(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
PTPシートは、錠剤等の内容物が充填される突起状のポケット部を有する容器フィルムと、容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するようにして取着されるカバーフィルムとから構成されている。一般に容器フィルムは透明な樹脂やアルミニウム等によって形成され、カバーフィルムはアルミニウム等の金属箔等によって形成される。
【0003】
PTPシートは、PTP包装機により製造される。PTP包装機は、帯状の容器フィルムに対し前記ポケット部を形成する装置、ポケット部に内容物を充填する装置、容器フィルムに対しカバーフィルムを取着するシール装置、容器フィルムにカバーフィルムが取着されてなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打抜く装置などを有する。
【0004】
前記シール装置としては、外周にポケット部を収容可能な多数の凹部が形成されたフィルム受けロール(下シールロール)と、自身の外周が前記フィルム受けロールの外周に向けて押付けられた加熱ロール(上シールロール)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。加熱ロールは、内部に設けられた電気ヒータ等により発熱可能となっている。そして、容器フィルムがフィルム受けロール側に、カバーフィルムが加熱ロール側に位置するようにして、両フィルムを重ねた状態で、前記両ロール間に通し、両ロールで両フィルムを押圧しつつ、カバーフィルムのシーラントを容器フィルムに熱溶着することで、容器フィルムにカバーフィルムが取着されるようになっている。
【0005】
また、強固なシールを実現するために、加熱ロールの表面に、網目状の凸条部(突起)を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。当該技術によれば、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時に、前記凸条部がカバーフィルム及び容器フィルムに対し食い込むように圧接し、その結果、PTPフィルムに対し網目状のシール目が形成されることとなる。
【0006】
ところで、フィルム受けロールの外周には、その周方向に沿って、前記凹部の並んで形成された部分(凹部形成部分)と、前記凹部の形成されていない平坦状の部分(平坦状部分)とが交互に存在している。ここで、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時において、前記平坦状部分と加熱ロールとで前記両フィルムが挟み込まれているとき、前記両フィルムは、その幅方向全域に亘ってフィルム受けロールにより支持されることとなる。そのため、カバーフィルムと凸条部とが圧接している部分の面積は比較的大きなものとなり、ひいては凸条部からカバーフィルムに加わる圧力は比較的小さなものとなる。
【0007】
その一方で、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時において、前記凹部形成部分と加熱ロールとで前記両フィルムが挟み込まれているとき、前記両フィルムは、フィルム受けロールのうち凹部の形成された部位では支持されず、フィルム受けロールのうち凹部の形成されていない部位のみによって支持される。従って、カバーフィルムと凸条部とが圧接している部分の面積は比較的小さなものとなり、ひいては凸条部からカバーフィルムに加わる圧力が比較的大きなものとなる。その結果、カバーフィルムに対する凸条部の食い込み量が大きなものとなり、カバーフィルムにおいて凸条部に沿う形状の亀裂や破断が生じてしまうおそれがある。
【0008】
そこで、カバーフィルムにおける亀裂等の発生を抑制すべく、凸条部からカバーフィルムに加わる圧力を常に略一定とするための手法が提案されている(例えば、特許文献3等参照)。当該手法は、フィルム受けロールに対する加熱ロールの押圧力を、予め設定されたプログラムに従って、前記平坦状部分及び加熱ロールにより前記両フィルムを挟んでいるときには比較的大きなものとし、前記凹部形成部分及び加熱ロールにより前記両フィルムを挟んでいるときには比較的小さなものとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記手法では、生産されるPTPシートの種別変更などに伴い、フィルム受けロールとして凹部の形状や数、配置の異なるものを用いようとした場合、新たに用いられるフィルム受けロールに対応してプログラムを再設定するなどの作業が必要となり、フィルム受けロールの変更に伴う調節作業に手間がかかる。そのため、生産性の低下が生じてしまうおそれがある。
【0011】
また、フィルム受けロールが高速回転する場合、フィルム受けロールの回転に対し前記押圧力の調整を追従させることができないおそれがある。従って、上記手法を適用可能なシール装置は、フィルム受けロールが比較的低速で回転するもの等に限られてしまい、上記手法を比較的高速で回転するシール装置などへと適用することは困難である。
【0012】
さらに、上記手法では、装置の構成部品が多くなるとともに、装置の構造が複雑化・大型化してしまうこととなる。そのため、装置の製造やメンテナンスに係るコストの増大などを招いてしまうおそれがある。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバーフィルムの亀裂等をより確実に防止しつつ、生産性の向上やコストの増大抑制を図ることができるシール装置、及び、PTP包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.帯状の容器フィルムに形成された複数のポケット部を収容可能な複数の凹部を外周に有する回転可能なフィルム受けロールと、
自身の外周が前記フィルム受けロールの外周に向けて押付けられるとともに、帯状のカバーフィルムを加熱しつつ回転可能な加熱ロールとを備え、
前記容器フィルムに対し前記ポケット部を塞ぐようにして前記カバーフィルムを重ねた状態で、前記両ロール間に前記両フィルムを送り込むことにより、前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムを取着するシール装置であって、
前記加熱ロールの外周のうち少なくとも前記両ロール間を通過する前記カバーフィルムと相対向する部位には、外周方向に向けて
断面三角形状に突出するとともに、平行四辺形の網目状をなすように配設された複数の凸条部が設けられ、
前記加熱ロールの外周のうち前記凸条部で囲まれた平行四辺形状の領域のそれぞれには、前記凸条部の頂部よりも凹んだ形状をなし、前記凸条部
よりも傾斜が緩やか、或いは、平坦なストッパ部が設けられ、
前記容器フィルムに対する前記カバーフィルムの取着時に、前記カバーフィルムが前記ストッパ部と接触可能に構成されていることを特徴とするシール装置。
【0016】
上記手段1によれば、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時に、前記平行四辺形状の領域のそれぞれに設けられたストッパ部を、カバーフィルムへと接触させることができる。この状態では押付け力の多くをストッパ部で受けており、カバーフィルムに対する凸条部の接触圧力を効果的に均一化することができ、カバーフィルムに対する凸条部の食い込み量をより確実に所定量以下に抑えることができる。これにより、カバーフィルムに亀裂や破断が生じてしまうことをより確実に防止できる。特に上記手段1によれば、フィルム受けロールが高速回転するようなシール装置等であっても、カバーフィルムにおける亀裂等をより確実に防止することができる。
【0017】
また、上記手段1によれば、カバーフィルムにおける亀裂等を防止するにあたって、フィルム受けロールの変更などに伴う面倒な調節作業が不要となり、生産性を高めることができる。さらに、加熱ロールの形状のみに特徴があるため、シール装置の構造が複雑化・大型化してしまうことはなく、コストの増大抑制を図ることができる。
【0018】
手段2.前記ストッパ部は、前記凸条部に隣接するとともに、
前記ストッパ部の全周は、前記凸条部で囲まれていることを特徴とする手段1に記載のシール装置。
【0019】
上記手段2によれば、前記平行四辺形状の領域において、凸条部の全域と隣接するようにしてストッパ部が設けられている。そのため、凸条部の一部がカバーフィルムに対し過度に食い込んでしまうといった事態をより確実に防止することができ、カバーフィルムに対する凸条部の接触圧力をより均一化することができる。その結果、カバーフィルムに対する凸条部の食い込み量を一層確実に所定量以下に抑えることができ、カバーフィルムにおける亀裂等を一層確実に防止することができる。
【0020】
手段3.前記加熱ロールの外周のうち前記平行四辺形状の領域のそれぞれには、前記ストッパ部よりも凹んだ形状をなす退避部が設けられ、
前記容器フィルムに対する前記カバーフィルムの取着時に、前記カバーフィルムと前記退避部との間に空間が形成されるように構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載のシール装置。
【0021】
上記手段3によれば、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時において、退避部とカバーフィルムとの間に形成される空間が、カバーフィルムにおいてたるみの生じている部分、カバーフィルムの前記たるみ部分と容器フィルムとの間に存在する空気、及び、加熱ロールにより溶融した接着用の樹脂などの逃げ場として機能する。従って、カバーフィルムの前記たるみ部分がストッパ部及びフィルム受けロールに挟まれてしわとなってしまったり、前記溶融した樹脂がシール目へと逆流してしまったりすることをより確実に防止できる。これにより、美感や密封性の向上を図ることができる。
【0022】
手段4.前記退避部は、前記平行四辺形状の領域の中心に位置し、
前記退避部の周囲に前記ストッパ部が設けられることを特徴とする手段3に記載のシール装置。
【0023】
上記手段4によれば、容器フィルムに対するカバーフィルムの取着時において、カバーフィルムの前記たるみ部分や両フィルム間の空気、溶融した樹脂等が、退避部とカバーフィルムとの間に形成される空間へとより確実に逃げやすくなる。これにより、美感や密封性の更なる向上を図ることができる。
【0024】
手段5.前記加熱ロールのうち前記ストッパ部及び前記退避部を形成する部位は、前記凸条部よりも
傾斜が緩やかであり、かつ、四角錐状に凹んだ形状をなすことを特徴とする手段4に記載のシール装置。
【0025】
上記手段5によれば、ストッパ部から退避部にかけての面が連続面であるため、加熱ロールの外周に、ストッパ部及び退避部を容易に形成することができる。これにより、シール装置の製造に係るコストの低減をより効果的に図ることができる。
【0026】
尚、上記手段5における加熱ロールは、例えば、加熱ロールとなる所定の円筒状部材に対し、刃の角度の異なる工具を用いて二度のローレット加工(凸条部を形成するためのローレット加工、及び、ストッパ部及び退避部を形成するためのローレット加工)を施すことにより得ることができる。
【0027】
手段6.手段1乃至5のいずれかに記載のシール装置を備えるPTP包装機。
【0028】
上記手段6によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0029】
尚、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、前記ポケット部に対し内容物を充填する充填手段と、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムを取着する前記シール装置と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜くシート打抜手段とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1(a),(b)及び
図2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0032】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の無色透明の熱可塑性樹脂材料やアルミ箔等によって形成されている。
【0033】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリエステル樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。また、カバーフィルム4には、平行四辺形の網目状をなすシール目(図示せず)が形成されている。
【0034】
PTPシート1〔
図1(a)参照〕は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6〔
図1(b)参照〕がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0035】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について
図3を参照して説明する。
【0036】
図3に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0037】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0038】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とし、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0039】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0040】
錠剤充填装置21とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、検査装置22が配設されている。この検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行うためのものである。
【0041】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0042】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム6が製造されるようになっている。尚、フィルム受けロール20及び加熱ロール25によりシール装置23が構成される。フィルム受けロール20及び加熱ロール25の構成については、後に詳述する。
【0043】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とし、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0044】
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、検査装置29が配設されている。この検査装置29は、主としてカバーフィルム4における亀裂や破断等の破損についての検査を行う。
【0045】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とし、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0046】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0047】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位に打抜くシート打抜手段としての機能を有する。
【0048】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。なお、上記各検査装置22,29によって不良品と判定された場合、その不良品と判定されたPTPシート1は、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0049】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0050】
次に、前述したシール装置23のうち、フィルム受けロール20の構成について説明する。
【0051】
フィルム受けロール20は、所定の駆動手段(例えば、モータ等)により、自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、
図4に示すように、フィルム受けロール20の外周には、ポケット部2を収容可能な窪み状の凹部51が複数形成されている。そして、凹部51にポケット部2が収容され、フィルム受けロール20にポケット部2が引っ掛かった状態で、該フィルム受けロール20が回転することにより、容器フィルム3が下流側に搬送されるようになっている。
【0052】
尚、上記各ロール14,19,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、フィルム受けロール20と同様に、各ロール14等の表面にはポケット部2の収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことはない。また、各ロール14等においては、フィルム受けロール20と同様に、凹部に対しポケット部2が収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0053】
次いで、前述したシール装置23のうち、加熱ロール25の構成について説明する。
【0054】
図5、
図6及び
図7に示すように、加熱ロール25の外周のうち少なくとも前記両ロール20,25間を通過するカバーフィルム4と相対向する部位には、外周方向に向けて角状(断面三角形状)に突出する凸条部61が複数設けられている。各凸条部61は、平行四辺形(本実施形態では、正方形)の網目状をなすように配設されている。尚、凸条部61が角状に突出するというのは、凸条部61の頂部が略角状をなすという意味であり、凸条部61の頂部が厳密な角状をなしていなくてもよい。例えば、凸条部61の頂部が、微視的に見て、いくらか丸みを帯びていたり、平坦状をなしていたりしてもよい。
【0055】
また、加熱ロール25の外周のうち隣接する凸条部61同士で囲まれた平行四辺形状の領域65のそれぞれには、凸条部61の頂部よりも凹んだ形状をなすストッパ部62が設けられている。ストッパ部62は、凸条部61ほど傾斜しないものであり、例えば、凸条部61よりも緩やかな傾斜であったり、平坦状であったりする。尚、緩やかな傾斜であるとは、ストッパ部62と加熱ロール25の回転軸との最短距離の、ストッパ部62の傾斜方向に沿った単位長さ当たりの変化量が、凸条部61と加熱ロール25の回転軸との最短距離の、凸条部61の傾斜方向に沿った単位長さ当たりの変化量よりも小さいことをいう。また、平坦状であるとは、加熱ロール25の回転軸を中心軸とし、ストッパ部62を通過する仮想円柱を取ったとき、当該仮想円柱の外周面とストッパ部62とが重なったり(又は平行であったり)、前記仮想円柱の外周面に接しストッパ部62を通過する仮想面とストッパ部62とが重なったり(又は平行であったり)することをいう。
【0056】
本実施形態において、ストッパ部62は、平坦状で、かつ、正面視矩形環状をなしている。また、ストッパ部62は、凸条部61に隣接するとともに、その全周が凸条部61で囲まれている。
【0057】
加えて、ストッパ部62は、凸条部61の頂部から所定の深さの位置に形成されている。これにより、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、カバーフィルム4がストッパ部62と接触可能となっている(
図8参照)。尚、本実施形態では、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時において、少なくともフィルム受けロール20の外周のうちフィルム受けロール20の回動軸方向に沿って凹部51が並んで形成された部分と、加熱ロール25とで両フィルム3,4を挟み込んでいるとき(つまり、カバーフィルム4に対する凸条部61の食い込み量が比較的大きなものとなりやすいとき)に、カバーフィルム4がストッパ部62に接触するようになっている。
【0058】
加えて、加熱ロール25の外周のうち前記平行四辺形状の領域65のそれぞれには、ストッパ部62よりも凹んだ形状をなす退避部63が設けられている。本実施形態における退避部63は、正面視矩形の平坦状をなすとともに、前記平行四辺形状の領域65の中心に位置しており、退避部63の周囲全周に前記ストッパ部62が位置している。
【0059】
また、退避部63は、ストッパ部62から所定の深さの位置に形成されている。これにより、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、カバーフィルム4と退避部63との間に空間が形成されるようになっている(
図8参照)。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、ストッパ部62をカバーフィルム4へと接触させることができる。そのため、カバーフィルム4に対する凸条部61の接触圧力を効果的に均一化することができ、カバーフィルム4に対する凸条部61の食い込み量をより確実に所定量以下に抑えることができる。これにより、カバーフィルム4に亀裂や破断が生じてしまうことをより確実に防止できる。特に本実施形態によれば、フィルム受けロール20が高速回転するようなシール装置等であっても、カバーフィルム4における亀裂等をより確実に防止することができる。
【0061】
また、カバーフィルム4における亀裂等を防止するにあたって、フィルム受けロール20の変更などに伴う面倒な調節作業が不要となり、生産性を高めることができる。さらに、加熱ロール25の形状のみに特徴があるため、シール装置23の構造が複雑化・大型化してしまうことはなく、コストの増大抑制を図ることができる。
【0062】
さらに、前記平行四辺形状の領域65において、凸条部61の全域と隣接するようにしてストッパ部62が設けられている。そのため、凸条部61の一部がカバーフィルム4に対し過度に食い込んでしまうといった事態をより確実に防止することができ、カバーフィルム4に対する凸条部61の接触圧力をより均一化することができる。その結果、カバーフィルム4に対する凸条部61の食い込み量を一層確実に所定量以下に抑えることができ、カバーフィルム4における亀裂等を一層確実に防止することができる。
【0063】
加えて、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時において、退避部63とカバーフィルム4との間に形成される空間が、カバーフィルム4においてたるみの生じている部分、カバーフィルム4の前記たるみ部分と容器フィルム3との間に存在する空気、及び、加熱ロール25により溶融した接着用の樹脂(シーラント)などの逃げ場として機能する。従って、カバーフィルム4の前記たるみ部分がストッパ部62及びフィルム受けロール20に挟まれてしわとなってしまったり、前記溶融した樹脂がシール目へと逆流してしまったりすることをより確実に防止できる。これにより、美感や密封性の向上を図ることができる。
【0064】
併せて、本実施形態において、退避部63は、前記平行四辺形状の領域65の中心に位置し、その周囲にストッパ部62が位置している。従って、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時において、カバーフィルム4の前記たるみ部分や両フィルム3,4間の空気、溶融した樹脂等が、退避部63とカバーフィルム4との間に形成される空間へとより確実に逃げやすくなる。これにより、美感や密封性の更なる向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。本第2実施形態では、
図9及び
図10に示すように、特に加熱ロール75におけるストッパ部82及び退避部83の構成が、上記第1実施形態におけるストッパ部62及び退避部63の構成と異なる。
【0065】
詳述すると、加熱ロール75のうち隣接する凸条部81同士で囲まれた平行四辺形状の領域85の中央部分は、凸条部81よりも緩やかに傾斜し、四角錐状に凹んだ形状とされている。また、加熱ロール75のうち前記四角錐状に凹んだ部位の外周側部分(凸条部81に隣接する部分)は、凸条部81の頂部から所定の深さの位置に形成されている。これにより、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、カバーフィルム4が前記外周側部分と接触可能になっている(
図11参照)。つまり、本第2実施形態では、前記外周側部分によってストッパ部82が構成されている。
【0066】
また、加熱ロール75のうち前記四角錐状に凹んだ部位の中心側部分の最深部は、ストッパ部82から所定の深さの位置に形成されている。これにより、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、前記中心側部分とカバーフィルム4との間に空間が形成されるようになっている(
図11参照)。つまり、本第2実施形態では、前記中心側部分によって退避部83が構成されている。また、本第2実施形態では、ストッパ部82から退避部83にかけての面が連続面となっている。
【0067】
尚、本第2実施形態における加熱ロール75は、例えば、加熱ロール75となる所定の円筒状部材に対し、所定の刃を有する第1工具を用いてローレット加工を施すことにより、凸条部81を形成するとともに、前記第1工具の刃の角度とは異なる角度の刃を有する第2工具を用いてローレット加工を施すことにより、ストッパ部82及び退避部83を一度に形成することによって得ることができる。
【0068】
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0069】
加えて、本第2実施形態によれば、ストッパ部82から退避部83にかけての面が連続面であるため、加熱ロール75の外周に、ストッパ部82及び退避部83を容易に形成することができる。これにより、シール装置23の製造に係るコストの低減をより効果的に図ることができる。
【0070】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0071】
(a)上記実施形態において、凸条部61,81は、正方形の網目状をなすように構成されているが、これらは平行四辺形(もちろん、長方形や菱形を含む)の網目状をなすものであればよい。
【0072】
(b)上記実施形態では、ストッパ部62,82は、凸条部61,81に隣接するとともに、その周囲全周が凸条部61,81で囲まれているが、ストッパ部の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、前記平行四辺形状の領域65,85において、凸条部61,81の一部のみと隣接するようにストッパ部を設けてもよい。また、前記平行四辺形状の領域65,85の中心にストッパ部が位置するように構成してもよい。
【0073】
(c)上記実施形態では、退避部63,83の周囲にストッパ部62,82が位置するように構成されているが、これらの位置関係を変更してもよい。例えば、ストッパ部の周囲に退避部が位置するように構成してもよい。
【0074】
(d)加熱ロール25の外周形状は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図12(
図12は、後述する凸条部91と直交する断面を示す)に示すように、加熱ロール95の中心軸側に向けて凹の湾曲部分(円弧部分)が複数連続するように加熱ロール25の外周形状を構成してもよい。尚、この場合、隣接する前記湾曲部分の境界部に当たる角状の部分が凸条部91を構成し、当該凸条部91に隣接し、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、カバーフィルム4と接触可能な部位がストッパ部92を構成し、当該ストッパ部92に隣接し、容器フィルム3に対するカバーフィルム4の取着時に、カバーフィルム4との間で空間を形成する部位が退避部93を構成する。
【0075】
(e)上記実施形態では、退避部63,83が設けられているが、退避部を設けないこととしてもよい。
【0076】
(f)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品カプセル等、内容物が錠剤5とは異なるものであってもよい。
【0077】
(g)上記実施形態では、容器フィルム3がPPやPVC等の無色透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、カバーフィルム4がアルミニウム箔等を基材として形成されているが、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0078】
例えば容器フィルム3に関しては、透明又は半透明なフィルムであればよく、他の素材により形成されたものであってもよい。また、無色透明の容器フィルム3に限らず、赤色透明などの有色透明のフィルムを採用してもよい。
【0079】
(h)上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0080】
また、PTPフィルム6の構成に合わせて、フィルム受けロール20における凹部51の数や位置を適宜変更してもよい。