(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の内壁に接するとともに段鼻が蹴込板よりも前方に突出するように配置された踏板の前記内壁側の上端に沿って水平に延びる第一部材と、前記蹴込板の前記内壁側の前方で鉛直に延びる第二部材を備える階段幅木において、
前記第一部材は、
前記踏板に接する第一パッキンが下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部と、
前記第一本体部の前端の略中央から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第一突出部からなり、
前記第二部材は、
前記蹴込板に接する第二パッキンが後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部と、
前記第二本体部の上端の前端から略中央まで上方へ矩形状に突出するとともにさらにその矩形状突出部分の後端の上端から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第二突出部からなるとともに、
前記第二突出部の矩形状部分の高さは、前記第一本体部の下端から前記第一突出部の下端までの高さに前記段鼻の厚さを加えた高さ以上、かつ前記第一本体部の下端から前記第一突出部の下端までの高さに前記段鼻の厚さと前記第一パッキンの幅を加えた高さ未満で、
さらに前記第一突出部の傾斜部分と前記第二突出部の傾斜部分とが留め継ぎされて前記第一部材と前記第二部材とのなす角度が略90°となることを特徴とする階段幅木。
建物の内壁に接するとともに段鼻が蹴込板よりも前方に突出するように配置された踏板の前記内壁側の上端に沿って水平に延びる第一部材と、前記蹴込板の前記内壁側の前方で鉛直に延びる第二部材を備える階段幅木において、
前記第一部材は、
前記踏板に接する第一パッキンが下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部と、
前記第一本体部の前端の下端から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第一突出部からなり、
前記第二部材は、
第二パッキンが後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部と、
前記第二本体部の後端の上端から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第二突出部からなるとともに、
前記第一突出部の傾斜部分と前記第二突出部の傾斜部分とが留め継ぎされて前記第一部材と前記第二部材とのなす角度が略90°となり、
しかも前記蹴込板の前端に接して設けられ前記第二部材の第二パッキンと前記蹴込板との隙間を塞ぐ縦長矩形状の第三部材をさらに備えることを特徴とする階段幅木。
【背景技術】
【0002】
箱形階段と称される従来の階段では、側板表面に踏板及び蹴込板の端部が入る溝を加工した上で、踏板及び蹴込板を取り付けて完成される。通常この方法では、踏板、蹴込板、側板が同一樹種・色で統一されて施工されるので、高精度で施工した場合は、美観上優れる。
しかし、施工には高度の技術が要求され、特に側板への踏板及び蹴込板の取付け部分加工の際に、化粧面に直接ノミ等の工具で加工を行う必要があるので、化粧面を傷つけないように神経を使う上、踏板との間に隙間が生じやすい欠点がある。
【0003】
そこで近年では、特に低コスト住宅を中心に、より簡易な方法が提案され、一般化されている。これは一般に雛壇階段と称される階段において、箱形階段の側板に相当するささら桁上面を鋸歯状に加工を行ない、この上に踏板及び蹴込板を置くように施工する階段である(例えば、引用文献1参照)。
この方法だと、ささら桁には、踏板や蹴込板の入る複雑な溝を加工する必要は無く、踏板や蹴込板が載せられるだけの単純な鋸歯状加工を行うだけで済む。しかも、ささら桁に関しては、施工完了後、完全に階段裏側に隠れてしまうので、化粧材も不要で、箱型階段における側板のように、化粧面を傷つけないように神経を使う必要も無い。
【0004】
この雛壇階段では、ささら桁上に踏板を直接置いて施工するので、踏板両端は壁材にそのまま接した状態となっている。このままでは踏板端部と壁材との間の隙間(5〜10mm程度)が目立つので、通常は階段幅木と称される部材で、この隙間を隠蔽する方法が行われる。
【0005】
この階段幅木については、踏板・蹴込板が約90度の角度で13段程度連続するので、部屋に使用される幅木とは異なり、踏板及び蹴込板に合わせて、留め加工を用いてL字状の基本ユニットを組み合わせて施工する場合が多かった(例えば、引用文献2参照)。
留め加工の実施に際しては、
図13(a)に示すように長板材Nに単純に逆V型の切欠部1を形成し、「く」の字型に折り曲げる方法が最も単純である。この構造は、
図13(b)に示すように蹴込板Kから段鼻Dの出が無い場合には好都合である。
【0006】
一方、段鼻Dの出がある場合には、
図14(a)に示すように長板材Nに逆V型の切欠部1に加えて、段鼻D部分が入る矩形状の切欠部2を形成し、
図14(b)のように「く」の字型に折り曲げる方法もよく使用される(例えば、引用文献3乃至7参照)。
【0007】
また、プラスチック等で段鼻D部分を完全に覆うようなJ字状部材11を一体成型する場合もある。この場合、蹴込板K表面には別途I字状部材12を組み合わせる事で階段幅木100となる(例えば、引用文献8,9参照)。
さらには、
図16に示すように階段幅木100を縦部材13と横部材14の分離型としてそれぞれ製作し組み合わせる方法もある(例えば、引用文献10乃至12参照)。
【0008】
また、
図13の階段幅木100の変形として、段鼻Dの出がある場合にフィラー15を用いる方法もある。これは、長板材Nに逆V型の切欠部1を入れ、「く」の字型に折り曲げる点に関しては
図13の階段幅木100と同様だが、このままでは階段幅木100と蹴込板Kとの間に大きな隙間が発生してしまうので、フィラー15を用いてこの隙間を埋める方法である(例えば、引用文献13,14参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の雛壇階段における階段幅木100の施工に関しては、以下の問題があつた。
(1)隙間が生じやすい
階段幅木100の設置によって、踏板F両端部と壁材との間に生じる隙間は十分に隠蔽されるものの、今度は階段幅木100と踏板F及び蹴込板Kとの間に生じる隙間が問題となる。この部分に生じる隙間は、踏板F両端部と壁材との間に生じる隙間に比較すれば小さいものの、階段は昇る際に目線の高さに数段上の踏板Fが見えるので、小さくても目立つ傾向にある。
また、階段幅木100の現場施工に際して、定規付き電動丸鋸を使用する留め加工は、定規を45度に傾斜して行うので、僅かな狂いが生じるだけで隙間発生の原因となる。又、階段の長さは13段の場合、6m近くあるので、たとえLVLや合板のような異方性の少ない材料を用いても、湿度変化や昇降時の体重によるたわみによって歪が発生し、踏板Fや蹴込板Kと階段幅木100間の隙間発生の原因となる。
【0011】
ここで、隙間を塞ぐには、壁材と床材との間に設ける普通の幅木で用いられるようなパッキン16(例えば、特許文献15参照)を用いると好都合である。このパッキン16を階段幅木100の踏板Fや蹴込板Kに接する面に用いる訳である。
パッキン16は薄いゴム等で製作され、断面がI字型、L字型、♂型等様々な形状があるが、これらを階段幅木100の踏板Fや蹴込板Kと接する面に介在させれば隙間を十分に隠蔽する事ができる
【0012】
しかし、従来の方法では、いずれの方法を用いても踏板F表面及び蹴込板K表面の全てをカバーすることはできない。例えば、
図14の方法では、段鼻D上面や、踏板F表面の内、段鼻Dの出部分には、構造的にパッキン16の装着は不可能となっている。
図13の方法だけは、踏板F表面、蹴込板K表面、段鼻Dの全てをパッキン16でカバーできるものの、これは段鼻Dの出が無い特殊な階段専用となっていて、適用範囲が極端に狭い。なお、通常の階段は段鼻Dの出が10〜20mm程度設けられる。
【0013】
(2)施工現場での加工が面倒
プレハブ住宅等、同一寸法の住宅を多数建築する場合、部材の種類も限られているので、プラモデルのように完全規格化も容易である。しかし、一般的な木造注文住宅の階段については、段差が階高によって定まるので、1棟ごとに異なる為に、完全規格化は無理である。
又、階段の段数は13段の場合が多いが、13枚の踏板Fと13枚の蹴込板Kが交互に設けられているので、留め加工を行う屈曲部分は、最低片側の13か所、多い場合は両側の26か所もある。
留め加工を行う場合、施工現場においては高精度の自動加工装置の使用は無理で、精々、定規付き電動丸鋸程度しか使用できないので極めて手間がかかる。
特に
図14の方法だと、切り欠きが2か所もあるので加工の手間がかかる。
【0014】
(3)部材の種類が多い、或いは構造が複雑で製造コストが大
図15のようにユニット化した場合、各階段専用の形状を製造しなければならないので、金属製やプラスチック製の場合には、専用の型が必要である。
従って、適用範囲は集合住宅やプレハブ住宅等、同一サイズの階段幅木100が大量に使用される場合に限定されてしまう。木製の場合は大型の材を削り出しによって成形するか、或いは、複数の部材を接着一体化する工程が新たに必要となる。
図17の構造は、フィラー15を使用するが幅木本体の形状に関して、
図18に示すように縦部材13にフィラー15の入る空所を設ける必要があるので、加工形状が複雑化し、空所を覆う部分は縦部材13の板厚を薄くせざるを得ず、施工した状態での安定性が悪く強度面で問題がある。
【0015】
(4)デザイン上の問題がある
図16の構造を、木材を用いて製造する場合、縦部材13上部には木口面が露出してしまう。通常、建具では木口面の露出は嫌われる場合が多いので問題である。
金属製やプラスチック製の場合、木口面露出の問題は無いものの、素材の持つ質感が木材と異なるので、階段幅木100だけが異種材料であると違和感がある。
ここで、プラスチック製だと近年では印刷技術の向上により、自然な木目を出す事も可能となっている。しかし、経年変化によって木材部分は次第に濃色に変色する傾向にあるが、プラスチック製の場合は、逆に白化してしまう場合が多いので、違和感が生じる場合が多い。よって、階段幅木100の材質は、経年変化を考えれば、基本的に変色の傾向が同じ材料、すなわち木材である事が好ましい。
【0016】
そこで、本発明の目的とするところは、踏板や蹴込板との間に隙間が生じ難く、しかも構造が単純で施工現場での加工が容易で製造コストも低廉な階段幅木及び階段幅木の製造方法を提供することにある。また、木口面の露出が無く、デザイン上の問題もない階段幅木及び階段幅木の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の階段幅木(200)は、建物の内壁に接するとともに段鼻(D)が蹴込板(K)よりも前方に突出するように配置された踏板(F)の前記内壁側の上端に沿って水平に延びる第一部材(21)と、前記蹴込板(K)の前記内壁側の前方で鉛直に延びる第二部材(22)を備える階段幅木(200)において、前記第一部材(21)は、前記踏板(F)に接する第一パッキン(23)が下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部(21a)と、前記第一本体部(21a)の前端の略中央から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第一突出部(21b)からなり、前記第二部材(22)は、前記蹴込板(K)に接する第二パッキン(24)が後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部(22a)と、前記第二本体部(22a)の上端の前端から略中央まで上方へ矩形状に突出するとともにさらにその矩形状突出部分の後端の上端から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第二突出部(22b)からなるとともに、前記第二突出部(22b)の矩形状部分の高さは、前記第一本体部(21a)の下端から前記第一突出部(21b)の下端までの高さに前記段鼻(D)の厚さを加えた高さ以上、かつ前記第一本体部(21a)の下端から前記第一突出部(21b)の下端までの高さに前記段鼻(D)の厚さと前記第一パッキン(23)の幅を加えた高さ未満で、さらに前記第一突出部(21b)の傾斜部分と前記第二突出部(22b)の傾斜部分とが留め継ぎされて前記第一部材(21)と前記第二部材(22)とのなす角度が略90°となることを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の階段幅木(200)の製造方法は、請求項1に記載の階段幅木(200)の製造方法であって、左右に延びる一つの長板材(N)の下端に下辺を一致させた矩形状切欠部(31)と、前記矩形状切欠部(31)の上辺の右端に底辺の右端を一致させるとともに前記底辺の左端を前記矩形状切欠部(31)の上辺上に配置させさらに頂角を上方に向けてその頂角における点を前記長板材(N)の上端に略一致させた直角二等辺三角形状の三角形状切欠部(32)と、からなる切欠部(30)を前記長板材(N)に形成し、前記切欠部(30)よりも右側の前記長板材(N)を前記第一部材(21)としてその下端に前記第一パッキン(23)を取付けるとともに、前記切欠部(30)よりも左側の前記長板材(N)を前記第二部材(22)としてその下端に前記第二パッキン(24)を取付け、しかも前記矩形状切欠部(31)の上辺の左端から前記三角形状切欠部(32)の底辺の左端までの長さは、前記矩形状切欠部(31)の高さに前記段鼻(D)の厚さを加えた長さ以上、かつ前記矩形状切欠部(31)の高さに前記段鼻(D)の厚さと前記第一パッキン(23)の幅を加えた長さ未満で、さらに前記三角形状切欠部(32)の頂角における点で前記長板材(N)を分断せずに、前記第一部材(21)と前記第二部材(22)とが繋がったままの状態で、前記第二部材(22)を前記第一部材(21)に対して略90°回転させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の階段幅木(200)は、建物の内壁に接するとともに段鼻(D)が蹴込板(K)よりも前方に突出するように配置された踏板(F)の前記内壁側の上端に沿って水平に延びる第一部材(21)と、前記蹴込板(K)の前記内壁側の前方で鉛直に延びる第二部材(22)を備える階段幅木(200)において、前記第一部材(21)は、前記踏板(F)に接する第一パッキン(23)が下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部(21a)と、前記第一本体部(21a)の前端の下端から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第一突出部(21b)からなり、前記第二部材(22)は、第二パッキン(24)が後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部(22a)と、前記第二本体部(22a)の後端の上端から前側上方に傾斜して三角形状に突出した第二突出部(22b)からなるとともに、前記第一突出部(21b)の傾斜部分と前記第二突出部(22b)の傾斜部分とが留め継ぎされて前記第一部材(21)と前記第二部材(22)とのなす角度が略90°となり、しかも前記蹴込板(K)の前端に接して設けられ前記第二部材(22)の第二パッキン(24)と前記蹴込板(K)との隙間を塞ぐ縦長矩形状の第三部材(25)をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の階段幅木(200)は、前記第二パッキン(24)は前記第二本体部(22a)の後端から前記内壁側へ湾曲突出した断面略舌状であり、前記第二パッキン(24)を前記第三部材(25)の前部に被せ、前記第二パッキン(24)の裏面を前記第三部材(25)に弾接させることを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の階段幅木(200)は、前記第二パッキン(24)は前記第二本体部(22a)の後端から前記内壁側へ湾曲突出した断面略舌状であり、前記第二パッキン(24)の表面を前記第三部材(25)の前端に弾接させることを特徴とする。
【0022】
また、請求項6に記載の階段幅木(200)の製造方法は、請求項3乃至5に記載の階段幅木(200)の製造方法であって、左右に延びる一つの長板材(N)の下端に底辺を一致させるとともに頂角を上方に向けてその頂角における点を前記長板材(N)の上端に略一致させた直角二等辺三角形状の三角形状切欠部(32)を前記長板材(N)に形成し、前記三角形状切欠部(32)よりも右側の前記長板材(N)を前記第一部材(21)としてその下端に前記第一パッキン(23)を取付けるとともに、前記三角形状切欠部(32)よりも左側の前記長板材(N)を前記第二部材(22)としてその下端に前記第二パッキン(24)を取付け、前記三角形状切欠部(32)の頂角における点で前記長板材(N)を分断せずに、前記第一部材(21)と前記第二部材(22)とが繋がったままの状態で、前記第二部材(22)を前記第一部材(21)に対して略90°回転させることを特徴とする。
【0023】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0024】
本発明の請求項1に記載の階段幅木によれば、第一部材は、踏板に接する第一パッキンが下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部を備え、第二部材は、蹴込板に接する第二パッキンが後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部と、を備えるので、階段幅木と階段(踏板、蹴込板)との間に隙間が生じる恐れはほとんど無い。
また、第一部材と第二部材はともに形状が単純であるので、施工現場での加工も容易で製造コストも低廉である。
また、第一部材と第二部材は、踏板や蹴込板と同質の木材で製造可能であるので、褪色・変色の違いもほとんど無く、階段幅木だけが著しく目立つ恐れもない。さらに、第一部材と第二部材を留め継ぎしたので、木口面の露出もない。よって、デザイン上の問題は無い。
【0025】
また、請求項2に記載の階段幅木の製造方法によれば、長板材における第一部材の下端に第一パッキンを取付けるとともに、長板材における第二部材の下端に第二パッキンを取付け、前記第二部材を前記第一部材に対して略90°回転させたので、階段幅木と階段(踏板、蹴込板)との間に隙間が生じる恐れはほとんど無い。
また、一つの長板材に矩形状切欠部と三角形状切欠部からなる切欠部を形成するだけであるので、施工現場での加工も容易で製造コストも低廉である。
また、一つの長板材から第一部材と第二部材を切り出したので、両部材は同一の材質であり、褪色・変色の違いもほとんど無く、階段幅木だけが著しく目立つ恐れもない。さらに、第一部材と第二部材を留め継ぎしたので、木口面の露出もない。よって、デザイン上の問題は無い。
加えて、三角形状切欠部の頂角における点で長板材を分断せずに、第一部材と第二部材とが繋がったままの状態で、第二部材を第一部材に対して略90°回転させたので、施工時に一対の第一部材と第二部材のうちどちらかが無いという状況が発生せず、施工の効率化を図ることができる。
【0026】
また、請求項3に記載の階段幅木によれば、第一部材は、踏板に接する第一パッキンが下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部を備え、第二部材は、蹴込板に接する第二パッキンが後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部と、を備えるので、階段幅木と階段(踏板、蹴込板)との間に隙間が生じる恐れはほとんど無い。すなわち、踏板、蹴込板に加えて段鼻正面に対しても、階段幅木と、これらとの間にパッキンが介在するので、隙間が生じる恐れは殆ど無い。
また、請求項1に記載の階段幅木より部材数が増えるものの、第一部材と第二部材はともに形状が単純であるので、施工現場での加工も容易で製造コストも低廉である。
また、第一部材と第二部材は、踏板や蹴込板と同質の木材で製造可能であるので、褪色・変色の違いもほとんど無く、階段幅木だけが著しく目立つ恐れもない。さらに、第一部材と第二部材を留め継ぎしたので、木口面の露出もない。よって、デザイン上の問題は無い。
また、段鼻の前端にも第二パッキンが存在するので、段鼻の突出量の誤差や階段幅木の加工誤差をこの第二パッキンで吸収することができる。
【0027】
また、請求項4に記載の階段幅木によれば、請求項3に記載の発明の作用効果に加え、第二パッキンを第三部材の前部に被せ、第二パッキンの裏面を第三部材に弾接させるので、第二パッキンによる寸法調整(寸法誤差吸収)の幅が大きく、蹴込板との隙間が生じることはほとんど無い。
【0028】
また、請求項5に記載の階段幅木によれば、請求項3に記載の発明の作用効果に加え、第二パッキンの表面を第三部材の前端に弾接させるので、請求項4に記載の発明に比べて、外観上の第二パッキンの幅が狭くて目立ち難く、デザインの面において優れる。
【0029】
また、請求項6に記載の階段幅木の製造方法によれば、長板材における第一部材の下端に第一パッキンを取付けるとともに、長板材における第二部材の下端に第二パッキンを取付け、前記第二部材を前記第一部材に対して略90°回転させたので、階段幅木と階段(踏板、蹴込板)との間に隙間が生じる恐れはほとんど無い。
また、一つの長板材に三角形状切欠部を形成するだけであるので、施工現場での加工も容易で製造コストも低廉である。
また、一つの長板材から第一部材と第二部材を切り出したので、両部材は同一の材質であり、褪色・変色の違いもほとんど無く、階段幅木だけが著しく目立つ恐れもない。さらに、第一部材と第二部材を留め継ぎしたので、木口面の露出もない。よって、デザイン上の問題は無い。
加えて、三角形状切欠部の頂角における点で長板材を分断せずに、第一部材と第二部材とが繋がったままの状態で、第二部材を第一部材に対して略90°回転させたので、施工時に一対の第一部材と第二部材のうちどちらかが無いという状況が発生せず、施工の効率化を図ることができる。
【0030】
なお、本発明の階段幅木及び階段幅木の製造方法のように、段鼻が突出している階段において踏板の上面全面及び蹴込板の前面全面にパッキンが接し、第一部材と第二部材とが留め継ぎされた点は、上述した特許文献1乃至15には全く記載されていない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第一実施形態)
図1及び
図2を参照して、本発明の第一実施形態に係る階段幅木200及び階段幅木200の製造方法を説明する。
この階段幅木200は、第一部材21と、第二部材22とを備える。
また、この階段幅木200の取付けの対象となる階段は、鉛直に延びる蹴込板Kと水平に延びる踏板Fからなり、その踏板Fの前端部分である段鼻Dが蹴込板Kよりも前方に突出する。また、蹴込板Kや踏板Fの少なくともいずれか一端(
図1においては紙面奥側)は建物の内壁(壁材)に接する。
なお、
図1等における紙面左側を階段幅木200の前方とし、紙面右側を後方とする。
また、従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0033】
第一部材21は、階段に取付けられた状態において、建物の内壁に接するとともに踏板Fの内壁側の上端に沿って水平に延び、第一本体部21aと第一突出部21bからなる。
第一本体部21aは、横長矩形状で、踏板Fに接する第一パッキン23が下端に取付けられている。
そして第一突出部21bが、第一本体部21aの前端の略中央から前側上方に傾斜して三角形状に突出する。
【0034】
第一パッキン23は踏板Fの内壁側端部の上面に接し、第一パッキン23の前後方向の長さは第一本体部21aの前後方向長さに等しく、段鼻Dを含めた踏板Fの前後方向の長さから他の第二部材22の前後方向の長さを減じた長さとも等しい。
また、第一本体部21aの前端は、段鼻Dの前端(蹴込板Kの前端)と面一であり、第一本体部21aの上端と第一突出部21bの上端は面一となっている。
また、第一突出部21bの傾斜部分と第一部材21の上端とのなす角度は45°である。
そして、第一突出部21bの傾斜部分と第二突出部22bの後述する傾斜部分とが留め継ぎされて第一部材21と第二部材22とのなす角度が略90°となっている。
【0035】
第二部材22は、建物の内壁に接するとともに蹴込板Kの内壁側の前方で鉛直に延び、第二本体部22aと第二突出部22bからなる。
第二本体部22aは、縦長矩形状で、蹴込板Kに接する第二パッキン24が後端に取付けられている。
そして、第二突出部22bが第二本体部22aの上端の前端から略中央まで上方へ矩形状に突出するとともに、さらにその矩形状突出部分の後端の上端から前側上方に傾斜して三角形状に突出している。
【0036】
第二パッキン24は蹴込板Kの内壁側端部の前面全面に接し、第二パッキン24の上下方向の長さは第二本体部22aの上下方向の長さに等しく、蹴込板Kの上下方向の長さから他の踏板Fの厚さを減じた長さとも等しい。
また、第二本体部22aの上端は、蹴込板Kの上端と面一であり、段鼻D(踏板F)の下端に接している。
また、第二本体部22aの前端、第二突出部22bの矩形状部分の前端、及び第二突出部22bの三角形状部分の前端は面一になっている。
また、第二突出部22bの傾斜部分と第二部材22の前端とのなす角度は45°である。
【0037】
さらに、第二突出部22bの矩形状部分の高さは、第一本体部21aの下端から第一突出部21bの下端までの高さに段鼻Dの厚さを加えた高さ以上、かつ第一本体部21aの下端から第一突出部21bの下端までの高さに段鼻Dの厚さと第一パッキン23の幅を加えた高さ未満である。
すなわち、第一パッキン23の伸び縮みの分だけ、第二突出部22bの矩形状部分の高さの許容値に余裕がある。
また、第二突出部22bの矩形状突出部分の後端から第二本体部22aの後端に第二パッキン24の幅(厚さ)を加えた長さは、段鼻Dの蹴込板Kからの突出量に等しく、第二突出部22bの矩形状突出部分の後端に段鼻Dの前端が当接する。これも、第一パッキン23の伸び縮み分と同様に、第二パッキン24の伸び縮み分だけ許容値に幅があるという意味である。
そして、第二突出部22bの傾斜部分の斜め方向の長さは、第一突出部21bの傾斜部分の斜め方向の長さとは等しい。
【0038】
このように構成された階段幅木200の製造方法は以下の通りである。
まず、
図2(a)に示すような、左右に延びる一つの長板材Nを用意する。
長板材Nの下端には、パッキンを取り付ける為に、予めパッキンの脚部が挿入される溝等の嵌合手段(図示せず)を設けるが、パッキンを両面テープ等で直接固定する場合は、溝が無くても良い。
【0039】
次に、
図2(b)に示すような、矩形状切欠部31と直角二等辺三角形状の三角形状切欠部32からなる切欠部を前記長板材Nに形成する。
詳細には、長板材Nの下端に矩形状切欠部31の下辺を一致させる。
そして、矩形状切欠部31の上辺の右端に底辺の右端を一致させるとともに底辺の左端を矩形状切欠部31の上辺上に配置させ、さらに三角形状切欠部32の直角の頂角を上方に向けてその頂角における点を長板材Nの上端に略一致させる。
【0040】
これは、矩形状切欠部31を形成して、その後に三角形状切欠部32を形成するということに限られず、例えば糸鋸等で切欠部の外形を一筆書きのように一度に形成することも含む。
また、第一部材21や第二部材22に対して厚さ方向の加工は無い。すなわち、第一部材21と第二部材22はいずれの箇所も均一の厚さであり、両者は同じ厚さである。
【0041】
次に、切欠部30よりも右側の長板材Nを第一部材21としてその下端に第一パッキン23を取付けるとともに、切欠部30よりも左側の長板材Nを第二部材22としてその下端に第二パッキン24を取付ける。
この第一パッキン23及び第二パッキン24は、
図3に示すように第一本体部21aや第二本体部22aの下端から内壁側へ湾曲突出した断面略舌状であり、
図3(a)のように開いた状態と、
図3(b)のように閉じた状態とがあるが、通常は閉じている。
【0042】
ここで、矩形状切欠部31の上辺の左端から三角形状切欠部32の底辺の左端までの長さは、矩形状切欠部31の高さに段鼻Dの厚さを加えた長さ以上、かつ矩形状切欠部31の高さに段鼻Dの厚さと第一パッキン23の幅を加えた長さ未満である。また、矩形状切欠部31の高さに第二パッキン24の厚さを加えた高さは、段鼻Dの突出量に等しい。
また、パッキンは踏板Fや蹴込板Kと階段幅木200との間に生じる隙間を隠蔽する為に用いられるので、NCルータ等で高精度に加工された場合、ストロークは1mm程度で十分なこともあるが、そうでない場合は、やや多めにとる事が好ましい。
【0043】
次に、
図2(c)に示すように、三角形状切欠部32の頂角における点で長板材Nを分断せずに、第一部材21と第二部材22とが繋がったままの状態で、第二部材22を第一部材21に対して回転させる。
【0044】
その回転が
図2(d)に示すように略90°となったら、第一突出部21bの傾斜部分と第二突出部22bの傾斜部分とを留め継ぎする。
最後に、
図2(e)に示すようにその階段幅木200を階段に取付ける。
【0045】
以上のように構成された階段幅木200によれば、第一部材21は、踏板Fに接する第一パッキン23が下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部21aを備え、第二部材22は、蹴込板Kに接する第二パッキン24が後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部22aと、を備えるので、階段幅木200と階段(踏板F、蹴込板K)との間に隙間が生じる恐れはほとんど無い。
【0046】
また、第一部材21と第二部材22はともに形状が単純であるので、施工現場での加工も容易で製造コストも低廉である。
また、第一部材21と第二部材22は、踏板Fや蹴込板Kと同質の木材で製造可能であるので、褪色・変色の違いもほとんど無く、階段幅木200だけが著しく目立つ恐れもない。さらに、第一部材21と第二部材22を留め継ぎしたので、木口面の露出もない。よって、デザイン上の問題は無い。
【0047】
なお、第一実施形態では第一部材21と他の一対の第二部材22を、施工の簡単な「どん付け」で接続する場合を示したが、施工現場で
図4に示したような第一部材21の後端及び第二部材22の下端に留め加工を行う事も可能である。
つまり、この留め加工とは、第一本体部21aの後端上端から後ろ側下方に傾斜して三角形状に突出した第三突出部を第一本体部21aに形成するとともに、第二本体部22aの下端前端から後ろ側下方に傾斜して三角形状に突出した第四突出部を第二本体部22aに形成するということである。
この場合、
図5に示したように、蹴込板Kの前面全面のみならず、踏板Fの上面全面にパッキン23,24が位置するので、隙間隠蔽効果が一層上がる。
【0048】
(第二実施形態)
次に
図6と
図7を参照して、本発明の第二実施形態に係る階段幅木200及び階段幅木200の製造方法を説明する。
この階段幅木200は、第一部材21と、第二部材22と、第三部材25を備える。
【0049】
第一部材21は、第一本体部21aと第一突出部21bからなる。
第一本体部21aは、横長矩形状で、踏板Fに接する第一パッキン23が下端に取付けられている。
また、第一突出部21bは、第一本体部21aの前端の下端から前側上方に傾斜して三角形状に突出している。
【0050】
第二部材22は、第二本体部22aと第二突出部22bからなる。
第二本体部22aは、縦長矩形状で、第二パッキン24が後端に取付けられている。
また、第二突出部22bは、第二本体部22aの後端の上端から前側上方に傾斜して三角形状に突出している。
第二パッキン24は、段鼻Dの下端のラインで上下二つに分かれており、上側の段鼻D前端に当接する部分は
図3(b)のように閉状態であり、一方それより下の部分は
図3(a)のように開状態である。
この第二パッキン24の開状態部分は、後述する第三部材25の前部に反内壁側から被せられ、前記第二パッキン24の先端裏面が第三部材25に弾接している。
【0051】
そして、第一突出部21bの傾斜部分と第二突出部22bの傾斜部分とが留め継ぎされて第一部材21と第二部材22とのなす角度が略90°となっている。
【0052】
第三部材25は、縦長矩形状で、蹴込板Kの前端に接して設けられ、第二部材22の第二パッキン24の開状態部分と蹴込板Kとの隙間を塞いでいる。
【0053】
このように構成された階段幅木200の製造方法は以下の通りである。
まず、
図7(a)に示すように、左右に延びる一つの長板材Nを用意する
次に、
図7(b)に示すように、直角二等辺三角形状の三角形状切欠部32を長板材Nに形成する。
詳しくは、長板材Nの下端に三角形状切欠部32の底辺を一致させるとともに三角形状切欠部32の直角の頂角を上方に向けて、その頂角における点を長板材Nの上端に略一致させる。
【0054】
次に、
図7(c)に示すように、三角形状切欠部32よりも右側の長板材Nを第一部材21としてその下端に第一パッキン23を取付けるとともに、三角形状切欠部32よりも左側の長板材Nを第二部材22としてその下端に第二パッキン24を取付ける。
このとき、第二パッキン24のうち、三角形状切欠部32の底辺の左端から段鼻Dの厚さ分だけ左の位置sに切込みを入れる。
【0055】
次に、
図7(d)に示すように、三角形状切欠部32の頂角における点で長板材Nを分断せずに、第一部材21と第二部材22とが繋がったままの状態で、第二部材22を第一部材21に対して略90°回転させる。
【0056】
次に、第二パッキン24の切込みより下の部分を引き起こす。このときの第二部材22は
図8のようになっており、引き起こされた部分の断面は、片方が解放された「レ」字状となっている。
そして、
図9に示すようにこの第二パッキン24を第三部材25に被せるように取り付け、第二パッキン24の裏面を第三部材25に弾接させる。
以上の工程において、第一部材21、第二部材22、及び第三部材25への厚さ方向への加工は行っていない。
【0057】
最後に、
図7(e)に示すようにその階段幅木200を階段に取付ける。
【0058】
なお、本実施形態とは異なり、第二パッキン24に切込みを入れない方法もある。この場合、
図10に示すように、第二パッキン24は引き起こす事無く閉状態で取り付けられ、第二パッキン24の表面が第三部材25の前端に弾接する。このとき、
図9と
図10との比較でわかるように、第二部材22と第三部材25との間の調整範囲がやや狭くなる。
【0059】
以上のように構成された階段幅木200によれば、第一部材21は、踏板Fに接する第一パッキン23が下端に取付けられた横長矩形状の第一本体部21aを備え、第二部材22は、蹴込板Kに接する第二パッキン24が後端に取付けられた縦長矩形状の第二本体部22aと、を備えるので、階段幅木200と階段(踏板F、蹴込板K)との間に隙間が生じる恐れはほとんど無い。すなわち、踏板F、蹴込板Kに加えて段鼻D正面に対しても、階段幅木200と、これらとの間にパッキンが介在するので、隙間が生じる恐れは殆ど無い。
また、第一実施形態に係る階段幅木200より部材数が増えるものの、第一部材21と第二部材22はともに形状が単純であるので、施工現場での加工も容易で製造コストも低廉である。
また、第一部材21と第二部材22は、踏板Fや蹴込板Kと同質の木材で製造可能であるので、褪色・変色の違いもほとんど無く、階段幅木200だけが著しく目立つ恐れもない。さらに、第一部材21と第二部材22を留め継ぎしたので、木口面の露出もない。よって、デザイン上の問題は無い。
また、段鼻Dの前端にも第二パッキン24が存在するので、段鼻Dの突出量の誤差や階段幅木200の加工誤差をこの第二パッキン24で吸収することができる。
さらに、第二部材22及び第三部材25への厚さ方向の加工は無く、第二パッキン24を開状態とすることで段鼻Dの突出量に対応しているので、構造が単純で強度も高い。
【0060】
なお、第一実施形態において、
図11(a)に示したように矩形状切欠部31と三角形状切欠部32の連通部分の左右端部に丸み(R形状)を設けてもよい。この場合、
図11(b)のように、階段への取付け時にはその丸みを設けた部分同士が接する。
【0061】
また、
図12に示すように、第一部材21と第二部材22との留め継ぎは45°ずつでなくてもよい。この場合、
図12(b)のように第一部材21と他の一対の第二部材22との留め継ぎとの角度が一致しないが、どん付けの場合は問題ない。
【0062】
また、第一及び第二実施形態においては、
図1等の紙面奥側を建物の内壁側として、
図1等の左側を階段幅木200の前方としたが、
図1等の右側を階段幅木200の前方とした場合には、全て線対称に反転させるだけでよく、この反転させたものも本発明の範囲内である。すなわち、この場合には長板材Nから第一部材21と第二部材22を切り出すときに切欠部30の左側が第一部材21、切欠部30の右側が第二部材22となる。
【0063】
また、第一部材21と第二部材22は分離していてもよい。
さらには、一つの長板材Nから第一部材21と第二部材22を切り出すことに限られず、他の方法で第一部材21と第二部材22を製造してもよい。