特許第6152141号(P6152141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6152141車両用車輪のタイヤを製造するための方法、プロセスおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152141
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】車両用車輪のタイヤを製造するための方法、プロセスおよび装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/00 20060101AFI20170612BHJP
   B29D 30/20 20060101ALI20170612BHJP
【FI】
   B29D30/00
   B29D30/20
【請求項の数】34
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-147222(P2015-147222)
(22)【出願日】2015年7月24日
(62)【分割の表示】特願2014-519651(P2014-519651)の分割
【原出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-205516(P2015-205516A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】MI2011A001320
(32)【優先日】2011年7月15日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】61/511,618
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デール,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】ボジオ,ジアン ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】ポルティナーリ,ジャンニ
【審査官】 細井 龍史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−217355(JP,A)
【文献】 特開2005−170044(JP,A)
【文献】 特開2006−001024(JP,A)
【文献】 特表2010−506766(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0126684(US,A1)
【文献】 特表2012−512072(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/070374(WO,A1)
【文献】 特開平06−000894(JP,A)
【文献】 米国特許第05411626(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0089519(US,A1)
【文献】 特開平04−214333(JP,A)
【文献】 特開2009−190183(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/101830(WO,A1)
【文献】 特表2003−534160(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0170336(US,A1)
【文献】 特開2003−103649(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0307662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00−30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用車輪のタイヤを組み立てる方法であって、
− 半完成品(4a、4b、c;22a、23a、24a、25a、26a)の分配ステーション(19、20、21;23、24、25、26)を、堆積ライン(L)に沿って空間連続順に配置された「n」堆積位置のうちの「m」堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)に配置するステップであって、ここで、「n」が「m」以上である、ステップと、
− 成形ドラム(13)を前記堆積ライン(L)上の装填および取り外し位置(41)に装填するステップと、
− 前記成形ドラム(13)を前記「m」堆積位置のうちの「s」堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)間において移動するステップであって、ここで、「s」が「m」以下であり、前記「s」堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)のそれぞれにおいて、前記タイヤ(2)の少なくとも1つの構成要素を形成するために、半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の前記各々の分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)から分配された少なくとも1つの半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)が前記成形ドラム(13)の半径方向外側の面(13a)上に配置される、ステップと、
− 前記タイヤ(2)の前記構成要素が設けられた前記成形ドラム(13)を前記装填および取り外し位置(41)に戻し、前記成形ドラム(13)を次の成形ドラム(13)の装填前に前記堆積ライン(L)から取り外すステップと、を含み、
前記成形ドラム(13)が前記堆積ライン(L)に沿って前記「n」堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)の前記空間連続順と異なる順序で移動し、
前記「m」堆積位置のうちの前記「s」堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)間において、前記成形ドラム(13)の移動方向が前記成形ドラム(13)の移動中に少なくとも2回反転される、
方法。
【請求項2】
前記成形ドラム(13)が前記「s」堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)の同一の一つの堆積位置に「t」回運ばれ、ここで、「t」が2以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのタイヤ(2)構成要素がカーカス構造に属する構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記次の成形ドラム(13)の装填前に、「s」の数値が変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記次の成形ドラム(13)の装填前に、「m」の数値が変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
タイヤ(2)の構成要素を成形ドラム(13)上において成形するステップを含む、車両用車輪のタイヤを組み立てるための方法であって、前記構成要素が、
− 装填および取り外し位置(41)において、堆積ライン(L)に沿って移動可能なシャトル(17)上に前記成形ドラム(13)を装填するステップと、
− 前記シャトル(17)を前記堆積ライン(L)上で移動し、前記シャトル(17)を、前記堆積ライン(L)に沿って空間連続順に配置された少なくともいくつかの堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)に配置された半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の複数の分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)の少なくともいくつかに運ぶステップであって、
半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の前記少なくともいくつかの分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)のそれぞれにおいて、少なくとも1つの半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)が前記タイヤ(2)の少なくとも1つの構成要素を成形するために、前記シャトル(17)によって担持された前記成形ドラム(13)の半径方向外側表面(13a)上に配置されるステップと、
− 前記タイヤ(2)構成要素が設けられた前記成形ドラム(13)を前記装填および取り外し位置(41)に戻し、前記成形ドラム(13)を、前記成形ドラム(13)の次のものを装填する前に前記シャトル(17)から取り外すステップであって、
前記シャトル(17)が前記堆積ライン(L)に沿って前記堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)の前記空間連続順と異なる順序で移動する、ステップと、
によって成形され
前記シャトル(17)の移動方向が前記堆積ライン(L)に沿った前記シャトル(17)の移動中に少なくとも2回反転される、方法。
【請求項7】
前記装填および取り外し位置(41)が前記堆積ライン(L)の端部に配置されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記半径方向外側表面上における前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の堆積が、
− 前記成形ドラム(13)を供給方向(F)に沿って移動可能な前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)の搬送面(34、36)の近傍に移動するステップと、
− 前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)を前記搬送面(34、36)上に供給するステップと、
− 前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)を前記半径方向外側表面上に受け取るために、前記成形ドラム(13)を回転するようにセットするステップと、
を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記成形ドラム(13)が、上から下に、前記搬送面(34、36)の最終端部(40)の近傍に移動する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成形ドラム(13)が、下から上に、前記搬送面(34、36)の最終端部(40)の近傍に移動する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記タイヤ(2)の前記少なくとも1つの構成要素がカーカス構造に属する、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タイヤ(2)の前記少なくとも1つの構成要素がベルト構造に属する、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記構成要素を前記成形ドラム(13)上において成形する前に前記シャトル(17)の前記移動順序が変更される、請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記構成要素を前記成形ドラム(13)上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)において交換される、請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記構成要素を前記成形ドラム(13)上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)において追加される、請求項6〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記構成要素を前記成形ドラム(13)上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)から取り外される、請求項6〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記構成要素を前記成形ドラム(13)上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が前記堆積ライン(L)に沿って前記堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)を変更する、請求項6〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
車両用車輪のタイヤを組み立てるための装置であって、
− 堆積ライン(L)にあるガイド(16)と、
− 前記ガイド(16)に沿って2つの移動方向(S1、S2)に移動可能であり、かつ各々の成形ドラム(13)を担持することが可能なシャトル(17)と、
− 前記ガイド(16)の近傍に配置された、前記シャトル(17)上にまたは前記シャトル(17)から前記成形ドラム(13)を装填および取り外すための位置(41)と、
− 前記ガイド(16)に沿った空間連続順に配置された少なくともいくつかの堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)に配置された、半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の複数の分配ステーション(19、20、21;22,23、24、25、26)であって、前記タイヤ(2)の少なくとも1つの構成要素を成形するために、半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)のそれぞれが、少なくとも1つの半完成品を、前記シャトル(17)によって担持された前記成形ドラム(13)の半径方向外側表面(13a)に配置することができる、複数の分配ステーション(19、20、21;22,23、24、25、26)と、
− 前記シャトル(17)に動作可能に連結された制御ユニット(U)であって、前記ガイド(16)に沿って前記堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)の前記空間連続順と異なる順序で、前記シャトル(17)を、前記シャトル(17)の移動方向が前記堆積ライン(L)に沿った前記シャトル(17)の移動中に少なくとも2回反転するように、前記ガイド(16)上において前記2つの移動方向(S1、S2)に移動し、かつ前記シャトル(17)を前記装填および取り外し位置(41)において、および半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)のそれぞれにおいて停止する制御ユニット(U)と、
を含む、装置。
【請求項19】
前記装填および取り外し位置(41)が前記ガイド(16)の最終端部に配置されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)が前記ガイド(16)の両側の少なくとも1つに連続的に配置されている、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が前記堆積位置(18i、18ii、18iii、18iv、18v、18vi)に取り外し可能な状態で取り付けられている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)の少なくとも1つが、供給方向(F)に沿って移動可能な、前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)の搬送面(34、36)を含む、請求項18〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が、前記搬送面(34、36)上に供給された前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)を適当な大きさに切るための切断デバイス(39)を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が、前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26)が巻かれるリールを担持するリール保持器(32)を含む、請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が、前記搬送面(34、36)を担持するフレーム(27)を含み、前記装置が、複数のキャリッジ(29)を含み、そのそれぞれが前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)が巻かれるリールを担持し、かつ前記フレーム(27)内に取り外し可能な状態で収容されるようになっているリール保持器(32)を担持する、請求項22または23に記載の装置。
【請求項26】
前記搬送面(34、36)が前記ガイド(16)に対して傾斜した少なくとも1つの部分(36)を有し、かつ前記リール保持器(32)を前記搬送面(34、36)の下に収容することができる、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が、前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)を前記搬送面(34、36)上に供給する押出機(E)を含む、請求項22または23に記載の装置。
【請求項28】
前記搬送面(34、36)の最終端部(40)が前記ガイド(16)に配置されている、請求項22〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記搬送面(34、36)の最終端部(40)が前記シャトル(17)によって担持された前記成形ドラム(13)の下に配置されている、請求項22〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記搬送面(34、36)の最終端部(40)が前記シャトル(17)によって担持された前記成形ドラム(13)の上に配置されている、請求項22〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記シャトル(17)が、前記成形ドラム(13)の前記半径方向外側表面(13a)が前記搬送面(34、36)の前記最終端部(40)に接近する第1の位置と、前記半径方向外側表面(13a)が前記最終端部(40)から離れる第2の位置との間において、前記ガイド(16)の長手方向伸展部に当たる方向に移動可能な、請求項28、29または30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記方向が前記ガイド(16)の前記長手方向伸展部に対して直交している、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記シャトル(17)が、半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)によって供給される前記半完成品(4a、4b、5;22a、23a、24a、25a、26a)を受け取るために、前記成形ドラム(13)の前記回転軸線(X−X)を中心として回転するように前記成形ドラム(13)をセットするためのデバイスを含む、請求項18〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
半完成品の前記分配ステーション(19、20、21;22、23、24、25、26)が、前記搬送面(34、36)を含む少なくとも1つのコンベヤベルト(33、35)を含む、請求項22〜33のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
発明の分野
本発明は、車両用車輪のタイヤを組み立てるための方法、プロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
車両用車輪のタイヤは、全般的に、各々の取り付けリム上におけるタイヤのいわゆる「取付径」に実質的に一致する内径を有する、通常「ビード」と同定される領域に一体化された、一般に「ビードコア」と呼ばれる各々の環状固定構造と係合している対向端部フラップを各々有する少なくとも1つのカーカスプライを含むカーカス構造を含む。タイヤは、カーカスプライの半径方向外側位置に配置された少なくとも1つのベルトストリップを含むクラウン構造と、ベルトストリップの半径方向外側のトレッドバンドと、をさらに含む。トレッドバンドと、ベルトストリップとの間に弾性材料のいわゆる「アンダーレイヤ」を介在させることができる。アンダーレイヤは、トレッドバンドとのベルトストリップの安定した結合(steady union)を確実にするように適合された特性を有する。加えて、弾性材料の各々のサイドウォールがカーカス構造の側部表面上に貼付される。サイドウォールのそれぞれはトレッドバンドのサイドエッジの1つからビードの各々の環状固定構造の近傍まで延びる。「チューブレス」タイプのタイヤにおいては、最適な気密性機能を有し、ビードの1つからもう一方まで延びる、一般に「ライナ」と呼ばれる、好ましくはブチルベースの弾性材料の層がカーカスプライに内部コーティングされている。
【0003】
本明細書および以下の特許請求の範囲の目的のため、用語「弾性材料」は、少なくとも1つの弾性重合体および少なくとも1つの補強充填材を含む組成物を示すものと理解されることに留意すべきである。好ましくは、この組成物は、例えば、架橋剤および/または可塑剤などの添加剤をさらに含む。架橋剤の存在により、最終製品を形成するためにこの材料を加熱により架橋することができる。
【0004】
本明細書および以下の特許請求の範囲において、タイヤの「構成要素」という用語は、(例えば、アンダーライナ、ライナ、カーカスプライ、ビード領域の充填材、ベルト層、サイドウォール、ランフラットタイヤのサイドウォールインサート、耐摩耗性インサート、アンダーレイヤ、トレッドバンド、テキスタイル製補強要素または金属製補強要素、弾性材料の補強要素等などの)タイヤの任意の機能的な構成要素またはその一部分を意味する。
【0005】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「半完成品」という用語は、成形ドラム上に分配されてタイヤ構成要素を成形する、弾性材料のみまたは他の構造部材を含む細長要素を意味する。
【0006】
半完成品は、好ましくは、ストリップの形態の連続的な細長要素によって画定される。好ましくは、前記半完成品は適当な大きさに切られており、平らな断面を有する。
【0007】
前記半完成品は、好ましくは1つまたは複数のテキスタイル製補強コードまたは金属製補強コードを組み込んだ弾性材料から作製される。これらテキスタイル製補強コードまたは金属製補強コードは、細長要素自体の長手方向に互いに平行して配置されるか、前記長手方向に対して傾斜して配置されるかのいずれかである。
【0008】
前記連続的な細長要素は、例えば、リールまたは押出機から、好ましくは成形ドラム上に周方向に供給される。
【0009】
本明細書および以下の特許請求の範囲において、「堆積ライン(deposition line)」とは、第1の端部と第2の端部との間に延びる無端でない開路(open path)を意図するものである。
【0010】
好ましくは、前記堆積ラインはほぼ直線路である。
【0011】
本明細書および以下の特許請求の範囲において、「n」堆積位置の「空間連続順(space succession)」という表現は、最終堆積位置(すなわち、最初の堆積位置および最後の堆積位置)以外の各堆積位置が、2つの異なる堆積位置である先行堆積位置および後続堆積位置に隣接し、第1の堆積位置は第2の堆積位置に隣接すると共にそれに先行し、最後の堆積位置は最後から2番目の堆積位置に隣接すると共にそれに後続する、第1の端部と第2の端部との間の堆積ラインに沿って順に配置された前記「n」堆積位置の物理的配置を示すものと理解される。
【0012】
同出願人名義の欧州特許第0 555 813号は、組付路に沿って移動する複数の組立ドラムを含む、車両用車輪のカーカス構造を製造するためのプラントを示す。各ドラムは、既定の連続の後、付属構成要素を貼付するように適合された補助ワークステーションと交互に、各々の共通主要構成要素を複数のカーカスタイプに貼付するようにそれぞれ適合された、いくつかの主要ワークステーションに接触する。実施されるプロセスの種類に基づき、各補助ワークステーションを取り去り、異なるステーションと交換することができ、補助ワークステーションが組付路から垂直に取り去られる静止位置と、各々の付属構成要素の貼り付けを実施するために補助ワークステーションが組付路に沿って作動的に配置される作業位置との間において移動可能である。主要ワークステーションは、組付路に沿って互いの近傍に移動させることも互いから離すこともできる。
【0013】
米国特許出願公開第2007/0175567号は、同時に動作するカーカスラインおよびベルト/トレッドラインを含むタイヤを組み立てるための機械を示す。各カーカスは無端組付ラインにおいて各々のベルト/トレッドに接合される。カーカスラインでは、組立ドラムは、構成要素の貼り付けのための複数のステーションにより組付路に沿って連続的に供給される。ベルト/トレッドラインでは、ベルト/トレッドパッケージが組み付けられるシリンダは構成要素の貼り付けのためのさらなるステーションにより供給される。各構成要素貼付ステーションでは、カーカスおよびベルト/トレッドそれぞれの一部を形成するために使用されるタイヤ構成要素がドラムまたはシリンダ上に配置される。
【発明の概要】
【0014】
発明の概要
本出願人は、米国特許出願公開第2007/0175567号に示される種類のプラントでは、プラントを形成するデバイスの種類およびプラントの位置がプラント自体の計画および製造時に無条件に決定されることに注目した。その結果、半完成品の貼付順序だけでなく、ドラム上に貼付される半完成品の種類もまた独特なものとなり、作製されるタイヤの構造が実質的に独特なものとなる。
【0015】
本出願人は、また、欧州特許第0 555 813号に開示されている種類の他のプラントでは、いくつかのワークステーションを移動および/または交換することができるが、連続的に配置されたワークステーションをドラムが順に前進するためにプラントの柔軟性がいずれにしても限定されることに注目した。
【0016】
これに関連し、本出願人はタイヤ製造用プラントの柔軟性を増加させることを企図する。
【0017】
特に、本出願人は、プラントを変更せずに手順または製法を変え、同じプラントにおいて、前記製法により、成形ドラム上の異なる半径方向位置および/または軸方向位置に半完成品を堆積することを可能にするだけで構造的に異なるタイヤを組み立てることの重要性を認識している。
【0018】
加えて、本出願人は、互いに異なるタイヤバッチの製造、新型のタイヤの製造、または新技術の適用を可能にするために、プラント構造の変更(調整)を、比較的簡単、迅速かつ安価な作業により可能にすることを所望する。
【0019】
本出願人は、また、例えば、一時的なプラントの故障および/または半完成品の枯渇によるプラントデバイスの1つまたは複数の停止の可能性に容易に対処することを目的とする。
【0020】
したがって、本出願人は、企図した目的を達するには、自身の成形ドラム上において製造されるタイヤの組立順序は、組立ラインにおいて利用可能な半完成品を分配するためのステーションの数、種類および配置に関係なく制御可能および変更可能でなければならないことを認識している。
【0021】
本出願人は、最終的に、要求に応じてプログラム可能な順序に従うと共に、堆積ライン内における分配デバイスの空間配置に厳密に拘束されず、タイヤ構成要素の一部または全てを半完成品の形態において受け取ることを企図した堆積ラインに沿って一度に1つの成形ドラムを前記半完成品の複数の分配デバイス間において移動させることによって上述の欠点を克服することが可能であり、製造される種々のタイヤに関連する種々の動作状況において対応する製造プラントの柔軟性および信頼性を得ることができることを認識した。
【0022】
より具体的には、第1の態様において、本発明は、
− 半完成品の分配ステーションを、堆積ラインに沿って空間連続順に配置された「n」堆積位置のうちの「m」堆積位置に配置するステップであって、ここで、「n」が「m」以上である、ステップと、
− 成形ドラムを堆積ライン上の装填および取り外し位置に装填するステップと、
− 成形ドラムを前記「m」堆積位置のうちの「s」堆積位置間において移動するステップであって、ここで、「s」が「m」以下であり、前記「s」堆積位置のそれぞれにおいて、タイヤの少なくとも1つの構成要素を成形するために、半完成品の各々の分配ステーションから分配された少なくとも1つの半完成品が成形ドラムの半径方向外側の面上に配置される、ステップと、
− タイヤの構成要素が設けられた成形ドラムを前記装填および取り外し位置に戻し、それを次の成形ドラムの装填前に堆積ラインから取り外すステップと、
を含み、
前記成形ドラムが堆積ラインに沿う前記「n」堆積位置の空間連続順と異なる順序で移動する、
車両用車輪のタイヤを組み立てる方法に関する。
【0023】
したがって、特定の数「n」の堆積位置が堆積ラインに沿って配置される場合、堆積位置の全てまたは前記堆積位置のいくつかのみが各々の「m」分配ステーションによって占有され、各々の半完成品を受け取るための各分配ステーションまたは前記分配ステーションのいくつかのみにおいて任意の順序で成形ドラムを移動することができ、かつ停止することができるというのが本出願人の意見である。この手法で、製造プラントの柔軟性および信頼性が増加する。
【0024】
第2の態様において、本発明は、タイヤの構成要素を成形ドラム上において成形するステップを含む、車両用車輪のタイヤを組み立てるためのプロセスに関する。前記構成要素は、
− 装填および取り外し位置において、堆積ラインに沿って移動可能なシャトル上に成形ドラムを装填するステップと、
− シャトルを堆積ライン上において移動し、それを、堆積ラインに沿って空間連続順に配置された少なくともいくつかの堆積位置に配置された半完成品の複数の分配ステーションの少なくともいくつかに運ぶステップであって、
半完成品の前記少なくともいくつかの分配ステーションのそれぞれにおいて、タイヤの少なくとも1つの構成要素を成形するために、少なくとも1つの半完成品が、シャトルによって担持された成形ドラムの半径方向外側表面上に配置される、ステップと、
− タイヤ構成要素が設けられた成形ドラムを前記装填および取り外し位置に戻し、それを、前記成形ドラムの次のものを装填する前に前記シャトルから取り外す、ステップであって、
半完成品の前記少なくともいくつかの分配ステーション間において、堆積ラインに沿ってシャトルが前記堆積位置の空間連続順と異なる順序で移動する、ステップと、
によって成形される。
【0025】
第3の態様によれば、本発明は、
− 堆積ラインにあるガイドと、
− 前記ガイドに沿って2つの移動方向に移動可能であり、かつ各々の成形ドラムを担持することが可能なシャトルと、
− ガイドの近傍に配置された、シャトル上にまたはそこから成形ドラムを装填および取り外すための位置と、
− ガイドに沿って空間連続順に配置された少なくともいくつかの堆積位置に配置された半完成品の複数の分配ステーションであって、タイヤの少なくとも1つの構成要素を成形するために、半完成品の前記分配ステーションのそれぞれが、少なくとも1つの半完成品を、シャトルによって担持された成形ドラムの半径方向外側表面に配置することができる、半完成品の複数の分配ステーションと、
− 前記シャトルに動作可能に連結された制御ユニットであって、前記ガイドに沿って前記堆積位置の空間連続順と異なる順序で、前記シャトルをガイド上において2つの移動方向に移動し、かつそれを前記装填および取り外し位置においておよび半完成品の前記分配ステーションのそれぞれにおいて停止する制御ユニットと、
を含む装置に関する。
【0026】
本出願人は、シャトルが、1つの装填および取り外し位置において、タイヤ構成要素の少なくとも一部が設けられた成形ドラムを適切なデバイスに移送し、空の成形ドラムを受け取ると考える。この解決策により、小型であり、かつ比較的小さなスペースを占めるような手法で装置を構成することが可能になる。
【0027】
本出願人は、また、シャトルに搭載された成形ドラムは分配ステーション間において迅速に移動することができ、かつ製法に定められた材料の順序に合致する任意の順序に従い半完成品の各分配ステーションに配置することができると考える。
【0028】
実際、本文脈において「前記「n」堆積位置の空間連続順と異なる順序で」という文は、ドラムの動きは堆積位置の空間連続順に追従しないが、(空であっても、各々の分配ステーションによって占有されてもよい)前記堆積位置の1つまたは複数を飛ばすことができる、および/またはまず装填および取り外しステーションから最も遠い堆積位置に運び、その後、最も近い堆積位置に戻すことができる、および/または堆積ラインに沿って移動方向を1回または数回変更することができることを意味する。
【0029】
本発明は、前記態様の少なくとも1つにおいて、さらに、以下に記載される好ましい特徴の1つまたは複数を有しうる。
【0030】
方法の一実施形態によれば、成形ドラムは前記「s」堆積位置の同一の一つの堆積位置に「t」回運ばれる。ここで、「t」は2以上である。
【0031】
好ましくは、「t」は3以下である。
【0032】
ドラムを数回同じ堆積位置に運ぶことによって、本発明の方法は、同じ半完成品を成形ドラム上の異なる半径方向位置に配置することを可能にするため、プラントの柔軟性を最大にする。
【0033】
好ましくは、タイヤの前記少なくとも1つの構成要素はカーカス構造に属する構成要素である。
【0034】
好ましくは、前記成形ドラムの移動方向は前記成形ドラムの移動中に、前記「m」堆積位置のうちの前記「s」堆積位置間において少なくとも2回反転される。
【0035】
ドラムが往復移動することができるため、それが分配ステーションのそれぞれに迅速な状態で到達することができることから、堆積ラインに沿った異なる分配ステーションの空間位置は装置の柔軟性を全く限定しない。
【0036】
好ましくは、前記次の成形ドラムの装填前に「s」の数値が変更される。
【0037】
好ましくは、前記次の成形ドラムの装填前に「m」の数値が変更される。
【0038】
バッチの製造サイクルと次に続くバッチの製造サイクルとの間、またはさらには同じ製造サイクル内において、加工中に成形ドラムが到達する分配ステーションの「s」の数だけでなく、「m」の数、配置される分配ステーションの種類および位置を変更することができる。
【0039】
好ましくは、「n」は4以上である。好ましくは、「n」は10以下である。
【0040】
好ましくは、「m」は3以上である。好ましくは、「m」は10以下である。
【0041】
好ましくは、「s」は3以上である。好ましくは、「s」は10以下である。
【0042】
プロセスの好適な実施形態によれば、堆積ラインに沿った前記シャトルの移動中に前記シャトルの移動方向は少なくとも2回反転される。
【0043】
プロセスの好適な実施形態によれば、装填および取り外し位置は堆積ラインの端部に配置される。この解決策により、また、タイヤ全体を組み立てるために互いに相互に作用せねばならないプラントの他の要素を装填および取り外し位置の近傍に容易に配置することが可能になる。
【0044】
プロセスの好適な実施形態によれば、半径方向外側表面上への半完成品の堆積は、
− 供給方向に沿って移動可能な分配ステーションの搬送面の近傍に成形ドラムを移動するステップと、
− 半完成品を前記搬送面上に供給するステップと、
− 半径方向外側表面上に半完成品を受け取るために、成形ドラムを回転するようにセットするステップと、
を含む。
【0045】
成形ドラム上における半完成品の堆積は迅速かつ比較的簡単である。
【0046】
好ましくは、成形ドラムは、上から下に、搬送面の最終端部の近傍に移動する。
【0047】
異なる好適な実施形態によれば、成形ドラムは、下から上に、搬送面の最終端部の近傍に移動する。
【0048】
2つの好ましい解決策の間の選択は配置される半完成品の種類にも依拠する。例えば、粘着面と低粘着面とを有する(自己密封タイヤ(self−sealing tyres)用の)自己密封材料(self−sealing material)のストリップの堆積が関係する場合、このストリップの低粘着面は、明白な理由で、分配ステーションの搬送面上に配置せねばならず、この低粘着面は成形ドラムの半径方向外側表面に配置せねばならない。したがって、分配ステーションの搬送面の最終端部は、前記搬送面から成形ドラム上への非粘着面の移行を可能にするために、上から成形ドラムの近傍に移動する。
【0049】
好ましくは、タイヤの前記少なくとも1つの構成要素はカーカス構造に属する。
【0050】
分配される半完成品は、例えば、複合ライナ(ライナ、アンダーライナおよび耐摩耗性細長要素)、サイドウォールインサート、第1のカーカスプライ、エッジおよび第2のカーカスプライである。
【0051】
異なる実施形態によれば、タイヤの前記少なくとも1つの構成要素はベルト構造に属する。
【0052】
好ましくは、構成要素を成形ドラム上において成形する前に、シャトルの移動順序が変更される。
【0053】
好ましくは、構成要素を成形ドラム上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーションが堆積位置において交換される。
【0054】
好ましくは、構成要素を成形ドラム上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーションが堆積位置において追加される。
【0055】
好ましくは、構成要素を成形ドラム上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーションが堆積位置から取り外される。
【0056】
好ましくは、構成要素を成形ドラム上において成形する前に、半完成品の少なくとも1つの分配ステーションが堆積ラインに沿って堆積位置を変更する。
【0057】
プロセスでは、分配ステーションの除去、追加、置換、交換を通じて、分配される半完成品の種類および/またはそれらが分配される順序の変更を企図し、1つのタイヤ種類またはデザインの製造から異なる種類の製造への簡単な移行を可能にする。
【0058】
好ましくは、装填および取り外し位置はガイドの最終端部に配置される。
【0059】
成形ドラムの管理はガイド端部の近傍の領域に集中するデバイスに依拠するため、装置は小型である。
【0060】
装置の好適な実施形態によれば、前記堆積位置はガイドの2つのサイドの少なくとも1つに連続的に配置される。
【0061】
好ましくは、半完成品の分配ステーションは堆積位置において取り外し可能な状態で取り付けられる。
【0062】
装置には、実質的に並列関係で配置され、かつ取り外し可能な個々の分配ステーションが設けられている。この配置により、装置を新技術および/または新製品のために容易に調整することができ、また、さらなる分配ステーションを単に追加することによって拡張してもよい。保守/修理の作業は、また、半完成品の分配ステーションをラインから取り去ることができることによって容易になる。
【0063】
好適な実施形態によれば、半完成品の分配ステーションの少なくとも1つは供給方向に移動可能な半完成品の搬送面を含む。
【0064】
好ましくは、半完成品の前記分配ステーションは、搬送面上に供給された半完成品を適当な大きさに切るための切断デバイスを含む。
【0065】
この構造は簡単かつ比較的安価であり、半完成品を簡単かつ迅速な手法で分配および貼付することを可能にする。好ましくは、分配ステーションの全てがこのように構成される。
【0066】
好ましくは、半完成品の前記分配ステーションは、半完成品が巻かれるリールを担持するリール保持器を含む。
【0067】
半完成品は別個に作製され、折り返し(turns)とエージング(ageing)の間における付着を回避するように適合された供給用布地(service fabric)に結合され、その後、コイルに巻き取られ、装置内において使用されるまでこのように維持される。
【0068】
好適な実施形態によれば、半完成品の前記分配ステーションは搬送面を担持するフレームを含み、装置は複数のキャリッジを含み、そのそれぞれが、半完成品が巻かれるリールを担持すると共にフレーム内に取り外し可能な状態で収容されるように適合されたリール保持器を担持する。
【0069】
この手法では、使用済みのリール保持器の交換は非常に簡単かつ迅速である。
【0070】
好ましくは、搬送面はガイドに対して傾斜した少なくとも1つの部分を有し、リール保持器は搬送面の下に収容することができる。
【0071】
したがって、半完成品の分配ステーションの嵩が全体として最小に減少する。
【0072】
別の実施形態では、半完成品の前記分配ステーションは半完成品を搬送面上に供給する押出機を含む。
【0073】
この場合、半完成品は作製され、即座に成形ドラム上に配置される。
【0074】
好ましくは、搬送面の最終端部がガイドに配置されている。
【0075】
搬送面の最終端部にあるシャトルによって担持されると共に前記最終端部の近傍に配置された各成形ドラムは、すでに半完成品を受け取るための準備が完了している。
【0076】
一実施形態では、搬送面の最終端部が、シャトルによって担持された成形ドラムの下に配置されている。
【0077】
さらに好適な実施形態では、搬送面の最終端部が、シャトルによって担持された成形ドラム上に配置されている。
【0078】
一実施形態では、シャトルは、成形ドラムの半径方向外側表面が搬送面の最終端部に接近する第1の位置と、前記軸方向外側表面が前記最終端部から離れる第2の位置との間において、ガイドの長手方向伸展部に当たる方向に(along a direction striking on a longitudinal extension of the guide)移動可能である。
【0079】
好ましくは、前記方向がガイドの前記長手方向伸展部に対して直交している。
【0080】
この変位は数センチメートルのものであり、半完成品が巻きつけ時にドラムに適切に付着するように、ドラムが半完成品に当たることを可能にする。
【0081】
好ましくは、シャトルは、半完成品の分配ステーションによって提供された半完成品を受け取るために、成形ドラムをその回転軸線を中心として回転するようにセットするためのデバイスを含む。
【0082】
シャトルには、ドラムを回転するようにセットし、それを前記直交方向に移動するための作動デバイスが設けられる。
【0083】
好ましくは、半完成品の前記分配ステーションは前記搬送面を含む少なくとも1つのコンベヤベルトを含む。
【0084】
コンベヤベルトは半完成品に対する連続的な支持面(rest surface)を提供する。
【0085】
図面の簡単な説明
さらなる特徴および利点は、本発明による車両用車輪のタイヤを組み立てるための方法、プロセスおよび装置の好適だが非排他的な実施形態の詳細な説明からさらに明らかとなろう。
【0086】
以下、この記載を非限定的な例によって提供される添付の図面を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】本発明による車両用車輪のタイヤを製造するための装置の平面図を概略的に示す。
図2】別の実施形態による図1に見られる装置の一部の図である。
図3a図2の装置の要素の立面側面図である。
図3b図3aに見られる要素の一変形形態を示す。
図3c図3aの要素のさらなる変形形態の一部を示す。
図4図1に見られる装置を使用して組み立てられたタイヤの半径方向半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
発明の好適な実施形態の詳細な説明
図1を参照すると、本発明による車両用車輪のタイヤを組み立てるための装置が全体として参照符号1により示される。
【0089】
前記装置において、本発明による方法およびプロセスを使用して製造されるタイヤ2を図4に示す。タイヤ2は主として、2つのカーカスプライ4a、4bを有するカーカス構造3を含む。気密弾性材料の層、すなわちいわゆるライナ5がカーカスプライ4a、4bの内部に貼付される。それぞれが半径方向外側位置に弾性充填材6bを担持するいわゆるビードコア6aを含む2つの環状固定構造6がカーカスプライ4a、4bの各々の端部フラップと係合している。環状固定構造6は、通常、タイヤ2の、各々の取り付けリムとの係合が行われる、通常「ビード」7と呼ばれる領域の近傍に一体化されている。いくつかのベルト層8a、8bを含むベルト構造8はカーカスプライ4a、4bの周りに周方向に貼付され、トレッドバンド9がベルト構造8に周方向に重なる。
【0090】
いわゆる「アンダーベルト」インサート10をベルト構造8と組み合わせることができ、それらのそれぞれは、カーカスプライ4a、4bと、ベルト構造8の軸方向両端エッジの1つとの間に配置されている。それぞれ対応するビード7からトレッドバンド9の対応するサイドエッジまで延在する2つのサイドウォール11がカーカスプライ4a、4bの側方対向位置に貼付される。
【0091】
タイヤ2の前記構成要素は前記ドラムを、半完成品の異なる分配ステーション間において移動させることにより、1つまたは複数のドラム上において製造される。そのそれぞれにおいて、適切なデバイスにより前述の半完成品を成形ドラムまたはドラム上に貼付する。
【0092】
添付の図に示される装置1は、カーカス組立ライン12を含み、そこでは、半完成品の異なる分配ステーション間において成形ドラム13が移動する。半完成品は、各成形ドラム13上において、カーカスプライ4a、4bを含むカーカススリーブと、ライナ5と、環状固定構造6と、おそらくはサイドウォール11の少なくとも一部と、を成形するために提供される。
【0093】
同時に、外側スリーブ組立ライン14において、1つのまたは小型補助ドラムが、順次、外側スリーブを各補助ドラム上において成形するように設計された異なるワークステーション間において移動する。外側スリーブは、少なくともベルト構造8と、トレッドバンド9と、おそらくはサイドウォール11の少なくとも一部と、を含む。
【0094】
装置は、外側スリーブがカーカススリーブに結合される組付ステーション15をさらに含む。
【0095】
組み立てられたタイヤ2は不図示の少なくとも1つの加硫および成型ユニットに最終的に移送される。
【0096】
カーカス組立ライン12は、好ましくは堆積ライン「L」に沿って真直に延びるガイド16を含む。ガイド16上に取り付けられているのは、不図示の適切なモータによって駆動され、ガイド16に沿って、かつ移動方向「S1」、「S2」の両方に移動可能なシャトル17である。シャトル17は成形ドラム13を一度に支持することができ、それを、ドラム13自体の長手方向の対称軸線および製造中のタイヤ2の回転軸線に一致する回転軸線「X−X」を中心として回転させる。示される実施形態では、ドラム13はシャトル17によって張り出した状態で担持される。シャトル17は成形ドラム13の中心軸の最終端部を保持するまたは解放するように適合された把持要素を含む。
【0097】
ガイド16のそば、および好ましくは、示されるように、ガイド16の側部のみに、互いの後に連続して配置された堆積位置18i、18ii、18iii、18iv、18v、18viがある(図1および図2の例では数は6)。より一般には、装置の他の不図示の変形形態においては、堆積位置の「n」の数には、好ましくは4〜10が含まれうる。
【0098】
前記堆積位置18i、18ii、18iii、18iv、18v、18viの少なくともいくつかはそれぞれ、半完成品の各々の分配ステーションを収容する。より一般には、好ましくは、分配ステーションによって占有される堆積位置18i、18ii、18iii、18iv、18v、18viの「m」の数には、好ましくは3〜10が含まれる。
【0099】
添付の図1に示すように、第1の堆積位置18iはライナ5を供給するための分配ステーション19を収容し、第2の堆積位置18iiおよび第3の堆積位置18iiiは空であり、第4の堆積位置18ivは第1のカーカスプライ4aを供給するための分配ステーション20を収容し、第5の堆積位置18vは空であり、第6の堆積位置18viは第2のカーカスプライ4bを供給するための分配ステーション21を収容する。したがって、図1に示される装置は、図4に示されるタイヤ2を組み立てるために提供される。
【0100】
添付の図2に示される別の実施形態によれば、第1の堆積位置18iは、(ライナと、アンダーライナと、耐摩耗性細長要素とを含む1つの半完成品として意図された)複合ライナ22aを供給するための分配ステーション22を収容し、第2の堆積位置18iiは、サイドウォールインサート23aを供給するための分配ステーション23を収容し、第3の堆積位置18iiiは空であり、第4の堆積位置18ivは、第1のカーカスプライ24aを供給するための分配ステーション24を収容し、第5の堆積位置18vは、エッジ25aを供給するための分配ステーション25を収容し、第6の堆積位置18viは、第2のカーカスプライ26aを供給するための分配ステーション26を収容する。したがって、図2に示される装置は、不図示のランフラットタイヤを組み立てるためのものである。
【0101】
言及した分配ステーション19、20、21、22、23、24、25、26のそれぞれは、図2の第1のカーカスプライ24aの分配ステーション24を参照して図3aに概略的に示されるものと同じ構造を実質的に有する。そのため、以下においては、分配ステーション24の構成要素の同じ参照符号が半完成品の他の分配ステーションの対応する構成要素に使用される。
【0102】
この分配ステーション24は、各々の第4の堆積位置18ivに配置されたフレーム27を含む。フレーム27は、作業工程中、各々の第4の位置18ivにロックすることができ、かつ前記第4の位置18ivから、好ましくは、フレーム27自体に取り外し可能な状態で固定された不図示の車輪によって取り去ることができる。フレーム27は、車輪30上において移動可能なキャリッジ29を収容するように設計された空間28の範囲を内部に定める。キャリッジ29は、供給用布地31に結合され、かつ回転自在であるか、動力を備えた回転可能なリール保持器32においてコイルに巻き取られる半完成品(当該ケースでは第1のカーカスプライ24a)を運搬する。
【0103】
フレーム27の上部の、キャリッジ29のための空間28の上方に、水平上部搬送面34を有する第1のコンベヤベルト33が配置される。この水平上部搬送面34は供給方向「F」に沿って前方に移動される。前記供給方向「F」に対する第1のコンベヤベルト33の下流側に、第1のコンベヤベルト33から始まり下方に傾斜した上部搬送面36を有する第2のコンベヤベルト35が連続的に配置される。この傾斜した上部搬送面36は供給方向「F」に沿って前方に移動される。2つの上部搬送面34、36は、キャリッジ29内においてコイルに巻かれた半完成品のための全体的な搬送面を画定する。この搬送面は、分配ステーション24が各々の堆積位置18ivにおいて取り付けられると、分配ステーション24の後部から始まり延びて、ガイド16において終端する。平面図(図1および図2)においては、供給方向「F」は前記ガイド16に対して垂直である。
【0104】
半完成品24aはリールから巻き出され、供給用布地31から分離される。供給用布地31は各々の回収リール37に巻き取られる。半完成品24aは花綱(festoon)を形成し、その後、キャリッジによって担持された、および/またはフレーム27に取り付けられた案内要素38(例えばローラ)によって、下から上に、分配ステーション24の後部の水平上部搬送面34まで案内および誘導される。
【0105】
図3bに示される一変形形態では、カーカスプライ24aと異なる種類の半完成品が押出機「E」によって搬送面34、36上に直接提供される。
【0106】
コンベヤベルト33、35の上部に配置されるのは、搬送面上に供給された半完成品24aを適当な大きさに切るための切断デバイス39である。図3aに概略的に示される切断デバイス39は第1のコンベヤベルト33と第2のコンベヤベルト35との間に配置されている。
【0107】
第2のコンベヤベルト35の最終端部40はガイド16の近傍に配置されているため、それによって担持されるシャトル17およびドラム13を全体的な搬送面34、36の最終端部の上方に配置することができる。シャトル17がガイド16に沿って移動するため、シャトル17はドラム13を各分配ステーション19、20、21、22、23、24、25、26の全体的な搬送面34、36のそれぞれの上方に運ぶことができ、シャトル17をこの位置において停止させることができる。
【0108】
図3cに示される別の実施形態では、例えば、タイヤの自己密封材料のストリップの堆積のために、搬送面34、36の最終端部40は成形ドラム13の上に配置されている。
【0109】
さらに好適な実施形態(図示せず)では、例えば、ナイロンコードを有する半完成品を巻く必要がある場合、搬送面34、36の最終端部40は成形ドラム13の回転軸線X−Xの高さに実質的に配置されている。
【0110】
シャトル17は、把持要素およびそれに固定されたドラム13を、ガイド16の長手方向伸展部に対して直交する方向において2方向V1、V2に垂直方向に移動するように適合された不図示の作動デバイスをさらに含む。したがって、ドラム13は、その半径方向外側表面13aが上部搬送面34、36に接近する第1の位置と、前記半径方向外側表面が前記全体的な搬送面34、36から離される第2の位置との間において移動可能である。
【0111】
半完成品の供給方向「F」はドラム13の巻き取り点の回転軸線「X−X」を含む面に対して垂直である。
【0112】
ガイド16の最終端部の1つに、装填および取り外し位置41が配置される。装填および取り外し位置41では、不図示の適切なデバイスによって、各成形ドラム13をシャトル17に装填することもシャトル17から取り外すこともできる。
【0113】
同様に装填および取り外し位置41に配置されるのは、環状固定構造6の配置およびカーカスプライ4a、4bの端部フラップの折り返しのための装置42と、折り返し部分を回転させるための装置43であるが、これらは公知であるため、これ以上は記載および図示しない。
【0114】
使用時、本発明の方法およびプロセスによれば、組み立てられるタイヤの製法に基づき、「n」堆積位置(示される例では数は6)のいくつかまたは全てに取り付けられるのは、「m」分配ステーション(図1では「m」は3に相当し、図2では「m」は5に相当する)である。
【0115】
装置1のセンサおよびモータに動作可能に連結された図2のみに示される制御ユニット「U」は、分配ステーションが各々の半完成品を既定の順序で各成形ドラム13上に配置するような手法でプログラムされている。
【0116】
図1の実施形態を参照すると、シャトル17は空の成形ドラム13を第1の堆積位置18iの近傍に運ぶ。この位置においては、ライナ5を供給する分配ステーション19は第2のコンベヤベルト35の搬送面36に静止して配置されたライナ5のストリップをすでに適当な大きさに切断している。この巻きつけ動作を補助するために搬送面36が供給方向「F」に沿って前方に移動する間、成形ドラム13はそれがライナ5のストリップを支持するまで下ろされ、それがライナ5の前記ストリップをその半径方向外側表面13aに完全に巻きつけるまで、回転するようにセットされる。巻きつけが完了すると、シャトル17は成形ドラム13を上昇させ、それを、第2の堆積位置18iiおよび第3の堆積位置18iiiを飛ばして、第1のカーカスプライ4aを受け取るための第4の堆積位置18ivに移動させ、その後、ライナ5に対して実施したのと同じ手法で第2のカーカスプライ4bを受け取るために第5の堆積位置18vに移動させ、カーカススリーブを成形する。
【0117】
図2の実施形態を参照すると、シャトル17は、第1の堆積位置18iおよび第2の堆積位置18iiまで移動してそこで停止し、第3の堆積位置18iiiは飛ばし、その後、第4の堆積位置18iv、第5の堆積位置18vおよび第6の堆積位置18viまで移動してそこで停止する。
【0118】
示される両実施形態(図1および図2)を参照すると、シャトル17は、その後、その移動方向を変え、装填および取り外し位置41に戻され、そこで、言及した適切なデバイスが、成形されたばかりのカーカススリーブが設けられた成形ドラム13を拾い上げ、それを環状固定構造6の配置用の装置42に移動させ、カーカスプライ4a、4bの端部フラップの折り返しを実施する。
【0119】
成形ドラム13は、その後、折り返し部分を回転させるための装置43に運ばれ、その後、組付ステーション15に運ばれる。
【0120】
組み立てられるタイヤの種類またはデザインを変更するため、カーカス組立ライン12では、半完成品の1つまたは複数の分配ステーションを除去および/または追加および/または交換すること、および/または堆積位置においてその位置を変更すること、および/またはキャリッジおよび/またはそれによって担持されるリールを交換すること、および/またはシャトル17がドラム13を半完成品の前記分配ステーションに運ぶ順序を変更することが可能である。半完成品の分配ステーションを適切に取り付けることによって、ドラム13を、例えば、まず、第6の堆積位置18viに、その後、第4の堆積位置18ivに、その後、第1の堆積位置18iおよび第2の堆積位置18iiに運ぶことができ、その後、再度、第6の堆積位置18viに、最後に、装填および取り外しステーション41に戻される。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4