(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
刈取られた穀稈を脱穀する脱穀装置と、該脱穀装置にて穀桿から分離した穀粒及び塵埃を選別するチャフシーブを有する揺動選別装置と、前記チャフシーブの角度を検出する角度センサと、前記脱穀装置から排出される穀粒の衝突によって穀粒量を検出する穀粒量検出手段とを備えるコンバインにおいて、
前記揺動選別装置の後端部付近に前記穀粒量検出手段を配置してあり、
前記角度センサによって検出された角度に基づいて、前記穀粒量検出手段によって検出された穀粒量を補正する補正手段と、
唐箕と
を備え、
前記補正手段は、更に、前記唐箕の風量が所定の風量よりも大きい場合、前記穀粒量検出手段によって検出された穀粒量に対し、値が大きくなる補正をし、前記唐箕の風量が所定の風量よりも小さい場合、前記穀粒量検出手段によって検出された穀粒量に対し、値が小さくなる補正をすること
を特徴とするコンバイン。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るコンバインを示す図面に基づいて説明する。
図1はコンバインの外観斜視図である。
【0016】
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に機体9が設けてある。該機体9の上には脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク4が設けてあり、前記脱穀装置2の左部には、穀稈を搬送する前後に長いフィードチェン5が設けてある。該フィードチェン5の上側に、穀稈を挟持する挟持部材6が設けてあり、該挟持部材6とフィードチェン5とが対向している。前記フィードチェン5の前端部付近には上部搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
【0017】
走行クローラ1の駆動によって機体9は走行する。機体9の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は上部搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
【0018】
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12が螺旋状に並んでいる。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40(
図4参照)の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
【0019】
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に並設してあり、該送塵弁10aは扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0020】
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bの周面には多数の扱歯13c、13c、・・・、13cが螺旋状に並んでいる。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の下側には排出口13eを開設してある。
【0021】
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
【0022】
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
【0023】
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前方を下として傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、一番スクリューコンベア23が設けてある。
【0024】
該一番スクリューコンベア23は、一番穀粒板22を滑落した穀粒を取り込み、穀粒タンク4へ送給する。穀粒タンク4の側面に投口4bが設けてあり、該投口4bから穀粒が穀粒タンク4内に投入される。
【0025】
前記一番穀粒板22の後部に、後方に向けて下降傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前方に向けて下降傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリューコンベア26が設けてある。
【0026】
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリューコンベア26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリューコンベア26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
【0027】
前記一番スクリューコンベア23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、起風動作を行う唐箕27が設けてある。前記唐箕27の起風動作によって発生した風は、後方へ進行する。唐箕27と前記一番スクリューコンベア23との間に、風を上向きに送り出す整流板28を配設してある。
【0028】
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排出通路37になっている。
【0029】
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排出通路37に至る。排塵口33及び排出通路37から、穀粒が排出される。
【0030】
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前方を下向きとして傾斜した流下樋35が設けてある。処理室13の処理網13dにて揉みほぐされ、処理網13dから落下した処理物(穀粒、稈等)はチャフシーブ18又はストローラック19に落下する。処理網13dの後端部から排出された排出物は流下樋35を滑落してストローラック19に落下する。
【0031】
二番スクリューコンベア26よりも後方、実施の形態1においてはストローラック19の後方且つ排出通路37の前方に、排出される穀粒量を検出するロスセンサ34(穀粒量検出手段)が設けてある。チャフシーブ18及びストローラック19上を通過した層状の塵埃及び穀粒はロスセンサ34に衝突する。ロスセンサ34は圧電素子を備えており、穀粒の衝突によってロスセンサ34から電圧信号が出力され、ロス量が検出される。
【0032】
次に前記チャフシーブ18の動作機構について説明する。
図3はチャフシーブ18の動作機構を示す側面図である。
【0033】
前記扱胴11の近傍に、扱胴11にて脱穀された排桿を図示しないカッタに向けて搬送する排ワラチェン50が設けてある。該排ワラチェン50に対向させて排ワラガイド棒51が設けてあり、該排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を、排ワラチェン50の移動と共に排桿が移動するようにしてある。
【0034】
図3に示す如く、前記排ワラガイド棒51の下側にL形の回動レバー52が設けてあり、該回動レバー52は前後方向に長い前後杆52aと、該前後杆52aの前端部から上方に突出した上下杆52bとを備えている。該上下杆52b及び前後杆52aとの角部分に枢軸52cが設けてある。また上下杆52bの突出端部にばね体54の後端部が固定してあり、ばね体54の前端部はコンバインの適所に固定してある。前記排ワラガイド棒51と前記前後杆52aの後端部とが連結棒53を介して連結してある。連結棒53と前後杆52aとは枢結されている。
【0035】
前記排ワラガイド棒51及び排ワラチェン50の間を移動する排桿が増加するに連れて、前記排ワラガイド棒51は押圧されて下側に移動し、前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして後方に回動する(
図3実線矢印参照)。このとき前記ばね体54は伸長する。一方排桿が減少するにつれて、伸長したばね体54の復元力によって前記回動レバー52は枢軸52cを支点にして前方に回動し、前記排ワラガイド棒51は上側に移動する(
図3破線矢印参照)。
【0036】
次にチャフシーブ18の構成について説明する。前記チャフシーブ18は矩形に枠組された枠体(図示せず)を有している。該枠体を構成しており、前後方向に延びる左右に配置された二つの枠材の間に、左右方向に延びる多数のシーブ板18a、18a、・・・、18aを前後方向に沿って並設してある。該シーブ板18a、18a、・・・、18aの各上部は枠材に支軸18k、18k、・・・、18kを介して枢支してある。各シーブ板18a、18a、・・・、18aの下部は、前後方向に延びる一本の連結桿18bに枢軸18l、18l、・・・、18lを介して連結してある。該連結桿18bの前部に、矩形状の回動板18cの中途部が連結してあり、該回動板18cの一端部は前記連結桿18bの上方にて軸体18iを中心にして枢支してある。前記回動板18cの他端部には、チャフワイヤ18eの一端部が連結してあり、該チャフワイヤ18eの他端部は前記上下杆52bに連結してある。
【0037】
また前記軸体18iには、軸体18i周りの回動板18cの位置を検出するポテンショメータ型のシーブセンサ18j(角度センサ)を設けてある。該シーブセンサ18jの出力に基づいてシーブ角(シーブ板18a、18a、・・・、18aと連結桿18bとのなす角度)θrを検出する構成にしてある。
【0038】
また前記軸体18iに、図示しない手動レバーに操作されるL形の手動板18hの一端部が連結してある。該手動板18hの他端部には前記チャフワイヤ18eの中途部及び手動ワイヤ18gの一端部を連結してある。該手動ワイヤ18gの他端部は前記手動レバーに連結している。
【0039】
また前記回動板18cの一端部及び手動板18hの他端部に、ばね体18dを介装して前記手動板18hと前記回動板18cとを連結してある。また前記手動板18hの中途部には、ばね体18fの一端部を連結してあり、該ばね体18fの他端部は前記脱穀装置2の適所に固定してある。
【0040】
前記回動レバー52が後方へ回動したときに、前記チャフワイヤ18eは牽引され、前記回動板18cは反時計回りに回動し、前記連結桿18bは後方へ移動し、前記シーブ板18a、18a、・・・、18aは起立してシーブ角θrは大きくなり、シーブ板18a、18a、・・・、18a同士の間隔は広くなる。このときばね体18fは圧縮される(
図3実線矢印参照)。一方前記回動レバー52が前方に回動したときには、前記ばね体18fの復元力により、前記回動板18cは時計回りに回動し、前記連結桿18bは前方へ移動し、前記シーブ板18a、18a、・・・、18aは傾倒してシーブ角θrは小となり、シーブ板18a、18a、・・・、18a同士の間隔は狭くなる(
図3破線矢印参照)。
【0041】
排桿の減増に応じて排ワラガイド棒51が上下動し、前記回動レバー52が回動して前記手動板18h及び回動板18cが回動し、シーブ角θrが調整される。また前記手動レバーの操作に応じて、前記手動ワイヤ18gが牽引されるか又は弛緩され、前記手動板18h及び回動板18cが回動して、シーブ角θrが調整される。なお前記手動レバーは適当な位置で固定することができるようにしてある。
【0042】
図4はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
図4に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して走行ミッション42に連結してある。エンジン40の出力軸の近傍には、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ40aが設けてある。エンジン回転数センサ40aはホール素子などを有する磁気センサであり、出力軸が有する磁性体の通過によって回転数を検出する。
【0043】
HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。
【0044】
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
【0045】
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また伝動機構150に連結してある。伝動機構150は前記一番スクリューコンベア23に連結してある。
【0046】
またエンジン40は脱穀クラッチ44を介して偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により揺動選別装置16が揺動する。またエンジン40は脱穀クラッチ44を介して唐箕27に連結してある。
【0047】
唐箕27の近傍には、唐箕27の風量を検出する唐箕センサ27aが設けてある。唐箕センサ27aは、例えばホールセンサを有し、唐箕27に動力を伝達するギヤ又はシャフトの回転数に基づいて、風量を検出する。またエンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
【0048】
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
【0049】
脱穀クラッチ44を介して扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達する。処理胴13bは、扱胴11にて脱穀処理された処理物から穀粒を分離する。
【0050】
また揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈が唐箕27の起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出される。
【0051】
コンバインには制御部100が搭載されている。
図5は制御部100の構成を示すブロック図、
図6はシーブ角θrの大小とロスセンサ34に衝突する穀粒量との関係を説明する説明図である。
図6Aはシーブ角θrが大きい場合におけるロスセンサ34に衝突する穀粒量を説明する説明図であり、
図6Bはシーブ角θrが小さい場合におけるロスセンサ34に衝突する穀粒量を説明する説明図である。
図7はロスセンサ34の検出値に対するロス量を示す関数を例示した図である。
【0052】
制御部100は内部バスにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)100a、ROM(Read Only Memory)100b、RAM(Random Access Memory)100c及びEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、ロス量の演算など必要な制御を実行する。EEPROM100dには、ロスセンサ34の検出値に対するロス量を示す関数が設定してある。
【0053】
制御部100は出力インタフェース100fを介して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、表示部83に所定の映像を表示することを示す表示信号を出力する。
【0054】
刈取スイッチ80、脱穀スイッチ85、ロスセンサ34、唐箕センサ27a及びシーブセンサ18jの各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0055】
なお前記キャビン8内にはダッシュボードパネルが設けてあり、該ダッシュボードパネルに、刈取スイッチ80及び脱穀スイッチ85が設けてあり、また液晶パネルを有する表示部83が設けてある。なお刈取スイッチ80のオンオフに対応して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が継断される。また脱穀スイッチ85のオンオフに対応して、脱穀クラッチ44が継断される。
【0056】
次に制御部100によるロス量の補正について説明する。
【0057】
図6Aに示すように、シーブ角θrが大きい場合、シーブ板18a間の距離が大きいので、シーブ板18a間を通過する唐箕27からの風量も大きくなる。そのため、白抜矢符にて示すように、唐箕27からの風によって多くの穀粒が上方に持ち上げられ、高い軌道で移動し、ロスセンサ34に落下して衝突する。
【0058】
一方、
図6Bに示すように、シーブ角θrが小さい場合、シーブ板18a間の距離が小さいので、シーブ板18a間を通過する唐箕27からの風量も小さくなる。そのため、白抜矢符にて示すように、多くの穀粒がシーブ板18a上を低い軌道で移動し、ロスセンサ34に衝突すること無く、ロスセンサ34を超える。すなわち、シーブ角θrの大/小によって、穀粒が移動する軌道が異なる。
【0059】
図7に示すように、EEPROM100dには、検出値に対するロス量を示す初期関数Aが記憶してある。上述したように、シーブ角θrの大/小に応じて、ロスセンサ34の検出値は実際のロス量よりも大/小となり易い。そのためシーブ角θrの大/小に応じて、ロスセンサ34の検出値を小/大とすべく、CPU100aは、シーブセンサ18jからシーブ角θrを取り込み、初期関数Aを補正し、RAM100cに設定する。例えば取り込んだシーブ角θrが、初期関数Aに対応する角度よりも小さい場合、初期関数Aよりも傾きが大きな関数Pに補正する。一方、取り込んだシーブ角θrが、初期関数Aに対応する角度よりも大きい場合、初期関数Aよりも傾きが小さな関数Qに補正する。
【0060】
このため、CPU100aは、シーブ角θrに応じた適切な関数をRAM100cに設定することができ、設定した関数に基づいてロス量を演算するので、ロス量の検出精度を向上させることができる。
【0061】
なお関数の補正方法としては、シーブ角θrに基づいてCPU100aが演算し、補正後の関数を求めるか又は各シーブ角θrに応じた補正後の関数を、EEPROMにて予めLUT(Look Up Table)に複数記憶しておき、RAM100cに設定することが考えられる。ただしシーブ角θrに応じた適切な関数を設定するものであればよく、これらに限定されるものではない。
【0062】
更にCPU100aは、唐箕27の風量に応じて関数を補正することができる。一般に、唐箕27の風量が大きい程、チャフシーブ18上を移動する塵の量、換言すれば塵の厚さは大きくなり、ロスセンサ34を容易に越える。塵の層には穀粒が混入している。また塵がロスセンサ34に衝突したとしても、塵がロスセンサ34に衝突した場合における衝撃力は、穀粒が衝突した場合に比べて弱く、ロス量として検出され難い。そのため、ロスセンサ34によって検出されたロス量よりも、実際には多くの穀粒が排出される。
【0063】
そのためCPU100aは唐箕センサ27aの検出値を取り込み、
図6に示すように、唐箕27の風量が所定の風量よりも大きい場合、関数P又はQよりも傾きの大きい関数P1又はQ1に補正する。一方唐箕27の風量が所定の風量よりも小さい場合、関数P又はQよりも傾きの小さい関数P2又はQ2に補正する。この補正によって、ロス量の検出精度をより一層向上させることができる。なお唐箕27の風量に基づく補正は、初期関数Aに対して行ってもよい。
【0064】
なお関数の補正方法としては、唐箕27の風量に基づいてCPU100aが演算し、補正後の関数を求めるか又は各唐箕27の風量に応じた補正後の関数を、EEPROMにて予めLUT(Look Up Table)に複数記憶しておき、RAM100cに設定することが考えられる。ただし唐箕27の風量に応じた適切な関数を設定するものであればよく、これらに限定されるものではない。
【0065】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るコンバインを示す図面に基づいて説明する。
図8はコンバインにおける脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
図8に示すように、二番スクリューコンベア26よりも後方、実施の形態2においてはストローラック19の後部下方に、排出される穀粒量を検出するロスセンサ34が設けてある。ストローラック19を漏下した穀粒はロスセンサ34に衝突する。ロスセンサ34は圧電素子を備えており、穀粒の衝突によってロスセンサ34から電圧信号が出力され、ロス量が検出される。なおロスセンサ34に衝突した穀粒量の大/小に応じて、排出通路37から排出されるロス量が大/小となる。
【0066】
なお実施の形態2においても、唐箕27の風量が大きい程、ストローラック19上を移動する塵の量、換言すれば塵の厚さは大きくなり、塵に混入した穀粒はストローラック19から漏下し難く、ロスセンサ34によって検出されたロス量よりも、実際には多くの穀粒が排出される。
【0067】
そのため、実施の形態1と同様に、チャフシーブ18のシーブ角θrに基づいた補正及び唐箕27の風量に基づいた補正を行うことによって、ロス量の検出精度を向上させることができる。
【0068】
実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るコンバインを示す図面に基づいて説明する。
図9はコンバインにおける脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図である。
【0070】
チャフシーブ18の上側には、塵量を検出する塵センサ70(塵量検出手段)が設けてある。前記投口センサ23bにて検出された穀粒量と塵センサ70にて検出された穀粒量との比に基づいて、前記送塵弁10a、10a、10a、10aの開閉が行われ、扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量が調節される。
【0071】
図10は塵センサ70の構成を示す模式図、
図11は制御部100の構成を示すブロック図である。塵センサ70は下端部を前方へ折り曲げたL状の検出板71を備えている。L状の検出板71の上端部は脱穀装置2の適所に、枢軸72を介して取り付けられている。塵センサ70は、枢軸72の回動に応じて出力電圧が変動するポテンショメータ73を備えている。ポテンショメータ73の出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
【0072】
脱穀装置2内にて発生する塵量に比例して塵の高さhは大きくなり、
図10に示すように、塵の高さhに比例して枢軸の回動角度θも大きくなる。このため塵センサ70は、ポテンショメータ73の出力電圧に基づいて回動角度θを求め、脱穀装置2内にて発生する塵量を検出するようにしてある。
【0073】
次に塵量に基づいたロス量の補正について説明する。
図12はロスセンサ34の検出値に対するロス量を示す関数を例示した図である。塵量が多い程、塵の層は厚くなり、ストローラック19の後方に配置したロスセンサ34を乗り越えやすくなる。そのため、塵の層に混入した穀粒がロスセンサ34に衝突することなく、排出される。その結果、ロスセンサ34によって検出されたロス量よりも多くの穀粒が排出される。
【0074】
またストローラック19の後端部下方にロスセンサ34が配置された場合においても、ストローラック19上を移動する塵の層の厚さは大きくなり、塵に混入した穀粒はストローラック19から漏下し難く、ロスセンサ34によって検出されたロス量よりも多くの穀粒が排出される。
【0075】
そのためCPU100aはポテンショメータ73の検出値を取り込み、
図12に示すように、検出された塵量が所定の塵量よりも大きい場合、関数P又はQよりも傾きの大きい関数P3又はQ3に補正する。一方検出された塵量が所定の塵量よりも小さい場合、関数P又はQよりも傾きの小さい関数P4又はQ4に補正する。この補正によって、ロス量の検出精度をより一層向上させることができる。なお塵量に基づく補正は、初期関数A、関数P1、関数P2、関数Q1又は関数Q2に対して行ってもよい。
【0076】
なお関数の補正方法としては、塵量に基づいてCPU100aが演算し、補正後の関数を求めるか又は各塵量に応じた補正後の関数を、EEPROMにて予めLUT(Look Up Table)に複数記憶しておき、RAM100cに設定することが考えられる。ただし塵量に応じた適切な関数を設定するものであればよく、これらに限定されるものではない。
【0077】
実施の形態3に係るコンバインの構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0078】
(実施の形態4)
以下本発明を実施の形態4に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。
図13はコンバインのキャビン8の内部を略示する斜視図、
図14は接続口を略示する正面図、
図15は接続口を略示する側面図である。
【0079】
キャビン8内には、ステアリングホイール81と、運転席82とが設けてある。またダッシュボードパネルが運転席82の左側に設けてある。該ダッシュボードパネルには、前記刈取スイッチ80、脱穀スイッチ85が設けてある。また表示部83がステアリングホイール81の中心部分に配してあり、キャビン8の前壁に支持されている。また運転席82の前方において、キャビン8の左側壁にメモリ又はコンピュータ等を接続する接続口84が設けてある。接続口84はキャビン8の下部に位置している。
【0080】
接続口84は、キャビン8の左側壁から突出した筒体84aと、該筒体84aの内側に設けられた端子孔84cとを備える。端子孔84cが対応する端子の種類は特に限定されるものではないが、例えばUSB(Universal Serial Bus)、RS232(Recommended Standard 232)、RS485(Recommended Standard 485)、シリアルATA(AT attachment)等があげられる。なお接続口84の位置はキャビン8の左側壁に限られない。キャビン8の内部における任意の位置に接続口84を設けることができる。例えば、ダッシュボードパネルに接続口84を設けてもよい。
【0081】
筒体84aの側面には、螺旋状の溝84bが設けてある。筒体84aには、筒体84aの形状に対応した有底円筒形の蓋84eを被せることができる。蓋84eはバンド84dを介して筒体84aに連結している。蓋84eの内周面には、溝84bに係合する係合突起(図示略)が設けてある。該係合突起を溝84bに係合させることによって、蓋84eは筒体84aから外れなくなり、端子孔84cに水、土等の異物が入り込むことを防止できる。
【0082】
接続口84を設けることによって、操作者はメモリ又はコンピュータを接続口84に接続し、制御部100から必要なデータを取り出すことができる。またコンピュータの画面に、制御部100に入力された状態を表示させることによって、操作者は、コンバインの状態を監視することができる。またコンピュータを操作し、制御部100に指令を入力することができる。
【0083】
実施の形態4に係るコンバインの構成の内、実施の形態1〜3と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。