCK)紙(Stora Enso(Stamford,CT)から入手可能なLumisil(商標)CCK)上にコーティングした。得られたコーティング済み基材をボール紙に貼付し、オーブン内で50℃にて5分にわたって硬化させた。
【0116】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープCを用い、3日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続く接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0117】
(実施例25)
10.0gのSILCOLEASE(商標)PC−168(Bluestar Silicones(East Brunswick,NJ))剥離コーティング組成物(ヒドロキシシリル官能性ポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロシリル官能性ポリシロキサン架橋剤(ポリ(メチル)(水素)シロキサン)とを含む固形分およそ60重量パーセントの水性エマルションであると考えられる)と29.84gの脱イオン水と0.16gのDBU触媒を計量して120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。4番ワイヤを巻き付けたロッドで、この溶液をスーパーカレンダー仕上げクラフト(SCK)紙(Thilmany Pulp and Paper Co.(Kaukauna,WI)から入手可能なRLS 320)上にコーティングした。得られたコーティング済み基材をボール紙に貼付し、オーブン内で50℃にて5分にわたって硬化させた。
【0118】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープCを用い、3日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続く接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0119】
(実施例26)
10.0gのSILCOLEASE(商標)PC−168剥離コーティング組成物と29.68gの脱イオン水と0.32gのDBUーPVAブレンド触媒(上記)を計量して120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。4番ワイヤを巻き付けたロッドで、この溶液をスーパーカレンダー仕上げクラフト(SCK)紙(Thilmany Pulp and Paper Co.(Kaukauna,WI)から入手可能なRLS 320)上にコーティングした。得られたコーティング済み基材をボール紙に貼付し、オーブン内で50℃にて5分にわたって硬化させた。
【0120】
テープC(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)を用い、3日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して、得られた硬化済み剥離ライナーを上記のように剥離及び続く接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0121】
比較例C−15
10.0gのSILCOLEASE(商標)PC−168剥離コーティング組成物と29.2gの脱イオン水と0.8gのSILCOLEASE(商標)PC−94触媒(ジオクチルスズジラウレートを含む水性エマルションであると言われる)を計量し、120mLガラス製広口びんに入れた。このガラス製広口びんを振とうしてすべての成分を充分に混合した。得られた溶液は、乳状の外観を有した。4番ワイヤを巻き付けたロッドで、この溶液をスーパーカレンダー仕上げクラフト(SCK)紙(Thilmany Pulp and Paper Co.(Kaukauna,WI)から入手可能なRLS 320)上にコーティングした。得られたコーティング済み基材をボール紙に貼付し、オーブン内で50℃にて5分にわたって硬化させた。
【0122】
得られた硬化済み剥離ライナーを、テープCを用い、3日にわたって経時処理(23℃、50%相対湿度)して上記のように、剥離及び続く接着について試験した。結果を下記の表6に示す。
【0123】
【表8】
【0124】
本明細書で引用した特許、特許文献、及び公報に含まれる参照された記述内容は、その全体が、それぞれが個々に組み込まれているかのように、参照により組み込まれる。本発明に対する様々な予見できない修正及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。