特許第6152106号(P6152106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6152106ノイズ源可視化システム、ノイズ源可視化装置、ノイズ源可視化のためのプログラム、およびノイズ源可視化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152106
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】ノイズ源可視化システム、ノイズ源可視化装置、ノイズ源可視化のためのプログラム、およびノイズ源可視化方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
   G01R29/08 D
【請求項の数】18
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-529305(P2014-529305)
(86)(22)【出願日】2013年8月6日
(86)【国際出願番号】JP2013004734
(87)【国際公開番号】WO2014024468
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-177017(P2012-177017)
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】水谷 研治
(72)【発明者】
【氏名】上野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】大塚 信之
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−084413(JP,A)
【文献】 特開2010−146096(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028186(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08−29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品で構成される電気回路基板の回路設計データを格納する回路設計データベースと、
前記回路設計データベースに格納されている回路設計データを用いて、前記電気回路を構成する複数の電子部品の電気信号の過渡特性を示す情報を出力する回路シミュレータと、
前記複数の電子部品の電気信号の中から、異なる周波数スペクトルを有する代表的な電気信号のスペクトルを決定する代表スペクトル決定部と、
前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルを測定するスペクトラムアナライザと、
前記周辺電磁場のスペクトルに含まれる、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分の大きさを含む情報を出力する代表スペクトル成分計算部と、
撮像部により撮像されたARタグを含む前記電気回路基板の画像を用いて、予め保持する前記ARタグの位置情報から前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報を出力するAR処理部と、
前記電気回路基板の基板設計データを格納するPCB設計データベースと、
前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報と前記基板設計データとを用いて、前記代表的な電気信号のスペクトルの前記電気回路基板上の位置を示す情報を出力する代表スペクトル位置抽出部と、
前記撮像部で撮像された画像に対して、前記代表スペクトル位置抽出部から出力された代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有するマーカを重畳して、前記マーカを重畳した画像を生成するオーバレイ画像生成部と、
前記オーバレイ画像生成部から出力された前記マーカを重畳した画像を表示する表示部と、
を備えるノイズ源可視化システム。
【請求項2】
前記代表スペクトル決定部は、前記回路シミュレータが出力する電気信号のスペクトルを正規化してクラスタリングし、前記クラスタの中で平均パワーが最大のスペクトルを代表スペクトルとして出力するよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項3】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換するよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項4】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換する際に、特異値分解法を使用して次元圧縮を行うよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項5】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルについて、代表スペクトルを並べた行列を次元圧縮した方法と同じ方法で次元圧縮をするよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項6】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルに含まれる代表スペクトルの成分を計算するために、次元圧縮したパワースペクトルと次元圧縮した代表スペクトル行列の連立一次方程式を計算するよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項7】
前記オーバレイ画像生成部は、前記代表スペクトル成分計算部が出力する代表スペクトルの成分の大きさに比例する長さで、前記代表スペクトルを持つ回路基板上のノードから前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画するよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項8】
前記AR処理部は、前記電気回路基板にシルク印刷されたARタグを前記撮像部で撮像して三次元位置関係を算出するよう構成された、請求項1記載のノイズ源可視化システム。
【請求項9】
複数の電子部品で構成される電気回路基板の回路設計データを用いて、前記電気回路を構成する複数の電子部品の電気信号の過渡特性を示す情報を出力する回路シミュレータと、
前記複数の電子部品の電気信号の中から、異なる周波数スペクトルを有する代表的な電気信号のスペクトルを決定する代表スペクトル決定部と、
スペクトラムアナライザにより測定された前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルに含まれる、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分の大きさを含む情報を出力する代表スペクトル成分計算部と、
撮像部により撮像されたARタグを含む前記電気回路基板の画像を用いて、予め保持する前記ARタグの位置情報から前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報を出力するAR処理部と、
前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報と前記電気回路基板の基板設計データとを用いて、前記代表的な電気信号のスペクトルの前記電気回路基板上の位置を示す情報を出力する代表スペクトル位置抽出部と、
前記撮像部により撮像された画像に対して、前記代表スペクトル位置抽出部から出力された代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有するマーカを重畳して、前記マーカを重畳した画像を生成して装置外部に出力するオーバレイ画像生成部と、
を備えるノイズ源可視化装置。
【請求項10】
前記代表スペクトル決定部は、前記回路シミュレータが出力する電気信号のスペクトルを正規化してクラスタリングし、前記クラスタの中で平均パワーが最大のスペクトルを代表スペクトルとして出力するよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項11】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換するよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項12】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換する際に、特異値分解法を使用して次元圧縮を行うよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項13】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルについて、代表スペクトルを並べた行列を次元圧縮した方法と同じ方法で次元圧縮をするよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項14】
前記代表スペクトル成分計算部は、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルに含まれる代表スペクトルの成分を計算するために、次元圧縮したパワースペクトルと次元圧縮した代表スペクトル行列の連立一次方程式を計算するよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項15】
前記オーバレイ画像生成部は、前記代表スペクトル成分計算部が出力する代表スペクトルの成分の大きさに比例する長さで、前記代表スペクトルを持つ回路基板上のノードから前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画するよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項16】
前記AR処理部は、前記電気回路基板にシルク印刷されたARタグを前記撮像部で撮像して三次元位置関係を算出するよう構成された、請求項9記載のノイズ源可視化装置。
【請求項17】
コンピュータにより実行されるノイズ源可視化のためのプログラムであって、
回路設計データベースに格納された電気回路基板の回路設計データを用いて回路シミュレーションを行い、前記電気回路基板を構成する各電子部品の電気信号の過渡特性を出力する回路シミュレーションステップと、
前記電気信号の中で異なる周波数スペクトルを持つ代表的な電気信号を選択する代表スペクトル決定ステップと、
スペクトラムアナライザにより、電気回路基板の動作中に測定した、前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルに含まれる前記代表的な電気信号のスペクトルの成分を出力する代表スペクトル成分計算ステップと、
撮像部により撮像された前記電気回路基板の画像を用いて、前記電気回路基板に付けられたARタグから前記電気回路基板の三次元位置関係を出力するAR処理ステップと、
PCB設計データベースに格納された前記電気回路基板の基板設計データを用いて、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置を出力する代表スペクトル位置抽出ステップと、
前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有し、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画し、前記撮像部の実画像に重畳して二次元画像として投射するオーバレイ画像生成ステップと、
前記実画像に前記マーカが重畳されて投射された二次元画像を表示する表示ステップと、
を含むノイズ源可視化のためのプログラム。
【請求項18】
回路設計データベースに格納された電気回路基板の回路設計データ用いて回路シミュレーションを行い、前記電気回路基板を構成する各電子部品の電気信号の過渡特性を出力する回路シミュレーションステップと、
前記電気信号の中で異なる周波数スペクトルを持つ代表的な電気信号を選択する代表スペクトル決定ステップと、
スペクトラムアナライザにより、前記電気回路基板の動作中に測定した、前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルに含まれる前記代表的な電気信号のスペクトルの成分を出力する代表スペクトル成分計算ステップと、
撮像部により撮像された前記電気回路基板の画像を用いて、前記電気回路基板に付けられたARタグから前記電気回路基板の三次元位置関係を出力するAR処理ステップと、
PCB設計データベースに格納された前記電気回路基板の基板設計データを用いて、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置を出力する代表スペクトル位置抽出ステップと、
前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有し、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画し、前記撮像部の実画像に重畳して二次元画像として投射するオーバレイ画像生成ステップと、
前記実画像に前記マーカが重畳されて投射された二次元画像を表示する表示ステップと、
を含むノイズ源可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作中の電気回路基板から発生する電磁波の発生場所の特定を支援するノイズ源可視化システム、ノイズ源可視化装置、ノイズ源可視化のためのプログラム、およびノイズ源可視化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の製造販売においては、EMC(Electro-Magnetic Compatibility)対策が不可欠であり、国内ではVCCI協会で規定される、周波数毎の電磁界強度の規制ガイドラインを満たし、世界ではCISPRで規定されるガイドラインを満たしてから、市場へ出荷しなければならない。
【0003】
回路基板の設計時点で、問題となる電磁波が放射されることを的確に予測することは、電磁界シミュレータの計算時間が開発期間に対して相対的に膨大であることと、シミュレーションモデルを十分精密に準備しなければ実際の放射現象と一致しないことから、実質的には不可能に近い。一般的には、回路基板の試作を行い、電波暗室などで回路基板を動作させて、スペクトラムアナライザで周辺の電磁界強度スペクトルを観察し、EMC規制ガイドラインを満足するか否かの検証を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、GaN(窒化ガリウム)やSiC(シリコンカーバイド)などの材料を使用するトランジスタやダイオードなどの新型パワーデバイスの出現に伴い、DC−DCコンバータなどのパワーエレクトロニクス回路(以下「パワエレ回路」と略す)において、スイッチング周波数の高周波化が進められつつある。これは、新型パワーデバイスが、Si(シリコン)を使用する従来型のパワーデバイスよりもスイッチング特性が良好であり、高周波化によって回路に使用するインダクタやキャパシタなどの受動部品を小型化することが可能であり、同時に、DC給電による省エネ化、コストダウンも見込めるからである。しかしながら、このような高周波化によって、回路基板から放射される電磁波についてEMC対策のコスト増加が問題となっている。パワエレ回路は、デジタル回路とは異なるため、回路の一部だけを部分的に動作させながら電磁波の発生源を探索することは困難である。また、パワエレ回路に接続されるモータなどの負荷の変動によって、放射の様相は変化する。最終的には、電磁波は不可視であるため、スペクトラムアナライザで観測される電磁界強度スペクトルを手掛かりに、試作に手を加えながら回路基板上の発生源を推定しなければならない。このような実世界で不可視の物理現象を擬似的に可視化する先行技術としては、例えば、非特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−74969号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】上田「磁界&超音波リアルタイム・ビューワの製作」トランジスタ技術 2011年2月号、p154-161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先行技術においては、拡張現実(Augmented Reality、以下”AR”と略す)によって、実世界で不可視の空間の電磁界強度を擬似的に可視化するだけであり、回路基板上に複数のノイズ発生源が存在する場合は、それらを特定することは困難である。
【0008】
本開示は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は回路シミュレータによる回路の動作特性とスペクトラムアナライザで観測される電磁界強度を比較し、動作中の電気回路基板から発生する電磁波を発生場所毎に可視化することで、その特定を支援するノイズ源可視化システム、ノイズ源可視化装置、ノイズ源可視化のためのプログラム、およびノイズ源可視化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様であるノイズ源可視化システムは、
複数の電子部品で構成される電気回路基板の回路設計データを格納する回路設計データベースと、
前記回路設計データベースに格納されている回路設計データを用いて、前記電気回路を構成する複数の電子部品の電気信号の過渡特性を示す情報を出力する回路シミュレータと、
前記複数の電子部品の電気信号の中から、異なる周波数スペクトルを有する代表的な電気信号のスペクトルを決定する代表スペクトル決定部と、
前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルを測定するスペクトラムアナライザと、
前記周辺電磁場のスペクトルに含まれる、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分の大きさを含む情報を出力する代表スペクトル成分計算部と、
撮像部により撮像されたARタグを含む前記電気回路基板の画像を用いて、予め保持する前記ARタグの位置情報から前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報を出力するAR処理部と、
前記電気回路基板の基板設計データを格納するPCB設計データベースと、
前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報と前記基板設計データとを用いて、前記代表的な電気信号のスペクトルの前記電気回路基板上の位置を示す情報を出力する代表スペクトル位置抽出部と、
前記撮像部で撮像された画像に対して、前記代表スペクトル位置抽出部から出力された代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有するマーカを重畳して、前記マーカを重畳した画像を生成するオーバレイ画像生成部と、
前記オーバレイ画像生成部から出力された前記マーカを重畳した画像を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ノイズ源からスペクトラムアナライザに向けて放射される電磁波の強度が、ノイズ源から擬似的に可視化されるため、回路設計者は直感的に問題となるノイズ源を知覚することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1におけるノイズ源可視化システムの機能ブロック図。
図2】実施の形態1における回路設計データの一例を示す図。
図3】実施の形態1における電子回路の一例を示す回路図。
図4図2に示した回路設計データに含まれる文字情報を示す図。
図5】実施の形態1におけるネットリストの例を示す図。
図6】実施の形態1における基板設計データの一例を示す図。
図7図3に示した電子回路の一部を基板に実装した一例を示す図。
図8図7のパターンを表現する基板設計データの一例を示す図。
図9】実施の形態1におけるノイズ源可視化システムの使用例を示す図。
図10】実施の形態1における回路設計データベースおよびPCB設計データベースに格納された各データの一例とその対応関係を示す図。
図11】実施形態1のノイズ源可視化システムにおける処理フローを示す図。
図12】実施の形態1における回路シミュレータが回路設計データベースのノードについて電流の時間変化波形を解析した一例を示す図。
図13】実施の形態1における代表スペクトル決定部が図12の時間変化波形についてパワースペクトルを計算した一例を示す図。
図14】実施の形態1における代表スペクトル決定部が図13のパワースペクトルについてクラスタリングを行った一例を示す図。
図15】実施の形態1における代表スペクトル成分計算部が行う次元圧縮の過程の式を示す図。
図16】実施の形態1におけるスペクトルアナライザが測定したパワースペクトルの一例を示す図。
図17】実施の形態1における代表スペクトル成分計算部が行うクラスタ成分の含有率を計算する過程の式を示す図。
図18】実施の形態1における代表スペクトル位置抽出部がノードiの三次元位置を決定する一例を示す図。
図19】実施の形態1におけるオーバレイ画像生成部がノード(i=1)およびノード(i=4)に対してマーカを描画する一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の第1の態様のノイズ源可視化システムは、複数の電子部品で構成される電気回路基板の回路設計データを格納する回路設計データベースと、
前記回路設計データベースに格納されている回路設計データを用いて、前記電気回路を構成する複数の電子部品の電気信号の過渡特性を示す情報を出力する回路シミュレータと、
前記複数の電子部品の電気信号の中から、異なる周波数スペクトルを有する代表的な電気信号のスペクトルを決定する代表スペクトル決定部と、
前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルを測定するスペクトラムアナライザと、
前記周辺電磁場のスペクトルに含まれる、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分の大きさを含む情報を出力する代表スペクトル成分計算部と、
撮像部により撮像されたARタグを含む前記電気回路基板の画像を用いて、予め保持する前記ARタグの位置情報から前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報を出力するAR処理部と、
前記電気回路基板の基板設計データを格納するPCB設計データベースと、
前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報と前記基板設計データとを用いて、前記代表的な電気信号のスペクトルの前記電気回路基板上の位置を示す情報を出力する代表スペクトル位置抽出部と、
前記撮像部で撮像された画像に対して、前記代表スペクトル位置抽出部から出力された代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有するマーカを重畳して、前記マーカを重畳した画像を生成するオーバレイ画像生成部と、
前記オーバレイ画像生成部から出力された前記マーカを重畳した画像を表示する表示部と、
を備える。
【0013】
上記のように構成されたノイズ源可視化システムによって、パワエレ回路基板から放射されるノイズの発生源が自動推定され、パワエレ回路基板の現物の画像(実画像)に対して、そのノイズの発生源を自動推定した情報が重畳表示されることにより、設計者は表示部を通して、不可視である電磁波の発生源を擬似的に直接観察することが可能になり、発生源を速やかに知覚することが可能となる。
【0014】
本開示の第2の態様のノイズ源可視化システムにおいては、第1の態様における前記代表スペクトル決定部を、前記回路シミュレータが出力する電気信号のスペクトルを正規化してクラスタリングし、前記クラスタの中で平均パワーが最大のスペクトルを代表スペクトルとして出力するよう構成してもよい。
【0015】
本開示の第3の態様のノイズ源可視化システムにおいては、第1の態様における前記代表スペクトル成分計算部を、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換するよう構成してもよい。
【0016】
本開示の第4の態様のノイズ源可視化システムにおいては、第1の態様における前記代表スペクトル成分計算部を、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換する際に、特異値分解法を使用して次元圧縮を行うよう構成してもよい。
【0017】
本開示の第5の態様のノイズ源可視化システムは、第1の態様における前記代表スペクトル成分計算部を、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルについて、代表スペクトルを並べた行列を次元圧縮した方法と同じ方法で次元圧縮をするよう構成してもよい。
【0018】
本開示の第6の態様のノイズ源可視化システムにおいては、第1の態様における前記代表スペクトル成分計算部を、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルに含まれる代表スペクトルの成分を計算するために、次元圧縮したパワースペクトルと次元圧縮した代表スペクトル行列の連立一次方程式を計算するよう構成してもよい。
【0019】
本開示の第7の態様のノイズ源可視化システムにおいては、第1の態様における前記オーバレイ画像生成部を、前記代表スペクトル成分計算部が出力する代表スペクトルの成分の大きさに比例する長さで、前記代表スペクトルを持つ回路基板上のノードから前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画するよう構成してもよい。
【0020】
本開示の第8の態様のノイズ源可視化システムにおいては、第1の態様における前記AR処理部を、前記電気回路基板にシルク印刷されたARタグを前記撮像部で撮像して三次元位置関係を算出するよう構成してもよい。
【0021】
本開示の第9の態様のノイズ源可視化装置においては、
複数の電子部品で構成される電気回路基板の回路設計データを用いて、前記電気回路を構成する複数の電子部品の電気信号の過渡特性を示す情報を出力する回路シミュレータと、
前記複数の電子部品の電気信号の中から、異なる周波数スペクトルを有する代表的な電気信号のスペクトルを決定する代表スペクトル決定部と、
スペクトラムアナライザにより測定された前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルに含まれる、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分の大きさを含む情報を出力する代表スペクトル成分計算部と、
撮像部により撮像されたARタグを含む前記電気回路基板の画像を用いて、予め保持する前記ARタグの位置情報から前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報を出力するAR処理部と、
前記電気回路基板の三次元位置関係を示す情報と前記電気回路基板の基板設計データとを用いて、前記代表的な電気信号のスペクトルの前記電気回路基板上の位置を示す情報を出力する代表スペクトル位置抽出部と、
前記撮像部により撮像された画像に対して、前記代表スペクトル位置抽出部から出力された代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有するマーカを重畳して、前記マーカを重畳した画像を生成して装置外部に出力するオーバレイ画像生成部と、を備える。
【0022】
上記のように構成されたノイズ源可視化装置によれば、パワエレ回路基板から放射されるノイズの発生源を自動推定して、パワエレ回路基板の現物の画像(実画像)に対して、そのノイズの発生源を自動推定した情報が重畳することが可能となる。そのため、ノイズ源可視化装置を用いることにより、設計者は表示部を通して、不可視である電磁波の発生源を擬似的に直接観察することが可能になり、発生源を速やかに知覚することが可能となる。
【0023】
本開示の第10の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記代表スペクトル決定部が、前記回路シミュレータが出力する電気信号のスペクトルを正規化してクラスタリングし、前記クラスタの中で平均パワーが最大のスペクトルを代表スペクトルとして出力するよう構成してもよい。
【0024】
本開示の第11の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記代表スペクトル成分計算部が、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換するよう構成してもよい。
【0025】
本開示の第12の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記代表スペクトル成分計算部が、前記代表スペクトル決定部が出力する代表スペクトルを並べた行列について、離散周波数の数を次元圧縮して正方行列へ変換する際に、特異値分解法を使用して次元圧縮を行うよう構成してもよい。
【0026】
本開示の第13の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記代表スペクトル成分計算部が、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルについて、代表スペクトルを並べた行列を次元圧縮した方法と同じ方法で次元圧縮をするよう構成してもよい。
【0027】
本開示の第14の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記代表スペクトル成分計算部が、前記スペクトラムアナライザが観察したパワースペクトルに含まれる代表スペクトルの成分を計算するために、次元圧縮したパワースペクトルと次元圧縮した代表スペクトル行列の連立一次方程式を計算するよう構成してもよい。
【0028】
本開示の第15の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記オーバレイ画像生成部が、前記代表スペクトル成分計算部が出力する代表スペクトルの成分の大きさに比例する長さで、前記代表スペクトルを持つ回路基板上のノードから前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画するよう構成してもよい。
【0029】
本開示の第16の態様のノイズ源可視化装置は、第9の態様における前記AR処理部が、前記電気回路基板にシルク印刷されたARタグを前記撮像部で撮像して三次元位置関係を算出するよう構成してもよい。
【0030】
本開示の第17の態様のノイズ源可視化のためのプログラムは、コンピュータにより実行されるプログラムであって、
回路設計データベースに格納された電気回路基板の回路設計データを用いて回路シミュレーションを行い、前記電気回路基板を構成する各電子部品の電気信号の過渡特性を出力する回路シミュレーションステップと、
前記電気信号の中で異なる周波数スペクトルを持つ代表的な電気信号を選択する代表スペクトル決定ステップと、
スペクトラムアナライザにより、電気回路基板の動作中に測定した、前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルに含まれる前記代表的な電気信号のスペクトルの成分を出力する代表スペクトル成分計算ステップと、
撮像部により撮像された前記電気回路基板の画像を用いて、前記電気回路基板に付けられたARタグから前記電気回路基板の三次元位置関係を出力するAR処理ステップと、
PCB設計データベースに格納された前記電気回路基板の基板設計データを用いて、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置を出力する代表スペクトル位置抽出ステップと、
前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有し、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画し、前記撮像部の実画像に重畳して二次元画像として投射するオーバレイ画像生成ステップと、
前記実画像に前記マーカが重畳されて投射された二次元画像を表示する表示ステップと、を含む。
【0031】
上記のステップを含むノイズ源可視化のためのプログラムによれば、パワエレ回路基板から放射されるノイズの発生源を自動推定して、パワエレ回路基板の現物の画像(実画像)に対して、そのノイズの発生源を自動推定した情報が重畳することが可能となる。そのため、ノイズ源可視化のためのプログラムを用いることにより、設計者は表示部を通して、不可視である電磁波の発生源を擬似的に直接観察することが可能になり、発生源を速やかに知覚することが可能となる。
【0032】
本開示の第18の態様のノイズ源可視化方法は、
回路設計データベースに格納された電気回路基板の回路設計データ用いて回路シミュレーションを行い、前記電気回路基板を構成する各電子部品の電気信号の過渡特性を出力する回路シミュレーションステップと、
前記電気信号の中で異なる周波数スペクトルを持つ代表的な電気信号を選択する代表スペクトル決定ステップと、
スペクトラムアナライザにより、前記電気回路基板の動作中に測定した、前記電気回路基板の周辺電磁場のスペクトルに含まれる前記代表的な電気信号のスペクトルの成分を出力する代表スペクトル成分計算ステップと、
撮像部により撮像された前記電気回路基板の画像を用いて、前記電気回路基板に付けられたARタグから前記電気回路基板の三次元位置関係を出力するAR処理ステップと、
PCB設計データベースに格納された前記電気回路基板の基板設計データを用いて、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置を出力する代表スペクトル位置抽出ステップと、
前記代表的な電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさを有し、前記代表的な電気信号の前記電気回路基板上の位置において、前記スペクトラムアナライザの方向へ向かうようにマーカを描画し、前記撮像部の実画像に重畳して二次元画像として投射するオーバレイ画像生成ステップと、
前記実画像に前記マーカが重畳されて投射された二次元画像を表示する表示ステップと、を含む。
【0033】
上記のステップを含むノイズ源可視化方法によれば、パワエレ回路基板から放射されるノイズの発生源を自動推定して、パワエレ回路基板の現物の画像(実画像)に対して、そのノイズの発生源を自動推定した情報が重畳することが可能となる。そのため、ノイズ源可視化方法を用いることにより、設計者は表示部を通して、不可視である電磁波の発生源を擬似的に直接観察することが可能になり、発生源を速やかに知覚することが可能となる。
【0034】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示にかかる実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0035】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のノイズ源可視化システム113の機能ブロックの構成を示す図である。
【0037】
図1に示すように、実施の形態1のノイズ源可視化システム113は、回路設計データベース101と、スペクトラムアナライザ(スペアナ)104と、撮像部106と、PCB設計データベース108と、表示部111と、ノイズ源可視化装置1130とを備える。
【0038】
図1に示すノイズ源可視化装置1130は、回路シミュレータ102と、代表スペクトル決定部103と、代表スペクトル成分計算部105と、AR処理部107と、代表スペクトル位置抽出部109と、オーバレイ画像生成部110とを少なくとも備える。図1に示すノイズ源可視化装置1130は、回路設計データベース101と、スペクトラムアナライザ104と、撮像部106と、PCB設計データベース108と、表示部111とに対して、有線又は無線によりそれぞれ接続されており、情報を送信及び/又は受信できるよう構成されている。
【0039】
以下、実施の形態1のノイズ源可視化システム113における各構成要素について説明する。
【0040】
回路設計データベース101には、検査対象物である電気回路基板112の回路設計データなどが格納されている。電気回路基板112の電気回路は、複数の電子部品で構成されている。電気回路基板112における複数の電子部品はそれぞれ、電気的に接続されている。以下、電気回路基板112における複数の電子部品のそれぞれを「回路ノード」とも称する。なお、回路設計データベース101は、電気回路基板112上の回路ノードと、回路設計データに含まれる回路ノードとの対応関係をデータとして保持していてもよい。
【0041】
回路設計データの例としては、回路ノードの種類の情報、回路ノードを特定する情報、回路ノードの特性、回路ノードの端子間の接続情報、および回路ノードの端子間の接続情報を特定する情報である。
【0042】
<回路設計データの具体例>
図2に、回路設計データの一例を示す。図2において、符号Xの枠内に示す情報は、「部品R_R46のピン1はネット名OUTPUTに接続し、ピン2はネット名N1698050に接続する」を表現する。以下、具体例を挙げて、回路設計データを説明する。
【0043】
図3は、電子回路の一例を示す回路図である。図3に示す電子回路は、電源Vinと、第1の抵抗R1と、第2の抵抗R2と、コンデンサC1とを備える。電源Vinは、アースおよび第1のネット名t1と電気的に接続されている。第1の抵抗R1および第2の抵抗R2は第1のネット名t1、第2のネット名t2と電気的に接続されている。コンデンサC1は第2のネット名t2とアースとの間に電気的に接続されている。
【0044】
図4は、図2に示した回路設計データに含まれる文字情報を示す図である。本開示において、回路設計データは、文字情報と図情報とを含む。「文字情報」とは、電子部品及びその電子部品間の接続情報を、文字列で表されている回路情報である。「図情報」とは、電子部品及びその電子部品間の接続情報を、模式的に表した情報である。以下、回路設計データに含まれる文字情報を、「ネットリスト」とも表記する。
【0045】
図4に示すネットリストは、電子部品の種類の情報901と、電子部品を特定する情報902と、電子部品の端子間の接続情報903とを有する。ネットリストでは、行毎に、1つの電子部品に関する情報が記載されている。
【0046】
図4に示す(1)は、第1の抵抗R1が第1のネット名t1と第2のネット名t2との間に接続されていることを意味する。図4に示す(2)は、第2の抵抗R2が第1のネット名t1と第2のネット名t2との間に接続されていることを意味する。図4に示す(3)は、コンデンサCが第2のネット名t2とアース(ネット名0)との間に接続されていることを意味する。図4に示す値「0」は、アースを意味している。図4に示す(4)は、電源Vinが第1のネット名t1とアースとの間に接続されていることを意味する。
【0047】
図5は、ネットリスト1201、1211の例を示す図である。
図5に示した一例としてのネットリスト1201は、電子部品を特定する情報と、電子部品の端子及びその端子と接続されている回路ノードとを含む。以下、電子部品の端子を「ピン名」とも表記する。端子と接続されている回路ノードは「ネットID」に対応する。
【0048】
図5のネット名1202は、電子部品の第1の端子が接続されている回路ノードを意味する。電子部品の端子毎にネット名が存在する。よって、ネット名の数は、電子部品の端子の数に対応する。
【0049】
図5に示した一例としてのネットリスト1211は、複数の情報を含む。具体的には、ネットリスト1211は、前述の部品IDに加えて、電子部品の種類の情報である「部品名」と、電子部品の端子の情報である「ピン名」と、ネットIDと同様の意味を示す「ネット名」とを含む。
ネットリストは、例えば、ASCIIテキストファイルで作成される。
【0050】
また、部品IDの文字列に、電子部品の種類の情報を含めても良い。例えば、抵抗(Resistance)の部品IDは、その頭文字の「R」を文字列に含む。
また、部品IDの文字列に、電子部品の特性を含めても良い。例えば、部品IDは、抵抗のサイズ(1.6mm)、抵抗の形(角型)、抵抗値(100Ω)等を文字列に含む。
【0051】
回路シミュレータ102は、回路設計データベース101に格納されている回路設計データに基づいて、回路ノードの電圧および電流の過渡特性をシミュレーションして、その情報を出力する。例えば、回路シミュレータ102をSPICEシミュレータで構成してもよい。
【0052】
代表スペクトル決定部103は、回路シミュレータ102がシミュレーションする回路ノードの電気信号の中から、異なる周波数スペクトルを持つ代表的な電気信号のスペクトルを選択して決定する。
【0053】
スペクトラムアナライザ104は、電気回路基板112の動作中に、電気回路基板112の周辺電磁場を測定する。スペクトラムアナライザ104は、電気回路基板112の全体の周辺磁場を測定することが望ましい。スペクトラムアナライザ104は、測定した周辺電磁場と、測定時の本体(スペクトラムアナライザ104)との位置関係を対応付けて記録する。
【0054】
代表スペクトル成分計算部105は、スペクトラムアナライザ104が計測した電磁場のスペクトルに含まれる電気信号のスペクトルの成分の大きさを含む情報を出力する。
【0055】
撮像部106は、電気回路基板112の画像を撮像する。撮像部106は、例えば、カメラである。撮像部106は、撮像した画像と、撮像時の撮像部106の位置関係とを対応付けて記録する。
【0056】
AR処理部107は、電気回路基板112に付けられたARタグから、電気回路基板112と、スペクトラムアナライザ104(センサ)との三次元の位置関係を示す情報を出力する。
【0057】
PCB設計データベース108(PCB:PrintedCircuit Board)には、電気回路基板112に関する基板設計データが格納されている。電気回路基板112の基板設計データの例としては、回路ノードを特定する情報と、電気回路基板112の上での各回路ノードの位置関係とを対応付けた情報である。
【0058】
<基板設計データの具体例>
図6は、基板設計データの一例を示す図である。図6において、符号Yの枠内に示す情報は、「ネット名SIGN9は部品R5のピン1と部品R6のピン2を接続する」を表現する。また、図6において、符号Zの枠内に示す情報は、「ネット名SIGN77のパターン形状(構成点の座標と形状、線分の幅など)」を表現する。以下、具体例を挙げて、基板設計データを説明する。
【0059】
図7は、図3に示した電子回路の一部を基板に実装した一例を示す図である。第1の抵抗R1および第2の抵抗R2は、それぞれ第1のネット名t1のパターンと第2のネット名t2のパターンへ接続される。
【0060】
図8は、図7のパターンを表現する基板設計データの一例を示す図である。基板設計データは、例えば、ASCIIテキストファイルで作成される。
【0061】
基板設計データは平面毎に管理され、平面を区別するために配線レイヤIDを付与して管理する。例えば、図8に示すE01は、配線レイヤa1において、ネット名t1の配線を、図形指示子がlineであるため、座標(x1,y1)から(x2,y2)まで幅3の直線で引くことを意味する。図形指示子としては、lineの他に、例えば、円弧を指示するcircleなどが存在する。なお、配線レイヤa1とは、図7に示した基板の面における配線レイヤである。
【0062】
代表スペクトル位置抽出部109は、代表スペクトル決定部103が選択した代表的な電気信号の電気回路基板112上の位置を抽出して、その抽出された情報をする。
【0063】
オーバレイ画像生成部110は、代表スペクトル成分計算部105が計算した電気信号のスペクトルの成分に応じた大きさで、代表スペクトル位置抽出部109が決定した電気回路基板112上の位置からセンサであるスペクトラムアナライザ104の方向へ向かうマーカ(例えば、矢印)を描画し、撮像部106の実画像に重ねて二次元画像を生成する。
【0064】
表示部111は、オーバレイ画像生成部110が生成した二次元画像を表示する。
【0065】
<ノイズ源可視化システム113の利用シーン>
図9は、実施の形態1のノイズ源可視化システム113により電気回路基板112を観察する利用シーンを示す。なお、図9において、下側に示すノイズ源可視化システム113は、表示部113の反対側となる、検査対象物側の面113Aを示している。即ち、イズ源可視化システム113の検査対象物側の面113Aには、撮像部106であるカメラおよびスペクトルアナライザ104の測定部(センサ)が表出している。
【0066】
電気回路基板112の設計者は、ノイズ源可視化システム113を用いて、検査対象物である電気回路基板112を観察する。電気回路基板112には、ARタグ201がシルク印刷されている。
【0067】
図9においては、撮像部106の撮像範囲内に、電気回路基板112に設けられているARタグ201に含まれている場合を示している。
【0068】
撮像部106が撮像する電気回路基板112の実画像に、電気回路基板112から放射される電磁波を表すマーカ(矢印)202が重畳されて、そのマーカ202が重畳された画像が表示部111に表示される。
【0069】
<回路設計データベース101およびPCB設計データベース108の一例>
図10は、回路設計データベース101(図10(a))およびPCB設計データベース108(図10(b))に格納されるデータの一例を示す。
【0070】
回路設計データベース101には、電気回路基板112の回路設計データが記録されている。電気回路基板112の回路設計データの一例としては、SPICEシミュレータ用のネットリストである。
【0071】
回路設計データベース101に記録されている回路設計データにおける各ノードの情報は、PCB設計データベース108に記録されている電気回路基板112の銅箔パターン(配線パターン)の位置情報と一対一で対応する。
【0072】
例えば、図10の(a)に示した回路設計データにおけるノード301は、図10の(b)に示した銅箔パターンにおけるパターン302に対応する。また、図10の(a)に示した回路設計データにおける回路ノード303は、図10の(b)に示した銅箔パターンにおける回路パターン304に対応している。ネットリストの形式は、公知技術であるSPICEシミュレータで開示され、広く利用されている。以下は、SPICEシミュレータについて記述された公知文献である。Nagel, L. W, and Pederson, D. O., SPICE (Simulation Program withIntegrated Circuit Emphasis), Memorandum No. ERL-M382, UniversityofCalifornia, Berkeley, Apr. 1973
【0073】
<ノイズ源可視化システム113の処理>
図11は、ノイズ源可視化システム113の処理を示すフローチャートである。
【0074】
(ステップS1)
回路シミュレータ102は、回路設計データベース101から、検査対象物である電気回路基板112を構成する複数の回路ノードの情報(回路ノード情報)を取得する。回路シミュレータ102は、取得した複数の回路ノード情報に基づいて、各回路ノードの電流の過渡解析を行い、電流の時間変化を算出する。複数の回路ノード情報の例としては、回路ノードの種類の情報、回路ノードを特定する情報、回路ノードの特性、回路ノードの端子間の接続情報、および回路ノードの端子間の接続情報を特定する情報などである。
【0075】
回路シミュレータ102は、回路ノードi(i=1、2、・・・、n)の電流の時間変化波形をxi(t)として出力する。
【0076】
図12は、電流の時間変化波形をシミュレーションした結果を示す波形図である。図12において、縦軸は電流値、横軸は時間を示す。図12に示すシミュレーション結果は、波形401(i=1)、波形402(i=2)、波形403(i=3)、波形404(i=4)を含む。
【0077】
(ステップS2)
代表スペクトル決定部103は、電流の時間変化(xi(t))を離散フーリエ変換し、パワースペクトルXi(f)を計算する。ここで、周波数fは離散値である。
【0078】
図13は、パワースペクトルを計算した結果を示す波形図である。図13において、縦軸は強度であり、横軸は周波数を示す。図13に示すパワースペクトル波形501、波形502、波形503、波形504は、図12に示した波形401(i=1)、波形402(i=2)、波形403(i=3)、波形404(i=4)のそれぞれを計算した結果である。
【0079】
(ステップS3)
代表スペクトル決定部103は、パワースペクトルをクラスタリングする。例えば、k−means法などのクラスタリング手法を用いて、複数のXi(f)を、最大のパワー値Xi(f_max)で正規化したスペクトルを求める。正規化して求めた複数スペクトル間の類似度を求め、所定以上の類似度を有するスペクトルをクラスタリングし、複数(m>1)のクラスタにまとめる。
【0080】
代表スペクトル決定部103は、クラスタ毎に、代表スペクトルを決定する。例えば、各クラスタにおいて、最大のΣXi(f)を有するパワースペクトルを決定し、決定したパワースペクトルをクラスタの代表スペクトルCj(f)(j=1、2、・・・、n)として出力する。各代表スペクトルは、それぞれ他の代表スペクトルと異なる周波数スペクトルを有する。
【0081】
図14は、代表スペクトル決定部103が代表スペクトルCj(f)を決定した結果を示す図である。例えば、図13に示したパワースペクトル501および503を第1のクラスタ601に、図13に示したパワースペクトル502および504を第2のクラスタ602にクラスタリングする。代表スペクトル決定部103は、第1のクラスタ601からクラスタの代表スペクトルC1(f)としてX1(f)を決定し、第2のクラスタ602からクラスタの代表スペクトルC2(f)としてX4(f)を決定する。例えば、クラスタに含まれるパワースペクトルのうち、最も大きいパワーの最大値を有するパワースペクトルを代表スペクトルと決定する。
【0082】
(ステップS4)
代表スペクトル成分計算部105は、代表スペクトル決定部103が決定した代表スペクトルCj(f)毎に、fの次元圧縮を行う。
【0083】
ここで、fを構成する離散周波数の数をN/2とすると、図15における式701に示すように、Cj(f)はN/2個の要素で構成される。
【0084】
すべての代表スペクトルを並べた行列C(f)は、図15における式702に示すように、N/2×mの行列になる。
【0085】
次元圧縮は、公知の方法を用いることができる。例えば、公知の行列の特異値分解法(SVD法、Singular Value Decompsition)をC(f)に適用して、図15における式703に示すように、N/2個の要素で表現される周波数を、クラスタ数と同じ個数(図15の例ではm個)の要素まで圧縮する。このようにして圧縮した周波数をffと表現する。また、次元圧縮されたC(f)をC(ff)とする。図15における式704に示すように、C(ff)はm×mの正方行列である。
【0086】
なお、ステップS1−S4の処理とは並行して、以下のステップS11およびステップS12の処理を行っても良い。
【0087】
(ステップS11)
スペクトラムアナライザ104によって、電気回路基板112の電磁場のパワースペクトルを測定する。図16に、測定したパワースペクトル801(Po(f))を示す。
【0088】
(ステップS12)
代表スペクトル成分計算部105は、C(ff)を生成したときと同様の次元圧縮703によって、図17における式802に示すように、パワースペクトル801をPo(ff)へ変換する。
【0089】
(ステップS21)
代表スペクトル成分計算部105は、ステップS4で求めた各代表スペクトルを次元圧縮した情報と、ステップS12で求めたパワースペクトルを次元圧縮した情報とを用いて、測定したパワースペクトルに対する、各代表スペクトルの大きさ(例えば、比率)を求める。
【0090】
具体的には、代表スペクトル成分計算部105は、Po(ff)に対するCjの含有率をαiとして、図17における式803に示すm次元の連立一次方程式のαを解き、出力する。
【0091】
(ステップS22)
代表スペクトル位置抽出部109は、PCB設計データベース108を参照して、代表スペクトル決定部103が決定した複数の代表スペクトルのそれぞれについて、電気回路基板112上の位置を抽出する。抽出する位置としては、電気回路基板112における所定の基準位置に対する相対位置を抽出する。所定の基準位置とは、後述するARタグ201の位置を基準とした位置でも良いし、電気回路基板112の四隅のうちの1つの位置でも良い。
【0092】
例えば、代表スペクトル位置抽出部109がPCB設計データベース108の情報を参照して、代表スペクトル決定部103で決定された代表スペクトルCjの電気回路基板112における三次元位置をPos(i)として得る。
【0093】
例えば、図18に示すように、ノードiの位置901に存在する回路ノードiの三次元位置Pos(i)は、電気回路基板112に付けられたARタグ201の位置からの相対的な三次元座標902(x0_i、y0_i、z0_i)で表現される。
【0094】
(ステップS31)
AR処理部107は、撮像部106が撮像した画像データを取得する。AR処理部107は、予め所定の基準位置(例えば、ARタグ201の位置)を画像データから取得する。画像データ中の取得した所定の基準位置に基づいて、代表スペクトル位置抽出部109が取得した代表スペクトルの位置と対応する位置を決定する。
【0095】
撮像部106によって撮像されたARタグ201を含む電気回路基板112の画像データには、AR処理部107によって、撮像部106との相対的な三次元位置関係のデータが付与される。AR処理部107による三次元位置関係の計算は、例えば、以下の公知の技術によって行う。
Kato, H., Billinghurst, M. (1999) Marker Tracking andHMD Calibration for a video-based Augmented Reality Conferencing System. InProceedings of the 2nd International Workshop on Augmented Reality (IWAR 99).October, San Francisco, USA.
【0096】
(ステップS32)
オーバレイ画像生成部110は、撮像部106が撮像した画像中に、代表スペクトル成分計算部105が計算した情報と、AR処理部107が決定した位置情報とに基づいて、ノイズ源を表示する。
【0097】
オーバレイ画像生成部110は、AR処理部107が予め保持しているスペクトラムアナライザ104と撮像部106との間の三次元位置関係に基づいて、代表スペクトル位置抽出部109が出力する三次元位置Pos(i)を始点として、スペクトラムアナライザ104の三次元位置に向かって長さαiの矢印をマーカとして三次元描画のデータを形成する。マーカとして形成された三次元描画のデータは、撮像部106の実画像に二次元投射されて、表示部111に出力される。
【0098】
例えば、図16に示したパワースペクトル801に対して、代表スペクトル成分計算部105によって、α1=0.3、α2=0.6の値が得られた場合、図19に示すように、三次元位置Pos(1)およびPos(4)からノード1のマーカ1001およびノード2のマーカ1002のように、矢印が三次元描画される。例えば、スペクトラムアナライザ104の方向に向かうように、マーカ1001、1002の矢印が表示される。本開示において、「マーカ」とは、ノイズ源の位置(矢印の起点)および大きさ(矢印の長さ)を示す情報を意味する。
【0099】
出力された画像は表示部111によって表示され、図9および図19のように、表示部111において表示される。
【0100】
なお、図11に示すステップS1からステップS22を予め行い、代表スペクトルの情報と代表スペクトルの位置の情報とを、当該ノイズ源可視化装置における記録部(図示省略)に保持しておいても良い。
【0101】
上記のように構成された実施の形態1のノイズ源可視化システム113およびノイズ源可視化装置1130においては、当該ノイズ源可視化システム113(ノイズ源可視化装置1130)を観察者や設計者が移動させると、検査対象物におけるマーカの表示もその移動に応じて更新されて移動する。従って、検査対象物(例えば、電気回路基板112)から放射される電磁波の発生源およびその大きさを容易に、且つ感覚的に知覚することが可能になる。さらに、検査対象物としての電気回路基板の上部に配線が存在し、その配線への影響が問題になっている場合において、その状況における電気回路基板に対してマーカが重畳表示されるので、原因となっているノイズ源を視覚的に推測することが可能になる。
【0102】
なお、本実施の形態において、あらかじめ選択した周波数の強度をαiに積算してマーカを描画することで、特定の周波数の発生源のみを観察することも可能である。さらに、EMC規制値のような各周波数の上限値と、電気回路基板からの測定距離をオフセット設定しておくことによって、特定の周波数の強度からオフセット値を引いてαiに積算し、さらにスペクトラムアナライザと電気回路基板の距離が所定の測定距離の範囲外のときにマーカを描画することにより、EMC規制値に対する逸脱度を直感的に知覚することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
新型パワーデバイスによる省エネ機器の開発には、EMC対策が不可欠であり、これまでパワエレ回路の熟練設計者が、勘と経験に頼って行ってきたEMC対策を、一般の設計者でも可能にする効果があり、省エネ機器の開発現場において広く利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0104】
101 回路設計データベース
102 回路シミュレータ
103 代表スペクトル決定部
104 スペクトラムアナライザ
105 代表スペクトル成分計算部
106 撮像部
107 AR処理部
108 PCB設計データベース
109 代表スペクトル位置抽出部
110 オーバレイ画像生成部
111 表示部
112 電気回路基板
113 ノイズ源可視化システム
201 ARタグ
202 マーカ
1001 ノード1のマーカ
1002 ノード2のマーカ
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