(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るダンパー装置及び液体供給システム、並びにインクジェット式記録装置の実施形態について説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)10の正面図である。なお、
図1などにおいて、符号LおよびRは、それぞれ左および右を示している。また、
図1において、手前側および奥側は、それぞれ前側および後側である。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0009】
プリンタ10は、インクジェット式記録装置の一例である。プリンタ10は、記録媒体である記録紙5に印刷を行うためのものである。なお、記録媒体には、普通紙などの紙類はもちろんのこと、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)やポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材などの各種の材料からなる記録媒体が含まれる。
【0010】
プリンタ10は、プリンタ本体2と、プリンタ本体2に固定されたガイドレール3とを備えている。ガイドレール3は、左右方向に延びている。ガイドレール3には、キャリッジ1が係合している。ガイドレール3の左端側および右端側には、それぞれローラ(図示せず)が設けられている。これらローラのうち何れか一方のローラには、キャリッジモータ(図示せず)が連結されている。この一方のローラは、キャリッジモータによって回転駆動される。両ローラには、それぞれ無端状のベルト6が巻き掛けられている。キャリッジ1はベルト6に固定されている。上記ローラが回転してベルト6が走行すると、キャリッジ1が左右方向に移動する。このように、キャリッジ1はガイドレール3に沿って左右方向に往復移動する。
【0011】
プリンタ本体2には、記録紙5を支持するプラテン4が設けられている。プラテン4には、上下一対のグリッドローラおよびピンチローラ(図示せず)が設けられている。グリッドローラはフィードモータ(図示せず)に連結されている。グリッドローラはフィードモータによって回転駆動される。記録紙5がグリッドローラとピンチローラとの間に挟まれた状態でグリッドローラが回転すると、記録紙5は前後方向に搬送される。
【0012】
プリンタ本体2は、いわゆるインクカートリッジ11を備えている。インクカートリッジ11はインクを貯留するタンクである。
図1に示す態様では、複数のインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wが、プリンタ本体2に着脱自在に装着されている。インクカートリッジ11Cには、シアンインクが貯留されている。インクカートリッジ11Mには、マゼンタインクが貯留されている。インクカートリッジ11Yには、イエローインクが貯留されている。インクカートリッジ11Kには、ブラックインクが貯留されている。インクカートリッジ11Wには、ホワイトインクが貯留されている。インクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wには、それぞれインク取出口(図示せず)が取り付けられている。
【0013】
プリンタ10は、各色のインクカートリッジ11C、11M、11Y、11K、11Wごとにインク供給システムを備えている。
図1に示すインク供給システムは、インク供給路12と、送液ポンプ13と、ダンパー装置14と、インク吐出ヘッド15と、制御装置18とを備えている。ダンパー装置14およびインク吐出ヘッド15はキャリッジ1に搭載され、左右方向に往復移動する。一方、インクカートリッジ11は、キャリッジ1に搭載されておらず、左右方向に往復移動しない。そのため、キャリッジ1が左右方向に移動した場合にもインク供給路12が破損しないように、インク供給路12の大部分(少なくとも全長の半分以上)は、左右方向に延びた状態で配置されている。本実施形態では5種類のインクを利用しているため、合計5本のインク供給路12が設けられている。それらインク供給路12は、ケーブル類保護案内装置7で覆われている。ケーブル類保護案内装置7とは、例えばケーブルベア(登録商標)である。
【0014】
以下では、一例として、シアンインクを貯留するインクカートリッジ11Cに設けられたインク供給システムについて説明する。
図2は、プリンタ10の部分斜視図である。
図3は、インクカートリッジ11Cからインク吐出ヘッド15へインクを供給する構造を示す概略図である。なお、
図2において、符号FおよびRrは、それぞれ前および後を示している。また、
図3などにおいて、符号UおよびDは、それぞれ重力方向の上方および下方を示している。
【0015】
図2,3に示すインク供給システムは、インクカートリッジ(液体供給部)11Cと、インク供給路(液体供給路)12と、送液ポンプ13と、ダンパー装置14と、インク吐出ヘッド(液体吐出部)15と、インク循環路16と、制御装置18とを備えている。
【0016】
インク供給路12は、インクカートリッジ11Cからインク吐出ヘッド15へインクを導くインク流路である。インク供給路12は、キャリッジ1の移動に適用可能なように、柔軟性や可撓性を有している。インク供給路12は、例えば樹脂製の変形容易なチューブである。ただし、チューブ以外の材料で構成されていてもよい。
図3に示す態様では、インク供給路12は、チューブ12a、12bおよび12cで構成されている。チューブ12aは、インクカートリッジ11Cと送液ポンプ13とを連通する。チューブ12bは、送液ポンプ13とダンパー装置14とを連通する。チューブ12cは、ダンパー装置14とインク吐出ヘッド15とを連通する。このような経路で、インクカートリッジ11Cからインク吐出ヘッド15にインクが供給される。
【0017】
送液ポンプ13は、インクカートリッジ11Cからインク吐出ヘッド15に向かってインクを供給する送液装置の一例である。送液ポンプ13は、インク供給路12に設けられている。送液ポンプ13の種類は特に限定されない。送液ポンプ13は、例えばトロコイドポンプ式の、いわゆるチューブポンプである。送液ポンプ13は制御装置18に接続されている。送液ポンプ13の駆動と停止は、制御装置18によって制御される。
【0018】
インク吐出ヘッド15は、記録紙5に向かってインクを吐出する吐出装置の一例である。インク吐出ヘッド15の下面15aには、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。インク吐出ヘッド15の内部には、圧電素子などからなるアクチュエータ(図示せず)が設けられている。このアクチュエータが駆動することにより、上記ノズルからインクが吐出される。
図3に示す態様では、インク吐出ヘッド15の下面15aは、インクカートリッジ11Cよりも低い位置に設けられている。ただし、インク吐出ヘッド15の下面15aは、インクカートリッジ11Cとほぼ同じ高さに設けられていてもよい。インク吐出ヘッド15は、インクカートリッジ11Cよりも高い位置に設けられていてもよい。
【0019】
インク循環路16は、ダンパー装置14からチューブ12aの側にインクを戻すインク流路である。インク循環路16の一端は、ダンパー装置14に接続されている。インク循環路16の他端は、インク供給路12のインクカートリッジ11Cと送液ポンプ13との間、すなわちチューブ12aに接続されている。インク循環路16とチューブ12aとが連通する部分には、三方弁17が配置されている。インク循環路16は、例えばインク供給路12と同様の材質からなる。
【0020】
三方弁17は、チューブ12aに接続され、インクカートリッジ11Cに連通する第1接続口171と、チューブ12aに接続され、送液ポンプ13に連通する第2接続口172と、インク循環路16に接続され、ダンパー装置14とチューブ12aとを連通する第3接続口173とを備える。三方弁17は特に限定されないが、例えば電磁弁である。三方弁17は制御装置18に接続されている。3つの接続口171、172、173の連通状態の切換は、制御装置18によって制御される。
【0021】
制御装置18は、インクカートリッジ11Cからインク吐出ヘッド15へのインクの供給を制御する。制御装置18は、送液ポンプ13とダンパー装置14と三方弁17とに接続されている。制御装置18は、送液ポンプ13の駆動と停止を制御する。制御装置18は、例えばダンパー装置14のインク貯留量が所定の下限値に達したときに、送液ポンプ13を駆動させる。制御装置18は、例えばダンパー装置14のインク貯留量が所定の上限値(満タン)に達したときに、送液ポンプ13を停止させる。制御装置18はまた、三方弁17の開閉を切り換える。これにより、システム内でインクを循環することができる。制御装置18は、典型的にはいわゆるコンピュータである。制御装置18は、中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMやRAMを備えていてもよい。
【0022】
ダンパー装置14はインク吐出ヘッド15に連通し、インク吐出ヘッド15へインクを補給する役割を担う。ダンパー装置14はまた、インクの圧力変動を緩和して、インク吐出ヘッド15のインク吐出動作を安定化する役割を担う。ダンパー装置14は、インク供給路12に設けられている。この実施形態では、インク吐出ヘッド15に近接してダンパー装置14が配置されている。これにより、インク吐出の直前でインクの動圧変動を吸収することができ、インクの吐出安定性を一層高めることができる。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係るダンパー装置14の側面図である。
図5は、
図4に示すダンパー装置14のV−V線縦断面図である。
図5に示すように、ダンパー装置14は、一面(
図5の右側の面)が開口した中空構造のケース本体21と、当該開口部分を覆うようにケース本体21の外壁面に取り付けられたダンパー膜22とを備えている。ケース本体21は、典型的には樹脂製である。ケース本体21とダンパー膜22とに囲まれた領域が、インク貯留室23である。ダンパー膜22のインク貯留室23と反対側の面には、検知レバー27が配置されている。なお、本実施形態のダンパー装置14は、いわゆる弁構造を有していない。
【0024】
図4に示すように、ケース本体21の壁面(
図4の上面)には、インクが流入するインク流入口20が形成されている。インク流入口20は、チューブ12bに接続され、インクカートリッジ11Cと連通している。ケース本体21の他の壁面(
図4の下面)には、インクが流出する吐出用インク流出口29aが形成されている。吐出用インク流出口29aは、チューブ12cに接続され、インク吐出ヘッド15と連通している。ケース本体21の壁面(
図4の上面)には、循環用インク流出口29bが形成されている。循環用インク流出口29bは、インク循環路16に接続され、三方弁17を介してチューブ12aと連通している。インク流入口20、吐出用インク流出口29a、および循環用インク流出口29bは、それぞれインク貯留室23と連通している。本実施形態では、インク貯留室23は直方体形状に形成されている。インク貯留室23には所定量のインクが一時的に貯留される。
【0025】
本実施形態では、循環用インク流出口29bの先端(下端)が、インク流入口20の先端(下端)よりも重力方向の下方に配置されている。この実施形態では、インク流入口20の先端が、インク貯留室23の下面から凡そ1/2程度の高さに配置されている。また、循環用インク流出口29bの先端が、インク貯留室23の下面から凡そ1/4程度の高さに配置されている。また、循環用インク流出口29bの内径dは、インク流入口20の内径Dよりも小さい。つまり、d<Dである。
【0026】
ダンパー膜22は、インク貯留室23の内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、例えば熱溶着によりケース本体21の縁部に貼り付けられている。ダンパー膜22は、感圧膜の一例であり、インク貯留室23内の圧力に応じて撓み変形可能なように構成されている。ダンパー膜22は、典型的には可撓性を有する樹脂製のフィルムである。ダンパー膜22は、単層構造であってもよいし、異なる材質のフィルムが積層され一体化された多層構造であってもよい。ダンパー膜22のインク貯留室23側の面には、例えば耐インク腐食性の向上を目的として、コーティングが施されていてもよい。
【0027】
図5に示すように、インク貯留室23の内部において、ケース本体21のダンパー膜22と対向する面21aにはテーパーバネ24の一端が取り付けられている。テーパーバネ24の他端は受圧板25に接続されている。テーパーバネ24はダンパー膜22と連結されている。テーパーバネ24は、ダンパー膜22をインク貯留室23の外側に押圧する弾性部材の一例である。テーパーバネ24は、圧縮された状態に維持されている。これによって、ダンパー膜22はインク貯留室23の外側(
図5の右側)に向けて押圧され、撓んだ状態となっている。インク貯留室23に貯留されたインクが所定量まで減少して、インク貯留室23内がある程度減圧されると、ダンパー膜22はテーパーバネ24のばね力(弾性力)に抗してインク貯留室23の内側に撓む。
【0028】
テーパーバネ24は、圧縮されていない時には円錐台形状であり、当該円錐台形状の高さ方向に徐々に内径が変化するように構成されている。テーパーバネ24は圧縮されるにつれて上記高さ方向に縮んでいき、全圧縮された時に略平坦の板状となる。本実施形態では、テーパーバネ24は、ケース本体21の壁面21aからダンパー膜22の方に近づくにつれて内径が小さくなるように配置されている。テーパーバネ24の材質は特に限定されない。テーパーバネ24には、例えば耐インク腐食性の向上を目的として、コーティングが施されていてもよい。
【0029】
インク貯留室23の内部において、ダンパー膜22とテーパーバネ24との間には、受圧板25が配置されている。受圧板25は、インク貯留室23の外側に向かってダンパー膜22を均質的に押圧するように、ダンパー膜22の略中央に配置されている。本実施形態では、受圧板25は円板形状をなしている。受圧板25は、ダンパー膜22との接合容易性を考慮して選択するとよい。受圧板25は、ダンパー膜22よりも硬質な材料で構成されるとよい。受圧板25は、ダンパー膜22の撓み変形を阻害しないように、比較的軽量であるとよい。本実施形態では、受圧板25はポリアセタール系樹脂製である。
【0030】
本実施形態では、受圧板25のダンパー膜22と対向する側の面が、受圧板25の全表面の概ね10%以上、典型的には10〜30%、例えば15〜20%程度の表面積を有している。ダンパー膜22と対向する面の面積を広くとることで、ダンパー膜22をインク貯留室23の外側に向かって均質的に押圧することができる。また、ダンパー膜22の撓み変形が受圧板25に精度よく伝達されるようになる。一方で、感圧膜に面積の大きな受圧板を張り付けると、感圧膜の可動域が極端に制限される虞がある。そこで、ここに開示される技術では、受圧板25とダンパー膜22とを全面接合せずに、間欠的に接合するようにしている。これにより、ダンパー膜22の可動域を維持したままに、受圧板25の受圧面積を広くとることができる。その結果、インク容量の変化に伴ってダンパー膜22がスムーズに撓み変形する。なお、ここで言う「間欠的な接合」とは、受圧板25とダンパー膜22とを全面接合せずに、受圧板25にダンパー膜22と接合されない部分を敢えて(積極的に)残すことをいう。
【0031】
間欠接合部26は、ダンパー膜22に接合された接合部261と、ダンパー膜22に接合されていない非接合部269とを有する。非接合部269の少なくとも一部は、接合部261の最も縁部に近い部分に比べて、受圧板25の中央側に位置している。非接合部269は、接合部261によって閉鎖されていない。つまり、間欠接合部26に気泡が溜まり難いように、非接合部269が開放されている。接合部261は、受圧板25のダンパー膜22と対向する側の面全体の概ね90%以下、典型的には80%以下、例えば70%以下の面積を占める。非接合部269は、受圧板25のダンパー膜22と対向する側の面全体の概ね10%以上、典型的には20%以上、例えば30%以上の面積を占める。
【0032】
図6は、
図4に示すダンパー装置の受圧板25である。受圧板25のダンパー膜22と対向する側の面には、間欠接合部26が設けられている。間欠接合部26は、4つの接合部261を備えている。4つの接合部261はいずれも点状をなしている。これら4つの点状接合部261は、受圧板25の中央25cを中心点として、受圧板25よりも一回り小さな同一円周上(
図6の2点鎖線上)に配置されている。ケース本体21の開口部分およびダンパー膜22は、四角形(具体的には長方形)である。ダンパー膜22およびインク貯留室23の各頂点から、当該各頂点と最も近接する点状接合部261までの距離は、それぞれ略等しくなっている。
【0033】
なお、本実施形態の間欠接合部26は4つの点状接合部261を有しているが、これには限定されない。接合部261は1つであってもよいし、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上の複数であってもよい。また、接合部261は、受圧板25の表面に所定のピッチで規則的に配置されていてもよく、不規則的に配置されていてもよい。また、接合部261は、点状(ドット状)のみならず、例えば、直線状、弓状、波状などの線状、円状、多角形状、アルファベット形状、歯車形状などのパターン状であってもよい。
【0034】
間欠接合部26では、例えばダンパー膜22やインク貯留室23の形状などを考慮して、接合部261と非接合部269との配置を決定するとよい。一例では、ダンパー膜22および/またはインク貯留室23の縁部から、受圧板25の中央(中心)までの距離が略等しくなるように、接合部261を配置する。例えば
図4に示すように、ダンパー膜22および/またはインク貯留室23が多角形状の場合は、多角形の頂点から受圧板25の中央(中心)までの距離が略等しくなるように、接合部261を配置するとよい。
【0035】
ダンパー膜22および/またはインク貯留室23の形状が回転対称性を有している場合、例えば
図4に示すようにダンパー膜22および/またはインク貯留室23が多角形状である場合には、接合部261もまた、受圧板25の中央25cを中心点とした回転対称性を有しているとよい。例えば、接合部261が受圧板25の中央25cを中心点とした同一円周上に等間隔で配置されているとよい。あるいは、接合部261が受圧板25の中央25cを中心点として放射状に配置されているとよい。これにより、ダンパー膜22の撓み変形が受圧板25に均質的に伝達されるようになり、受圧板25が安定的に変位する。したがって、インク貯留量の検知精度を高めることができる。
【0036】
一例として、ケース本体21の開口部分やダンパー膜22が、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状などの多角形状である場合は、接合部261の数nが、頂点の数の約数(ただしn≧3)であるとよい。
図4に示すように、ケース本体21の開口部分やダンパー膜22が四角形状の場合は、接合部の数nが4つであるとよい。また、ケース本体21の開口部分が六角形状の場合は、接合部の数nが3つあるいは6つであるとよい。なかでも、多角形状の頂点の数と等しい数の接合部261を有していることが好ましい。上記を満たす数の接合部261が回転対称性を有するように配置され、その他の部分が非接合部269となって間欠接合部26が構成されると、ダンパー膜22の撓み変形を受圧板25の変位に安定的に反映することができる。
【0037】
図7は、受圧板25の他の一例である。この実施形態では、受圧板25のダンパー膜22と対向する側の面に、線状あるいはパターン状の接合部が設けられている。
図7(a)では、受圧板25の中央25cを中心点として、6つの線状接合部262が放射状に配置されている。
図7(b)では、放射状に配置された6つの線状接合部と、受圧板25の中央部分に配置された円形状接合部とが組み合わされ、1つの歯車状接合部263をなしている。
図7(c)では、受圧板25の中央25cを中心点とした同一円周上に、等間隔で4つの弓状接合部264が配置されている。
図7(d)では、同一円周上に等間隔に配置された4つの弓状接合部264と、受圧板25の中央部分に配置された1つの円形状接合部265とが配置されている。
図7(e)では、放射状に配置された4つの線状接合部と、同一円周上に等間隔に配置された4つの弓状接合部とがそれぞれ重なり合い、4つのT字状接合部266をなしている。
図7(a)〜(e)では、接合部262、263、264、265,266以外の部分が非接合部269となり、それぞれ間欠接合部26が構成されている。
【0038】
インク貯留室23の外側には、検知レバー27が配置されている。検知レバー27は、ダンパー膜22の撓み変形の度合い(位置変化)からインク貯留量を検知するインク貯留量検知装置である。
図4に示すように、検知レバー27は、2つの固定部27bによってケース本体21の壁面に固定されている。検知レバー27は、ダンパー膜22を介して、受圧板25の中央25cと連結されている。検知レバー27は、バネ部材27cによってダンパー膜22に対して進退自在に配置されており、常にダンパー膜22と当接している。検知レバー27は、ダンパー膜22の撓み変形に基づいて変位する。
【0039】
例えば、インク貯留室23に貯留されているインクが少なくなると、ダンパー膜22がインク貯留室23の内側に所定量撓む。このダンパー膜22の撓み変形に伴って、検知レバー27もインク貯留室23の側に所定量変位する。逆に、インク貯留室23にインクが供給されてインク貯留量が増えると、ダンパー膜22がインク貯留室23の外側に所定量撓む。ダンパー膜22の撓み変形に伴って、検知レバー27もインク貯留室23から離れる方に所定量変位する。したがって、検知レバー27の変位の情報に基づいて、インク貯留室23内のインク貯留量が所定の範囲内であるか否かを判断することができる。例えばインク貯留室23内のインク貯留量が所定の下限値に到達したか否か、および/または、インク貯留量が所定の上限値(満タン)に到達したか否かを判断することができる。
【0040】
検知レバー27の変位に基づいて、制御装置18に信号が送られる。制御装置18はこの信号を受信したときに送液ポンプ13を駆動または停止する。上記構成によれば、ダンパー装置14内のインク貯留量に応じて送液ポンプ13を作動させることができる。これにより、インク貯留室23内に所定量のインクを維持することができ、インク吐出ヘッド15に安定的にインクを供給することができる。
【0041】
図5に示すように、本実施形態では、検知レバー27が受圧板25の中央25cと連結されている。検知レバー27の受圧板25と連結する位置には、凸部27aが設けられている。一方、凸部27aと連結される受圧板25の中央25cには、凹部25aが形成されている。凹部25aは、検知レバー27のインク貯留室23の側の先端(凸部27a)を挿入可能なように、インク貯留室23の内側に突き出している。これにより、検知レバー27と受圧板25とが安定的に連結されるようになる。したがって、ダンパー膜22の撓み変形の度合いが精度よく検知レバー27に伝達され、安定的に検知レバー27が可動する。
【0042】
印刷時以外のとき、つまりインク吐出ヘッド15からインクが吐出されないとき、ダンパー装置14のインク貯留室23には所定量以上のインクが貯留されている。このとき、ダンパー膜22は、テーパーバネ24のばね力によって、インク貯留室23の外側に撓んでいる。これによって、インク貯留室23内が負圧に保たれ、インク貯留室23と連通するインク吐出ヘッド15の下面15aも負圧に維持される。したがって、インク吐出ヘッド15のノズルからのインク漏れが防止される。
【0043】
システム内でインクを循環する際には、まずインク吐出ヘッド15の下面15aにキャップ19を装着する。次に、制御装置18によって、三方弁17の第2接続口172および第3接続口173が開かれ、第1接続口171を閉じられる。すなわち、三方弁17は、第2接続口172と第3接続口173とがつながった状態に切り換えられる。この状態でモータを駆動させ、送液ポンプ13を駆動させる。すると、インク循環路16には、ダンパー装置14から三方弁17に向かってインクが流れる。インク循環路16を通ったインクは、インク供給路12を通って、再びダンパー装置14に向かって流れる。
図3の矢印は、インク循環時のインクの流れを示している。このようにシステム内でインクを循環することで、インクを均質に維持することができる。その結果、インク中の固形分(例えば色材)が分離したり沈殿したりすることを高度に防止することができる。また、インクの無駄遣いを減らすこともできる。
【0044】
一方、プリンタ10の印刷時には、インク吐出ヘッド15のノズルから記録紙5に向かってインクが吐出される。印刷時には、制御装置18によって、三方弁17の第1接続口171および第2接続口172が開かれ、第3接続口173が閉じられる。三方弁17は、第1接続口171と第2接続口172とがつながった状態に切り換えられる。ノズルからインクが吐出されると、ダンパー装置14のインク貯留室23に貯留されているインクが吸い出され、インク吐出ヘッド15に供給される。これにより、インク貯留室23のインク貯留量が減少して、インク貯留室23内が負圧になる。インク貯留室23内が負圧になるにつれ、ダンパー膜22はインク貯留室23の内側に撓み変形する。ダンパー膜22の撓み変形に応じて、ダンパー膜22と間欠的に接合されている受圧板25も変位する。この変位は、受圧板25と連結された検知レバー27に高い精度で伝達される。検知レバー27の変位の情報は、制御装置18に送られる。制御装置18は、検知レバー27の変位量が所定値に到達したときに、インク貯留量が所定の下限値であると判断して、送液ポンプ13を駆動する。これにより、インクカートリッジ11Cからダンパー装置14に向かってインクが送られる。
【0045】
ダンパー装置14のインク貯留室23にインクが流入するにしたがい、インク貯留室23内の負圧が解消される。同時に、ダンパー膜22の撓みが緩和されて、ダンパー膜22と間欠的に接合されている受圧板25も変位する。この変位は、受圧板25と連結された検知レバー27に高い精度で伝達される。制御装置18は、検知レバー27の変位量が所定値に到達すると、インク貯留量が所定の上限値(満タン)であると判断して、送液ポンプ13を停止する。このように、検知レバー27の変位に基づいて送液ポンプ13を駆動することで、インク貯留室23内には所定量のインクが維持される。これにより、インク貯留室23内が負圧になり過ぎることが防止され、インクカートリッジ11Cからインク吐出ヘッド15へインクが安定して供給される。したがって、印刷時には、インク吐出ヘッド15から安定的にインクを吐出することができる。
【0046】
以上、本実施形態のダンパー装置14では、
図4,6に示すように、受圧板25とダンパー膜22とを全面接合せずに、間欠的に接合するようにしている。これにより、ダンパー膜22の可動域を維持したままに、受圧板25の受圧面積(ダンパー膜22との接触面積)を広くとることができる。また、間欠的な接合により、ダンパー膜22と受圧板25との接合面に空気の閉じ込めが発生し難くなる。したがって、インク貯留室23内の圧力変化をダンパー膜22の撓み変形に精度よく反映することができる。また、このダンパー膜22の弾性変形は、受圧板25に伝達される。このため、検知レバー27を安定的に変位させることができ、インク貯留室23内のインク貯留量をより高精度に検知することができる。したがって、ダンパー装置14を備えたインク供給システムならびにプリンタ10では、インクの吐出安定性が向上し、インク吐出ヘッド15から安定的にインクを吐出することができる。
【0047】
本実施形態では、間欠接合部26が、ダンパー膜22に接合された接合部261と、ダンパー膜22に接合されていない非接合部269とを有している。非接合部269の少なくとも一部は、接合部261よりも受圧板の中央側に位置している。また、非接合部269は接合部261で閉鎖されていない。これにより、間欠接合部26から気泡がより良く排出されるようになる。
【0048】
本実施形態では、間欠接合部26が、ダンパー膜22の多角形状の頂点の数と等しい数の接合部261を有している。これにより、ダンパー膜22の各頂点から最も近接する接合部261までの距離を、それぞれ略等しくすることができる。間欠接合部26を構成する接合部261は、受圧板25の中央を中心点とした回転対称性を有するように配置されている。詳細には、受圧板25の中央を中心点とした同一円周上に、等間隔で、接合部261が配置されている。他の実施形態では、
図7(a),(b)に示すように、間欠接合部26を構成する接合部262,263は、受圧板25の中央を中心点として放射状に配置されている。これらの各実施形態によれば、ダンパー膜22の撓み変形が、受圧板25、ひいては検知レバー27に、より安定的に伝達される。したがって、インク貯留室23内のインク貯留量を一層高精度に検知することができる。
【0049】
本実施形態では、ダンパー膜22をインク貯留室23の外側に押圧する弾性部材として、テーパーバネ24を用いている。テーパーバネ24は、例えば一般的なコイルバネと比較して、圧縮時の伸縮方向の長さが大幅に小さい。このため、テーパーバネ24を用いることで、ダンパー膜22と、ケース本体21の壁面21aとの間の距離を短くすることが可能となる。したがって、ダンパー装置14の外形の自由度を高めることができる。また、受圧板25との接合を容易かつ精度良く行うことができる。したがって、製造容易性や生産効率の点からも好ましい。
【0050】
本実施形態では、検知レバー27が、受圧板25の中央25cに連結するように配置されている。これにより、例えば受圧板25の略全体あるいは中央25c以外の部分で連結する場合と比べて、ダンパー膜22の撓み変形を、検知レバー27に高精度に伝達することができる。また、検知レバー27は、受圧板25と連結される位置に凸部を有している。受圧板25は、中央25cに、検知レバー27の上記凸部を挿入可能なように形成された凹部を有している。これにより、受圧板25と検知レバー27とが、より安定的に連結されるようになる。このため、インク貯留室23内のインク貯留量を、より高い精度で検知することができる。
【0051】
本実施形態では、
図3に示すように、インク供給システムが、インク供給路12とダンパー装置14とを連通するインク循環路16を備えている。インクは、溶媒と固形分(例えば色材)との混合物である。インクを循環させることで、均質な状態に維持することができる。したがって、固形分が分離したり沈殿したりすることを高度に抑制することができる。
【0052】
本実施形態では、
図4に示すように、ダンパー装置14の循環用インク流出口29bの内径dが、インク流入口20の内径Dよりも小さい。一般にはインク流路の内径が太いほど、動圧変動が大きくなる傾向がある。そこで、インク供給に直接的には寄与しない循環用インク流出口29bの内径dを小さくすることで、循環側のインクに由来する動圧変動を小さく抑えることができる。したがって、インクの安定供給と動圧変動の抑制とを高いレベルでバランスすることができる。
【0053】
本実施形態では、
図4に示すように、ダンパー装置14の循環用インク流出口29bの下端が、インク流入口20の下端よりも重力方向の下方に配置されている。これにより、インク貯留室23に所定量のインクが貯留されているときには、循環用インク流出口29bの先端がインク中により良く配置されるようになる。このため、インク循環路16への気泡の流入が生じ難くなり、印刷不良などの不具合を高度に予防することができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0055】
例えば、上記した各実施形態では、液体供給部(インクカートリッジ11)に貯留された液体がインクであったが、これには限定されない。液体は、例えばプリンタ10のメンテナンスに使用する洗浄液などであってもよい。
【0056】
また、上記した実施形態では、ダンパー膜22をインク貯留室23の外側に撓ませる弾性部材がテーパーバネ24であったが、これには限定されない。弾性部材は、例えば板バネやコイルバネ、ゴム製の部材(例えば板ゴム)などであってもよい。
【0057】
また、上記した実施形態では、インクジェット式記録装置がプリンタ10であったが、これには限定されない。インクジェット式記録装置は、画像を記録できることが可能な装置であればよい。また、上記したインク供給システム並びにプリンタ10は、インクカートリッジ11(液体供給部)と、インク供給路(液体供給路)12と、送液ポンプ13と、ダンパー装置14と、インク吐出ヘッド(液体吐出部)15と、インク循環路16と、制御装置18とを備えていたが、これには限定されない。例えば送液ポンプ13やインク循環路16は、必要に応じて設ければよい。
【0058】
また、上記した実施形態では、ダンパー装置14がインクジェット式記録装置に搭載されていたが、これには限定されない。ダンパー装置14は、例えばインクジェット方式を採用する種々の製造装置や、マイクロピペットなどの計測器具など、液体供給システムを備える各種用途で使用可能である。
【0059】
<その他の発明>
特許文献1のダンパー装置は、インク貯留室を形成するケース本体と、インク貯留室の一面を構成する可撓性の感圧膜と、上記感圧膜をインク貯留室の外側に付勢するための弾性部材とを備えている。感圧膜のほぼ中央には、補強部材が貼り付けられている。このダンパー装置では、感圧膜の撓み変形に基づいて、インク吐出ヘッドに所定の圧力でインクを供給するようにしている。
【0060】
しかしながら、特許文献1のダンパー装置では、感圧膜への補強部材の貼り付け方などによっては感圧膜の撓み変形に不具合を生じ、インクの供給が不安定になることがある。例えば補強部材のほぼ全面を感圧膜に貼り付けた場合、感圧膜の可動域が狭められることがある。また、補強部材を感圧膜に貼り付ける際、接合面に空気が閉じ込められると、これが抵抗となって感圧膜の撓み変形が不規則的になる場合がある。
【0061】
そこで、その他の発明は、液体貯留室内の圧力変化が感圧膜に精度よく伝達され、液体吐出部に安定的に液体を供給することができるダンパー装置を提供することを目的としている。また、上記ダンパー装置を備えた液体供給システム、並びにインクジェット式記録装置を提供することを目的としている。
【0062】
第1の他の発明では、ダンパー装置が提供される。このダンパー装置は、液体供給部から液体吐出部に液体を供給する液体供給路に配置される。このダンパー装置は、液体を供給する液体供給部と液体を吐出する液体吐出部とをつなぐ液体供給路に配置されている。ダンパー装置は、開口が形成された中空のケース本体と、上記ケース本体の上記開口を覆うように上記ケース本体に取り付けられ、上記ケース本体と共に液体貯留室を区画し、上記液体貯留室の内側および外側に撓み変形可能な感圧膜と、上記ケース本体に形成され、上記液体貯留室と連通し、液体が流入する流入口と、上記ケース本体に形成され、上記液体貯留室と連通し、液体が上記液体吐出部の方へ流出する吐出用流出口と、上記感圧膜を上記液体貯留室の外側に撓ませるように上記感圧膜と連結されている弾性部材と、上記感圧膜と上記弾性部材との間に介在し、上記感圧膜と間欠的に接合されている間欠接合部を有する受圧板と、を備えている。
【0063】
上記ダンパー装置では、感圧膜と受圧板とが間欠接合されている。このため、感圧膜と受圧板とを全面接合する場合と比較して、感圧膜の可動域が制限され難い。また、感圧膜と受圧板との接合面に空気の閉じ込めが発生し難い。したがって、上記ダンパー装置では、液体貯留室内の圧力変化をより良く反映した感圧膜の撓み変形が可能である。その結果、液体吐出部に安定して液体を供給することができる。
【0064】
また、第2の他の発明では、液体供給システムが提供される。この液体供給システムは、液体を供給する液体供給部と、液体を吐出する液体吐出部と、上記液体供給部と上記液体吐出部とを連通する液体供給路と、上記液体供給路に配置され、上記液体吐出部に液体を供給する上記ダンパー装置とを備える。
【0065】
また、第3の他の発明では、上記液体供給システムを備えたインクジェット式記録装置が提供される。
【0066】
第1の他の発明に係るダンパー装置では、液体貯留室内の圧力変化をより良く反映した感圧膜の撓み変形が可能である。このため、本発明のダンパー装置を備えた液体供給システムでは、液体吐出部に安定して液体を供給することができ、液体吐出部から安定して液体を吐出することができる。