特許第6152078号(P6152078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152078
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】光音響画像化装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/13 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   A61B8/13
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-172467(P2014-172467)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-47077(P2016-47077A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2016年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】508035425
【氏名又は名称】プレキシオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】北川 一生
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−128722(JP,A)
【文献】 特開2010−042158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を含む光源部と、
前記光源部から照射された光を吸収した被検体内の検出対象物から発生する音響波を検出するための検出部と、
前記検出部により検出された信号を処理する信号処理部と、
前記光源部に供給する電力を制御して前記光源部にパルス発光を行わせる光源駆動回路とを備え、
前記信号処理部は、前記検出部の検出音波周波数帯域に基づいてパルスの幅決定、前記検出部の検出音波周波数の帯域幅に基づいて一周期中のパルスの数決定する、光音響画像化装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記検出部の検出音波周波数帯域のピーク値が、前記光源部のパルス発光の周波数特性のピーク値になるように、パルスの幅決定るとともに、前記検出部の検出音波周波数の帯域幅が狭い場合にパルスの数を多くして、前記検出部の検出音波周波数の帯域幅が広い場合にパルスの数を少なく設定して決定する、請求項1に記載の光音響画像化装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記光源部により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルスの幅が互いに略等しくなるようにパルスの幅決定する、請求項1または2に記載の光音響画像化装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記光源部により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、パルスの幅が連続する2つのパルスの間の幅以上になるようにパルスの幅決定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記光源部により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルス発光に基づく音響波により形成される画像を合成することにより、被検体内の針の形状を認識して画像を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
【請求項6】
前記光源部の前記発光素子は、発光ダイオード素子により構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
【請求項7】
前記光源部の前記発光素子は、半導体レーザ素子により構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
【請求項8】
前記光源部の前記発光素子は、有機発光ダイオード素子により構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光音響画像化装置に関し、特に、光源部を備える光音響画像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源部を備える光音響画像化装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、被検体に照射するパルスレーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光を吸収した被検体内の検出対象物から発生する音響波を検出する検出部とを備える光音響画像生成装置(光音響画像化装置)が開示されている。特許文献1の光音響画像生成装置では、レーザ光源は、高出力の固体レーザを用いていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−075000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の光音響画像生成装置では、高出力の固体レーザをレーザ光源として用いることによって、発生する音響波の音圧を大きくして、検出部により音響波を検出していると考えられる。しかしながら、省電力化の要求などにより、たとえば、LEDなどを光源として用いる場合には、光源の出力が下がることにより、光の照射により発生する音響波の音圧が小さくなるため、検出した音響波に基づいて得られる画像が不鮮明になりやすいという不都合が発生すると考えられる。このため、省電力化を図りながら、鮮明な音響画像を得ることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、省電力化を図りながら、鮮明な音響画像を得ることが可能な光音響画像化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による光音響画像化装置は、発光素子を含む光源部と、光源部から照射された光を吸収した被検体内の検出対象物から発生する音響波を検出するための検出部と、検出部により検出された信号を処理する信号処理部と、光源部に供給する電力を制御して光源部にパルス発光を行わせる光源駆動回路とを備え、検出部の検出音波周波数帯域に基づいてパルスの幅が決定され、検出部の検出音波周波数の帯域幅に基づいて一周期中のパルスの数が決定されるように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による光音響画像化装置では、上記のように、検出部の検出音波周波数帯域に基づいてパルスの幅が決定され、検出部の検出音波周波数の帯域幅に基づいて一周期中のパルスの数が決定されるように構成することによって、パルス発光により発生する音響波を検出部の検出音響周波数帯域内の周波数にすることができる。これにより、光源部の出力を下げて音響波の音圧が小さくなった場合でも、検出部により効率よく音響波を検出することができる。その結果、光源部の出力を下げて省電力化を図りながら、鮮明な音響画像を得ることができる。また、光源部を高出力にする必要がないので、装置の小型化を図ることができる。また、高出力の光を照射する必要がないので、被検体への負担を軽減することができる。
【0009】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、検出部の検出音波周波数帯域のピーク値が、光源部のパルス発光の周波数特性のピーク値になるように、パルスの幅が決定されるとともに、検出部の検出音波周波数の帯域幅が狭い場合にパルスの数を多くして、検出部の検出音波周波数の帯域幅が広い場合にパルスの数を少なく設定して決定されるように構成されている。このように構成すれば、パルス発光により発生する音響波のピーク値の周波数を検出部の検出音響周波数帯域のピーク値の周波数に合わせることができるとともに、パルス発光により発生する音響波の周波数の帯域を検出部の検出音響周波数帯域に合わせることができる。これにより、より効率よく検出部によって音響波を検出することができる。
【0010】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、光源部により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルスの幅が互いに略等しくなるようにパルスの幅が決定されるように構成されている。このように構成すれば、パルスの幅に応じた周波数の音響波の音圧を効果的に大きくすることができるので、より一層効率よく検出部によって音響波を検出することができる。
【0011】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、光源部により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、パルスの幅が連続する2つのパルスの間の幅以上になるようにパルスの幅が決定されるように構成されている。このように構成すれば、パルスごとに発生する音響波の間隔を小さくすることができるので、検出した音響波の信号を積分処理した場合に、信号の幅が大きくなるのを抑制することができる。これにより、深度分解能が低下するのを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、信号処理部は、光源部により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルス発光に基づく音響波により形成される画像を合成することにより、被検体内の針の形状を認識して画像を形成するように構成されている。このように構成すれば、光源部の出力を大きくすることなく、針の先端部や針の側面位置を画像に表示することができる。
【0013】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、光源部の発光素子は、発光ダイオード素子により構成されている。このように構成すれば、光源部が固体レーザ光源部である場合に比べて、光源部の消費電力を低減するとともに、装置を小型化することができる。
【0014】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、光源部の発光素子は、半導体レーザ素子により構成されている。このように構成すれば、光源部が固体レーザ光源部である場合に比べて、光源部の消費電力を低減するとともに、装置を小型化することができる。また、比較的指向性の高いレーザ光を被検体に照射することができるので、半導体レーザ素子からの光の大部分を被検体に照射することができる。
【0015】
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、光源部の発光素子は、有機発光ダイオード素子により構成されている。このように構成すれば、光源部が固体レーザ光源部である場合に比べて、光源部の消費電力を低減するとともに、装置を小型化することができる。また、薄型化が容易な有機発光ダイオード素子を用いることにより、発光素子が設けられる光源部を容易に小型化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、省電力化を図りながら、鮮明な音響画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による光音響画像化装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による光音響画像化装置の構成を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による光音響画像化装置の検出部のスペクトラム特性の一例を示した図である。
図4】本発明の一実施形態による光音響画像化装置のパルス数が1の矩形波のパルスの周波数特性を示した図である。
図5】本発明の一実施形態による光音響画像化装置のパルス数が2の矩形波のパルスの周波数特性を示した図である。
図6】本発明の一実施形態による光音響画像化装置のパルス数が3の矩形波のパルスの周波数特性を示した図である。
図7】本発明の一実施形態による光音響画像化装置のパルス数が2の三角波のパルスの周波数特性を示した図である。
図8】本発明の一実施形態による光音響画像化装置の音響波の積分処理を説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による光音響画像化装置の画像合成処理を説明するための図である。
図10】本発明の一実施形態による光音響画像化装置の観測処理を説明するためのフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態の第1変形例による光音響画像化装置の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の一実施形態の第2変形例による光音響画像化装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、図1図9を参照して、本発明の一実施形態による光音響画像化装置10の構成について説明する。
【0020】
本発明の一実施形態による光音響画像化装置10は、図1に示すように、信号処理部1と、LED(発光ダイオード)駆動回路2と、光源部3と、検出部4と、表示部5とを備えている。図1および図2に示すように、信号処理部1と、LED駆動回路2と、表示部5とは、本体部11に設けられている。光源部3と、検出部4とは、プローブ12に設けられている。本体部11およびプローブ12は、電力および信号を伝達する配線により接続されている。光源部3は、複数のLED素子(発光ダイオード素子)3aを含む。検出部4は、複数の超音波振動素子4aを含む。なお、LED駆動回路2は、本発明の「光源駆動回路」の一例であり、LED素子3aは、本発明の「発光素子」の一例である。
【0021】
光音響画像化装置10は、光源部3から人体などの被検体20に光を照射するとともに、照射された光を吸収した被検体20内の検出対象物(図示せず)から発生する超音波(音響波)を検出部4により検出するように構成されている。また、光音響画像化装置10は、検出部4により検出された音響波に基づいて、検出対象物を画像化することが可能なように構成されている。また、光音響画像化装置10は、超音波振動素子4aから被検体20に超音波を発射するとともに、被検体20内の検出対象物により反射された超音波を検出部4(超音波振動素子4a)により検出するように構成されている。また、光音響画像化装置10は、検出部4により検出された反射された超音波に基づいて、検出対象物を画像化することが可能なように構成されている。
【0022】
なお、本明細書中で超音波とは、正常な聴力を持つ人に聴感覚を生じないほど周波数が高い音波(弾性波)のことであり、約16000Hz以上の音波(弾性波)のこととする。また、本明細書では、被検体20内の検出対象物が光を吸収することにより発生する超音波を「音響波」とし、検出部4(超音波振動素子4a)により発生されるとともに、被検体20内の検出対象物に反射される超音波を「超音波」として、説明の都合上、区別して記載している。
【0023】
信号処理部1は、CPUと、ROMおよびRAMなどの記憶部とを含み、検出部4により検出された音響波または超音波に対応する信号を処理するように構成されている。たとえば、被検体20を測定する場合には、信号処理部1は、被検体20内の検出対象物から発生し、検出部4により検出された音響波または超音波に対応する信号に基づいて、検出対象物を特定して画像化するように構成されている。また、信号処理部1は、画像化された検出対象物の画像を、表示部5に表示させるように構成されている。
【0024】
また、信号処理部1は、LED駆動回路2を制御して、光源部3の発光を制御するように構成されている。具体的には、信号処理部1は、光源部3を発光させるタイミングや光量などを制御する信号をLED駆動回路2に送信するように構成されてる。
【0025】
ここで、本実施形態では、信号処理部1は、検出部4の検出音波周波数帯域に基づいてパルスの幅を決定し、検出部4の検出音波周波数の帯域幅に基づいて一周期中のパルスの数を決定するように構成されている。具体的には、信号処理部1は、検出部4の検出音波周波数帯域のピーク値が、光源部3のパルス発光の周波数特性のピーク値になるように、パルスの幅を決定するとともに、検出部4の検出音波周波数の帯域幅が狭い場合にパルスの数を多くして、検出部4の検出音波周波数の帯域幅が広い場合にパルスの数を少なく設定して決定するように構成されている。
【0026】
ここで、検出部4の検出音波周波数帯域とは、図3に示すような検出部4のスペクトラム特性から決定される。検出部4(超音波振動素子4a)は、検出する超音波に対して所定の周波数帯域の感度を有している。図3に示す例の場合、検出部4は、4MHzを中心(ピーク)として、約3MHz以上約5MHz以下の検出音波周波数帯域を有している。たとえば、検出音周波数帯域は、ピーク値(0dB)を基準として、−6dB(約1/2)以上の周波数帯域の範囲で設定される。
【0027】
また、パルスの幅とは、図4図6に示すように、光源部3から発生させる1つのパルスの時間幅Tである。つまり、パルスの幅は、光が発光し始めてから、発光し終わるまでの時間を表す。また、パルスの周期Twは、図5および図6に示すように、連続するパルスにおいて、1つのパルスの発光し始めから、次のパルスの発光し始めまでの時間を表す。また、繰り返し周期Taは、1回の測定における時間間隔である。つまり、パルスは、測定の一周期中に1回または連続して複数回発生される。
【0028】
ここで、図4図7を参照して、一周期中のパルスの数と、パルスの周波数特性について説明する。図4に示すパルス数が1の矩形波の場合、パルスの幅T(たとえば、121ns)、繰り返し周期Ta(たとえば、1ms)のパルスの周波数特性は、周波数F1(=1/2T)(たとえば、4.1MHz)においてピークP11(たとえば、−21dBm)となり、周波数F2(=1/T)(たとえば、8.2MHz)においてディップD11(たとえば、−52dBm)となる。
【0029】
また、図5に示すパルス数が2の矩形波の場合、パルスの幅T(たとえば、121ns)、繰り返し周期Ta(たとえば、1ms)、パルスの周期Tw(たとえば、242ns)のパルスの周波数特性は、周波数F3(=1/8T)(たとえば、1.0MHz)においてピークP21、周波数F1(=4/8T)(たとえば、4.1MHz)においてピークP22(たとえば、−15dBm)、周波数F6(=7/8T)(たとえば、7.2MHz)においてピークP23となる。また、周波数F4(=1/4T)(たとえば、2.1MHz)においてディップD21(たとえば、−45dBm)、周波数F5(=3/4T)(たとえば、6.2MHz)においてディップD22(たとえば、−45dBm)、周波数F2(=4/4T)(たとえば、8.3MHz)においてディップD23となる。
【0030】
また、図6に示すパルス数が3の矩形波の場合、パルスの幅T(たとえば、121ns)、繰り返し周期Ta(たとえば、1ms)、パルスの周期Tw(たとえば、242ns)のパルスの周波数特性は、周波数F7(=1/12T)(たとえば、0.69MHz)においてピークP31、周波数F4(=3/12T)(たとえば、2.1MHz)においてピークP32、周波数F1(=6/12T)(たとえば、4.1MHz)においてピークP33(たとえば、−11dBm)、周波数F5(=9/12T)(たとえば、6.2MHz)においてピークP34、周波数F12(=11/12T)(たとえば、7.6MHz)においてピークP35、周波数F13(=13/12T)(たとえば、9.0MHz)においてピークP36となる。また、周波数F8(=1/6T)(たとえば、1.4MHz)においてディップD31、周波数F9(=2/6T)(たとえば、2.8MHz)においてディップD32(たとえば、−40dBm)、周波数F10(=4/6T)(たとえば、5.5MHz)においてディップD33(たとえば、−30dBm)、周波数F11(=5/6T)(たとえば、6.9MHz)においてディップD34、周波数F12(=6/6T)(たとえば、8.3MHz)においてディップD35、周波数F14(=7/6T)(たとえば、9.6MHz)においてディップD36となる。
【0031】
上記のように、発光させるパルスの数を変えることにより、パルスの周波数特性が変化する。つまり、パルスの数を多くすることにより、F1(=1/2T)におけるピーク値が大きく(P11<P22<P33)なる。また、パルスの数を多くすることにより、周波数特性のディップからディップまでの帯域が小さくなる。
【0032】
また、図7に示すパルス数が2の三角波の場合、図5に示すパルス数が2の矩形波と同様に、パルスの幅T(たとえば、121ns)、繰り返し周期Ta(たとえば、1ms)、パルスの周期Tw(たとえば、242ns)のパルスの周波数特性は、周波数F3(=1/8T)(たとえば、1.0MHz)においてピークP41、周波数F1(=4/8T)(たとえば、4.1MHz)においてピークP42、周波数F6(=7/8T)(たとえば、7.2MHz)においてピークP43となる。また、周波数F4(=1/4T)(たとえば、2.1MHz)においてディップD41、周波数F5(=3/4T)(たとえば、6.2MHz)においてディップD42、周波数F2(=4/4T)(たとえば、8.3MHz)においてディップD43となる。
【0033】
つまり、パルスの波形が矩形波の場合も三角波の場合も同じ周波数にピークおよびディップが現れることが分かる。
【0034】
また、本実施形態では、信号処理部1は、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルスの幅が互いに略等しくなるようにパルスの幅を決定するように構成されている。また、信号処理部1は、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、パルスの幅が連続する2つのパルスの間の幅以上になるようにパルスの幅を決定するように構成されている。つまり、(パルスの幅T)/(パルスの周期Tw)により表されるDutyが50%以上になるように設定される。
【0035】
また、信号処理部1は、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、パルスごとに発生する音響波の信号を積分処理するように構成されている。つまり、信号処理部1は、複数のパルスにより発生される音響波の信号を積分して、強度を大きくした1つの信号に合成するように構成されている。たとえば、図8に示すように、信号処理部1は、3つの連続したパルス発光に基づく音響波の信号を積分して1つの信号に合成する。
【0036】
図8に示す例の場合、Duty(T/Tw)50%の場合、積分処理後の音響波信号の幅(時間)は、T1となる。また、Duty(T/Tw)70%の場合、積分処理後の音響波信号の幅(時間)は、T1より小さいT2となる。つまり、Dutyを大きくした場合、積分処理後の音響波信号の幅(時間)が小さくなるので、被検体20の深度方向の分解能を向上させることが可能である。
【0037】
また、信号処理部1を、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルス発光に基づく音響波により形成される画像を合成することにより、被検体20内の針の形状を認識して画像を形成するように構成されている。
【0038】
具体的には、図9に示すように、検出部4から超音波を送受信して、取得した画像は、多重反射により針位置を観測するのが困難である。また、この超音波画像に、3つの連続する光パルスを送信し、音響波を受信して取得した画像は、パルスに応じた光が深度方向に3つ生成される。
【0039】
パルスに応じた音響波を積分処理して取得した画像は、1本の針の画像になるものの、深度方向の分解能がやや低下している(針が太く表示される)。そこで、音響波を受信して積分処理後の針の画像に対して、深度方向を1/(パルス数)に縮小する。これにより、深度方向の針の太さが、YaからYb(=Ya/パルス数)に縮小される。
【0040】
次に、針位置がシフトされて補正される。具体的には、針の画像が深度方向に対してYc=(パルス周期Tw)×(被検体20内の音速)×(パルス数−1)/2だけ深度が浅い方向にシフトされる。この針の画像を処理した画像が、超音波画像および音響波画像にさらに重畳されて最終合成画像として表示部5に表示される。これにより、精度よく針の画像を表示させることが可能である。
【0041】
LED駆動回路2は、信号処理部1の制御に基づいて、光源部3の複数のLED素子3aに流れる電流を制御するように構成されている。また、LED駆動回路2は、光源部3にパルス発光を行わせるように構成されている。具体的には、LED駆動回路2は、信号処理部1の制御に基づいて、LED素子3aに流れる電流のオンオフの制御、および、電流の大きさ(電流値)の制御を行うように構成されている。
【0042】
光源部3は、被検体20に向けて光を照射するように構成されている。また、光源部3のLED素子3aは、略同一の波長の光(たとえば、約700nm〜約1000nm程度の光)が発生するように構成されている。
【0043】
検出部4は、超音波振動素子4aを有し、超音波振動素子4aが音響波により振動されることにより、音響波(超音波)を検出するように構成されている。また、検出部4は、検出された音響波に対応する信号を信号処理部1に出力するように構成されている。また、検出部4(超音波振動素子4a)は、超音波を発生させることが可能に構成されている。
【0044】
表示部5は、信号処理部1による制御に基づいて、被検体20内の検出対象物の画像や各種の画面(操作画面、通知画面など)を表示可能に構成されている。
【0045】
次に、図10を参照して、光音響画像化装置10の信号処理部1による観測処理について説明する。
【0046】
まず、図10のステップS1において、光源部3および検出部4の電源がONか否かが判断される。電源がOFFの場合、光源部3および検出部4の電源がONになるまで、ステップS1の判断が繰り返される。また、電源がONの場合、ステップS2に進み、プローブID(検出部4のID)が取得される。また、プローブIDに応じて、検出部4の情報が取得される。検出部4の情報は、型名、振動子のチャンネル数、振動子のピッチ、検出音波の中心周波数Fa(0dB)、検出音波周波数の帯域幅(−6dB)、スタート周波数Fb(−30dB)およびストップ周波数Fc(−30dB)を含む。
【0047】
ステップS3において、光源部3により発生させるパルス数N、およびパルス幅Tが決定されて設定される。パルス幅Tは、T=1/2Faにより決定される。たとえば、中心周波数Faが4MHzの場合、パルス幅Tは、125nsとなる。また、パルス数Nは、表1に基づいて決定される。
【表1】
【0048】
たとえば、中心周波数Faが4MHz、スタート周波数Fbが2MHz、ストップ周波数Fcが6MHzの場合、上記のように、パルス幅Tが125nsとなる。また、Fc−Fb=4MHzであり、1/2T=4MHz、1/3T=2.6MHzであるので、1/3T<Fc−Fb≦1/2Tの範囲になる。したがって、この場合、パルス数Nは2に決定される。なお、Fc−Fbは、本発明の「検出音波周波数の帯域幅」の一例である。また、1/2Tは、パルス数が2の場合のパルスの周波数特性のディップ間の幅(図5参照(たとえば、F5−F4))から求められる。同様にして、1/nTは、パルス数がnの場合のパルスの周波数特性のディップ間の幅から求められる。
【0049】
ステップS4において、観測が開始されたか否かが判断される。具体的には、ユーザの操作により観測が開始されたか否かが判断される。観測が開始されなければ、観測が開始されるまで、ステップS4の判断が繰り返される。また、観測が開始された場合、ステップS5に進み、検出部4(超音波振動素子4a)から超音波が被検体20に送信される。
【0050】
ステップS6において、検出部4において被検体20内で反射された超音波が受信され、画像処理が行われた上で、表示部5に画像が表示される。これにより、超音波画像が表示部5に表示される。
【0051】
ステップS7において、ステップS3において決定されたパルスの光が光源部3から被検体20に照射される。ステップS8において、パルスの光に基づいて被検体20から発生される音響波が検出部4において受信される。
【0052】
ステップS9において、音響波の受信信号が積分処理される。ステップS10において、針が認識される。ステップS11において、針位置が検出される。また、検出された針位置に基づいて画像処理が行われる。ステップS12において、超音波による画像と、積分して画像処理後の音響波による画像とを、重畳した重畳画像が表示部5に表示される。
【0053】
ステップS4において、観測が終了されたか否かが判断される。具体的には、ユーザの操作により観測が終了されたか否かが判断される。観測が終了されなければ、ステップS5に戻る。また、観測が終了された場合、観測処理を終了する。
【0054】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態では、上記のように、検出部4の検出音波周波数帯域に基づいてパルスの幅が決定され、検出部4の検出音波周波数の帯域幅に基づいて一周期中のパルスの数が決定されるように構成することによって、パルス発光により発生する音響波を検出部4の検出音響周波数帯域内の周波数にすることができる。これにより、光源部3の出力を下げて音響波の音圧が小さくなった場合でも、検出部4により効率よく音響波を検出することができる。その結果、光源部3の出力を下げて省電力化を図りながら、鮮明な音響画像を得ることができる。また、光源部3を高出力にする必要がないので、装置の小型化を図ることができる。また、高出力の光を照射する必要がないので、被検体20への負担を軽減することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、検出部4の検出音波周波数帯域のピーク値が、光源部3のパルス発光の周波数特性のピーク値になるように、パルスの幅が決定されるとともに、検出部4の検出音波周波数の帯域幅が狭い場合にパルスの数を多くして、検出部4の検出音波周波数の帯域幅が広い場合にパルスの数を少なく設定して決定されるように構成する。これにより、パルス発光により発生する音響波のピーク値の周波数を検出部4の検出音響周波数帯域のピーク値の周波数に合わせることができるとともに、パルス発光により発生する音響波の周波数の帯域を検出部4の検出音響周波数帯域に合わせることができる。これにより、より効率よく検出部4によって音響波を検出することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルスの幅が互いに略等しくなるようにパルスの幅が決定されるように構成する。これにより、パルスの幅に応じた周波数の音響波の音圧を効果的に大きくすることができるので、より一層効率よく検出部4によって音響波を検出することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、パルスの幅が連続する2つのパルスの間の幅以上になるようにパルスの幅が決定されるように構成する。これにより、パルスごとに発生する音響波の間隔を小さくすることができるので、検出した音響波の信号を積分処理した場合に、信号の幅が大きくなるのを抑制することができる。これにより、深度分解能が低下するのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、信号処理部1を、光源部3により一周期中に複数のパルス発光が行われる場合、複数のパルス発光に基づく音響波により形成される画像を合成することにより、被検体20内の針の形状を認識して画像を形成するように構成する。これにより、光源部3の出力を大きくすることなく、針の先端部や針側面位置を画像に表示することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、光源部3は、LED素子3aを含んでいる。これにより、光源部3が固体レーザ光源部である場合に比べて、光源部3の消費電力を低減するとともに、装置を小型化することができる。
【0061】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0062】
たとえば、上記実施形態では、本発明の光源部の発光素子として、LED素子(発光ダイオード素子)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、図11に示す第1変形例のように発光素子として、半導体レーザ素子3bを用いてもよい。この場合、半導体レーザ素子3bを駆動するための回路として光源駆動回路2aが設けられてもよい。
【0063】
また、図12に示す第2変形例のように発光素子として、有機発光ダイオード素子3cを用いてもよい。この場合、有機発光ダイオード素子3cを駆動するための回路として光源駆動回路2bが設けられてもよい。
【0064】
また、光源部の発光素子として、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子、および有機発光ダイオード素子以外の素子を用いてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、検出音波周波数帯域の帯域幅を−30dBのレベルに基づいて設定してパルス数を決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検出音波周波数帯域の帯域幅を−30dB以外のレベルに基づいて設定してパルス数を決定してもよい。たとえば、検出音波周波数帯域の帯域幅を−6dBのレベルに基づいて設定してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、信号処理部によりパルスの幅および一周期中のパルスの数が決定される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、パルスの幅および一周期中のパルスの数は、信号処理部以外により決定されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、光のパルスの波形が矩形波または三角波の例について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光のパルスの波形は、矩形波または三角波以外であってもよい。たとえば、光のパルスの波形は正弦波であってもよいし、台形波であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の信号処理部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、信号処理部の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 信号処理部
2 LED駆動回路(光源駆動回路)
2a、2b 光源駆動回路
3 光源部
3a LED素子(発光素子)
3b 半導体レーザ素子(発光素子)
3c 有機発光ダイオード素子(発光素子)
4 検出部
10 光音響画像化装置
20 被検体
図1
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図12