(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6152144
(24)【登録日】2017年6月2日
(45)【発行日】2017年6月21日
(54)【発明の名称】香味ビーズを備えたプラグ−空間−プラグフィルタ
(51)【国際特許分類】
A24D 3/04 20060101AFI20170612BHJP
【FI】
A24D3/04
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-159601(P2015-159601)
(22)【出願日】2015年8月12日
(62)【分割の表示】特願2013-501984(P2013-501984)の分割
【原出願日】2011年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-192684(P2015-192684A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/318,248
(32)【優先日】2010年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アレン ジェフリー リン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ ドゥワイト ディー
(72)【発明者】
【氏名】ロンゲスト ケーリー
(72)【発明者】
【氏名】リー ロバート イー
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−539717(JP,A)
【文献】
特表2008−531008(JP,A)
【文献】
特開平07−203934(JP,A)
【文献】
特開2008−035861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品のためのフィルタ構成要素であって、
フィルタ材料の上流セグメントと、
前記フィルタ材料の上流セグメントに対してその間に空洞を形成するように離間した関係のフィルタ材料の下流セグメントと、
前記空洞に配置された単一の粉砕可能な香味カプセルと、
を含み、
前記空洞の上流端は、前記フィルタ材料の上流セグメントによって形成され、前記空洞の下流端は、前記フィルタ材料の下流セグメントによって形成されており、前記香味カプセルは、前記フィルタ材料の上流セグメント及び前記フィルタ材料の下流セグメントの前記離間した関係の少なくとも75%の外径を有し、該香味カプセルの該外径は、前記フィルタ材料の上流セグメント及び下流セグメントのいずれの外径も超えず、
前記フィルタ材料の上流セグメントは前記フィルタ構成要素のセグメントの最低吸引抵抗を有し、前記フィルタ材料の上流セグメント、前記フィルタ材料の下流セグメント、及び前記香味カプセルは、フィルタ包装紙によって取り囲まれ、1つ又はそれよりも多くの穿孔の列が、フィルタ包装紙を通して前記フィルタ構成要素の上流端部分に形成される、
ことを特徴とするフィルタ構成要素。
【請求項2】
前記フィルタ材料の下流セグメントの下流端上の窪んだセグメントを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項3】
前記フィルタ材料の下流セグメントは、前記フィルタ材料の上流セグメントの長さの少なくとも2倍である長さを有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項4】
前記フィルタ材料の上流セグメントは、長さが約5ミリメートルと約10ミリメートルの間であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項5】
前記フィルタ材料の下流セグメントは、長さが約5ミリメートルと約20ミリメートルの間であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項6】
前記空洞は、長さが約5ミリメートルと約7ミリメートルの間であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項7】
前記香味カプセルは、約4.5ミリメートルから約5ミリメートルの直径を有する球状体の形態にあることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項8】
前記香味カプセルは、ポリマー被覆メントール処理香味カプセルであることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ構成要素。
【請求項9】
タバコロッドと、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフィルタ構成要素と、
を含むことを特徴とする喫煙物品。
【請求項10】
フィルタ材料の上流セグメント、フィルタ材料の下流セグメント、及び単一の粉砕可能な香味カプセルを含む、フィルタ構成要素を製造する方法であって、
フィルタロッド形成装置のフィルタロッド形成部分の上に第1の長さを有する前記フィルタ材料の下流セグメントを分配する段階と、
前記フィルタロッド形成部分の上に前記フィルタ材料の下流セグメントに対してその間に空洞を形成するように離間した関係で第2の長さを有する前記フィルタ材料の上流セグメントを分配する段階であって、前記空洞の上流端は、前記フィルタ材料の上流セグメントによって形成され、前記空洞の下流端は、前記フィルタ材料の下流セグメントによって形成される、前記段階と、
前記空洞内に前記単一の粉砕可能な香味カプセルを置く段階と、
前記フィルタ材料の下流セグメント、前記フィルタ材料の上流セグメント、及び前記香味カプセルをフィルタ包装紙で取り囲んで、フィルタアセンブリを得る段階と、
1つ又はそれよりも多くの穿孔の列を、フィルタ包装紙を通して前記フィルタアセンブリの上流端部分に形成する段階と、
を含み、
前記香味カプセルは、前記フィルタ材料の上流セグメント及び前記フィルタ材料の下流セグメントの前記離間した関係の少なくとも75%の外径を有し、
前記香味カプセルの前記外径は、前記フィルタ材料の上流セグメント及び前記フィルタ材料の下流セグメントの外径を超えず、また、
前記フィルタ材料の上流セグメントは前記フィルタ構成要素のセグメントの最低吸引抵抗を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記フィルタ材料の下流セグメントの少なくとも2つのセグメントと、前記フィルタ材料の上流セグメントの少なくとも2つのセグメントと、前記フィルタ材料の下流セグメントと前記フィルタ材料の上流セグメントの間に形成された前記空洞内の少なくとも2つの香味カプセルとを含むフィルタロッドを形成する段階を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルタロッドをフィルタ包装紙で取り囲む段階を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタ材料の下流セグメント又は前記フィルタ材料の上流セグメントのいずれかに隣接する凹部セグメントを形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
喫煙物品、特にシガレットは、一般的に、包装紙によって囲まれた細断タバコ(通常、切断した充填物形態の)のタバコロッドと、タバコロッドと端と端を接続した関係で整列した円筒形フィルタとを含む。タバコロッドは、一般的に、直径が約6.0ミリメートルと約10.0ミリメートルの間、及び長さが約50ミリメートルと約125ミリメートルの間である。
【0002】
典型的には、フィルタは、先端紙によってタバコロッドに取り付けられたセルロースアセテートトウのプラグを含む。主流煙の通気は、フィルタに沿った位置の周の1つ又は複数列の穿孔を用いて達成することができる。
【0003】
メントールのような香味料がシガレットフィルタに溶液の形態で適用される時に、特に大量の溶剤中のメントールの充填度が高い場合、シガレットの外面にしみ又はよごれが発生する可能性がある。更に、メントールのような香味料のシガレットフィルタに対するそのような直接適用は、喫煙中のメントール放出の調節を考慮せず、かつシガレット保管中のメントールの移動及び損失をもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,263,999号明細書
【特許文献2】米国特許第5,997,691号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、メントールのような追加の香味料を主流煙に提供し、かつ既存のフィルタ形成機器を用いて容易に製造かつ生成することができる喫煙物品のためのフィルタ構成要素を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的実施形態により、喫煙物品のためのフィルタ構成要素は、フィルタ材料の上流セグメントと、フィルタ材料の上流セグメントに対してその間に空洞を形成するように離間した関係のフィルタ材料の下流セグメントと、空洞に配置されたタバコ粒子と水とを含む単一の香味ビーズとを含む。香味ビーズは、好ましくは、フィルタ材料の上流セグメント及びフィルタ材料の下流セグメントの離間した関係の少なくとも75%である外径を有し、香味ビーズの外径は、フィルタ材料の上流セグメント又は下流セグメントのいずれの外径も超えない。
【0007】
「離間した関係」は、フィルタ材料の上流セグメントとフィルタ材料の下流セグメントの間の縦方向距離(すなわち、空洞の長さ)を意味する。
【0008】
フィルタ材料の上流セグメント及び下流セグメントの各々は、セルロースアセテートトウのプラグを含むことができる。
【0009】
別の例示的実施形態により、喫煙物品は、タバコロッドと、フィルタ材料の上流セグメント、フィルタ材料の上流セグメントに対してその間に空洞を形成するように離間した関係のフィルタ材料の下流セグメント、及び空洞に配置されたタバコ粒子と水とを含む単一の香味ビーズを含むフィルタ構成要素(又は多構成要素フィルタ)とを含み、香味ビーズは、フィルタ材料の上流セグメント及びフィルタ材料の下流セグメントの離間した関係の少なくとも75%の外径を有し、香味ビーズの外径は、フィルタ材料の上流又は下流セグメントいずれの外径も超えない。
【0010】
フィルタ構成要素は、フィルタ材料の上流セグメント、フィルタ材料の下流セグメント、及び香味ビーズを取り囲むフィルタ包装紙を含むことができる。
【0011】
喫煙物品は、更に、フィルタ構成要素の外側周囲回りに通気部を含むことができる。
【0012】
更に別の例示的実施形態により、フィルタ構成要素を製造する方法は、第1の長さを有する第1のフィルタセグメントをフィルタロッド形成装置のフィルタロッド形成部分の上に分配する段階と、フィルタロッド形成部分の上に第2の長さを有する第2のフィルタセグメントをその間に空洞を形成するように第1のフィルタセグメントに対して離間した関係で分配する段階と、タバコ粒子と水とを含む単一の香味ビーズを空洞内に置く段階と、第1のフィルタセグメント、第2のフィルタセグメント、及び香味ビーズをフィルタ包装紙を用いて取り囲む段階とを含む。
【0013】
本方法は、第1のフィルタセグメントの少なくとも2つのセグメントと、第2のフィルタセグメントの少なくとも2つのセグメントと、第1のフィルタセグメントと第2のフィルタセグメントの間に形成された空洞内の少なくとも2つの香味ビーズとを含むフィルタロッドを形成する段階を含むことができる。
【0014】
好ましくは、本方法は、フィルタ包装紙を用いてフィルタロッドを取り囲む段階を更に含む。
【0015】
好ましくは、本方法は、フィルタロッドを少なくとも1つの香味ビーズを有する複数の個々のフィルタ構成要素に切断する段階を更に含む。
【0016】
好ましくは、本方法は、フィルタ構成要素及びタバコロッドが端と端を接続した関係で軸線方向に整列するように、タバコロッドを個々のフィルタ構成要素のタバコ端部に隣接して置く段階を更に含み、かつ喫煙物品を形成する。
【0017】
図面は、単なる例示であり、本明細書に示す様々な実施形態を制限するように解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】実施形態によるフィルタロッドの断面図である。
【
図4】更に別の実施形態による喫煙物品の断面図である。
【
図5】別の実施形態によるフィルタロッドの断面図である。
【
図6】例示的な実施形態に従ってフィルタ構成要素を形成する方法の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的実施形態により、
図1に示すように、喫煙物品100は、取り囲む外側包装紙130に収容された喫煙材料120(
図2に示す)のほぼ円筒形のロッド110を含む。外側包装紙130は、典型的には多孔性包装材料又は包装紙である。ロッド110は、典型的には「タバコロッド」と呼ばれ、かつ着火端部112及び唇側端部114を有する。従って、タバコロッド110は、その着火端部112からその反対端(すなわち、唇側端部114)に向けて後方に燃焼し、喫煙期間中の燃焼によってタバコロッド110の喫煙材料120が消費される。喫煙材料120は、好ましくは、細断タバコ又はタバコ切断充填物である。しかし、あらゆる適切な喫煙材料120を使用することができる。
【0020】
喫煙物品100はまた、フィルタシステム140及びタバコロッド110が、端と端を接続した関係、好ましくは、互いに当接する関係で軸線方向に整列するようにタバコロッド110の唇側端部114に隣接するフィルタシステム140を含む。フィルタシステム140は、ほぼ円筒形形状を有し、その直径が基本的にタバコロッド110の直径に等しい。フィルタシステム140の端部(すなわち、上流端146(
図2に示す)及び下流端148)は、開放しており、そこを通って空気及び煙が通過する。喫煙物品100が、タバコロッド110及びフィルタシステム140を含み、一般的に直径が約6.0ミリメートルと約10.0ミリメートルの間であり、長さが約75ミリメートルと約150ミリメートルの間であることを認めることができる。
【0021】
本明細書では、フィルタセグメントと他の特徴部の間の相対位置「上流」及び「下流」は、主流煙がタバコロッド110からフィルタシステム140を通して吸引される時にその方向に関連して説明される。
【0022】
例示的実施形態により、フィルタシステム140は、フィルタ包装紙(又はプラグラップ)144によって取り囲まれた複数のフィルタセグメント230、240(
図2)を含む。フィルタ包装紙(又はプラグラップ)144は、好ましくは、カーボン材料を任意的に組み込む紙である。好ましくは、フィルタ包装紙(又はプラグラップ)144は、フィルタシステム140の全長を取り囲む。フィルタシステム140は、フィルタシステム140の全長及びタバコロッド110の隣接領域の両方を取り囲む先端材料150によってタバコロッド110に取り付けられる。先端材料150は、一般的に紙状の製品であるが、あらゆる適切な材料を使用することができる。先端材料150の内面は、適切な接着剤を使用して、フィルタ包装紙(又はプラグラップ)144の外面及びタバコロッド120の包装材料130の外面に固定される。通気又は空気希釈喫煙物品には、一連の通気孔又は穿孔101のような空気希釈手段が提供され、その各々は、先端材料150及び任意的にフィルタ包装紙(又はプラグラップ)144を通って延びることができる。
【0023】
図2に示す例示的実施形態により、喫煙物品200は、タバコロッド210と、フィルタシステム(又は多構成要素フィルタ)220とを含み、これは、上流フィルタ構成要素230と、上流フィルタ構成要素230に対してその間に空洞250を形成するように離間した関係の下流フィルタ構成要素240と、空洞に配置された香味ビーズ260とを含むプラグ−空間プラグフィルタサブアセンブリを含む。上流フィルタ構成要素230は、タバコロッド210に隣接して位置付けられ、かつ好ましくは低吸引抵抗(RTD)のセルロースアセテートトウ232のプラグ又は中間から低い範囲の低粒子効率の他の適切な繊維状又はウェブ状材料を含む。例示的実施形態により、上流フィルタ構成要素230は、高速機械加工の限界内でできるだけ短く作られ、好ましくは、多構成要素フィルタを含むフィルタ構成要素の中で最も低い粒子RTDを有する。
【0024】
下流フィルタ構成要素240(又は唇側端部(頬側)構成要素)は、好ましくは、セルロースアセテートプラグ242、又は中間から低い範囲の粒子効率の他の適切な繊維状又はウェブ状材料の形態をしている。好ましくは、その粒子効率は低く、フィルタの望ましい全RTDが達成されるようにデニール又は全デニールが選択される。
【0025】
好ましくは、穿孔(図示せず)の1つ又はそれよりも多くの周方向列は、フィルタ220に沿った位置に、好ましくは、フィルタ220の上流端部分にフィルタ包装紙280及び先端紙290によって形成される。例示的実施形態により、穿孔の1つ又はそれよりも多くの周方向列は、喫煙者の唇が穿孔を遮らないように、喫煙物品200の頬側端部(又は唇側端部)214と好ましくは少なくとも12ミリメートル又はそれよりも長い穿孔との間の最大距離の位置に配置される。更に、フィルタ220自体の上流端部分を流れる希釈空気の導入により、セグメントの下流部分の粒子効率が低下するために、フィルタ構成要素に沿った通気部の上流位置によって粒子効率を有意に上げることなくより高い(しかし、中間の)RTDを提供する設計が容易になり、それによって中心構成要素で及びフィルタを通して望ましい低い粒子効率を維持することを容易にする。
【0026】
図2に示すように例示的実施形態により、タバコロッド210の長さは、約50ミリメートルから約80ミリメートル、より好ましくは、約55ミリメートルから約65ミリメートル、最も好ましくは、約56ミリメートルである。フィルタ220の長さは、好ましくは、約20ミリメートルから約35ミリメートル、最も好ましくは、約27ミリメートルである。一部の実施形態での喫煙物品のフィルタ構成要素の長さは、上流フィルタ構成要素230が、好ましくは約7ミリメートル、香味ビーズ260を封入する空間又は空洞250が、好ましくは約6ミリメートル、下流フィルタ構成要素(すなわち、唇側端部構成要素)240が、好ましくは約14ミリメートルである。同じく好ましくは、上流フィルタ構成要素230、香味ビーズ240、及び下流フィルタ構成要素240は、フィルタ包装紙280によって取り囲まれるか又は外接される。
【0027】
上流及び下流フィルタ構成要素230、240の粒子効率が好ましく低いことを認めることができる。同じく好ましくは、全ての繊維状又はウェブ状セグメントの中で、上流端構成要素は、それが通気部の上流であり、従って、主流煙に対してより大きい効果を有するためにRTD及び粒子効率が最も低い。それらの他の繊維状又はウェブ状セグメントと異なり、上流端構成要素は、希釈空気流れのない主流煙を受け入れる。
【0028】
図示の実施形態に関連して特定の寸法を開示するが、そのような寸法は、上流及び下流フィルタ構成要素230、240及びフィルタ220内の香味ビーズ260に対して異なる構成を提供するために変わる可能性がある。
【0029】
タバコロッド210は、従来のシガレット包装紙を用いて包むことができ、又はこの目的で帯型紙を使用することができる。帯型シガレット紙は、喫煙物品がくすぶった状態でそこに残された場合に基体が燃焼する危険性を低減するようにシガレットの質量燃焼速度を修正するようにシガレットの完成タバコロッドを取り囲む離間した一体化セルロースバンドを有する。米国特許第5,263,999号明細書及び第5,997,691号明細書は、帯型シガレット紙を説明しており、それらの特許は、全ての目的のために本明細書にその全開示内容が組み込まれている。
【0030】
例示的実施形態により、香味ビーズ260は、タバコビーズの形態をしている。例示的実施形態により、香味ビーズ260は、結合剤成分を付加せずに本質的にタバコ粒子、水、及び任意的な香味料から構成される。香味ビーズは、押し出し成形及び/又は球形化することができる。代替的に、香味ビーズ260は、好ましくは、セルロース材料の付加結合剤成分を更に収容することができる。好ましいセルロース材料は、微結晶性セルロースである。付加的な乾燥及び液状結合剤は、ビーズと同様に付加的な香味料及び充填物内に存在することができる。必要に応じて、香味ビーズ260は、1つ又はそれよりも多くのコーティング262を含むことができる。メントール化香味ビーズを形成するためにメントール結晶体のような香味料が使用され、及び/又は他の香味料も香味ビーズ260及び/又は香味ビーズ260のコーティング262に追加することができる。しかし上に指摘したように、香味ビーズ260は、好ましくは、水以外に結合剤添加剤が追加されずに互いに保持されたタバコ粒子と水を含むビーズである。
【0031】
理論に束縛されることを望まないが、香味ビーズ260の下流位置では、フィルタを通過するタバコ煙の温度が本質的にほぼ室温又はその付近に冷却された状態にある。シガレットのコールからの熱が(又は水分のいずれの追加も)存在しないにも関わらず、香味ビーズ260が、香味付けされた煙を生成するように主流煙に香味を放出するのに有効であることが分かった。香味ビーズ260から放出された香味は、生成中にタバコ源及び/又はビーズ260に追加された香味に固有の香味である。香味ビーズ260を使用して気付く経口感覚は、強化されたタバコ特性に関連する。好ましくは、タバコ粒子及び/又は香味構成要素からの香味は、本質的に周囲条件の下で主流タバコ煙内に放出される。
【0032】
例示的実施形態により、香味ビーズ260は、フィルタ220が外力を受けた時に香味ビーズがメントールのような香味料又は添加剤材料の少なくとも一部分を放出する粉砕可能なカプセル又はビーズとすることができる。
【0033】
例示的実施形態により、香味ビーズ260は、事前形成される。香味料は、香味を作る工程中に含ませるか、又は後でビーズに追加することができる。代替的に又は追加的に、香味料は、ビーズのコーティングに追加することができ、そのコーティングは、ビーズ260の構成要素の制御された放出を提供するという付加的な機能を有することができる。ビーズを調製するのに使用される工程に応じて、ビーズを調製する工程中に又は事前形成したビーズに対して揮発性の香味料を追加することができる。ビーズ260を調製する方法に応じて、ビーズを調製する工程時よりも事前形成したビーズに揮発性香味料を追加することがより好ましいことがある。液体化合物は、例えば、揮発性香味及び希釈剤などを含有している液体調剤をビーズに例えば含浸させることによってビーズ260に追加することができる。代替的に、ビーズに混合することによって又はビーズの流動化ベッドスプレーによって又は他の適切な方法により、ビーズに化合物及び組成物を追加することができる。
【0034】
香味ビーズ260の機能性は、より多くの活性化合物の制御された送出放出を有するように調整することができることも認めることができる。例えば、ビーズ260からの香味の拡散は、ビーズの多孔性及び密度により、並びにビーズに追加されたあらゆる制御放出コーティングによって調整することができる。例えば、ビーズ260は、活性化合物の送出及び放出を制御するために、異なる機能性のポリマーコーティング及び/又は組成物(例えば、用途に応じて1つの又は複数の保護膜)を用いてオーバーコートすることができる。
【0035】
別の態様では、香味ビーズ260は、ビーズ調製物の構成要素中で自然に発生する香味を送出するための送出システムとして作用することができる。代替的に、香味ビーズは、マイラード反応、酵素反応、又は他の種類の反応により自然に発生する香味を作り出すための及び/又は強化するための媒質として作用することができる。ビーズ260は、調製後にビーズ260の熱処理によって変えるか又は強化することができると更に考えられる。熱処理は、マイラード反応及び酵素反応のような反応、及びそれによってそれらのビーズを収容する喫煙物品の香味を更に強化することができる。
【0036】
別の実施形態は、ビーズ製造工程中に添加剤を追加することによって香味ビーズ260を更に強化することができることを考えている。これは、煙を自然に強化するように成分間のマイラード反応のような反応によって香味料、並びに香味料の形成を強化すると考えられる成分のような添加剤を含むことができる。任意的な香味料は、実用的に制限されない香味材料を含むが、水に溶ける、アルコールに溶ける、及び油に溶ける香味が好ましい。典型的な香味は、ラベンダー、シナモン、カルダモン、セルリー、コロハ種子、カスカリラ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜜精、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、カッシア、カラウェー、コニャック、ジャスミン、カモミール、メントール、カッシア、イランイラン、セージ、スペアミント、ジンジャー、コリアンダー、及びコーヒーを含む。香味の各々は、単独で又は他のものと混ぜて使用することができる。必要に応じて、タバコビーズに希釈剤を追加することができる。この目的に使用することができる希釈剤は、以下に限定されるものではないが、とうもろこしでんぷん及びジャガイモでんぷん、米粉末、炭酸カルシウム、珪藻土、タルク、酢酸塩粉末、及びパルプフロックのような粉末状でんぷんを含む。任意的な香味料はまた、固体母材(液体香味料のでんぷんによるスプレー乾燥)形態とすることができる。任意的な香味料はまた、固体、液体、又はゲルの形態とすることができる。任意的な香味料は、重量比で50%の量(例えば、0.1%から5%、5%から10%、10%から15%、15%から20%、20%から25%、25%から30%、30%から35%、35%から40%、40%から45%、又は45%から50%)でタバコビーズ内に存在することができる。
【0037】
非タバコセルロース材料のような添加結合剤を含有するタバコ粒子の場合には、微結晶性セルロース(MCC)は、タバコ粒子と組み合わされた好ましいセルロース材料である。様々な香味担体が、揮発性香味化合物を主流煙に放出するために熱又は水を必要とすることがあるのに対して、香味ビーズ及び/又はタバコビーズ260を含有するセルロース結合剤は、周囲条件の下で香味成分を放出することができる。
【0038】
香味ビーズ260は、好ましくは、約3.5ミリメートルから約10.0ミリメートルの範囲、より好ましくは、約4.0ミリメートルから約7.0ミリメートル、最も好ましくは、約4.5ミリメートルから約5.0ミリメートル(及びこれらの範囲のあらゆる0.1の値)の直径を有する「球状体」形状をしている。香味ビーズ260(又は球状体)は、丸い又は長円形構造とすることができる。例示的実施形態により、香味ビーズ260の外径は、好ましくは、フィルタ材料の上流セグメント(又は上流フィルタ構成要素)230とフィルタ材料の下流セグメント(又は下流フィルタ構成要素)240との離間した関係の少なくとも75%であり、かつ香味ビーズ260の外径は、フィルタ材料の上流セグメント又はフィルタ材料の下流セグメントのいずれの外径も超えない外径を有する。
【0039】
タバコビーズの形態の香味ビーズ260は、シガレットの主流煙の香味付けに使用され、これは、標準のタバコ混合物が標準の着火端部シガレットのタバコロッドに使用され、かつ異なるシガレット製品の望ましい風味属性(例えば、普通、軽い、上限の香味のような)が主流煙の望ましい風味を達成するのに有効な香味料を含有するタバコビーズ260によって提供されることを可能にすることを認めることができる。
【0040】
好ましい実施形態は、単に例示的であり、いずれの点でも制限的であると見なすべきではない。本発明の範囲は、以上の説明ではなくむしろ特許請求の範囲によって与えられ、特許請求の範囲に該当する全ての変形及び均等物は、そこに含まれるように意図している。更に、本発明は、様々な周囲長さ、細いシガレット及び幅広いシガレットに実施することができる。また、本発明は、好ましくは、香味付けされていないタバコロッドを用いて実施されるが、香味付けされたタバコ充填物も考えられる。
【0041】
本明細書で使用される用語「約」及び/又は「ほぼ」は、定められた数値又は範囲に関連して使用される場合、定められた値又は範囲よりも幾分多いか又は幾分少ない定められた値の±10%の範囲の値を意味する。
【0042】
フィルタ220は、連続的に又は同時に上流及び下流のプラグ−空間プラグ区画を作って充填することによって製造されることを認めることができる。例えば、
図3に示すように、連続フィルタロッド300は、上流フィルタセグメント230、香味ビーズ260を含有する空洞250、及び下流フィルタセグメント240に対応する反復セグメントを用いて製造することができ、これは、下流フィルタセグメント240の所望長さの2倍であり、これは、フィルタ形成装置(又はフィルタ結合器)のフィルタロッド形成部分に配置される。香味ビーズ260を含有する第2の空洞250、上流フィルタセグメント230の所望長さの2倍である別の上流フィルタセグメント230、香味ビーズ260を含有する第3の空洞250、上流フィルタセグメント240の所望長さの2倍である別の下流フィルタセグメント240、香味ビーズ260を備えた第4の空洞250、及びフィルタ材料の上流セグメントが、フィルタロッド装置のフィルタロッド形成部分に追加される。セグメント230、240及び香味ビーズ260を備えた空洞250の各々は、次に、フィルタ包装紙(又はプラグラップ)に取り囲まれ、
図2に示す個々のフィルタ構成要素220に切断される。
【0043】
図3に示すように、連続フィルタロッド300は、長さがほぼ108ミリメートルであり、個々のフィルタ構成要素220に切断された時に、長さがほぼ27ミリメートルの4つのフィルタ構成要素220を含む。例示的実施形態により、4つの個々のフィルタ構成要素220の各々は、長さが約7ミリメートルの上流フィルタセグメント230、長さが約14ミリメートルの下流フィルタセグメント240、及び空洞250内に香味ビーズ260を含む。例示的実施形態により、空洞250は、長さが約6ミリメートルである。上述のように、図示の実施形態に関連して特定の寸法が開示するが、そのような寸法は、上流及び下流フィルタ構成要素230、240及びフィルタ220内の香味ビーズ260に対して異なる構成を提供するために変わる可能性がある。
【0044】
例示的実施形態により、香味ビーズ260は、フィルタ材料230の上流フィルタセグメント及びフィルタ材料240の下流フィルタセグメントの離間した関係の少なくとも75%であり、香味ビーズ260の外径264は、フィルタ構成要素200及び/又はフィルタ材料230、240の上流又は下流セグメントの外径224を超えない外径264を有する。例えば、長さが約6ミリメートルの空洞250の場合、香味ビーズ260は、好ましくは、約4.5ミリメートル又はそれよりも大きい外径264を有する。
【0045】
別の例示的実施形態により、喫煙物品400は、先端紙412によって互いに保持された長さが約58ミリメートルのタバコロッド410と、長さが約25ミリメートルのフィルタ又はフィルタ構成要素420とを含む。フィルタ420は、香味ビーズ460収容する空洞450及びフィルタ材料440の下流セグメントの下流端の凹部470を形成するようにフィルタ材料440の下流セグメントに対して離間した関係のフィルタ材料430の上流セグメントを含む。フィルタ420の下流端(又は唇側端部)から、セグメントは、好ましくは、5ミリメートル長さの凹部470、好ましくは、セルロースアセテート(CA)プラグの形態のフィルタ材料440の10ミリメートル長さの下流セグメント、香味ビーズ460を含有する5ミリメートル長さの空洞450、及び好ましくは、別のセルロースアセテート(CA)プラグの形態のフィルタ材料430の5ミリメートル長さの上流セグメントを含む。
【0046】
図5に示すように、連続フィルタロッド500は、フィルタ材料430の上流セグメント、香味ビーズ460を含有する空洞450、フィルタ材料440の下流セグメント、及び凹部470の切断された又は望ましい長さの2倍の凹部480に対応する反復セグメントを用いて製造することができ、これは、フィルタ形成装置の形成部分に配置される。フィルタ材料440の別の下流セグメント、香味ビーズ460を備えた空洞450、フィルタ材料430の上流セグメント、香味ビーズ460を備えた別の空洞450、フィルタ材料440の下流セグメント、凹部470の所望長さの2倍の凹部480、フィルタ材料440の別の下流セグメント、香味ビーズ460を備えた別の空洞450、及びフィルタ材料430の上流セグメントが、次に、フィルタ形成装置のロッド形成部分に追加される。ロッド全体が、フィルタ包装紙に取り囲まれ、次に、タバコロッド410との組み付けのために個々のフィルタ構成要素420に切断されて
図4に示す喫煙物品400が形成される。
【0047】
図5に示すように、例示的実施形態により、連続ロッド500は、長さが約100ミリメートルであり、長さが約25ミリメートルの4つのフィルタ構成要素420に切断することができる。各個々のフィルタ構成要素420は、5ミリメートルの凹部470,フィルタ材料440の10ミリメートルの下流セグメント、ビーズ460が配置された5ミリメートルの空洞450、及びフィルタ材料430の5ミリメートルの上流セグメントを含む。
【0048】
例示的実施形態により、
図6は、フィルタ(又はフィルタ構成要素)220、420及び/又は
図2−5に示す連続フィルタロッド300、500を製造するためのシステム600を示している。
図6に示すように、システム600は、好ましくは、それぞれ、第1の長さ(すなわち、第1のフィルタセグメント)612及び第2の長さ(すなわち、第2のフィルタセグメント)622を有するフィルタセグメントを収容する少なくとも2つのホッパ610、620と、所望直径の香味ビーズ632が充填されているホッパ630とを含む。第1及び第2のフィルタセグメント612、622は、その間に空洞を形成するように、フィルタ結合器640(又はフィルタ形成装置)に対して離間した関係に置かれる。香味ビーズ632が、次に、空洞に配置され、連続フィルタロッド650が形成されるまで工程が反復される。フィルタセグメント612、622及び別々の香味ビーズ632は、次に、フィルタ包装紙652を用いて包まれて連続フィルタロッド650が形成され、それは、次に、個々のフィルタ構成要素に切断される。
【0049】
球状物体又はビーズを空洞内に配置する真空ホイール及び/又は他の公知の方法のような重力、真空補助法による香味ビーズの分配を含むあらゆる公知の方法により、香味ビーズ632を空洞内に配置又は位置決めすることができることを認めることができる。
【0050】
切断前の連続フィルタロッド650は、好ましくは、第1のフィルタセグメント612の少なくとも2つのセグメント、第2のフィルタセグメント622の少なくとも2つのセグメント、及び少なくとも2つの香味ビーズ632を第1のフィルタセグメントと第2のフィルタセグメントの間に形成された空洞に含む。フィルタセグメント612、622は、次に、濾紙又はプラグラップ652に包まれ、少なくとも1つの香味ビーズ630をそこに有する複数のフィルタ構成要素660に切断される。個々のフィルタ構成要素660は、タバコロッドに組み付けられて喫煙物品670を形成する。
【0051】
別の例示的実施形態により、付加的なホッパ680は、窪んだフィルタセグメント682を含み、
図4及び
図5に説明及び図示のように第1のフィルタセグメント及び/又は第2のフィルタセグメントのいずれかに隣接配置することができる。第1のフィルタセグメント及び/又は第2のフィルタセグメントのいずれかに隣接する凹部も、例えば、第1又は第2のフィルタセグメント612、622の隣接する対をフィルタ結合器640に対して離間した関係に配置するような他の方法で形成することができることは認められるであろう。
【0052】
以上の説明は、好ましい実施形態に関するものであり、物品及びそれを製造する方法を単に代表するものであることを理解すべきである。異なる実施形態の変形及び修正が上述の教示に照らして当業者に容易に明らかになることを認めることができる。従って、例示的実施形態並びに代替的な実施形態は、添付の特許請求の範囲で説明する物品及び方法の精神から逸脱することなく行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
200 喫煙物品
220 フィルタ構成要素
230 フィルタ材料の上流セグメント
240 フィルタ材料の下流セグメント
250 空洞
260 香味ビーズ