【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術の不足に対して、本発明の目的の1つ目は車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料の製造方法を提供することであり、
有機炭素源で
固定炭素含有率が99.9%以上である黒鉛系基材を被覆して、混合材料を得る工程(1)、
工程(1)で得られた混合材料を
900〜
1600℃で炭素化処理を行うことにより、前記黒鉛系基材の表面に炭素材料被覆層が被覆された黒鉛材料を得る工程(2)、
工程(2)で得られた材料の前記炭素材料被覆層の表面に、導電性材料をメカニカルミル法で均一に分散させる改質処理を行う工程(3)、及び
工程(3)で得られた材料を篩分け、消磁してリチウムイオン電池負極材料を得る工程(4)を含み、
好ましくは、前記黒鉛系基材は天然黒鉛、人造黒鉛又はカーボンマイクロビーズのうちの1種又は少なくとも2種の組合せであり、好ましくは、前記黒鉛系基材の固定炭素含有率は99.9%以上であり、アスペクト比は1.0〜2.5であり、平均粒径は1〜30μm、D
max≦40.0μmであり、比表面積は2.0〜20.0m
2/gであり、粉末プレス密度は1.45〜2.05g/cm
3であり、層面間隔(d
002)は0.3354〜0.3363nmであり、菱形構造(3R)含有量は1.0〜35.0%であり、I
D/I
G(面積比)は0.1〜1.0であり、I
110/I
004は0.05〜0.95であり、Lcは200.0〜1000.0nmであり、Laは800.0〜1800.0nmであり、磁性物質含有量は0.5ppm以下であり、金属異物粒子の大きさは100.0μm以下であり、プレス密度が1.5g/ccである場合の粉末導電率は50.0〜800.0S/cmである。
【0010】
好ましくは、前記有機炭素源はタールピッチ、石油ピッチ、メソピッチ、高分子材料又は重合体のうちの1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0011】
好ましくは、前記導電性材料はナノ導電剤及び/又は導電性黒鉛であり、好ましくは、前記ナノ導電剤はCNTs、炭素繊維、ナノ黒鉛又はグラフェンのうちの1種又は少なくとも2種の組合せであり、好ましくは、前記ナノ導電剤の平均寸法(D
50)は10〜600.0nmであり、比表面積SSAは2.0〜60.0m
2/gであり、好ましくは、前記ナノ導電剤の平均寸法は10.0〜300.0nmであり、好ましくは、前記CNTと炭素繊維の直径は1〜300nmであり、長さは1〜20μmであり、好ましくは、前記グラフェンの黒鉛層の数は1〜100であり、好ましくは、前記ナノ導電剤はナノ導電性液体の状態で存在し、好ましくは、前記ナノ導電性液体におけるナノ導電剤の含有量は0.5〜20wt%であり、好ましくは、前記ナノ導電性液体における分散溶媒は水、メタノール、エタノール、アセトン又はクロロホルムのうちの1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0012】
好ましくは、前記導電性材料は導電性天然黒鉛粉末、導電性人造黒鉛粉末又はナノ導電性炭素ブラック(Super−P)のうちの1種又は少なくとも2種の組合せであり、好ましくは、前記導電性材料はシート状又はブロック状を呈し、長短径比は1.3〜4.5であり、平均粒径は0.5〜12.0μmであり、比表面積SSAは2.0〜60.0m
2/gである。
【0013】
好ましくは、工程(1)に記載の被覆は固相被覆又は液相被覆である。
【0014】
本発明における固相被覆は所属分野の既知技術であり、当業者は必要に応じて適当な技術パラメータを選択できる。前記固相被覆の非限定的な例は、有機炭素源と黒鉛系材料を混合機の中に置き、温度を15℃〜80℃に制御し、400〜2000rpmの回転速度で、1〜300分間処理し、混合材料を得る。前記混合機は高速改質VC混合機、コーンミキサー又は混練機であるということを含む。
【0015】
本発明における液相被覆は所属分野の既知技術であり、当業者は必要に応じて適合な技術パラメータを選択できる。前記液相被覆の非限定的な例として以下を挙げる。有機炭素源を溶媒の中に加え、高速ミキサーで液相混合を行い、攪拌回転速度が3000〜5000rpmであり、攪拌時間が20〜60分間であり、温度が80〜90℃であり、その後黒鉛基体材料を前記混合物の中に加え、有機炭素源と黒鉛基体材料の質量比は(1:9)〜(2:8)であり、続けて高速ミキサーで液相混合を行い、攪拌回転速度は3000〜5000rpmであり、攪拌時間は120〜180分間であり、使用される溶媒と黒鉛基体材料の質量比は2〜1.2であり、乾燥して、混合材料を得る、前記溶媒はエタノール又はメタノールであり、前記液相被覆における乾燥は噴霧乾燥機で行い、噴霧乾燥機の入口温度は150〜350℃であり、出口温度は20〜250℃であり、圧力は10〜100MPaであり、供給頻度は10〜100Hzであり、攪拌回転速度は3000〜5000rpmであり、攪拌時間は120〜180分間であり、使用される溶媒と黒鉛基体材料の質量比は2〜1.2であり、乾燥して、混合材料を得る、前記溶媒はエタノール又はメタノールである。
【0016】
好ましくは、工程(2)に記載の炭素化処理温度は600〜1600℃であり、特に好ましくは700〜1500℃である。
【0017】
好ましくは、工程(3)に記載のメカニカルミル法での改質処理はボールミリング処理、融合処理又は高速ナノ分散処理であり、好ましくは、前記ボールミリング改質処理時間は5.0分間以上であり、処理速度は200〜4000r/minであり、前記ボールミリング改質処理時間は6.0分間、8.0分間、10.0分間、15.0分間、20.0分間、50.0分間、100.0分間、200.0分間、300.0分間、500.0分間、800.0分間、1000.0分間、1100.0分間、1150.0分間、1180.0分間、1190.0分間、1195.0分間又は1199.0分間等であっても良く、好ましくは5.0〜1200.0分間であり、前記ボールミリング改質処理速度は210r/min、220r/min、250r/min、300r/min、500r/min、1000r/min、1500r/min、2000r/min、2500r/min、3000r/min、3500r/min、3800r/min、3900r/min又は3950r/min等であっても良く、好ましくは、前記ボールミリング改質処理に採用したボールの直径は0.1〜3.0mmであり、ボールの種類はアルミナボール又はコランダムボールであり、好ましくは、前記融合処理時間は20.0〜800.0分間であり、回転速度は800〜3000r/minであり、キャビティ隙間は0.1〜2.0cmであり、温度は10〜80℃であり、好ましくは、前記融合処理時間は20.0〜300.0分間であり、好ましくは、前記融合処理回転速度は800〜2600r/minであり、好ましくは、前記融合処理のキャビティ隙間は0.1〜1.0cmであり、好ましくは、前記融合処理温度は20〜60℃であり、好ましくは、前記高速ナノ分散時間は20.0〜1200.0分間であり、回転速度は200〜8000r/minであり、好ましくは、前記高速ナノ分散は分散剤を採用し、好ましくは、前記導電性材料と分散剤の質量比は(1:0.1)〜(1:1)であり、特に好ましくは(1:0.3)〜(1:0.8)であり、好ましくは、前記分散剤はナトリウムカルボキシメチルセルロース、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸マグネシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム、メチレンジナフチルスルホン酸ナトリウム又はポリアクリルアミドのうちの1種又は少なくとも2種の組合せである。
【0018】
好ましくは、工程(4)に記載の消磁の磁気誘導強度は3000〜30000Gsであり、処理温度は10〜80℃であり、消磁時間は10〜120sである。
【0019】
本発明の目的の2つ目は車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料を提供することであり、本発明の方法により製造した前記負極材料は、電解液との浸潤性が良く、電子導電率が高く、低温レート特性及びサイクル特性が優れる。
【0020】
前記車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料は、
固定炭素含有率が99.9%以上である黒鉛系基材と、前記黒鉛系基材の表面に被覆された炭素材料被覆層と、前記炭素材料被覆層の表面に均一に分散された導電性材料とからな
り、前記導電性材料がナノ導電剤であり、前記ナノ導電剤はCNT、炭素繊維、ナノ黒鉛又はグラフェンのうちの1種または少なくとも2種の組合せであり、前記ナノ導電剤の平均粒径は10〜600nmである。
【0021】
好ましくは、前記車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料における導電性材料の含有量は0.1〜20.0wt%であり、更に好ましくは0.5〜18.0wt%であり、特に好ましくは1〜15.0wt%である。
【0022】
好ましくは、前記車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料における不規則な炭素材料被覆層の含有量は0.1〜20.0wt%であり、更に好ましくは0.5〜18.0wt%であり、特に好ましくは1〜15.0wt%であり、
好ましくは、前記車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料における不規則な炭素材料被覆層と黒鉛系材料の質量比は(0.1:100)〜(20.0:100)であり、更に好ましくは(0.5:100)〜(18.0:100)であり、特に好ましくは(0.5:100)〜(15.0:100)である。
【0023】
好ましくは、前記車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料における黒鉛系材料と導電性材料の質量比は(10:0.01)〜(10:10.0)であり、更に好ましくは(10:0.1)〜(10:8.0)であり、特に好ましくは(10:0.5)〜(10:6.0)である。
【0024】
本発明の目的の3つ目は車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池を提供することであり、前記車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池は本発明に記載の車載用及びエネルギー貯蔵用リチウムイオン電池負極材料を含む。