(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152020
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】デバイス及び表示システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/4335 20110101AFI20170612BHJP
H04N 21/462 20110101ALI20170612BHJP
H04N 21/436 20110101ALI20170612BHJP
【FI】
H04N21/4335
H04N21/462
H04N21/436
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-186220(P2013-186220)
(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-53631(P2015-53631A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2015年5月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300041435
【氏名又は名称】株式会社トランザス
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】熊崎 裕之
【審査官】
梅本 達雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−193053(JP,A)
【文献】
特開2009−130901(JP,A)
【文献】
特開2009−177602(JP,A)
【文献】
特開2011−109249(JP,A)
【文献】
特開2012−095149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/76 − 5/956
H04N 7/10
H04N 7/14 − 7/173
H04N 21/00 − 21/858
H04N 5/38 − 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示装置に接続され、ネットワークからの映像データを前記映像表示装置において表示させるデバイスにおいて、
前記ネットワークを介して送られるサーバに記憶された映像データを記憶するための記憶手段と、
前記サーバに記憶された映像データを、前記ネットワークを介して前記映像表示装置の電源オンとは関係なく前記記憶手段へ格納しておくと共に、前記映像表示装置の電源が所定回オンとされた後に、前記記憶手段に格納した映像データを削除する記憶制御手段と、
前記映像表示装置の電源がオンとされたか否かを監視する監視手段と、
前記監視手段によって電源がオンとされたことが検出されると、前記記憶手段に映像データが記憶されているか否かに基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記記憶手段に映像データが有ることを検出した場合に、前記映像表示装置へ入力切換要求を送出する一方、前記検出手段が前記記憶手段に映像データが無いことを検出した場合に、前記入力切換要求の送出を不実行とする入力切換制御手段と、
前記入力切換要求が送出された場合に、前記記憶手段に記憶されている映像データを前記映像表示装置へ送信するデータ送信手段と
を具備することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記検出手段は、更に、表示すべき映像データの有無をネットワークに接続されたサーバに問い合わせ、この問い合わせ結果に基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出するものであり、
前記問い合わせにより映像データ有となると、前記サーバから映像データを取り込み前記記憶手段へ格納する記憶制御手段を具備している
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
映像表示装置とデバイス間では、電源オンのステータスの信号と入力切換要求のコマンドの信号とを少なくとも含む所定規格による信号を用い、
監視手段は、前記映像表示装置から送られる前記所定規格による、電源オンのステータスの信号に基づき監視を行い、
入力切換制御手段は、前記所定規格によるコマンドの信号により入力切換要求を送出することを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
所定規格は、HDMI−CECであることを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
映像表示装置と、
サーバと、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデバイスと
により構成されることを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像表示装置に接続され、ネットワークからの映像データを前記映像表示装置において表示させるデバイス、及びこのデバイスを用いて構成した表示システムに関するものである。なお、映像データには、動画像、静止画像、テキストによる画像など、表示装置に表示可能な全ての形式のデータが含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、映像表示装置としてのテレビを用いて映像データを表示させるようにした表示システムが知られている。この表示システムでは、テレビに映像データを送信するデバイス側が主導的に表示を行うことは行われていない。
【0003】
上記のような表示システムに対し、デバイスの電源オンにより自動的に再生画像がテレビ画面に表示されるようにしたシステムが知られている。
【0004】
上記表示システムは、電子アルバム装置の電源スイッチ又は遠隔操作装置の電源オン・スイッチがオンになると、電子アルバム装置は、画像処理回路から初期表示画面の画像信号を出力すると共に、発光装置からテレビの受光部にテレビの入力を外部入力に切り換える入力切換え制御信号を出力するというものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−350131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記では、電子アルバム装置が表示する画像データは、内部に記憶されたものを用いるだけであり、適宜ネットワークから更新しながら表示を行うものではない。近年において、ネットワークから送信した案内やコマーシャル等のコンテンツをテレビの電源オンと共に表示することで、効果的な広告や報知を行うようにしたいという要求がある。
【0007】
本発明はこのような要求に応えるためになされたもので、その目的は、ネットワークから送信した案内やコマーシャルなどの各種の映像データをテレビの電源オンと共に表示することを可能にするデバイスを提供することである。また、本発明は、このようなデバイスを用いて構成した表示システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデバイスは、映像表示装置に接続され、ネットワークからの映像データを前記映像表示装置において表示させるデバイスにおいて、前記ネットワークを介して送られるサーバに記憶された映像データを記憶するための記憶手段と、前記サーバに記憶された映像データを、前記ネットワークを介して前記映像表示装置の電源オンとは関係なく前記記憶手段へ格納しておく
と共に、前記映像表示装置の電源が
所定回オンとされた後に、前記記憶手段に格納した映像データを削除する記憶制御手段と、前記映像表示装置の電源がオンとされたか否かを監視する監視手段と、前記監視手段によって電源がオンとされたことが検出されると、前記記憶手段に映像データが記憶されているか否かに基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出する検出手段と、前記検出手段が
前記記憶手段に映像データが有ることを検出した場合に、前記映像表示装置へ入力切換要求を送出する
一方、前記検出手段が前記記憶手段に映像データが無いことを検出した場合に、前記入力切換要求の送出を不実行とする入力切換制御手段と、前記入力切換要求が送出された場合に、前記記憶手段に記憶されている映像データを前記映像表示装置へ送信するデータ送信手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るデバイスは、
前記検出手段は、
更に、表示すべき映像データの有無をネットワークに接続されたサーバに問い合わせ、この問い合わせ結果に基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出するものであり、
前記問い合わせにより映像データ有となると、前記サーバから映像データを取り込み前記記憶手段へ格納する記憶制御手段を具備していることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るデバイスは、ネットワークからの映像データを記憶するための記憶部を有し、検出手段は、前記記憶手段に映像データが記憶されているか否かに基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るデバイスは、映像表示装置とデバイス間では、電源オンのステータスの信号と入力切換要求のコマンドの信号とを少なくとも含む所定規格による信号を用い、監視手段は、前記映像表示装置から送られる前記所定規格による、電源オンのステータスの信号に基づき監視を行い、入力切換制御手段は、前記所定規格によるコマンドの信号により入力切換要求を送出することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るデバイスでは、所定規格は、HDMI(登録商標)−CECであることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る表示システムは、映像表示装置と、サーバと、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデバイスとにより構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るデバイスでは、映像表示装置の電源がオンとされたことを検出すると、前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出して、映像データ有りを検出した場合に、上記映像表示装置へ入力切換要求を送出し、ネットワークからの映像データを上記映像表示装置へ送信するので、映像表示装置の電源がオンとされたときにネットワークからの映像データが映像表示装置に表示されることになり、強い印象をもって映像データによる映像を提供することができる。
【0015】
本発明に係るデバイスでは、検出手段が、ネットワークに接続されたサーバに表示すべき映像データの有無を問い合わせ、この問い合わせ結果に基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出するので、映像表示装置に表示したい映像を、映像表示装置電源におけるオンのときにネットワークから得て表示することができ、新しい案内などを的確に表示することができる。
【0016】
本発明に係るデバイスでは、ネットワークからの映像データを記憶するための記憶部を有し、検出手段は、前記記憶手段に映像データが記憶されているか否かに基づき前記映像表示装置に表示すべき映像データの有無を検出するので、映像データの取り込みを映像表示装置電源における電源オンとは無関係に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るデバイス及び表示システムの実施形態の機能ブロック図。
【
図3】本発明の実施形態に係る表示システムを構成するテレビの動作を説明するためのフローチャート。
【
図4】本発明に係るデバイスの第1の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【
図5】本発明に係るデバイスの第2の実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下添付図面を参照して、本発明に係るデバイス及び表示システムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1には、本発明に係るデバイス及び表示システムの実施形態の構成図が示されている。表示システムは、映像表示装置であるテレビ10と、デバイスとしてのHDMIドングル20と、サーバ30とによって構成される。
【0019】
HDMIドングル20は、テレビ10のHDMI端子に接続され、映像データをテレビ10へ供給するものであり、
図2に示すように構成することができる。HDMIドングル20は、プロセッサ21に、eMMCにより構成することができる外部記憶装置221とDDR3により構成することができる主記憶装置222とを有する記憶装置22が接続されており、プロセッサ21が記憶装置22に記憶されたプログラムを用いて処理を行うコンピュータの構成を採用している。
【0020】
プロセッサ21には、通信インタフェース23と、HDMIインタフェース24、PMIC(パワーマネージメントIC)25が接続されている。通信インタフェース23は、Wi−Fi(登録商標)などによる無線LANインタフェース及びBluetooth(登録商標)通信のためのインタフェースである。HDMIインタフェース24は、HDMIケーブルによってテレビ10のHDMI端子に接続される。パワーマネージメントIC25は、USBベースとACアダプタ・ベースのどちらからもバッテリ充電が可能となっており、バッテリ充電と電力供給を行う。
【0021】
図1には、上記HDMIドングル20の構成中のプロセッサ21と記憶装置22を、制御部21A、記憶部22Aとして示している。制御部21Aには、監視手段71、検出手段72、入力切換制御手段73、データ送信手段74が備えられている。監視手段71は、映像表示装置であるテレビ10の電源がオンとされたか否かを監視するものである。検出手段72は、上記監視手段71によって電源がオンとされたことが検出されると、上記映像表示装置であるテレビ10に表示すべき映像データの有無を検出するものである。
【0022】
また、入力切換制御手段73は、検出手段72が映像データ有りを検出した場合に、上記映像表示装置であるテレビ10へ入力切換要求を送出するものである。データ送信手段74は、入力切換要求が送出された場合に、ネットワークからの映像データを前記映像表示装置へ送信するものである。上記各手段は、プロセッサ21が記憶装置22のプログラムを実行することにより実現される。
【0023】
テレビ10の要部構成として、制御部11、入力切換部12、映像表示部13及びテレビ操作部14が示されている。映像表示部13は、入力切換部12を介して到来する映像データ(映像信号)を用いて画面に映像を表示する。入力切換部12は、映像データの入力を切り換えるもので、ここではHDMIドングル20とアンテナとの切換えを示すが、これ以外の入力について選択するものであっても良い。
【0024】
制御部11は、上記入力切換部12の切換制御を行うと共に、HDMI−CECによりHDMIドングル20と接続するインタフェース機能を含むものとする。この実施形態では、テレビ10の電源スイッチの操作やリモコンの操作により電源がオンとされると、制御部11は、テレビ操作部14からの電源のオン信号を受けて、HDMI−CECの電源のオンのステータスをHDMIドングル20へ送出する。また、制御部11は、HDMIドングル20からHDMI−CECの入力切換のコマンドを受けると、入力切換部12を制御してHDMIドングル20から送られる映像データが選択されて映像表示部13にて表示が行われるように動作する。
【0025】
サーバ30は、CMS(Content Management System)によって構成することができるデータ登録システム40から案内やコマーシャルやその他の映像データ(コンテンツ)を受けて、HDMIドングル20へ送出するために保持する。サーバ30は、ネットワーク上に存在し、
図2の通信インタフェース23を介してHDMIドングル20に接続される。
【0026】
以上のような構成を備える表示システムでは、記憶部22Aの所定領域(表示待領域という)に、テレビ10の電源がオンとされたときに映像表示装置であるテレビ10に表示すべき映像データを、テレビ10の電源オンとは関係なく格納しておくことができる(第1の実施形態)。
【0027】
この第1の実施形態では、
図3に示されるフローチャートに示すように、テレビ10による処理動作が行われ、
図4に示されるフローチャートに示すように、HDMIドングル20による処理動作が行われる。
【0028】
テレビ10の電源スイッチの操作やリモコンの操作により電源がオンとされると、制御部11は、HDMI−CECの電源のオンのステータスをHDMIドングル20へ送出する(S11)。一方、HDMIドングル20では、制御部21Aが上記ステータスの到来を監視しており(S21、S22)、上記ステータスによりテレビの電源がオンとなったことが検出されると、ステップS22においてYESへ分岐し、記憶部22Aの表示待領域に映像データが格納されているか否かを検出する(S23)。
【0029】
上記ステップS23においてNOとなると、エンドとなる。この後、所定時間後にスタートとなりステップS21から処理が続けられる。一方、ステップS23においてYESとなると、HDMI−CECの入力切換のコマンドをテレビ10へ送出し(S24)、更に記憶部22Aの表示待領域に格納されている映像データを送信する(S25)。
【0030】
このとき、制御部11は、
図3のステップS11に続いて入力切換のコマンドの到来を検出しており(S12)、上記の入力切換のコマンドを受けると、入力切換部12を制御して入力をHDMIドングル20側へ切換える(S13)。この後にHDMIドングル20から送信される映像データを受け、この映像データに基づく映像の表示制御を行う(S14)。
【0031】
図4のステップS23においてNOへ分岐すると、何も行うことなくエンドとなる。また、
図3のステップS12において入力切換コマンドの到来がなければ、例えばアンテナ側を入力とするなどの通常処理を行う(S15)。ステップS14以降とステップS15以降においては、テレビ10に対するオペレータの操作により処理が進行する。
【0032】
次に第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態では、検出手段72は、ネットワークに接続されたサーバ30に対して、表示すべき映像データの有無を問い合わせ、この問い合わせ結果に基づき映像表示装置であるテレビ10に表示すべき映像データの有無を検出するものである。
【0033】
この第2の実施形態では、
図3に示されるフローチャートに示すように、テレビ10による処理動作が行われる一方、
図5に示されるフローチャートに示すように、HDMIドングル20による処理動作が行われる。
【0034】
制御部11によりステップS11が実行され、HDMIドングル20の制御部21AがステップS22においてYESへ分岐すると、表示すべき映像データの有無をサーバ30に問い合わせ(S31)、映像データの有無を検出する(S32)。ステップS32においてYESへ分岐すると、サーバ30の映像データを取り込んで、記憶部22Aの表示待領域へ格納する(S33)。以降は第1の実施形態と同様に、HDMI−CECの入力切換のコマンドをテレビ10へ送出し(S24)、更に記憶部22Aの表示待領域に格納されている映像データを送信する(S25)。これに対応するテレビ10の制御部11による動作は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
表示すべき映像データの有無を、上記第1の実施形態では、記憶部22Aの表示待領域に格納された映像データの有無に基づき検出し、第2の実施形態では、サーバ30に問い合わせたが、これに限定されない。例えば、この両方を行って表示すべき映像データの有無を検出するようにしても良い。また、記憶部22Aの表示待領域に格納した映像データは、所定回のテレビ電源オンの後、削除するようにしても良い。また、上記実施形態では、HDMI−CECの規格による、電源オンのステータスの信号と入力切換要求のコマンドの信号とを用いたが、電源オンのステータスの信号と入力切換要求のコマンドの信号とを少なくとも含む規格であれば、HDMI−CECの規格に限らずに用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 テレビ
11 制御部
12 入力切換部
13 映像表示部
14 テレビ操作部
20 HDMIドングル
21 プロセッサ
21A 制御部
22 記憶装置
22A 記憶部
23 通信インタフェース
24 HDMIインタフェース
30 サーバ
40 データ登録システム
71 監視手段
72 検出手段
73 入力切換制御手段
74 データ送信手段