(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光源と基材との間に透光板が介在すると、基材の主面に光源を十分に接近させることができない。また、透光板の表面における光の反射や、透光板内への光の吸収によって、フラッシュ光の光量が減少する。これにより、基材の主面に与えられるエネルギーが減少する。
【0007】
また、石英ガラス等の透光板を使用すると、光照射装置の製造コストが上昇する。特に、近年では、処理対象となる基材の大型化に伴い、透光板も面積・厚みともに大きくなり、これにより、透光板にかかる材料コストが、さらに上昇する傾向がある。また、従来の構造では、基材が大型化すると、基材を収容する処理室も大きくせざるを得ない。そうすると、処理室へ充填する処理ガスの使用量が増加する。その結果、光照射装置のランニングコストも上昇する。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、石英ガラス等の透光板を介することなく、基材の主面にフラッシュ光を照射でき、かつ、フラッシュ光が照射される空間の容積を抑えることができる光照射装置および光照射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、基材の主面にフラッシュ光を照射する光照射装置であって、前記基材を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記基材の主面にフラッシュ光を照射する光照射部と、前記光照射部を単一の内部空間に収容するとともに前記基材側に開口部を有する筐体と、前記筐体の前記開口部の周縁に設けられたシール部材と、前記基材の主面と前記シール部材とが接触および離間するように、前記基材および前記シール部材を相対的に移動させる接離機構と、を備え
、前記基材の主面と前記シール部材とを接触させたときに、前記基材の主面と前記筐体とで、単一の閉空間が形成され、前記閉空間に配置された前記光照射部から、前記基材の主面にフラッシュ光を照射する。
【0010】
本願の第2発明は、第1発明の光照射装置において、前記筐体の前記開口部は、前記基材の主面より小さく、前記基材と前記筐体とを、前記基材の主面と平行な方向に相対移動させる搬送機構をさらに備える。
【0011】
本願の第3発明は、第2発明の光照射装置において、前記筐体の位置が固定され、前記搬送機構は、前記基材を移動させる。
【0012】
本願の第4発明は、第3発明の光照射装置において、前記基材はシート状または薄板状である。
【0013】
本願の第5発明は、第4発明の光照射装置において、前記基材は、柔軟に湾曲可能なシート状の基材であり、前記搬送機構は、前記保持部より搬送方向の上流側において、前記基材を送り出す送り出しローラと、前記保持部より搬送方向の下流側において、前記基材を巻き取る巻き取りローラと、を有する。
【0014】
本願の第6発明は、第5発明の光照射装置において、前記保持部は、前記基材に対して張力を付与しつつ、前記基材を支持する。
【0015】
本願の第7発明は、第6発明の光照射装置において、前記保持部は、基材を支持する複数のローラを有する。
【0016】
本願の第8発明は、第4発明の光照射装置において、前記保持部は、基材を支持するテーブルを有する。
【0017】
本願の第9発明は、第1発明から第8発明までのいずれかの光照射装置において、前記保持部は、前記基材の主面が下側を向く状態で、前記基材を略水平に保持し、前記光照射部および前記筐体は、前記保持部に保持された前記基材の下側に配置される。
【0018】
本願の第10発明は、第1発明から第9発明までのいずれかの光照射装置において、前記筐体の内部へガスを供給するガス供給部をさらに備える。
【0019】
本願の第11発明は、第10発明の光照射装置において、前記ガスは不活性ガスである。
【0020】
本願の第12発明は、第11発明の光照射装置において、前記不活性ガスは窒素ガスである。
【0021】
本願の第13発明は、第1発明から第12発明までのいずれかの光照射装置において、前記筐体内の気体を排気する排気部をさらに備える。
【0022】
本願の第14発明は、第1発明から第13発明までのいずれかの光照射装置において、前記基材は、樹脂からなる。
【0023】
本願の第15発明は、基材の主面にフラッシュ光を照射する光照射方法であって、a)基材の主面と、基材の主面側に開口部を有する筐体とを用いて、単一の閉空間を形成する工程と、b)前記工程a)の後に、前記閉空間に配置された光照射部から、前記基材の主面にフラッシュ光を照射する工程と、c)前記工程b)の後に、前記閉空間を開放する工程と、を含む。
【0024】
本願の第16発明は、第15発明の光照射方法において、前記筐体の前記開口部は、前記基材の主面より小さく、前記基材と前記筐体とを、前記基材の主面と平行な方向に相対移動させつつ、前記工程a)、前記工程b)、および前記工程c)を繰り返す。
【0025】
本願の第17発明は、第15発明または第16発明の光照射方法において、前記工程b)では、前記筐体の内部へガスを供給しつつ、前記光照射部からフラッシュ光を照射する。
【発明の効果】
【0026】
本願の第1発明〜第14発明によれば、基材の主面、筐体、およびシール部材により構成される閉空間内で、石英ガラス等の透光板を介することなく、基材の主面にフラッシュ光を照射できる。このため、フラッシュ光のエネルギーロスを抑えることができるとともに、光照射装置の製造コストを抑えることができる。また、フラッシュ光が照射される空間の容積を抑えることができる。
【0027】
特に、本願の第2発明によれば、筐体のサイズを抑えて、フラッシュ光の照射効率をより高めつつ、基材の主面全体にフラッシュ光を照射できる。
【0028】
特に、本願の第3発明によれば、筐体を移動させるための機構が不要となる。また、筐体に対するケーブルや配管の接続が容易となる。
【0029】
特に、本願の第5発明によれば、シート状の基材を断続的に搬送しつつ、基材の主面にフラッシュ光を照射できる。
【0030】
特に、本願の第6発明によれば、基材の撓みを防止することにより、基材の主面に、より均一にフラッシュ光を照射できる。
【0031】
特に、本願の第9発明によれば、光照射部のメンテナンス作業を、筐体の上部から開口を介して容易に行うことができる。また、仮に光照射部が破損したとしても、その破片が基材側へ飛散することを抑制できる。また、光照射部から生じたパーティクルが、基材に付着することも抑制できる。
【0032】
特に、本願の第10発明によれば、フラッシュ光の照射処理に必要なガスを、筐体の内部空間へ供給できる。特に、光照射部を冷却するためのガスと、基材の主面付近に供給すべきガスとを、単一の筐体内に供給すればよいので、ガスの使用量を低減できる。
【0033】
特に、本願の第11発明によれば、フラッシュ光の照射に伴う基材の酸化を抑制できる。
【0034】
また、本願の第15発明〜第17発明によれば、基材の主面と筐体とを用いて構成される閉空間内で、石英ガラス等の透光板を介することなく、基材の主面にフラッシュ光を照射できる。このため、フラッシュ光のエネルギーロスを抑えることができる。また、フラッシュ光が照射される空間の容積を抑えることができる。
【0035】
特に、本願の第16発明によれば、筐体のサイズを抑えて、フラッシュ光の照射効率をより高めつつ、基材の主面全体にフラッシュ光を照射できる。
【0036】
特に、本願の第17発明によれば、フラッシュ光の照射処理に必要なガスを、筐体の内部空間へ供給する。光照射部を冷却するためのガスと、基材の主面付近に供給すべきガスとを、単一の閉空間に供給すればよいので、ガスの使用量を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0039】
<1.第1実施形態>
<1−1.光照射装置の構成について>
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に係る光照射装置1の構成を示した図である。この光照射装置1は、一対のローラ11,13の間で長尺なシート状の基材9を搬送しつつ、基材9の主面91にフラッシュ光を照射する装置である。フラッシュ光の照射対象となる基材9は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド等の樹脂からなり、柔軟に湾曲する。
図1および
図2に示すように、本実施形態の光照射装置1は、基材搬送機構10、光照射部20、ランプハウス30、シール部材40、接離機構50、ガス供給部60、排気部70、および制御部80を備えている。
【0040】
基材搬送機構10は、基材9を、その長手方向に沿って搬送するための機構である。基材搬送機構10は、送り出しローラ11、一対の中間ローラ12、および巻き取りローラ13を有する。送り出しローラ11は、一対の中間ローラ12より搬送方向の上流側に位置する。巻き取りローラ13は、一対の中間ローラ12より搬送方向の下流側に位置する。送り出しローラ11および巻き取りローラ13を回転させると、基材9は、送り出しローラ11から送り出され、一対の中間ローラ12により規定される搬送経路14に沿って水平に搬送され、その後、巻き取りローラ13へ巻き取られる。
【0041】
一対の中間ローラ12は、基材9に接触しつつ回転することで、基材9を支持しつつ案内する。すなわち、本実施形態では、一対の中間ローラ12が、基材搬送機構10の一部であるとともに、基材9を保持する保持部となっている。基材9は、一対の中間ローラ12の間において、処理対象となる主面91が下側を向く状態で、略水平に(主面91と平行な方向に)搬送される。また、一対の中間ローラ12に基材9が接触することで、基材9に張力が付与される。これにより、基材9の撓みが防止され、後述するフラッシュ光の照射処理の際に、基材9の主面91に、フラッシュ光を均一に照射することができる。
【0042】
光照射部20は、一対の中間ローラ12に保持された基材9の主面91に、フラッシュ光を照射するための機構である。光照射部20は、基材9の搬送経路14の下方に配置されている。光照射部20は、複数の棒状のフラッシュランプ21と、リフレクタ22とを有する。複数のフラッシュランプ21は、同一水平面上において、互いに平行となるように配置されている。また、
図1および
図2に概念的に示したように、複数のフラッシュランプ21は、ケーブル23を介して、電源装置24に接続されている。複数のフラッシュランプ21は、電源装置24から供給される電圧に応じて、フラッシュ光を出射する。
【0043】
リフレクタ22は、複数のフラッシュランプ21の全体を下側から覆うように、配置されている。フラッシュランプ21から出射されたフラッシュ光の一部は、直接基材9側へ向かう。また、フラッシュランプ21から出射されたフラッシュ光の他の一部は、リフレクタ22により反射されて、基材9側へ向かう。これにより、基材9側へ向かうフラッシュ光の量が増加し、基材9の主面91に、より効率よくフラッシュ光が照射される。
【0044】
フラッシュランプ21には、例えば、キセノンフラッシュランプを用いることができる。キセノンフラッシュランプは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、当該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを有する。キセノンガスは、電気的には絶縁体であるため、コンデンサに電荷が蓄積されていたとしても、通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサに蓄えられた電気が両端電極間の放電によってガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子または分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプでは、予めコンデンサに蓄えられていた静電エネルギーが、0.1ミリ秒〜100ミリ秒という極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯のランプに比べて極めて強い光を照射することができる。
【0045】
なお、キセノンフラッシュランプに代えて、クリプトンなどの他の希ガスのフラッシュランプを用いてもよい。
【0046】
ランプハウス30は、基材9の搬送経路14の下方に、固定的に配置されている。ランプハウス30は、石英ガラス等により区分されていない単一の内部空間31を有する。そして、ランプハウス30の当該内部空間31に、光照射部20が収容されている。また、ランプハウス30の上部(すなわち基材9側)には、上方へ向けて開いた開口部32が設けられている。
図1および
図2に示すように、開口部32は、基材9全体の主面91より小さい。
【0047】
本実施形態では、ランプハウス30および光照射部20の位置を固定し、これらに対して基材9を移動させる。このため、ランプハウス30を移動させるための駆動機構は不要である。また、フラッシュランプ21と電源装置24とを繋ぐケーブル23や、後述する給気配管61や、後述する排気配管71を、ランプハウス30に取り付ける際に、ランプハウス30の移動を考慮して余裕をもたせておく必要がない。
【0048】
また、本実施形態では、基材9の搬送経路14より下側にランプハウス30が配置され、ランプハウス30の上部に開口部32が設けられている。このため、フラッシュランプ21の交換等のメンテナンス作業を、ランプハウス30の上部から、開口部32を介して容易に行うことができる。また、仮にフラッシュランプ21が破損したとしても、その破片が基材9側へ飛散することはない。また、ランプハウス30または光照射部20から生じたパーティクルが、基材9の表面に付着することも抑制できる。
【0049】
シール部材40は、ランプハウス30の開口部32の周縁に設けられた環状の部材である。シール部材40は、接離機構50を動作させたときに、基材9の主面91に接触して、ランプハウス30と基材9との隙間を封止する役割を果たす。また、シール部材40は、電気的に絶縁性の高い材料で形成され、絶縁部材として機能する。シール部材40の材料には、例えば、PEEK等の樹脂や、セラミックを用いることができる。
【0050】
接離機構50は、基材9の主面91とシール部材40とを、接触および離間させるための機構である。接離機構50は、環状の押圧部材51と、押圧部材51を上下に移動させる昇降機構52とを有する。押圧部材51は、基材9の上側かつ基材9を介してシール部材40の反対側の位置に、配置されている。昇降機構52を動作させると、押圧部材51は、基材9から上方へ離れた第1位置(
図1の位置)と、基材9に接触して基材9を下側へ押圧する第2位置(
図2の位置)との間で、上下に移動する。昇降機構52は、例えば、モータとボールねじとを組み合わせた機構や、エアシリンダにより実現される。
【0051】
押圧部材51が第1位置に配置されたときには、
図1のように、シール部材40および押圧部材51の双方が、基材9から離間する。したがって、基材搬送機構10による基材9の搬送が可能となる。一方、押圧部材51が第2位置に配置されたときには、
図2のように、押圧部材51とシール部材40との間に基材9が挟まれ、基材9の主面91にシール部材40が密着する。その結果、ランプハウス30の内部空間31が、外部から遮断された閉空間となる。
【0052】
ガス供給部60は、ランプハウス30の内部空間31へ、処理ガスとしての窒素(N
2)ガスを供給するための機構である。ガス供給部60は、給気配管61および窒素ガス供給源62を有する。給気配管61の上流側の端部は、窒素ガス供給源62に接続されている。給気配管61の下流側の端部は、リフレクタ22に設けられた吹出口64に接続されている。また、給気配管61の経路途中には、開閉弁63が介挿されている。このため、開閉弁63を開放すると、窒素ガス供給源62から給気配管61を通って吹出口64へ、窒素ガスが供給される。そして、
図2中に破線で示したように、吹出口64からランプハウス30の内部空間31へ、窒素ガスが吹き出す。
【0053】
ここで、ガス供給部60から供給される窒素ガスの温度は、フラッシュ光の照射により加熱されたフラッシュランプ21の温度より低い。このため、吹出口64から吹き出す窒素ガスによって、複数のフラッシュランプ21を冷却することができる。また、吹出口64から吹き出す窒素ガスにより、複数のフラッシュランプ21と基材9の主面91との間には、不活性ガスである窒素ガスの気層が形成される。これにより、フラッシュ光の照射に伴う基材9の酸化が抑制される。すなわち、この光照射装置1では、ランプハウス30内に供給される窒素ガスが、フラッシュランプ21の冷却と、基材9の酸化防止との、双方の役割を果たしている。また、このように、ランプハウス30の内部空間31のみに窒素ガスを供給することで、窒素ガスの使用量が低減されている。
【0054】
なお、窒素ガス供給源62は、光照射装置1の一部であってもよく、光照射装置1が設置される工場内のユーティリティ設備であってもよい。また、ガス供給部60は、窒素ガスに代えて、アルゴン(Ar)ガスやヘリウム(He)ガス等の他の不活性ガスを供給するものであってもよい。また、ガス供給部60は、フラッシュ光の照射処理の目的に応じて、他の種々の気体(例えば、酸素(O
2)、水素(H
2)、塩素(Cl
2)などの反応性ガスや、クリーンドライエア)を処理ガスとして供給するものであってもよい。
【0055】
排気部70は、ランプハウス30の内部空間31からランプハウス30の外部へ、気体を排出するための機構である。排気部70は、ランプハウス30の側壁に設けられた排気口33に接続された排気配管71を有する。基材9の主面91にシール部材40を密着させた状態で、ガス供給部60から窒素ガスを供給しつつ、排気部70へ気体を排出すると、ランプハウス30内の気体が、窒素ガスに置換される。
【0056】
制御部80は、光照射装置1内の各部を動作制御するための部位である。
図1および
図2において概念的に示したように、本実施形態の制御部80は、CPU等の演算処理部81、RAM等のメモリ82、およびハードディスクドライブ等の記憶部83を有するコンピュータにより構成されている。制御部80は、上述した基材搬送機構10、電源装置24、昇降機構52、および開閉弁63と、それぞれ電気的に接続されている。制御部80は、記憶部83に記憶されたコンピュータプログラム84を、メモリ82に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラム84に基づいて、演算処理部81が演算処理を行うことにより、基材搬送機構10、電源装置24、昇降機構52、および開閉弁63の動作を制御する。これにより、基材9に対するフラッシュ光の照射処理が進行する。
【0057】
<1−2.フラッシュ光の照射処理について>
続いて、第1実施形態の光照射装置1を用いて、基材9の主面91にフラッシュ光を照射するときの処理の流れについて、説明する。
図3は、当該処理の流れを示したフローチャートである。この光照射装置1においてフラッシュ光の照射処理を行うときには、まず、制御部80に、当該処理を行う旨の指令が、入力される。制御部80は、当該指令を受信すると、コンピュータプログラム84に従って、光照射装置1内の各部を動作制御する。これにより、以下の動作が進行する。
【0058】
まず、光照射装置1は、基材搬送機構10を動作させることにより、基材9を搬送する(ステップS1)。基材9の主面91には、例えば、複数のパターンが搬送方向に沿って等間隔に配列されている。基材搬送機構10は、基材9を搬送することにより、フラッシュ光の照射対象となるパターンを、光照射部20の上方に配置する。なお、このステップS1では、押圧部材51は、第1位置(
図1の位置)に配置されている。このため、基材9は、シール部材40および押圧部材51のいずれとも接触することなく、搬送経路14に沿って搬送される。
【0059】
所望のパターンが光照射部20の上方に配置されると、光照射装置1は、基材搬送機構10の動作を停止する。そして、昇降機構52を動作させて、押圧部材51を第2位置(
図2の位置)まで下降させる(ステップS2)。そうすると、押圧部材51とシール部材40との間に基材9が挟まれ、基材9の主面91にシール部材40が密着する。その結果、ランプハウス30の内部空間31が、外部から遮断された閉空間となる。すなわち、基材9の主面91、ランプハウス30、およびシール部材40により、単一の閉空間が形成される。
【0060】
次に、光照射装置1は、開閉弁63を開放する。これにより、窒素ガス供給源62から給気配管61を通って吹出口64へ、窒素ガスが供給される。そして、吹出口64からランプハウス30の内部空間31へ、窒素ガスが吹き出す。また、ランプハウス30内の気体は、排気配管71を通って外部へ排出される。その結果、ランプハウス30内の、少なくとも基材9の主面91近傍の気体が、窒素ガスに置換される(ステップS3)。
【0061】
続いて、ランプハウス30内への窒素ガスの供給を継続しつつ、電源装置24から複数のフラッシュランプ21に電圧を印加する。これにより、ランプハウス30内のフラッシュランプ21から、ごく短時間のフラッシュ光が出射される。フラッシュランプ21から出射されたフラッシュ光は、直接またはリフレクタ22により反射して、基材9の主面91に照射される(ステップS4)。その結果、基材9の主面91が加熱される。
【0062】
このとき、基材9の主面91の近傍には、不活性ガスである窒素ガスの気層が形成されている。このため、基材9の昇温に伴う主面91の酸化は抑制される。また、各フラッシュランプ21には、吹出口64からの窒素ガスが吹き付けられている。これにより、フラッシュ光の出射に伴うフラッシュランプの温度上昇が、抑制される。また、ごく短時間のフラッシュ光の照射後も、各フラッシュランプ21に窒素ガスが吹き付けられることにより、各フラッシュランプ21が冷却される。
【0063】
フラッシュ光の照射後、所定の時間が経過すると、光照射装置1は、開閉弁63を閉鎖する。これにより、ランプハウス30内への窒素ガスの供給を停止する(ステップS5)。そして、昇降機構52を動作させて、押圧部材51を第1位置(
図1の位置)まで上昇させる(ステップS6)。そうすると、基材9の主面91からシール部材40が離間し、ランプハウス30の内部空間31が開放される。
【0064】
その後、制御部80は、基材9の主面91に、フラッシュ光を照射すべき次のパターンが存在するか否かを判断する(ステップS7)。そして、照射対象となる次のパターンが存在する場合(ステップS7においてYesの場合)には、ステップS1に戻り、基材9を搬送して、当該パターンを光照射部20の上方に配置する。このように、この光照射装置1は、ステップS1〜S7を繰り返すことによって、基材9とランプハウス30とを相対移動させつつ、基材9の主面91全体に、順次にフラッシュ光の照射を行う。
【0065】
やがて、照射対象となる次のパターンが無くなると(ステップS7においてNo)、当該基材9に対する光照射処理を終了する。
【0066】
このように、この光照射装置1では、ランプハウス30内の光照射部20から、石英ガラス等の透光板を介することなく、基材9の主面91にフラッシュ光を照射する。このため、透光板を用いる場合より、基材9の主面91に複数のフラッシュランプ21を接近させることができる。また、透光板によるフラッシュ光の反射や吸収が無いので、基材9の主面91にフラッシュ光を効率よく照射できる。また、透光板を省略することにより、光照射装置1の製造コストを抑えることができる。
【0067】
また、この光照射装置1では、基材9の主面91、ランプハウス30、およびシール部材40により構成される閉空間内で、フラッシュ光の照射を行う。すなわち、基材9の主面を利用して、フラッシュ光を照射するための処理空間を形成する。このため、基材9の全体を収容する大きなチャンバを用意する必要はない。したがって、基材9が大きい場合にも、処理空間の容積を抑えることができる。また、処理空間の容積を抑えることができれば、当該処理空間内に供給される処理ガス(例えば窒素ガス)の量も、抑えることができる。その結果、光照射装置1のランニングコストを低減できる。
【0068】
<2.第2実施形態>
<2−1.光照射装置の構成について>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図4および
図5は、第2実施形態に係る光照射装置101の構成を示した図である。この光照射装置101は、薄板状の基材109をテーブル111上に保持しつつ搬送し、基材109の主面191にフラッシュ光を照射する装置である。フラッシュ光の照射対象となる基材109は、例えば、フラットパネルディスプレイに用いられる矩形のガラス基材である。
図4および
図5に示すように、本実施形態の光照射装置101は、基材搬送機構110、光照射部120、ランプハウス130、シール部材140、接離機構150、ガス供給部160、排気部170、および制御部180を備えている。
【0069】
基材搬送機構110は、基材109を略水平に保持しつつ搬送するための機構である。基材搬送機構110は、基材109を支持するテーブル111と、テーブルを移動させるテーブル移動機構112とを有する。基材109は、処理対象となる主面191が上側を向く状態で、テーブル111上に略水平に載置される。すなわち、本実施形態では、テーブル111が、基材搬送機構110の一部であるとともに、基材9を保持する保持部となっている。テーブル移動機構112は、テーブル111およびテーブル111上の基材109を、搬送経路114に沿って略水平に(主面191と平行な方向に)搬送する。テーブル移動機構112は、例えば、モータとボールねじとを組み合わせた機構や、リニアモータを用いた機構により、実現される。
【0070】
光照射部120は、テーブル111上に保持された基材109の主面191に、フラッシュ光を照射するための機構である。光照射部120は、基材109の搬送経路114の上方に配置されている。光照射部120は、複数の棒状のフラッシュランプ121と、リフレクタ122とを有する。複数のフラッシュランプ121は、同一水平面上において、互いに平行となるように配置されている。また、
図4および
図5に概念的に示したように、複数のフラッシュランプ121は、ケーブル123を介して、電源装置124に接続されている。複数のフラッシュランプ121は、電源装置124から供給される電圧に応じて、フラッシュ光を出射する。
【0071】
リフレクタ122は、複数のフラッシュランプ121の全体を上側から覆うように、配置されている。フラッシュランプ121から出射されたフラッシュ光の一部は、直接基材109側へ向かう。また、フラッシュランプ121から出射されたフラッシュ光の他の一部は、リフレクタ122により反射されて、基材109側へ向かう。これにより、基材109側へ向かうフラッシュ光の量が増加し、基材109の主面191に、より効率よくフラッシュ光が照射される。
【0072】
第1実施形態と同じように、フラッシュランプ121には、例えば、キセノンフラッシュランプを用いることができる。ただし、キセノンフラッシュランプに代えて、クリプトンなどの他の希ガスのフラッシュランプを用いてもよい。
【0073】
ランプハウス130は、基材109の搬送経路114の上方に配置されている。ランプハウス130は、石英ガラス等により区分されていない単一の内部空間131を有する。そして、ランプハウス130の当該内部空間131に、光照射部120が収容されている。また、ランプハウス130の下部(すなわち基材109側)には、下方へ向けて開いた開口部132が設けられている。
図4および
図5に示すように、開口部132は、基材109全体の主面191より小さい。
【0074】
シール部材140は、ランプハウス130の開口部132の周縁に設けられた環状の部材である。シール部材140は、接離機構150を動作させたときに、基材109の主面191に接触して、ランプハウス130と基材109との隙間を封止する役割を果たす。また、シール部材40は、電気的に絶縁性の高い材料で形成され、絶縁部材として機能する。シール部材140の材料には、例えば、PEEK等の樹脂や、セラミックを用いることができる。
【0075】
接離機構150は、基材109の主面191とシール部材140とを、接触および離間させるための機構である。接離機構150は、ランプハウス130を上下に移動させる昇降機構152を有する。昇降機構152を動作させると、ランプハウス130は、第1位置(
図4の位置)と、第1位置より低い第2位置(
図5の位置)との間で、上下に移動する。昇降機構152は、例えば、モータとボールねじとを組み合わせた機構や、エアシリンダにより実現される。
【0076】
ランプハウス130が第1位置に配置されたときには、
図4のように、シール部材140が、基材109の主面191から上方へ離間する。したがって、基材搬送機構110による基材109の搬送が可能となる。一方、ランプハウス130が第2位置に配置されたときには、
図5のように、シール部材140が、基材109の主面191に密着する。その結果、ランプハウス130の内部空間131が、外部から遮断された閉空間となる。
【0077】
ガス供給部160は、ランプハウス130の内部空間131へ、処理ガスとしての窒素(N
2)ガスを供給するための機構である。ガス供給部160は、給気配管161および窒素ガス供給源162を有する。給気配管161の上流側の端部は、窒素ガス供給源162に接続されている。給気配管161の下流側の端部は、リフレクタ122に設けられた吹出口164に接続されている。また、給気配管161の経路途中には、開閉弁163が介挿されている。このため、開閉弁163を開放すると、窒素ガス供給源162から給気配管161を通って吹出口164へ、窒素ガスが供給される。そして、
図5中に破線で示したように、吹出口164からランプハウス130の内部空間131へ、窒素ガスが吹き出す。
【0078】
ここで、ガス供給部160から供給される窒素ガスの温度は、フラッシュ光の照射により加熱されたフラッシュランプ121の温度より低い。このため、吹出口164から吹き出す窒素ガスによって、複数のフラッシュランプ21を冷却することができる。また、吹出口164から吹き出す窒素ガスにより、複数のフラッシュランプ121と基材109の主面191との間には、不活性ガスである窒素ガスの気層が形成される。これにより、フラッシュ光の照射に伴う基材109の酸化が抑制される。すなわち、この光照射装置101では、ランプハウス130内に供給される窒素ガスが、フラッシュランプ121の冷却と、基材109の酸化防止との、双方の役割を果たしている。また、このように、ランプハウス130の内部空間131のみに窒素ガスを供給することで、窒素ガスの使用量が低減されている。
【0079】
なお、窒素ガス供給源162は、光照射装置101の一部であってもよく、光照射装置101が設置される工場内のユーティリティ設備であってもよい。また、ガス供給部160は、窒素ガスに代えて、アルゴン(Ar)ガスやヘリウム(He)ガス等の他の不活性ガスを供給するものであってもよい。また、ガス供給部160は、フラッシュ光の照射処理の目的に応じて、他の種々の気体(例えば、酸素(O
2)、水素(H
2)、塩素(Cl
2)などの反応性ガスや、クリーンドライエア)を処理ガスとして供給するものであってもよい。
【0080】
排気部170は、ランプハウス130の内部空間131からランプハウス130の外部へ、気体を排出するための機構である。排気部170は、ランプハウス130の側壁に設けられた排気口133に接続された排気配管171を有する。基材109の主面191にシール部材140を密着させた状態で、ガス供給部160から窒素ガスを供給しつつ、排気部170へ気体を排出すると、ランプハウス130内の気体が、窒素ガスに置換される。
【0081】
制御部180は、光照射装置101内の各部を動作制御するための部位である。
図4および
図5において概念的に示したように、本実施形態の制御部180は、CPU等の演算処理部181、RAM等のメモリ182、およびハードディスクドライブ等の記憶部183を有するコンピュータにより構成されている。制御部180は、上述したテーブル移動機構112、電源装置124、昇降機構152、および開閉弁163と、それぞれ電気的に接続されている。制御部180は、記憶部183に記憶されたコンピュータプログラム184を、メモリ182に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラム184に基づいて、演算処理部181が演算処理を行うことにより、テーブル移動機構112、電源装置124、昇降機構152、および開閉弁163の動作を制御する。これにより、基材109に対するフラッシュ光の照射処理が進行する。
【0082】
<2−2.フラッシュ光の照射処理について>
続いて、第2実施形態の光照射装置101を用いて、基材109の主面191にフラッシュ光を照射するときの処理の流れについて、説明する。
図6は、当該処理の流れを示したフローチャートである。この光照射装置101においてフラッシュ光の照射処理を行うときには、まず、制御部180に、当該処理を行う旨の指令が、入力される。制御部180は、当該指令を受信すると、コンピュータプログラム184に従って、光照射装置101内の各部を動作制御する。これにより、以下の動作が進行する。
【0083】
テーブル111の上面に基材109を載置した後、まず、光照射装置101は、テーブル移動機構112を動作させることにより、基材109を搬送する(ステップS101)。基材109の主面191には、例えば、複数のパターンが搬送方向に沿って等間隔に配列されている。基材搬送機構110は、基材109を搬送することにより、フラッシュ光の照射対象となるパターンを、光照射部120の下方に配置する。なお、このステップS101では、ランプハウス130は、第1位置(
図4の位置)に配置されている。このため、基材109は、シール部材140と接触することなく、搬送経路114に沿って搬送される。
【0084】
所望のパターンが光照射部120の下方に配置されると、光照射装置101は、テーブル移動機構112の動作を停止する。そして、昇降機構152を動作させて、ランプハウス130を第2位置(
図5の位置)まで下降させる(ステップS102)。そうすると、基材109の主面191にシール部材140が密着する。その結果、ランプハウス130の内部空間131が、外部から遮断された閉空間となる。すなわち、基材109の主面191、ランプハウス130、およびシール部材140により、単一の閉空間が形成される。
【0085】
次に、光照射装置101は、開閉弁163を開放する。これにより、窒素ガス供給源162から給気配管161を通って吹出口164へ、窒素ガスが供給される。そして、吹出口164からランプハウス130の内部空間131へ、窒素ガスが吹き出す。また、ランプハウス130内の気体は、排気配管171を通って外部へ排出される。その結果、ランプハウス130内の、少なくとも基材109の主面191近傍の気体が、窒素ガスに置換される(ステップS103)。
【0086】
続いて、ランプハウス130内への窒素ガスの供給を継続しつつ、電源装置124から複数のフラッシュランプ121に電圧を印加する。これにより、ランプハウス130内のフラッシュランプ121から、ごく短時間のフラッシュ光が出射される。フラッシュランプ121から出射されたフラッシュ光は、直接またはリフレクタ122により反射して、基材109の主面191に照射される(ステップS104)。その結果、基材109の主面191が加熱される。
【0087】
このとき、基材109の主面191の近傍には、不活性ガスである窒素ガスの気層が形成されている。このため、基材109の昇温に伴う主面191の酸化は抑制される。また、各フラッシュランプ121には、吹出口164からの窒素ガスが吹き付けられている。これにより、フラッシュ光の出射に伴うフラッシュランプの温度上昇が、抑制される。また、ごく短時間のフラッシュ光の照射後も、各フラッシュランプ121に窒素ガスが吹き付けられることにより、各フラッシュランプ121が冷却される。
【0088】
フラッシュ光の照射後、所定の時間が経過すると、光照射装置101は、開閉弁163を閉鎖する。これにより、ランプハウス130内への窒素ガスの供給を停止する(ステップS105)。そして、昇降機構152を動作させて、ランプハウス130を第1位置(
図4の位置)まで上昇させる(ステップS106)。そうすると、基材109の主面191からシール部材140が離間し、ランプハウス130の内部空間131が開放される。
【0089】
その後、制御部180は、基材109の主面191に、フラッシュ光を照射すべき次のパターンが存在するか否かを判断する(ステップS107)。そして、照射対象となる次のパターンが存在する場合(ステップS107においてYesの場合)には、ステップS101に戻り、基材109を搬送して、当該パターンを光照射部120の下方に配置する。このように、この光照射装置101は、ステップS101〜S107を繰り返すことによって、基材109とランプハウス130とを相対移動させつつ、基材109の主面191全体に、順次にフラッシュ光の照射を行う。
【0090】
やがて、照射対象となる次のパターンが無くなると(ステップS7においてNo)、当該基材109に対する光照射処理を終了する。
【0091】
このように、この光照射装置101では、ランプハウス130内の光照射部120から、石英ガラス等の透光板を介することなく、基材109の主面191にフラッシュ光を照射する。このため、透光板を用いる場合より、基材109の主面191に複数のフラッシュランプ121を接近させることができる。また、透光板によるフラッシュ光の反射や吸収が無いので、基材109の主面191にフラッシュ光を効率よく照射できる。また、透光板を省略することにより、光照射装置101の製造コストを抑えることができる。
【0092】
また、この光照射装置101では、基材109の主面191、ランプハウス130、およびシール部材140により構成される閉空間内で、フラッシュ光の照射を行う。すなわち、基材109の主面を利用して、フラッシュ光を照射するための処理空間を形成する。このため、基材109の全体を収容する大きなチャンバを用意する必要はない。したがって、基材109が大きい場合にも、処理空間の容積を抑えることができる。また、処理空間の容積を抑えることができれば、当該処理空間内に供給される処理ガス(例えば窒素ガス)の量も、抑えることができる。その結果、光照射装置101のランニングコストを低減できる。
【0093】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態を例示的に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0094】
上記の実施形態では、基材を一方向のみに移動させていたが、基材を2以上の方向に移動させつつ、フラッシュ光を照射してもよい。例えば、第2実施形態のテーブル移動機構に、X駆動軸とY駆動軸とを設け、水平面内においてテーブルを二次元的に移動させるようにしてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態では、光照射部およびランプハウスを水平方向に関して固定し、当該ランプハウスに対して基材を水平方向に移動させていたが、基材を水平方向に関して固定し、当該基材に対して光照射部およびランプハウスを水平方向に移動させてもよい。すなわち、本発明の搬送機構は、光照射部およびランプハウスと、基材とを、基材の主面と平行な方向に相対移動させるものであればよい。
【0096】
また、上記の第1実施形態、第2実施形態、および変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態のように複数のローラを用いて基材を搬送しつつ、一対の中間ローラの間において基材の主面が上側を向くようにし、第2実施形態のように基材の上方に光照射部および筐体を配置して、当該光照射部から基材の主面にフラッシュ光を照射するようにしてもよい。また、第1実施形態のように筐体の上下方向の位置を固定しつつ、第2実施形態のようにテーブルを用いて基材を搬送し、テーブル自体を上下に昇降移動させることで、基材の主面とシール部材とを接触および離間させるようにしてもよい。
【0097】
また、光照射装置の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。例えば、光照射部が有するフラッシュランプの数は、本願の各図に示された本数と相違していてもよい。
【0098】
また、上記の第1実施形態では、柔軟に湾曲可能な樹脂製の基材を処理対象とし、上記の第2実施形態では、硬質なガラス製の基材を処理対象としていた。しかしながら、本発明の光照射装置は、金属等の他の材料からなる基材を処理対象とするものであってもよい。また、基材の用途としては、例えば、フレキシブルデバイス、フレキシブルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、電子機器、太陽電池、燃料電池、半導体などを挙げることができる。