(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つの送水手段で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定の比率で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御装置であって、
前記泡水溶液生成装置の1つの出口部より分岐して防護区画に至る配管のそれぞれに介在する常閉の開閉手段を特定するデータと、前記送水手段が送出すべき流量に相当する送水手段運転データと、前記泡消火薬剤送液手段が送出すべき流量に相当する泡消火薬剤送液手段運転データとが防護区画に応じて予め登録された記憶手段と、
火災検出手段または手動操作に基づいて消火を行う防護区画を選択する選択手段と、
火災時に、前記記憶手段から前記選択手段によって選択された防護区画に該当する開閉手段を特定するデータと送水手段運転データと泡消火薬剤送液手段運転データとを前記記憶手段から読み出し、読み出した送水手段運転データに基いて前記送水手段を、読み出した泡消火薬剤送液手段運転データに基いて前記泡消火薬剤送液手段を、それぞれ所定の負荷で運転して所定の流量の消火用水と泡消火薬剤を送出するように制御すると共に、読み出した開閉手段の情報に基いて該当する防護区画との間に介在する泡水溶液送液管の開閉手段を開放制御する制御手段と
を備え、
消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できる
ことを特徴とする泡水溶液生成装置の制御装置。
1つの送水手段で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定の比率で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御方法であって、
火災時に、消火を行う防護区画を選択し、選択された防護区画に至る配管だけを開放制御し、選択された防護区画に応じた送水手段運転データに基づいて前記送水手段を制御し、選択された防護区画に応じた消火薬剤送液手段運転データに基づいて前記泡消火薬剤送液手段を制御し、
消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された防護区画だけに送出できる
ことを特徴とする泡水溶液生成装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の課題は、加圧送水装置の消火用水送水流量を、消火する防護区画の泡消火装置に応じて適正に制御することにある。
【0009】
すなわち、従来の泡消火装置の加圧送水装置は、消火ポンプ制御盤を介した起動と、消火ポンプ制御盤の盤面操作による停止しか行っておらず、起動後の加圧送水装置は定格運転による送水しか行っていなかった。これは、大流量の消火用水を必要とする泡消火装置(例えば、泡モニタノズルでは毎分約2000リットルのものがある)が起動した場合も、小流量の消火用水しか必要としない泡消火装置(例えば、泡消火栓では毎分100リットル、固定泡ヘッドでは毎分50リットルのものがある)が起動した場合も、加圧送水装置の運転は一定である。また、消火する防護区画によっては、これらの消火装置が複数配設されるため、必要とする流量差は更に拡がり、大きな差となる。このため、必要とされる消火用水が少量の場合は、配管等に過剰な圧力が加わったり、圧力が急激に上昇した場合は配管等に衝撃を与えたりして、ウォーターハンマーと呼ばれる現象を生じる可能性があった。
【0010】
なお、特許文献1および2に記載された加圧送水装置は、インバータ制御によって流量を制御できることを示しているが、専ら消火用水と泡消火薬剤の混合比を制御する泡消火薬剤混合システムについて記載しているに過ぎない。
【0011】
本発明の第2の課題は、作動する泡消火装置に応じて大きく変化する流量に対し、所定の混合比の消火用泡水溶液を安定的に生成することができる泡消火設備を得ることにある。すなわち、従来の泡消火設備は、泡水溶液生成装置の二次側に、泡消火装置の種類毎に必要な圧力を得るように二次圧制御弁を設けているが、そこを通過する消火用泡水溶液の流量は作動する泡消火装置の種類や数量によって大きく異なるので、泡消火装置全体での消火用水総流量は一定とはならない。例えば泡消火装置の種類については、先に述べたように、固定泡ヘッドにおける毎分50リットル程度のものから、泡モニタノズルにおける毎分約2000リットルのものまであり、2桁も差がある。
【0012】
したがって、(ベンチュリー効果等を利用した)従来の混合器を通過する消火用水の流量も作動する泡消火装置毎に異なってくるので、所定の消火用水に対して所定の泡消火薬剤を所定の比率で混合する混合器で混合比を一定に保つことは困難である。例えば、一般的なベンチュリー効果を利用した混合器では、使用流 量範囲が、毎分100〜450リットル、毎分200〜900リットル、毎分300〜1350リットル、毎分400〜1800リットル、毎分700〜3150リットル、毎分1900〜8550リットルと、多数の機種が使用流量範囲に応じて用意されているが、これらを使い分けていたのである。
【0013】
また、使用流量範囲が特に広い混合器では、毎分80〜2000リットル、毎分200〜5000リットルといった機種も用意されているが、非常に高価なものであり、消火設備によっては、この使用流量範囲内で対応できるとは限らない。
【0014】
流量の範囲が大き過ぎて所定の混合比が得られない場合は、防護区画毎の泡消火装置に応じて、流量レンジの異なる混合器を複数備えねばならないこともあり、泡消火設備の設計や施工を困難なものとしていた。
【0015】
本発明の第3の課題は、上記のように流量範囲が大きな状況において、高い希釈率の泡消火薬剤を用いた場合でも、所定の混合比の泡水溶液を安定的に得られるようにすることにある。すなわち、従来の泡消火薬剤は希釈率3%程度で用いるものであったが、近年になって希釈率1%程度で用いる泡消火薬剤が出現し、 泡原液タンクの小型化を期待できようになった。しかしながら、従来の装置で精度良く高い希釈率で混合することは困難であり、前記の如く大きな使用流量範囲が存在する状況では更に困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は、1つの送水手段で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定の比率で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御装置であって、前記泡水溶液生成装置の1つの出口部より分岐して防護区画に至る配管のそれぞれに介在する常閉の開閉手段を特定するデータと、前記送水手段が送出すべき流量に相当する送水手段運転データと、前記泡消火薬剤送液手段が送出すべき流量に相当する泡消火薬剤送液手段運転データとが防護区画に応じて予め登録された記憶手段を備える。
【0017】
さらに、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は、火災検出手段または手動操作に基づいて消火を行う防護区画を選択する選択手段を備える。
【0018】
さらに、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は、火災時に、前記記憶手段から前記選択手段によって選択された防護区画に該当する開閉手段を特定するデータと送水手段運転データと泡消火薬剤送液手段運転データとを前記記憶手段から読み出し、読み出した送水手段運転データに基いて前記送水手段を、読み出した泡消火薬剤送液手段運転データに基いて前記泡消火薬剤送液手段を、それぞれ所定の負荷で運転して所定の流量の消火用水と泡消火薬剤を送出するように制御すると共に、読み出した開閉手段の情報に基いて該当する防護区画との間に介在する泡水溶液送液管の開閉手段を開放制御する制御手段とを備える。
【0019】
そして、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できることを特徴とするものである。
【0020】
(2)また、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御方法は、1つの送水手段で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定の比率で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御方法であって、火災時に、消火を行う防護区画を選択し、選択された防護区画に至る配管だけを開放制御し、選択された防護区画に応じた送水手段運転データに基づいて前記送水手段を制御し、選択された防護区画に応じた消火薬剤送液手段に基づいて前記
泡消火薬剤送液手段を制御し、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された防護区画だけに送出できることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は(1)の構成によれば、また本発明に係る泡水溶液生成装置の制御方法は(2)の方法によれば、消火する防護区画に対応した配管のみに対応した流量と混合比の消火用泡水溶液を安定に送液することができる。ひいては、配管が過剰に高い圧力に晒されることがなく、クリープやウォーターハンマーといった現象を抑制することができるので配管等の負担を軽減することができ、従来の二次圧制御弁を、調圧機能を有しない安価な開放弁に置き換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態1]
図1に基いて本発明の実施の形態に係る泡消火設備を説明する。
【0024】
まず、本実施の形態に係る泡消火設備の流体系構成を説明する。
【0025】
消火を行う防護対象である石油タンクT1、T2、駐車場、等に応じて消火活動単位である複数の防護区画を適宜設定し、該防護区画毎に防護対象の消火に適した泡消火装置として、フォームメイクチャンバC、泡モニタノズルN1およびN2、固定泡ヘッドH1およびH2、泡消火栓M1およびM2を配設する。
【0026】
前記泡消火装置にはそれぞれ泡水溶液送液管である配管が連結され、該配管は防護区画毎にその直近に設けた第2の弁である区画選択弁11、12、21、22、41、42、および消火栓弁31、32の二次側へ連結される。
【0027】
該区画選択弁の一次側は複数の防護区画をいくつかにまとめて泡水溶液送液管である配管を介して第1の弁である開放弁100、200、300、400の二次側へ連結され、該開放弁100、200、300、400の一次側は1つの泡水溶液送液管である配管にまとめられて泡水溶液生成装置70の二次側に連結さ れる。
【0028】
そして前記泡水溶液生成装置70の一次側は、消火用水を圧送する加圧送水装置5を介して消火用水用の配管で防火水槽2に連通し、該防火水槽2に貯留された消火用水内に開口し、前記加圧送水装置5を運転することによって消火用水を汲み上げて、前記泡水溶液生成装置70へ給水するようになっている。
【0029】
次に本実施形態に係る泡消火設備の電気系構成を説明する。
【0030】
本実施形態に係る泡消火設備は、加圧送水装置5をインバータ制御する消火ポンプ制御盤60と、泡水溶液生成装置70内に備えられ後述する泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御する泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と、泡消火設備全体を制御する泡消火設備制御盤91と、を備える。
【0031】
前記泡消火設備制御盤91は、信号出力部905と、表示・操作部906と、記憶部907と、制御部909とを備える。
【0032】
前記信号出力部905、前記表示・操作部906、前記記憶部907は、それぞれ前記制御部909と電気的に接続され、該制御部909によって制御される。
【0033】
前記信号出力部905は前記開放弁100、200、300、400、および前記区画選択弁11、12、21、22、41、42と電気的に接続され、また、前記制御部909は、前記消火ポンプ制御盤60および前記泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と電気的に接続される。
【0034】
前記記憶部907は、防護区画に応じて、火災時に開放する開放弁および区画選択弁、加圧送水装置5の送出すべき流量に相当する運転データ、泡消火薬剤送液ポンプの送出すべき流量に相当する運転データ、および、泡消火設備制御盤の制御プログラムを予め格納している。
【0035】
以下、泡消火装置を構成する装置の主なものを更に詳細に説明する。
【0036】
<泡水溶液生成装置>
泡水溶液生成装置70は、泡消火薬剤を貯留した泡原液タンク30と、該泡原液タンク30から泡消火薬剤を圧送する泡消火薬剤送液ポンプ7と、前記泡原液タンク30内の泡消火薬剤に前記消火用水が混入しないように設けた逆止弁86と、を備え、一次側は加圧送水装置5へ、二次側は開放弁100、200、300、400へとそれぞれ連結しており、逆止弁86の二次側の配管において、加圧送水装置5から流入する消火用水と、泡消火薬剤送液ポンプ7から圧送される泡消火薬剤とを、それぞれ所定の流量で送出して混合し、所定の濃度の消火用泡水溶液を生成する。
【0037】
<泡消火設備制御盤>
前記制御部909は、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と電気的に接続され、それぞれに対して運転指令を送出するとともにそれぞれのポンプの運転データを与える。
【0038】
消火を行う防護区画は、前記表示・操作部906を操作して選択する。このとき、複数の防護区画の同時選択は行わず、1つの防護区画しか選択できないように制御する。前記制御部909は、選択された区画に応じて前記記憶部907に予め記憶させておいたデータを読み出し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬 剤送液ポンプ制御盤61へ運転を指令するとともに、送出すべき流量に応じた運転データを送出し、前記信号出力部905を介して開放すべき開放弁および区画選択弁を開放制御する。
【0039】
また、前記記憶部907は、泡消火設備制御盤91の制御プログラムを格納し、動作させる泡消火装置に応じて連動させる開放弁および区画選択弁を予め登録しておく。また、前記表示・操作部906は、備わった表示装置によって泡消火設備の運転状況を表示し、オペレーターが運転状況を把握できるようにする。
【0040】
<消火ポンプ制御盤>
消火ポンプ制御盤60は、前記泡消火設備制御盤91の制御部909からの運転指令と前記運転データに基いて加圧送水装置5をインバータ制御する。すなわちし、消火ポンプ制御盤60と加圧送水装置5とで消火用水の送水流量を制御する機能を備える。これによって、前記泡消火設備制御盤91の指令にしたがい、 所定の流量で消火用水を泡水溶液生成装置70へ送出する。
【0041】
<泡消火薬剤送液ポンプ制御盤>
泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61は、前記泡消火設備制御盤91の制御部909からの運転指令と前記運転データに基いて泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御する。すなわち、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と泡消火薬剤送液ポンプ7とで泡消火薬剤の送液流量を制御する機能を備える。これによって、前記泡 消火設備制御盤91の指令にしたがい、所定の流量で泡消火薬剤を送出する。
【0042】
<開放弁および区画選択弁>
前記泡水溶液生成装置70から送出される泡水溶液は、その二次側の開放弁へ送られる。従来この部分には二次圧制御弁が用いられ、消火用泡水溶液を所定の圧力に減圧して泡消火装置に送出していたが、前記泡水溶液生成装置70は消火を行う防護区画の泡消火装置に必要かつ十分な流量の消火用泡水溶液を制御して送出し、前記泡消火装置へは所定の圧力範囲となるように制御されるので、従来用いていた二次圧制御弁を設ける必要はなく、その部分を単に遠隔制御で開放するだけの安価な開放弁とすることができる。
【0043】
<泡消火装置>
泡による消火を行う泡消火装置には、図示したように、前記エアフォームチャンバCの他に、泡モニタノズルN1、N2、泡消火栓M1、M2、固定泡ヘッドH1、H2、等があり、それぞれが必要とする消火用泡水溶液の流量と圧力は異なる。これらの泡消火装置は、供給された消火用泡水溶液に外気を混合して消火 用泡を生成し、消火用泡が有する断熱効果による火災抑制および窒息効果による窒息消火等の初期消火を行う。
【0044】
<動作説明>
以上のように構成される泡消火設備の動作について説明する。
火災発生時、オペレーターは泡消火設備制御盤91の表示・操作部906を操作し、消火を行う防護対象が属する防護区画を選択し、該防護区画に対する消火を指令する。前記表示・操作部906からの信号を受けた前記制御部909は、選択された防護区画に応じたデータを前記記憶部907より読み出し、前記信号 出力部905を介して所定の開放弁および区画選択弁を選択して開放し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61に運転を指令し、運転データを与え、加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7を所定の負荷で運転して所定の流量を送出するように運転し、消火用水と泡消火薬剤とを、使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率に応じて所定の比率(例えば3%または1%)で混合した消火用泡水溶液を生成し、開放した前記開放弁および前記区画選択弁を経由して、消火を行う前記泡消火装置に前記消火用泡水溶液を圧送する。
【0045】
消火を行う前記泡消火装置は、供給された前記消火用泡水溶液に外気を混合して発泡させ、生成した消火用泡を前記防護対象に対して放出し、初期消火を行う。
【0046】
例えば、説明の便宜のために消火を行う区画を石油タンクT1と定めると、オペレーターは、前記泡消火設備制御盤91の前記表示・操作部906を操作して、前記石油タンクT1が属する防護区画を指定し消火開始の指令を行う。
【0047】
前記泡消火設備制御盤91は、前記表示・操作部906からの信号を前記制御部909で受け、指定された防護区画について予め登録されているデータを前記記憶部907より読み出し、該データに応じて、前記信号出力部905を介して開放弁100および区画選択弁11に制御信号を送出し、これらを開放する。
【0048】
また、前記制御部909は、前記運転データに応じて、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61に運転指令および運転データを与え、加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7を所定の負荷で運転してそれぞれ所定の流量を送出するように運転し、前記泡水溶液生成装置70において消火用水 と泡消火薬剤とを使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率に応じて所定の比率(例えば3%または1%)で混合した消火用泡水溶液を生成する。
【0049】
前記泡水溶液生成装置70で生成された所定の流量および濃度の消火用泡水溶液は、開放弁100および区画選択弁11を経由して石油タンクT1に配設されたエアフォームチャンバCに圧送され、該エアフォームチャンバCは消火用泡水溶液に外気を混合して発泡させて消火用泡を生成し、前記石油タンクT1へ送出 し、その液面を覆って窒息消火を行う。
【0050】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を
図2に基いて説明する。
図2において実施の形態1と同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
本実施の形態における構成が実施の形態1における構成と異なる点は、開放弁100、200、300、400が二次圧制御弁10、20、30、40となった点と、消火設備制御盤91とその構成要素の制御部909がそれぞれ消火設備制御盤92と制御部910となった点とである。これらは実施の形態1の構成に おいて置き換えられ、その他の装置、配管との結合関係は変わらない。
【0052】
すなわち、本実施の形態に係る泡消火設備の流体系構成において、区画選択弁11、12、21、22、41、42および消火栓弁31、32の一次側は複数の防護区画をいくつかにまとめて泡水溶液送液管である配管を介して、二次圧制御弁10、20、30、40の二次側へ連結され、該二次圧制御弁の一次側は1つの泡水溶液送液管である配管にまとめられて泡水溶液生成装置70の二次側に連結される。
【0053】
前記泡消火設備制御盤92は、信号出力部905と、表示・操作部906と、記憶部907と、制御部910とを備える。
【0054】
前記信号出力部905、前記表示・操作部906、前記記憶部907は、それぞれ前記制御部910と電気的に接続され、該制御部910によって制御される。
【0055】
以下、泡消火装置を構成する装置の主なものについて、実施の形態1と異なるものを更に詳細に説明する。
【0056】
<泡消火設備制御盤>
泡消火設備制御盤92は、信号出力部905、表示・操作部906、記憶部907、制御部910を備える。
【0057】
前記制御部910は、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ61と電気的に接続され、それぞれに対して運転指令を送出するとともに運転データを与える。
【0058】
消火を行う区画は、前記表示・操作部906を操作して選択する。このとき、防火水槽2の容量と、泡原液タンク30の容量と、加圧送水装置5の送出流量上限と、泡消火薬剤送液ポンプの送出流量上限とが許容する限り、複数の防護区画の同時選択を許容し、選択する複数の防護区画で要する消火用泡水溶液の流量の 総和によって、同時動作数の制限を行う。
【0059】
前記制御部910は、選択された区画に応じて前記記憶部907に予め記憶させておいたデータを読み出し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61へ運転を指令するとともに、送出すべき流量総和に応じた運転データを送出し、前記信号出力部905を介して開放すべき二次圧制御弁および区画 選択弁を開放制御する。
【0060】
また、前記記憶部907は、泡消火設備制御盤92の制御プログラムを格納し、動作させる泡消火装置に応じて連動する二次圧制御弁および区画選択弁を予め登録しておく。また、前記表示・操作部906は、備わった表示装置によって泡消火設備の運転状況を表示し、オペレーターが運転状況を把握できるようにする。
【0061】
<二次圧制御弁>
前記泡水溶液生成装置70から送出される泡水溶液は、その二次側の二次圧制御弁10、20、30、40へ送られる。二次圧制御弁10、20、30、40は、平常時は閉止しており、火災時は泡消火設備制御盤92の信号出力部905からの指令によって開放する。さらに、二次圧制御弁は、一次側に加わる消火用 泡水溶液を予め設定した所定の圧力に減圧して二次側に送出し、泡消火装置に供給する。
【0062】
<動作説明>
以上のように構成される泡消火設備の動作について説明する。
火災発生時、オペレーターは泡消火設備制御盤92の表示・操作部906を操作し、消火を行う防護対象が属する防護区画を選択し、該防護区画に対する消火を指令する。このとき、防火水槽2の容量と、泡原液タンク30の容量と、加圧送水装置5の送出流量上限と、泡消火薬剤送液ポンプの送出流量上限とが許容する限り、複数の防護区画の同時選択を許容し、選択する複数の防護区画で要する消火用泡水溶液の流量の総和によって、同時動作数の制限を行う。
【0063】
前記表示・操作部906からの信号を受けた前記制御部910は、選択された防護区画に応じたデータを前記記憶部907より読み出し、前記信号出力部905を介して所定の二次圧制御弁および区画選択弁を選択して開放し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61に運転を指令して運転データを与え、加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7を所定の負荷で運転して所定の流量の総和を送出するように運転し、消火用水と泡消火薬剤とを、使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率に応じて所定の比率(例えば3%または1%)で混合した消火用泡水溶液を生成し、開放した前記二次圧制御弁および前記区画選択弁を経由して、消火を行う前記泡消火装置に前記消火用泡水溶液を圧送する。
【0064】
消火を行う前記泡消火装置は、供給された前記泡水溶液に外気を混合して発泡させ、生成した消火用泡を前記防護対象に対して放出し、初期消火を行う。
【0065】
例えば、説明の便宜のために消火を行う区画を石油タンクT1および泡モニタノズルN1と定めると、オペレーターは、前記泡消火設備制御盤92の前記表示・操作部906を操作して、前記石油タンクT1および泡モニタノズルN1が属する複数の防護区画を指定し消火開始の指令を行う。
【0066】
前記泡消火設備制御盤92は、前記表示・操作部906からの信号を前記制御部910で受け、指定された防護区画について予め登録されているデータを前記記憶部907より読み出し、該データに応じて、前記信号出力部905を介して二次圧制御弁10および20と区画選択弁11および21に制御信号を送出し、 これらを開放する。
【0067】
また、前記制御部910は、前記データに応じて、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61に運転指令および運転データを与え、加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7を所定の負荷で運転して所定の流量の総和を送出するように運転し、前記泡水溶液生成装置70において消火用水と泡消 火薬剤とを使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率に応じて所定の比率(例えば3%または1%)で混合した消火用泡水溶液を生成する。
【0068】
前記泡水溶液生成装置70で生成された所定の流量および濃度の消火用泡水溶液は、二次圧制御弁10および20と区画選択弁11および21を経由して石油タンクT1および泡モニタノズルN1に配設されたエアフォームチャンバCおよび泡モニタノズルN1に圧送され、該エアフォームチャンバCおよび泡モニタノ ズルN1は消火用泡水溶液に外気を混合して発泡させて消火用泡を生成し、前記石油タンクT1および泡モニタノズルN1へ送出し、前記石油タンクT1の液面、および、泡モニタノズルが照準を定めた火点を覆って窒息消火を行う。
【0069】
このように、本実施の形態の泡消火設備は、消火を行う区画に応じて予め定められた流量の消火用水をインバータ制御で送出し、この消火用水に予め定められた流量の泡消火薬剤をインバータ制御で送出して混合するとともに、泡水溶液生成装置70の二次側に二次圧制御弁を設け、複数の泡消火装置の同時動作を可能 としたものである。
【0070】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3を
図3に基いて説明する。
図3において実施の形態1と同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0071】
本実施の形態における構成が実施の形態1における構成と異なる点は、火災検出装置Dと、火災受信盤Rと、現地操作盤Lとを新たに設け、実施の形態1における泡消火設備制御盤91に代えて泡消火設備制御盤96を備えたことである。前記泡消火設備制御盤96は、実施の形態1における前記泡消火設備制御盤91 の制御部909と記憶部907に代えて、それぞれ制御部911と記憶部908を備え、新たに信号入力部904を備える。
【0072】
また、前記火災検出装置Dは前記火災受信盤Rと、該火災受信盤Rは前記泡消火設備制御盤96の前記信号入力部904と、前記現地操作盤Lは前記泡消火設備制御盤96の前記信号入力部904と、それぞれ電気的に接続される。
【0073】
以下、泡消火装置を構成する装置の主なものについて、実施の形態1と異なるものを更に詳細に説明する。
【0074】
<火災検出装置>
火災検出装置Dは、自動消火を行う防護区画毎に、該防護区画内を監視するように単数または複数を配設し、火災を検出した際は電気的に接続された火災受信盤Rに対し、防護区画毎に火災信号を送出する。
【0075】
<火災受信盤>
火災受信盤Rは、防護区画毎に配設された前記火災検出装置Dと、泡消火設備制御盤96の信号入力部904とに、それぞれ電気的に接続される。前記火災検出装置Dから火災信号を受信すると、その防護区画の情報とともに火災発生の信号を前記消火設備制御盤96へ送出する。
【0076】
<現地操作盤>
現地操作盤Lは、泡消火設備制御盤96の信号入力部904と電気的に接続され、防護区画を目視できる位置に単数または複数設けられる。火災発生時、火災現場近くにいるオペレーターは現地操作盤Lの盤面を操作し、電気的に接続された泡消火設備制御盤96に信号を送出して、前記現地操作盤Lが受け持つ防護区 画の泡消火装置の動作を遠隔操作して消火を行う。
【0077】
なお、図示しないが、前記泡消火設備制御盤96の信号出力部905を介して、泡消火設備の運転状況の信号を受信して盤面に表示して、オペレーターが状況を把握するようにしても良い。
【0078】
また、手動操作で消火を行う場合、泡消火設備制御盤96のオペレーターと現地操作盤Lのオペレーターが同時に操作を行うと混乱を生じることがあるので、双方から同時に操作できないように、優先権を設けて操作を行う機能を前記泡消火設備制御盤96に設けておく。具体的には、手動操作に先立って操作する、操作権限を要求する操作スイッチを、前記現地操作盤Lの盤面、および、前記泡消火設備制御盤96の盤面に 設けておき、その操作によって操作の権限を付与するように前記泡消火設備制御盤96の制御部911で制御する。なお、手動操作権限の付与方法については、先着優先での排他制御、泡消火設備制御盤96の操作が優先する中央優先、現地操作盤Lの操作が優先する現地優先、後続優先(すなわち実質的に優先順位が無 い)での排他制御、など、泡消火設備を設ける現場の管理事情に応じて適宜選択する。
【0079】
<泡消火設備制御盤>
泡消火設備制御盤96は、信号入力部904、信号出力部905、表示・操作部906、記憶部908、制御部911を備える。
【0080】
前記制御部911は、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ61と電気的に接続され、それぞれに対して運転指令を送出するとともに運転データを与える。
【0081】
消火を行う区画の選択は、前記表示・操作部906をオペレーターが操作することの他に、火災受信盤Rから火災が発生した防護区画の情報を含む火災信号を前記信号入力部904が受信すること、および、現地操作盤Lにおいてオペレーターがその盤面を操作することによって行われ、選択された防護区画の消火を行 う。
【0082】
このとき、複数の区画の同時選択は受け付けない。前記制御部911は、選択された区画に応じて前記記憶部908に予め記憶させておいたデータを読み出し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61へ運転を指令するとともに、送出すべき流量に応じた運転負荷データを送出し、前記信号出力部905を介して開放すべき開放弁および区画選択弁を開放制御する。
【0083】
また、前記記憶部908は、火災信号によって自動的に連動して消火を行う制御と、現地操作盤Lからの遠隔操作の制御と、現地操作盤Lと泡消火設備制御盤96における前記手動操作権限の制御とを含む、泡消火設備制御盤96の制御プログラムを格納し、また、前記表示・操作部906は、備わった表示装置によって泡消火設備の運転状況を表示し、オペレーターが運転状況を把握できるようにする。
【0084】
<動作説明>
実施の形態1に記載した動作の他に、所定の防護区画を目視できる距離に設けた現地操作盤Lからの手動操作による遠隔制御信号を前記泡消火設備制御盤96の信号入力部904が受信すると、該防護区画の泡消火装置を起動して消火を行う。また、所定の防護区画を監視する火災検出装置Dの発報を以て、該火災検出装 置Dからの火災信号を、火災受信盤Rを介して前記泡消火設備制御盤96の信号入力部904が受信すると、該防護区画の消火装置を自動的に起動し消火を行う。
【0085】
なお、図示しないが、実施の形態2に火災検出装置Dと火災受信盤R、および、現地操作盤Lを設ける構成も実施可能である。この場合は、実施の形態1で行う消火する防護区画数の制限は行わず、実施の形態2と同様に複数の防護区画の同時消火を可能とする。