(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152041
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】オフセット印刷用ブランケット、オフセット印刷装置、及びオフセット印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41N 10/04 20060101AFI20170612BHJP
B41M 7/00 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
B41N10/04
B41M7/00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-237527(P2013-237527)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-98085(P2015-98085A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100153958
【弁理士】
【氏名又は名称】崎浜 丈誠
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌秀
【審査官】
村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−130514(JP,A)
【文献】
特開平9−318804(JP,A)
【文献】
特開平10−119456(JP,A)
【文献】
特開2012−223670(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/099836(WO,A1)
【文献】
特開2009−284373(JP,A)
【文献】
特開2008−152983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 10/00
B41M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層上に積層され、被印刷体に転写するためのペーストを受理する表面印刷層と、を有するオフセット印刷用ブランケットであって、
前記基材層は、前記基材層の側面から入射された光を前記表面印刷層に導くように構成されているオフセット印刷用ブランケット。
【請求項2】
前記基材層は、基材と、前記基材の前記表面印刷層と反対側の面に、前記光を前記表面印刷層に導くように反射させる反射部と、を有する請求項1に記載のオフセット印刷用ブランケット。
【請求項3】
前記反射部は、白色インクで形成されている請求項2に記載のオフセット印刷用ブランケット。
【請求項4】
前記反射部を複数有し、前記反射部の前記基材と接触する面の面積は、前記光の光源から近いほど小さい、請求項3に記載のオフセット印刷用ブランケット。
【請求項5】
前記基材層は、前記表面印刷層と反対側の面が凹凸状に形成された基材を有する請求項1に記載のオフセット印刷用ブランケット。
【請求項6】
基材層と、前記基材層上に積層され、被印刷体に転写するためのペーストを受理する表面印刷層とを有するオフセット印刷用ブランケットが装着されるオフセット印刷装置であって、
前記基材層は、前記基材の側面から入射された光を前記表面印刷層に導光するように構成されており、
前記オフセット印刷用ブランケットの前記基材の側面に対して光を照射する照射部を有するオフセット印刷装置。
【請求項7】
基材層と、前記基材層上に積層され、被印刷体に転写するためのペーストを受理する表面印刷層とを有するオフセット印刷用ブランケットを備えるオフセット印刷装置によるオフセット印刷方法であって、
前記基材層は、前記基材層の側面から入射された光を前記表面印刷層に導光するように構成されており、
光硬化型ペーストを所定の凹版に充填するステップと、
前記凹版に充填された前記光硬化型ペーストを前記オフセット印刷用ブランケットの前記表面印刷層に転写するステップと、
前記オフセット印刷用ブランケットの前記基材層の側面に対して光を照射することにより、前記光を前記表面印刷層に導いて、前記表面印刷層に転写された前記光硬化型ペーストの前記表面印刷層側の部分を硬化させるステップと、
前記表面印刷層に転写された前記光硬化型ペーストを所定の被印刷体に転写するステップと、
を有するオフセット印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷用ブランケット、オフセット印刷装置、及びオフセット印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷は、印刷イメージが形成されている版と紙等の被印刷体とを接触させないで印刷を行う印刷技法をいう。オフセット印刷では、版からの印刷用ペーストをオフセット印刷用ブランケット(以下、「ブランケット」ともいう。)で一旦受理した後、その受理した印刷用ペーストを被印刷体に転写する。オフセット印刷は、一度に同一印刷物を大量に生産できることから、新聞や雑誌等の紙媒体への印刷に汎用的に用いられてきたが、比較的高精度な印刷が可能であることから、近年では、それに加えて、電子部品等の分野にも拡がっている。
【0003】
オフセット印刷の原理は、溶液型ペーストを使用する場合、ペーストがブランケット上に受理され際、ペーストを構成する溶剤成分の一部がブランケットに吸収され、ペーストの凝集力が上がることによって、ブランケット上から被印刷体にほぼ100%転写できるようになる。
【0004】
オフセット印刷における多数回繰り返し印刷(連続印刷)では、次々と溶剤型ペーストをブランケットが受理するため、ブランケットの最表面層では、ブランケットに吸収された溶剤が飽和した状態となってしまう。このことが原因となって、さらに印刷を継続するとブランケットへの溶剤吸収が十分に行われずに、転写に必要なペーストの凝集力が上がらず、確実な転写ができない状況、すなわち、ペーストの一部がブランケット上に残ってしまう状況が発生する。
【0005】
これに対して、溶剤型ペーストを用いずに紫外線硬化型ペーストを使用する技術が開示されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−217608号公報
【特許文献2】特開平9−318804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術では、ペースト表面、すなわち、被印刷体に密着する側から紫外線を照射している。このため、被印刷体に転写する側のペースト表面の方から硬化が進み、被印刷体に転写されるペースト表面が硬化しすぎてしまい、被印刷体とペーストとの密着強度を確保することが困難である。
【0008】
一方、特許文献2に開示された技術では、ブランケットの裏側、すなわち、ブランケットを巻きつける印刷胴の内側から紫外線を照射している。この技術においては、印刷胴が透明であることが必須となるため、ある程度の大きさと精度を備えた印刷装置において、透明である素材を印刷胴として用意し、その印刷胴の中に紫外線を照射する照射装置を組み込むことは困難であるとともに、比較的高価であるという問題がある。さらに、印圧を調整するために、クッション性を有するアンダーブランケットを使用する場合には、アンダーブランケットが透明である必要があるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、長期に亘って安定して良好な印刷をできるようにする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため、本発明の一実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットは、基材層と、基材層上に積層され、被印刷体に転写するためのペーストを受理する表面印刷層と、を有するオフセット印刷用ブランケットであって、基材層は、基材層の側面から入射された光を表面印刷層に導くように構成されている。
【0011】
本発明の他の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットは、また、基材層は、基材と、基材の表面印刷層と反対側の面に設けられ、光を表面印刷層に導くように反射させる反射部とを有する。
【0012】
本発明の他の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットは、また、反射部は、白色インクで形成されている。
【0013】
本発明の他の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットは、また、反射部を複数有し、反射部の基材と接触する面の面積は、光の光源から近いほど小さい。
【0014】
本発明の他の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットは、また、基材層は、表面印刷層と反対側の面が凹凸状に形成された基材を有する。
【0015】
また、本発明の他の実施の形態に係るオフセット印刷装置は、基材層と、基材層上に積層され、被印刷体に転写するためのペーストを受理する表面印刷層とを有するオフセット印刷用ブランケットが装着されるオフセット印刷装置であって、基材層は、基材層の側面から入射された光を表面印刷層に導くように構成されており、オフセット印刷用ブランケットの基材層の側面に対して光を照射する照射部を有する。
【0016】
また、本発明の他の実施の形態に係るオフセット印刷方法は、基材層と、基材層上に積層され、被印刷体に転写するためのペーストを受理する表面印刷層とを有するオフセット印刷用ブランケットを備えるオフセット印刷装置によるオフセット印刷方法であって、基材層は、基材層の側面から入射された光を表面印刷層に導くように構成されており、光硬化型ペーストを所定の凹版に充填するステップと、凹版に充填された光硬化型ペーストをオフセット印刷用ブランケットの表面印刷層に転写するステップと、オフセット印刷用ブランケットの基材層の側面に対して光を照射することにより、光を表面印刷層に導いて、表面印刷層に転写された光硬化型ペーストの表面印刷層側の部分を硬化させるステップと、表面印刷層に転写された光硬化型ペーストを所定の被印刷体に転写するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、長期に亘って安定して良好な印刷ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットを含むオフセット印刷装置の一部断面図及びオフセット印刷方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るオフセット印刷装置の範囲B1と同様な範囲における拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットを含むオフセット印刷装置について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットを含むオフセット印刷装置の一部断面図及びオフセット印刷方法を説明する図である。(1A)は、凹版に充填された紫外線硬化型ペーストをオフセット印刷用ブランケットに転写する様子を示す。(1B)は、オフセット印刷用ブランケットを含むオフセット印刷装置の一部断面図及び紫外線硬化型ペーストを受理したオフセット印刷用ブランケットの様子を示す。(1C)は、(1B)のA−A線断面図を示す。(1D)は、オフセット印刷用ブランケットに転写された紫外線硬化型ペーストを被印刷体に転写する様子を示している。
図2は、
図1における範囲B1の拡大断面図である。
【0022】
オフセット印刷装置1は、(1C)に示すように、略円筒状の印刷胴2と、印刷胴2に装着されたオフセット印刷用ブランケット(以下、「ブランケット」ともいう。)4と、紫外線を照射する照射部3とを有する。
【0023】
印刷胴2は、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成される。
【0024】
照射部3は、印刷胴2の軸方向の外側、すなわち印刷胴2に装着されたブランケット4の印刷胴2の軸方向の側面の外側に、ブランケット4の側面に紫外線が当たるように配置される。本実施の形態では、照射部3は、ブランケット4の両側の側面のそれぞれの外側に配置されているが、片側のみに配置されていても良い。ここで、紫外線とは、波長が1〜380nm程度の光線をいう。なお、照射部3が照射する紫外線は、必ずしも1〜380nmの全ての波長を含んでいる必要がなく、使用する紫外線硬化型ペーストを硬化することのできる範囲の波長成分を含んでいれば良い。
【0025】
ブランケット4は、
図2に示すように、基材層5と、基材層5に積層される表面印刷層11とを有する。
【0026】
基材層5は、基材の一例である基材フィルム12と、反射部13とを有する。
【0027】
基材フィルム12は、樹脂製のフィルムであって、好適にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)あるいはポリイミド(PI)から構成され、さらに好適には、比較的安価であって均一な厚みを持つフィルムが得られる材料の一つであるPETから構成される。基板フィルム12の厚さは、好適には50〜400μmであり、さらに好適には150〜300μmである。
【0028】
反射部13は、基材フィルム12の印刷胴2側(以下、下側ともいう)の表面に形成され、基材フィルム12の側面から照射されて基材フィルム12内を通過する紫外線の少なくとも一部を基材フィルム12から表面印刷層11へ射出されるように導光させる。
【0029】
反射部13は、例えば、白色インクで形成されたドットとしても良い。反射部13の厚さは、例えば、0.2〜20μmである。反射部13を白色インクで形成する場合には、例えば、スクリーン印刷で形成することができる。この場合には、比較的安価で、且つ容易に反射部13を形成することができる。
【0030】
ここで、反射部13による作用を説明すると、照射部3から照射され、基材層5の基材フィルム12の一方の側面に入射した紫外線は、基材フィルム12内において表面反射を繰り返して、基材フィルム12の他方の側面に進んで行こうとする。このとき、紫外線が反射部13に当たると、そこで散乱されて、紫外線の一部が基材フィルム12から表面印刷層11に出て行くこととなる。
【0031】
本実施の形態では、基材層5は、反射部13を複数備えている。複数の反射部13は、印刷胴2の軸方向(
図2中の左右方向)において間隔を空けて配置され、印刷胴2の周方向においても間隔を空けて配置されている。反射部13の基材フィルム12と接触する面(以下、接触面ともいう)の面積は、最も近い照射部3からの距離が近いほど小さい。本実施の形態では、照射部3を基材層5の印刷胴2の軸方向の両方の側面の外側2箇所に配置しているので、基材層5の印刷胴2の軸方向の側面に近いほど、反射部13の接触面の面積が小さく、基材層5の印刷胴2の軸方向の中心に近いほど、反射部13の接触面の面積が大きい。このように、印刷胴2の軸方向において、光源からの距離に応じて反射部13の接触面の面積を変えることにより、基材フィルム12から表面印刷層11へ射出される紫外線の光量を均一化することができる。
【0032】
なお、反射部13の形状及び配置位置はこれに限られず、例えば、反射部13を印刷胴2の周方向に伸びるラインとしても良く、要は、基材層5の側面から入射した紫外線が、印刷するためのペーストが受理される可能性のある表面印刷層11の所定の範囲(印刷範囲)の少なくとも一部に導光されるような形状及び配置位置であれば良い。
【0033】
表面印刷層11は、シロキサン結合(Si−O−Si)を主骨格とするゴム状のシートであって、未硬化状態にあるシリコーンゴム材料を架橋して構成される。ここで、シリコーンゴム材料には、シリコーンのみを重合させたものの他、シリコーンと有機モノマーとを共重合させたシリコーン変形ポリマーも含む。表面印刷層11は、基材フィルム12との積層に先立ち、一次加硫(このときに成形)後に100℃以上の温度にて加熱処理したシートである。加熱温度は、シリコーンゴム材料の種類や加硫剤の種類によって適宜変更する。
【0034】
表面印刷層11に均一な厚みを持たせるためには、JIS K7177に準拠する「単一円筒回転粘度計を用いた粘度測定法」により測定される粘度が2500Pa・s以下の液状シリコーンゴム材料を用いるのが好ましい。ただし、高圧力をかけることのできるプレス装置やカレンダー装置を用いる場合には、硬化前の状態が天然ゴムあるいは合成ゴムの未加硫状態のものに類似するミラブルゴムを用いても良い。表面印刷層11の厚さは、好適には100〜800μmであり、さらに好適には200〜600μmである。
【0035】
次に、第1の実施の形態に係るオフセット印刷装置1によるオフセット印刷方法について
図1を参照して説明する。
【0036】
まず、(1A)に示すように、被印刷体22に印刷するパターンが形成された凹版21を用意する。次いで、その凹版21に対して光硬化型ペーストの一例としての紫外線硬化型ペースト(以下、ペーストという)Pを充填するステップを実行する。
【0037】
次いで、ブランケット4が装着された印刷胴2を、(1A)に示すように、凹版21上を回転移動させることにより、(1B)に示すように、印刷胴2に装着されたブランケット4の表面印刷層11が凹版21に充填されたペーストPを受理するステップ(ペースト受理ステップ)を実行する。
【0038】
次いで、印刷胴2を回転しつつ、ペーストPが受理された表面印刷層11の下層の基材層5の側面に、照射部3により紫外線を照射させてペーストPを硬化させるステップ(ペースト硬化ステップ)を実行する。なお、既に受理されたペーストPを硬化させるペースト硬化ステップと、表面印刷層11にまだ受理されていないペーストPを受理するペースト受理ステップとを並行して行っても良い。ここで、ブランケット4の基材層5の一方の側面に照射された紫外線は、基材12内に入射し、基材12内において表面反射を繰り返して、反対の側面方向に進行しようとする。この際、紫外線が反射部13に当たると、分散反射されて、反射した紫外線の一部が基材12から出て、表面印刷層11を通過し、表面印刷層11に受理されているペーストPに到達する。この結果、ペーストPの表面印刷層11側の部分から硬化が進む。本実施の形態では、ペーストPの表面印刷層11側の部分が硬化し、ペーストPの被印刷体22に転写される側の部分が硬化していない状態(半硬化状態)となるように、印刷胴2の回転速度、照射部3から照射される紫外線の強度等が設定されて、所定の制御部により制御されている。
【0039】
次いで、(1D)に示すように、印刷胴2を回転させて、表面印刷層11上の半硬化状態のペーストPを紙等の被印刷体22に転写するステップ(転写ステップ)を実行する。この転写ステップにおいては、表面印刷層11上のペーストPは、表面印刷層11側の部分が硬化しているので、表面印刷層11にペーストPが残留することがほとんどない。また、ペーストPは、紫外線硬化型ペーストであり、溶剤型ペーストのように溶剤が表面印刷層11に吸収されることがないので、連続印刷を支障なく行うことができる。さらに、表面印刷層11上のペーストPは、被印刷体22に転写される側の部分が硬化していないので、被印刷体22とペーストPとの密着強度を高くすることができる。
【0040】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るオフセット印刷用ブランケットについて説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態と共通する構成部分については、同一の符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0041】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係るオフセット印刷装置の範囲B1と同様な範囲における拡大断面図である。
【0042】
ブランケット4は、
図3に示すように、基材層5と、基材層5に積層される表面印刷層11とを有する。
【0043】
基材層5は、基材の一例である基材フィルム14を有する。基材フィルム14の材質は、第1の実施の形態の基材フィルム12と同様である。
【0044】
基材フィルム14は、下側の面に下に凸状の凸部14aが複数形成されることにより、凹凸状に形成されている。凸部14aの高さは、例えば、1〜100μmである。凸部14aの基材フィルム14の面方向の面積は、最も近い照射部3からの距離が近いほど小さい。本実施の形態では、照射部3を基材層5の印刷胴2の軸方向の両側の側面の外側2箇所に配置しているので、基材層5の印刷胴2の軸方向の側面に近いほど、凸部14aの基材フィルム14の面方向の面積が小さく、基材層5の印刷胴2の軸方向の中心に近いほど、凸部14aの基材フィルム14の面方向の面積が大きい。このように、印刷胴2の軸方向において凸部14aの基材フィルム14の面方向の面積を変えることにより、基材フィルム14から表面印刷層11へ射出される紫外線の光量を均一化することができる。
【0045】
基材フィルム14の下側の面を凹凸状に形成する方法としては、例えば、スタンパーを用いて、またはインジェクションにより、下側の面が凹凸状の基材フィルム14を成形する方法や、平板状の基材フィルム14の下側の面を、機械的に、またはレーザーにより削り取る方法等がある。なお、
図3では、基材フィルム14の下側の面は、矩形の段差を有する凹凸状に形成されているが、連続した曲面による凹凸状としても良く、要は、基材フィルム14に側面から照射された紫外線の一部が表面印刷層11に射出されるように反射させる形状であれば良い。
【0046】
第1の実施の形態に係るオフセット印刷装置において、第1の実施の形態に係るブランケットを第2の実施の形態に係るブランケットに代えてオフセット印刷を行った場合も、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
<他の実施の形態>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られず、他の様々な態様に適用可能である。
【0048】
例えば、第1の実施の形態における基材層5に代えて、基材フィルム12に対して、ドット状の粘着剤により平板状の反射板を貼り付けた基材層としても良い。
【0049】
また、第1の実施の形態においては、紫外線の光源との距離に応じて反射部13の基材層5の面方向の面積を変えるようにしていたが、本発明はこれに限られず、例えば、各反射部の基材層の面方向の面積を同じにし、紫外線の光源との距離に応じて、形成する反射部の密度を変えるようにしても良い。
【0050】
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、光硬化型ペーストの例として、紫外線により硬化する紫外線硬化型ペーストを用いた例を示したが、本発明はこれに限られず、紫外線以外の光により硬化する光硬化型ペーストを用いても良い。この場合には、照射部3は、用いる光硬化型ペーストを硬化させる紫外線以外の光を照射できるようにすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、オフセット印刷用のブランケットとして利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 オフセット印刷装置
2 印刷胴
3 照射部
4 オフセット印刷用ブランケット
5 基材層
11 表面印刷層
12 基材
13 反射部
14 基材
14a 凸部