(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2つ折りに折り畳んだ折曲構造を有する第1及び第2の単層二次電池が隣り合う並設要素になっている部分を含み、第1及び第2の単層二次電池は、折曲部分が面方向の逆方向になるように配置され、第1の単層二次電池における折り畳みによる二つの部分のうち一方が、第2の単層二次電池における折り畳みによる内部間隙に挿入され、第2の単層二次電池における折り畳みによる2部分のうち一方が、第1の単層二次電池における折り畳みによる内部間隙に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
折曲構造を有する上記単層二次電池は、2つ折りされていない非折畳部分である舌片を含み、この舌片における正電極層及び負電極層の少なくとも一方が、正極端子部材若しくは負極端子部材と接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
折曲構造を有する上記単層二次電池は、正電極層及び負電極層の一方が該当する第1電極層を内側にして折り畳んでもその内側の第1電極層の一部が露出するようにシート状の単層二次電池を2つ折りした後、折り畳みによる二つの部分のうち、正電極層及び負電極層の他方が該当する第2電極層だけが外部に露出している部分を内側にして2つ折りに折り畳んで形成された4つ折りの折曲構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
折曲構造を有する上記単層二次電池が、複数の単層二次電池を多段に重ねた状態で、2つ折り若しくは4つ折りに折り畳んだ折曲体に置き換えられたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池。
折曲構造を有する上記単層二次電池が、上記負電極層若しくは上記正電極層の一方の部分が、導電性基板とその上に設けられた上記負電極層との組、若しくは、導電性基板とその上に設けられた上記正電極層との組に置き換えられたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(A)量子電池について
以下に説明する各実施形態の二次電池は、量子電池の技術を適用したものである。そこで、各実施形態の説明に先立ち、量子電池について簡単に説明する。
【0025】
上述したように、量子電池は、金属酸化物の光励起構造変化を利用して、バンドギャップ中に新たなエネルギー準位を形成して電子を捕獲する動作原理に基づく二次電池をいう。
【0026】
量子電池は、全固体型の二次電池であり、単独で二次電池として機能する構成は上述した
図4で表すことができる。すなわち、量子電池(1D)は、負極層3と正極層2との間に充電層6を有するものである。
【0027】
充電層6は、充電動作で電子を蓄え、放電動作で蓄電電子を放出し、充放電がなされていない状態で電子を保持(蓄電)している層であり、光励起構造変化技術が適用されて形成されている。
【0028】
ここで、光励起構造変化は、例えば、国際公開WO/2008/053561に記載されており、その出願の発明者(本願の発明者でもある)である中澤明氏が見出した現象(技術)である。すなわち、中澤明氏は、所定値以上のバンドギャップを持つ半導体であって透光性をもつ金属酸化物が、絶縁被覆された状態で有効な励起エネルギーを与えられると、バンドギャップ内に電子不在のエネルギー準位が多数発生することを見出した。量子電池は、これらのエネルギー準位に電子を捕獲させることで充電し、捕獲した電子を放出させることで放電するものである。
【0029】
充電層6は、絶縁被膜で覆われたn型金属酸化物半導体の微粒子が、負極層3に対して薄膜状に付着され、n型金属酸化物半導体が紫外線照射によって光励起構造変化を起こし、電子を蓄えることができるように変化したものである。
【0030】
量子電池の場合、正極層2は、電極本体層と、充電層6に接するように形成されたp型金属酸化物半導体層とを有する。p型金属酸化物半導体層は、電極本体層から充電層6への電子の注入を防止するために設けられている。負極層3と正極層2の電極本体層とは、導電層として形成されたものであれば良い。
【0031】
以下に説明する各実施形態の二次電池は、
図4に示す単独で量子電池として機能する単位(以下、単層量子電池と呼ぶ)を、1又は複数利用したものである。各実施形態に共通する技術思想は、単層量子電池を2つ折り又は4つ折りに折り畳んで利用するという点にある。そのため、単層量子電池は、折り曲げ方向の長さが、折り曲げ方向に必要な長さの2倍若しくは2倍強程度の長さを有する形状に形成されている。形状としては、矩形が好ましいが、矩形に限定されるものではなく、円形、楕円形、六角形など他の形状であっても良い。ここで、2つ折りでは、上側と下側の図形が完全に重なる線対称図形が好ましいが、これに限定されるものではない。4つ折りの後述する実施形態では、4つ折り後の4つの部分が完全に重なっているものではないが、完全に重なるものを適用することもできる。
【0032】
例えば、単層量子電池における正極層2及び負極層3の膜厚は10nm〜1μm程度にでき、充電層6の膜厚は50nm〜10μm程度にできる。すなわち、単層量子電池はシート状の電池であって2つ折りや4つ折りに折り畳むことが可能なものである。また、充電層6が、完全固体の層ではあるが粒子を押し固めた層ではないので、折り曲げ部分で損傷したり亀裂が生じたりするようなことはない。
【0033】
なお、
図4についての上述した説明でも言及したように、単層量子電池においても、シール7は必須の構成要素ではない。折り畳んだ後において、負極層3と正極層2との間の短絡などの不要な短絡を空隙などで防止できるのであれば、シール7を省略することができる。
【0034】
(B)第1の実施形態
次に、本発明による二次電池の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図7は、第1の実施形態に係る二次電池20Aの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図7は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0035】
第1の実施形態に係る二次電池20Aは、2つ折りに折り畳まれた1又は複数(
図7では3個の例)の単層量子電池(以下、適宜、折曲単層量子電池と呼ぶ)21を有する。以下では、折曲単層量子電池21を複数適用した場合の構成、効果を説明する(但し、1個だけ適用した場合にも、そのまま適用できる構成や効果は存在する)。各折曲単層量子電池21はそれぞれ、正極層2を内側にして折り畳まれたものである。折曲単層量子電池21の数は、所望する電流容量に応じて選定すれば良い。
【0036】
単層量子電池の2つ折りの折り畳みにより対向するようになった正極層2の上下の部分間には、正極端子板9が、その先端が折曲部の内面に接するまで挿入されている。折曲単層量子電池21の数だけ設けられている正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されている。折曲単層量子電池21は、上下に隣接する負極端子板8間に挿入されている。全ての負極端子板8は負極端子連結部8bによって連結されている。なお、
図7に示した一部の負極端子板8を省略することも可能である。例えば、
図7上、最も上に位置している負極端子板8及び最も下に位置している負極端子板8は省略することもできる。
【0037】
なお、負極端子板8及び正極端子板9は「板」とネーミングしているが、薄板だけでなく、薄膜状のものであっても良い。また、全面が電気的接触に機能する必要はなく、メッシュ状や櫛歯状などの導電性部材が一部欠落したものであっても良い。また、挿入方向の長さも、その先端が折曲部の内面に接する長さより短くても良い。
【0038】
負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bはそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aを有している。
図7では、負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bが左右に設けられたものを示したが、負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bの位置は任意であっても良い。例えば、紙面の法線方向の手前及び奥側に負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bを設けるようにしても良く、負極端子連結部8bを左に、正極端子連結部9bを紙面の法線方向の手前に設けるようにしても良い。また、負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bはそれぞれ、板状のものであっても棒状のものであっても良く、また、1つの部材に限定されず、複数の部材が紙面の法線方向に配列されたものであっても良い。
【0039】
また、
図7では、負極端子板8、延長部8a及び負極端子連結部8bが一体的に構成され、正極端子板9、延長部9a及び正極端子連結部9bが一体的に構成されているように示したが、当初より一体的な構成である必要はない。例えば、負極端子板8、延長部8a及び負極端子連結部8bが別部材として構成され、製造の過程で、連結されるものであっても良い。
【0040】
負極端子板8、延長部8a及び負極端子連結部8bは、電気的に充分に低い抵抗値で、負極層3と図示しない外部への負極端子とを接続できるならば、形状や材質は限定されるものではない。同様に、正極端子板9、延長部9a及び正極端子連結部9bは、電気的に充分に低い抵抗値で、正極層2と図示しない外部への正極端子とを接続できるならば、形状や材質は限定されるものではない。
【0041】
第1の実施形態に係る二次電池20Aは、複数の折曲単層量子電池21の並列接続になっており、電流容量を大きくすることができる。
【0042】
また、第1の実施形態に係る二次電池20Aは、並列積層構造を適用していても、正極及び負極間の絶縁を確保する絶縁層(
図6参照)が不要であり、全容積を小さくすることが可能である。
【0043】
さらに、単層量子電池は2つ折りにして利用するので、二次電池
1Fが占有する面積を小さいものとすることができる。例えば、
図6に示す二次電池1Fの単層電池と同様な面積の単層量子電池を適用したとした場合、二次電池20Aが占有する面積を、二次電池20Aの半分程度とすることができる。
【0044】
さらにまた、単層量子電池は2つ折りにして利用するので、積層対象の部品数などを少なくでき、積層工程の工数を軽減することができる。例えば、
図6に示す二次電池1Fの厚みと同程度の厚みの二次電池20Aを形成する場合、必要な折曲単層量子電池21の数は、二次電池1Fにおける単層電池の必要数の半分程度になる。
【0045】
また、小片化された単層量子電池を選別して折曲単層量子電池21を形成させた上で二次電池20Aを製作させることが可能となり、良品の単層量子電池を適用した大容量の二次電池20Aを製作可能となる。
【0046】
さらに、正極端子板9が、その先端が折曲単層量子電池21の折曲部の内面に接するまで挿入されるようにしているので、折曲単層量子電池21の位置のばらつきをなくすことができ、短絡などを未然に防止することができる。
【0047】
図7は、正極層2を内側にして2つ折りされた折曲単層量子電池21を適用したものを示したが、第1の実施形態の二次電池20Aの変形実施形態として、負極層3を内側にして2つ折りされた折曲単層量子電池を適用したものを挙げることができる。この変形実施形態は、
図7における正極要素が負極要素に置き換わり、
図7における負極要素が正極要素に置き換わったものとなる。
【0048】
図7に示す複数の二次電池20Aを、1つの実装部材の中に実装するようにしても良く、この場合に、複数の二次電池20Aの延長部8a及び9aを直列接続しても良く、また、並列接続しても良く、直並列接続しても良く、さらにまた、個別に外部に露出させるようにしても良い。例えば、折曲単層量子電池21の面形状が半円形状とし、2つの二次電池20Aを、平面形状が概略円となるように実装部材の中に実装するようにしても良い。
【0049】
(C)第2の実施形態
次に、本発明による二次電池の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図8は、第2の実施形態に係る二次電池20Bの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図8は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0050】
第2の実施形態に係る二次電池20Bは、単層量子電池を2段(この段数は直列接続数となっており、3段以上でも良い)に重ね、その2段重ねの状態で2つ折りに折り畳まれた電池構造(以下、適宜、多段折曲単層量子電池と呼ぶ)22を1又は複数(
図8は2個の例)有する。以下では、多段折曲単層量子電池22を複数適用した場合の構成、効果を説明する(但し、1個だけ適用した場合にも、そのまま適用できる構成や効果は存在する)。各多段折曲単層量子電池22はそれぞれ、上段の単層量子電池の正極層2を内側にして折り畳まれたものである。多段折曲単層量子電池22の数は、所望する電流容量に応じて選定すれば良い。また、折り畳む前の単層量子電池を重ねる段数は、所望する端子電圧に応じて選定すれば良い。
【0051】
折り畳みにより対向するようになった正極層2の上下の部分間には、正極端子板9が、その先端が折曲部の内面に接するまで挿入されている。多段折曲単層量子電池22の数だけ設けられている正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されている。多段折曲単層量子電池22は、上下に隣接する負極端子板8間に挿入されている。なお、
図8上、最も上に位置している負極端子板8及び最も下に位置している負極端子板8は省略されていても良い。全ての負極端子板8は負極端子連結部8bによって連結されている。負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bはそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aを有している。
【0052】
第2の実施形態に係る二次電池20Bは、多段折曲単層量子電池22が単層量子電池の直列接続となっていて端子電圧を高くすることができ、また、複数の多段折曲単層量子電池22の並列接続になっていて電流容量を大きくすることができる。
【0053】
また、第2の実施形態に係る二次電池20Bも、第1の実施形態と同様に、絶縁層(
図6参照)が不要であって全容積を小さくできる、2つ折りにしているので占有面積を小さくできる、積層対象の部品数などを少なくできて積層作業の工数を軽減できる、小片化された単層量子電池を選別して良品の単層量子電池を適用して二次電池を製作できる、多段折曲単層量子電池22の位置のばらつきを抑えることができる、などの効果を奏することができる。
【0054】
詳述は避けるが、第1の実施形態に係る二次電池20Aの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第2の実施形態に係る二次電池20Bに適用可能なものは、第2の実施形態に係る二次電池20Bの変形実施形態となる。
【0055】
(D)第3の実施形態
次に、本発明による二次電池の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第3の実施形態に係る二次電池20Cの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図9は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0056】
第3の実施形態に係る二次電池20Cは、正極層2を内側にして2つ折りに折り畳まれた単層量子電池(以下、適宜、第1折曲単層量子電池と呼ぶ)21Pと、負極層3を内側にして2つ折りに折り畳まれた単層量子電池(以下、適宜、第2折曲単層量子電池と呼ぶ)21Nとが、折曲部が逆方向に位置するように積層されているものである。
図9の例では、第1折曲単層量子電池21Pの負極層3の面である下面と、第2折曲単層量子電池21Nの正極層
2の面である上面とを面接触させている。
【0057】
折り畳みにより対向するようになった第1折曲単層量子電池21Pの正極層2の上下の部分間には、正極端子板9が、その先端が折曲部の内面に接するまで挿入されている。折り畳みにより対向するようになった第2折曲単層量子電池21Nの負極層3の上下の部分間には、負極端子板8が、その先端が折曲部の内面に接するまで挿入されている。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aと繋がっている。
【0058】
第3の実施形態に係る二次電池20Cは、第1折曲単層量子電池21Pの負極層3と第2折曲単層量子電池21Nの正極層2との間で電子を直接授受できる構造となっているので、2つの単層量子電池の直列接続になっている。従って、第3の実施形態に係る二次電池20Cは、端子電圧を高くすることができる。
【0059】
また、第3の実施形態に係る二次電池20Cも、第1の実施形態と同様に、2つ折りにしているので占有面積を小さくできる、積層対象の部品数などを少なくできて積層作業の工数を軽減できる、小片化された単層量子電池を選別して良品の単層量子電池を適用して二次電池を製作できる、第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nの位置のばらつきを抑えることができる、などの効果を奏することができる。
【0060】
図9では、第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nがそれぞれ、1つ(1段)の単層量子電池を折り畳んだものを示したが、第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nの少なくとも一方が、第2の実施形態で説明した多段折曲単層量子電池であっても良い。
【0061】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A、20Bの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第3の実施形態に係る二次電池20Cに適用可能なものは、第3の実施形態に係る二次電池20Cの変形実施形態となる。
【0062】
(E)第4の実施形態
次に、本発明による二次電池の第4の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図10は、第4の実施形態に係る二次電池20Dの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図10は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0063】
第4の実施形態に係る二次電池20Dは、正極層2を内側にして2つ折りに折り畳まれた複数(
図10は3個の例)の折曲単層量子電池21における上折畳部分及び下折畳部分の少なくとも一方を、他の折曲単層量子電池における折り畳みによる内部間隙に挿入しつつ、複数の折曲単層量子電池21を積み重ねたものである。上折畳部分及び下折畳部分の少なくとも一方を、他の折曲単層量子電池における折り畳みによる内部間隙に挿入できるように、下側から数えて奇数番目の折曲単層量子電池21における折曲部分と、
偶数番目の折曲単層量子電池21における折曲部分とは左右方向で反対に位置するようにされている。
図10の例では、1番目と3番目の折曲単層量子電池21−1、21−3は折曲部分が右側に位置し、2番目の折曲単層量子電池21−2は折曲部分が左側に位置し、1番目の折曲単層量子電池21−1の上折畳部分が2番目の折曲単層量子電池21−2に内部間隙に挿入され、2番目の折曲単層量子電池21−2の下折畳部分が1番目の折曲単層量子電池21−1に内部間隙に挿入されると共に、2番目の折曲単層量子電池21−2の上折畳部分が3番目の折曲単層量子電池21−3に内部間隙に挿入され、3番目の折曲単層量子電池21−3の下折畳部分が2番目の折曲単層量子電池21−2に内部間隙に挿入されている。
【0064】
各折曲単層量子電池21の露出面は負極層3の面であり、各折曲単層量子電池21はそれぞれ、2枚の負極端子板8によって挟まれている。なお、1番目と3番目の折曲単層量子電池21−1、21−3のように積み重ねで負極層3同士が隣接する所では、下側の折曲単層量子電池21−1用の上側の負極端子板8と上側の折曲単層量子電池21−3用の下側の負極端子板8として共通の負極端子板8が適用される。なお、負極端子板8の一部は省略することもできる(後述する
図11参照)。
【0065】
隣接する折曲単層量子電池21の上折畳部分及び下折畳部分が内部間隙に入れ子で挿入されるため(言い換えると、隣接する折曲単層量子電池21の上折畳部分及び下折畳部分が嵌めあわされるため)、一方の折曲単層量子電池21の正極層2と負極層3とが対向するようになった部分には、絶縁層10が設けられている正極端子板9が挿入される。絶縁層10は、負極層3と接する側に設けられる。
【0066】
正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されており、負極端子板8は負極端子連結部8bによって連結されている。負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bはそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aを有している。
【0067】
3個の折曲単層量子電池21は、負極層3が負極端子板
8に接続することで負極層3側の並列接続を実現していると共に、正極層2が互いに接続することで正極層2側の並列接続を実現しており、3個の折曲単層量子電池21は並列接続となっている。
【0068】
図10に示す二次電池20Dは、正極層2を内側にして2つ折りに折り畳まれた折曲単層量子電池21が3個のものであった。
図11は、正極層2を内側にして2つ折りに折り畳まれた折曲単層量子電池21が5個の二次電池を示しており、技術思想としては、
図10に示す二次電池と同様である。なお、上述したように、
図11に示す二次電池では、省略可能な負極端子板8の一部を省略している。
【0069】
第4の実施形態に係る二次電池20D(
図11に示すものを含む)は、複数の折曲単層量子電池21の並列接続になっており、電流容量を大きくすることができる。
【0070】
また、第4の実施形態に係る二次電池20D(
図11に示すものを含む)も、絶縁層の数を抑えて全容積を小さくできる、2つ折りにしているので占有面積を小さくできる、積層対象の部品数などを少なくできて積層工程の工数を軽減できる、小片化された単層量子電池を選別して良品の単層量子電池を適用して二次電池を製作できる、折曲単層量子電池21の位置のばらつきを抑えることができる、などの効果を奏することができる。
【0071】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Cの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第4の実施形態に係る二次電池20Dに適用可能なものは、第4の実施形態に係る二次電池20Dの変形実施形態となる。
【0072】
(F)第5の実施形態
次に、本発明による二次電池の第5の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図12は、第5の実施形態に係る二次電池20Eの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図12は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0073】
第5の実施形態に係る二次電池20Eは、正極層2を内側にして2つ折りに折り畳まれた第1折曲単層量子電池21Pと、負極層3を内側にして2つ折りに折り畳まれた第2折曲単層量子電池21Nとにおける上折畳部分及び下折畳部分の少なくとも一方を、他の折曲単層量子電池における折り畳みによる内部間隙に挿入しつつ、複数(
図12は3個の例)の折曲単層量子電池21P及び21Nを積み重ねたものである。
図12に示す二次電池20Eは、下側から1番目及び3番目が第1折曲単層量子電池21Pであり、2番目が第2折曲単層量子電池21Nである。
【0074】
2つの第1折曲単層量子電池21Pはそれぞれ、2枚の負極端子板8によって挟まれている。なお、下側の第1折曲単層量子電池
21P用の上側の負極端子板8と上側の第1折曲単層量子電池21
P用の下側の負極端子板8として共通の負極端子板8が適用されている。この共通の負極端子板8は省略することもできる。第2折曲単層量子電池21Nは、2枚の絶縁層10が設けられている正極端子板9によって挟まれている。絶縁層10は、第1折曲単層量子電池21Pの正極層2と接する側に設けられている。
【0075】
正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されており、負極端子板8は負極端子連結部8bによって連結されている。負極端子連結部8b及び正極端子連結部9bはそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aを有している。
【0076】
ここで、第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nを展開したとして接続関係を考える。この展開構成では、負極端子板8に、2つの第1折曲単層量子電池21Pが負極層3を下側にして載置され、これら2つの第1折曲単層量子電池21Pの上に第2折曲単層量子電池21Nが負極層3を下側にして載置され、この第2折曲単層量子電池21Nの上に正極端子板9が載置されている。すなわち、2つの単層量子電池(第1折曲単層量子電池21P)の並列回路に、1つの単層量子電池(第2折曲単層量子電池21N)が直列に接続された構成になっている。
【0077】
第5の実施形態に係る二次電池20Eは、第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nの直列接続になっており、端子電圧を高くすることができる。なお、
図12に示すものは、並列接続によって電流容量を大きくすることもできる。
【0078】
また、第5の実施形態に係る二次電池20Eも、絶縁層の数を抑えて全容積を小さくできる、2つ折りにしているので占有面積を小さくできる、積層対象の部品数などを少なくできて積層工程の工数を軽減できる、小片化された単層量子電池を選別して良品の単層量子電池を適用して二次電池を製作できる、折曲単層量子電池21P、21Nの位置のばらつきを抑えることができる、などの効果を奏することができる。
【0079】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Dの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第5の実施形態に係る二次電池20Eに適用可能なものは、第5の実施形態に係る二次電池20Eの変形実施形態となる。
【0080】
(G)第6の実施形態
次に、本発明による二次電池の第6の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図13(A)は、第6の実施形態に係る二次電池20Fの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図13(A)は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
図13(B)は、第6の実施形態に係る二次電池20Fの直列接続単位構成を示す断面図である。
【0081】
第6の実施形態に係る二次電池20Fは、
図13(B)に示す直列接続単位構成を、1段又は複数段(
図13(A)は3段の例)、絶縁層を介さずに接触させて積み重ねたものである。最上段の外部に露出している正極層2には正極端子板9が接触しており、この正極端子板9は、図示しない実装部材の外部に正極端子を露出させるための延長部9aに接続している。最下段の露出している負極層3には負極端子板8が接触しており、この負極端子板8は、図示しない実装部材の外部に負極端子を露出させるための延長部8aに接続している。
【0082】
図13(B)に示す直列接続単位構成は、正極層2を内側にして2つ折りに折り畳まれた第1折曲単層量子電池21Pを下側に、負極層3を内側にして2つ折りに折り畳まれた第2折曲単層量子電池21Nを上側にし、折曲部が逆方向に位置するようにしかも入れ子状態で(嵌め合い状態)で積層されているものである。第1折曲単層量子電池21Pの下折畳部分の正極層2と、第2折曲単層量子電池21Nの下折畳部分の正極層2とは、同じ下側の絶縁層10の反対の面に接触し、絶縁が確保されている。また、第1折曲単層量子電池21Pの上折畳部分の負極層3と、第2折曲単層量子電池21Nの上折畳部分の負極層3とは、同じ上側の絶縁層10の反対の面に接触し、絶縁が確保されている。
【0083】
仮に、
図13(B)に示す直列接続単位構成を構成している第2折曲単層量子電池21N及び第1折曲単層量子電池21Pの折り畳みを展開すると、展開された第2折曲単層量子電池21Nの上に、展開された第1折曲単層量子電池21Pが半分の領域を重ねた状態で接触した状態となる。すなわち、
図13(B)に示す直列接続単位構成は、第2折曲単層量子電池21N及び第1折曲単層量子電池21Pの直列接続構成となっている。
【0084】
図13(A)に示す第6の実施形態に係る二次電池20Fの例は、
図13(B)に示す直列接続単位構成が3段であるので、6個の折曲単層量子電池21N、21Pの直列接続となっている。
【0085】
第6の実施形態に係る二次電池20Fは、複数の単層量子電池の直列接続になっているので、端子電圧を高くすることができる。
【0086】
また、第6の実施形態に係る二次電池20Fも、第1の実施形態と同様に、2つ折りにしているので占有面積を小さくできる、積層対象の部品数などを少なくできて積層工程の工数を軽減できる、小片化された単層量子電池を選別して良品の単層量子電池を適用して二次電池を製作できる、第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nの位置のばらつきを抑えることができる、などの効果を奏することができる。
【0087】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Eの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第6の実施形態に係る二次電池20Fに適用可能なものは、第6の実施形態に係る二次電池20Fの変形実施形態となる。
【0088】
図14は、上述した第5の実施形態に係る二次電池20Eの技術思想と、第6の実施形態に係る二次電池20Fの技術思想とを組み合わせた二次電池20Gを示す断面図である。この変形実施形態の二次電池20Gは、第5の実施形態に係る二次電池20Eの上側の第1折曲単層量子電池21Pの上に、
図13(B)に示す直列接続単位構成を上下反転して設けた後に上側の負極端子板8を接触させると共に、第5の実施形態に係る二次電池20Eの下側の第1折曲単層量子電池21Pの下に、
図13(B)に示す直列接続単位構成を設けた後に下側の負極端子板8を接触させたものである。
【0089】
従って、二次電池20Gは、3つの単層量子電池(下側から、21P、21N、21P)の直列回路を2つ並列に接続した回路に、1つの単層量子電池(21N)を直列に接続した構成になっている。
【0090】
(H)第7の実施形態
次に、本発明による二次電池の第7の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図15は、第7の実施形態に係る二次電池20Hの構成を示す断面図であり、上述した
図4(B)と同様な方向から見た断面図である。
図15は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0091】
上述した第1〜第6の実施形態は、負極層3、充電層6及び正極層2を有する単層量子電池(
図4参照)を折り畳んだ折曲単層量子電池を利用するものであった(シール7は必須要件ではない)。負極層3、充電層6及び正極層2を有する単層量子電池は、基板上に対する薄膜形成処理を通じて形成され、基板から離脱されて形成されたものである。若しくは、離脱された後に、所定の形状に切り出されて形成されたものである。量子電池の場合、上述した基板として、絶縁性基板が適用できるだけでなく、銅やステンレスなどの導電性材料でなる薄い導電性基板を適用することができる。
【0092】
この第7の実施形態に係る二次電池20Hは、第1の実施形態に係る二次電池20A(
図7参照)の一部を変更したものである。導電性基板12の上に負極層3、充電層6及び正極層2を積層し、短絡防止のシール7(但し、シール7は必須の構成要件ではない)を有する構成を単位構成(以下、適宜、基板付単層量子電池と呼ぶ)とし、この基板付単層量子電池を、正極層2を内側にして折り畳んだ折曲基板付単層量子電池23を、第1の実施形態に係る二次電池20Aの折曲単層量子電池21に代えて適用したものである。その他の構成は、第1の実施形態に係る二次電池20Aと同様である。
【0093】
第7の実施形態の二次電池20Hによれば、折り畳む前の単位構成が基板付単層量子電池であるため、基板から、電池構成部分を剥離するような製造工程を不要とすることができる。その他の効果は、第1の実施形態と同様である。
【0094】
折曲基板付単層量子電池23が有する基板が導電性基板12であるので、導電性基板12に負極層3の機能を担当させ、負極層3を省略することも可能である。
【0095】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Fの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第7の実施形態に係る二次電池20Hの技術思想を適用可能なものは、第7の実施形態に係る二次電池20Hの変形実施形態となる。
【0096】
第7の実施形態に係る二次電池20Hは、第1の実施形態に係る二次電池20Aの折曲単層量子電池21の部分を、折曲基板付単層量子電池23に置き換えたものであった。図示は省略するが、第2の実施形態〜第6の実施形態に係る二次電池20B〜20Fの折曲単層量子電池21、21Pの部分を、折曲基板付単層量子電池23に置き換えた二次電池を実現しても良い。
【0097】
図15に示す二次電池で20Hは、導電性基板12が負極層3側に設けられたものであったが、導電性基板12が正極層2側に設けられた場合にも同様に、導電性基板12が残ったまま二次電池を構成するようにしても良い。
【0098】
(I)第8の実施形態
次に、本発明による二次電池の第8の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図16(C)は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図16(C)は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0099】
第8の実施形態に係る二次電池20Iは、例えば、以下のように形成される。最初に、
図16(A)の平面図に示すように、単層量子電池に対して、折り畳みが実行される線近傍まで延びる1本又は複数本(
図16(A)は4本の例)のスリット24を設ける。スリット24は、完成された単層量子電池に対するカッティングにより設けるようにしても良く、薄膜の順次形成による単層量子電池の形成過程においてスリット24となる部分の膜形成を阻害するようにして設けるようにしても良い。次に、
図16(B)の平面図に示すように、スリット24で切り分けられた部分の中から予め定まっている部分を、正極層2を内側にして折り畳む。
図16(B)の例は、一番奥側の部分と、奥側から2番目及び3番目のスリット24間の部分と、一番手前側の部分とが折り畳まれた例である。折り畳まれない部分は、折り畳み後の全体として見た場合、折り畳み本体から引き出した舌片25を構成しており、折り畳み本体における、舌片25の延長部分は溝26となっている。以下、
図16(B)に示すような舌片25を有する折り畳まれた単層量子電池27を、以下、適宜、舌片付折曲単層量子電池と呼ぶ。
【0100】
なお、以下の各実施形態の説明において、説明に用いている図面で舌片及び溝が見えない場合にも、文章では符号「25」や「26」を付して説明していることもある。
【0101】
図17(B)は、唯一の舌片25及びその延長の溝26が手前側に設けられている舌片付折曲単層量子電池を示し、
図17(A)は、その舌片付折曲単層量子電池の折り畳む前の状態を示している。
図18(B)は、唯一の舌片25及びその延長の溝26が奥行方向の中央に設けられている舌片付折曲単層量子電池を示し、
図18(A)は、その舌片付折曲単層量子電池の折り畳む前の状態を示している。
【0102】
図16〜
図18に示すように、舌片付折曲単層量子電池27は、舌片25の数や舌片25の位置は限定されない。また、舌片25の幅も限定されるものではない。舌片25の長さは、スリット24の長さに応じて定まるが、折り畳んだ後、舌片25の長手方向に直交する方向に沿ってカットすることにより、スリット24の長さより短くするようにしても良い。
【0103】
第8の実施形態に係る二次電池20Iにおいて、正極端子板9は、少なくとも舌片25における正極層2と接触している。さらに、正極端子板9が溝26の表面に露出している正極層2と接触するように延びているものであっても良く、
図16(C)はこのような場合を示している。負極端子板8は、少なくとも折り畳み本体における下折畳部分の下側の負極層3に接触している。さらに、負極端子板8は、舌片25における負極層3と接触するように延びているものであっても良く、
図16(C)はこのような場合を示している。また、折り畳み本体における上折畳部分の上側の負極層3に接触するような他の負極端子板8が設けられていても良い。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aに接続されている。
【0104】
図16では、舌片25が折り畳み本体における下折畳部分と同一平面上に延びているものを示したが、舌片25が折り畳み本体における下折畳部分に対して180度以外の角度を持つように折り曲げられたものであっても良く、それに応じて、正極端子板9の延長方向を選定しても良い。また、舌片25がその途中で折り曲げられ、折り曲げられた先端側で正極端子板9と接触するものであっても良い。
【0105】
また、
図16では、スリット24と折り曲げ線とが直交する場合を示したが、これに限定されず、例えば、
図19に示すように、スリット24と折り曲げ線とが90度以外の角度で交わるものであっても良い。
【0106】
さらに、
図16では、スリット24を設けて折り畳むことにより舌片付折曲単層量子電池27を形成する場合を示したが、他の方法によって、舌片付折曲単層量子電池27を形成するようにしても良い。例えば、
図20に示すように、折り畳む前の単層量子電池として、既に舌片25が形成されている形状のものを用い、舌片25の長手方向と平行な折り曲げ線LN1若しくはLN2に沿って、舌片25以外の部分を折り畳むことにより、舌片付折曲単層量子電池27を形成するようにしても良い。なお、折り曲げ線LN1によって折り畳んだ場合には上述した溝26に相当する部分ができ、折り曲げ線LN2によって折り畳んだ場合には上述した溝26に相当する部分はできない。
【0107】
第8の実施形態に係る二次電池20Iによれば、舌片
25を設けたので、正極層2そのものを引出電極の構成要素として利用でき、電極分の容積や体積などを削減することができる。
【0108】
単層量子電池を折り畳んで利用することの効果は、既述した実施形態で説明した通りである。
【0109】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20
Hの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第8の実施形態に係る二次電池20Iに適用可能なものは、第8の実施形態に係る二次電池20Iの変形実施形態となる。
【0110】
(J)第9の実施形態
次に、本発明による二次電池の第9の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図21は、第9の実施形態に係る二次電池20Jの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図や
図16(C)の正面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図21は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0111】
第9の実施形態に係る二次電池20Jは、単層量子電池を2段(この段数は直列接続数となっており、3段以上でも良い)に重ね、その2段重ねの状態で、スリット24(例えば、
図18(A)参照)を入れた後に、上段の単層量子電池の正極層2を内側に、しかも、舌片25が形成されるように2つ折りに折り畳んだ電池構造を有する。
【0112】
第9の実施形態に係る二次電池20Jにおいて、正極端子板9は、少なくとも舌片25における最上段の単層量子電池の正極層2と接触している。負極端子板8は、少なくとも折り畳み本体における下折畳部分の最下段の単層量子電池の下側の負極層3に接触している。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aに接続されている。
【0113】
第9の実施形態に係る二次電池20Jは、上下の向き(天地)が揃っている多段の単層量子電池を折り畳んでいるので、複数の単層量子電池の直列接続となっていて端子電圧を高くすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0114】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Iの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第9の実施形態に係る二次電池20Jに適用可能なものは、第9の実施形態に係る二次電池20Jの変形実施形態となる。
【0115】
(K)第10の実施形態
次に、本発明による二次電池の第10の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図22は、第10の実施形態に係る二次電池20Kの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図や
図16(C)の正面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図22は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0116】
第10の実施形態に係る二次電池20Kは、2つの単層量子電池を、下段の単層量子電池は正極層2を下側にし、上段の単層量子電池は正極層2を上側にし、しかも、負極端子板8を挟んで重ね、その負極端子板8を挟んだ2段重ねの状態で、スリット24(例えば、
図18(A)参照)を入れた後に、上段の単層量子電池の正極層2を内側に、しかも、舌片25が形成されるように2つ折りに折り畳んだ電池構造を有する。
【0117】
第10の実施形態に係る二次電池20Kにおいて、2つの正極端子板9はそれぞれ、少なくとも舌片25における上段及び下段の単層量子電池の正極層2と接触しており、これら2つの正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されており、この正極端子連結部9bは、図示しない実装部材の外部に正極端子を露出させるための延長部9aを有している。2つの単層量子電池に挟まれた負極端子板8は、折り畳みにより、折り畳み本体の上下2箇所から外部に突出し、2箇所から突出した負極端子板8は、負極端子連結部8bによって連結されており、この負極端子連結部8bは、図示しない実装部材の外部に負極端子を露出させるための延長部8aを有している。
【0118】
第10の実施形態に係る二次電池20Kは、2つ単層量子電池の並列接続となっていて単層量子電池1つの場合より電流容量を大きくすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0119】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Jの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第10の実施形態に係る二次電池20Kに適用可能なものは、第10の実施形態に係る二次電池20Kの変形実施形態となる。
【0120】
(L)第11の実施形態
次に、本発明による二次電池の第11の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図23は、第11の実施形態に係る二次電池20Lの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図や
図16(C)の正面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図23は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0121】
第11の実施形態に係る二次電池20Lは、
図16(C)に示すような舌片付折曲単層量子電池を2つ適用したものであり、2つの舌片付折曲単層量子電池は、概ね、上下方向の位置が異なり、左右方向及び奥行方向の位置は揃っている。なお、各舌片付折曲単層量子電池における舌片の数や舌片の奥行方向の位置などは限定されるものではない。2つの舌片付折曲単層量子電池
の舌片の数や舌片の奥行方向の位置などが揃っていることが好ましいが、異なっていても良い(位置が揃うとは対称関係の場合を含む)。
【0122】
第11の実施形態に係る二次電池20Lは、負極端子板8の上側に、負極層3が接するように舌片付折曲単層量子電池27−1が設けられ、負極端子板8の下側に、舌片付折曲単層量子電池27−1と上下が逆転している舌片付折曲単層量子電池27−2が、負極層
3が負極端子板8の下側に接するように設けられている。各舌片付折曲単層量子電池27−1、27−2の少なくとも舌片における正極層2にはそれぞれ、異なる正極端子板9が接触している。これら2つの正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されており、この正極端子連結部9bは、図示しない実装部材の外部に正極端子を露出させるための延長部9aを有している。2つの舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2が共通に接触している負極端子板8は、図示しない実装部材の外部に負極端子を露出させるための延長部8aを有している。
【0123】
第11の実施形態に係る二次電池20Lは、2つ舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2の並列接続となっていて舌片付折曲単層量子電池1つの場合より電流容量を大きくすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0124】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Kの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第11の実施形態に係る二次電池20Lに適用可能なものは、第11の実施形態に係る二次電池20Lの変形実施形態となる。
【0125】
(M)第12の実施形態
次に、本発明による二次電池の第12の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図24(A)は、第12の実施形態に係る二次電池20Mの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図や
図16(C)の正面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図24(B)は、二次電池20Mの構成要素を上下方向に分解して位置させた正面図である。
図24は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0126】
第12の実施形態に係る二次電池20Mは、
図16(C)に示すような舌片付折曲単層量子電池を2つ適用したものであり、2つの舌片付折曲単層量子電池は、概ね、左右方向、上下方向及び奥行方向の位置が揃っている。なお、各舌片付折曲単層量子電池における舌片の数や舌片の奥行方向の位置などは限定されるものではない。2つの舌片付折曲単層量子電池
の舌片の数や舌片の奥行方向の位置などが揃っていることが好ましい。
【0127】
第12の実施形態に係る二次電池20Mは、
図24(B)から明らかなように、負極端子板8の上側に、負極層3が接するように舌片付折曲単層量子電池27−1が設けられている。舌片付折曲単層量子電池27−1の舌片
25から溝26にかけての正極層
2には、正極端子板9の下面が接触している。舌片付折曲単層量子電池27−2は、舌片付折曲単層量子電池27−1と点対称のように設けられており、舌片付折曲単層量子電池27−2の舌片
25から溝26にかけての正極層
2には、上述した正極端子板9の上面が接触している。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aに接続されている。
【0128】
第12の実施形態に係る二次電池20Mは、2つ舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2の並列接続となっていて舌片付折曲単層量子電池1つの場合より電流容量を大きくすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0129】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Lの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第12の実施形態に係る二次電池20Mに適用可能なものは、第12の実施形態に係る二次電池20Mの変形実施形態となる。
【0130】
(N)第13の実施形態
次に、本発明による二次電池の第13の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図25(A)は、第13の実施形態に係る二次電池20Nの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図や
図16(C)の正面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図25(B)は、二次電池20Nの構成要素を上下方向に分解して位置させた正面図である。
図25は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0131】
第13の実施形態に係る二次電池20Nは、
図16(C)に示すような舌片付折曲単層量子電池を2つ適用したものであり、2つの舌片付折曲単層量子電池は、概ね、左右方向の位置が異なり、上下方向及び奥行方向の位置は揃っている。なお、各舌片付折曲単層量子電池における舌片の数や舌片の奥行方向の位置などは限定されるものではない。2つの舌片付折曲単層量子電池の舌片の数や舌片の奥行方向の位置などが揃っていることが好ましい。
【0132】
第13の実施形態に係る二次電池20Nは、右寄りに折り畳み本体を有する2つの舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2が左右方向に並設されている。右側の舌片付折曲単層量子電池27−1は、舌片25が折り畳み本体の下側の折り畳み部分から左方に延びたものであり、左側の舌片付折曲単層量子電池27−2は、舌片25が折り畳み本体の上側の折り畳み部分から左方に延びたものである。
【0133】
右側の舌片付折曲単層量子電池27−1の舌片25は、左側の舌片付折曲単層量子電池27−2の溝26に入り込んでいる。正極端子板9は、左側の舌片付折曲単層量子電池27−2の舌片25の正極層2の下面と、右側の舌片付折曲単層量子電池27−1の舌片25の正極層2の上面とに接触している。負極端子板8は、2つの舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2の折り畳み本体の下側の折り畳み部分の負極層3の下面に接触している。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aに接続されている。
【0134】
第13の実施形態に係る二次電池20Nは、2つ舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2の並列接続となっていて舌片付折曲単層量子電池1つの場合より電流容量を大きくすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0135】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Mの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第13の実施形態に係る二次電池20Nに適用可能なものは、第13の実施形態に係る二次電池20Nの変形実施形態となる。
【0136】
(O)第14の実施形態
次に、本発明による二次電池の第14の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図26は、第14の実施形態に係る二次電池20Oの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図や
図16(C)の正面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図26は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0137】
第14の実施形態に係る二次電池20Oは、
図16(C)に示すような舌片付折曲単層量子電池を2つ適用したものであり、2つの舌片付折曲単層量子電池は、概ね、左右方向及び上下方向の位置が異なり、奥行方向の位置は揃っている。なお、各舌片付折曲単層量子電池における舌片の数や舌片の奥行方向の位置などは限定されるものではない。少なくとも下段に位置する舌片付折曲単層量子電池27−1は、舌片の数が多い、舌片の奥行方向の幅が広いなど、上段に位置する舌片付折曲単層量子電池27−2を載置しても安定性が高くなるような舌片の構成が好ましい。
【0138】
第14の実施形態に係る二次電池20Oは、左側に舌片25を有する舌片付折曲単層量子電池27−1の正極層2の上面に、他の舌片付折曲単層量子電池27−2が、下側に位置する負極層3を接触するような形態で載置されたものである。舌片付折曲単層量子電池27−2も左方に向かって舌片25が延びているものである。
【0139】
正極端子板9は、左上側の舌片付折曲単層量子電池27−2の舌片25の正極層2の上面に接触している。負極端子板8は、右下側の舌片付折曲単層量子電池27−1の少なくとも折り畳み本体の下側の折り畳み部分の負極層3の下面に接触している。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aに接続されている。
【0140】
なお、第14の実施形態に係る二次電池20Oの場合、2つの舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2は中心位置がずれている上に接触面積が少ないので、例えば、実装部材などに、2つの舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2の位置関係を意図的に安定させるような構成を設けるようにしても良い。
【0141】
第14の実施形態に係る二次電池20Oは、2つ舌片付折曲単層量子電池27−1及び27−2の直列接続となっていて舌片付折曲単層量子電池1つの場合より端子電圧を大きくすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0142】
図27は、第14の実施形態の変形実施形態に係る二次電池20Pの構成を示す正面図であり、上述した
図26と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
【0143】
図26及び
図27の比較から明らかなように、
図27に示す二次電池20Pは、第14の実施形態に係る二次電池20Oに比較し、上側に位置する舌片付折曲単層量子電池27−2の舌片25が延びている方向が逆方向であり、この点以外は同様なものである。
図27に示す二次電池20Pでは、上側に位置する舌片付折曲単層量子電池27−2の舌片25は右方向に延びており、下側に位置する舌片付折曲単層量子電池27−1の溝26に入り込んでいる。その結果、第14の実施形態に係る二次電池20Oより、左右方向に必要な長さが短いものとなっている。
【0144】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Nの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第14の実施形態に係る二次電池20O(並びに20P)に適用可能なものは、第14の実施形態に係る二次電池20O(並びに20P)の変形実施形態となる。
【0145】
(P)第15の実施形態
次に、本発明による二次電池の第15の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図28は、第15の実施形態に係る二次電池20Qの構成を示す正面図であり、上述した
図26と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図28は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0146】
第15の実施形態に係る二次電池20Qは、折り畳みにより内面側となった電極層が異なる2つの舌片付折曲単層量子電池を適用したものであり、2つの舌片付折曲単層量子電池は、概ね、左右方向の位置が異なり、上下方向及び奥行方向の位置は揃っている。なお、各舌片付折曲単層量子電池における舌片の数や舌片の奥行方向の位置などは限定されるものではない。2つの舌片付折曲単層量子電池の舌片の数や舌片の奥行方向の位置などが揃っていることが好ましい。
【0147】
第15の実施形態に係る二次電池20Qは、正極層2を内側にして折り畳んだ舌片付折曲単層量子電池27Pと、負極層
3を内側にして折り畳んだ舌片付折曲単層量子電池27Nとを1個ずつ適用する。舌片付折曲単層量子電池27Nは、折り畳み本体の上側の折り畳み部分から左方へ舌片25が延びている。他方の舌片付折曲単層量子電池27Pは、折り畳み本体の下側の折り畳み部分から左方へ舌片25が延び、その舌片25が舌片付折曲単層量子電池27Nの溝26に入り込んで、溝26内で露出している負極層3と接触している。
【0148】
正極端子板9は、左側の舌片付折曲単層量子電池27Nの舌片25の正極層2の上面に接触している。負極端子板8は、右側の舌片付折曲単層量子電池27Pの折り畳み本体下側の折り畳み部分の負極層3の下面に接触している。負極端子板8及び正極端子板9はそれぞれ、図示しない実装部材の外部に負極端子、正極端子を露出させるための延長部8a、9aに接続されている。
【0149】
第15の実施形態に係る二次電池20Qは、2つ舌片付折曲単層量子電池27P及び27Nの直列接続となっていて舌片付折曲単層量子電池1つの場合より端子電圧を大きくすることができる。その他の効果は、第8の実施形態に係る二次電池20Iの効果と同様である。
【0150】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Pの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第15の実施形態に係る二次電池20Qに適用可能なものは、第15の実施形態に係る二次電池20Qの変形実施形態となる。
【0151】
(Q)第16の実施形態
次に、本発明による二次電池の第16の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図29は、第16の実施形態に係る二次電池20Rの構成を示す正面図であり、上述した
図4(B)の断面図と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図29は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0152】
上述した各実施形態の二次電池は、単層量子電池を2つ折りに折り畳んだ折曲単層量子電池や舌片付折曲単層量子電池を適用したものであった(単層量子電池に代え、多段単層量子電池を折り畳むこともあった)。第16の実施形態以降の各実施形態の二次電池は、単層量子電池を意図的に位置ずれが生じるように4つ折りに折り畳んだ不完全4折単層量子電池を適用したものである(単層量子電池に代え、多段単層量子電池を折り畳むこともある)。
【0153】
まず、
図30を参照しながら、不完全4折単層量子電池28の形成方法を説明する。
図30(A1)、(B1)、(C1)はそれぞれ平面図であり、
図30(A2)、(B2)、(C2)はそれぞれ正面図であり、
図30(A1)及び(A2)、
図30(B1)及び(B2)、
図30(C1)及び(C2)は同じ対象物を描画したものである。
【0154】
まず、
図30(A1)及び(A2)に示すような単層量子電池(
図4の単層量子電池1Dと同一)を、左右方向の中心よりずれた位置の折り曲げ線LN3に沿って、正極層2を内側に2つ折りに折り畳むことにより、
図30(B1)及び(B2)に示すように、折り畳んだ後においても、正極層
2の一部が外部に露出している状態にする。次に、
図30(B1)及び(B2)に示す2つ折り状態の単層量子電池を、奥行方向の中心に位置する折り曲げ線LN4に沿って、
図30(B2)で下側に位置している負極層3を内側に2つ折りに折り畳むことにより、
図30(C1)及び(C2)に示すように、折り畳んだ後においても、正極層2の一部が上方及び下方に露出している状態にする。
【0155】
このような正極層2の一部が外部に露出する単層量子電池が、不完全4折単層量子電池28である。
図30では、正極層2の大半が4つ折りで隠れ、一部が外部に露出する不完全4折単層量子電池28を示しているが、逆に、負極層3の大半が4つ折りで隠れ、一部が外部に露出する不完全4折単層量子電池を形成して二次電池で利用するようにしても良い。
【0156】
第16の実施形態に係る二次電池20Rは、不完全4折単層量子電池28の正極層2の上方露出面及び下方露出面にそれぞれ、異なる正極端子板9が接触している。これら2つの正極端子板9は、正極端子連結部9bによって連結されており、この正極端子連結部9bは、図示しない実装部材の外部に正極端子を露出させるための延長部9aを有している。不完全4折単層量子電池28の最も下側で露出している負極層3の下側には負極端子板8が接触しており、負極端子板8は、図示しない実装部材の外部に負極端子を露出させるための延長部8aを有している。
【0157】
第16の実施形態に係る二次電池20Rによれば、正極層2そのものを引出電極の構成要素として利用でき、電極分の容積や体積などを削減することができる。
【0158】
第16の実施形態に係る二次電池20Rに関しても、単層量子電池を折り畳んで利用することによる効果は、既述した実施形態で説明した通りであるが、2つ折りではなく、4つ折りであるので、必要面積などの削減効果は既述した実施形態より大きい。
【0159】
上記では、単層量子電池を意図的に位置ずれが生じるように4つ折りに折り畳んだ不完全4折単層量子電池を示したが、線対称の対
称軸に沿って折り畳む2つ折りを、対
称軸の方向を変えて2回繰り返した4つ折りで形成される完全4折単層量子電池を適用するようにしても良い。この完全4折単層量子電池では、正極層2及び負極層3の一方は外部に露出しないので、折り畳まされた隙間にその電極層の端子板を挿入することを要する。
【0160】
詳述は避けるが、既述した各実施形態に係る二次電池20A〜20Qの説明で適宜言及した変形実施形態のうち、第16の実施形態に係る二次電池20Rに適用可能なものは、第16の実施形態に係る二次電池20Rの変形実施形態となる。
【0161】
(R)第17の実施形態
次に、本発明による二次電池の第17の実施形態について、図面を参照しながら簡単に説明する。
図31は、第17の実施形態に係る二次電池20Sの構成を示す正面図であり、上述した
図29と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図31は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0162】
第17の実施形態に係る二次電池20Sは、2つの不完全4折単層量子電池28−1、28−2を上下方向に重ね、各不完全4折単層量子電池28−1、28−2の正極層2の外部露出面に異なる正極端子板9を接触させると共に、各不完全4折単層量子電池28−1、28−2の負極層3の外部露出面に異なる負極端子板8を接触させたものである。
【0163】
同一の不完全4折単層量子電池28−1及び28−2を重ねているので、接触面は同一電極層となり、2つの不完全4折単層量子電池28−1及び28−2の並列接続となって電流容量を、第16の実施形態の二次電池20Rより大きくすることができる。
【0164】
なお、図示は省略するが、3つ以上の不完全4折単層量子電池を並列接続させて二次電池を構成するようにしても良いことは勿論である。また、2つ以上の不完全4折単層量子電池を直列接続させて二次電池を構成するようにしも良いことは勿論である。さらに、複数の不完全4折単層量子電池を直並列接続させて二次電池を構成するようにしても良いことは勿論である。
【0165】
第17の実施形態に係る二次電池20Sについての、その他の効果や変形実施形態の説明は省略する。
【0166】
(S)第18の実施形態
次に、本発明による二次電池の第18の実施形態について、図面を参照しながら簡単に説明する。
図32(B)は、第18の実施形態に係る二次電池20Tの構成を示す正面図であり、上述した
図29と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図32(A)及び(B)は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0167】
第18の実施形態に係る二次電池20Tは、
図32(A)に示すように、上下を同じにしている2つの単層量子電池(
図4の単層量子電池1Dと同一)を上下方向に2段(3段以上であっても良い)に重ね、この状態から、
図30を参照して説明した不完全な4つ折りを行って、不完全4折順多段単層量子電池29を形成し、形成された不完全4折順多段単層量子電池29に適宜、正極端子板9及び負極端子板8を接触させたものである。
【0168】
第18の実施形態に係る二次電池20Tは、2つの単層量子電池の順方向の2段重ね状態(単層量子電池の直列接続状態)から形成した不完全4折順多段単層量子電池29を適用しているので、端子電圧を、第16の実施形態の二次電池20Rより大きくすることができる。
【0169】
第18の実施形態に係る二次電池20Tについての、その他の効果や変形実施形態の説明は省略する。
【0170】
(T)第19の実施形態
次に、本発明による二次電池の第19の実施形態について、図面を参照しながら簡単に説明する。
図33(B)は、第19の実施形態に係る二次電池20Uの構成を示す正面図であり、上述した
図29と同様な方向から見た正面図である(本来見える手前側のシール7については除外して示した正面図である)。
図33(A)及び(B)は、面方向の寸法より厚み方向の寸法を強調して示している。
【0171】
第19の実施形態に係る二次電池20Uは、
図33(A)に示すように、上下が反転している2つの単層量子電池(
図4の単層量子電池1Dと同一)を、下側の単層量子電池の上側の負極層3と上側の単層量子電池の下側の負極層3とが接するように上下方向に2段に重ね(この状態で負極端子板8を2つの負極層3の間に途中まで挟むようにしても良い)、この状態から、
図30を参照して説明した不完全な4つ折りを行って、不完全4折逆多段単層量子電池30を形成し、形成された不完全4折逆多段単層量子電池30に適宜、正極端子板9及び負極端子板8を接触させたものである。
【0172】
第19の実施形態に係る二次電池20Uは、2つの単層量子電池を、上下方向の層配置が逆方向
として2段重ねた状態(単層量子電池の並列接続状態)から形成した不完全4折逆多段単層量子電池30を適用しているので、電流容量を、第16の実施形態の二次電池20Rより大きくすることができる。
【0173】
なお、2つの単層量子電池を重ねて2つ折りした多段単層量子電池を形成する場合にも、2つの単層量子電池を、上下方向の層配置が逆方向して2段重ねた状態(単層量子電池の並列接続状態)から形成するようにしても良い。
【0174】
第19の実施形態に係る二次電池20Uについての、その他の効果や変形実施形態の説明は省略する。
【0175】
(U)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0176】
(U−1)第1の実施形態に係る二次電池20Aの変形例として、複数の二次電池20Aを、1つの実装部材の中に実装することを上述したが、1つの実装部材の中に実装する複数の二次電池が、上述した異なる実施形態の二次電池であっても良い。この場合にも、複数の二次電池の延長部8a及び9aを直列接続しても良く、また、並列接続しても良く、直並列接続しても良く、さらにまた、個別に外部に露出させるようにしても良い。所望する端子電圧や電流容量に応じて、直列接続、並列接続又は直並列
接続する二次電池を選定すれば良い。
【0177】
上記各実施形態の技術思想を、1つの構造体としての二次電池に混在させるようにしても良い。例えば、
図7に示す第1の実施形態に係る折曲単層量子電池21(21P、21N)の並列接続構造と、
図9に示す第1折曲単層量子電池21P及び第2折曲単層量子電池21Nとの直列接続構造とを組み合わせるようにしても良い。具体例で説明すれば、3つの第1折曲単層量子電池21Pの並列接続構造と、3つの第2折曲単層量子電池21Nの並列接続構造とを、上下にして、直列接続させるように接触させるようにすれば良い。
【0178】
(U−2)上記各実施形態では、単層量子電池(
図4参照)が折り畳みを考慮した特別な工夫を備えないものであったが、折り畳みを考慮した特別な工夫がなされた単層量子電池を折り畳むようにしても良い。
図34は、このような変形実施形態に係る単層量子電池の断面図(
図4(B)参照)である。2つ折りの折曲部分となる紙面の法線方向に延びる帯状の領域31は、負極層3(導電性基板12の上に設けられている負極層であっても良い)だけが設けられ、充電層6や正極層2が設けられていない、折り畳みに対する力学的な抵抗が弱くされたものであっても良い。この変形例の場合には、充電層6や正極層2が設けられていないために窪みになっている帯状領域に、円状の絶縁棒体を位置させて折り畳むようにしても良い。また、図示は省略するが、折り曲げ線上に、負極層3、充電層6及び正極層2が設けられた場合であっても、折り曲げ線に沿って、ミシン目を入れて、折り畳みに対する力学的な抵抗が弱くするようにしても良い。
【0179】
(U−3)上記各実施形態では、積層されるものが全て、単層量子電池を折り畳んだものであったが、一部の積層要素が、折り畳まれていない単層量子電池であっても良い。図
35は、この変形実施形態に係る二次電池20Vの構成を示す断面図である。この二次電池20Vは、
図7に示した第1の実施形態に係る二次電池20Aに対する変形実施形態となっており、最上部側に2つの単層量子電池32が、正極層2側が対向するに積層されている。対向する正極層2に挟まれるように正極端子板9が設けられている。また、2つの単層量子電池32の負極層3はそれぞれ、異なる負極端子板8に接触している。折り畳まない小面積の単層量子電池を積層対象とする場合、元の大きなシートから、折り畳み用の単層量子電池を切り出して検査した場合、それが不良品であっても、その半分の領域が正常であれば、二次電池20Vで利用することができる。
【0180】
(U−4)上記各実施形態では、複数の折曲単層量子電池を上下に並設(積層)するものを示したが、複数の折曲単層量子電池を左右に並設するもの(例えば、
図7の状態を反時計回り若しくは時計回りに90度だけ回転させたような二次電池)であっても良い。すなわち、各図の左右方向を上下方向に回転したような状態で並設されている複数の折曲単層量子電池を実装部材内に実装するようにしても良い。同様に、折曲単層量子電池を1個だけ適用している各実施形態の二次電池も、各図の左右方向を上下方向に回転したような状態の折曲単層量子電池を実装部材内に実装するようにしても良い。
【0181】
(U−5)上記各実施形態では、積層される単層電池が量子電池であるものを示したが、量子電池に限定されるものではなく、シート状(平行平板状)の二次電池であれば良い。例えば、固体リチウムイオン二次電池も、折り畳むことができるものであれば、上記各実施形態の積層対象とすることができる。