特許第6152114号(P6152114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6152114レーザーダイレクトストラクチャード基板を形成する際に使用するための熱可塑性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152114
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】レーザーダイレクトストラクチャード基板を形成する際に使用するための熱可塑性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/12 20060101AFI20170612BHJP
   C08L 67/03 20060101ALI20170612BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20170612BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20170612BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20170612BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20170612BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20170612BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20170612BHJP
   C23C 18/20 20060101ALI20170612BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   C08L101/12
   C08L67/03
   C08L67/04
   C08K7/02
   C08K7/14
   C08K3/22
   C08K9/04
   C08K3/04
   C23C18/20 A
   H01Q1/38
【請求項の数】39
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-539981(P2014-539981)
(86)(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公表番号】特表2015-502418(P2015-502418A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】US2012061424
(87)【国際公開番号】WO2013066663
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月15日
(31)【優先権主張番号】61/553,418
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/673,352
(32)【優先日】2012年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100173635
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 樹里
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,ポール・シー
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ロン
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−544296(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0292051(US,A1)
【文献】 特表2010−535645(JP,A)
【文献】 特開2011−021178(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/106252(WO,A1)
【文献】 特開2009−155623(JP,A)
【文献】 特開昭63−301258(JP,A)
【文献】 特開2014−074160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 101/12
C08L 67/03
C08L 67/04
H01Q 1/38
C23C 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性組成物であって:
少なくとも一つのサーモトロピック液晶ポリマー 約20重量%〜約80重量%;
少なくとも一つのレーザー活性化可能な添加剤 約0.1重量%〜約30重量%、ここで前記レーザー活性化可能な添加剤はスピネル結晶を含む;
少なくとも一つの誘電材料 約1重量%〜約50重量%;及び
少なくとも一つの繊維充填材 約5重量%〜約50重量%、ここで前記繊維充填材の前記レーザー活性化可能な添加剤及び前記誘電材料のに対する重量比は約0.4〜約2.0であるを含み、
前記熱可塑性組成物は、2GHzの周波数で測定して、約4.4を超える比誘電率を示し、さらに前記熱可塑性組成物の融解温度は、約250℃〜約440℃であり、前記組成物は、荷重撓み温度の前記融解温度に対する比が約0.67〜約1.00であるような荷重撓み温度を示し、前記荷重撓み温度は、1.8メガパスカルの荷重で、ISO試験No.75-2に従って測定される、前記熱可塑性組成物。
【請求項2】
熱可塑性組成物であって、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸(naphthenic hydroxycarboxylic acid)及び/又はナフテン系ジカルボン酸(naphthenic dicarboxylic acid)から誘導した繰り返し単位の合計量が約10モル%以上であるサーモトロピック液晶ポリマー、レーザー活性化可能な添加剤、誘電材料及び繊維充填材を含、前記レーザー活性化可能な添加剤はスピネル結晶を含む、前記熱可塑性組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記サーモトロピック液晶ポリマー 約20重量%〜約80重量%;前記レーザー活性化可能な添加剤 約0.1重量%〜約30重量%;前記誘電材料 約1重量%〜約50重量%;及び前記繊維充填材 約5重量%〜約50重量%を含む、請求項2に記載の熱可塑性組成物。
【請求項4】
前記繊維充填材の前記レーザー活性化可能な添加剤及び前記誘電材料のに対する重量比が、約0.4〜約2.0である、請求項2または3に記載の熱可塑性組成物。
【請求項5】
前記組成物が、2GHzの周波数で測定して、約4.4を超える比誘電率を示す、請求項2、3または4に記載の熱可塑性組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性組成物の前記融解温度が、約250℃〜約440℃である、請求項2〜5のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項7】
前記組成物は、荷重撓み温度の前記融解温度に対する比が約0.67〜約1.00であるような荷重撓み温度を示し、前記荷重撓み温度は、1.8メガパスカルの荷重で、ISO試験No.75-2に従って測定する、請求項2〜6のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項8】
前記サーモトロピック液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸から誘導した繰り返し単位を含む芳香族ポリエステルである、請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項9】
前記芳香族ポリエステルが、テレフタル酸、イソフタル酸、ハイドロキノン、4,4-ビフェノールまたはそれらの組み合わせから誘導される繰り返し単位をさらに含む、請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項10】
前記スピネル結晶が、以下の一般式:
【化1】
{式中、Aは価数2の金属カチオンであり;及び
Bは価数3の金属カチオンである}を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項11】
前記スピネル結晶が、MgAl2O4、ZnAl2O4、FeAl2O4、CuFe2O4、CuCr2O4、MnFe2O4、NiFe2O4、TiFe2O4、FeCr2O4、MgCr2O4またはその組み合わせを含む、請求項10に記載の熱可塑性組成物。
【請求項12】
前記誘電材料が、強誘電材料を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項13】
前記強誘電材料が、BaTiO3、SrTiO3、CaTiO3、MgTiO3、SrBaTi2O6、NaBa2Nb5O15、KBa2Nb5O15またはその組み合わせを含む、請求項12に記載の熱可塑性組成物。
【請求項14】
前記誘電材料が、常誘電性材料を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の熱可塑組成物。
【請求項15】
前記常誘電性材料が、TiO2、Ta2O5、HfO2、Nb2O5、Al2O3またはその組み合わせ含む、請求項14の熱可塑性組成物。
【請求項16】
前記誘電材料が、表面処理を含むセラミック粒子を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項17】
前記表面処理が、有機リン化合物を含む、請求項16に記載の熱可塑性組成物。
【請求項18】
前記表面処理が、リン酸化ポリエンを含む、請求項17に記載の熱可塑性組成物。
【請求項19】
前記誘電材料及び前記レーザー活性化可能な添加剤の量が、約5重量%〜約50重量%の範囲内である、請求項1〜18のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項20】
前記誘電材料が炭素粒子を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項21】
前記繊維充填材がガラス繊維を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項22】
前記ガラス繊維が、約5〜約50のアスペクト比を有する、請求項21に記載の熱可塑性組成物。
【請求項23】
前記ガラス繊維が、約100〜約800マイクロメートルの重量平均長さを有する、請求項21に記載の熱可塑性組成物。
【請求項24】
前記組成物は、ASTM試験No.1238-70に従って、1000秒-1の剪断速度及び温度350℃で測定して、約5〜約100Pa・sの溶融粘度を有する、請求項1〜23のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項25】
前記組成物が、2GHzの周波数で測定して、約0.0001〜約0.0055の誘電正接を示す、請求項1〜24のいずれかに記載の熱可塑性組成物。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載の熱可塑性組成物を含む成形品。
【請求項27】
前記成形品が約5ミリメートル以下の厚さを有する、請求項26に記載の成形品。
【請求項28】
前記成形品が、23℃において、ISO試験No.179-1に従って測定して、約6kJ/m2を超えるシャルピーノッチ付き衝撃強さを示す、請求項26に記載の成形品。
【請求項29】
前記成形品が、UL94に従って測定して、0.8mmの厚さでV0評価を示す、請求項26に記載の成形品。
【請求項30】
前記成形品が、一つ以上の導体素子を前記成形品の表面上に含む、請求項26に記載の成形品。
【請求項31】
請求項26に記載の成形品を含む、電子部品。
【請求項32】
請求項26に記載の成形品を含む、移植可能な医療機器。
【請求項33】
アンテナ構造体であって:
少なくとも一つのサーモトロピック液晶ポリマー、スピネル結晶を含む少なくとも一つのレーザー活性化可能な添加剤、少なくとも一つの誘電材料、及び少なくとも一つの繊維充填材を含む熱可塑性組成物を含む基板であって、前記繊維充填材前記レーザー活性化可能な添加剤及び前記誘電材料のに対する重量比約0.4〜約2.0である前記基板;及び
前記基板上に形成された一つ以上のアンテナ
を含む、前記アンテナ構造体。
【請求項34】
前記繊維充填材がガラス繊維を含む、請求項33に記載のアンテナ構造体。
【請求項35】
前記サーモトロピック液晶ポリマーが、10モル%を超えるナフテン系ヒドロキシカルボン酸(naphthenic hydroxycarboxylic acid)及び/またはナフテン系ジカルボン酸(naphthenic dicarboxylic acid)から誘導された繰り返し単位の合計量を有する、請求項33に記載のアンテナ構造体。
【請求項36】
前記熱可塑性組成物が、2GHzの周波数で測定して、約4.4を超える比誘電率を示す、請求項33に記載のアンテナ構造体。
【請求項37】
前記組成物が、2GHzの周波数で測定して、約0.0001〜約0.0055の誘電正接を示す、請求項33に記載のアンテナ構造体。
【請求項38】
請求項33に記載のアンテナ構造体を含む、電子部品。
【請求項39】
前記電子部品が携帯電話である、請求項38に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2011年10月31日出願の米国特許仮出願シリアル番号第61/553,418号及び、2012年7月12日出願の米国特許仮出願シリアル番号第61/673,352号の権利を主張する。これらは全て、本明細書中、その全体が参照として含まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポータブルコンピューター及び携帯用電子デバイスなどの電子部品は、ますます普及してきており、無線通信機能が備えられていることが多い。たとえば、電子部品は、長距離無線通信回路を使用して、850MHz、900MHz、1800MHz、及び1900MHz(たとえば、モバイル通信またはGSM携帯電話帯用の主なグローバルシステム)で携帯電話帯を使用して通信することができる。電子部品も近距離無線通信リンクを使用して、近くの装置と通信を行うことができる。たとえば、電子部品は、2.4GHz及び5GHzでのWiFi(登録商標)(IEEE 802.11)バンド(ローカルエリアネットワークバンドと称されることもある)並びに2.4GHzでのBluetooth(登録商標)バンドを使用して通信することができる。そのような電子部品のアンテナ構造体を形成するために、成形回路部品(molded interconnect device:MID)は、その上に導電素子または経路が形成される、プラスチック基板を含むことが多い。従って、そのようなMIDデバイスは、集積印刷導体(integrated printed conductor)または回路レイアウトをもつ三次元成形品であり、より小さなデバイス(たとえば、携帯電話)で使用するために空間を節約する。レーザーダイレクトストラクチャリング(laser direct structuring:LDS)プロセスを使用してMIDを形成することがますます普及しており、このプロセスの間に、コンピューター制御したレーザービームがプラスチック基板上を移動して、導電経路が所定の位置に置かれることになっている位置でその表面を活性化する。レーザーダイレクトストラクチャリングプロセスを使用すると、150ミクロン以下の導電素子幅及び間隔を得ることが可能である。その結果、このプロセスで形成されるMIDは、最終用途で空間及び重量を節約する。レーザーダイレクトストラクチャリングの別の好都合な点は、その柔軟性である。回路の設計を変更する場合は、レーザーを制御するコンピューターをプログラムしなおすだけでよい。これによって、最終市販品を製造するために試作品を成形する時間とコストを大きく抑えられる。
【0003】
[0003]レーザーダイレクトストラクチャリングで製造されるMIDデバイスのプラスチック基板を形成するために、様々な材料が提案されてきた。たとえば、そのような一つの材料は、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、銅クロミウムオキサイドスピネル(copper chromium oxide spinel)、及びビスフェノールAジフェニルホスフェート(BPADP)難燃剤のブレンドである。しかしながら、そのような材料に関連する一つの問題は、難燃剤が組成物の機械的特性(たとえば荷重変形温度(deformation temperature under load))に悪影響を及ぼす傾向があり、これによりレーザーダイレクトストラクチャリングプロセスを使用するのが困難になるという点である。そのような材料は、高い耐熱性が必要な無鉛はんだプロセス(表面実装技術)にも適していない。別の問題は、この材料は、低い比誘電率となる傾向があるので、デバイスに二つ以上のアンテナを含めるのが望ましい用途では、これらを使用するのが難しくなるという点である。この目的を達成するために、様々な高誘電材料が提案されてきた。たとえば提案されてきた一材料としては、ポリフェニレンオキシド、ナイロン、またはポリアミドとチタン酸バリウム及び銅クロミウムオキサイドスピネル(copper chromium oxide spinel)とのブレンドがある。あいにく、これらの材料を使用すると、所望の比誘電率を達成するのに、通常、高充填量のチタン酸バリウムが必要であり、射出成形で薄肉部品を充填するのに必要な機械的特性及び圧力に悪影響がある。さらに、多くの難燃剤は、射出成形で使用される型及びスクリューを腐食させる傾向がある。
【0004】
[0004]従って、レーザーダイレクトストラクチャリングにより活性化され得、且つ比較的高い比誘電率をもつが、優れた機械的特性及び加工特性(たとえば低粘度)をなお保持する熱可塑性組成物に対する需要がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明の一態様に従って、少なくとも一つのサーモトロピック液晶ポリマー 約20重量%〜約80重量%;少なくとも一つのレーザー活性化可能な添加剤 約0.1重量%〜約30重量%、ここで前記レーザー活性化可能な添加剤はスピネル結晶を含む;少なくとも一つの誘電材料 約1重量%〜約50重量%;及び少なくとも一つの繊維充填材 約5重量%〜約50重量%を含む、熱可塑性組成物を開示する。前記繊維充填材の前記レーザー活性化可能な添加剤及び誘電材料の量(combined amount)に対する重量比は、約0.4〜約2.0である。熱可塑性組成物は、2GHzの周波数で測定して、約4.4を超える比誘電率を示す。さらに熱可塑性組成物の融解温度は約250℃〜約440℃であり、荷重撓み温度融解温度に対する比は約0.67〜約1.00であり、前記荷重撓み温度は、1.8メガパスカルの荷重で、ISO試験No.75-2に従って測定する。
【0006】
[0006]本発明の別の態様に従って、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸(naphthenic hydroxycarboxylic acid)及び/又はナフテン系ジカルボン酸(naphthenic dicarboxylic acid)から誘導した繰り返し単位の合計量(total amount)約10モル%以上であるサーモトロピック液晶ポリマー、レーザー活性化可能な添加剤、誘電材料及び繊維充填材を含む熱可塑性組成物を開示する。前記レーザー活性化可能な添加剤はスピネル結晶を含む。
【0007】
[0007]本発明のさらに別の態様に従って、基板及び、前記基板上に形成される一つ以上のアンテナを含むアンテナ構造体を開示する。前記基板は、少なくとも一つのサーモトロピック液晶ポリマー、スピネル結晶を含む少なくとも一つのレーザー活性化可能な添加剤、少なくとも一つの誘電材料、及び少なくとも一つの繊維充填材を含む熱可塑性組成物を含み、ここで前記繊維充填材前記レーザー活性化可能な添加剤及び前記誘電材料の総合に対する重量比は、約0.4〜約2.0である。所望により、前記アンテナ構造体は、携帯電話などの電子部品に組み込むことができる。
【0008】
[0008]本発明の他の特徴及び側面は、以下詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009]当業者に対する最良の態様を含む、本発明の完全且つ実施可能な開示は、付記図面を参照して、本明細書の残りの部分に特に明記される。
図1】[0010]図1は、本発明に従って形成したアンテナ構造体を使用することができる、電子部品の一態様の正面斜視図である。
図2】[0010]図2は、本発明に従って形成したアンテナ構造体を使用することができる、電子部品の一態様の背面斜視図である。
図3】[0011]図3は、アンテナ構造体の一態様の説明のための逆F(inverted-F)アンテナ共振素子の上面図である。
図4】[0012]図4は、アンテナ構造体の一態様の説明のためのモノポールアンテナ共振素子の上面図である。
図5】[0013]図5は、アンテナ構造体の一態様の説明のためのスロットアンテナ共振素子の上面図である。
図6】[0014]図6は、アンテナ構造体の一態様の説明のためのパッチアンテナ共振素子の上面図である。
図7】[0015]図7は、アンテナ構造体の一態様の説明のための分岐逆Fアンテナ共振素子の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016]当業者は、本発明の考察は代表的な態様の説明のためだけであり、本発明のより広い側面を限定するものではないことは理解すべきである。
【0011】
[0017]一般に、本発明は、サーモトロピック液晶ポリマー、誘電材料、レーザー活性化可能な添加剤、及び繊維充填材の特徴的な組み合わせを含む熱可塑性組成物に関する。成分の性質及び/またはその濃度は、高い比誘電率、良好な機械的特性(たとえば、荷重下での撓み(deflection under load))、及び良好な加工性(たとえば低粘度)、その上レーザー活性化可能性を維持するために、本発明で選択的に制御される。従って、熱可塑性組成物は、レーザーダイレクトストラクチャリングプロセス(LDS)を使用して、続いて一つ以上の導電素子を適用しえる基板に容易に成形することができる。熱可塑性組成物の有益な特性により、得られる基板は約5ミリメートル以下の厚さ、態様によっては約4ミリメートル以下、態様によっては約0.5〜約3ミリメートル以下の厚さなど、非常に小さなサイズになることができる。所望により、導電素子はアンテナ(たとえば、アンテナ共振素子(antenna resonating element))でありえるので、得られる部品は、携帯電話などの広範な様々な電子部品で使用できるアンテナ構造体である。
【0012】
[0018]本発明の様々な態様を以下詳細に記載する。
【0013】
[0019]上記のように、本発明の熱可塑性組成物は、少なくとも一つのサーモトロピック液晶ポリマーを使用する。そのような液晶ポリマーの量は、通常、熱可塑性組成物の約20重量%〜約80重量%、態様によっては約30重量%〜約75重量%、及び態様によっては約40重量%〜約70重量%である。好適なサーモトロピック液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル、芳香族ポリ(エステルアミド)、芳香族ポリ(エステルカーボネート)、芳香族ポリアミドなどを含むことができ、同様に、一つ以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族アミン、芳香族ジアミンなど並びにこれらの組み合わせから形成される繰り返し単位を含むことができる。
【0014】
[0020]たとえば芳香族ポリエステルは、(1)二つ以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸;(2)少なくとも一つの芳香族ヒドロキシカルボン酸、少なくとも一つの芳香族ジカルボン酸、及び少なくとも一つの芳香族ジオール;及び/または(3)少なくとも一つの芳香族ジカルボン酸及び少なくとも一つの芳香族ジオールを重合することにより得ることができる。好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸の例としては、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4'-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4'-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3'-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4'-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、並びにそのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換体が挙げられる。好適な芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸;イソフタル酸;2,6-ナフタレンジカルボン酸;ジフェニルエーテル-4,4'-ジカルボン酸;1,6-ナフタレンジカルボン酸;2,7-ナフタレンジカルボン酸;4,4'-ジカルボキシビフェニル;ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル;ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン;ビス(4-カルボキシフェニル)エタン;ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル;ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、並びにそのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換体が挙げられる。好適な芳香族ジオールの例としては、ハイドロキノン;レゾルシノール;2,6-ジヒドロキシナフタレン;2,7-ジヒドロキシナフタレン;1,6-ジヒドロキシナフタレン;4,4'-ジヒドロキシビフェニル;3,3'-ジヒドロキシビフェニル;3,4'-ジヒドロキシビフェニル;4,4'-ジヒドロキシビフェニルエーテル;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにそのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換体が挙げられる。
【0015】
[0021]特別な一態様において、芳香族ポリエステルは、4-ヒドロキシ安息香酸(HBA)及び2,6-ヒドロキシナフトエ酸(HNA)及び/または2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDA)から誘導されるモノマー繰り返し単位、並びに他の任意選択の繰り返し単位、たとえばテレフタル酸(TA)及び/またはイソフタル酸(IA);ハイドロキノン(HQ)、4,4-ビフェノール(BP)、及び/またはアセトアミノフェン(APAP);など並びにその組み合わせを含む。HBAから誘導したモノマー単位は、モルベースでポリマーの約40%〜約75%を構成することができ、HNA及び/またはNDAから誘導したモノマー単位は、モルベースでポリマーの約1%〜約25%を構成することができる。TA及び/またはIAから誘導したモノマー単位は、モルベースでポリマーの約2%〜約25%を構成することができる。同様に、HQ、BP、及び/またはAPAPから誘導したモノマー単位は、モルベースでポリマーの約10%〜約35%を構成することができる。好適な芳香族ポリエステルは、商標名VECTRA(登録商標)Aのもと、Ticona LLCより市販されている。これら及び他の芳香族ポリエステルの合成及び構造は、米国特許第4,161,470号;同第4,473,682号;同第4,522,974号;同第4,375,530号;同第4,318,841号;同第4,256,624号;同第4,219,461号;同第4,083,829号;同第4,184,996号;同第4,279,803号;同第4,337,190号;同第4,355,134号;同第4,429,105号;同第4,393,191号;同第4,421,908号;同第4,434,262号;及び同第5,541,240号に詳細が記載されているだろう。
【0016】
[0022]同様に液晶ポリエステルアミドは、(1)少なくとも一つの芳香族ヒドロキシカルボン酸と少なくとも一つの芳香族アミノカルボン酸;(2)少なくとも一つの芳香族ヒドロキシカルボン酸、少なくとも一つの芳香族ジカルボン酸、及びフェノール性ヒドロキシ基を場合により有する少なくとも一つの芳香族アミン及び/またはジアミン;及び(3)少なくとも一つの芳香族ジカルボン酸びフェノール性ヒドロキシ基を場合により有する少なくとも一つの芳香族アミン及び/またはジアミンを重合することにより得ることができる。好適な芳香族アミン及びジアミンとしては、たとえば3-アミノフェノール;4-アミノフェノール;1,4-フェニレンジアミン;1,3-フェニレンジアミンなど、並びにそのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換体が挙げられる。特別な一態様において、芳香族ポリエステルアミドは、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、テレフタル酸及び4-アミノフェノールから誘導されるモノマー単位を含む。2,6-ヒドロキシナフトエ酸から誘導されるモノマー単位は、モルベースでポリマーの約35%〜約85%(たとえば、60%)を構成することができ、テレフタル酸から誘導されるモノマー単位は、モルベースでポリマーの約5%〜約50%(たとえば、20%)を構成することができ、4-アミノフェノールから誘導されるモノマー単位は、モルベースでポリマーの約5%〜約50%(たとえば、20%)を構成することができる。そのような芳香族ポリエステルは、商標名VECTRA(登録商標)Bのもと、Ticona LLCより市販されている。別の態様では、芳香族ポリエステルアミドは、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、及び4-ヒドロキシ安息香酸、及び4-アミノフェノール、並びに他の任意選択のモノマー(たとえば、4,4'-ジヒドロキシビフェニル及び/またはテレフタル酸)から誘導されるモノマー単位を含む。これら及び他の芳香族ポリ(エステルアミド)の合成及び構造は、米国特許第4,339,375号;同第4,355,132号;同第4,351,917号;同第4,330,457号;同第4,351,918号;及び同第5,204,443号により詳細が記載されているだろう。
【0017】
[0023]本発明の特定の態様では、液晶ポリマーは、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸及び/またはナフテン系ジカルボン酸、たとえば、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(NDA)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)、またはその組み合わせから誘導される繰り返し単位を比較的高含有量で含む限りでは、「富ナフテン系(naphthenic-rich)」ポリマーであることができる。本発明者らは、そのような富ナフテン系は、誘電正接を下げることなどによって、組成物の電気的特性を改善できることを知見した。たとえば、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸及び/またはジカルボン酸(たとえば、NDA、HNA、またはHNAとNDAの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の合計量は、ポリマーの約10モル%以上、態様によっては約15モル%以上、及び態様によっては約18モル%〜約50モル%でありえる。特定の一態様では、たとえばナフテン酸(たとえばNDA及び/またはHNA);4-ヒドロキシ安息香酸(HBA)、テレフタル酸(TA)及び/またはイソフタル酸(IA);並びに様々な他の任意選択の成分から誘導されるモノマー繰り返し単位を含む「富ナフテン系」芳香族ポリエステルを製造することができる。4-ヒドロキシ安息香酸(HBA)から誘導されるモノマー単位は、ポリマーの約20モル%〜約70モル%、態様によっては約30モル%〜約65モル%、態様によっては約35モル%〜約60モル%を構成することができ、テレフタル酸(TA)及び/またはイソフタル酸(IA)から誘導されるモノマー単位は、それぞれ、ポリマーの約1モル%〜約30モル%、態様によっては約2モル%〜約25モル%、態様によっては約3モル%〜約20モル%を構成することができる。他の考えられるモノマー繰り返し単位としては、芳香族ジオール、たとえば4,4’-ビフェノール(BP)、ハイドロキノン(HQ)など、及び芳香族アミド、たとえばアセトアミノフェン(APAP)が挙げられる。特定の態様では、たとえばBP、HQ、及び/またはAPAPは、使用する場合には、それぞれ約1モル%〜約45モル%、態様によっては約5モル%〜約40モル%、態様によっては約15モル%〜約35モル%を構成することができる。
【0018】
[0024]液晶ポリマーは、重縮合反応を開始するために、(単数または複数種類の)好適なモノマー(たとえば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミン、芳香族ジアミンなど)を反応容器に導入することによって製造することができる。そのような反応で使用される特定の条件及び段階は公知であり、米国特許第4,161,470号(Calundann);米国特許第5,616,680号(Linstid,IIIら);米国特許第6,114,492号(Linstid,IIIら);米国特許第6,514,611号(Shepherdら);及びPCT国際特許出願国際公開第WO2004/058851号(Waggoner)に詳細が記載されており、これらは、関連する目的に関して、本明細書中、その全体が参照として含まれる。反応に使用される容器は、特に限定されないが、高粘度流体の反応で通常使用される容器を使用するのが望ましい。そのような反応容器の例としては、様々な形状の攪拌ブレード、たとえばアンカー型、多段型、螺旋-リボン型、スクリューシャフト型など、またはそれらの修正形をもつ攪拌装置をもつ攪拌タンク型装置を挙げることができる。そのような反応容器のさらなる例としては、樹脂混練で通常、使用される混合装置、たとえば混練機、ロールミル、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
【0019】
[0025]所望により、反応は、上記参照及び当業界で公知のモノマーのアセチル化により行うこともできる。これは、モノマーにアセチル化剤(たとえば無水酢酸)を添加することにより達成できる。一般にアセチル化は、約90℃の温度で開始される。アセチル化の初期段階の間、酢酸副生成物と無水物とが蒸留し始める点より下の気相(vapor phase)温度を維持するために還流を使用することができる。アセチル化の間の温度は典型的には、90℃〜150℃、態様によっては約110℃〜約150℃を変動する。還流を使用する場合には、気相温度は典型的には酢酸の沸点を超えるが、残存する無水酢酸を保持するのに十分に低いままである。たとえば、無水酢酸は約140℃の温度で蒸発する。従って、約110℃〜約130℃の温度で反応器に気相還流を提供するのが特に望ましい。反応を実質的に完了させるためには、過剰量の無水酢酸を使用することができる。過剰量の無水酢酸は、還流の存在または非存在などの、使用する特定のアセチル化条件に依存して変動しえる。存在する反応体ヒドロキシル基の総モルをベースとして、約1〜約10モルパーセント過剰量の無水酢酸を使用するのはよくあることである。
【0020】
[0026]アセチル化は別の反応容器で実施することができるか、または重合反応容器でin-situで実施することができる。別の反応容器を使用する場合には、モノマーの一つ以上をアセチル化反応器に導入し、続いて重合反応器に移すことができる。同様に、モノマーの一つ以上を、前アセチル化(pre-acetylation)を実施することなく反応容器に直接導入することもできる。
【0021】
[0027]モノマー及び任意選択のアセチル化剤に加えて、他の成分も反応混合物に配合して、重合を促進し易くすることができる。触媒、たとえば金属塩触媒(たとえば、酢酸マグネシウム、酢酸スズ(I)、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)及び有機化合物触媒(たとえば、N-メチルイミダゾール)を場合により使用することができる。そのような触媒は、典型的には、繰り返し単位前駆体の総重量をベースとして約50〜約500ppm(parts per million)の量で使用する。別の反応器を使用する場合、典型的には、重合反応器ではなくアセチル化反応器に触媒を適用するのが望ましいが、これは決して必要要件ではない。
【0022】
[0028]一般に、重合反応容器内で反応混合物を高温に加熱して、反応体の溶融重縮合を開始する。たとえば重縮合は、約210℃〜約400℃、態様によっては約250℃〜約350℃の温度範囲内で実施することができる。たとえば、芳香族ポリエステルを形成するための好適な一方法としては、前駆体モノマー(たとえば、4-ヒドロキシ安息香酸と2,6-ヒドロキシナフトエ酸)及び無水酢酸を反応器に充填し、この混合物を約90℃〜約150℃の温度に加熱してモノマーのヒドロキシル基をアセチル化(たとえば、アセトキシを形成)し、次いで温度を約210℃〜約400℃に上昇させて、溶融重縮合を実施する。最終重合温度に到達するにつれて所望の分子量が容易に達成できるように、反応の揮発性副生成物(たとえば酢酸)を除去することもできる。反応混合物は一般に、良好な加熱及び物質移動、続いて良好な材料均質性を確保するために、重合の間に攪拌にかける。攪拌機の回転速度は、反応の経過の間に変動しえるが、典型的には、約10〜約100回/分(rpm)を変動し、態様によっては約20〜約80rpmを変動する。溶融物中の分子量を高めるために、重合反応を真空下で実施することもでき、真空を適用することにより、重縮合の最終段階の間に形成した揮発成分を除去し易くなる。真空は、約5〜約30ポンド/平方インチ(psi)、態様によっては約10〜約20psiの範囲内で、吸気圧力を適用することにより作り出すことができる。
【0023】
[0029]溶融重合後、溶融ポリマーは、典型的には所望の形状のダイを備えた押出しオリフィスを通して反応器から排出し、冷却し、集めることができる。通常、溶融物は穿孔ダイを通して排出されてストランドを形成し、これを水浴中で取り出し、ペレット化し、乾燥する。樹脂はストランド、小粒、または粉末の形状であってもよい。なくてもよいが、続く固相重合は、さらに分子量を増加させるために実施することができると理解すべきである。溶融重合で得られたポリマーで固相重合を実施するときには、典型的には、溶融重合により得られたポリマーを固化し、次いで粉砕して、粉末またはフレーク様ポリマーを形成し、続いて不活性雰囲気(例えば窒素)下、200℃〜350℃の温度範囲で熱処理など、固相重合を実施する方法を選択するのが望ましい。
【0024】
[0030]使用される特定の方法にかかわらず、得られる液晶ポリマーは、典型的には約2,000グラム/モル以上、態様によっては約4,000グラム/モル以上、態様によっては約5,000〜約30,000グラム/モルの高い数平均分子量(Mn)を有することができる。もちろん、本発明の方法を使用して、約2,000グラム/モル未満などの、より低い分子量をもつポリマーを形成することも可能である。一般に分子量に比例する、ポリマーの固有粘度も比較的高くてもよい。たとえば固有粘度は、約4デシリットル/グラム(dL/g)以上、態様によっては約5dL/g以上、態様によっては約6〜約20dL/g、態様によっては約7〜約15dL/gでありえる。固有粘度は、以下、より詳細に記載されるように、ペンタフルオロフェノールとヘキサフルオロイソプロパノールの50/50(v/v)混合物を使用してISO-1628-5に従って測定することができる。
【0025】
[0031]本発明の熱可塑性組成物は、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)プロセスにより活性化される添加剤を含むという意味で「レーザー活性化可能(laser activatable)」である。そのようなプロセスでは、添加剤は、金属を放出させるレーザーに暴露される。従ってレーザーは、部品上に導電素子のパターンを描画し、包埋金属粒子を含む粗面を残す。これらの粒子は、続くメッキ工程(たとえば銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、亜鉛メッキ、スズメッキなど)の間に結晶成長するための核として働く。
【0026】
[0032]レーザー活性化可能な添加剤は典型的には、熱可塑性組成物の約0.1重量%〜約30重量%、態様によっては約0.5重量%〜約20重量%、態様によっては約1重量%〜約10重量%を構成する。レーザー活性化可能な添加剤は通常、スピネル結晶を含み、これは定義可能な結晶形成の中で二つ以上の金属酸化物クラスター構成(cluster configuration)を含むことができる。たとえば、全結晶形成は、以下の一般式:
【0027】
【化1】
【0028】
をもつことができ、式中、Aは、価数2をもつ金属カチオン、たとえばカドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、スズ、チタンなど、並びにその組み合わせであり、
Bは、価数3をもつ金属カチオン、たとえばクロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、スズなど、並びにその組み合わせである。
【0029】
[0033]通常、上記式中のAは、第一の金属酸化物クラスターの第一のカチオン成分(primary cation component)を提供し、Bは第二の金属酸化物クラスターの第一のカチオン成分を提供する。これらの酸化物クラスターは同一または異なる構造をとることができる。一態様において、たとえば第一の金属酸化物クラスターは四面体構造を有し、第二の金属酸化物クラスターは八面体クラスターを有する。それでも、クラスターは一緒になって、電磁放射線に対して増大した感受性を持つ単一の識別可能な結晶型構造を提供することができる。好適なスピネル型結晶の例としては、MgAl2O4、ZnAl2O4、FeAl2O4、CuFe2O4、CuCr2O4、MnFe2O4、NiFe2O4、TiFe2O4、FeCr2O4、MgCr2O4などが挙げられる。銅クロミウムオキサイド(copper chromium oxide:CuCr2O4)は、本発明で使用するのに特に好適であり、Shepherd Color Co.より、商品名「Shepherd Black 1GM」のもと市販されている。
【0030】
[0034]所望の誘電特性を得やすくするために、本発明の熱可塑性組成物は誘電材料も含む。誘電材料は、電荷(または分極)対電圧の線形応答を示すセラミック粒子を含むことができる。これらの材料は、印加された電場が除去された後、結晶構造内で電荷の総可逆的分極(total reversible polarization)を示すかもしれない。この目的のための好適なセラミック粒子としては、強誘電性及び/または常誘電性材料を挙げることができる。好適な強誘電性材料の例としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタン酸マグネシウム(MgTiO3)、チタン酸ストロンチウムバリウム(SrBaTi2O6)、ニオブ酸ナトリウムバリウム(NaBa2Nb5O15)、ニオブ酸カリウムバリウム(KBa2Nb5O15)など、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。好適な常誘電性材料の例としては、同様に、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、アルミナ(Al2O3)など、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。特に好適な誘電材料は、チタンベースのもの、たとえばTiO2、BaTiO3、SrTiO3、CaTiO3、MgTiO3及びBaSrTi2O6である。セラミック粒子の形状は特に限定されず、微粉末、繊維、プレートなどが挙げられえる。望ましくは、セラミック粒子は、約0.01〜約100マイクロメートルの平均サイズをもつ微粉末であり、態様によっては約0.10〜約20マイクロメートルの平均サイズをもつ微粉末である。
【0031】
[0035]特定の態様では、セラミック粒子は、液晶ポリマーとのその相溶性を増進し易くする表面処理(surface treatment)を含むことができる。表面処理はたとえば、有機リン化合物、たとえば有機アシッドホスフェート(organoacid phosphate)、有機ピロホスフェート、有機ポリホスフェート、若しくは有機メタホスフェート、またはそれらの組み合わせを含むことができる。そのような処は、いずれもEl-Shoubaryらの、米国特許第6,825,251号及び同第7,259,195号に詳細が記載されている。
【0032】
[0036]一態様において、たとえば前記は有機アシッドホスフェート(organoacid phosphate)を含むことができ、これは有機アルコールとP2O5及び/またはリン酸との反応から形成することができる。有機アルコールは、約2個〜約22個の炭素原子の炭化水素基をもつことができる。これらの炭化水素は、線状または分岐、置換または非置換、及び飽和または不飽和でありえる。有機アルコールの例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、三級ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、イソオクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノールなどが挙げられる。さらに別の態様では、前記は、有機ピロホスフェートまたは有機ポリホスフェートのいずれかである有機リン酸化合物を含むことができる。これらの化合物は、式:R'n-P(n-2)O4+[3(n-3)]により表すことができ、式中、nは4〜14であり、R'は2〜22個の炭素原子をもつ有機基または水素である。有機ピロリン酸化合物及び有機ポリリン酸化合物の例としては、カプリルピロホスフェート、2-エチルヘキシルピロホスフェート、ジヘキシルピロホスフェート、ジヘキシルアンモニウムピロホスフェート、ジオクチルピロホスフェート、ジイソオクチルピロホスフェート、ジオクチルトリエタノールアミンピロホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ピロホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ナトリウムピロホスフェート、テトラエチルピロホスフェート、テトラブチルピロホスフェート、テトラヘキシルピロホスフェート、テトラオクチルピロホスフェート、ペンタヘキシルトリポリホスフェート、ペンタオクチルトリポリホスフェート、テトラヘキシルナトリウムトリポリホスフェート、テトラヘキシルアンモニウムトリポリホスフェート、ペンタヘキシルナトリウムテトラポリホスフェート、トリオクチルナトリウムテトラポリホスフェート、トリオクチルカリウムテトラポリホスフェート、ヘキサブチルテトラポリホスフェート、ヘキサヘキシルテトラポリホスフェート及びヘキサオクチルテトラポリホスフェートが挙げられる。
【0033】
[0037]有機リン化合物は、Weberの米国特許第4,209,430号に記載されているような、リン酸化ポリエンであってもよい。本明細書中で使用するように、「リン酸化」なる用語は、通常、脂肪族多価不飽和化合物(ポリエン)のオレフィン性不飽和(またはその等価物)へのホスホリル基の付加をさす。「ポリエン」は、場合により単不飽和(一価不飽和)オレフィンとの混合物中、及び/または飽和オレフィンとの混合物中の、(多価)不飽和オレフィンを含む。好適なオレフィンは、線状若しくは分岐非環式構造または、環式構造であってもよい。さらに、ポリエン上には、カルボキシル、カルボン酸エステル、ハロゲン化物、エーテル、サルフェート、芳香族、アミノなど及びこれらの混合物の置換が可能である。特に好適なものは、少なくともC10の鎖長、態様によってはC18以上(たとえばC18〜C28)の鎖長をもつ脂肪酸、たとえばリノール酸、リノレン酸、オレイン酸、ステアリン酸など、並びにそのエステル及び混合物である。
【0034】
[0038]上記セラミック粒子に加えて、またはこの代わりに、炭素粒子(たとえば、グラファイト、カーボンブラックなど)を誘電材料として使用することもできる。その導電性のため、組成物の誘電正接における影響を最小化するために、特定の範囲内でそのような炭素粒子の存在を制御するのが、通常望ましい。たとえば、炭素粒子は通常、組成物の約8重量%以下、態様によっては約0.1重量%〜約5重量%、態様によっては約0.5重量%〜約3重量%を構成する。これとは反対に、熱可塑性組成物中のセラミック粒子の量は通常、約1重量%〜約50重量%、態様によっては約5重量%〜約40重量%、態様によっては約10重量%〜約30重量%を変動する。誘電材料の合計量は、同様に、組成物の約1重量%〜約50重量%、態様によっては約5重量%〜約40重量%、態様によっては約10重量%〜約30重量%を変動する。
【0035】
[0039]従って、得られた熱可塑性組成物は、比較的高い比誘電率をもつ。たとえば組成物の平均比誘電率は、2GHzの周波数で、スプリットポスト共振器法(split post resonator method)により測定して、約4.4を超える、態様によっては約4.4〜約20.0、態様によっては約4.8〜約15、態様によっては約5.0〜約9.0の平均比誘電率でありうる。そのような高い比誘電率により、薄い基板を形成する能力をより容易にすることができ、また最小レベルの電気的干渉でのみ同時に操作する多導体素子(multiple conductive elements)(たとえばアンテナ)を使用することができる。誘電正接、エネルギーの損失率の尺度は、2GHzの周波数でスプリットポスト共振器法により測定して、比較的低く、たとえば約0.0150以下、態様によっては約0.0060以下、態様によっては約0.0001〜約0.0055、態様によっては約0.0002〜約0.0050である。
【0036】
[0040]従来、レーザー活性化可能であり、且つ高い比誘電率をもつ熱可塑性組成物は、特定の用途では十分に良好な熱的、機械的特性も、これらを使用可能にするための加工容易性(即ち、低粘度)ももっていないと考えられてきた。しかしながら従来の考えに反して、本発明の液晶熱可塑性組成物は、優れた熱的、機械的特性及び加工性の両方を有していることが知見された。組成物の融解温度はたとえば、250℃〜約440℃、態様によっては約270℃〜約400℃、態様によっては約300℃〜約360℃であることができる。融解温度は、ISO試験11357により測定されるように、示差走査熱量計(DSC)を使用して当業界で公知のように測定することができる。
【0037】
[0041]そのような融解温度においてさえ、本発明者らは、荷重撓み温度(deflection temperature under load:DTUL)短期耐熱性の尺度)の融解温度に対する比が、比較的高いままであることを知見した。たとえば、この比は約0.67〜約1.00、態様によっては約0.68〜約0.95、態様によっては約0.70〜約0.85を変動しえる。具体的なDTUL値は、たとえば約200℃〜約350℃、態様によっては約210℃〜約320℃、態様によっては約230℃〜約290℃を変動しえる。そのような高いDTUL値は、特に構造体と電気部品の他の部品とを結合するための、高速且つ信頼性の高い表面実装プロセスを使用可能にできる。
【0038】
[0042]液晶熱可塑性組成物は、高い衝撃強さももつことができ、高い衝撃強さは薄い基板を形成する際に有用である。本組成物はたとえば、ISO試験No.179-1(技術的にASTM D256、方法Bと同等)に従って23℃で測定して、約6kJ/m2を超えるシャルピーノッチ付き衝撃強さ、態様によっては約8〜約50kJ/m2、態様によっては約10〜約45kJ/m2、及び態様によっては約15〜約40kJ/m2のシャルピーノッチ付き衝撃強さを持つことができる。組成物の引張及び曲げ機械的特性も良好である。たとえば、本熱可塑性組成物は、約20〜約500MPa、態様によっては約50〜約400MPa、態様によっては約100〜約350MPaの引張強さ;約0.5%以上、態様によっては約0.6%〜約10%、態様によっては約0.8%〜約3.5%の引張破断歪み(tensile break strain);及び/または約5,000MPa〜約20,000MPa、態様によっては約8,000MPa〜約20,000MPa、態様によっては約10,000MPa〜約20,000MPaの引張弾性率を示すことができる。引張特性は、23℃でISO試験No.527(技術的にASTM D638と同等)に従って測定することができる。熱可塑性組成物は、約20〜約500MPa、態様によっては約50〜約400MPa、態様によっては約100〜約350MPaの曲げ強さ及び/または約5,000MPa〜約20,000MPa、態様によっては約8,000MPa〜約20,000MPa、態様によっては約10,000MPa〜約15,000MPaの曲げ弾性率も示すことができる。曲げ特性は、23℃においてISO試験No.178(技術的にASTM D790と同等)に従って測定することができる。
【0039】
[0043]組成物は、慣用の難燃剤の非存在下でさえも、改善された難燃性を示すこともできる。組成物の難燃性は、たとえば「Tests for Flammability of Plastic Materials、UL94」なる表題のUnderwriter's Laboratory Bulletin 94の手順に従って測定することができる。消えるのに要した時間(全フレーム時間:total flame time)及び以下詳細に記載される滴下物に耐える能力(ability to resist dripping)をベースとして幾つかの評価を適用することができる。この手順に従って、たとえば本発明の組成物から形成した成形品は、V0評価を達成することができ、これはこの部品が比較的薄い厚さ(たとえば、0.25mmまたは0.8mm)で測定して、約50秒以下の全フレーム時間をもつことを意味する。V0評価を達成するためには、部品は、綿を発火させる燃焼粒子の滴の総数は0個もつことができる。たとえば、裸火に暴露されると、本発明の組成物から形成した成形品は、約50秒以下、態様によっては約45秒以下、態様によっては約1〜約40秒の全フレーム時間を示すことができる。さらに、UL94の試験の間にできた燃焼粒子(burning particle)の滴の総数は、3個以下、態様によっては2個以下、態様によっては1個以下(たとえば0個)でありえる。そのような試験は、23℃及び50%相対湿度で48時間調整した後、及び/または70℃で7日後に実施することができる。
【0040】
[0044]上記特性を備えた熱可塑性組成物を成形する能力は、注意深く調整した量の様々な成分の特徴的な組み合わせを使用することにより、促進することができる。たとえば、所望の誘電特性を達成し、且つレーザーダイレクトストラクチャリングに適した組成物とするためには、誘電材料及びレーザー活性化可能な添加剤の総量は、熱可塑性組成物の約5重量%〜約50重量%、態様によっては約10重量%〜約45重量%、態様によっては約15重量%〜約40重量%の範囲でありうる。所望の電気特性を達成するものの、そのような材料は、組成物の機械的特性に悪影響を与えかねない。
【0041】
[0045]この点において、本発明者は、繊維充填材を熱可塑性組成物で使用して、電気的性能に有意な影響をもつことなく組成物の熱的及び機械的特性を改善できることも知見した。繊維充填材は、一般に、その質量に対して引張強さが高い繊維を含む。たとえば、(ASTM D2101に従って測定した)繊維の極限引張り強さは、典型的には約1,000〜約15,000メガパスカル(MPa)、態様によっては約2,000MPa〜約10,000MPa、態様によっては約3,000MPa〜約6,000MPaである。所望の誘電特性を維持し易くするために、そのような高強度繊維は、ガラス、セラミック(たとえば、アルミナまたはシリカ)、アラミド(たとえば、Kevlar(登録商標)、E.I.duPont de Nemours、Wilmington、Del.により市販されている。)、ポリオレフィン、ポリエステル、チタン酸(たとえばTISMOから市販されているチタン酸カリウム)など、本来、絶縁性である材料から形成することができる。ガラス繊維、たとえばE-ガラス、A-ガラス、C-ガラス、D-ガラス、AR-ガラス、R-ガラス、S1-ガラス、S2-ガラス及びそれらの混合物は特に好適である。
【0042】
[0046]さらに、繊維充填材で使用される繊維は、様々なサイズを有することができるが、本発明者らは意外にも、特定のアスペクト比をもつ繊維は、得られる熱可塑性組成物の機械的特性を改善しえることを知見した。すなわち、約5〜約50、態様によっては約6〜約40、態様によっては約8〜約25のアスペクト比(公称直径で割った平均長さ)をもつ繊維が特に有益である。そのような繊維はたとえば、約100〜約800マイクロメートル、態様によっては約120〜約500マイクロメートル、態様によっては約150〜約350マイクロメートル、態様によっては約200〜約300マイクロメートルの重量平均長さをもつことができる。繊維は同様に、約6〜約35マイクロメートル、態様によっては約9〜約18マイクロメートルの公称直径をもつことができる。
【0043】
[0047]繊維充填材の相対量は、その流動性及び誘電特性などの、組成物の他の特性に悪影響を与えずに、所望の機械的及び熱的特性を達成し易くするために選択的に制御することもできる。たとえば、繊維充填材は、通常、繊維充填材誘電材料及びレーザー活性化可能な材料のに対する重量比が、約0.4〜約2.0、態様によっては約0.5〜約1.5、態様によっては約0.6〜約1.0であるように、十分量で使用される。繊維充填材は、たとえば熱可塑性組成物の約5重量%〜約50重量%、態様によっては約10重量%〜約40重量%、態様によっては約15重量%〜約35重量%を構成しえる。
【0044】
[0048]上記成分に加えて、組成物に配合しえるさらに他の添加剤としては、抗菌剤、顔料、酸化防止剤、安定化剤、界面活性剤、蝋、流動性改良剤、固体溶剤(solid solvent)、並びに特性及び加工性を改善するために添加される他の添加剤を含むことができる。たとえば追加の充填材は、熱可塑性組成物に様々な特性を付与するために本発明でも使用することができる。追加の充填材の例としては、無機充填材、たとえば炭酸カルシウム、高分散性のケイ酸、アルミナ、水酸化アルミニウム(アルミナ三水和物)、タルク粉末、マイカ、珪灰石、ケイ砂(quartz sand, silica sand)などが挙げられえる
[0049]熱可塑性組成物を形成するのに使用される材料は、当業界で公知のように様々な技術のいずれかを使用して混和することができる。特定の一態様において、たとえば液晶ポリマー、誘電材料、レーザー活性化可能な添加剤、繊維充填材、及び他の任意選択の添加剤を押出機内で混合物として溶融加工して、熱可塑性組成物を形成する。混合物は、約250℃〜約450℃の温度で一軸または多軸押出機で溶融混練することができる。一態様において、混合物は、多数の温度ゾーンを含む押出機で溶融加工することができる。個々のゾーンの温度は、液晶ポリマーの融解温度に対して約−60℃〜約25℃で通常設定される。たとえば、混合物は、Leistritz 18mm共回転完全噛み合い二軸押出機(co-rotating fully intermeshing twin screw extruder)などの二軸押出機を使用して溶融加工することができる。混合物を溶融加工するために、汎用スクリューデザインを使用することができる。一態様において、成分を全て含む混合物を、定量供給機(volumetric feeder)により第一のバレルの供給口に供給することができる。別の態様では、公知のように、押出機の別の添加点で別の成分を加えることができる。液晶ポリマーを供給口に適用し、それより下流に配置されている同一または異なる温度ゾーンで、特定の添加剤(たとえば、誘電材料、レーザー活性化可能な添加剤、及び繊維充填材)を供給することができる。いずれにせよ、得られた混合物を溶融し、混合し、次いでダイを通して押し出すことができる。次いで押し出された熱可塑性組成物は水浴中でクエンチして固化し、ペレタイザーで造粒し、続いて乾燥することができる。
【0045】
[0050]得られる組成物の溶融粘度は一般に、小サイズの回路基板を形成するために型のキャビティに容易に流れることができるように十分に低い。たとえば特定の一態様において、熱可塑性組成物は、1000秒-1の剪断速度で測定して、約5〜約100Pa・s、特定の態様では約10〜約80Pa・s、態様によっては約15〜約75Pa・sの溶融粘度をもつことができる。溶融粘度は、温度350℃において、ASTM試験No.1238-70に従って測定することができる。
【0046】
[0051]一度形成したら、熱可塑性組成物を所望の形状の基板に成形することができる。通常、成形品は、乾燥し、予熱したプラスチック粒子を型に射出する、一成分射出成形プロセスを使用して成形する。上記のように、次いで、導電素子(conductive element)はレーザーダイレクトストラクチャリングプロセス(LDS)を使用して基板に成形することができる。レーザーで活性化することにより物理化学的反応を引き起こし、スピネル結晶が割れて、金属原子を放出する。これらの金属原子は、金属化に対して核として作用することができる(たとえば、還元的銅コーティング)。レーザーにより微視的に不規則な表面が作り出され、ポリマーマトリックスを研磨して、非常に多くの微視的なくぼみ(pit)及びみぞ(undercut)をつくりだし、銅が金属化の間に固定されえる。得られる部品は、たとえば集積電子回路導電素子を含むという点で、成形回路部品(molded interconnect device:MID)または部品でありえる。そのような部品の一例は、導電素子(conductive element)が、たとえばパッチアンテナ構造体、逆-Fアンテナ構造体、クローズドアンドオープン・スロットアンテナ構造体、ループアンテナ構造体、モノポール、ダイポール、平面逆-Fアンテナ構造体から形成される共振素子をもつアンテナ、これらのデザインのハイブリッドなどの様々なタイプのアンテナを形成するものである。本発明の熱可塑性組成物の高い比誘電率により、アンテナ構造体のサイズを比較的小さくすることができる。アンテナ構造体のサイズ(L)は、たとえば、以下の等式により概算することができる。
【0047】
【数1】
【0048】
v0=自由空間における光の速度
fr=操作周波数
εr=基板の比誘電率(またはDk)。
【0049】
[0052]従って、アンテナサイズLは、√εrに逆比例するため、より高い比誘電率は、より小さなアンテナ構造体をもたらす。
【0050】
[0053]特に好適な一電子部品を図1〜2に示す。図1〜2は、携帯電話機能をもつ携帯端末10である。図1に示されているように、デバイス10は、プラスチック、金属、他の好適な誘電材料、他の好適な導電性材料、またはそのような材料の組み合わせから形成されるハウジング12をもつことができる。タッチスクリーンディスプレイなどのディスプレイ14を、デバイス10の前面に提供することができる。デバイス10は、スピーカーポート40及び他の入力-出力ポートももつことができる。一つ以上のボタン38及び他のユーザー入力デバイスを使用して、ユーザー入力を取り入れることができる。図2に示されるように、アンテナ構造体26は、デバイス10の裏面に備えられているが、アンテナ構造体は、通常、デバイスの任意の所望の位置に配置できることを理解すべきである。アンテナ構造体は、様々な公知方法のいずれかを使用して、電子デバイス内で他の成分と電気的に接続することができる。図1〜2を参照して、たとえばハウジング12またはハウジング12の部分は、アンテナ構造体26の導電性接地板として機能することができる。これは特に図3に説明されており、この図面は正のアンテナ給電端子(positive antenna feed terminal)54及び接地アンテナ給電端子56で無線周波数電源52により給電されている、アンテナ構造体を示す。正のアンテナ給電端子54は、アンテナ共振素子58に結合することができ、接地アンテナ給電端子56は、接地素子60に結合することができる。共振素子58は、メインアーム46を接地60に接続する短絡分岐(shorting branch)48とメインアーム46をもつことができる。
【0051】
[0054]アンテナ構造体を電気的に接続するための様々な他の構成も含まれる。たとえば図4では、アンテナ構造体は、モノポールアンテナ構成をベースとし、共振素子58は蛇行している蛇路形状(meandering serpentine path shape)を有する。そのような態様では、給電端子54は、共振素子58の一端に接続することができ、接地給電端子56は、ハウジング12または他の好適な接地板素子に接続することができる。図5に示されているような別の態様では、導電アンテナ構造体62は、クローズドスロット64とオープンスロット66を画定するように構成されている。構造体62から形成されたアンテナは、正のアンテナ給電端子54と接地アンテナ給電端子56を使用して給電されえる。この種の配置では、スロット64及び66は、アンテナ構造体26のアンテナ共振素子として機能する。スロット64と66のサイズは、アンテナ構造体26が所望の通信帯域(たとえば2.4GHz及び5GHzなど)で作動するように構成することができる。アンテナ構造体アンテナ26の別の考えうる配置は、図6に示されている。この態様では、アンテナ構造体26はパッチアンテナ共振素子68をもち、正のアンテナ給電端子54と接地アンテナ給電端子56を使用して給電することができる。接地60は、ハウジング12またはデバイス10の他の好適な接地板素子と関連付けることができる。図7は、アンテナ構造体26のアンテナ構造体に使用しえるさらに別の代表的な配置を示す。示されているように、アンテナ共振素子58は、二つのメインアーム46Aと46Bとをもつ。アーム46Aはアーム46Bよりも短いので、アーム46Aよりも高い操作周波数と関連づけられている。異なるサイズの二つ以上の別々の共振素子構造体を使用することにより、アンテナ共振素子58は、より広い帯域幅または当該単一通信帯域よりも多くをカバーするように構成することができる。
【0052】
[0055]その特徴的な特性により、本発明の成形品(たとえばアンテナ構造体)は、様々な電子部品で使用することができる。たとえば、成形品は、電子部品、たとえばデスクトップコンピューター、ポータブルコンピューター、携帯用電子デバイスなどに成形することができる。他の好適な構成では、部品は、利用可能な内部空間が比較的小さい、比較的コンパクトな携帯用電子部品のハウジングに成形することができる。好適な携帯用電子部品の例としては、携帯電話、ラップトップコンピューター、小さなポータブルコンピューター(たとえば超軽量コンピューター、ネットブックコンピューター、及びタブレットコンピューター)、腕時計型デバイス(wrist-watch device)、ペンダント型デバイス、ヘッドフォン及びイヤホン型デバイス、無線通信機能の付いたメディアプレイヤー、ハンドヘルドコンピューター(携帯情報端末とも呼ばれることがある)、リモートコントローラー、全地球測位(GPS)装置、携帯用ゲーム機などが挙げられる。部品は、携帯用デバイスのカメラモジュール、スピーカーまたはバッテリーカバーなどの他の部品と統合することができるだろう。
【0053】
[0056]上記参照のもの以外に、本発明の成形デバイスは、移植可能な医療機器などの、他の広範な種類の部品で使用することもできる。たとえば、移植可能な医療機器は、能動素子、たとえば中枢神経系及び/または末梢神経系、心臓ペースメーカーまたは除細動器などに刺激信号(たとえば治療的信号)を提供するように構成されている神経刺激装置でありえる。電気的神経刺激は、患者の皮下に電気デバイスを移植し、電気的信号を神経、たとえば脳神経に送達することによって提供することができる。電気的信号は、患者の体内に移植される移植可能な医療機器によって提供することができる。別の態様では、信号は、移植された電極にRFまたは無線リンクによって結合される、患者の体外の外部パルス発生器により発生させることができる。
【0054】
[0057]本発明は、以下の実施例を参照してより理解することができるだろう。
【0055】
試験法
[0058]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、Dynisco 7001キャピラリーレオメーターを使用して、350℃及び剪断速度1000s-1で、ISO試験No.11443に従って測定した。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、及び入口角180°を有していた。バレルの直径は9.55mm±0.005mmで、ロッド長さは233.4mmであった。
【0056】
[0059]融解温度:融解温度(Tm)は、当業界で公知のように示差走査熱量計(DSC)により測定した。融解温度は、ISO試験No.11357により測定するように、示差走査熱量計(DSC)のピーク融解温度である。DSC手順のもとでは、サンプルは、TA Q2000装置上で実施したDSC測定を利用して、ISO標準10350に述べられているように、20℃/分で加熱及び冷却した。
【0057】
[0060]荷重撓み温度(Deflection Under Load Temperature:DTUL):荷重撓み温度は、ISO試験No.75-2(技術的にASTM D648-07と同等)に従って測定した。より具体的には、長さ80mm、厚さ10mm、幅4mmの試験ストリップサンプルを、指定荷重(最大外部繊維応力(maximum outer fibers stress))が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点曲げ試験(edgewise three-point bending test)にかけた。試験片をシリコン油浴中に下げ、試験片が0.25mm(ISO試験No.75-2に関しては0.32mm)撓むまで、温度を2℃/分で上昇させる。
【0058】
[0061]引張弾性率、引張応力及び引張伸び:引張特性は、ISO試験No.527(技術的にASTM D638と同等)に従って試験する。弾性率及び強さの測定は、長さ80mm、厚さ10mm、及び幅4mmをもつ同一試験ストリップサンプルで行う。試験温度は23℃であり、試験速度は1または5mm/分である。
【0059】
[0062]曲げ弾性率、曲げ応力及び曲げ歪み:曲げ特性は、ISO試験No.178(技術的にASTM D790と同等)に従って試験する。この試験は、64mmサポートスパン上で実施する。試験は、切断していないISO 3167マルチパーパスバー(multi-purpose bar)で実施する。試験温度は23℃であり、試験速度は2mm/分である。
【0060】
[0063]ノッチ付きシャルピー衝撃強さ:ノッチ付きシャルピー特性は、ISO試験No.ISO179-1(技術的にASTM D256、方法Bと同等)に従って試験する。この試験は、タイプAノッチ(0.25mmベース半径)及びタイプ1試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、及び厚さ4mm)を使用して実施する。試験片は、一本歯フライス盤を使用してマルチパーパスバーの中心から切り出す。試験温度は23℃である。
【0061】
[0064]比誘電率(Dk)及び誘電正接(Df):比誘電率(または相対静的誘電率:relative static permittivity)及び誘電正接は、Baker-Jarvisら、IEEE Trans. on Dielectric and Electrical Insulation、5(4)巻、571頁(1998年)及びKrupkaら、Proc. 7th International Conference on Dielectric Materials:Measurements and Applications、IEEE Conference Publication No.430(1996年9月)に記載されているような、公知のスプリット-ポスト誘電共振法(split-post dielectric resonator technique)を使用して測定する。より具体的には、サイズ80mm×80mm×1mmのプラークサンプルを二つの固定された誘電共振器の間に挿入した。共振器は試験片の面における誘電率成分(permittivity component)を測定した。五つ(5)のサンプルを試験し、平均値を記録する。スプリット-ポスト共振器を使用して、低ギガヘルツ領域、たとえば1GHz〜2GHzにおける誘電測定を行うことができる。
【0062】
[0065]UL94:試験片は垂直位置に支持し、炎は試験片底部に適用する。炎は十(10)秒間適用し、次いで火炎燃焼(flaming)が止むまで外し、その時点で炎をさらに十(10)秒間再び適用してから、外す。五つ(5)一組の試験片の二つ(2)のセットを試験する。サンプルサイズは、長さ125mm、幅13mm、そして特定の厚さ(たとえば、1.5mm、0.8mm、0.25mmなど)である。エージングの前と後で二つのセットを調整する。エージングなしの試験に関しては、それぞれの厚さで、23℃及び50%相対湿度で48時間調整した後に試験する。エージングした試験に関しては、それぞれの厚さの五つ(5)のサンプルを、70℃で7日間調整した後に試験する。以下に記載するように、V0評価が達成できる最も薄い厚さを記録することができる。
【0063】
【表1】
【実施例】
【0064】
実施例1
[0066]熱可塑性組成物は、液晶ポリマー55.5重量%、タルク38.5重量%、及びShepherd 1GMなる名称のもとShepherd Color Co.より市販されている銅クロマイト充填材(CuCr2O4)6.0重量%から形成する。液晶ポリマーは、Leeらの米国特許第5,508,374号に記載されているように、4-ヒドロキシ安息香酸(HBA)、2,6-ヒドロキシナフトエ酸(HNA)、テレフタル酸(TA)、4,4’-ビフェノール(BP)、及びアセトアミノフェン(APAP)から形成する。HNA含有量は5モル%である。
【0065】
実施例2
[0067]熱可塑性組成物は、液晶ポリマー59.0重量%、タルク15.0重量%、ガラス繊維20.0重量%及び、銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)6.0重量%から形成する。ガラス繊維は、Owens Corning Vetrotexより市販されているAdvantex(商標)Eガラスである。液晶ポリマーは実施例1で使用したものと同一ポリマーである。組成物を形成した後、ガラス繊維の重量平均長さを試験し測定すると、340マイクロメートルであった(1標準偏差160マイクロメートル)。
【0066】
実施例3
[0068]熱可塑性組成物は、液晶ポリマー59.0重量%、タルク15.0重量%、50〜80μmの重量平均長さをもつ粉砕ガラス繊維20.0重量%、及び銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)6.0重量%から形成する。この液晶ポリマーは実施例1で使用したものと同一ポリマーである。
【0067】
実施例4
[0069]熱可塑性組成物は、液晶ポリマー59.0重量%、ルチル二酸化チタン(Tiona(商標)RCL-188、Millennium)15重量%、Advantex(商標)Eガラスガラス繊維20.0重量%、及び銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)6.0重量%から形成する。液晶ポリマーは、実施例1で使用したものと同一ポリマーである。組成物を形成した後、ガラス繊維の重量平均長さを試験し測定すると、270マイクロメートルであった(1標準偏差130マイクロメートル)。
【0068】
実施例5
[0070]熱可塑性組成物は、第一の液晶ポリマー44.0重量%、第二の液晶ポリマー(全組成物の14重量%)及び銅クロマイト充填材(Shepherd IGM、全組成物の6.0重量%)を含むマスターバッチ20重量%、ルチル二酸化チタン(Tiona(商標)RCL-188、Millennium)15重量%、Advantex(商標)Eガラスガラス繊維20.0重量%、及びアルミナ三水和物1.0重量%から形成する。第一の液晶ポリマーは、Longらの米国特許第5,969,083号に記載のように、4-ヒドロキシ安息香酸(HBA)、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸(NDA)、テレフタル酸、及びハイドロキノン(HQ)から形成する。NDA含有量は20モル%である。第二の液晶ポリマーは、実施例1で使用したものと同一ポリマーである。組成物を形成した後、ガラス繊維の重量平均長さを試験し測定すると、300マイクロメートルであった(1標準偏差150マイクロメートル)。
【0069】
実施例6
[0071]熱可塑性組成物は、第一の液晶ポリマー34.0重量%、第二の液晶ポリマー(組成物の14重量%)及び銅クロマイト充填材(Shepherd IGM、組成物の6.0重量%)を含むマスターバッチ20重量%、ルチル二酸化チタン(Tiona(商標)RCL-188、Millennium)25重量%、Advantex(商標)Eガラスガラス繊維20.0重量%、及びアルミナ三水和物1.0重量%から形成する。第一及び第二の液晶ポリマーは実施例5で使用したものと同一である。組成物を形成した後、ガラス繊維の重量平均長さを試験し測定すると、310マイクロメートルであった(1標準偏差120マイクロメートル)。
【0070】
[0072]実施例1〜6のポリマーの熱的及び機械的特性は上記のように試験した。結果を以下に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
実施例7〜10
[0073]熱可塑性組成物は、LDSポリマー濃縮物(polymer concentrate)、液晶ポリマー、ルチル二酸化チタン(Tiona(商標)RCL-4、Millennium)、及びAdvantex(商標)Eガラス繊維から形成する。ポリマー濃縮物は、銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)30.0重量%と液晶ポリマー70重量%を含んでいた。場合によっては、グラファイト25重量%と液晶ポリマー75重量%を含むポリマー濃縮物も使用する。組成物中で使用する液晶ポリマーは、実施例1で使用したポリマーと同一である。それぞれの実施例の構成成分を以下により詳細に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
[0074]組成物を形成した後、様々な熱的及び機械的特性を上記のように試験した。結果を以下に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
実施例11
[0075]熱可塑性組成物は、液晶ポリマー(アルミナ三水和物0.5重量%を含む)58.0重量%、ルチル二酸化チタン(Ti-pure(商標)R-104、DuPont)15重量%、Advantex(商標)Eガラスガラス繊維20.0重量%、銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)6.0重量%、及びカーボンブラック1.0重量%から形成する。液晶ポリマーは、実施例5で使用したものと同一である。
【0077】
実施例12
[0076]熱可塑性組成物は、液晶ポリマー47.5重量%(アルミナ三水和物0.5重量%を含む)、ルチル二酸化チタン(Ti-pure(商標)R-104、DuPont)25重量%、Advantex(商標)Eガラスガラス繊維20.0重量%、銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)6.0重量%、及びカーボンブラック1.5重量%から形成する。液晶ポリマーは実施例5で使用したものと同一である。
【0078】
[0077]実施例11〜12のポリマーの熱的及び機械的特性を上記のように試験した。結果を以下に示す。
【0079】
【表5】
【0080】
実施例13〜16
[0078]熱可塑性組成物は、LDSポリマー濃縮物、液晶ポリマー、ルチル二酸化チタン(Tiona(商標)RCL-4、Millennium)、及びAdvantex(商標)Eガラス繊維から形成する。ポリマー濃縮物は、銅クロマイト充填材(Shepherd IGM)30.0重量%と、液晶ポリマー70重量%とを含んでいた。場合によっては、グラファイト25重量%と液晶ポリマー75重量%とを含むポリマー濃縮物も使用する。実施例13と14のポリマーは、実施例1で使用したものと同一であり、実施例15と16のポリマーは、実施例5で使用したものと同一である。
【0081】
[0079]それぞれの実施例の構成成分は、以下の表に詳細に示す。
【0082】
【表6】
【0083】
[0080]組成物を製造した後、上記のように様々な熱的及び機械的特性を試験した。結果を以下に示す。
【0084】
【表7】
【0085】
[0081]本発明のこれら及び他の変更及び変形は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく当業者によって実施しえると理解すべきである。さらに、様々な変更の側面は、全体または一部を交換することができる。さらに、当業者は、上記説明は単なる例示であって、請求の範囲に記載されている本発明を限定するものではないことを理解するだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7