(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カソードバルク層をさらに含み、前記カソード機能層が、前記電解質層と前記カソードバルク層の間にある、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図と組み合わせた以下の記載は、本明細書に開示されている教示の理解を補助するのに提供される。以下の議論は、該教示の具体的な実行および実施形態に焦点を当てる。この焦点は、該教示の記載を補助するのに提供され、該教示の範囲または適用可能性の限定として解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書において用いられているとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、または任意の他の変形体は、非排他的な包含をカバーすることが意図される。例えば、特徴の列挙を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの特徴に限定されず、明確に列挙されていないまたはかかるプロセス、方法、物品もしくは装置に固有の他の特徴を含むことができる。さらに、反対であると明確に記述されていない限り、「または(or)」は、包括的な−または−を称するのであって、排他的な−または−を称するのではない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真(または存在)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在)、ならびにAおよびBの両方が真(または存在)。
【0011】
「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、本明細書に記載の要素および構成成分を記載するのに使用される。これは、単に便宜上なされるものであり、本発明の範囲の一般的な意味を付与するためのものである。当該記載は、1つまたは少なくとも1つを含むと読み取られるべきであり、他のことが意味されていることが明らかでない限り、単数形は、複数形も含み、その逆も然りである。
【0012】
本明細書において用いられているとき、句「平均粒径」は、当該分野においてd
50とも一般に称されるメジアン粒径を称する。
【0013】
別途定義されていない限り、本明細書において用いられている全ての技術的科学的用語は、本発明が属する分野において通常の知識を有する者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。材料、方法および例は、単に説明的であり、限定的であることは意図されていない。
【0014】
本明細書に記載の実施形態によると、SOFC用の電極の層を作製するように構成される原料粉末材料は、イオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料を含有することができる。少なくとも、本明細書に記載の、イオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))対電子伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(e))の比を制御することにより、層、例えば、原料粉末から作製されるカソード機能層が、SOFCにおいて、増加した空隙率、増加したTPB部位、および増加した電力密度を示すことができる。
【0015】
ここで
図1を参照すると、SOFC単位セルは、アノード層103、カソード層105、およびアノード層103とカソード層105との間の電解質層101を含むことができる。
図2にさらに示すように、アノード層103は、電解質に隣接するアノード機能層109と、アノード機能層109を覆うアノードバルク層107とを含むことができ、カソード層105は、電解質に隣接するカソード機能層111と、カソードバルク層113とを含むことができる。
【0016】
本明細書に示す単位セル100における成分層を組み立てる前に、該層のそれぞれを個々に形成することができる。すなわち、該層を(例えば、グリーン層として)別個に形成し、一緒に単位セル100に組み立てることができる。代替的には、該層を(例えば、グリーン状態で)互いに連続して形成してもよい。特定の実施形態において、グリーンSOFC単位セル100は、単一の焼結プロセス(例えば、単一の、自由焼結プロセス)、または圧力補助焼結プロセス(例えばホットプレス(HP)、焼結鍛造など)において焼結されてよく、また、共焼結プロセス(2つ以上の成分層を一緒に同時に焼結する)において焼結されて、焼結されたSOFC単位セルを形成してもよい。
【0017】
本明細書において、「グリーン」物品への言及は、緻密化または粒成長に影響する焼結を経ていない材料への言及である。グリーン物品は、乾燥されて低含水量を有していてよいが焼成されていない未仕上げの物品である。グリーン物品は、それ自体およびその上に形成された他のグリーン層を支持するのに好適な強度を有することができる。
【0018】
以下により詳細に記載されている、本明細書における実施形態に従って記載されている層は、限定されないが、ホットプレス、鋳造、堆積、印刷、押出、積層、金型プレス、ゲル鋳造、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ロール圧縮、射出成形、およびこれらの組み合わせを含めた技術を通して形成され得る。1つの特定の例において、層のうち1つ以上が、ホットプレスを介して形成され得る。グリーン層が、まず、典型的にはテープ鋳造を通して形成され、後に積み重ねられて、共焼結またはホットプレスされる。
【0019】
アノード層103は、電解質層101に隣接し、かつカソード層105と対向して設置され得る。特に、アノード層103は、電解質層101と直接接触することができる。加えて、アノード層103は、相互接続層(図示せず)と直接接触することができる。ある一定の場合において、アノード層103と電解質層101との間に、またはアノード層103と相互接続層との間に任意の介在するバッファー層が存在していてもしていなくてもよい。
【0020】
特定の例において、アノード層103は、サーメット材、すなわち、セラミックおよび金属材料の組み合わせであってよい。いくつかの好適な金属として、例えば、ニッケルまたは銅を含めた遷移金属種を挙げることができる。アノード層103は、例えば、セラミック材料、特に酸化物材料を含めたイオン伝導体を含むことができる。例えば、アノード層103は、ニッケル、および、例えばイットリア安定化ジルコニアを含めたジルコニア系材料によって形成されていてよい。代替的には、アノード層103は、例えば、酸化ガドリニウム安定化セリアを含めたセリア系材料を含むことができる。ニッケルは、アノードグリーン材料に含まれるニッケル酸化物の還元を通して生成されてよい。代替的には、ある一定の他の種の酸化物材料、例えばチタネート、マンガナイト、クロマイト、これらの組み合わせなどがアノード層103に用いられてよいことが認識されよう。かかる酸化物は、ペロブスカイト材料であってもよいことが認識されよう。
【0021】
アノード層103は、薄くて実質的に平面状の材料層であることができる。アノード層103は、電解質層101または相互接続層の平均厚さを超える平均厚さを有することができる。例えば、アノード層103は、少なくとも約50μm、例えば少なくとも約100μm、少なくとも約300μm、少なくとも約500μm、少なくとも約700μm、少なくとも約1mm、またはさらには少なくとも約1.5mmの平均厚さを有することができる。さらに、アノード層103は、約5mm以下、例えば約4mm以下、約3mm以下、またはさらには約2.5mm以下の平均厚さを有することができる。アノード層103は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0022】
アノード層103は、本明細書における実施形態による単位セルの形成を促進する特定の粒子サイズを有する粉末電極材料から形成され得る。例えば、粉末電極材料は、約100μm未満、例えば約50μm未満、約20μm未満、約10μm未満、約5μm未満、またはさらには約1μm未満の平均粒子サイズを有することができる。さらに、特定の例において、粉末電極材料の平均粒子サイズは、少なくとも約0.01μm、少なくとも約0.05μm、少なくとも約0.08μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.2μm、またはさらには少なくとも約0.4μmであることができる。粉末電極材料は、上記最小および最大値のいずれかを含む範囲内の平均粒子サイズを有することができることが認識されよう。
【0023】
アノード層103は、多孔質層であることができる。空隙率は、燃料をSOFC物品に送達するのに利用され得るチャネルの形態であってよい。チャネルは、アノード層103の容積にわたって特定の様式で、例えば規則的な繰り返しパターンで配置されていてよい。任意の好適な技術を用いて空隙率および/またはチャネルを形成することができ、例として、パターン化ロールを圧縮ロールにおいて用い、プリフォームを通した押出を用いて、形作られた飛散物を取り込み、エンボス加工し、テープ内にチャネルを切削し、次いでテープを積層してチャネルを画定することが挙げられる。
【0024】
飛散物のための可能性のある種々の材料、例えば、カソードおよびアノード層内にチャネルまたは通路を形成するのに用いることができるグラファイトまたは繊維などが存在する。飛散物は、熱処理の際に揮発または脱ガスしてSOFC物品を形成する材料から選択されてよい。一実施形態において、飛散物は、有機材料であってよい。飛散物のある一定の好適な例として、天然繊維、綿、靱皮繊維、コード用繊維、または動物繊維、例えばウールが挙げられる。代替的には、飛散物は、製造された材料、例えば、再生セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、デンプン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル、ポリビニル、ポリオレフィン樹脂、炭素もしくはグラファイト繊維、または液晶ポリマーであってよい。飛散物は、結着材、例えば合成ゴム、熱可塑性物質、またはポリビニル、および可塑化材料、例えばグリコールおよびフタレート群であってもよい。別の実施形態において、該材料は、パスタ、例えばスパゲッティであることができる。
【0025】
再び
図2を参照すると、アノード層103は、アノードバルク層107およびアノード機能層109を含むことができる。アノードバルク層107は、アノード機能層109と直接接触することができ、アノード機能層109もまた、電解質層101と直接接触していてよい。他の実施形態において、アノードバルク層107は、アノード機能層109およびアノード接着層(図示せず)に直接接着していてよい。アノードバルク層107は、本明細書に記載のアノード層103と同じ材料を含むことができる。
【0026】
アノードバルク層107のグリーン材料は、アノード機能層109よりも概して粗い材料から形成されていてよい。特定の例において、アノードバルク層107は、第1粒子および第2粒子を含有することができる非凝集粒子から形成されていてよい。第1粒子は、第2の粒子サイズを超える平均粒子サイズ、例えば少なくとも10倍超、少なくとも30倍超、または少なくとも50倍超の平均粒子サイズを有することができる。ある一定の実施形態において、第1粒子は、約10μm〜100μmの間、約25μm〜75μmの間、またはさらには約40〜60μmの間の範囲を有する平均粒子サイズを有することができる。第2粒子は、約0.01μm〜20μmの間、約0.05μm〜10μmの間、またはさらには約0.1μm〜5μmの間の範囲を有する平均粒子サイズを有することができる。
【0027】
アノードバルク層107は、アノード機能層109の平均厚さを超える平均厚さを有する、薄くて実質的に平面状の材料層であることができる。特に、アノードバルク層107は、約5mm以下、例えば約4mm以下、約3mm以下、または約2.5mm以下の平均厚さを有することができる。さらに、アノードバルク層107は、少なくとも約50μm、例えば少なくとも約100μm、少なくとも約500μm、少なくとも約1mm、または少なくとも約1.5mmの平均厚さを有することができる。アノードバルク層107は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0028】
アノード機能層109は、電解質層101と直接接触していてよい。より特定的には、アノード機能層109は、電解質層101と直接結着していてよい。アノード機能層109は、本明細書に記載のアノード層103と同じ材料を含むことができる。アノード機能層109は、完成したSOFC物品の好適な電気的および電気化学的特性を促進し、アノードと電解質との電気的および機械的接続を改善することができる。
【0029】
特定の例において、アノード機能層109のグリーン材料は、約100μm以下、例えば約75μm以下、ある一定の実施形態では約45μm以下の平均粒子サイズを有することができる粉末から形成されていてよい。加えて、粉末は、第1粒子および第2粒子の混合物であってよく、ここで、第1粒子は、第2粒子よりも著しく微細な粒子サイズを有していてよい。例えば、ある一定の実施形態において、第1粒子は、第2粒子サイズを超える、例えば少なくとも2倍超、少なくとも3倍超、または少なくとも4倍超の平均粒子サイズを有することができる。ある一定の実施形態において、第1粒子は、約1μm〜50μmの間、約1.5μm〜25μmの間、またはさらには約2〜10μmの間の範囲を有する平均粒子サイズを有することができる。第2粒子は、約0.01μm〜20μmの間、約0.05μm〜10μmの間、またはさらには約0.1μm〜5μmの間の範囲内の平均粒子サイズを有することができる。かかる粒子サイズは、アノード機能層109内の好適な細孔サイズおよび粒サイズの形成を促進することができる。
【0030】
アノード機能層109は、約1mm以下、例えば約700μm以下、約500μm以下、約200μm以下、約150μm以下、例えば約100μm以下、またはさらには約50μm以下の平均厚さを有する、薄くて実質的に平面状の材料層であることができる。さらに、アノード機能層109は、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約1μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、またはさらには少なくとも約20μmの平均厚さを有することができる。アノード機能層109は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0031】
再び
図1を参照すると、SOFC単位セルは、カソード層105を含むことができる。一実施形態において、カソード層105は、無機材料からなっていてよい。ある一定の好適な無機材料として、酸化物を挙げることができる。カソード層105は、希土類元素を含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、カソード層105は、元素、例えばランタン(La)、マンガン(Mn)、ストロンチウム(Sr)、およびこれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
1つの特定の実施形態において、カソードのための材料として、マンガン酸ランタン材料を挙げることができる。カソードは、カソード組成物がペロブスカイト型結晶構造であることを前提として、ドープトマンガン酸ランタン材料からなっていてよい。したがって、ドープトマンガン酸ランタン材料は、アルカリ土類金属、鉛、または約0.4〜0.9Åの間の原子比率を有する概して二価のカチオンから選択され得るドーパント材料を有していてよい。一実施形態によると、ドーパント材料は、Mg、Ba、Sr、Ca、Co、Ga、Pb、およびZrからなる元素の群から選択される。特定の実施形態によると、ドーパントはSrであり、カソード材料は、LSMとして一般に知られているランタンストロンチウムマンガナイト材料である。
【0033】
カソード層105は、電解質層101または相互接続層の平均厚さを超える平均厚さを有することができる。例えば、カソード層105は、少なくとも約50μm、例えば少なくとも約100μm、少なくとも約300μm、少なくとも約500μm、少なくとも約1mm、またはさらには少なくとも約1.5mmの平均厚さを有することができる。さらに、カソード層105は、約5mm以下、例えば約4mm以下、約3mm以下、またはさらには約2mm以下の平均厚さを有することができる。別の例において、カソード層105は、約2mm以下、例えば約1.9mm以下、約1.8mm以下、約1.7mm以下、または約1.6mm以下の平均厚さを有することができる。カソード層105は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0034】
再び
図2を参照すると、カソード層105は、カソードバルク層113およびカソード機能層111を含むことができる。カソードバルク層113は、本明細書に記載のカソード材料のいずれかからなっていてよく、本明細書に記載のカソード層105の特性のいずれかを有していてよい。
【0035】
カソードバルク層113は、電解質層101またはカソード機能層111の平均厚さを超える平均厚さを有することができる。例えば、カソード層105は、少なくとも約50μm、例えば少なくとも約100μm、少なくとも約300μm、少なくとも約500μm、少なくとも約700μm、少なくとも約1mm、またはさらには少なくとも約1.5mmの平均厚さを有することができる。さらに、カソード層105は、約5mm以下、例えば約4mm以下、約3mm以下、またはさらには約2mm以下の平均厚さを有することができる。別の例において、カソード層105は、約2mm以下、例えば約1.9mm以下、約1.8mm以下、約1.7mm以下、または約1.6mm以下である平均厚さを有することができる。カソード層105は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0036】
一実施形態によると、カソード機能層111は、本明細書に記載のカソードと同じ材料を含むことができる。また、カソード機能層111は、材料の組み合わせ、例えば、カソードバルク層113および電解質層101の材料の組み合わせを含むことができる。例えば、特定の実施形態において、カソード機能層111は、電子伝導材料およびイオン伝導材料の組み合わせを含むことができる。
【0037】
ある一定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料として、無機材料、例えばセラミック材料を挙げることができる。例えば、イオン伝導体粉末材料として、酸化物材料を挙げることができる。いくつかの好適な酸化物として、ジルコニア(ZrO
2)、より特定的には、イットリア(Y)、イッテルビウム(Yb)、セリウム(Ce)、スカンジウム(Sc)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、およびこれらの組み合わせなどの元素を含むことができる安定化剤またはドーパントなどの他の元素を組み込むことができるジルコニア系材料を挙げることができる。特定の実施形態において、イオン伝導体材料として、一般にはYSZと称されるY
2O
3−ドープトZrO
2を挙げることができる。特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料は、8モル%Y
2O
3がドープされたZrO
2(すなわち、8モル%Y
2O
3−ドープトZrO
2)または10モル%Y
2O
3がドープされたZrO
2(すなわち、10モル%Y
2O
3−ドープトZrO
2)からなっていてよい。他の例示的なイオン伝導体粉末材料として、安定化イットリウム−ジルコネート(例えば、Y
2Zr
2O
7)を挙げることができる。より特定的な実施形態において、イオン伝導体粉末材料は、YSZから本質的になっていてよい。
【0038】
ある一定の実施形態において、電子伝導体粉末材料は、無機材料を含むことができる。ある一定の好適な無機材料は、酸化物を含むことができる。電子伝導体粉末材料は、希土類元素を含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、電子伝導体粉末材料は、元素、例えばランタン(La)、マンガン(Mn)、ストロンチウム(Sr)、およびこれらの組み合わせを含むことができる。1つの特定の実施形態において、電子伝導体粉末材料は、マンガン酸ランタン材料を含むことができる。電子伝導体粉末材料は、ドープトマンガン酸ランタン材料を含むことができる。特定の実施形態において、ドーパント材料は、アルカリ土類金属、鉛、または約0.4〜0.9Åの間の原子比率を有する概して二価のカチオンから選択されてよい。このように、一実施形態によると、ドーパント材料は、Mg、Ba、Sr、Ca、Co、Ga、Pb、およびZrからなる元素の群から選択される。特定の実施形態によると、ドーパントはSrであり、カソード材料は、LSMとして一般に知られているランタンストロンチウムマンガナイト材料である。特定の実施形態において、電子伝導体粉末材料は、LSMから本質的になっていてよい。さらにより特定的な実施形態において、カソード機能層111は、YSZおよびLSMから本質的になっていてよい。
【0039】
ある一定の実施形態において、特性、例えばイオン伝導体粉末材料対電子伝導体粉末材料の特定の平均径比が、従来の1:1の比と比較して、SOFCにおいて、カソード機能層111として、増加した電力密度を示すことが驚くべきことに見出された。例えば、ある一定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))対電子伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(e))の比(d
50(i):d
50(e))は、約0.7:1超、例えば約0.8:1超、約0.9:1超、約1:1超、約1.1:1超、約1.5:1超、約1.8:1超、約1.9:1超、またはさらには約2:1超であってよい。ある一定のさらなる実施形態において、該比は、約10:1未満、約5:1未満、約4:1未満、約3:1未満、約2.5:1未満、約2.1:1未満、約2.0:1未満、またはさらには約0.9:1未満であってよい。また、該比は、本明細書に記載の比のいずれかの間およびこれらを含む範囲内であってよい。例えば、特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))対電子伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(e))の比(d
50(i):d
50(e))は、約1.9:1〜約2.1:1の範囲であってよい。別の特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))対電子伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(e))の比(d
50(i):d
50(e))は、約0.8:1〜約1.1:1の範囲であってよい。
【0040】
ある実施形態において、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)またはイオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))の少なくとも一方は、粗くてよい。ある一定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))は、粗くてよい。例えば、特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))は、約0.5μm以上、約0.8μm以上、約1μm以上、約1.5μm以上、約1.8μm以上、約2μm超、約2.2μm以上、さらには約2.5μm以上、またはさらには約2.7以上であってよい。他の特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径d
50(i)は、約10μm以下、約5μm以下、約4.5μm以下、約4μm以下、約3.5μm以下、約3.1μm以下、約3.0μm以下、またはさらには約2.9μm以下であってよい。また、イオン伝導体粉末材料の平均粒径d
50(i)は、本明細書に記載のイオン伝導体粉末材料の平均粒径d
50(i)のいずれかの間およびこれらを含む範囲内であってよい。特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径d
50(i)は、2.6μm〜3.0μmの範囲であってよい。別の特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の平均粒径d
50(i)は、2.7μm〜2.9μmの範囲であってよい。
【0041】
ある一定の実施形態において、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)は、粗くてよい。例えば、特定の実施形態において、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)は、約0.1μm以上、約0.5μm以上、約1μm以上、約1.5μm以上、約2.0μm以上、約2.5μm以上、またはさらには約3.0μm以上であってよい。他の実施形態において、電子伝導体粉末材料のd
50は、約50μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約4.5μm以下、約4.0μm以下、約3.5μm以下、約3μm以下、約2.5μm以下、約2μm以下、またはさらには約1.5μm以下であってよい。また、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)は、本明細書に記載の電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)のいずれかの間およびこれらを含む範囲内であってよい。例えば、特定の例において、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)は、約1.2μm〜約1.6μmの範囲内であってよい。別の特定の例において、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)は、約2.8μm〜約3.2μmの範囲内であってよい。
【0042】
ある一定の実施形態において、特性、例えば、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせが、比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有するカソード機能層と比較して、SOFCにおいて、カソード機能層111として、増加した電力密度を示すことが驚くべきことに見出された。例えば、特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせは、約2.5μm以上、例えば約2.6μm以上、約2.7μm以上、約2.8μm以上、約2.9μm以上、またはさらには約3.0μm以上の、イオン伝導体粉末材料の平均粒径を含むことができる。他の特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせは、約3.5μm以下、例えば約3.4μm以下、約3.3μm以下、約3.2μm以下、約3.1μm以下、またはさらには約3.0μm以下の、イオン伝導体粉末材料の平均粒径を含むことができる。また、電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせにおけるイオン伝導体粉末材料の平均粒径は、本明細書に記載のイオン伝導体粉末材料の平均粒径のいずれかの範囲であってよい。特定の例において、電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせにおけるイオン伝導体粉末材料の平均粒径は、2.6μm〜3.10μmの範囲であってよい。
【0043】
非限定的な実施形態において、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせは、約2.5μm以上、例えば約2.6μm以上、約2.7μm以上、約2.8μm以上、約2.9μm以上、またはさらには約3.0μm以上の、電子伝導体粉末材料の平均粒径を含むことができる。他の特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせは、約3.5μm以下、例えば約3.4μm以下、約3.3μm以下、約3.2μm以下、約3.1μm以下、またはさらには約3.0μm以下の、電子伝導体粉末材料の平均粒径を含むことができる。また、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせにおける電子伝導体粉末材料の平均粒径は、本明細書に記載の電子伝導体粉末材料の平均粒径のいずれかの範囲であってよい。特定の例において、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせにおける電子伝導体粉末材料の平均粒径は、2.8μm〜3.2μmの範囲であってよい。別の態様において、原料粉末は、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比を含むことができる。ある一定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比は、1:1超、1.1:1以上、1.2:1以上、1.3:1以上、1.4:1以上、1.5:1以上、1.6:1以上、1.7:1以上、1.8:1以上、1.9:1以上、2.0:1以上、2.1:1以上、2.2:1以上、2.3:1以上、またはさらには2.4:1以上であってよい。ある一定のさらなる実施形態において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比は、2.5:1以下、2.4:1以下、2.3:1以下、2.2:1以下、2.1:1以下、2.0:1以下、1.9:1以下、1.8:1以下、1.7:1以下、1.6:1以下、またはさらには1.5:1以下であってよい。特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比は、本明細書に記載の、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比のいずれかの間およびこれらを含む範囲内であってよい。例えば、特定の例において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比は、1.4:1〜1.6:1の範囲内であってよい。
【0044】
さらに別の態様において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である原料粉末は、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である原料粉末と実質的に同様の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の平均粒径を有する原料粉末から形成されたカソード機能層と比較して、SOFCにおいて、カソード機能層111として、増加した電力密度を示すことが驚くべきことに見出された。例えば、1つの特定の例において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比は、1.8:1〜2.4:1の範囲内であってよい。別の特定の例において、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比は、2.1:1〜2.3:1の範囲内であってよい。
【0045】
イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である原料粉末と実質的に同様の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))とは、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である原料粉末の10%以内、例えば8%以内、5%以内、またはさらには2%以内の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))を有することを意味することが認識されよう。
【0046】
また、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である原料粉末と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するとは、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である原料粉末のイオン伝導体粉末材料または電子伝導体粉末材料のいずれかの10%以内、例えば8%以内、5%以内、またはさらには2%以内の平均粒径を有することを意味することも認識されよう。
【0047】
さらなる実施形態において、イオン伝導体粉末材料は、約20体積%以上、約30体積%以上、約35体積%以上、40体積%以上、50体積%以上、またはさらには60体積%以上の量で存在していてよい。なおさらなる実施形態において、イオン伝導体粉末材料は、約80体積%以下、約75体積%以下、約70体積%以下、または約65体積%以下の量で層に存在していてよい。特定の実施形態において、イオン伝導体粉末材料の体積は、本明細書に記載のイオン伝導体粉末材料の体積%のいずれかの間およびこれらを含む範囲内であってよい。
【0048】
ある一定の実施形態において、カソード機能層111は、μm
2当たり約0.2以上のTPB点、μm
2当たり約0.5以上のTPB点、μm
2当たり約1以上のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約1.5以上のTPB点、μm
2当たり約1.8以上のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約2.3以上のTPB点を有することができる。さらなる実施形態において、カソード機能層111は、μm
2当たり約0.2のTPB点〜μm
2当たり4のTPB点、μm
2当たり約0.5のTPB点〜μm
2当たり4のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約1.5超のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点、μm
2当たり約1.8以上のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約2.3以上のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点の範囲内のμm
2当たりのTPB点の範囲を有することができる。ある一定の実施形態において、層、および、特に、本明細書に記載のカソード機能層は、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が1:1であるカソード機能層よりも多くの、μm
2当たりのTPB点を有することができる。特に、本明細書に記載の層においては、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が1:1であるカソード機能層よりも少なくとも5%多く、少なくとも10%多く、少なくとも15%多く、少なくとも20%多く、少なくとも25%多く、またはさらには少なくとも約30%多くてよい。μm
2当たりの、より多数のTPB点が、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が1:1であるCFLと比較して、本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0049】
カソード機能層111は、完成したSOFC物品の好適な電気特性を促進することができ、電解質とカソードとの間の電気的、電気化学的および機械的接続を改善することができる。特に、カソード機能層111は、特に多孔質層であってよい。ある一定の実施形態において、本明細書に記載のイオン伝導体粉末材料対電子伝導体粉末材料の平均粒径比、特に1.5:1超の比を有するカソード機能層111は、イオン伝導体粉末材料対電子伝導体粉末材料の平均粒径比が約1:1である層よりも高い空隙率を示すことができる。ある一定の実施形態において、本明細書に記載の実施形態によるカソード機能層111は、第1空隙率を有することができる。別のカソード機能層は、第2空隙率を有し、ここで、該別のカソード機能層は、該別のカソード機能層のイオン伝導体粉末材料対電子伝導体粉末材料の平均粒径比が約1:1であることを除いてカソード機能層111と実質的に同一である。第1空隙率は、第2空隙率よりも5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、またはさらには25%以上高くてよい。特定の実施形態において、カソード機能層111は、約10%超、約15%超、約17%超、約18%超、約19%超、約20%超、約22%超、約23%超、約24%超、またはさらには約25%超の空隙率を有することができる。より高い空隙率が、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が1:1であるCFLと比較して、本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0050】
カソード機能層111は、カソードバルク層113の平均厚さ未満である平均厚さを有する、薄くて実質的に平面状の材料層であってよい。特に、カソード機能層111は、約1mm以下、例えば約700μm以下、約500μm以下、約200μm以下、約150μm以下、例えば約100μm以下、またはさらには約50μm以下の平均厚さを有することができる。さらに、カソード機能層111は、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約1μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、またはさらには少なくとも約20μmの平均厚さを有することができる。カソード機能層111は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0051】
電解質層101は、無機材料、例えばセラミック材料を含むことができる。例えば、電解質層101は、酸化物材料を含むことができる。いくつかの好適な酸化物として、ジルコニア(ZrO
2)、より特定的には、イットリア(Y)、イッテルビウム(Yb)、セリウム(Ce)、スカンジウム(Sc)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、およびこれらの組み合わせなどの元素を含むことができる安定化剤またはドーパントなどの他の元素を組み込むことができるジルコニア系材料を挙げることができる。好適な電解質材料の特定の例として、Sc
2O
3−ドープトZrO
2、Y
2O
3−ドープトZrO
2、Yb
2O
3−ドープトZrO
2、Sc
2O
3−ドープトおよびCeO
2−ドープトZrO
2、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。電解質層101は、セリア(CeO
2)、より特定的には、セリア系材料、例えばSm
2O
3−ドープトCeO
2、Gd
2O
3−ドープトCeO
2、Y
2O
3−ドープトCeO
2、およびCaO−ドープトCeO
2を含むこともできる。電解質材料101は、ランタニド系材料、例えばLaGaO
3を含むこともできる。ランタニド系材料は、限定されないが、Ca、Sr、Ba、Mg、Co、Ni、Fe、およびこれらの組み合わせが挙げられる特定の元素がドープされていてよい。いくつかの例示的な電解質材料として、La
0.8Sr
0.2Ga
0.8Mn
0.2O
3、La
0.8Sr
0.2Ga
0.8Mn
0.15Co
0.5O
3、La
0.9Sr
0.1Ga
0.8Mn
0.2O
3、LaSrGaO
4、LaSrGa
3O
7、またはLa
0.9A
0.1GaO
3:式中、Aは、群Sr、Ca、またはBaからの元素の1つを表す;が挙げられる。1つの特定の実施形態によると、電解質層101は、8モル%Y
2O
3がドープされたZrO
2(すなわち、8モル%Y
2O
3−ドープトZrO
2)からなっていてよい。8モル%Y
2O
3は、特定のドーパント、例えばAlおよび/またはMnを有して、電解質材料の焼結を促進することができる。他の例示的な電解質材料として、ドープトイットリウム−ジルコネート(例えば、Y
2Zr
2O
7)、ドープトガドリニウム−チタネート(例えば、Gd
2Ti
2O
7)およびブラウンミラライト(例えば、Ba
2In
2O
6またはBa
2In
2O
5)を挙げることができる。
【0052】
電解質層101は、特に、薄い平面状の材料層であってよい。例えば、電解質層101は、約1mm以下、例えば約500μm以下、例えば約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約80μm以下、約50μm以下、またはさらには約25μm以下の平均厚さを有することができる。さらに、電解質層101は、少なくとも約1μm、例えば少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、少なくとも約8μm、または少なくとも約10μmの平均厚さを有することができる。電解質層101は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0053】
電解質層101は、鋳造、堆積、印刷、押出、積層、金型プレス、ゲル鋳造、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ロール圧縮、射出成形、およびこれらの組み合わせを介して形成され得る。電解質層101は、他の層の形成と別個にまたはこれの後に形成され得る。例えば、電解質層101は、他の予め形成された層(例えば、アノード層103またはカソード層105)の一方に形成され得る。とりわけ、特定の実施形態において、電解質層101の形成は、グリーン単位セル100を形成する前に必ずしも焼結されず、次いで単一の焼結プロセス(例えば、単一の、自由焼結プロセス)において焼結されるグリーン材料層の形成を含む。
【0054】
電解質層101は、本明細書における実施形態による単位セルの形成を促進する特定の粒子サイズを有する粉末電解質材料から形成され得る。例えば、粉末電解質材料は、約100μm未満、例えば約50μm未満、約20μm未満、約10μm未満、約5μm未満、またはさらには約1μm未満の平均粒子サイズを有することができる。さらに、特定の例において、粉末電解質材料の平均粒子サイズは、少なくとも約0.01μm、少なくとも約0.05μm、少なくとも約0.08μm、少なくとも約0.1μm、またはさらには少なくとも約0.2μmであってよい。粉末電解質材料は、上記最小および最大値のいずれかを含む範囲内の平均粒子サイズを有することができることが認識されよう。
【0055】
ある一定のさらなる実施形態において、SOFCは、アノード層を覆う相互接続層をさらに含んでいてよい。
【0056】
相互接続層は、無機材料を含めたセラミック材料を含むことができる。特に、相互接続層は、酸化物材料を含むことができる。より特定的には、相互接続層は、ランタン(La)、マンガン(Mn)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、カルシウム(Ca)、ガリウム(Ga)、コバルト(Co)、イットリア(Y)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含むことができる。ある一定の場合において、相互接続層は、酸化クロム系材料、ニッケル酸化物系材料、コバルト酸化物系材料、およびチタン酸化物系材料(例えば、ランタンストロンチウムチタネート)を含むことができる。特に、相互接続層は、LaSrCrO
3、LaMnCrO
3、LaCaCrO
3、YCrO
3、LaCrO
3、LaCoO
3、CaCrO
3、CaCoO
3、LaNiO
3、LaCrO
3、CaNiO
3、CaCrO
3、およびこれらの組み合わせなどの材料からなっていてよい。特に、相互接続層は、LST(またはYST)を含むことができ、1種以上のドーパントを有する、NbドープトLST、例えばLa
0.2Sr
0.8TiO
3から本質的になっていてよい。相互接続材料は、A部位不足材料を含んでいてよく、ここで、例えば、ランタンまたはストロンチウムカチオンによって典型的には占められるいくつかの格子部位が空であり、そのため該材料が非化学量論的組成物を有することが認識されよう。
【0057】
相互接続層は、特に薄い平面状の材料層であってよい。例えば、相互接続層は、約1mm以下、例えば約500μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約80μm以下、約50μm以下、またはさらには約35μm以下の平均厚さを有することができる。さらに、相互接続層は、少なくとも約1μm、例えば少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、少なくとも約8μm、または少なくとも約10μmの平均厚さを有することができる。相互接続層は、上記最小および最大値のいずれかの間の範囲内の平均厚さを有することができることが認識されよう。
【0058】
相互接続層は、例えば、鋳造、堆積、印刷、押出、積層、金型プレス、ゲル鋳造、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ロール圧縮、射出成形、およびこれらの組み合わせを含めた、電解質層101の形成と同様のプロセスを用いて形成され得る。相互接続層は、他の層の形成とは別個にまたはこの後に形成され得、その結果、相互接続層が、該他の予め形成された層(例えば、アノード層103)の一方に形成され得るようになっている。とりわけ、特定の実施形態において、相互接続層の形成は、グリーン単位セル100を形成する前に必ずしも焼結されず、次いで単一の焼結プロセス(例えば、単一の、自由焼結プロセス)において焼結されるグリーン材料層の形成を含む。
【0059】
相互接続層は、本明細書における実施形態による単位セルの形成を促進する特定の粒子サイズを有する粉末相互接続材料から形成され得る。例えば、粉末相互接続材料は、約100μm未満、例えば約50μm未満、約20μm未満、約10μm未満、約5μm未満、またはさらには約1μm未満の平均粒子サイズを有することができる。さらに、特定の例において、粉末相互接続材料の平均粒子サイズは、少なくとも約0.01μm、少なくとも約0.05μm、少なくとも約0.08μm、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.2μm、またはさらには少なくとも約0.4μmであってよい。粉末相互接続材料は、上記最小および最大値のいずれかを含む範囲内の平均粒子サイズを有することができることが認識されよう。
【0060】
ある一定の実施形態において、層、特に、本明細書に記載のようにイオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1であるカソード機能層をSOFCにおいて使用するとき、該SOFCは、層、特に、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1未満、例えば約1:1であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載の層と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様の電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するカソード機能層を有するSOFCの最大電力密度よりも高い最大電力密度を有することができる。特定の実施形態において、最大電力密度は、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1未満、例えば約1:1である層を有するSOFCの最大電力密度より5%以上高く、10%以上高く、または15%以上高くてよい。イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1未満、例えば約1:1であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載のCFLと実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様の電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するCFLとの比較において、より高い最大電力密度が、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0061】
イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載の層と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比を有するということは、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載の層の10%以内、例えば8%以内、5%以内、またはさらには2%以内のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比を有することを意味することが認識されよう。
【0062】
また、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載の層と実質的に同様の電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するこということは、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載の層の10%以内、例えば8%以内、5%以内、またはさらには2%以内の電子伝導体粉末材料の平均粒径を有することを意味することも認識されよう。
【0063】
ある一定の実施形態において、層、特に、本明細書に記載のようにイオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有するカソード機能層が、SOFCにおいて使用されるとき、該SOFCは、層、特に、比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有し、かつ、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載の層と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の平均粒径を有するカソード機能層を有するSOFCの最大電力密度より高い最大電力密度を有することができる。特定の実施形態において、最大電力密度は、比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有する層を含むSOFCの最大電力密度より5%以上高く、10%以上高く、または15%以上高くてよい。比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有し、かつ、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載のCFLと実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の平均粒径を有するCFLとの比較において、より高い最大電力密度が、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0064】
また、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載の層と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の平均粒径を有するということは、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載の層のイオン伝導体粉末材料の10%以内、例えば8%以内、5%以内、またはさらには2%以内のイオン伝導体粉末材料の平均粒径を有することを意味することも認識されよう。
【0065】
ある一定の実施形態において、層、特に、本明細書に記載のようにイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上であるカソード機能層が、SOFCにおいて使用されるとき、該SOFCは、層、特に、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である本明細書に記載の層と実質的に同様の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料もしくは電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するカソード機能層を含むSOFCの最大電力密度より高い最大電力密度を有することができる。特定の実施形態において、最大電力密度は、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下である層を含むSOFCの最大電力密度より5%以上高く、10%以上高く、または15%以上高くてよい。イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である本明細書に記載のCFLと実質的に同様の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料もしくは電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するCFLとの比較において、より高い最大電力密度が、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0066】
ある一定の実施形態において、層、特に、電子伝導体粉末材料の平均粒径d
50(e)またはイオン伝導体粉末材料の平均粒径(d
50(i))の少なくとも一方が約1.5μm以上であるカソード機能層がSOFCにおいて使用されるとき、該SOFCは、層のイオン伝導体材料の平均粒径または電子伝導体材料の平均粒径の少なくとも一方が約1.5μm未満であることを除いて固体酸化物燃料電池と実質的に同一である別のSOFCの電力密度より約5%以上高い最大電力密度を有することができる。
【0067】
ある一定の実施形態において、層、特に、本明細書に記載のようにイオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超であるカソード機能層がSOFCにおいて使用されるとき、該SOFCは、層、特に、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5未満、例えば約1:1であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載の層と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様の電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するカソード機能層を有するSOFCの電圧降下よりも小さい電圧降下を有することができる。高電流密度における電圧降下は、酸素ガス相のガス拡散制限の尺度である。特定の実施形態において、電圧降下は、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1未満、例えば約1:1である層を含むSOFCの電圧より少なくとも5%小さく、少なくとも10%小さく、または少なくとも15%小さくてよい。イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1未満、例えば約1:1であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載のCFLと実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様の電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するCFLとの比較において、より低い電圧降下が、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0068】
ある一定の実施形態において、層、特に、本明細書に記載のようにイオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有するカソード機能層が、SOFCにおいて使用されるとき、該SOFCは、層、特に、比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有し、かつ、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載の層と実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の平均粒径を有するカソード機能層を有するSOFCの電圧降下より低い電圧降下を有することができる。特定の実施形態において、電圧降下は、比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有する層を含むSOFCの最大電力密度より5%以上高く、10%以上高く、または15%以上高くてよい。比較的より微細な平均粒径を有するイオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料の一方または両方を有し、かつ、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載のCFLと実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料の平均粒径を有するCFLとの比較において、より低い電圧降下が、イオン伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径と電子伝導体粉末材料の比較的粗い平均粒径との組み合わせを有する本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0069】
ある一定の実施形態において、層、特に、本明細書に記載のようにイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上であるカソード機能層がSOFCにおいて使用されるとき、該SOFCは、層、特に、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である本明細書に記載の層と実質的に同様の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料もしくは電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するカソード機能層を有するSOFCの電圧降下よりも大きい電圧降下を有することができる。特定の実施形態において、電圧降下は、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下である層を含むSOFCの最大電力密度よりも5%以上高く、10%以上高く、または15%高くてよい。イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.7:1以下であり、かつ、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である本明細書に記載のCFLと実質的に同様の平均粒子サイズ比(d
50(i):d
50(e))、または実質的に同様のイオン伝導体粉末材料もしくは電子伝導体粉末材料の平均粒径を有するCFLとの比較において、より低い電圧降下が、イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が1.8:1以上である本明細書に記載のCFLによって達成され得ることは、完全に驚くべきことであり、予想外のことであった。
【0070】
別の態様によると、固体酸化物燃料電池用に構成される層を形成する方法は:イオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料を付与することと;イオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料から層、例えば機能層を形成することとを含むことができる。原料粉末および得られる層は、上記パラメータまたは特性のいずれかを含有することができる。
【0071】
図1に示されている単位セル100において成分層を組み立てる前に、層の各々が別個に形成されてよい。すなわち、層が(例えば、グリーン層として)別途形成されてよく、一緒に組み立てられて単位セル100としてよい。代替的には、層が(例えば、グリーン状態で)互いの上に連続して形成されてよい。グリーン層の形成後、スタック全体が、例えば、単位セル100を形成するための焼結によって熱処理されてよい。
【0072】
本明細書における実施形態による記載されている層は、限定されないが、ホットプレス、共焼結、共焼成、熱間静水圧プレス(HIP)、鋳造、堆積、印刷、押出、積層、金型プレス、ゲル鋳造、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ロール圧縮、射出成形、およびこれらの組み合わせを含めた技術によって形成され得る。1つの特定の例において、該層の1つ以上が、ホットプレスを介して形成され得る。他の特定の実施形態において、層が、共焼結によって形成されてよい。
【0073】
ある一定の実施形態において、層(または単位セル、すなわち複数のグリーン層)が、1000℃以上、1050℃以上、またはさらには1100℃以上の温度で形成され得る。さらなる実施形態において、層(または単位セル、すなわち複数のグリーン層)が1500℃以下、1450℃以下、またはさらには1400℃以下の温度で形成され得る。層は、上記最小および最大値のいずれかを含む範囲内の温度で形成され得ることが認識されよう。
【0074】
ある一定の実施形態において、層(または単位セル、すなわち複数のグリーン層)は、約0〜20MPaの間、約2〜18MPaの間、約4〜16MPaの間、またはさらには約6〜14MPaの間の範囲の圧力で形成され得る。特定の実施形態において、層が大気圧で形成され得る。
【0075】
本開示は、当該分野の現状からの出発を表す。本明細書に記載のように、また、以下の実施例によってさらに示されるように、本明細書に記載の実施形態が、当該分野における従来の知識に基づいて予期されていたよりも少なくとも電力密度において有意に良好な性能を示すことが予想外かつ驚くべきことに発見された。例えばX.J.Chenら、“Simulation of a Composite Cathode in Solid Oxide Fuel Cells”Electrochimica Acta,vol,49,p.1851−1861(2004)を参照されたい。
【0076】
[項1]固体酸化物燃料電池の層を形成するように構成される原料粉末材料であって:イオン伝導体粉末材料と;電子伝導体粉末材料と;を含み、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が、約1.5:1超である、原料粉末材料。
[項2]固体酸化物燃料電池のための電極であって:機能層と;バルク層とを含み、機能層が、イオン伝導体粉末材料と;電子伝導体粉末材料;とを含む原料粉末材料から形成されており;イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である、電極。
[項3]固体酸化物燃料電池であって、イオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料から形成される層を含み、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1である、固体酸化物燃料電池。
[項4]固体酸化物燃料電池がアノードとカソードとを含み、カソードが:カソード機能層としての層と;バルクカソード層とを含む、項3に記載の固体酸化物燃料電池。
[項5]固体酸化物燃料電池が、層のイオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1:1であることを除き固体酸化物燃料電池と実質的に同一である別のSOFCの電力密度より5%以上、10%以上、または15%以上高い最大電力密度を有する、項3〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池。
[項6]固体酸化物燃料電池用に構成される層を形成する方法であって:イオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料を付与することと;イオン伝導体粉末材料および電子伝導体粉末材料から層を形成することと;を含み、イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が約1.5:1超である、方法。
[項7]層が鋳造によってグリーン状態に形成される、項6に記載の方法。
[項8]鋳造後、層が焼結またはホットプレスされる、項7に記載の方法。
[項9]層が、さらなる層と共に焼結またはホットプレスされる、項8に記載の方法。
[項10]層が、1000℃以上、1050℃以上、またはさらには1100℃以上の温度で焼結またはホットプレスされる、項8に記載の方法。
[項11]層が、1500℃以下、1450℃以下、またはさらには1400℃以下の温度で焼結またはホットプレスされる、項8に記載の方法。
[項12]層が、約0MPa〜20MPa、約2〜18MPaの間、約4〜16MPaの間、またはさらには約6〜14MPaの間の範囲の圧力で焼結またはホットプレスされる、項8に記載の方法。
[項13]層が、大気圧で焼結される、項8に記載の方法。
[項14]層が、カソード機能層であり、固体酸化物燃料電池が、カソード機能層に隣接するカソードバルク層およびカソード機能層に隣接する電解質層をさらに含む、上記項のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池または方法。
[項15]層が、カソード機能層であり、固体酸化物燃料電池が、カソード機能層に隣接するカソードバルク層およびカソード機能層に隣接する電解質層をさらに含み、固体酸化物燃料電池が、アノード機能層およびアノードバルク層をさらに含む、上記項のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池または方法。
[項16]アノード機能層が、酸化物を含み、酸化物が、NiOを含む、項15に記載の固体酸化物燃料電池または方法。
[項17]層が、共焼結によって形成される、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、電極、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項18]層が、カソード機能層である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、電極、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項19]イオン伝導体粉末材料の平均粒径が、約0.5μm以上、約1μm以上、約1.5μm以上、または約1.8μm以上である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項20]イオン伝導体粉末材料の平均粒径が、約2μm超、約2.2μm以上、または約2.5μm以上である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項21]電子伝導体粉末材料の平均粒径が、約0.1μm以上、約0.5μm以上、または約1μm以上である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項22]電子伝導体粉末材料の平均粒径が、50μm以下、10μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、または2μm以下である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項23]イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が、約10:1未満、約5:1未満、約4:1未満、約3:1未満、約2.5:1未満である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項24]イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が、約1.8:1超である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項25]イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が、約1.9:1超である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項26]イオン伝導体粉末材料の平均粒径対電子伝導体粉末材料の平均粒径の比が、約2:1以上である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項27]イオン伝導体粉末材料が、無機材料を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項28]イオン伝導体粉末材料が、酸化物材料を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項29]イオン伝導体粉末材料が、ジルコニア(ZrO
2)を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項30]イオン伝導体粉末材料が、安定化剤またはドーパントを含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項31]安定化剤またはドーパントが、イットリア(Y)、イッテルビウム(Yb)、セリウム(Ce)、スカンジウム(Sc)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素の少なくとも1種を含む、項24に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項32]イオン伝導体粉末材料が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項33]イオン伝導体粉末材料が、8モル%Y
2O
3−ドープトZrO
2または10モル%Y
2O
3−ドープトZrO
2を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項34]イオン伝導体粉末材料が、Y
2ZrO
7を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項35]イオン伝導体粉末材料が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)から本質的になる、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項36]電子伝導体粉末材料が、無機材料を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項37]電子伝導体粉末材料が、酸化物材料を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項38]電子伝導体粉末材料が、希土類元素を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項39]電子伝導体粉末材料が、ランタン(La)、マンガン(Mn)、ストロンチウム(Sr)、またはこれらの組み合わせを含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項40]電子伝導体粉末材料が、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)を含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項41]電子伝導体粉末材料が、(La
0.80Sr
0.20)
0.98MnO
3−δを含む、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項42]電子伝導体粉末材料が、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)から本質的になる、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項43]層におけるイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が、1:1超、1.1:1以上、1.2:1以上、または1.3:1以上である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項44]イオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が、2.5:1以下、2.2:1以下、2:1以下、または1.8:1以下であることができる、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項45]層におけるイオン伝導体粉末材料の体積対電子伝導体粉末材料の体積の比が、1:1超2.5:1以下、1.1:1以上2.2:1以下、1.2:1以上2:1以下、または1.3:1以上1.8:1以下の範囲である、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項46]イオン伝導体粉末材料が、20体積%以上、30体積%以上、または35体積%以上の量で層に存在する、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項47]イオン伝導体粉末材料が、80体積%以下、70体積%以下、または65体積%以下の量で層に存在する、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項48]イオン伝導体粉末材料が、20体積%〜80体積%、30体積%〜70体積%、または35体積%〜65体積%の範囲で層に存在する、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項49]層が、μm
2当たり約0.2以上のTPB点、μm
2当たり約0.5以上のTPB点、μm
2当たり約1以上のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約1.5以上のTPB点、μm
2当たり約1.8以上のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約2.3以上のTPB点を有する、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項50]層が、μm
2当たり約0.2以上のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点、μm
2当たり約0.5以上のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約1.5超のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点、μm
2当たり約1.8以上のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点、またはさらにはμm
2当たり約2.3以上のTPB点〜μm
2当たり4以下のTPB点の範囲内のμm
2当たりのTPB点の範囲を有する、上記項のいずれか一項に記載の粉末材料、固体酸化物燃料電池、または方法。
[項51]層が、約1mm以下、約700μm以下、約500μm以下、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、または約50μm以下の厚さを有する、上記項のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池または方法。
[項52]層が、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、またはさらには少なくとも約20μmの平均厚さを有する、上記項のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池または方法。
【実施例】
【0077】
実施例1:粒子サイズ比および体積分率の比較
実施例1は、Chenらの提案(実施例B)によって作製した層を用いて本明細書に記載の層の最大電力密度、電圧降下、および単位面積当たりのTPB点を比較する。比が1:1未満である実施例Aも比較する。原料粉末を選択し、以下の表1に示すように組み合わせた:
【表1】
【0078】
次いで、実施例A〜Eの粉末混合物のそれぞれを、まず、該粉末を水性スラリーに分散させることによってカソード機能層とした。実施例A〜Dにおける各スラリーは、36.7重量%のLSM、55.0重量%のYSZ、および8.3重量%のグラファイト細孔形成剤を含有した。各スラリーを約60μmの厚さにテープキャストした。機能性のSOFCを製造するために、
図2に示すさらなる層(アノードバルク層、アノード機能層、電解質およびカソードバルク層)を同様のプロセスであるが別個のテープとして作製した;各層の詳細を以下の表2に記載する。各層のディスク(直径28mm)を機械によって穿孔し、
図2に示すようにかつ表2に定量化されているように層状にした。層を高温(200°F)および高圧(10,000psi)で積層した。積層構造を最高温度1280℃および最大圧力12MPaでホットプレスし、カソード機能層を含有するSOFCを形成した。カソード機能層を顕微鏡法によって以下に示すように分析し、%CFL空隙率および単位面積当たりのTPB点を求め、以下に示すように電気化学試験によって分析し、最大電力密度、およびガス拡散抵抗による電圧降下を測定した。
【表2】
【0079】
最大電力密度
最大電力密度は、SOFCの面積に正規化された、SOFCが生成することができる最大電力量の尺度である。最大電力密度を測定するために、SOFCの縁をガラスでシールして、ガスの漏れを防止した。次いで、SOFCを、水素をアノード層に、空気をカソード層に送達することができる装置に搭載する。フォーミングガス−窒素中4%の水素−を300scc/分でアノードに流す。セルを4℃/分で800℃まで加熱する。アノード層に流れる水素濃度を少しずつ増大させ、NiOをニッケルに還元する。開回路電圧(OCV)が、アノード層に流れる100%水素ガスによって安定であるとき、3つの電流電圧(IV)曲線を、
図3に示すようにポテンシオスタット/ガルバノスタットを用いて記録する。SOFCの最大電力密度を、SOFCの活性面積に正規化した、最大電流*電圧によって定義する。
【0080】
ガス拡散抵抗による電圧降下
高電流密度における電圧降下は、酸素ガス相の拡散限界の尺度である。電圧降下を測定するために、上記IV曲線を、拡散が律速因子であると期待される特定の最大電力密度(0.8A/cm
2)で分析した。この点における電圧を開回路電圧から減算し、電圧降下を得る。より高い電圧降下は、酸素運搬制限に起因するより低いセル性能と相関する。
【0081】
単位面積当たりのTPB点
単位面積当たりのTPB点を測定するために、SOFCを樹脂に搭載し、研磨して走査電子顕微鏡法(SEM)に供した。3相(LSM、YSZ、および細孔)のコントラストが高くなるようにカソード機能層の画像を撮った。3相の交差点の数をカウントし、画像面積で除算することによって各画像について単位面積当たりのTPB点を算出した。各カソード機能層についてかかる画像を少なくとも5つ撮り、上記のように分析して統計的信頼を確立した。
【0082】
%CFL空隙率
%CFL空隙率を測定するために、上記のようにSOFCを作製し走査電子顕微鏡法(SEM)において撮像した。カソード機能層の画像を、顕微鏡の原子番号コントラストに基づいて3つの区別可能な影:白(LSM相)、灰色(YSZ相)、および黒(細孔);にセグメント化される自動ソフトウェアアプリケーションを用いて処理した。ソフトウェアにより黒(細孔)領域の面積をカウントし、画像の全体面積によって除算して、CFL空隙率を得た。
【0083】
試験の結果を以下の表3に示す:
【表3】
【0084】
記載全般または例における上記のアクティビティの全てが必要とされるわけではないこと、特定のアクティビティの一部が必要とされない場合があること、上記に加えて1つ以上のさらなるアクティビティが実施され得ることに注意されたい。また、さらに、アクティビティが列挙されている順序は、必ずしもこれらが実施される順序ではない。
【0085】
明確のために本明細書にて別個の実施形態の文脈において記載されているある一定の特徴は、単一の実施形態において、組み合わされて付与されてもよい。反対に、簡潔化のために単一の実施形態の文脈において記載されている種々の特徴は、別個にまたは任意のサブコンビネーションにおいて付与されてもよい。さらに、範囲で記述されている値への言及は、該範囲内の各値およびあらゆる値を含む。
【0086】
課題に対しての利益、他の利点、および解決策を、具体的な実施形態に関して上に記載している。しかし、課題に対しての利益、利点、および解決策、ならびにあらゆる利益、利点または解決策を生じさせるまたはより明白にすることができるあらゆる特徴は、特許請求の範囲のいずれかまたは全ての厳密な、所要の、または必須の特徴として解釈されてはならない。